(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワンボックスタイプの一般的な自動車の前部座席の後方にある車室空間をキャンピングの居住エリアとして用いることにより、一般的な自動車をキャンピンクカーに転用することが考えられている。
【0005】
このような場合、キャンピング居住エリアのプライバシーの保護や遮光のために、側部窓ばかりでなく、テールゲートの後部窓もカーテンで覆い、更に、前部座席とその後方の車室空間との間をカーテンで区切るようにカーテンレールが車室内に設置されていることが望まれる。
【0006】
また、自動車のキャンピング居住エリアは、一般住居に比して狭いから、カーテンレールが他の用途にも利用されたり、カーテンレールがキャンピング居住エリアに設置されるギャレー(収納棚ユニット)等の備品の設置に干渉したり、逆にキャンピング居住エリアに設置された備品が窓をカーテンで覆うことを阻害したりすることがなく、キャンピング居住エリアのスペースパーフォマンスが高いことが望まれる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、カーテンによってキャンピング居住エリアのプライバシーの保護や遮光を的確に行うことができ、併せてカーテンレールが他の用途にも利用され得るようにし、更にはキャンピング居住エリアのスペースパーフォマンスを高くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による自動車の室内構造は、車室内の所定領域(30)を実質的に全周に亘って外囲するように車室の側壁(32)上部及び又は天井壁(34)に沿って無端環状に延在するカーテンレール(36)と、前記カーテンレール(36)の長手方向に沿う複数
箇所にて、前記カーテンレール(36)を前記側壁(32)上部及び又は天井壁(34)に、同部分に対して間隔を置くように固定する複数のブラケット(40)とを有し、前記カーテンレール(36)は、全長に亘って筒状をなし、下部位置に全長に亘って延在する開口(50)を有する。
【0009】
この構成によれば、カーテンレール(36)が車室内の所定領域(30)を全周に亘って外囲するようにカーテンレール(36)が無端環状に延在することから、キャンピング居住エリア等の車室内の所定領域(30)の全方向に亘ってのプライバシー保護および遮光が、カーテンレール(36)に掛けられるカーテン(64)によって簡単且つ確実に行うことができる。
【0010】
しかも、カーテンレール(36)が無端環状であることにより、カーテンレール(36)全体の剛性が高いことと、カーテンレール(36)が車室側壁(32)の上部及び又は天井壁(34)に対して間隔を置いて設けられていることから、カーテンレール(36)をハンガ等の物品を吊り下げるためのハンガバーとして適切に利用することができる。
【0011】
本発明による自動車の室内構造は、好ましくは、前記所定領域(30)内において前記カーテンレール(36)に近接して固定配置された第1の備品(70)を更に有し、前記第1の備品(70)は、前記カーテンレール(36)の下側に、前記カーテンレール(36)からランナー(60)を介して吊り下げられるカーテン(64)よりも車室内側に位置する背面(72、74、76)を有し、前記第1の備品(70)の前記背面(72、74、76)と前記側壁(32)上部との間に前記カーテン(64)の通過を許す空間(C)が設けられている。
【0012】
この構成によれば、カーテン(64)を第1の備品(70)により阻害されることなく開け閉めすることができ、利便性が向上する。
【0013】
本発明による自動車の室内構造は、好ましくは、前記所定領域(30)内の配置される第2の備品(80)を更に有し、前記第2の備品は上側を係脱可能な固定具(86)によって前記カーテンレール(36)に固定され、下側を係脱可能な固定具(92)によって車室側壁(32)に固定されている。
【0014】
この構成によれば、第2の備品(80)の取り付けのためにカーテンレール(36)が有効に利用されると同時にカーテンレール(36)が第2の備品(80)の取り付けを阻害することがなく、第2の備品(80)の取り付けのための構造が簡単になると共に省スペースが図られる。しかも、第2の備品(80)が取り外し可能であることにより、第2の備品(80)の取り外しによって室内を広く使うこともできる。
【0015】
本発明による自動車の室内構造は、好ましくは、前記カーテンレール(36)の一部に当該カーテンレール(36)に対するランナー(60)の出入のために前記開口(50)の開口幅を拡大したランナー(60)の出入口(54)が形成されている。
【0016】
この構成によれば、カーテンレール(36)が無端環状であっても、出入口(54)においてランナー(60)をカーテンレール(36)に取り付けることができる。
【0017】
本発明による自動車の室内構造は、好ましくは、前記カーテンレール(36)が全長に亘って円筒状をなしている。
【0018】
この構成によれば、カーテンレール(36)が円筒状であることにより、カーテンレール(36)に吊るすハンガが衣服を掛けるハンガの場合、カーテンレール(36)のハンガバーとしての使い勝手がよく、カーテンレール(36)のハンガバーとしての使用の違和感も軽減される。
【0019】
本発明による自動車の室内構造は、好ましくは、前記カーテンレール(36)の前記開口(50)が、前記カーテンレール(36)の真下位置より前記所定領域(30)の外側方向にオフセットした位置に設けられている。
【0020】
この構成によれば、カーテンレール(36)のやや外側寄りの下方部分からカーテン(64)が垂下することとなり、カーテン(64)の開閉に干渉することなく、より一層好適に物品をカーテンレール(36)から吊るしたり、或いは取り付けたりすることができる。
【0021】
本発明による車室内用のテンレール(36)は、車室内の所定領域(30)を全周に亘って外囲するように車室の側壁(32)上部及び又は天井壁(34)に沿って無端環状に延在し、全長に亘って筒状をなし、下部位置に全長に亘って延在する開口(50)を有する。
【0022】
この構成によれば、カーテンレール(36)が車室内の所定領域(30)を全周に亘って外囲するようにカーテンレール(36)が無端環状に延在することから、キャンピング居住エリア等の車室内の所定領域(30)の全方向に亘ってのプライバシー保護および遮光が、カーテンレール(36)に掛けられるカーテン(64)によって簡単且つ確実に行うことができる。
【0023】
しかも、カーテンレール(36)が無端環状であることにより、カーテンレール(36)全体の剛性が高いことから、カーテンレール(36)をハンガ等の物品を吊り下げるためのハンガバーとして適切に利用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による自動車の室内構造によれば、カーテンレールが車室内の所定領域を全周に亘って外囲するようにカーテンレールが無端環状に延在することから、キャンピング居住エリア等の車室内の所定領域の全方向に亘ってのプライバシー保護、遮光が、カーテンレールに掛けられるカーテンによって簡単且つ確実に行うことができる。
【0025】
しかも、カーテンレールが無端環状であることによりカーテンレール全体の剛性が高いことと、カーテンレールが車室側壁の上部及び又は天井壁に対して間隔を置いて設けられていることから、カーテンレールをハンガ等の物品を吊るすためのハンガバーとして適切に利用することができる。特に、カーテンレールが円筒状であることにより、カーテンレールに吊るすハンガが衣服を掛けるハンガの場合、カーテンレールのハンガバーとしての使い勝手がよく、カーテンレールのハンガバーとしての使用の違和感も軽減される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明による自動車の室内構造の一つの実施形態を、
図1〜
図7を参照して説明する。
【0028】
本実施形態の室内構造が適用される自動車は、ハッチバックタイプのワンボックスカーである。ワンボックスカーは、
図1、
図2に示されているように、箱形の車体10と、車体10内(車室内)の前部に配置された前部座席(運転席と助手席)12と、前部座席12の後方の車体10内に配置された折りたたみ可能な後部座席(図示省略)と、後部座席の後方の車体10内に設けられたラゲッジスペース部(荷室部)14と、前部座席12の前方に設けられた前部窓(フロントシールドガラス)15と、車体10の側部前側に設けられた窓付きの左右のフロントサイドドア16と、車体10の側部後側に設けられた窓付きの左右のリアサイドドア18と、リアサイドドア18よりも後方位置で、ラゲッジスペース部14の左右両側部分の車体10に設けられた側部窓20と、車体10の後部に設けられた跳ね上げ式の窓付きのテールゲート22とを有する。テールゲート22は、車体10の後部開口23を開閉するものである。
【0029】
このワンボックスカーは、図示されていない後部座席が折りたたまれることにより、前部座席12よりも後方の車室空間が、車室内の所定領域として、ラゲッジスペース部14を含むフラットフロアによる一つのキャンピング居住エリア30になる。キャンピング居住エリア30に対する人の出入りおよび荷物の出し入れは、リアサイドドア18の開口(図示省略)と後部開口23とによって行われる。
【0030】
車室内の上部にはキャンピング居住エリア30の全周に亘って外囲するように、車室の側壁32(
図3参照)の上部及び天井壁34(
図3参照)に沿って、且つこれらに近接して無端環状に延在するカーテンレール36が取り付けられている。カーテンレール36は全体を円環状横断面のアルミニウム合金やステンレス鋼等の金属製の丸パイプによって構成されて全長に亘って円筒状をなしていて、前部座席12の後側近傍を車幅方向に延在する前部直管36Aと、テールゲート22の前側近傍を車幅方向に延在する後部直管36Bと、車内右側を車体前後方向に延在する右部直管36Cと、車内左側を車体前後方向に延在する左部直管36Dと、前部直管36Aの右端部と右部直管36Cの前端部とを接続する1/4円弧による前右曲管36Eと、前部直管36Aの左端部と左部直管36Dの前端部とを接続する1/4円弧による前左曲管36Fと、後部直管36Bの右端部と右部直管36Cの後端部とを接続する1/4円弧による後右曲管36Gと、後部直管36Bの左端部と左部直管36Dの後端部とを接続する1/4円弧による後左曲管36Hとの溶接組立体によって略四角形状の無端環状をなしている。
【0031】
カーテンレール36は、右側と左側の各々の車体前後方向の4箇所、合計8箇所を、つまりカーテンレール36の長手方向に沿う複数
箇所をブラケット40によって側壁32の上部に取り付けられている。
【0032】
次に、ブラケット40によるカーテンレール36の取付構造について、
図3を参照して詳細に説明する。ブラケット40は、金属板のプレス成形品あるいは樹脂成形品であり、一端にあってカーテンレール36の上側外周半分に係合する半円形湾曲部40Aと、他端にあって側壁32に対する固定のための平片部40Bと、半円形湾曲部40Aと平片部40Bとの間にあってカーテンレール36を側壁32の上部及び天井壁34より間隔A、Bだけ離して配置するために折曲された折曲中間部40Cとを一体に有する。
【0033】
半円形湾曲部40Aはポップリベットと言われているブラインドリベット42によってカーテンレール36の上部に固定されている。平片部40Bは平片部40Bに貫通形成されたボルト通し孔40Dに通された取付ボルト44が車体側部メンバ46に固定されたナット48にねじ係合することにより、側壁32の上部に固定されている。これにより、カーテンレール36は、側壁32の上部及び天井壁34に対して車室内側に間隔A、Bを置いて、且つ水平に、キャンピング居住エリア30の上部を取り囲むように、側壁32の上部に取り付けられている。
【0034】
カーテンレール36の下部には、カーテンレール36の全長に亘って延在する所定幅(カーテンレール36の円周方向の幅)の開口50が形成されている。開口50は、カーテンレール36を一周ぐるりと、カーテンレール36と同様に、無端環状に延在している。
【0035】
カーテンレール36の一箇所には、
図4に示されているように、開口50の開口幅をカーテンレール36の円周方向に拡大した四角形状のランナー出入口54が形成されている。ランナー出入口54は、開口50の両縁部を四角形状に拡大したものであって、ランナー60のローラ配置部60A(
図3参照)をカーテンレール36の内外に通過可能にするものであり、ランナー60のローラ配置部60Aをカーテンレール36に対して出し入れすることに用いられる。
【0036】
カーテンレール36には、ランナー出入口54部分のランナー60の通過を許すように、開口50を残してランナー出入口54を塞ぐプラグ56が取り付けられている。プラグ56は、ランナー出入口54の補形をなしてランナー出入口54に嵌合する嵌合部56Aと、嵌合部56Aの外端側に一体形成されてカーテンレール36の外面に接合するフランジ部56Bとを有し、ランナー出入口54に対する嵌め合いあるいは接着剤によってカーテンレール36に固定される。
【0037】
嵌合部56Aの厚さはランナー出入口54におけるカーテンレール36の肉厚に等しいので、ランナー出入口54に嵌められた嵌合部56Aは、ランナー出入口54において他の部分と面一に連続するローラ走行面をカーテンレール36内に構成する。これにより、ランナー出入口54においてもランナー60が段差なく滑らかに走行する。
【0038】
カーテンレール36は、先ず前部直管36Aと後部直管36Bと右部直管36Cと左部直管36Dと前右曲管36Eと前左曲管36Fと後右曲管36Gと後左曲管36Hとの合計8個の丸パイプ材を溶接によって互いに接合して略四角形状の無端環状体を製作し、その後、無端環状体をワーク保持治具にセットし、NC制御による切削加工によって開口50とランナー出入口54とを作成することによって製造することができる。
【0039】
この製造工程によれば、無端環状体を製作した後に開口50を無端環状に削り出すので、カーテンレール36の全長に亘って延在する開口50の無端連続性の精度がよく、丸パイプ材の接合部において開口50に不要な筋違いが生じることを完全に排除できる。
【0040】
カーテンレール36には複数のランナー(スライダ)60が取り付けられている。ランナー60は、カーテンレール36内に位置するローラ配置部60Aと、ローラ配置部60Aより下方にあって開口50を通過してカーテンレール36よりも下方に突出するカーテン吊り下げ部60Bとを一体に有する。ローラ配置部60Aの両側にはローラ60Cが回転自在に取り付けられている。両ローラ60Cがカーテンレール36内において開口50の両側縁部上を転動することにより、ランナー60が開口50に案内されてカーテンレール36の延在方向に走行移動する。カーテン吊り下げ部60Bには、カーテンレール36外において開口50の両側縁部に小さい間隔をおいて対向する上下方向のストッパ部60Dが突出形成されていると共に、カーテンフック62を掛けられる係合孔60Eが貫通形成されている。
【0041】
カーテンフック62には布製等のカーテン64の上部が取り付けられている。カーテン64は、カーテンフック62、ランナー60を介してカーテンレール36より吊り下げられ、ランナー60がカーテンレール36の延在方向に沿って走行移動することにより、カーテンレール36の延在方向に沿って開け閉めされる。
【0042】
カーテン64は、カーテンレール36の延在方向の全域に亘る長さを有するものであり、カーテン64の枚数はカーテン64の長さによって決まる。カーテン64の枚数は、カーテン64の長さがカーテンレール36の全長に相当するものであれば1枚でよく、カーテン64の長さがカーテンレール36の全長の1/2に相当するものであれば2枚でよく、カーテン64の長さがカーテンレール36の全長の1/3に相当するものであれば3枚でよい。
図1はカーテンレール36に2枚のカーテン64を吊り下げた実施形態を示している。
【0043】
カーテンレール36は、キャンピング居住エリア30を全周に亘って外囲するように無端環状に延在するから、このカーテンレール36に吊り下げられたカーテン64によってキャンピング居住エリア30の前後左右の全体を囲むことができる。これにより、キャンピング居住エリア30の全方向に亘ってのプライバシー保護および遮光が、無端環状に連続する一つのカーテンレール36に吊り下げられたカーテン64の簡単な開け閉め操作によって確実に行われるようになる。
【0044】
カーテンレール36は無端環状であるから全体の剛性が高い。このことと、カーテンレール36がブラケット40によって側壁32の上部及び天井壁34に対して車室内側に間隔A、Bを置いて、且つ水平に設けられていることとから、カーテンレール36を、ハンガ等の物品を吊るすためのハンガバーや、キャンピング居住エリア30に配備する各種備品を車体10に取り付けるための取付バーとして適切に利用することができる。
【0045】
特に、カーテンレール36が円筒状であることにより、カーテンレール36に吊るすハンガが衣服を掛けるハンガの場合、カーテンレール36のハンガバーとしての使い勝手がよく、カーテンレール36のハンガバーとしての使用の違和感も軽減される。
【0046】
キャンピング居住エリア30の左側の天井部には、
図1、
図2に示されているように、頭上収納棚ユニット(第1の備品)70がカーテンレール36に近接して固定配置されている。頭上収納棚ユニット70は、天井壁34やカーテンレール36の側部に固定されており、カーテンレール36の下側に、カーテンレール36からランナー60を介して吊り下げられたカーテン64よりも車室内側に位置する背面72、74、76を有している。これにより、頭上収納棚ユニット70の背面72、74、76と側壁32の上部との間にカーテン64の通過を自由に許す空間Cが設けられる。
【0047】
この構造により、頭上収納棚ユニット70の配置部の背面側をカーテン64が頭上収納棚ユニット70により阻害されることなく通ることができ、頭上収納棚ユニット70の配置部の背面側、本実施形態では左側の側部窓20をカーテン64によって覆うことができる。このように、キャンピング居住エリア30に設置された頭上収納棚ユニット70に阻害されることなくカーテン64を開け閉めすることができ、キャンピング居住エリア30の利便性が向上する。
【0048】
キャンピング居住エリア30の右側には、
図1、
図2に示されているように、側壁収納棚ユニット(第2の備品)80がカーテンレール36に近接して着脱可能に設置されている。側壁収納棚ユニット80は、複数の垂直な端板82と複数の水平な棚板84とを含むものである。
【0049】
図5、
図6に示されているように、カーテンレール36が車体10の右側を前後方向に延在する部分の車体前後方向に離れた2箇所の車内側の側面にはパッチン錠と呼ばれるドローラッチ金具(固定具)86のフック部材86Aが固定されている。側壁収納棚ユニット80の車体前後方向に離れた2枚の端板82の上部にはフック部材86Aに係脱可能に係合するドローラッチ金具86のラッチ部材86Bが取り付けられている。
【0050】
これにより、側壁収納棚ユニット80は、上部の2箇所をドローラッチ金具86によってワンタッチで工具なしで、カーテンレール36に係脱可能に固定される。
【0051】
図5、
図7に示されているように、側壁収納棚ユニット80の最下段の棚板84の背面部には車体前後方向に離れた2箇所に取付片88が取り付けられている。取付片88は、棚板84より垂下しており、ボルト通し孔88Aを貫通形成されている。ボルト通し孔88Aには締結ボルト(固定具)92の雄ねじ部92Aが貫通している。ボルト通し孔88Aに通された締結ボルト92は、雄ねじ部92Aが側壁32に予め配備されたナット部材90にねじ係合することにより、側壁収納棚ユニット80を側壁32に取り外し可能に固定する。締結ボルト92の頭部は小物吊り下げ用のフックを兼ねた手廻しハンドル部92Bになっている。
【0052】
これにより、側壁収納棚ユニット80は、下部の2箇所を締結ボルト92によって工具なしで、側壁32に係脱可能に固定される。
【0053】
側壁収納棚ユニット80の上部はカーテンレール36に取り付けられるから、側壁収納棚ユニット80の取り付けのためにカーテンレール36が有効に利用され、それ故にカーテンレール36が側壁収納棚ユニット80の取り付けを阻害することがない。これにより、側壁収納棚ユニット80の取り付けのための構造が簡単になると共に省スペースが図られる。
【0054】
更に、端板82にカーテンレール36を避ける凹部85(
図1参照)を設けることにより、カーテンレール36に阻害されることなく、車室の側壁上部のスペースを効率的に利用して側壁収納棚ユニット80を配置することができる。
【0055】
側壁収納棚ユニット80は、工具を用いることなく簡単に取り外すことができるので、キャンピングカー以外の使用等において側壁収納棚ユニット80が不必要な場合には、側壁収納棚ユニット80を取り外すことによってラゲッジスペース部14、キャンピング居住エリア30を広く使うことができる。
【0056】
側壁収納棚ユニット80が側部窓20を覆うような比較的大型のものであったり、窓以外の車室側壁の部分に配置されるものであったりしても、側壁収納棚ユニット80を避けるようにカーテン64を配置し、側壁収納棚ユニット80とカーテン64とが互いに協働して、キャンピング居住エリア30を実質的に全周に亘って覆うことができる。しかも、側壁収納棚ユニット80を取り外したときには、カーテン64によってキャンピング居住エリア30を実質的に全周に亘って覆うことができ、状況に応じてカーテン64を好適に且つフレキシブルに使用することができる。
【0057】
次に、本発明による自動車の室内構造のカーテン吊り下げ部60Bの他の実施形態を、
図8を参照して説明する。なお、
図8において、
図3に対応する部分は、
図3に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0058】
この実施形態では、カーテンレール36の開口50が、カーテンレール36の真下位置よりキャンピング居住エリア30外側方向にオフセットした位置に設けられている。このことに応じてランナー60はくの字形に折曲した形状になっており、ローラ配置部60Aは開口50のオフセットに応じて傾斜しているが、係合孔60Eの部分はカーテン64の鉛直な吊り下げのために垂直(鉛直)になっている。
【0059】
この構成によれば、開口50がカーテンレール36の真下位置にある場合に比してカーテンレール36のやや外側寄りの下方部分からカーテン64が垂下することとなり、カーテン64の開閉に干渉することなく、より一層好適に物品をカーテンレール36から吊り下げたり、或いは取り付けたりすることができる。
【0060】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0061】
たとえば、ブラケット40の一部あるいは全部が天井壁34に取り付けられていてもよい。また、ランナー出入口54はカーテンレール36の複数箇所に形成されていもよい。
【0062】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。