(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792717
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】コンピュータ・データ資産を要求するための装置、方法、およびコンピュータ・プログラム(コンピュータ・データ資産の要求)
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
G06F13/00 550L
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-516592(P2012-516592)
(86)(22)【出願日】2010年2月23日
(65)【公表番号】特表2012-530987(P2012-530987A)
(43)【公表日】2012年12月6日
(86)【国際出願番号】EP2010052255
(87)【国際公開番号】WO2010149398
(87)【国際公開日】20101229
【審査請求日】2012年9月7日
【審判番号】不服2014-12654(P2014-12654/J1)
【審判請求日】2014年7月1日
(31)【優先権主張番号】09163658.9
(32)【優先日】2009年6月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】パパジョルジュ、アンソニー、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス、ティモシー、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウィリンガム、ギャヴィン、ピーター
【合議体】
【審判長】
小曳 満昭
【審判官】
白石 圭吾
【審判官】
千葉 輝久
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5778372(US,A)
【文献】
特開2007−235961(JP,A)
【文献】
特開2006−113801(JP,A)
【文献】
特表2006−519443(JP,A)
【文献】
特開平11−174952(JP,A)
【文献】
特開2004−265020(JP,A)
【文献】
特開2003−91450(JP,A)
【文献】
特開2007−243552(JP,A)
【文献】
特開2002−373109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント・コンピュータ上にデータ・ファイルを表示するためのコンピュータ管理装置であって、前記クライアント・コンピュータは可視領域を備え、前記データ・ファイルは構造ファイルおよび第1の複数のデータ要素を備え、前記第1の複数のデータ要素は第2の複数のデータ要素を備え、
第1のメッセージをサーバに送信するために動作可能な送信コンポーネントであって、前記メッセージは構造ファイルに関する要求を備え、前記構造ファイルは第1の複数のデータ要素のリストを備える、送信コンポーネントと、
前記構造ファイルを前記サーバから受信するために動作可能な受信コンポーネントと、
前記構造ファイルの受信に応答して前記第2の複数のデータ要素を決定するために動作可能な評価コンポーネントであって、前記第2の複数のデータ要素は可視領域に関連付けられていて、さらに、複数のプリフェッチ・データ要素が、可視領域の境界に画定される複数のプリフェッチ領域に関連づけられている、評価コンポーネントと、
第2のメッセージおよびプリフェッチ・メッセージを前記サーバに送信するためにさらに動作可能な前記送信コンポーネントであって、前記第2のメッセージは前記第2の複数のデータ要素に関する要求を備えていて、さらに、前記プリフェッチ・メッセージは前記複数のプリフェッチ・データ要素に関する要求を備えている、前記送信コンポーネントと、
前記第2の複数のデータ要素および前記複数のプリフェッチ・データ要素を受信するためにさらに動作可能な前記受信コンポーネントと、
前記複数のプリフェッチ・データ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に前記複数のプリフェッチ・データ要素を格納するために動作可能な格納コンポーネントと、
前記第2の複数のデータ要素の受信に応答して、前記第2の複数のデータ要素を前記可視領域内に表示するために動作可能な表示コンポーネントと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記第2の複数のデータ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に前記第2の複数のデータ要素を格納するために動作可能な格納コンポーネントをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の複数のデータ要素は第3の複数のデータ要素を備え、
前記構造ファイルの受信に応答して、前記第3の複数のデータ要素を決定するために、前記第1の複数のデータ要素の前記リストを評価するためにさらに動作可能な前記評価コンポーネントであって、前記第3の複数のデータ要素は前記クライアント・コンピュータ・ストア内に格納されない、前記評価コンポーネントと、
第3のメッセージを前記サーバに送信するためにさらに動作可能な前記送信コンポーネントであって、前記第3のメッセージは前記第3の複数のデータ要素に関する要求を備える、前記送信コンポーネントと、
前記第3の複数のデータ要素を受信するためにさらに動作可能な前記受信コンポーネントと、
前記第3の複数のデータ要素の受信に応答して、前記クライアント・コンピュータ・ストア内に前記第3の複数のデータ要素を格納するためにさらに動作可能な前記格納コンポーネントと、
前記第3の複数のデータ要素の受信に応答して、前記第3の複数のデータ要素を前記可視領域内に表示するためにさらに動作可能な前記表示コンポーネントと、
をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
クライアント・アプリケーションがウェブ・ブラウザである、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
クライアント・アプリケーションが電子メール・クライアントである、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
クライアント・コンピュータ上にデータ・ファイルを表示するための方法であって、前記クライアント・コンピュータは可視領域を備え、前記データ・ファイルは構造ファイルおよび第1の複数のデータ要素を備え、前記第1の複数のデータ要素は第2の複数のデータ要素を備え、
第1のメッセージをサーバに送信するステップであって、前記メッセージは構造ファイルに関する要求を備え、前記構造ファイルは第1の複数のデータ要素のリストを備える、送信するステップと、
前記構造ファイルを前記サーバから受信するステップと、
前記構造ファイルの受信に応答して、前記第2の複数のデータ要素を決定するステップであって、前記第2の複数のデータ要素は前記可視領域に関連付けられていて、さらに、複数のプリフェッチ・データ要素が、可視領域の境界に画定される複数のプリフェッチ領域に関連づけられている、決定するステップと、
第2のメッセージおよびプリフェッチ・メッセージを前記サーバに送信するステップであって、前記第2のメッセージは前記第2の複数のデータ要素に関する要求を備えていて、さらに、前記プリフェッチ・メッセージは前記複数のプリフェッチ・データ要素に関する要求を備えている、送信するステップと、
前記第2の複数のデータ要素および前記複数のプリフェッチ・データ要素を受信するステップと、
前記複数のプリフェッチ・データ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に前記複数のプリフェッチ・データ要素を格納するステップと、
前記第2の複数のデータ要素の受信に応答して、前記第2の複数のデータ要素を前記可視領域内に表示するステップと、
をクライアント・コンピュータに実行させる、方法。
【請求項7】
前記第2の複数のデータ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に前記第2の複数のデータ要素を格納するステップをさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の複数のデータ要素は第3の複数のデータ要素を備え、
前記構造ファイルの受信に応答して、前記第3の複数のデータ要素を決定するために前記第1の複数のデータ要素の前記リストを評価するステップであって、前記第3の複数のデータ要素は前記クライアント・コンピュータ・ストア内に格納されない、評価するステップと、
第3のメッセージを前記サーバに送信するステップであって、前記第3のメッセージは前記第3の複数のデータ要素に関する要求を備える、送信するステップと、
前記第3の複数のデータ要素を受信するステップと、
前記第3の複数のデータ要素の受信に応答して、前記クライアント・コンピュータ・ストア内に前記第3の複数のデータ要素を格納するステップと、
前記第3の複数のデータ要素の受信に応答して、前記第3の複数のデータ要素を前記可視領域内に表示するステップと、
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
クライアント・アプリケーションがウェブ・ブラウザである、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
クライアント・アプリケーションが電子メール・クライアントである、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータ上で実行された場合に請求項6から10のいずれか一項に記載の方法を実施するためのソフトウェア・コード部分を備える、デジタル・コンピュータの内部メモリにロード可能なコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ・データ送達の分野に関する。具体的に言えば、本発明は、ダウンロード可能なコンピュータ・データ要素を要求するための装置、方法、およびコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ・ネットワークの接続速度および帯域幅の増加により、データ処理システムはより豊富なデータ・コンテンツが提供できるようになった。ウェブサイトはより速いインターネット接続を利用して、より豊富な高帯域幅のコンテンツを提供する。ピクチャおよびビデオなどのインターネット・データ要素形式のコンピュータ・データ・コンテンツは、一般に、ウェブ・ページでのユーザの体験を広げる役割を果たすために使用される。ウェブ・データ要素は、電子メール通信でもますます数多く使用されている。しかしながら、帯域幅の向上はコストがかかるため、データ・コンテンツ送達の向上はユーザに悪影響を及ぼす可能性もある。携帯電話を通じたインターネットへのアクセスは、特に高コストおよび低性能接続に悩まされる分野である。しばしばユーザは、メガバイト単位に及ぶダウンロードに対して課金される。平均的なウェブ・ページのサイズは着実に大きくなっているため、こうしたタイプの接続を利用するユーザは、以前に比べてますますダウンロードに時間および費用がかかることに気付いている。
【0003】
任意のウェブ・ページを閲覧するコストを低減させるための現在のクライアント側の解決策は、ピクチャまたはビデオをダウンロードしないというオプションである。多くのウェブ・ブラウザはこのオプションをサポートしているが、かなり多くのウェブサイトがナビゲーション用のメニューを構築する際にイメージに依拠しているため、ユーザは多くのウェブサイトが使用できなくなることに気付く。最終的にユーザは、サイトの利用体験から得られる価値を失ってしまう。
【0004】
さらに、いくつかのウェブサイトおよびウェブ・ベースのアプリケーションは、クライアントがページの見られる部分に関するデータのみを取り出すためのメカニズムを提供する。この動作は高コスト接続のユーザにとって非常に有用であるが、アプリケーションごとに実施されなければならない。ほとんどのウェブサイト・プロバイダはこうした動作を自身のサイト内にコーディングしておらず、ほとんどのユーザはこれを実施しているサイトに自らのブラウジングを限定するように選択しないため、この解決策は、接続を使用する総コストをほとんど低減せず、主にこれが実施されているウェブサイトの性能を向上させる役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって当分野では、前述の問題に対処することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様から見て、本発明は、クライアント・コンピュータ上にデータ・ファイルを表示するためのコンピュータ管理装置を提供し、クライアント・コンピュータは可視領域を備え、データ・ファイルは構造ファイルおよび第1の複数のデータ要素を備え、第1の複数のデータ要素は第2の複数のデータ要素を備え、この装置は、第1のメッセージをサーバに送信するために動作可能な送信コンポーネントであって、メッセージは構造ファイルに関する要求を備え、構造ファイルは第1の複数のデータ要素のリストを備える、送信コンポーネントと、構造ファイルをサーバから受信するために動作可能な受信コンポーネントと、構造ファイルの受信に応答して第2の複数のデータ要素を決定するために動作可能な評価コンポーネントであって、第2の複数のデータ要素は可視領域に関連付けられた、評価コンポーネントと、第2のメッセージをサーバに送信するためにさらに動作可能な送信コンポーネントであって、第2のメッセージは第2の複数のデータ要素に関する要求を備える、送信コンポーネントと、第2の複数のデータ要素を受信するためにさらに動作可能な受信コンポーネントと、第2の複数のデータ要素の受信に応答して、第2の複数のデータ要素を可視領域内に表示するために動作可能な表示コンポーネントとを、備える。
【0007】
これには、ユーザがページからいかなる価値ある情報も見逃すことなく、使用されるデータ要素のみをダウンロードして支払えば良い、という利点がある。
【0008】
好ましくは、本発明は、第2の複数のデータ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に第2の複数のデータ要素を格納するために動作可能な格納コンポーネントをさらに備える、装置を提供する。
【0009】
好ましくは、第2の複数のデータ要素は第3の複数のデータ要素を備え、本発明は、構造ファイルの受信に応答して、第3の複数のデータ要素を決定するために、第1の複数のデータ要素のリストを評価するためにさらに動作可能な評価コンポーネントであって、第3の複数のデータ要素はクライアント・コンピュータ・ストア内に格納されない、評価コンポーネントと、第3のメッセージをサーバに送信するためにさらに動作可能な送信コンポーネントであって、第3のメッセージは第3の複数のデータ要素に関する要求を備える、送信コンポーネントと、第3の複数のデータ要素を受信するためにさらに動作可能な受信コンポーネントと、第3の複数のデータ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に第3の複数のデータ要素を格納するためにさらに動作可能な格納コンポーネントと、第3の複数のデータ要素の受信に応答して、第2の複数のデータ要素を可視領域内に表示するためにさらに動作可能な表示コンポーネントとを、さらに備える、装置を提供する。
【0010】
有利なことには、本発明は、装置内に格納されることになるデータ要素を提供するため、結果としてデータ要素を繰り返しダウンロードする必要がなく、コストが節約される。
【0011】
好ましくは、クライアント・コンピュータはプリフェッチ(pre-fetch)領域をさらに備え、本発明は、構造ファイルの受信に応答して、第4の複数のデータ要素を決定するために、第1の複数のデータ要素のリストを評価するためにさらに動作可能な評価コンポーネントであって、第4の複数のデータ要素はプリフェッチ領域に関連付けられ、第4の複数のデータ要素はクライアント・コンピュータ・ストア内に格納されない、評価コンポーネントと、第4のメッセージをサーバに送信するためにさらに動作可能な送信コンポーネントであって、第4のメッセージは第4の複数のデータ要素に関する要求を備える、送信コンポーネントと、第4の複数のデータ要素を受信するためにさらに動作可能な受信コンポーネントと、第4の複数のデータ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に第4の複数のデータ要素を格納するためにさらに動作可能な格納コンポーネントとを、さらに備える、装置を提供する。有利なことには、本発明は、必要となる前にダウンロードされることになる可視領域周囲の境界に関連付けられたデータ要素を提供するため、結果としてユーザがページの可視領域を移動させる場合、これらのデータ要素はダウンロードされる必要がなく、性能が向上する。
【0012】
好ましくは、本発明は、クライアント・アプリケーションがウェブ・ブラウザである装置を提供する。代替方法として、本発明は、クライアント・アプリケーションが電子メール・クライアントである装置を提供する。有利なことには、本発明は、ウェブ・ページにアクセスするためまたは電子メール・コンテンツを見るために適用可能となる装置を提供する。
【0013】
第2の態様から見て、好ましくは、本発明は、クライアント・コンピュータ上にデータ・ファイルを表示するための方法を提供し、クライアント・コンピュータは可視領域を備え、データ・ファイルは構造ファイルおよび第1の複数のデータ要素を備え、第1の複数のデータ要素は第2の複数のデータ要素を備え、この方法は、第1のメッセージをサーバに送信するステップであって、メッセージは構造ファイルに関する要求を備え、構造ファイルは第1の複数のデータ要素のリストを備える、送信するステップと、構造ファイルをサーバから受信するステップと、構造ファイルの受信に応答して第2の複数のデータ要素を決定するステップであって、第2の複数のデータ要素は可視領域に関連付けられた、決定するステップと、第2のメッセージをサーバに送信するステップであって、第2のメッセージは第2の複数のデータ要素に関する要求を備える、送信するステップと、第2の複数のデータ要素を受信するステップと、第2の複数のデータ要素の受信に応答して、第2の複数のデータ要素を可視領域内に表示するステップと、を備える。
【0014】
好ましくは、本発明は、第2の複数のデータ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に第2の複数のデータ要素を格納するステップをさらに備える、方法を提供する。
【0015】
好ましくは、第2の複数のデータ要素は第3の複数のデータ要素を備え、本発明は、構造ファイルの受信に応答して、第3の複数のデータ要素を決定するために第1の複数のデータ要素のリストを評価するステップであって、第3の複数のデータ要素はクライアント・コンピュータ・ストア内に格納されない、評価するステップと、第3のメッセージをサーバに送信するステップであって、第3のメッセージは第3の複数のデータ要素に関する要求を備える、送信するステップと、第3の複数のデータ要素を受信するステップと、第3の複数のデータ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に第3の複数のデータ要素を格納するステップと、第3の複数のデータ要素の受信に応答して、第2の複数のデータ要素を可視領域内に表示するステップとを、さらに備える、方法を提供する。
【0016】
クライアント・コンピュータはプリフェッチ領域をさらに備え、本発明は、構造ファイルの受信に応答して、第4の複数のデータ要素を決定するために第1の複数のデータ要素のリストを評価するステップであって、第4の複数のデータ要素はプリフェッチ領域に関連付けられ、第4の複数のデータ要素はクライアント・コンピュータ・ストア内に格納されない、評価するステップと、第4のメッセージをサーバに送信するステップであって、第4のメッセージは第4の複数のデータ要素に関する要求を備える、送信するステップと、第4の複数のデータ要素を受信するステップと、第4の複数のデータ要素の受信に応答して、クライアント・コンピュータ・ストア内に第4の複数のデータ要素を格納するステップとを、さらに備える、方法を提供する。
【0017】
好ましくは、本発明は、クライアント・アプリケーションがウェブ・ブラウザである方法を提供する。
【0018】
別の方法として、本発明は、クライアント・アプリケーションが電子メール・クライアントである方法を提供する。
【0019】
第3の態様から見て、本発明は、当該製品がコンピュータ上で実行された場合に本発明を実施するためのソフトウェア・コード部分を備える、デジタル・コンピュータの内部メモリにロード可能なコンピュータ・プログラムを提供する。
【0020】
次に、本発明について、以下の図面に示されたような好ましい諸実施形態を参照しながら単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術に従った、本発明の好ましい実施形態が実装可能な、データ処理システムを示すブロック図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態に従った複数のフィールドを備える、例示的なウェブ・ページの構造を示す図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態に従った、例示的ウェブ・ブラウザ・ウィンドウを示す図である。
【
図4】
図2の例示的ウェブ・ページをさらに示す図である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態に従った、データ処理システムにおいてダウンロード可能なコンピュータ・データ要素を要求するために実行される典型的な動作方法の諸ステップを示す、例示的な高水準概略流れ図である。
【
図6】本発明が具体化可能な管理装置を示す、例示的ブロック図である。
【
図7】本発明の好ましい実施形態に従った、
図2の例示的ウェブ・ページをさらに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、コンピュータ・データ要素(たとえば、静止グラフィクス、ビデオ、あるいはテキスト)を必要な通りおよび必要な場合にサーバに要求する、装置、方法、およびコンピュータ・プログラムが提供される。たとえばウェブ・データ要素は、ウェブ・ブラウザがそのウェブ・データ要素を表示した場合に要求される。したがって、たとえばウェブ・ページの下部にあるデータ要素は、ユーザが下方へスクロールしてこれを見るまでは要求されないことになる。古いウェブサイトの場合、テキストはしばしばHTML内に含められるので、これはピクチャのみに限定される可能性がある。しかしながら、新しいサイトはこのモデルを離れており、現在最善の実践は、HTMLを使用してページの構造を定義した後、通常は非同期のJavaScriptおよびXML(AJAX)ウェブ開発技術を通じて要求されるテキストを、その構造に読み込むものである。
【0023】
たとえばウェブログ(ブログ)は、テキストおよびグラフィクスを含む多くのエントリを含むことができる。ページがロードされる場合、従来技術のウェブ・ブラウザはページの構造をロードした後、ページ上のあらゆるエントリに関するテキストをロードする。長いブログ・ページの場合、大量の情報となる可能性がある。ユーザがページ上部のエントリのみを読みたい場合、見もしない多くのエントリを含む、全ダウンロードに対して支払いを行わなければならないことになる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、ウェブ・ブラウザは第1にページの構造をロードし、獲得していない可視データ要素についての要求のみを送信する。したがって前述のブログ例では、初期にはブログの第1のエントリがページの唯一の可視部分であるため、ウェブ・ブラウザはこれに関するデータ要素のみを要求する。ユーザはページを離れる場合、使用した情報に対してのみ支払うことになる。
【0025】
図1は、従来技術に従った、本発明の好ましい実施形態が実装可能な、データ処理システム100を示すブロック図である。データ処理システム100の一例がインターネットである。クライアント・アプリケーション145は、ワークステーション120、携帯電話130、ならびにサーバ150および152を備えるデータ処理システム100上で、ユーザ136によって動作可能である。ワークステーション120、携帯電話130、およびサーバ150、152は、有線ネットワーク110または無線ネットワーク112を備えることが可能なネットワーク114を介して接続可能である。携帯電話130は、無線塔155または衛星160を介するネットワーク114を通じて、サーバ150、152に接続可能である。ワークステーション120および携帯電話130は、有線または無線であってよいピアツーピア(P2P)接続116を通じても接続可能である。
【0026】
クライアント・アプリケーション145は、サーバ150上で動作可能なサーバ・アプリケーション(図示せず)と通信する、ワークステーション120または携帯電話130上で動作可能である。ワークステーション120上のクライアント・アプリケーション145のみが図示されている。通常、ネーム・サーバ152もネットワーク114に接続可能である。ネーム・サーバ152は、URLをインターネット・プロトコル(IP)アドレスに変換する。クライアント・アプリケーション145の一例が、インターネットと対話するウェブ・ブラウザ145である。ユーザA136は、ワークステーション120または携帯電話125上で動作可能なクライアント・アプリケーション145と対話することによって、インターネットにアクセスする。
【0027】
クライアント・アプリケーション145の他の例が、サーバ150上で動作可能な電子メール・サーバ(図示せず)、および他のワークステーション120または携帯電話130上で動作可能な他の電子メール・クライアント145と通信する、ワークステーション120上で動作可能な電子メール・クライアント145である。電子メール・メッセージは、ますますHTMLコンテンツならびにプレーン・テキストなどのインターネット技術を備えるようになってきている。
【0028】
ユーザA136は、ワークステーション120または携帯電話130上で動作可能な電子メール・クライアント145と対話することによって、電子メール・システムにアクセスする。
【0029】
たとえば本発明の好ましい実施形態を示すために、クライアント・アプリケーション145は、インターネットからのウェブ・ページにアクセスしているウェブ・ブラウザ145として説明される。しかしながら本発明は、インターネット技術を備える電子メール・リソースへのアクセスを要求する、電子メール・クライアントにも適用可能である。通常、ユーザA136は、ワークステーション120または携帯電話130上で動作可能なウェブ・ブラウザ145のアドレス・フィールドに、ユニフォーム・リソース・ロケータ(URL)の形でウェブ・ページのアドレスを入力する。ウェブ・ページのコンテンツは、インターネットからウェブ・ブラウザ145に戻され、ワークステーション120または携帯電話130の画面上の使用可能な可視領域内に表示される。ウェブ・ブラウザ145は、ワークステーション120または携帯電話130の画面設定に応じて、ウェブ・ページのサブセットを表示する。
【0030】
図2は、本発明の好ましい実施形態に従った複数のフィールド205、210、215、220、222、225、230を備える、例示的なウェブ・ページ200の構造を示す。テキストおよびグラフィクスを備えるタイトル・イメージ・フィールド205が、ウェブ・ページ200の上部に示されている。メニュー・フィールド215は、テキストのメニュー情報、ならびに、ウェブ・ページ200内の他のフィールド220、222、225および他のウェブ・ページへの、ハイパー・リンクを備える。ナビゲーション・フィールド210は、ウェブ・ページ200内の他のフィールド220、222、225へのナビゲーション・タブを備える。テキスト・フィールド220および222は、ウェブ・ページ・テキストを備える。グラフィクス領域230は、グラフィクス・フィールド225を備える。
図2は、ワークステーション120上で表示された場合のウェブ・ページ200の可視領域を表す、第1の位置250も示す。
【0031】
図3は、本発明の好ましい実施形態に従った、例示的ウェブ・ブラウザ・ウィンドウ300を示す。ウェブ・ブラウザ・ウィンドウ300は、第1の位置250に関する、例示的ウェブ・ページ200の可視領域350を備える。ウェブ・ブラウザ・ウィンドウ300は、ユーザ136がURLをタイプ入力するアドレス・フィールド310も備える。一例としてURL「www.frxml.nt」が示されている。タイトル・イメージ・フィールド205、ナビゲーション・フィールド210、メニュー・フィールド215、および1つのテキスト・フィールド220の、可視部分305、310、315、320も示されている。通常、ウェブ・ページが可視でない領域を備える場合、縦のスライダ・バー330および横のスライダ・バー340がブラウザ・ウィンドウ300内に提供される。
【0032】
図4は、本発明の好ましい実施形態に従った、
図2の例示的ウェブ・ページ200をさらに示す。
図4は、ウェブ・ブラウザ画面300内で可視の2つのスライダのうちの少なくとも1つをユーザ136が移動した結果としての、第2の位置455も示す。
【0033】
図5は、
図2、3、および6と共に読むべきである、本発明の好ましい実施形態に従った、データ処理システム100においてダウンロード可能なコンピュータ・データ要素を要求するために実行される典型的な動作方法の諸ステップを示す、例示的な高水準概略流れ
図500である。
図6は、本発明が具体化可能な管理装置605を示す、例示的ブロック図である。
【0034】
一例としてこの方法を例示するために、第1の位置250に関する可視領域350を伴う
図2の構造について説明する。
【0035】
方法は、ユーザ136がウェブ・ブラウザ・ウィンドウ300のアドレス・フィールド310内にURLをタイプ入力して、URLをサブミットした場合、ステップ501で開始される。ステップ505で、送信コンポーネント610は、従来技術の場合と同様にウェブ・ページ200の構造に関する要求を送信する。送信コンポーネントはネーム・サーバ152と通信する。ネーム・サーバはURLをIPアドレスに変換する。送信コンポーネントは、ネーム・サーバ152によって指定されたIPアドレスでサーバ150と通信する。送信コンポーネントは、指定されたウェブ・ページ200の構造文書に関する要求メッセージをサーバ150に対して発行する。通常、要求メッセージはハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)でコンパイルし、GETメソッドを備える。ステップ510で受信コンポーネント620は、サーバ150から構造文書を受信する。通常、構造文書は、HTML、カスケーディング・スタイル・シート(CSS)、JavaScript、および複数のデータ要素へのポインタを備える。ステップ515で評価コンポーネント650は、構造文書からウェブ・ページ200の構造を評価する。例示のために、構造文書は
図2のように示すこともできる。さらに評価コンポーネント650は、ワークステーション120または携帯電話130の表示特徴に関して、およびユーザ136が必要とするウェブ・ブラウザ・ウィンドウ300の寸法に関して、ウェブ・ページ200のレイアウトを評価する。ウェブ・ページ200の構造およびレイアウトの評価から、評価コンポーネント650は、ウェブ・ページ250の各フィールド205、210、215、220、222、225においてどのデータ要素が可視であるかを決定する。評価コンポーネント650は、必要な位置250でどのフィールド205、210、215、220が可視であるか、およびフィールドのどの部分305、315、310、320が可視であるかも決定する。したがってこの例では、評価コンポーネント650は、第1の位置250にとってデータ要素205、210、215、および220が必要である旨を決定する。
【0036】
評価コンポーネント650はステップ520で、第1の位置250について決定されたデータ要素205、210、215、220が、ウェブ・ブラウザ145によって既に獲得されたかどうかも決定する。データ要素がすべて獲得されていない場合、ステップ525で送信コンポーネント610は、ステップ515で決定された獲得されていないデータ要素に関する要求を、サーバ150に送信する。好ましい実施形態では、たとえデータ要素全体が表示できない可能性があっても、データ要素全体が要求される。代替実施形態では、データ要素の可視部分のみが要求される。
【0037】
ステップ530で受信コンポーネント620は、要求されたデータ要素を受信する。格納コンポーネント660は、ウェブ・ブラウザ145がアクセス可能なストア内にデータ要素を格納する。ステップ515で評価コンポーネント650は、データ要素の受信に続き、構造文書によって記述されたサイズと比較した実際のデータ要素サイズにおける差異により、レイアウトを変更できるようにするために構造を再度評価する。
【0038】
可視領域350に関する獲得していないデータ要素がない場合、ステップ535で表示コンポーネント640は、第1の位置250の可視領域350をウェブ・ブラウザ・ウィンドウ300内に表示する。ステップ540でウェブ・ブラウザは、ユーザ136からの介入があるまで待機状態に入る。
【0039】
ステップ545で、ユーザ136がスクロール機構330、340を使用して、可視領域をウェブ・ページ200の第2の位置455に変更した場合、評価コンポーネント650はステップ515で、第2の位置455に関してウェブ・ページ200のレイアウトを再評価する。前述の方法は、獲得されていないすべてのデータ要素について反復される。この例では、タイトル・イメージ・フィールド205、ナビゲーション・フィールド210、メニュー・フィールド215、およびテキスト・フィールド220に関するデータ要素が、獲得および格納されている。したがって、ユーザ136が第2の位置455へとスクロールした場合、管理装置はテキスト・フィールド222に関するデータ要素のみを要求する。
【0040】
これに対して、ステップ545でユーザ136が可視領域350を変更せず、むしろそのウェブ・ページ200を終了した場合、方法はステップ599で終了する。ユーザ136がウェブ・ページ200の上部を読んだ後、終了した場合、ユーザ136はページからいかなる価値ある情報をも見逃すことなく、使用されたデータ要素についてのみ支払いが行われる。
【0041】
代替実施形態では、データ要素は一度に1つずつ要求、受信、および再評価される。送信コンポーネント610は、第1の位置250に関する可視領域460に関して、獲得されていないすべてのデータ要素に関する追加要求を送信する。ページのレイアウトは、あらゆる新しいデータ要素が受信された後に再評価される。
【0042】
図5は、論理流れ図として示される。したがって、示された順序およびラベル表示されたステップは、提示された方法の一実施形態を示すものである。例示された方法の1つまたは複数のステップあるいはその一部と、機能、論理、または効果において等価である他のステップおよび方法が考案可能である。加えて、使用されるフォーマットおよび記号は、方法の論理ステップを説明するために提供されるものであり、方法の範囲を限定するものとは考えられない。
【0043】
図7は、本発明の好ましい実施形態に従った、
図2の例示的ウェブ・ページ200をさらに示す。
図7は、
図2の第1の位置250と境界を接する、調節可能なプリフェッチ位置758も示す。
【0044】
代替実施形態では、調節可能なプリフェッチ領域は、ウェブ・ブラウザ・ウィンドウ300の可視領域350の周囲で動作可能である。示されたプリフェッチ位置758は、第1の位置250に関するプリフェッチ領域に関する。ステップ525で、第1の位置250に関する獲得されていないデータ要素に加えて、プリフェッチ領域に関する任意の獲得されていないデータ要素も要求される。説明される例では、管理装置は第1に、第1の位置250に関するデータ要素205、210、215、および220を獲得する。管理装置は第2に、プリフェッチ位置758に関する獲得されていないデータ要素を要求、受信、および格納する。この例では、第1の位置250またはプリフェッチ位置758の範囲内の他のデータ要素はすでに獲得されているため、獲得されていないデータ要素は、テキスト・フィールド222およびグラフィクス・フィールド728に関するデータ要素のみである。
【0045】
可視領域350またはプリフェッチ領域に関する獲得されていないデータ要素がそれ以上ない場合、表示コンポーネント640は、第1の位置250の可視領域350に関するデータ要素をウェブ・ブラウザ・ウィンドウ300内に表示する。
【0046】
代替実施形態では、クライアント・アプリケーション145は、他のデータ処理コンポーネントと対話する、ワークステーション120、130上で動作可能な電子メール・クライアント145を備える。他のデータ処理コンポーネントは電子メール・サーバ150とするか、または、P2P接続を介して接続可能な他のワークステーション120、130上で動作可能な他の電子メール・クライアント145とすることができる。
【0047】
当業者であれば、本発明の好ましい諸実施形態の方法のすべてまたは一部が、方法の諸ステップを実行するように配置構成された論理要素を備える1つの論理装置または複数の論理装置内で、好適および有用に具体化可能であること、ならびに、こうした論理要素がハードウェア・コンポーネント、ファームウェア・コンポーネント、またはそれらの組み合わせを備えることが可能であることが明らかとなろう。
【0048】
前述の方法および配置構成は、1つまたは複数のプロセッサ(図示せず)上で実行中のソフトウェア内で完全または部分的に好適に実行可能であること、ならびに、ソフトウェアは、磁気または光ディスクなどの任意の好適なデータ・キャリア(同じく図示せず)上に担持される、1つまたは複数のコンピュータ・プログラム要素の形で提供可能であることを理解されよう。
【0049】
誤解を避けるために、「備える」と言う用語は、説明および特許請求の範囲全体を通じて本明細書で使用される場合、「それのみからなる」という意味とは解釈されるものではない。