(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1光学サブシステムおよび前記第2光学サブシステムが主光軸と位置合わせされ、さらに前記光源が、該主光軸を中心としかつ該主光軸に垂直に位置合わせされた、フィラメントを含むことを特徴とする請求項1記載のイメージングシステム。
ミラーを備えた反射体をさらに含み、該ミラーが、前記光源からの光を該光源に戻すように前記第2光学サブシステムの方向に向けて反射するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のイメージングシステム。
前記ミラーが、誘電体、広帯域誘電体、および金、からなる群から選択された材料でコーティングされたものであることを特徴とする請求項4記載のイメージングシステム。
前記第2光学サブシステムが、前記イメージングシステムの外面に設けられかつ前記易焼結性粉末レイヤーの近傍に設置される、外側レンズをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のイメージングシステム。
前記空気が、前記ダブレットレンズによりさらに加熱されたものであり、そのため該空気は前記ダブレットレンズを冷却したものであることを特徴とする請求項13記載のイメージングシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
少なくとも上述したような理由で、光の透過を減少させるような材料を蓄積させることなく、かつ高価な冷却系や高価な光学素子を備えることなく、焼結に必要な高温環境の中で焼結用集束光を生成することが可能な、3Dプリンタシステム内で使用される光学イメージングアセンブリが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の中で説明されるイメージングアセンブリの1以上の実施形態は、焼結に適した光ビームを生成するように構成される。イメージングアセンブリは、ランプハウジングとランプとを含み、このランプは、フィラメントと、前記ランプハウジングにマウントされるランプベースとを備える。ランプは、少なくとも1つの例示的な実施形態において、ランプベースがランプフィラメントの横に位置する状態で配向される。他にも適切なランプはあるが、色温度3200Kのタングステンハロゲンランプが使用可能なランプとして機能する。ランプベースは、例えば黒色陽極酸化アルミニウムなどの高熱伝導性材料を含む、ヒートシンクと連結される。ランプベースは動作温度で維持される。ヒートシンクを強制空気流に曝すことによってこの動作温度を維持してもよい。ある例示的な実施形態において、この動作温度は350℃未満である。
【0009】
イメージングアセンブリは、反射体およびアパーチャをさらに含む。ランプに生成された光はアパーチャを通過する。反射体は、フィラメントからの光をフィラメントに向けて戻し、そして
対物面上へと反射する。反射体は、フィラメントの像を投影するミラーでもよい。イメージングアセンブリの1以上の実施形態において、ミラーは、金メッキされたものであり、あるいは誘電性の帯域通過または広帯域通過コーティングを含むものである。1以上の実施形態において、イメージングアセンブリが含むランプフィラメントの長手軸は、イメージングアセンブリの焦点面に平行である。アパーチャは、集束された前記光ビームを調節するための、機械的シャッター系を含んでもよい。例えば、少なくとも1つの光透過性アパーチャと、ランプから放出された前記光を遮る少なくとも1つの不透明部分とを備えたアパーチャディスクが、機械的シャッター系として機能し得る。少なくとも1つの光透過性アパーチャのサイズを変化させて、集束光ビームの直径を約0.010インチ(0.254mm)から0.120インチ(3.048mm)まで調節することができる。
【0010】
少なくとも1つの集光レンズが、フィラメントから放出された光をアパーチャに通すように構成される。この集光レンズは、ランプに隣接した集光レンズのガラス転移温度の約0.6倍を下回る温度で概して維持され、すなわちランプに隣接した集光レンズの機械的および光学的特性は保持される。この少なくとも1つの集光レンズは、ランプに隣接した集光レンズと第2集光レンズとを含む。少なくとも1つの集光レンズは、黒色陽極酸化アルミニウムなどの高熱伝導性材料内にマウントされる。
【0011】
夫々が3つの表面を備えているアクロマティックダブレットレンズの組が、3つの波長を含む範囲に亘って光を集束する。本開示において明記されるイメージングアセンブリの1以上の実施形態において、3つの波長のうち少なくとも1つは約750nmを超え、好適には600nmと1200nmの間の範囲内の近赤外波長である。3つの波長のうち少なくとも1つは、電磁スペクトルの近赤外領域内の波長を含んでもよい。アクロマティックダブレットレンズは、黒色陽極酸化アルミニウムなどの高熱伝導性材料内にマウントされる。アクロマティックダブレットレンズは、レンズを劣化させ得る温度サイクリングを最小限に抑えるため、アクロマティックダブレットレンズの接合部位の熱耐性に基づいたダブレットレンズの最大温度未満である、動作温度で維持される。例えば、一実施の形態において、イメージングアセンブリ内で利用可能な、ダブレットレンズの温度は約85℃である。
【0012】
集束光ビームは、イメージングアセンブリの外面に設置された外側レンズを通ってイメージングアセンブリから出て行く。外側レンズは定められた閾値温度以上で維持されるが、これは焼結材料が、またはガス放出された任意の材料成分が、レンズ上に凝結するのを抑制または防ぐためである。この定められた閾値温度は、3Dプリンタ内の易焼結性粉末レイヤー周りの周囲温度を超える温度である。既定の閾値温度は、易焼結性材料の溶融点に基づいたものでもよい。例示的な実施形態において、焼結材料はナイロン12であり、かつ既定の閾値温度は約140℃である。焼結動作を開始する前に、外側レンズを定められた閾値温度まで加熱してもよく、このとき焼結動作前のランプからの集束光に外側レンズを曝すことによって加熱してもよい。
【0013】
本開示で説明するイメージングアセンブリの1以上の実施形態は、第1光学サブシステムと第2光学サブシステムとを含む。第1光学サブシステムは、第1
対物面内にランプフィラメントを含む。反射体はフィラメントの像を
対物面へと戻して像を作る。1以上の実施形態において、反射体は金メッキミラーまたは広帯域誘電体ミラーである。光はランプフィラメントを通って伝播し続け、さらにこの光が第1光学サブシステムの第1像面で収束するよう、少なくとも1つの集光レンズで集束される。少なくとも1つの集光レンズで集束された光は、アパーチャを通過して第2光学サブシステムに入る。第2光学サブシステムを通過する光を最大にするため、第2光学サブシステムの入射瞳と第1像面とを位置合わせしてもよい。
【0014】
第2光学サブシステムの
対物面は、第1光学サブシステムのアパーチャである。第2光学サブシステムにおいて、光はアクロマティックダブレットレンズの組によって色収差を補正されて集束される。光は外側レンズを通過し、第2光学サブシステムの第2像面で収束する。易焼結性粉末レイヤーは、第2像面と位置合わせされるか、あるいは第2像面から少し離して位置付けられる。
【0015】
イメージングアセンブリの1以上の実施形態は、ランプと少なくとも1つの集光レンズとに関連するソース区域、アクロマティックダブレットレンズの組に関連するダブレット区域、ソース区域とダブレット区域との間に設置された熱バリア、外側レンズに関連する外側区域、および低熱伝導性材料から作製された外側マウントを利用する。強制空気流416は、ダブレット区域、熱バリア、および/またはソース区域を通って導かれ、このとき強制空気流416は、イメージングアセンブリの少なくとも1つの構成要素を冷却するように導かれる。随意的には強制空気流416は、外側区域を加熱するために、ソース区域を通過した後に外側区域へと導かれる。強制空気流416はファンで生成してもよい。イメージングアセンブリは、強制空気流416が伝播する際にその中を通るような、少なくとも1つのチャネルを含んでもよい。
【0016】
イメージングアセンブリは、ランプと少なくとも1つの集光レンズとを含むソース区域、アクロマティックダブレットレンズの組を含むダブレット区域、ソース区域とダブレット区域との間に設置された熱バリア、および外側レンズと低熱伝導性材料から作製された外側マウントとを備えている外側区域を含んでもよい。強制空気流は、イメージングアセンブリの少なくとも1つの要素の温度を維持するために、ダブレット区域、ソース区域、および外側区域のうち少なくとも1つへと導かれる。熱バリアはアパーチャを含み、このとき少なくとも1つの集光レンズは、ランプから生成された光を集束してアパーチャに通すように構成される。光の集束ビームは外側レンズを通ってイメージングアセンブリから出て行く。
【0017】
本書において説明するシステムおよび方法の、上述および他の態様、特徴、および利点については、以下の図面とともに提供される、以下のその具体的な説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、イメージングアセンブリについて説明する。以下の例示的な説明の中では、本発明の実施形態をより完全に理解できるよう、多くの具体的詳細を明記する。しかしながら通常の当業者には、本開示に亘って説明するシステムおよび方法は、本書に記述された具体的詳細の全態様を組み込まなくとも実施し得ることは明らかであろう。他には、通常の当業者が周知のまたは容易に確認し得る特定の特徴、量、または寸法は、新規の部分の論点を不明瞭にしないよう、詳細には説明しなかった。本書には本発明の1以上の態様を実施するために使用されるシステムおよび方法の例を明記するが、請求項および任意のその同等物の全範囲が、本発明を画成するものであることを読者は留意されたい。
【0020】
図1は、イメージングアセンブリ300の1以上の実施形態の上面図を示したものである。
図3は、
図1の直線A−Aから得た、イメージングアセンブリ300の断面図を示したものである。イメージングアセンブリ300は、ターゲットの焼結媒体に焦点を合わせた光ビームを送出する。イメージングアセンブリは、焼結媒体がイメージングアセンブリ300のガラス面と接触することにより生じる可能性のある問題を回避するため、ターゲットから十分離して位置付けられる。本書において説明する一実施例において、イメージングアセンブリはターゲットの焼結媒体から約0.18インチ(約4.572mm)離して位置付けられる。
【0021】
イメージングアセンブリ300はランプハウジング350を含み、ランプハウジング350内にランプ304が設置される。ランプ304は、典型的にはタングステンハロゲンランプである。タングステンハロゲンランプは広帯域熱源を提供するため、特定波長の光を特に吸収するよう調整されていない、安価な印刷媒体の使用が可能である。ハロゲンランプはマサチューセッツ州ダンバースのSylvania社から入手可能であるが、タングステン電球およびアーク灯を含む、任意の多くの他の熱源を使用することができる。一例では、色温度3200KのEML‐24V185Wのタングステンハロゲンランプが使用される。
【0022】
ランプ304は、ランプベース308およびランプフィラメント306を含む。ランプ304は、典型的にはランプベース308がランプフィラメント306の横に位置するように配向され、こうしてランプベース308の加熱は自由対流熱伝達により低減される。信頼性試験により、3Dプリンタのような加熱環境では、タングステンハロゲンランプなどのランプ304は損傷される可能性があることが示されている。特に、ランプの「締め付ける」部分および隣接するセラミック製ベースは、適用仕様書に明記されている動作限界を超える温度に達する。イメージングアセンブリ300の実施形態で使用するタングステンハロゲンランプはANSI指定のEMLであり、そのランプベースは350℃を超え得ない。
【0023】
ランプベース308はランプ用ヒートシンク310に連結され、このランプ用ヒートシンク310が、ランプベース308からの対流熱伝達用の経路を提供する。ランプ用ヒートシンク310は、熱消散用のヒートシンク塊として使用するのに適した、アルミニウム、銅、合金、または任意の他の材料から作製された、大型のヒートシンク塊を含んでもよい。イメージングアセンブリ300の実施形態において、ランプ用ヒートシンク310は、ランプ用ヒートシンク310の露出表面積を増加させるようなアレイ状の、筋(rows)、孔、突起、または他の構造を含み、こうして熱消散速度を増加させる。イメージングアセンブリ300の実施形態において、ランプ用ヒートシンク310は、イメージングアセンブリ300の構造要素としても機能する。例えば、ランプ用ヒートシンク310は、ランプハウジング350に組み入れられる一連の特徴を有するものでもよい。さらに、ランプ用ヒートシンク310の少なくとも一部へと、あるいはその少なくとも一部の中を通して、強制空気を導き、熱消散速度をさらに増加させてもよい。
【0024】
ランプハウジング350は、黒色陽極酸化アルミニウムなどの、高熱伝導性材料から典型的には作製され、関係のない光をイメージングアセンブリ300外部の熱として分散させて、イメージングアセンブリ300内の温度を許容レベルで維持する。ランプハウジング350は、ランプハウジング350の露出表面積を増加させるようなアレイ状の、筋、孔、突起、または他の構造を含んでもよく、こうして熱消散速度を増加させてもよい。さらに、ランプハウジング350の少なくとも一部へと、あるいはその少なくとも一部の中を通して、強制空気を導き、熱消散速度をさらに増加させてもよい。
【0025】
ランプハウジング350は反射体302を含み、この反射体302はランプ304で生成された光を反射する。反射体302は凸反射面を備え、この面が、ミラー、金属、ホイル、反射塗料、または任意の他の反射材料などの、反射材料で作製または被覆されている。例えば、反射体302は、金コーティングまたは広帯域誘電体コーティングを含んでもよい。反射体302は、ランプハウジング350の表面と一体化したものでもよい。反射体302およびランプ304の位置決めは、イメージングアセンブリ300で生成される集束光ビームのエネルギーを最大にするようにしたものが最適である。反射体302は、ランプフィラメント306を概して中心とした曲率を有する。反射体302は、有効フィルファクタを増加させ出力伝送を追加するために、ランプフィラメント306の像を戻し、それ自体を通過させて像を作るよう構成される。一実施の形態において、ランプフィラメント306は約50%の空き空間を含み、反射体302はこの空間を通して光を反射する。
【0026】
イメージングアセンブリ300は、少なくとも1つの集光レンズをさらに利用する。
図3に示したイメージングアセンブリ300の実施形態には、ランプに隣接した集光レンズ314と集光レンズ316とが含まれている。集光レンズ314、316は、ランプ304により生成された光を集束させてアパーチャ318に通過させる。信頼性試験により、ランプに隣接した集光レンズ314、316が安定した低温で維持されない場合には、熱衝撃により集光レンズ314、316に亀裂が生じ得ることが分かっている。高温に耐え得る集光レンズ314、316を選択してもよい。一実施の形態では、集光レンズ314はガラスS−LAH64で作製され、また集光レンズ316はガラスN−BK7で作製される。少なくとも1つの集光レンズを反射防止コーティングで被覆してもよく、反射防止コーティングとしては、例えば、有効範囲650〜1050nmのThor Labs製「B」広帯域反射防止などが挙げられる。
【0027】
集光レンズ314、316は、集光レンズ用ヒートシンク354などのヒートシンク塊にマウントされる。集光レンズ用ヒートシンク354は、熱消散用のヒートシンク塊として使用するのに適した、アルミニウム、銅、合金、または任意の他の材料から作製された、大型のヒートシンク塊を含んでもよい。集光レンズ用ヒートシンク354は、集光レンズ用ヒートシンク354の露出表面積を増加させるようなアレイ状の、筋、孔、突起、または他の構造を含み、こうして熱消散速度を増加させる。さらに、集光レンズ用ヒートシンク354の少なくとも一部へと、あるいはその少なくとも一部の中を通して、強制空気を導き、熱消散速度をさらに増加させてもよい。
【0028】
集光レンズ314、316は、ランプ304により生成された光を集束させてアパーチャ318に通過させる。アパーチャ318は、フィラメント306がアパーチャ318の略全体を横切って広がるように設置される。1以上の実施形態において、アパーチャ318は、イメージングアセンブリ300が生成する集束光ビームのサイズを調節するよう変更可能なものであり、これにより、ビームサイズを変えることで描画の速さや解像度を変化させ得る、低コストの方法が実現される。イメージングアセンブリ300の実施形態は、アパーチャ318を閉鎖することによって集束光ビームを効果的に遮断する、シャッター装置を含む。
【0029】
イメージングアセンブリ300に含まれるアパーチャディスク320は、アパーチャを機械的に変化させる手段と機械的シャッター系とを提供する。アパーチャディスク320は、ビームのサイズおよび形状を変更するための異なるサイズの複数のアパーチャと、ビームを遮る複数の不透明部分とを有している。ステッピングモータなどのモータがアパーチャディスク320を駆動することによって、アパーチャ開口部または不透明部分のいずれかをランプ304からの光の光路内に位置させ得るようにしてもよい。アパーチャ開口部が選択されると、光は残りのレンズを通過し、集束スポットがイメージングアセンブリ外部の易焼結性粉末レイヤー上に生成される。不透明部分が選択されると、光は焼結装置から出ることができず、代わりに焼結装置300の蓄熱容量に吸収される。
図3に示したアパーチャシステムはアパーチャ318およびアパーチャディスク320を含んでいるが、焼結に適した速さで操作可能な、アパーチャとシャッター装置とを備えている任意のシステムを、イメージングアセンブリ300とともに使用してもよい。
【0030】
イメージングアセンブリ300のいくつかの実施形態においては、アパーチャディスク320が「シャッタリング」と呼ばれる工程の中で開口状態(光がアパーチャを通って透過する状態)と閉鎖状態(光がアパーチャディスクの不透明部分で遮られる状態)とを迅速に入れ替えることができるように、モータは構成される。このシャッタリングのやり方は、3Dプリントの多くの手法において有用である。費用効率の高い機械的シャッタリングの実施は、タングステンハロゲンランプのような光源を使用している低コストの結像器において望ましく、というのもこのような光源は、機械的シャッターなしでシャッタリングを実行し得るほどに素早くオンとオフとを切り替えることができないためである。
図3に示した実施形態ではアパーチャディスクについて説明しているが、実質的に同じ役割を果たす他の機械的シャッター系を使用し得ることは通常の当業者には明らかであろう。
【0031】
1以上の実施形態において、アパーチャ318の範囲は、範囲全体が焼結のために十分な出力を送出し得るように与えられる。変化するアパーチャ318を用いてスポットサイズを変えることで、描画の速さと解像度とを変化させる特有の低コストの方法を実現すると同時に、イメージングアセンブリ300のサイズとコストを最小限に抑える。小さいアパーチャや大きいアパーチャを選択することによって、イメージングアセンブリ300により生成される集束スポットサイズを約0.010インチ(0.254mm)から0.120インチ(3.048mm)まで調節することができる。典型的には円形のアパーチャを使用して円形の集束スポットが生成されるが、さらなる形状のアパーチャ開口部を使用して、特別な用途のために集束スポットの形状を変更してもよい。アパーチャディスク320は、ランプ304からの光をさらに集中させてより小さいスポットを生成する、例えばウィンストン・コーン(Winston cone)のような、回転放物面または複合回転放物面を備えたアパーチャ開口部を含んでもよい。
【0032】
アパーチャディスク320の一実施の形態が
図10に詳細に示されている。アパーチャディスク320は少なくとも1つの光透過性アパーチャ1001〜1003を含む。光透過性アパーチャ1001〜1003は、透明ガラスまたはプラスチックのような光透過性の任意の材料を含んでもよい。光透過性アパーチャ1001〜1003は、アパーチャディスク320を含む材料において、間隙または孔をさらに備えているものでもよい。光透過性アパーチャ1001〜1003は、焼結面上に生成される像の形に影響を与えるように形作られたものでもよい。例えば、光透過性アパーチャ1001〜1003を、円形、正方形、または任意の他の形状としてもよい。円形のアパーチャが選択されると、イメージングアセンブリ300は焼結面上に放射対称の像を生成する。正方形のアパーチャが選択されると、イメージングアセンブリ300は焼結面上に像を生成するが、この像を焼結面に亘って一定の速度で移動させると、焼結経路内の焼結粉末は、焼結経路内の各点での露出時間が一様になるためより均等に曝されることになる。様々なサイズの光透過性アパーチャ1001〜1003により、焼結面上に生成される像サイズを含め、イメージングアセンブリ300により生成される光ビームの特性を変化させる手段が提供される。
【0033】
アパーチャディスク320は、単一スリットアパーチャ1011〜1013をさらに含んでもよい。単一スリットアパーチャ1011〜1013は、夫々アパーチャディスク320の中心に対する向きが異なり、夫々が焼結面上に異なる角度のスリット像を生成する。単一スリットアパーチャ1011〜1013は、イメージングアセンブリ300により生成される光ビームの特性を変化させるさらなる手段を提供するものである。単一スリットアパーチャ1011〜1013は、実質的に真っ直ぐな方向に延在している、パネル、棒状部材、または任意の他の薄い構造体など、薄い形のものを焼結する際に速度を高速化させるのに有用であろう。単一スリットアパーチャ1011〜1013は、真っ直ぐなものでもよいし曲線的なものでもよい。例えば、イメージングアセンブリ300を使用して、ブレークアウェイ材料を形成することもできる。3D物体のレイヤー・バイ・レイヤープリントにおいては、上方にレイヤーを追加するときの下方の層のサポートとしてブレークアウェイ材料が有用である。このブレークアウェイ材料は、プリント後、完成した3D物体から容易に取り除かれる。3Dプリント中にサポートとして使用されるブレークアウェイ材料は、一連の平行薄型パネル、メッシュ構造体、または任意の他の部分的に充填されたパターンを含むものでもよい。アパーチャディスク320は、複数スリットアパーチャ1021をさらに含んでもよい。複数スリットアパーチャ1021は、実質的に真っ直ぐな方向に延在している、複数の平行な、パネル、棒状部材、または任意の他の薄い構造体など、複数の平行な薄い形のものを焼結する際に速度を高速化させるのに有用であろう。例えば、イメージングアセンブリ300を使用して、ブレークアウェイ材料を形成することもできる。複数スリットアパーチャ1021の個々の形体は、真っ直ぐなものでもよいし曲線的なものでもよい。
【0034】
イメージングアセンブリ300が使用するアパーチャを変更するために、モータを使用してアパーチャディスク320を回転させてもよい。アパーチャディスク320は不透明部分1031〜1037をさらに含む。不透明部分1031〜1037は、アパーチャディスク320上に設けられた光透過性アパーチャ間に延在している。アパーチャディスク320を回転させ、ランプ304により生成された光を不透明部分1031〜1037の1つで遮って光がアパーチャディスク320を通過しないようにすることで、シャッタリングを実行することができる。1以上の実施の形態において、アパーチャディスク320は不透明材料から成る。あるいは、アパーチャディスク320を膜、塗料、粉末、釉薬、または他の面で被覆することにより、少なくとも1つの不透明部分1031〜1037は提供される。
【0035】
ランプ304からの光がアパーチャ318を通過すると、光はアクロマティックダブレットレンズ324〜326でさらに集束される。アクロマティックダブレットレンズ324〜326は、複数の光波長を効果的に集束させる。アクロマティックダブレットレンズの夫々は3つの独立した表面を有し、これらはレンズの構造に基づいて3つの設計波長の光を集束するよう最適化されている。2つのアクロマティックダブレットレンズ324〜326を使用すると、3つの設計波長を含む範囲に亘って光を効果的に集束させる。アクロマティックダブレットレンズ324〜326は、少なくとも約750nmと画成される、可視光スペクトルの近傍あるいはこれよりも大きい、少なくとも1つの波長を含む光を集束するように構成してもよい。この少なくとも1つの波長は、電磁波スペクトルの近赤外領域内で選択してもよい。1つの例示的な現行の実施形態において、選択されたアクロマティックダブレットレンズは、約706.5nm、855nm、および1015nmの光を集束する。この広帯域性能が、タングステンハロゲンランプなどの広帯域光源を使用している低コストの結像器に適している。アクロマティックダブレットレンズ324〜326はレンズコーティングを含んでいてもよい。レンズコーティングの厚さおよび組成は、イメージングアセンブリ300の性能を光源に基づいて最適化するように選択してもよい。
【0036】
アクロマティックダブレットレンズ324〜326の夫々は、2つの異なる材料を含み、この2つの異なる材料を接合してダブレットレンズが形成される。この2つの異なる材料を、接着剤で接合してもよい。高温と急速な温度変化とによって、アクロマティックダブレットレンズ324〜326の接合部位328〜330には応力が加えられる。例えば、接合部位328〜330の接着剤は溶解し得、あるいは温度サイクリングの分解効果によってその光学的特性は変化し得る。一実施例において、アクロマティックダブレットレンズ324〜326の熱耐性は85℃である。例えば、他の適切な代替品も利用可能であるが、イメージングアセンブリ300が使用するアクロマティックダブレットレンズを、ガラスSFL6およびBAFN10から製造された、Thor Labs製「B」広帯域反射防止コーティングを有する、Thor Labsから入手可能なものとしてもよい。
【0037】
アクロマティックダブレットレンズ324〜326は、典型的には、ダブレット用ヒートシンク360などのヒートシンク塊にマウントされる。ダブレット用ヒートシンク360は、熱消散用のヒートシンク塊として使用するのに適した、アルミニウム、銅、合金、または任意の他の材料から作製された、大型のヒートシンク塊を含んでもよい。イメージングアセンブリ300の実施形態において、ダブレット用ヒートシンク360は、ダブレット用ヒートシンク360の露出表面積を増加させるようなアレイ状の、筋、孔、突起、または他の構造を含み、こうして熱消散速度を増加させる。さらに、ダブレット用ヒートシンク360の少なくとも一部へと、あるいはその少なくとも一部の中を通して、強制空気を導き、熱消散速度をさらに増加させてもよい。ダブレット用ヒートシンク360は、イメージングアセンブリ300の外側の構造上の構成要素と継ぎ目なく一体化されたものでもよい。イメージングアセンブリ300の実施形態において、ダブレット用ヒートシンク360はイメージングアセンブリ300の構造要素として機能する。
【0038】
イメージングアセンブリ300は外側レンズ332をさらに含む。集束光ビームは、外側レンズ332を通ってイメージングアセンブリ300から出て行く。信頼性試験により、最外部のガラス面の温度が下がり過ぎた場合には、焼結工程中に材料が最外部のガラス面上に凝結することが分かっている。凝結によって最外部のガラス面が曇ると、イメージングが信頼できないものとなり、また出力伝送が不十分になる。
【0039】
イメージングアセンブリ300は、下部レンズに確実に凝結物を集めないよう、外側レンズ332の温度を既定の閾値温度以上で維持するように構成され、すなわち「自己洗浄」を実行させる。イメージングアセンブリ300の1以上の実施形態において、この既定の閾値温度は、3Dプリンタ内の易焼結性粉末レイヤー周りの周囲温度を超える温度である。既定の閾値温度を、大気圧での易焼結性物質の露点温度に基づいたものとしてもよい。易焼結性ナイロン粉末に対する既定の閾値温度は、一般に約140℃である。既定の閾値温度は、イメージングアセンブリ300とともに使用し得る3Dプリンタの動作中などに、手動で調節してもよいし、あるいはマイクロプロセッサを用いて自動で調節してもよい。
【0040】
1以上の実施形態では、焼結工程を開始する前に、ランプ304が生成した光のバルク吸収により外側レンズ332を加熱して、外側レンズ332の温度を上昇させる。1以上の実施形態において、アパーチャディスク320は最大の光の透過を可能にするアパーチャを含み、そして外側レンズ332の温度を閾値温度を超えるまで上昇させるために、焼結前の短時間このアパーチャが選択される。その後外側レンズ332は、焼結工程の間、閾値温度を超えた温度に加熱されたままとなる。外側レンズ332は、極低熱伝導性の材料から作製された外側マウント362の内部にマウントされる。外側マウント362は、ポリエーテルイミド熱可塑性樹脂から作製される。そのため、外側レンズの表面が閾値を超えたまま維持されて凝結は回避され、適切な動作のために外側レンズ332を定期的に清掃する必要性が減少または排除される。
【0041】
表1は、例示的な実施形態における、イメージングアセンブリ300の要素の位置を示した一覧である。寸法は、基準点であるアパーチャからの距離をインチ(ミリ)で示したものである。寸法は、各構成要素がイメージングアセンブリ300の光軸と交差する位置を参照する。
【表1】
【0042】
イメージングアセンブリ300は、
図8A〜8Bに示すような2つの光学系を含む。
図8Aは、イメージングアセンブリ300の第1光学サブシステム800の実施形態を示したものである。ランプフィラメント306は第1光学サブシステム800の
対物面内にある。
対物面805内の第1物体点804で光線850、852が生成される。光線850、852は、第1光学サブシステム800を通過し得る光の円錐光路を表し、ここでの光は第1物体点804で第1像面806から離れる方向に生成されたものである。
【0043】
光線850、852は反射体302に反射されて戻り、第1光学サブシステム800の
対物面を通過する。フィラメント306を通過した後、光線850、852は集光レンズ314、316を通って伝播する。集光レンズ314、316は、光線850、852が第1像点808で収束するように、これらの光線を集束させる。光線850、852はアパーチャ805を通過して伝播し続ける。アパーチャ805は、第1像面806上で集束される光線の円錐角を決定する。アパーチャ805は、イメージングアセンブリ300のアパーチャ318でもよいし、あるいは随意的には、アパーチャディスク320上に設けられたアパーチャでもよい。
【0044】
図8Bは、イメージングアセンブリ300の第2光学サブシステム810の実施形態を示したものである。アパーチャ805は、第2光学サブシステム810の
対物面として機能する。光線860、862は、第1光学サブシステム800の第1像面806からの、第2物体点812を通過した光の光線を示したものである。光線860、862は、第2光学サブシステム810を通過し得る光の円錐光路を表し、ここでの光は第2物体点812を通過したものである。
【0045】
光線860、862は、第2光学サブシステム810の入射瞳807を通って第2光学サブシステム810に入る。入射瞳807と第1像面806は位置合わせされ、第2光学サブシステム810を通過する光を最大にする。第1光学サブシステム800は、ランプフィラメント像を入射瞳807上に集束させることで、第2光学サブシステム810内に入る光を最大にするように設計される。これにより、この系を通る光の伝達が最大となり、かつランプフィラメントの像が焼結粉末上で作られないことが確実になる。光線860、862はアクロマティックダブレットレンズ324、326および外側レンズ332を通って伝播し続け、これらのレンズによって光線860、862は色収差が補正されて集束される。光線860、862は、第2像面818内の第2像点816で収束する。第2像面818は、1層の易焼結性粉末を含む粉末面814と一致あるいは近接している。図では第2像面818が粉末面814の中心に位置合わせされているように示されているが、本発明の精神から逸脱することなく、効果的に焼結を行うために第2像面818を粉末面814に適度に近接した任意の距離に位置付け得ることは、通常の当業者には明らかであろう。
【0046】
第1光学サブシステム800および第2光学サブシステム810は、第2像面818上にランプフィラメント306の共役像が形成されることのないように構成される。さらに、イメージングアセンブリ300の光学系800および810によれば、第2像面818の中心部分の収束および焦点が最適化される。
【0047】
当業者には明らかであろうが、アパーチャ面上の点からの光の広がりは、粉末焼結像面上で集束されるとき、点広がり関数によって特徴付けることができる。点広がり関数の分散は、ビームの中心から外側へ放射状に変化し得る。1以上の実施形態において、イメージングアセンブリは、半径r
1>0での点広がり関数の分散を最小にするよう随意的に構成される。最も小さいアパーチャの半径を約r
1に設定すると、この最小のアパーチャを使用して生成された焼結レイヤー上の焼結像において、焼結粉末と未焼結粉末との間のエッジが鋭くなり、これにより、微細部を有する焼結像の生成に関して結像器の能力が向上する。説明したようにイメージングアセンブリを最適化すると、粉末上に投影されるアパーチャのエッジが鋭利となりかつアパーチャサイズが小さいことにより、この最小のアパーチャは、細かい解像度の焼結やエッジ加工に、あるいは精密さまたは鋭利さが望ましい任意の時に、適したものとなる。半径がr
1よりも大きいアパーチャでは、r
1よりも大きい半径を有する像の部分に対し、像のボケが増加する。より大きいサイズのアパーチャは、ぼんやりとしたオーバーラップ(soft overlap)を必要とする加工や、少なくともこのぼんやりとしたオーバーラップ特性による一括充填が必要な作業、そして大きなアパーチャサイズによる焼結速さの高速化を必要とする作業に適している。
【0048】
図9Aは、第2光学サブシステムの
対物面900を平面図で示したものである。中心点902は、
対物面900に垂直なイメージングアセンブリの光軸に合致する。第1周囲点904は、
対物面900内の、中心点902から距離r
1離れた位置にある。第2周囲点906は、
対物面900内の、中心点902から距離r
2離れた位置にある。第3周囲点908は、
対物面900内の、中心点902から距離r
3離れた位置にある。
図9B〜9Eは、r
1での点広がり関数の分散を最小にするよう構成されたイメージングアセンブリにおいて、
対物面900に入射したイメージングアセンブリからの光の、夫々、点902、904、906、および908における点広がり関数を示したグラフである。点904、906、および908の点広がり関数は、夫々、r
A、r
B、およびr
Cを中心としている。各点広がり関数のグラフは、像面の点での光の空間分布、あるいはより一般的には半径を示す。点広がり関数の分散は、
対物面900内の、中心点902から距離r
1離れた位置の点において最小化される。
図9D〜Eに示すように、分散は、
対物面900内の、r
1より大きいまたはr
1より小さい半径距離にある点では増加する。1以上の実施形態において、第1周囲点904は、最小アパーチャによって生成される半径r
1の光点の周辺エッジに合致する。半径が最も小さいアパーチャが選択されると、粉末の焼結に使用される光点の半径は約r
1となり、そして粉末上に投影される光点は半径r
1の位置で、最小の点広がり関数とそれによる最も鋭利なエッジとを有し、このため結像器の、粉末を微細に焼結する能力が向上する。アパーチャの半径がr
1を超えて増加すると、エッジでの像のボケが増加する。分散の最小化について円形のアパーチャを参照して説明したが、サイズの異なる他のアパーチャ形状にも同じ効果が適用されることは当業者には明らかであろう。
【0049】
イメージングアセンブリ300内の光学部品の最適動作のために望ましい温度範囲を維持するため、強制空気流をイメージングアセンブリ300に導いて通過させる。強制空気流は、例えばファンや加圧空気を用いるなど、費用効率の高いやり方で生成することができる。
図4は、材料の選択と強制空気冷却とにより達成され得る、イメージングアセンブリ300内の温度区分を示したものである。イメージングアセンブリ300は、強制空気流を生成するためのファン410を含む。強制空気流は、空気導管としての機能を果たす少なくとも1つのチャネル358を介して、イメージングアセンブリ300を通って伝播し得る。
【0050】
ダブレット区域406には、アクロマティックダブレットレンズ324〜326が含まれる。ダブレット区域406は一般に、アクロマティックダブレットレンズ324〜326の最適動作のための最大動作温度未満で維持される。例示的な現行のイメージングアセンブリの実施形態において、ダブレット区域406の最大動作温度は約85℃である。ファン410は、熱を除去してダブレットの温度を85℃以下に調整するために、ダブレット用ヒートシンク360の表面またはチャネル358を通過する、空気流を生成する。1つの動作可能な実施形態において、ダブレット用ヒートシンク360は、伝導率180W/mKおよびおおよその放射率0.82の、黒色陽極酸化アルミニウムから作製される。
【0051】
ソース区域402とダブレット区域406の間には熱バリア404が設置される。1以上の実施形態において、熱バリア404は、アパーチャディスク320などの機械的シャッター機構を収容する。1以上の実施形態において、熱バリア404は、伝導率0.22W/mKのUltem1000ポリエーテルイミドなどの、低熱伝導性材料から作製された断熱構造を含む。強制空気は、集光レンズ316と熱バリア404との間のアパーチャ318近傍空間を含む、熱バリア404内のチャネルを通って、ダブレット区域406からソース区域402へと通過し得る。それ以外では、強制空気がイメージングアセンブリ300から外に漏れないよう熱バリア404はシールされる。
【0052】
ソース区域402には、ランプ304および集光レンズ314、316が含まれる。強制空気をソース区域314、316に通過させることで、ランプベースの温度は最大動作温度未満で維持される。例示的な現行のイメージングアセンブリの実施形態において、ソース区域402の最大動作温度は350℃である。ランプガラス部414の温度は、一般に、最小動作温度の250℃を超えた温度で維持される。イメージングアセンブリ300の1つの動作可能な実施形態において、ランプに隣接する集光レンズ314はS−LAH64レンズであり、また集光レンズ316はN−BK7レンズである。最大動作温度=0.6×ガラス転移温度(Tg)の計算に基づき、ランプに隣接する集光レンズ314の温度は最大動作温度である410℃未満で維持され、また集光レンズ316の温度は最大動作温度である360℃未満で典型的には維持される。1つの動作可能な実施形態において、ランプハウジング350は、伝導率180W/mKおよびおおよその放射率0.82の、黒色陽極酸化アルミニウムから作製される。1以上の実施形態において、強制空気は、イメージングアセンブリ300から出る際、ランプベース308およびランプ用ヒートシンク310の表面上に導かれる。イメージングアセンブリ300から出る強制空気を、そのシステムの別の構成要素のための熱源として使用してもよい。典型的には、ソース区域402内の全ての機械的部品は、その蓄熱容量が、動作中にソース区域の光学素子全てをその許容温度範囲内で維持させることができるほど十分に大きいものとなるよう、黒色陽極酸化アルミニウムのような高熱伝導性材料から作製される。
【0053】
外側区域408には、外側レンズ332および外側マウント362が含まれる。外側レンズ332は最初に、ランプ304に生成された透過光の内部および表面吸収により加熱される。外側マウントは、伝導率0.22W/mKのUltem1000ポリエーテルイミドなどの低熱伝導性材料から作製される。典型的には、外側レンズ332は140〜200℃の動作温度範囲で維持される。1以上の実施形態において、外側区域408は、ランプ304に生成された透過光の表面吸収に替えて、あるいはこれに追加して、任意の他の加熱方法で随意的に加熱される。1以上の実施形態において、ソース区域402の要素を冷却するために使用された強制空気を、ソース区域402を通過した後に、外側区域408の要素へと導いてもよい。
【0054】
図4に示した実施形態では、ランプ304に生成された熱を利用し、かつイメージングアセンブリ300内に強制空気を導くことにより、ダブレット区域406、ソース区域402、および外側区域408は適切な温度で維持される。イメージングアセンブリ300内部の温度は受動的に管理される。しかしながら、通常の当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、追加の加熱または冷却系を採用して、イメージングアセンブリ300の光学的および電気的要素を、ダブレット区域406、ソース区域402、および外側区域408内において的確な動作温度で維持し得ることは明らかであろう。典型的には、このシステムは、高額な温度制御装置や高温の光学部品を必要とすることなく高信頼性が得られるように構成される。
【0055】
図2および5に示したのは、イメージングアセンブリ300とともに使用される例示的な3Dプリンタ200である。3Dプリンタ200は、ドラムアセンブリ202、イメージングアセンブリ300、プラットフォームアセンブリ、およびマイクロプロセッサ250を含む。3Dプリンタ200は、易焼結性粉末塗布器210、易焼結性粉末貯蔵器212、物体加熱要素208、および、次の焼結像に備えてローラおよびワーク面を清掃する手段をさらに含む。ドラムアセンブリ202はドラムフレーム218と処理ドラム510とを含み、この処理ドラム510は、1以上の減速ギア222を介してドラムに動作的に連結された、典型的にはステッピングモータ220である第1アクチュエータに応答して回転するよう適合されている。
【0056】
ドラムアセンブリ202はステッピングモータ226などの第2アクチュエータをさらに含み、リードスクリュー224を用いるなどして、ワーク面の長さを横方向に横切っているドラム510を駆動させる。ドラム510は典型的には滑らかな陽極酸化アルミニウム製ドラムであり、その上に易焼結性粉末が塗布される。陽極酸化アルミニウム製ドラムは熱安定性および熱耐久性を提供するが、他の熱伝導性材料および非熱伝導性材料を使用してもよい。ドラム510の外周は、典型的には、作製される物体の長さ以上である。ただし、他の実施形態において、粉末を塗布するステップ、粉末像を作るステップ、および焼結像を堆積させるステップが、連続工程の一部として実質的に一度に実行される場合には、ドラムの外周はその作業面の長さより小さくてもよい。焼結像または未焼結粉末が過度にドラム510に付着しないようにするため、または像を作る間のドラム内への熱損失を最小にするため、あるいは粉末の付着を助ける電場の採用を可能とするために、ドラム510の外側表面を、例えばTEFLON(登録商標)のようなこびりつかない表面で被覆してもよい。
【0057】
ドラムアセンブリは、温度調整装置と、管状ハロゲンランプやカートリッジヒータなどのドラム加熱要素とをさらに含み、これらをドラム510の内部にマウントし、かつ易焼結性粉末の融点未満の融点に略近い温度までドラム510を加熱するように適合させてもよい。
【0058】
易焼結性粉末は典型的には結晶質のナイロン粉末であり、この粉末の溶融点未満である摂氏約2℃と15℃の間の温度まで、ドラムの外側表面の温度を上昇させる。結像ランプ系からの入力エネルギーを最小にしながら粉末を比較的高速に焼結するのを助けるため、ローラの温度には一般的により高い温度が採用されるが、3Dプリンタシステムは、ローラの温度変化や粉末の温度変化の影響をより受け易い可能性があり、これが原因でローラ上に意図していない粉末焼結を生じさせてしまうことがある。その一方で、焼結像の品質向上のためにドラムをより低温で維持することもできるが、焼結工程および物体の製造全体にかかる時間が長くなるであろう。いくつかの実施形態において、ドラムアセンブリは、焼結像を物体のこれまでの焼結像上に堆積させる直前に、焼結像の外側を加熱する、定着用ヒータ(transfixing heater)をさらに含む。同様に、いくつかの実施形態では、形成される物体の、これまでに堆積された焼結像の最上面を加熱要素が加熱してもよい。定着用ヒータは、ドラム510を収容しているアセンブリの、ドラムとプラットフォームアセンブリまたはワーク面とに近接した位置にマウントしてもよい。接着面に適用する熱の量を制御するために、定着用ヒータは典型的には、各表面の露出部分を制限する調節可能なマスクをさらに含む。
【0059】
プラットフォームアセンブリは水平な造形面を含み、この上に最初の焼結レイヤーが堆積され、さらに完成物体が組み立てられる。造形面240は、プリントされた焼結像から物体が作製される際の造形面内の位置に、加熱パッド241Aを組み込んでもよい。造形面240の高さは、2つの交差アーム242と、両端部に左巻きのねじ山および右巻きのねじ山を備えたリードスクリュー244と、典型的にはステッピングモータ246であるアクチュエータとを含むシザーリフト206を用いて、ドラム510に対して調節する。リードスクリュー244を回転させると、その回転方向に応じて交差アーム242が互いに近づく方向または離れる方向へと移動し、それにより夫々造形面240を上げたり下げたりすることができる。いくつかの実施形態では、造形面240は水平面の状態でシザーリフト206に対して回転するように適合され、こうすることで、各焼結像を堆積させる前に造形面240をランダムな角度に回転させて、もし補正されなければ組み立てられた物体に鉛直方向の不均一性または非線形性をもたらし得るような、反復誤差またはアーチファクトの蓄積を防ぐことができる。ドラム510上に生成された焼結像の向きに、造形面240と同じ角度回転を反映させるべきであることは当業者には明らかであろう。
【0060】
堆積される各焼結像に対し、ドラム510に対する造形面240の高さを調節する際には、作製中の物体の上部が、その物体に加えられる焼結像の厚さと略同じ距離だけドラム510より低くなるように調節される。この実施形態においては、各像が物体に加えられた後にプラットフォームが下げられるが、別の実施形態では、物体が組み立てられるときに物体の厚さを補償するよう、ドラムの高さを上方に調節するものもあり得る。いくつかの実施形態では、造形面240は、物体と焼結像プリント後に残存する未焼結粉末との両方を含む、側壁を有する物体造形タンクの底部であり、この場合は、続いて焼結される像のうち真下に物体がない部分の土台としてのサポートが提供される。
【0061】
ドラムアセンブリ、焼結アセンブリ、およびプラットフォームアセンブリに採用されるステッピングモータの作動は、マイクロプロセッサ250が典型的には共同で制御する。このマイクロプロセッサ250は、ドラム510の回転と焼結アセンブリの移動を同時に行って、物体を構成する複数の断面夫々を堆積するように適合されている。
【0062】
いくつかの実施形態において、3Dプリンタ200は、焼結像を物体に加えるときに作製中の物体の厚さを動的に制御するレイヤー厚制御プロセッサをさらに含み、このプロセッサは、マイクロプロセッサ250または別のプロセッサにおいて具現化し得る。レイヤー厚制御プロセッサは、物体が造形されているときに典型的には物体全体または1以上の焼結像の厚さを検知し、そしてフィードバックを利用して、ドラム510に塗布される易焼結性粉末の厚さを変更したり、あるいは焼結像を物体に密着させる際に使用する圧力を変化させたりする。例えば、ワーク面を横切るドラムの移動が焼結像と物体との間の密着を強める圧力を誘導するように、ドラム510とワーク面との間の干渉間隙を変化させ、こうして圧力の制御を行ってもよい。他の実施形態において、レイヤー厚制御プロセッサは、所望のレイヤー密度を得かつ接合を確実にするために、ドラムと物体との間に加えられる圧力の時間および温度を制御する。具体的には、レイヤー厚制御プロセッサは、ドラム510をワーク面に横切らせて移動させる際の速さと温度を各像レイヤーごとに変化させることで、像の厚さを正常化しかつ最適な接合品質を提供するように適合される。
【0063】
図6A〜6Bは、焼結アセンブリの実施形態と使用可能な3次元プリンタ(3Dプリンタ)の動作を示す概略図である。ドラムアセンブリ600は、物体の断面層に対応する複数のレイヤーを使用して物体のデジタル模型から3次元部品すなわち物体を作製するよう適合された3Dプリンタの構成要素である。焼結像は、1層の易焼結性粉末から個々に生成され、さらに物体を造形するために、積層体上に連続して組み立てられる、すなわちプリントされる。粉末粒子を溶解融合させて個々のレイヤーを形成したり、個々のレイヤーを溶解融合させて3Dの物体にしたりするために熱が使用される。焼結像は典型的には、3D物体の断面のわずかな部分を表すように形成される。
【0064】
図6Aに示したように、ドラムアセンブリ600は一般に、レイヤー処理面602、放射エネルギー源604、およびワーク面606を含む。例えば処理ドラムの連続表面または平面などのレイヤー処理面602は、その長手軸の周りに回転620し、さらにマイクロプロセッサの制御による並進運動でワーク面上を通過して、焼結された粉末レイヤーをワーク面上に転移または堆積させるように適合されている。ワーク面606は、最初の焼結像を堆積させる造形面か、あるいは組み立てられている物体上の前回の焼結像のいずれかである。焼結像が組立中の物体から離れたレイヤー処理面上で生成されることで、焼結像が物体に付着される前に例えば溶融や密度の変化による任意の歪みがこの焼結像に発現することが許容され、このため物体内に生じ得る内部応力が減少する。以下で説明するように、レイヤー処理面602または他の加熱されたレイヤー処理面の連続表面上で焼結像が生成されると、好適な実施形態においては、前回のレイヤーに対し、像を同時に溶解させるのに必要なエネルギーは典型的には必要としない。
【0065】
一般にレイヤー処理面602は加熱要素を含み、この加熱要素は、採用された易焼結性粉末の溶融温度近傍の既定値までドラム外側表面の温度を上昇させるよう適合される。好適な実施形態において、易焼結性粉末は結晶質のナイロン粉末であり、ドラムの外側表面を上昇させる温度は、この粉末が完全に溶融しない程度に低いものの易焼結性粉末の周囲温度を十分に超えるほどの温度である。このため、粉末を溶解して焼結像とするために、続いて作製中の物体にこの焼結像を密着または付着させるために、注入しなければならないエネルギーは低減される。易焼結性粉末レイヤー610は易焼結性粉末の均一なレイヤーであり、レイヤー処理面602に一塊で塗布される。易焼結性粉末は、レイヤー処理面602の熱により粘着性を有し、易焼結性粉末レイヤー610の粒子を融合させることなくドラムに付着する。静電気引力を、加熱されたドラムと組み合わせて、あるいは加熱されていないドラムとともに単独で、易焼結性粉末をレイヤー処理面602に開放可能にまたは除去可能に付着させるために使用してもよい。
【0066】
易焼結性粉末レイヤー610のうち、形成中の物体の断面レイヤーを呈する部分は、本明細書において開示したイメージングアセンブリなどのエネルギー源604によって焼結される。エネルギー源604は、典型的にはレイヤー処理面602上に焦点605を有する、イメージングアセンブリ300のような集束された熱源であるが、このエネルギー源604が、粉末を溶解させるのに十分な温度にまで粉末を加熱する。この粉末は、粉末を部分的に液化することにより、あるいは粉末を完全に液化することにより溶解され、その後エネルギー源604が取り外されると、冷えてローラの温度で固体に戻る。焼結像612は、エネルギー源604をレイヤー処理面602の連続表面に対して動かし、易焼結性粉末レイヤー610を横切って焼結粉末の線状部分または領域を辿ることにより形成される。好適な実施形態においては、マイクロプロセッサの制御によりレイヤー処理面602を回転620させかつ熱源604を移動622させることにより、物体の断面レイヤーは任意の複雑な構造を得ることができる。この実例においては、未焼結粉末はレイヤー処理面602に付着し続ける。
【0067】
図6Bに示すように、レイヤー処理面602を回転624させると同時にワーク面606を横切って移動626させることにより、焼結像612はその後ワーク面606に転移される。レイヤー処理面602が点線で示した最初の位置からワーク面606を横切って進むと、焼結像612がレイヤー処理面602から引き離されてワーク面606に転移される。焼結像612と、この焼結像612を受ける物体の部分は、組立中の物体に焼結像612を密着させるよう熱源に曝してもよい。レイヤー処理面602とワーク面606との間の距離は、おおよそ焼結像612の厚さ以下である。
【0068】
好適な実施形態においては、組立中の物体への焼結像612の転移および融合は一度に行われる。しかしながらいくつかの実施形態においては、焼結像612を最初に物体上に堆積させ、そして例えば、ドラムに続く定着ランプ、一括加熱工程、ホットパッド(詳細は後述)、またはこれらを組み合わせたものを用いて、引き続き融合させてもよい。
【0069】
イメージングアセンブリは、易焼結性粉末のレイヤー内で像を焼結するために使用し得る。
図7A〜7Cは、易焼結性粉末レイヤーを形成する例示的な方法を示した概略図である。
図7A〜7Cにはドラムを示しているが、円筒状ドラム以外の表面を使用してもよい。この表面は、例えば、その上に焼結レイヤーが形成される平面でもよい。3Dプリンタでは、平面上に形成された焼結レイヤーをプラットフォームアセンブリ上のワーク面上へと押圧したり、あるいはスタンプするように押し付けたりしてもよい。
【0070】
滑車512が回転してベルト514が前進すると、易焼結性粉末710が粉末容器210から引き出される。易焼結性粉末710のドラム510上への転移を強化するため、攪拌機を採用し、容器210内にあるいは容器210に取り付けて設けてもよい。ベルト514により分注される易焼結性粉末710の量は、調節可能なゲート702と、この調節可能なゲート702下の間隙704とによって制御される。易焼結性粉末710がベルト514からレイヤー制御ブレード706上の空間部分に落下すると、粉末の密度は正常化され、易焼結性粉末710が粉末容器210内でどれほど圧縮されていたとしても、易焼結性粉末710がドラム510に適用されるときには確実に均一かつ繰返し可能な密度となる。分注された粉末712はドラム510上に堆積し、そしてレイヤー制御ブレード706を使用して、ドラム510に塗布されるレイヤー状粉末714の厚さと均一性を調整する。レイヤー制御ブレード706とドラム510との間に生成されるレイヤー間隙708は楔状の形を成し、その間隙上方は、適切に粉末を引き込むために比較的広く、また間隙下方は、ドラム510が回転するときにドラム510の幅に亘って粉末を均一に広げるよう―そして粉末を適切な密度に圧縮するよう―狭くなっている。生成されるレイヤー状粉末714の厚さは、要求される物体の鉛直方向の解像度に応じて、一般に5ミル(0.127mm)から20ミル(0.508mm)厚の間である。ドラム510の表面を加熱するためにドラム510内部で加熱ランプを使用し、レイヤー状粉末714のドラム510表面への付着を助けてもよい。
【0071】
典型的には、この易焼結性粉末は平均粒子サイズ60μmのナイロン#12のような結晶質のプラスチック粉末であるが、例えば3Dプリントの要件や製造方法に応じて変更される場合がある。いくつかの実施形態において、易焼結性粉末は2以上の粒子サイズが分布しているもの、すなわち第1組の相対的に大きい粒子と第2組の相対的に小さい粒子とが分布しているものを含む。この場合、小さい粒子の直径は、大きい方の粒子間に存在する粒子間空隙を実質的に満たすように選択され、こうすることで焼結粉末の密度を増加させ、さらに物体の収縮を低減する。本書においてモデル分布と称するこの複数の粒子サイズの分布では、複数の極僅かな粒子サイズを含んでもよく、その夫々をさらに連続して小さいものとすると粉末密度は最大になる。
【0072】
ナイロン#12の代わりに種々の他の易焼結性材料を採用してもよく、例えば、ナイロン#11、アクリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリスチレン、および類似の粒子サイズを有する他の粉末が挙げられる。易焼結性粉末は、その粉末の放射率に実質的に対称なその粉末の有効吸収率を、熱源が放出する放射線の波長帯域で増加させるような、放射線吸収剤または染料をさらに含んでもよい。例えば、熱源が可視光の黒または灰色であるとき、色素剤を採用して粉末のエネルギー吸収を増加させてもよく、こうすることで、粉末の焼結可能速度や物体の組立可能速度を高速化することができる。放射線吸収剤を用いれば、ランプなどの低出力インコヒーレントエネルギー源の他、レーザやレーザダイオードを含むコヒーレントエネルギー源を焼結の放射線源として使用することも可能となり得る。レーザやレーザダイオードを使用した他の実施形態では、レーザの狭い放出帯において、主として染料は吸収力があるであろう。
【0073】
いくつかの実施形態において、3Dプリンタ200は、例えば金属を含む易焼結性粉末から1以上の焼結像を生成するように適合される。1つの例示的な製品が、カリフォルニア州ガーデナのHi-Temp Structures社からMETAL MATRIX PLASTICという商標名で流通している。
【0074】
本書において開示される発明について、具体的な実施形態とその用途を用いて説明してきたが、請求項に明記される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者は多くのその変形形態および変更形態を作製し得るであろう。