特許第5792729号(P5792729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792729
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】移植可能な生体吸収性ポリマー
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/32 20060101AFI20150928BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20150928BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20150928BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150928BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20150928BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150928BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20150928BHJP
   A61L 27/00 20060101ALI20150928BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150928BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   A61K47/32
   A61K9/70
   A61K9/14
   A61K9/20
   A61K45/00
   A61P35/00
   A61P9/00
   A61L27/00 Y
   A61P29/00
   C08F290/06
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-528358(P2012-528358)
(86)(22)【出願日】2010年9月9日
(65)【公表番号】特表2013-504538(P2013-504538A)
(43)【公表日】2013年2月7日
(86)【国際出願番号】EP2010063227
(87)【国際公開番号】WO2011029867
(87)【国際公開日】20110317
【審査請求日】2013年8月28日
(31)【優先権主張番号】09305830.3
(32)【優先日】2009年9月10日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/241,183
(32)【優先日】2009年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512062051
【氏名又は名称】オカルジェル
(73)【特許権者】
【識別番号】512061401
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】509003298
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ パリ−シュド
(73)【特許権者】
【識別番号】505138886
【氏名又は名称】アシスタンス パブリク−オピトー ドゥ パリ
(73)【特許権者】
【識別番号】511071429
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ パリ ディドロ−パリ 7
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100122688
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】モワンヌ、ロランス
(72)【発明者】
【氏名】ベドゥエ、ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ラバール、ドニ
(72)【発明者】
【氏名】ワセフ、ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】グエン、ヴァン ンガー
【審査官】 天野 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−514500(JP,A)
【文献】 特表2009−524722(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/079856(WO,A1)
【文献】 Aram Omer Saeed et al,One-pot controlled synthesis of biodegradable and biocompatible co-polymer micelles,Journal of Materials Chemistry,2009年,vol.19,p.4529-4535,DOI: 10.1039/B821736J
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/32
A61K 9/14
A61K 9/20
A61K 9/70
A61K 45/00
A61L 27/00
A61P 9/00
A61P 29/00
A61P 35/00
C08F 290/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの式(I)のモノマー:
(CH=CR)CO−K (I)
[式中、
KはO−Z又はNH−Zを示し、Zは、(CR−CH、(CH−CH−O)−H、(CH−CH−O)−CH、(CH−NRを示し、mは1〜30の整数を示す;
、R、R、R及びRは独立して、H又はC1−C6アルキルを示す];
及び
(ii)少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、
の重合から得られ
生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーが直鎖であり、その両端に(CH=(CR))−基を示し、Rは独立して、H又はC1−C6アルキルを示し、
生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーのブロックが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)からなる群より選択され
ポリマー。
【請求項2】
生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーが、以下の式(II)のクロスリンカーである、請求項1に記載のポリマー:
(CH=CR)CO−(XPEG−Y−CO−(CR=CH) (II)
[式中、
及びRは独立して、H又はC1−C6アルキルを示す;
X及びYは独立して、PLA、PGA又はPLGAを示す;
n、p及びkはそれぞれ、X、PEG及びYの重合度を示し、n及びkは独立して、1〜150の整数であり、pは1〜100の整数である;
jは0又は1を示す]。
【請求項3】
生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーが、以下からなる群より選択される式のクロスリンカーである、請求項1又は2に記載のポリマー:
(CH=CR)CO−PLA−PEG−PLA−CO−(CR=CH)、(CH=CR)CO−PGA−PEG−PGA−CO−(CR=CH)、(CH=CR)CO−PLGA−PEG−PLGA−CO−(CR=CH)、
(CH=CR)CO−PEG−PLA−CO−(CR=CH)、
(CH=CR)CO−PEG−PGA−CO−(CR=CH)及び
(CH=CR)CO−PEG−PLGA−CO−(CR=CH
[式中、R、R、n、p及びkは、請求項に記載のとおりである]。
【請求項4】
式(I)のモノマーが以下からなる群より選択される、請求項1に記載のポリマー:sec−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、Nジメチル−アミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル−(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジエチルアミノアクリレート、アクリレート終端ポリ(エチレンオキシド)、メタクリレート終端ポリ(エチレンオキシド)、メトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、アクリレート終端ポリ(エチレングリコール)、メタクリレート終端ポリ(エチレングリコール)、メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート。
【請求項5】
式(I)のモノマーがポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
少なくとも1つの前記モノマー、少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、及び以下を含むリストから選択される少なくとも1つのさらなるモノマーの重合から得られる、請求項1に記載のポリマー:
(i)以下の式(III)の薬物運搬モノマー:
(CH=CR)CO−L−D (III)
[式中、
はH又はC1−C6アルキルを示す;
Lは、D基に連結された加水分解性官能基を含む、1〜20個の炭素原子を有するリンカー部分を示す;
D基は、薬物又はプロドラッグを示す];及び
(ii)以下の式(V)の、荷電、イオン性、親水性又は疎水性モノマー:
(CH=CR11)CO−M−F (V)
[式中、
11は、H又はC1−C6アルキルを示す;
Mは、単結合又は1〜20個の炭素原子を有するリンカー部分を示す;
Fは、最大100原子を有する、荷電、イオン性、親水性又は疎水性の基を示す]。
【請求項7】
少なくとも1つのモノマー、少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、及び薬物運搬モノマーの重合から得られる、請求項に記載のポリマー。
【請求項8】
少なくとも1つのモノマー、少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、少なくとも1つの薬物運搬モノマー、任意選択で少なくとも1つの荷電、イオン性、親水性又は疎水性モノマー、及び少なくとも1つの以下の式(IV)の親水性モノマーの重合から得られる、請求項又はに記載のポリマー:
(CH=CR10)CO−Q (IV)
[式中、
10は、H又はC1−C6アルキルを示す;
Qは、ヒドロキシル、オキソ又はアミノ官能基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよいC1−C100アルキルを示す]。
【請求項9】
親水性モノマーが、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、アクリル酸無水物、N−トリスヒドロキシメチルメタクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される、請求項に記載のポリマー。
【請求項10】
少なくとも1つの前記モノマー、少なくとも1つのブロックコポリマークロスリンカー、及び少なくとも1つの荷電、イオン性、親水性又は疎水性モノマーの重合から得られる、請求項に記載のポリマー。
【請求項11】
Fが、COOH、COO、SOH、SO、PO、PO、PO2−、NR1112、NR111213からなる群より選択され、R11、R12及びR13が独立して、H又はC1−C6アルキル、1〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、5〜20個の炭素原子を有するアリール基、クラウンエーテル及びシクロデキストリンを示す、請求項に記載のポリマー。
【請求項12】
薬物又はプロドラッグが負荷された、請求項に記載のポリマー。
【請求項13】
薬物又はプロドラッグが抗癌薬またはNSAIDである、請求項に記載のポリマー。
【請求項14】
フィルム、発泡体、粒子、ランプ、スレッド又はスポンジの形態である、請求項1又は6に記載のポリマー。
【請求項15】
粒子が球状粒子である、請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
医薬上許容される担体と共に請求項1又は6に記載のポリマーを少なくとも1つ含む、医薬組成物。
【請求項17】
インプラントとして使用するための、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
組織、解剖学的内部空間、体腔、管及び血管中への移植のための、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
炎症又は癌治療に使用するための、請求項16又は17に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体に移植され得、任意選択で個体に薬物を送達し得る、膨潤性で生体吸収性の架橋ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
生体材料移植の分野では、吸収性で膨潤性の粒子が必要とされている。しかしながら、いままでのところ、不完全な解決法しか考案されていない。
【0003】
ここで、ゼラチンスポンジは、組織における移植、又は腔、管(duct)若しくは血管(vessel)における注射後に生分解性である。これらには、生理的食塩水及び/又は造影剤を含浸させることができる。
【0004】
しかしながら、それらは水和後にその形状及び抵抗性を喪失する。さらに、吸収速度に大きなばらつきがあり、これは多数の因子(例えば、性質、均質性、サイズ、酵素能及び局所炎症応答)によって影響される。さらに、吸収性ゼラチンの質量がかなりの割合で変動し得るので、結果として、プラグの吸収時間も多様な時間がかかることになる。
【0005】
別の試みは、吸収性インプラントを提供するために考案されたデキストランデンプンミクロスフェア(PharmaciaのSpherex(登録商標);PharmaceptのEmbocept(登録商標))からなる。実際、これらのデキストランデンプンミクロスフェア(非毒性である)は容易に分解可能であり、主に腫瘍の治療のために化学療法薬と同時投与(co−administer)する場合、一時的血管閉塞を提供するために特に使用される。
【0006】
しかしながら、デキストランデンプンミクロスフェアにはいくつかの制限がある。まず第一に、これらのミクロスフェアは、直径100μm未満の小さいサイズでしか入手できない。かかる小さい直径は、特に近位の閉塞について、目的とした塞栓形成をもたらさない。それに加えて、吸収が速く、通常1時間未満の半減期であり、所与のミクロスフェア体積を吸収する酵素能に依存するために正確に予測できない。
【0007】
アクリル及びPVAのコポリマーに基づく吸水性の乾燥ミクロスフェアもまた、膨潤性インプラントとして提案されている(Osugaら(2002)J Vasc Interv Radiol.13:929−34)。商業上の発表(Quadrasphere(登録商標)、Biosphere Medical)では、これらのミクロスフェアは乾燥形態である。その使用のために、これらは生理的食塩水及び/又はヨード造影剤と混合される。最初のサイズと比較すると、水取り込み後のそれらの最終的なサイズは、媒体のイオン電荷に従って変動する(それぞれ生理食塩水及び造影剤中で、×2又は×4)。
【0008】
しかしながら、最終的なサイズがあまりに変動するので移植後の最終体積の制御ができず、これはその使用にとって重大な制限である。加えて、これらのミクロスフェアは吸収性でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、上記問題を解決することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、生体吸収性のPLGAベース、PEGベース及び/又はPLAベースのブロックコポリマーによって架橋されたポリマー中の中性(メタ)アクリレートの存在が、ポリマーの膨潤の制御も可能にしつつ、かかるポリマーの分解速度に影響を与え得るという、本発明者らによる予想外の知見から生まれた。さらに、ポリマーが球状粒子として提供されると、膨潤しても真球度が維持できる。
【0011】
加えて、ヒツジ肩関節で実施された動物実験において、先行技術のミクロスフェアとは異なり、本発明のポリマーベースのミクロスフェアが滑膜組織中に迅速に取り込まれること、及び滑膜中での存在時間(residency time)が少なくとも数週間(1ヶ月)であって、それにより本発明のミクロスフェアが数週間又は数ヶ月にわたって滑膜中で薬物を送達するのに適したものになることを、本発明者らはさらに証明した。
【0012】
従って本発明は、
(i)少なくとも1つの式(I)のモノマー:
(CH=CR)CO−K (I)
[式中、
KはO−Z又はNH−Zを示し、Zは、(CR−CH、(CH−CH−O)−H、(CH−CH−O)−CH、(CH−NRを示し、mは1〜30の整数を示す;
、R、R、R及びRは独立して、H又はC1−C6アルキルを示す];
及び
(ii)少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、
の重合から得られるポリマーに関する。
【0013】
本発明の1実施形態において、上記ポリマーは、少なくとも1つの前記モノマー、少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、及び以下を含むリストから選択される少なくとも1つのさらなるモノマーの重合から得られる:
(i)以下の式(III)の薬物運搬モノマー:
(CH=CR)CO−L−D (III)
[式中、
はH又はC1−C6アルキルを示す;
Lは、D基に連結された加水分解性官能基を含む、1〜20個の炭素原子を有するリンカー部分を示す;
D基は、薬物又はプロドラッグを示す];及び
(ii)以下の式(V)の、荷電、イオン性、親水性又は疎水性モノマー:
(CH=CR11)CO−M−F (V)
[式中、
11は、H又はC1−C6アルキルを示す;
Mは、単結合又は1〜20個の炭素原子を有するリンカー部分を示す;
Fは、最大100原子を有する、荷電、イオン性、親水性又は疎水性の基を示す]。
【0014】
本発明の別の実施形態において、上記ポリマーは、少なくとも1つのモノマー、少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、及び薬物運搬モノマーの重合から得られる。
【0015】
本発明のなお別の実施形態において、上記ポリマーは、少なくとも1つのモノマー、少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、及び少なくとも1つの荷電、イオン性、親水性又は疎水性モノマーの重合から得られる。
【0016】
これらの実施形態は、本発明のポリマーが上記薬物運搬モノマーから重合される場合、ポリマーが薬物送達システムとして使用できる点で有利である。加えて、本発明のポリマーが、上記荷電、イオン性、親水性又は疎水性モノマーから重合される場合、このポリマーは、送達すべき薬物を負荷する(即ち、非共有結合的に吸着する)ことを可能にする種々の物理化学的表面特徴を示し得る。
【0017】
従って、本発明のさらなる実施形態において、上記ポリマーには、薬物又はプロドラッグが負荷される。
【0018】
本発明の別の実施形態において、上記ポリマーは、少なくとも1つのモノマー、少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー、少なくとも1つの薬物運搬モノマー、任意選択で少なくとも1つの荷電、イオン性、親水性又は疎水性モノマー、及び少なくとも1つの以下の式(IV)の親水性モノマーの重合から得られる:
(CH=CR10)CO−Q (IV)
[式中、
10は、H又はC1−C6アルキルを示す;
Qは、ヒドロキシル、オキソ又はアミノ官能基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよいC1−C100アルキルを示す]。
【0019】
本発明のポリマー中への上記親水性モノマーの組込みは、本発明のポリマーによる薬物放出の調節を可能にする点で有利である。
【0020】
本発明は、医薬として使用するための、少なくとも1つの上記ポリマーにも関する。
【0021】
本発明は、医薬上許容される担体と共に上記ポリマーを少なくとも1つ含む、医薬組成物にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
生体吸収性ブロックコポリマー
本明細書中で意図する場合、表現「生体吸収性」とは、生きた生物、好ましくは哺乳動物、特にヒト生物中に投与した場合に、ブロックコポリマーが分解又は開裂されることを意味する。本明細書中で意図する場合、「生体吸収性」とは、ブロックコポリマーが加水分解され得ることを示す。
【0023】
好ましくは、上記生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーは直鎖であり、その両端に(CH=(CR))−基を示し、Rは独立して、H又はC1−C6アルキルを示す。また好ましくは、生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーは、ジブロックコポリマー又はトリブロックコポリマーである。
【0024】
また、上記生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーのブロックは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(ポリラクチドともいう)(PLA)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドともいう)(PGA)及びポリ乳酸−グリコール酸(poly lactic−glycolic acid;PLGA)からなる群より選択されることが好ましい。
【0025】
当業者に周知のとおり、PEG、PLA及びPGAは以下のように示すことができ、nはそれらの重合度を示す:
【0026】
【化1】
【0027】
ラクチド単位及びグリコリド単位の両方を含むPLGAについて、重合度は、ラクチド単位及びグリコリド単位の数の合計である。
【0028】
より好ましくは、上記生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーは、以下の式(II)のクロスリンカーである:
(CH=CR)CO−(XPEG−Y−CO−(CR=CH) (II)
[式中、
及びRは独立して、H又はC1−C6アルキルを示す;
X及びYは独立して、PLA、PGA又はPLGAを示す;
n、p及びkはそれぞれ、X、PEG及びYの重合度を示し、n及びkは独立して、1〜150の整数であり、pは1〜100の整数である;
jは0又は1を示す]。
【0029】
最も好ましくは、上記生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーは、以下からなる群より選択される式のクロスリンカーである:
(CH=CR)CO−PLA−PEG−PLA−CO−(CR=CH)、
(CH=CR)CO−PGA−PEG−PGA−CO−(CR=CH)、
(CH=CR)CO−PLGA−PEG−PLGA−CO−(CR=CH)、
(CH=CR)CO−PEG−PLA−CO−(CR=CH)、
(CH=CR)CO−PEG−PGA−CO−(CR=CH)及び
(CH=CR)CO−PEG−PLGA−CO−(CR=CH
[式中、R、R、n、p及びkは、上記のとおりである]。
【0030】
ポリマー
当業者に明らかなように、本発明のポリマーは、生体吸収性(即ち、加水分解性)の架橋ポリマーである。特に、本発明のポリマーは、上記重合したモノマーの少なくとも1つの鎖から構成され、この少なくとも1つの鎖は、上記生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーによって架橋されている。
【0031】
有利には、本発明のポリマーは膨潤性である、即ち、液体(特に水)を吸収する能力を有する。
【0032】
これもまた当業者に明らかなように、例として、本発明のモノマーは、以下のように示すこともできる:
【0033】
【化2】
【0034】
次いで重合に際し、本発明のモノマーは、以下のように示され得る:
【0035】
【化3】
【0036】
好ましくは、上記式(I)のモノマーは、以下からなる群より選択される:sec−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、Nジメチル−アミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル−(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジエチルアミノアクリレート、アクリレート終端ポリ(エチレンオキシド)、メタクリレート終端ポリ(エチレンオキシド)、メトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、アクリレート終端ポリ(エチレングリコール)、メタクリレート終端ポリ(エチレングリコール)、メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート。
【0037】
最も好ましくは、上記式(I)のモノマーは、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートである。
【0038】
上記親水性モノマーが、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、アクリル酸無水物、N−トリスヒドロキシメチルメタクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択されることも好ましい。
【0039】
加えて、Fが、COOH、COO、SOH、SO、PO、PO、PO2−、NR1112、NR111213からなる群より選択され、R11、R12及びR13が独立して、H又はC1−C6アルキル、1〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、5〜20個の炭素原子を有するアリール基、クラウンエーテル及びシクロデキストリンを示すことが好ましい。
【0040】
L及びMが以下の式のものであることも好ましい:
O−T−(U)q−T’又はNH−T−(U)q−T’
[式中、T及びT’は、同一又は異なって、1つ以上のヒドロキシル、オキソ又はアミノ基で置換されていてもよいC1−C6アルキル鎖を示し、Uは、加水分解性官能基(例えば、エステル、アミド、ジスルフィド、アミノ−オキシ又は無水物官能基)を示し、qは、Mについては0〜2の整数を示し、Lについては1〜2の整数を示す]。
【0041】
本発明のポリマーは、当業者に周知の多数の方法によって容易に合成できる。例として、本発明のポリマーは、以下及び実施例に記載したような直接的プロセス又は逆プロセスのいずれかを使用した懸濁重合によって得ることができる。
【0042】
直接的懸濁は、以下のように進行し得る:(a)(i)少なくとも1つの上記モノマー、及び少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー;(ii)モノマー100重量部あたり0.1〜約2重量部の範囲の量で存在する重合開始剤;(iii)モノマー100重量部あたり約5重量部以下、好ましくは約3重量部以下、最も好ましくは0.5〜1.5重量部の範囲の量の、界面活性剤;及び(iv)水中油懸濁物を形成するための水、を含む混合物を撹拌(stir又はagitate)する;そして(b)モノマー及び生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーを重合させる。
【0043】
逆懸濁は、以下のように進行し得る:(a)(i)少なくとも1つの上記モノマー、及び少なくとも1つの生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカー;(ii)モノマー100重量部あたり0.1〜約2重量部の範囲の量で存在する重合開始剤;(iii)モノマー100重量部あたり約5重量部以下、好ましくは約3重量部以下、最も好ましくは0.5〜1.5重量部の範囲の量の、界面活性剤;及び(iv)油中水懸濁物を形成するための油、を含む混合物を撹拌(stir又はagitate)する;そして(b)モノマー及び生体吸収性ブロックコポリマークロスリンカーを重合させる。
【0044】
薬物
本明細書中で意図する場合、上記薬物又はプロドラッグは任意の型のものであり得、任意の疾患又は障害の予防又は治療のために意図される。
【0045】
好ましくは、本発明のポリマーとの共有結合相互作用が求められる場合、薬物は、反応性官能基(例えば、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール又はアミノ基)を保有するような薬物であるべきである。例えば、薬物は、アリール誘導体によって構成される親油性尾部と共に、酸性官能基(プロピオン酸、カルボン酸、又は酢酸カルボキシル基(acetic acid carboxylic group))を含み得る。
【0046】
上記のように、特に、本発明のポリマーが、少なくとも1つの荷電、イオン性、親水性又は疎水性モノマーの重合から得られる場合、薬物は、ポリマーに負荷されてもよい、即ち、非共有結合相互作用によってポリマーに吸着されてもよい。その場合、負荷される薬物又はプロドラッグには特別な制限は課されない。
【0047】
負荷は、当業者に周知の多数の方法で進行し得る。例えば、乾燥形態のポリマーを、薬物に依存して1時間〜24時間にわたり所定量の薬物又はプロドラッグを含む溶液中で膨潤させ;次いで、負荷されたポリマーを、0.9%(w/v)の塩化ナトリウム溶液で2回洗浄する。
【0048】
加えて、上記薬物は、抗癌薬又はNSAIDであることが好ましい。
【0049】
本発明に従う適切なNSAIDの例には、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン又はナプロキセンが含まれる。
【0050】
本発明に従う適切な抗癌薬の例には、マイトマイシン、メルファラン、メトトレキサート、ラルチトレキセド(raltirexed)、ゲムシタビン、ドキソルビシン又はイリノテカンが含まれる。
【0051】
ポリマーの形態
好ましくは、本発明のポリマーは、フィルム、発泡体、粒子、ランプ(lump)、スレッド(thread)又はスポンジの形態であり、最も好ましくは球状粒子の形態である。球状粒子は好ましくはミクロスフェアである、即ち、膨潤の際(即ち、水和の際)に、1〜5000μmの範囲、より好ましくは100〜600μmの範囲の直径を有する。
【0052】
膨潤のために、本発明のポリマーは、好ましくは制御された方法で、特に塞栓術手順で一般に使用される溶液(例えば、生理的食塩水、グルコース溶液、血漿、イオン性若しくは非イオン性のヨード造影剤、磁気共鳴画像化のための酸化鉄ベースの造影剤、薬物溶液、又はヒト若しくは動物の身体において注射可能な任意の無菌の非発熱性液体)から、液体(例えば水)を吸収し得る。規定された限定量の水が本発明のポリマーによって吸収され、それにより、ポリマーが球状粒子の場合には、膨潤の際の直径を予測することが可能となる。
【0053】
ポリマーの医薬的及び治療的使用
有利なことに、球状粒子形態の本発明のポリマーについて得られ得る範囲は、本発明のポリマーを、血管造影によって検出可能でありかつカテーテル及びマイクロカテーテルに対しナビゲーションによってアクセス可能な細動脈を遮断するのに特に適したものにする。加えて、本発明のポリマーが造影剤(例えば、硫酸バリウム、タングステン又はタンタル)を吸収する能力によって、本発明のポリマーは、放射線不透過(radio−opaque)ミクロスフェアとして特に有用なものとなる。
【0054】
また有利なことに、本発明のポリマーの吸収は、加水分解に依存し、酵素的機構には依存しない。従って吸収速度は、上記生体吸収性クロスリンカー及びモノマーの型及び量を調節することによって、容易に制御され得る。
【0055】
同様に有利なことに、本発明のポリマーの吸収は、上記生体吸収性クロスリンカー及びモノマーの型及び量に依存して、数時間から数週間の範囲であり得る。さらに、本発明のポリマーの分解産物は非毒性であり迅速に排出されるので、本発明のポリマーは移植の際に限定的な局所的炎症応答のみを生じる。
【0056】
従って、上記医薬組成物は、好ましくは、インプラントとして使用するため、特に、組織、解剖学的内部空間(例えば、腹膜及び髄膜空間)、体腔、管及び血管への移植のためのものである。
【0057】
加えて、上記医薬組成物は、好ましくは注射可能な形態である。
【0058】
また好ましくは、この医薬組成物は、乾燥形態(例えば凍結乾燥形態)の本発明のポリマーを含む。
【0059】
本発明の医薬組成物は、好ましくは、塞栓術(特に子宮動脈塞栓術(UAE)のため又は止血のため)のフレームにおいて使用されるであろう。塞栓術において、本発明のポリマーは、薬物を含む必要がない、又は薬物が負荷されている必要がない。
【0060】
本発明の医薬組成物は、癌を治療するためにも好ましく使用される。この場合、治療は、塞栓術(特に反復的な塞栓術)によって、及び/又は本発明のポリマー中に含まれる若しくは本発明のポリマーに負荷された抗癌薬又はプレドラッグ(predrug)の送達によって、行い得る。
【0061】
加えて、本発明の医薬組成物は、好ましくは、炎症を予防又は治療するために使用され得る。この場合、本発明のポリマーは、NSAIDを含むか、又はNSAIDが負荷されていることが好ましい。特に、本発明の医薬組成物は、以下に関連する炎症を予防又は治療するために特に適している:
・関節腔、腱、軟骨及び骨欠損;
・脳の手術後の手術腔、抜歯後の上顎骨中、切除術後の骨中、外科的腫瘍切除術後の肝臓又は腎臓中;
・筋肉、特に筋炎又は断裂の場合;
・中枢神経系における脳脊髄液腔;
・関節手術、関節鏡検査、関節内洗浄(intrarticular lavage)、半月板切除術(menisectomy)、骨切断。
【実施例】
【0062】
実施例1
1.HEMA/PEGMA法による生体吸収性クロスリンカーの合成:
1.1.PLA
・第一工程:
マグネチックスターラーバーを含む乾燥シュレンク中で、ラクチド(2.2232g;0.0154mol)及びヒドロキシエチルメタクリレート(0.75mL;0.0062mol)を、窒素下5mlのトルエン中に溶解した。上記系にSn(Oct)(8mg)のトルエン溶液を導入することによって反応を開始した。90℃で20時間の後、5mlのクロロホルムを添加して反応混合物を希釈し、形成されたポリマーを、多量の石油エーテル中で沈殿させることによって精製した。収率94%。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.53(m,CH,PLA),1.91(s,CH,メタクリレート),4.38(m,CH,HEMA),5.17(m,CH,PLA),5.65−6.10(m,CH=C)
【0063】
・第二工程:
第一工程で形成されたポリマーを、塩化メタクリロイルと反応させることによって、PLA鎖の末端においてヒドロキシル基によってさらに修飾した。予め形成したポリマー(1.07mmolのOH基、1当量)を、マグネチックスターラー及び滴下漏斗を備えた三口フラスコ中で、無水CHCl(2.5ml)中に溶解した。フラスコの内容物を0℃に冷却し、トリエチルアミン(1.5当量;0.0016mol)を添加した。溶液を撹拌し、次いでCHCl(2.5ml)中の塩化メタクリロイル(1.5当量;0.0016mol)を溶液に滴下した。撹拌を0℃で1時間続け、次いで室温で一晩継続した。トリエチルアミン塩を濾過により除去し、ポリマーを、多量の石油エーテル中で沈殿させた。収率:95%。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.53(m,CH,PLA),1.91(m,CH,メタクリレート),4.39(m,CH,HEMA),5.17(m,CH,PLA),5.65−6.16(m,CH=C)
【0064】
1.2.PGA
・第一工程:
マグネチックスターラーバーを含む乾燥シュレンク中で、グリコリド(0.6g;0.005mol)及びヒドロキシエチルメタクリレート(21mg;0.0016mol)を、窒素下2mlのトルエン中に溶解した。上記系にSn(Oct)(5mg)のトルエン溶液を導入することによって反応を開始した。90℃で20時間の後、5mlのクロロホルムを添加して反応混合物を希釈し、形成されたポリマーを、多量の石油エーテル中で沈殿させることによって精製した。収率96%。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.91(s,CH,メタクリレート),4.38(m,CH,HEMA),4.80(m,CH,PGA),5.65−6.09(s,CH=C)
【0065】
・第二工程:
第一工程で形成されたポリマーを、塩化メタクリロイルと反応させることによって、PGA鎖の末端においてヒドロキシル基によってさらに修飾した。予め形成したポリマー(1mmolのOH基、1当量)を、マグネチックスターラー及び滴下漏斗を備えた三口フラスコ中で、無水CHCl(2ml)中に溶解した。フラスコの内容物を0℃に冷却し、トリエチルアミン(1.5当量;0.0015mol)を添加した。溶液を撹拌し、次いでCHCl(2ml)中の塩化メタクリロイル(1.5当量;0.0015mol)を溶液に滴下した。撹拌を0℃で1時間続け、次いで室温で一晩継続した。トリエチルアミン塩を濾過により除去し、ポリマーを、多量の石油エーテル中で沈殿させた。収率:50%。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.90(m,CH,メタクリレート),4.40(m,CH,HEMA),4.81(m,CH,PGA),5.65−6.16(m,CH=C)
【0066】
1.3.PLGA
・第一工程:
マグネチックスターラーバーを含む乾燥シュレンク中で、ラクチド(1.18g;8.23mmol)、グリコリド(0.95g;8.23mmol)及びヒドロキシエチルメタクリレート(0.53g;4.1mmol)を、窒素下5mlのトルエン中に溶解した。上記系にSn(Oct)(8mg)のトルエン溶液を導入することによって反応を開始した。90℃で20時間の後、5mlのクロロホルムを添加して反応混合物を希釈し、形成されたポリマーを、多量の石油エーテル中で沈殿させることによって精製した。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.49(m,CH,PLA),1.92(s,CH,メタクリレート),4.44(m,CH,HEMA),4.83(m,CH,PGA),5.25(m,CH,PLA),5.65−6.10(s,CH=C)
【0067】
・第二工程:
第一工程で形成されたポリマーを、塩化メタクリロイルと反応させることによって、PLGA鎖の末端においてヒドロキシル基によってさらに修飾した。典型的な反応では、予め形成したポリマー(8.23mmolのOH基、1当量)を、マグネチックスターラー及び滴下漏斗を備えた三口フラスコ中で、無水CHCl(20ml)中に溶解した。フラスコの内容物を0℃に冷却し、トリエチルアミン(1.5当量;12.34mmol)を添加した。溶液を撹拌し、次いでCHCl(10ml)中の塩化メタクリロイル(1.5当量;12.34mmol)を溶液に滴下した。撹拌を0℃で1時間続け、次いで室温で一晩継続した。トリエチルアミン塩を濾過により除去し、ポリマーを、多量の石油エーテル中で沈殿させた。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.51(m,CH,PLA),1.92(s,CH3,メタクリレート),4.44(m,CH2,HEMA),4.83(m,CH2,PGA),5.25(m,CH,PLA),5.65−6.16(m,CH2=C)
【0068】
合成反応を以下のスキームにまとめる:
【0069】
【化4】
【0070】
2.PEG法による生体吸収性クロスリンカーの合成:
2.1.TEG(PEG n=4)を有するPLA
・第一工程:
マグネチックスターラーバーを含む乾燥シュレンク中で、テトラエチレングリコール(0.139g;0.0007mol)を、窒素下、触媒として第一錫オクトアート(5mg)を使用して、115℃で20時間、d,l−ラクチド(1.032g;0.0072mol)と反応させた。次いで、ポリマーをクロロホルム中に溶解し、多量の石油エーテル中で沈殿させた。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.54(m,CH,PLA),3.64(m,CH,PEG),4.26(m,CH,PEG),5.16(m,CH,PLA)
【0071】
・第二工程:
第一工程で形成されたポリマーを、塩化メタクリロイルと反応させることによって、PLA chNSAIDの末端においてヒドロキシル基によってさらに修飾した。典型的な反応では、予め形成したポリマーを、マグネチックスターラー及び滴下漏斗を備えた三口フラスコ中で、無水CHCl(10ml)中に溶解した。フラスコの内容物を0℃に冷却し、トリエチルアミン(1.5当量;0.0018mol)を添加した。溶液を撹拌し、次いでCHCl(5ml)中の塩化メタクリロイル(1.5当量;0.0018mol)を溶液に滴下した。撹拌を0℃で1時間続け、次いで室温で一晩継続した。トリエチルアミン塩を濾過により除去し、ポリマーを、多量の石油エーテル中で沈殿させた。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.56(m,CH,PLA),1.97(m,CH,メタクリレート),3.65(m,CH,PEG),4.29(m,CH,PEG),5.17(m,CH,PLA),5.64−6.20(m,CH=C).
【0072】
2.2.PEG 1500(n=34)を有するPLGA
・第一工程:
マグネチックスターラーバーを含む乾燥シュレンク中で、PEG1500(2.25g;0.0015mol)を、窒素下、触媒として第一錫オクトアート(10mg)を使用して、115℃で20時間、d,l−ラクチド(0.865g;0.006mol)及びグリコリド(0.697g;0.006mol)と反応させた。次いで、ポリマーをクロロホルム中に溶解し、多量の石油エーテル中で沈殿させた。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.55(m,CH,PLA),3.64(m,CH,PEG),4.25(m,CH,PEG),4.84(m,CH,PGA),5.20(m,CH,PLA)
【0073】
・第二工程:
第一工程で形成されたポリマーを、塩化メタクリロイルと反応させることによって、PLA chNSAIDの末端においてヒドロキシル基によってさらに修飾した。典型的な反応では、予め形成したポリマーを、マグネチックスターラー及び滴下漏斗を備えた三口フラスコ中で、無水CHCl(20ml)中に溶解した。フラスコの内容物を0℃に冷却し、トリエチルアミン(1.5当量;0.0045mol)を添加した。溶液を撹拌し、次いで塩化メタクリロイル(1.5当量;0.0045mol)を溶液に滴下した。撹拌を0℃で1時間続け、次いで室温で一晩継続した。トリエチルアミン塩を濾過により除去し、ポリマーを、多量の石油エーテル/ジエチルエーテル中で沈殿させた。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:1.56(m,CH,PLA),1.94(m,CH,メタクリレート),3.63(m,CH,PEG),4.29(m,CH,PEG),4.86(m,CH,PGA),5.23(m,CH,PLA),5.64−6.15(m,CH=C)
【0074】
合成反応を以下のスキームにまとめる:
【0075】
【化5】
【0076】
3.懸濁重合によるミクロスフェアの合成:
3.1.HEMA/PEGMA法からのPLAクロスリンカーを用いて
88%の加水分解ポリビニルアルコールの0.5%水溶液(90ml)を、100mlのリアクタ中に導入し、窒素雰囲気下で15分間静置した。4.3mlのキシレン中に可溶化したポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(2.77g)、PLAクロスリンカー(0.7g)及び1wt%AIBNを含むモノマー相を、溶液に窒素を15分間通気することによって脱気した。モノマー相を50℃で水相に添加し、所望の直径のモノマー液滴を得るのに適切な速度でプロペラ型のスターラーによって撹拌した。温度を80℃まで上昇させ、5時間撹拌した。混合物を熱時濾過し(filtered hot)、水及びアセトンで洗浄した。このとき、ビーズはフリーズドライであった(Then, beads were freeze dry)。サイズ390±100μm。
【0077】
3.2.HEMA/PEGMA法からのPLGAクロスリンカーを用いて
88%の加水分解ポリビニルアルコールの0.75%水溶液(220ml)を、1000mlのリアクタ中に導入し、窒素雰囲気下で15分間静置した。10mlのトルエン中に可溶化したポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(5.9g;19.6mmol)、PLGAクロスリンカー(1g;1.7mmol)及び1wt%AIBNを含むモノマー相を、溶液に窒素を15分間通気することによって脱気した。モノマー相を50℃で水相に添加し、所望の直径のモノマー液滴を得るのに適切な速度でプロペラ型のスターラーによって撹拌した。温度を80℃まで上昇させ、5時間撹拌した。混合物を熱時濾過し、水及びアセトンで洗浄した。このとき、ビーズはフリーズドライであった。サイズ=246±150μm。
【0078】
3.3.PEG法からのPLAクロスリンカーを用いて
88%の加水分解ポリビニルアルコールの0.5%水溶液(90ml)を、100mlのリアクタ中に導入し、窒素雰囲気下で15分間静置した。4.3mlのキシレン中に可溶化したポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(3.252g)、PLAクロスリンカー(0.36g)及び1wt%AIBNを含むモノマー相を、溶液に窒素を15分間通気することによって脱気した。モノマー相を50℃で水相に添加し、所望の直径のモノマー液滴を得るのに適切な速度でプロペラ型のスターラーによって撹拌した。温度を80℃まで上昇させ、5時間撹拌した。混合物を熱時濾過し、水及びアセトンで洗浄した。このとき、ビーズはフリーズドライであった。サイズ450±100μm。
【0079】
合成反応を以下のスキームにまとめる:
【0080】
【化6】
【0081】
4.分解分析:
50mgの乾燥ミクロスフェアを計量し、37℃又は70℃に維持した個々のバイアル中で、10mlのPBS溶液中に浸漬した。サンプルを所望の時間で取り出し、即座に凍結させて、分解プロセスを停止させた。6個のサンプルを各時点で取り出し、分解しているサンプルにおけるばらつきを測定した。各サンプル溶液のpHを測定し、TAX−T2装置を用いる圧縮方法を使用して、ミクロスフェアの機械的特性を決定した。結果を以下の表に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
5.機械的特性
剛性及び弾性は、所与の血管網における塞栓形成ミクロスフェアの注射可能性及び再分配(repartition)のための主要なパラメータである。
【0084】
以下の表に示すように、本発明のミクロスフェアは、適切な媒体(例えば、生理的食塩水、グルコース溶液、造影剤及びそれらの混合物)中での膨潤の際に、塞栓術の技術的条件に適合し、現在市販されるミクロスフェアと匹敵する剛性及び弾性の機械的性能を示す:シリンジ及びカテーテル(内径がミニ0.7mmのマイクロカテーテル)での注射の間の圧縮に抵抗するような剛性があり、変形後直ぐにその形状を再獲得するような弾性がある。
【0085】
【表2】
【0086】
6.In vivo
上記したように調製したミクロスフェア(P1、クロスリンカーHEMA−PGA、200μm、2g滅菌、サイズ100〜300μm)を、120℃で20分間滅菌し、生理食塩水及びヨード造影剤の混合物(4ml中250mg)中に懸濁し、その先端をブタの腎動脈の小孔中に前もって(prealably)配置したマイクロカテーテルを用いて、1mLシリンジによって腎血流(renal flow)中にゆっくりと注射した。マイクロカテーテルに詰まりはなく、ミクロスフェア懸濁物の手動注射の間、抵抗はなかった。塞栓術の最後に、塞栓形成した区画における動脈の閉塞が、血管造影コントロールで観察された。動物を48時間目に屠殺し、腎臓をサンプリングした。病理顕微鏡試験下で、腎臓中でミクロスフェアを見ることができた。これらは、いくつかの小葉間動脈の血管内腔を完全に塞いでいた。これらはきれいな球状物として見えた。いくつかの炎症細胞がミクロスフェア上に存在した。部分的吸収(約50%)が明らかに見える(空胞の存在)。
【0087】
実施例2
1.イブプロフェンモノマーの合成:
1.1.HEMA−iBu:
以下の反応を実施した:
【0088】
【化7】
【0089】
マグネチックスターラーバーを含む丸底フラスコ中で、イブプロフェン(0.34g;1.65mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.01g;0.09mmol)を、窒素雰囲気下乾燥CHCl(4ml)中に可溶化した。ヒドロキシエチルメタクリレート(0.21g;1.65mmol)と、2mlの乾燥CHCl中に溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド(0.34g;1.65mmol)の混合物とを、0℃で連続して添加した。0℃で24時間の後、混合物を濾過し、粗製生成物をシリカゲルカラムで精製した(シクロヘキサン/酢酸エチル:2/1)。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:0.88(d,CH,イソプロピル),1.43(d,CH−CH,イブプロフェン),1.85(m,CH,メタクリレート+CH−iPr,イブプロフェン),2.44(d,CH−フェニル,イブプロフェン),3.75(q,フェニル−CH−COO−,イブプロフェン),4.31(m,CH,HEMA),5.59−5.98(m,CH=C),7.16(dd,C
【0090】
1.2.GMA−iBu
以下の反応を実施した:
【0091】
【化8】
【0092】
グリシジルメタクリレート(1.348g;9.5mmol)、イブプロフェン(1.955g;9.5mmol)、ヒドロキノン(0.2g)及びピリジン(2ml)を、5mlのDMF中に溶解した。混合物を40℃で真空下6時間振盪した。次いで混合物を冷却し、飽和NaHCO水溶液(20ml)中に注いだ。有機相を酢酸エチルで3回抽出し、飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で留去した。残渣をクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン:1/5)で精製した。収率:40%。
CDCOCD中でのH NMRによる特徴付け:0.89(d,CH,イソプロピル),1.51(d,CH−CH,イブプロフェン),1.85(m,CH−iPr,イブプロフェン),1.94(s,CH,メタクリレート),2.45(d,CH−フェニル,イブプロフェン),3.75(q,フェニル−CH−COO−,イブプロフェン),4.08−4.19(m,CH−CH(OH)−CH),5.60−6.12(m,CH=C),7.16(dd,C
【0093】
2.懸濁重合によるミクロスフェアの合成:
以下の反応を実施した:
【0094】
【化9】
【0095】
88%の加水分解ポリビニルアルコールの0.75%水溶液(220ml)を、1000mlのリアクタ中に導入し、窒素雰囲気下で15分間静置した。10mlのトルエン中に可溶化したHEMA−iBu(1.6g;5mmol)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(5.9g;19.6mmol)、PLGAクロスリンカー(1g;1.7mmol)及び1wt%AIBNを含むモノマー相を、溶液に窒素を15分間通気することによって脱気した。モノマー相を50℃で水相に添加し、所望の直径のモノマー液滴を得るのに適切な速度でプロペラ型のスターラーによって撹拌した。温度を80℃まで上昇させ、5時間撹拌した。混合物を熱時濾過し、水及びアセトンで洗浄した。このとき、ビーズはフリーズドライであった。
【0096】
調製されたミクロスフェアの特徴を以下の表にまとめる:
【0097】
【表3】
【0098】
3.イブプロフェンのin vitro放出:
イブプロフェン負荷したミクロスフェア(P6)220mgを、30mlのPBS(pH7.4)を含むバイアル中で懸濁した。バイアルを一定の振盪下で37℃でインキュベートした。時間間隔を空けて、バイアルを10秒間遠心分離し、サンプル(100μl)を、UV及びHPLC分析のために放出培地から引き抜いた。引き抜いた体積を新たな緩衝液で置き換え、再縣濁して、インキュベーションを続行した。
【0099】
【表4】
【0100】
4.In vivo:ヒツジ肩関節におけるミクロスフェア(P8+P9)の関節内注射
ミクロスフェアの移植研究を、ヒツジ肩関節(肩甲上腕関節)で実施した。2種のミクロスフェア(40〜100μm)を注射した:吸収性ミクロスフェア(micosphere)(PEGMMA 300を有するP8−TEG−PLGA6%)及び非吸収性ミクロスフェア(PEGMMA 300を有するP9−PEGジアクリレート(M=575)6%)(これらは炎症性である)。関節内注射の1週間後及び1ヶ月後、吸収性ミクロスフェアによって誘導された滑膜炎症反応を、非吸収性ミクロスフェアで誘発された炎症と比較した。
【0101】
無菌条件で、脱発熱物質化した(depyrogenised)滅菌ミクロスフェアを、生理的血清中に懸濁した。次いで、1mLの無菌シリンジに、乾燥ミクロスフェア50gmに対応する体積のミクロスフェアペレットを充填した。全身麻酔下で、滑液穿刺(ponction)を6頭の成体ヒツジ(3〜4歳)の右肩に実施し、次いで、ミクロスフェアを含むシリンジを、関節腔中に配置した針に取り付けた。ミクロスフェアを、関節空間にゆっくりと注射した。
【0102】
1週間後及び4週間後、動物(1群あたり3頭)を屠殺し、肩から滑液を回収した。肩関節全体を取り出し、10%ホルマリン中で固定した。次いで、滑膜組織を切り取り、顕微鏡観察のためにヘマトキシリン/エオシンで染色した。
【0103】
関節では、注射したミクロスフェアは、滑液中又は関節の滑膜表層(lining)のいずれかに位置した。莢膜の滑膜表層へのミクロスフェアの移動は、細胞増殖を誘導しなかった。吸収性ミクロスフェアに対する滑膜組織の炎症応答を、非吸収性ミクロスフェアによって誘導された炎症と比較した。滑膜表層中に取り込まれたミクロスフェアを囲む細胞を計数した(視野0.1mm)。1週間後、253±57細胞が非吸収性ミクロスフェアの周囲で観察されたが、吸収性ミクロスフェアの周囲では、83±15細胞だけしか観察されなかった(p<0.0001)。注射の1ヶ月後、吸収性ミクロスフェアについての98±36細胞と比較して、172±34細胞が非吸収性ミクロスフェアを囲んでいる(p=0.0005)。吸収性ミクロスフェアの周囲に巨細胞が存在しないことにより、これらの吸収性粒子による関節での炎症誘導が低レベルであることが確認され、非吸収性ミクロスフェアではその逆が観察された。
【0104】
滑液では、注射1ヵ月後の時点で、生分解性ミクロスフェアは消失して平坦な断片になり、これはミクロスフェア吸収が生じたことを示す。滑膜内に位置するミクロスフェアに関して、これらは高度に破壊され、空胞化していた。
【0105】
組織学的検査により、吸収性ミクロスフェアが滑膜表層中に移動し、これらの固定化されたミクロスフェアが、顕著な細胞増殖なく、肩関節の滑膜組織によって十分許容されることが示された。さらに、ミクロスフェアの吸収は、炎症応答を誘導しなかった。
【0106】
実施例3
1.HEMA−PLGAクロスリンカー及びヒドロキシル官能基を有するミクロスフェア:
88%の加水分解ポリビニルアルコールの0.5%水溶液(300ml)を、500mlのリアクタ中に導入し、窒素雰囲気下で15分間静置した。14mlのトルエン中に可溶化したポリ(エチレングリコール)メタクリレート(9.45g;17.97mmol)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(5.47g;18.23mmol)、PLGAクロスリンカー(0.9g;1.52mmol)及び1wt%AIBNを含むモノマー相を、溶液に窒素を15分間通気することによって脱気した。モノマー相を50℃で水相に添加し、所望の直径のモノマー液滴を得るのに適切な速度でプロペラ型のスターラーによって撹拌した。温度を80℃まで上昇させ、5時間撹拌した。混合物を熱時濾過し、水及びアセトンで洗浄した。このとき、ビーズはフリーズドライであった。
【0107】
2.HEMA−PLGAクロスリンカー及び酸官能基を有するミクロスフェア:
88%の加水分解ポリビニルアルコールの0.5%水溶液(300ml)を、500mlのリアクタ中に導入し、窒素雰囲気下で15分間静置した。14mlのトルエン中に可溶化したメタクリル酸(2.33g;27.07mmol)、ポリエチレングリコールメタクリレート(8.05g;26.83mmol)、PLGAクロスリンカー(1.32g;2.24mmol)及び1wt%AIBNを含むモノマー相を、溶液に窒素を15分間通気することによって脱気した。モノマー相を50℃で水相に添加し、所望の直径のモノマー液滴を得るのに適切な速度でプロペラ型のスターラーによって撹拌した。温度を80℃まで上昇させ、5時間撹拌した。混合物を熱時濾過し、水及びアセトンで洗浄した。このとき、ビーズはフリーズドライであった。
【0108】
3.PEG1500−PLGAクロスリンカー及び酸官能基を有するミクロスフェア:
200mlのシクロヘキサン中に溶解したSpan80(登録商標)(1%)の溶液を、2000mlのリアクタ中に導入し、窒素雰囲気下で15分間静置した。28mlの水中に可溶化したアクリル酸(2.4g;33.3mmol)、N,N−ジメチルアクリルアミド(4g;40.35mmol)、PEG−PLGAクロスリンカー(3g)及び1wt%アンモニウムペルオキシドジスルフェート(ammonium peroxyde disulfate)を含むモノマー相を、溶液に窒素を15分間通気することによって脱気した。モノマー相を周囲温度で有機相に添加し、所望の直径のモノマー液滴を得るのに適切な速度でプロペラ型のスターラーによって撹拌した。温度を70℃まで上昇させ、2時間撹拌した。混合物を熱時濾過し、水及びアセトンで洗浄した。このとき、ビーズはフリーズドライであった。