特許第5792743号(P5792743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792743
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/02 20060101AFI20150928BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20150928BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20150928BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20150928BHJP
   H05B 3/03 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B01J35/02 GZAB
   B01J35/04 301P
   B01D53/86
   F01N3/20 K
   H05B3/03
【請求項の数】5
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-549895(P2012-549895)
(86)(22)【出願日】2011年12月22日
(86)【国際出願番号】JP2011079935
(87)【国際公開番号】WO2012086813
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年8月12日
(31)【優先権主張番号】特願2010-288668(P2010-288668)
(32)【優先日】2010年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】笠井 義幸
(72)【発明者】
【氏名】大宮 好雅
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匡人
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/043434(WO,A1)
【文献】 特開平05−115796(JP,A)
【文献】 特開平05−115795(JP,A)
【文献】 特開2008−213322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/86、53/94
F01N 3/00−3/02
F01N 3/04−3/38
F01NJSTPlus/JST7580(JDreamIII)
9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する筒状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備え、
前記ハニカム構造部の電気抵抗率が、1〜200Ωcmであり、
前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、
前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の一方の端部から、前記セルの延びる方向において前記ハニカム構造部の前記一方の端部側を向いている前記電極部の端部までの距離が、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の長さの1〜10%であるハニカム構造体。
【請求項2】
前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の一方の端部から、前記セルの延びる方向において前記ハニカム構造部の前記一方の端部側を向いている前記電極部の端部までの距離が、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の長さの1〜10%であり、
前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の他方の端部から、前記セルの延びる方向において前記ハニカム構造部の前記他方の端部側を向いている前記電極部の端部までの距離が、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の長さの1〜10%である請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記帯状の電極部の外周形状が、長方形の少なくとも一の角部が曲線状に形成された形状、又は長方形の少なくとも一の角部が直線状に面取りされた形状である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記電極部の電気抵抗率が、0.01〜100Ωcmである請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
電極部の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率をもつ導電体が、前記電極部の表面に設置された請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。さらに詳しくは、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、更に耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コージェライト製のハニカム構造体に触媒を担持したものを、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いていた。また、炭化珪素質焼結体によって形成されたハニカム構造体を排ガスの浄化に使用することも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要がある。しかし、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題があった。
【0004】
そのため、触媒が担持されたハニカム構造体の上流側に、金属製のヒーターを設置して、排ガスを昇温させる方法が検討されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
また、導電性セラミックスからなり両端部に電極が配設されたハニカム構造体を、ヒータ付触媒担体として使用することが開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4136319号公報
【特許文献2】特許第2931362号公報
【特許文献3】特開平8−141408号公報
【発明の概要】
【0007】
上記のような金属製のヒーターを、自動車に搭載して使用する場合、自動車の電気系統に使用される電源が共通で使用され、例えば200Vという高い電圧の電源が用いられる。しかし、金属製のヒーターは、電気抵抗が低い。そのため、上記のような高い電圧の電源を用いた場合、過剰に電流が流れる。その結果、電源回路を損傷させることがあるという問題があった。
【0008】
また、ヒーターが金属製であると、仮にハニカム構造に加工したものであっても、触媒を担持し難い。そのため、ヒーターと触媒とを一体化させることは難しかった。
【0009】
また、導電性セラミックスからなるハニカム構造体の両端部に電極を配設したヒータ付触媒担体は、電極が劣化し易く、抵抗値が上昇することがあった。これは、当該ヒータ付触媒担体を自動車に搭載して使用する際に、電極が、排ガスに直接暴露されるためである。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、更に耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を提供することを目的とする。
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体を提供する。
【0012】
[1] 流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する筒状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備え、前記ハニカム構造部の電気抵抗率が、1〜200Ωcmであり、前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の一方の端部から、前記セルの延びる方向において前記ハニカム構造部の前記一方の端部側を向いている前記電極部の端部までの距離が、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の長さの1〜10%であるハニカム構造体。
【0013】
[2] 前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の一方の端部から、前記セルの延びる方向において前記ハニカム構造部の前記一方の端部側を向いている前記電極部の端部までの距離が、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の長さの1〜10%であり、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の他方の端部から、前記セルの延びる方向において前記ハニカム構造部の前記他方の端部側を向いている前記電極部の端部までの距離が、前記セルの延びる方向における前記ハニカム構造部の長さの1〜10%である[1]に記載のハニカム構造体。
【0014】
[3] 前記帯状の電極部の外周形状が、長方形の少なくとも一の角部が曲線状に形成された形状、又は長方形の少なくとも一の角部が直線状に面取りされた形状である[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
【0015】
[4] 前記電極部の電気抵抗率が、0.01〜100Ωcmである[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[5] 前記電極部の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率をもつ導電体が、前記電極部の表面に設置された[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0016】
本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造部の電気抵抗率が1〜200Ωcmである。そのため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができる。また、本発明のハニカム構造体は、一対の電極部のそれぞれが、ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、本発明のハニカム構造体は、セルの延びる方向に直交する断面において、一対の電極部における一方の電極部が、一対の電極部における他方の電極部に対して、ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設される。そのため、本発明のハニカム構造体は、電圧を印加したときの温度分布の偏りを抑制することができる。更に、本発明のハニカム構造体は、「ハニカム構造部の一方の端部」から、「セルの延びる方向において「ハニカム構造部の上記一方の端部側」を向いている「電極部の端部」」までの距離が、セルの延びる方向におけるハニカム構造部の長さの1〜10%である。そのため、本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造体を内燃機関の排気システムに搭載して使用した際に、急激な温度変化があっても、ハニカム構造部に大きな応力が生じることを抑制することができる。上記「ハニカム構造部の一方の端部」は、セルの延びる方向におけるハニカム構造部の一方の端部のことである。更に、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、均一に発熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す正面図である。
図3】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
図4】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図5】電極部を模式的に示す平面図である。
図6】電極部を模式的に示す平面図である。
図7A】電極部を模式的に示す平面図である。
図7B】電極部を模式的に示す平面図である。
図8】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す正面図である。
図9】本発明のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図10】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す正面図である。
図11図10における、A−A’断面を示す模式図である。
図12】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す側面図である。
図13】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0019】
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1図4に示すハニカム構造体100のように、多孔質の隔壁1と最外周に位置する外周壁3とを有する筒状のハニカム構造部4と、ハニカム構造部4の側面5に配設された一対の電極部21,21とを備えている。隔壁1は、「流体の流路となる、一方の端面11から他方の端面12まで延びる」複数のセル2を区画形成するものである。ハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の電気抵抗率が、1〜200Ωcmである。ハニカム構造体100の一対の電極部21,21のそれぞれは、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、ハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。更に、距離D1が、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の長さLの1〜10%である。距離D1は、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の一方の端部4aから、セル2の延びる方向においてハニカム構造部4の一方の端部4a側を向いている電極部21の端部(電極部の一方の端部21a)までの距離のことである。図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す正面図である。図3は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図4は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。尚、図4においては、隔壁が省略されている。
【0020】
このように、本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の電気抵抗率が1〜200Ωcmである。そのため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができる。また、ハニカム構造体100は、一対の電極部21,21のそれぞれが、帯状に形成され、一方の電極部21が、他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心を挟んで反対側に配設されている。そのため、一対の電極部21,21間に電圧を印加したときの、ハニカム構造部4の温度分布の偏りを抑制することができる。更に、ハニカム構造体100は、距離D1が、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の長さLの1〜10%である。そのため、急激な温度変化があったときに、ハニカム構造部4に大きな応力が生じることを抑制することができる。
【0021】
尚、「一方の電極部21が、他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設される」とは、一対の電極部21,21が、下記位置関係(P)を満たすように、ハニカム構造部4に配設されることを意味する。上記位置関係(P)とは、セル2の延びる方向に直交する断面において、線分(A)と線分(B)とにより形成される角度βが、170°〜190°の範囲となるような位置関係のことである。上記線分(A)は、一方の電極部21の中央点(「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点)とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ線分のことである。上記線分(B)は、他方の電極部21の中央点(「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点)とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ線分のことである。角度βは、「中心O」を中心とする角度のことである。
【0022】
本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁1及び外周壁3の材質が、珪素−炭化珪素複合材又は炭化珪素材を主成分とするものであることが好ましく、珪素−炭化珪素複合材又は炭化珪素であることが更に好ましい。「隔壁1及び外周壁3の材質が、珪素−炭化珪素複合材又は炭化珪素材を主成分とするものである」というときは、隔壁1及び外周壁3が、珪素−炭化珪素複合材又は炭化珪素材を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。このような材質を用いることにより、ハニカム構造部の電気抵抗率を1〜200Ωcmにすることができる。ここで、珪素−炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものである。複数の炭化珪素粒子は、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。また、炭化珪素材は、炭化珪素粒子同士が焼結したものである。ハニカム構造部の電気抵抗率は、400℃における値である。
【0023】
図1図4に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の側面5に一対の電極部21,21が配設されている。本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21間に電圧を印加することにより、発熱する。印加する電圧は12〜900Vが好ましく、64〜600Vが更に好ましい。
【0024】
図1図4に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、(i)一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、(ii)セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心部Oを挟んで反対側に配設されている。本実施形態のハニカム構造体100は、更に、中心角αの0.5倍が、15〜65°であることが好ましく、30〜60°であることが更に好ましい。中心角αは、セル2の延びる方向に直交する断面における、それぞれの電極部21,21の中心角のことである。中心角αの0.5倍とは、中心角αの0.5倍の角度θのことである。このように、上記(i)のようにするとともに、上記(ii)のようにし、更に、セル2の延びる方向に直交する断面において、それぞれの電極部21,21の中心角αの0.5倍の角度θを、15〜65°とする。このようにすることにより、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部4内を流れる電流の偏りを、より効果的に抑制することができる。これによりハニカム構造部4内の発熱の偏りを抑制することができる。「電極部21の中心角α」は、図4に示されるように、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部21の両端とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ2本の線分により形成される角度である。上記「2本の線分により形成される角度」とは、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部21と線分(a)と線分(b)とにより形成される形状(例えば、扇形)における、中心Oの部分の内角のことである。上記線分(a)は、電極部21の一方の端部と中心Oとを結ぶ線分である。上記線分(b)は、電極部21の他方の端部と中心Oとを結ぶ線分である。
【0025】
また、一方の電極部21の「中心角αの0.5倍の角度θ」は、他方の電極部21の「中心角αの0.5倍の角度θ」に対して、0.8〜1.2倍の大きさであることが好ましく、1.0倍の大きさ(同じ大きさ)であることが更に好ましい。これにより、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部4内を流れる電流の偏りを抑制することができる。その結果、ハニカム構造部4内の発熱の偏りを抑制することができる。
【0026】
図2に示すように、距離D1が、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の長さLの1〜10%である。距離D1は、長さLの2%より長いことが好ましい。また、距離D1は、長さLの8%より短いことが好ましい。上記距離D1をこのような範囲にすることにより、ハニカム構造体を内燃機関の排気システムに搭載して使用した際に、急激な温度変化があっても、ハニカム構造部に大きな応力が生じることを抑制することができる。更に、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、均一に発熱させることができる。これにより、本実施形態のハニカム構造体は、耐熱衝撃性に優れるとともに、通電による均一な発熱を実現できる。距離D1が、長さLの1%より短いと、ハニカム構造部4の、端部付近であって電極部21との境界付近に大きな応力が発生する。その結果、クラックが発生しやすくなるため好ましくない。特に、ハニカム構造部4の、「電極部21の角部」付近に大きな応力が発生し易い。また、距離D1が、長さLの10%より大きいと、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、均一に発熱させることができなくなるため好ましくない。距離D1は、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の一方の端部4aから、セル2の延びる方向において「ハニカム構造部4の一方の端部4a側」を向いている「電極部21の端部(電極部の一方の端部)21a」までの距離のことである。別言すれば、距離D1は、ハニカム構造部4の一方の端部4aから電極部21の一方の端部21aまでの距離のことである。
【0027】
また、図2に示すように、距離D1が、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の長さLの1〜10%であり、かつ、距離D2が、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の長さLの1〜10%であることが好ましい。距離D1及び距離D2のそれぞれは、長さLの2〜8%であることが更に好ましい。このように、距離D1と距離D2との両方が、長さLの1〜10%であることにより、以下の利点がある。即ち、ハニカム構造体を内燃機関の排気システムに搭載して使用した際に、急激な温度変化があっても、ハニカム構造部に大きな応力が生じることを更に効果的に抑制することができる。更に、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、更に効果的に均一発熱させることができる。距離D1と距離D2とは同じ距離であることが好ましいが、異なる距離であってもよい。また、一対の電極部21,21のそれぞれについての距離D1,D1は、同じ距離であることが好ましいが、異なっていてもよい。更に、一対の電極部21,21のそれぞれについての距離D2,D2は、同じ距離であることが好ましいが、異なっていてもよい。距離D2は、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の他方の端部4bから、セル2の延びる方向において「ハニカム構造部4の他方の端部4b側」を向いている「電極部21の端部(電極部の他方の端部)21b」までの距離のことである。別言すれば、距離D2は、ハニカム構造部4の他方の端部4bから電極部21の他方の端部21bまでの距離のことである。
【0028】
尚、「セル2の延びる方向において「ハニカム構造部4の一方の端部4a側」を向いている「電極部21の端部(電極部の一方の端部)21a」」とは、以下のように定義される。即ち、電極部21の両端部21a,21bの中で、排ガスが流れるときの「上流側」に位置する「端部」(電極部の一方の端部21a)のことである。上記定義では、ハニカム構造部4の一方の端部4aを、排ガスが流れるときの「上流側」の端部とし、ハニカム構造部4の他方の端部4bを、排ガスが流れるときの「下流側」の端部としている。また、「セル2の延びる方向において「ハニカム構造部4の他方の端部4b側を向いている」電極部21の端部(電極部の一方の端部)21b」とは、以下のように定義される。即ち、電極部21の両端部21a,21bの中で、排ガスが流れるときの「下流側」に位置する「端部」(電極部の一方の端部21a)のことである。上記定義では、ハニカム構造部4の一方の端部4aを、排ガスが流れるときの「上流側」の端部とし、ハニカム構造部4の他方の端部4bを、排ガスが流れるときの「下流側」の端部としている。
【0029】
本実施形態のハニカム構造体においては、例えば、図1図4に示されるように、電極部21は、平面状の長方形の部材を、円筒形状の外周に沿って湾曲させたような形状となっている。ここで、湾曲した電極部21を、湾曲していない平面状の部材に変形したときの形状を、電極部21の「平面形状」と称することにする。上記、図1図4に示される電極部21の「平面形状」は、長方形になる。そして、「電極部の外周形状」というときは、「電極部の平面形状における外周形状」を意味する。
【0030】
本実施形態のハニカム構造体においては、図1図4に示されるように、帯状の電極部21の外周形状が長方形であってもよい。好ましい態様としては、図5に示されるように、帯状の電極部21の外周形状が、長方形の角部が曲線状に形成された形状である。また、図6に示されるように、帯状の電極部21の外周形状が、長方形の角部が直線状に面取りされた形状であることも好ましい態様である。
【0031】
図5に示される電極部21の外周形状は、長方形の4つの角部が曲線状に形成された形状である。電極部21の外周形状は、少なくとも一の角部が曲線状に形成された形状であればよい。電極部21の外周形状が、長方形の少なくとも一の角部が曲線状に形成された形状であることにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を更に向上させることができる。電極部21の外周形状の好ましい態様は、長方形の4つの角部が曲線状に形成された形状である。電極部の角部が直角であると、ハニカム構造部における「当該電極部の角部」付近の応力が他の部分と比較して相対的に高くなる傾向にある。これに対し、電極部の角部を曲線状にすると、ハニカム構造部における「当該電極部の角部」付近の応力を更に低下させることが可能となる。
【0032】
曲線状に形成された角部は、図5に示されるように、円弧状であることが好ましいが、円弧以外の曲線であってもよい。また、曲線状に形成された角部と、長方形の「辺」に相当する部分とは、滑らかにつながっていることが好ましい。別言すれば、上記角部と長方形の「辺」に相当する部分とは、接続部分のそれぞれの接線が共通になっていることが好ましい。また、上記角部と長方形の「辺」に相当する部分とは、頂点を形成するように尖った接続部分を形成してもよい。尖った接続部分を形成する場合、当該接続部分の内角が90°以上であることが好ましい。尚、接続部分とは、直線と直線、曲線と直線、又は曲線と曲線が接続されている部分である。例えば、長方形の場合、2つの辺が接続されている角部(頂点部分)のことである。また、図5に示されるように、曲線状に形成された角部は、外側に凸になっているが、内側に凸(外側に凹)であってもよい。曲線状に形成された角部が内側に凸の場合、接続部分の内角が90°以上であることが好ましい。曲線と直線とが接続されている場合の「内角」は、直線と、接続部分における曲線の接線との角度である。
【0033】
「曲線状に形成された角部」の「セルの延びる方向Iにおける」長さを角部のセル方向長さEとする。角部のセル方向長さEは、電極部21の「セルの延びる方向Iにおける」長さの2〜35%が好ましく、5〜25%が更に好ましい。2%より短いと、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を更に向上させる効果が低くなることがある。35%より長いと、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、均一に発熱させ難くなることがある。また、「曲線状に形成された角部」の「セルの延びる方向Iに直交する方向における」長さを角部の垂直方向長さFとする。角部の垂直方向長さFは、電極部21の「セルの延びる方向Iに直交する方向における」長さの2〜35%が好ましく、5〜25%が更に好ましい。2%より短いと、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を更に向上させる効果が低くなることがある。35%より長いと、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、均一に発熱させ難くなることがある。
【0034】
また、図6に示される電極部21の外周形状は、長方形の4つの角部が直線状に面取りされた形状である。電極部21の外周形状は、少なくとも一の角部が直線状に面取りされた形状であればよい。電極部21の外周形状の好ましい態様は、長方形の4つの角部が直線状に面取りされた形状である。電極部21の外周形状を、長方形の少なくとも一の角部が直線状に面取りされた形状とすることにより、「電極部21の外周形状を、長方形の少なくとも一の角部が曲線状に形成された形状とする」ときに得られた効果と同様の効果を得ることができる。角部を曲線状にするほうが、より高い効果を得ることができる。
【0035】
「直線状に面取りされた角部」の「セルの延びる方向Iにおける」長さを角部のセル方向長さGとする。角部のセル方向長さGは、電極部21の「セルの延びる方向Iにおける」長さの2〜35%が好ましく、5〜25%が更に好ましい。2%より短いと、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を更に向上させる効果が低くなることがある。35%より長いと、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、均一に発熱させ難くなることがある。また、「直線状に面取りされた角部」の「セルの延びる方向Iに直交する方向における」長さを角部の垂直方向長さHとする。角部の垂直方向長さHは、電極部21の「セルの延びる方向Iに直交する方向における」長さの2〜35%が好ましく、5〜25%が更に好ましい。2%より短いと、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を更に向上させる効果が低くなることがある。35%より長いと、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、均一に発熱し難くなることがある。電極部2の外周形状は、曲線状に形成された角部と、直線状に面取りされた角部の両方を有する長方形であってもよい。
【0036】
また、本明細書における「帯状」は、シート状または膜状ということもできる。つまり、本明細書における「電極部」は、本明細書における「電極端子突起部」のように外側に向かって突出したものを含まない。
【0037】
本実施形態のハニカム構造体においては、電極部が、「内角が90°未満の角部」を有さないことが好ましい。電極部が、「内角が90°未満の角部」を有すると、ハニカム構造体に熱衝撃を与えたときに、当該電極部の「内角が90°未満の角部」付近において、ハニカム構造部に高い応力がかかり易いためである。
【0038】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、帯状の電極部の、ハニカム構造部のセルの延びる方向における少なくとも一方の端部の形状が、波状、円弧状、等、曲線で構成されていることも好ましい態様である。また、曲線と直線を複合的に使用するのも好ましい。図7Aに示されるように、帯状の電極部21の、ハニカム構造部のセルの延びる方向Iにおける両端部(電極部の一方の端部21a、電極部の他方の端部21b)の形状が、波状であることも好ましい態様である。このように、少なくとも一方の端部の形状が、波状であることにより、電極部内に大きな応力が生じることを抑制することができる。また、図7Bに示されるように、帯状の電極部21の、ハニカム構造部の周方向Jにおける両端部の形状が、波状であることも好ましい態様である。これにより、電極部内に大きな応力が生じることを抑制することができる。更に、帯状の電極部21の、外周全体が波状であることも好ましい態様である。これにより、電極部内に大きな応力が生じることを抑制することができる。尚、電極部の端部が波状に形成されている場合のように、電極部の端部からハニカム構造部の端部までの距離が、一定でない場合には、最も近い部分における距離が、ハニカム構造部の長さの1〜10%である。
【0039】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、帯状の電極部の外周形状が、頂点を有さない滑らかな形状であるか、又は、角部(頂点部分)を有すると共に「少なくとも一の角部」の内角が90°を超える形状であることも好ましい態様である。また、電極部の外周形状が、角部を有する場合、全ての角部の内角が90°を超えることが更に好ましい。これにより、ハニカム構造体を内燃機関の排気システムに搭載して使用した際に、急激な温度変化があっても、ハニカム構造部に大きな応力が生じることを抑制することができる。
【0040】
本実施形態のハニカム構造体においては、電極部21の電気抵抗率は、均一であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。電極部21の電気抵抗率が均一である場合、電極部21の電気抵抗率は、0.01〜100Ωcmであることが好ましく、0.1〜100Ωcmであることが更に好ましく、0.1〜50Ωcmであることが特に好ましい。電極部21の電気抵抗率をこのような範囲にすることにより、一対の電極部21,21が、高温の排ガスが流れる配管内において、効果的に電極の役割を果たす。電極部21の電気抵抗率が0.01Ωcmより小さいと、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部21の両端付近のハニカム構造部の温度が上昇し易くなることがある。電極部21の電気抵抗率が100Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなる。そのため、電極としての役割を果たし難くなることがある。電極部の電気抵抗率は、400℃における値である。
【0041】
電極部21の電気抵抗率が部分的に異なる場合、図8図9に示すハニカム構造体400のように、電極部21が、中央部21Xと拡張部21Y,21Yとから構成され、電極部21の中央部21Xの電気抵抗率が、電極部21の拡張部21Y,21Yの電気抵抗率より小さいものであることが好ましい。中央部21Xは、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部21の周方向における部分のことである。拡張部21Y,21Yは、セル2の延びる方向に直交する断面において、中央部21Xの周方向における両側に位置する部分のことである。このように、電極部21の中央部21Xの電気抵抗率が、電極部21の拡張部21Yの電気抵抗率より小さいと、電極部21の中央部21Xに電圧を印加したときに、電気抵抗率が低い中央部21Xに電流が容易に流れる。そのため、ハニカム構造体のセルの延びる方向における電流の流れの偏りが小さくなる。これにより、ハニカム構造体4のセル2の延びる方向における温度分布の偏りを効果的に抑制することができる。図8は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す正面図である。図9は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
【0042】
中央部21Xの電気抵抗率は、拡張部21Y,21Yの電気抵抗率の0.0001〜70%が好ましく、0.001〜50%が更に好ましく、0.001〜10%が特に好ましい。0.0001%より小さいと、ハニカム構造部の中心軸に直交する断面における外周方向への電流の流れが小さくなり、温度分布の偏りが大きくなることがある。70%より大きいと、ハニカム構造体400の温度分布の偏りを抑制する効果が低下することがある。
【0043】
また、本実施形態のハニカム構造体においては、電極部21のヤング率は、2〜50GPaであることが好ましく、3〜45GPaであることが更に好ましく、3〜35GPaであることが特に好ましい。電極部21のヤング率をこのような範囲にすることにより、電極部21のアイソスタティック強度を確保できるとともに、ハニカム構造部にクラックが発生し難くなる。電極部21のヤング率が2GPaより小さいと、電極部21のアイソスタティック強度を確保できなくなることがある。電極部21のヤング率が50GPaより大きいと、剛性が高くなるためハニカム構造部にクラックが発生し易くなることがある。ヤング率は、電極部21内で均一であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。ヤング率が部分的に異なる場合、一部が上記範囲内であれば上記効果が得られ、全部が上記範囲内であれば上記効果が更に高まる。
【0044】
電極部のヤング率は、JIS R1602に準拠して、曲げ共振法によって測定した値である。測定に用いる試験片としては、電極部を形成する電極部形成原料からなる複数のシートを積み重ねて積層体を得た後、この積層体を乾燥させ、3mm×4mm×40mmの大きさに切り出したものを用いる。
【0045】
本実施形態のハニカム構造体は、一対の電極部の熱容量の合計を、外周壁全体の熱容量の2〜150%にすることが好ましい。このような範囲とすることにより、電極部に蓄積する熱量が少なくなり、ハニカム構造体の耐熱衝撃性が向上する。そのため、ハニカム構造体を内燃機関の排気システムに搭載して使用した際に、急激な温度変化があっても、ハニカム構造部に大きな応力が生じることを抑制することができる。一対の電極部の熱容量の合計は、外周壁全体の熱容量以下にすること(即ち、2〜100%であること)が更に好ましく、外周壁全体の熱容量より小さくすることが特に好ましい。これにより、電極部に蓄積する熱量が更に少なくなり、ハニカム構造体の耐熱衝撃性が更に向上する。そのため、ハニカム構造体を内燃機関の排気システムに搭載して使用した際に、急激な温度変化があっても、ハニカム構造部に大きな応力が生じることを更に抑制することができる。一対の電極部の熱容量の合計は、電極部の体積をもとに、気孔率、材料の比重、及び比熱を考慮した熱容量計算の方法で導き出した値である。上記「電極部の体積」は、光学顕微鏡で測定された電極部の平均厚みと電極角度(図4における、中心角α)とを用いて計算された電極部の体積のことである。外周壁全体の熱容量は、外周壁の体積をもとに、気孔率、材料の比重、及び比熱を考慮した熱容量計算の方法で導き出した値である。上記「外周壁の体積」は、光学顕微鏡で測定された外周壁の平均厚みを用いて計算された外周壁の体積のことである。尚、本明細書において、電極部が、ハニカム構造部の側面と接触している部分の面積を「電極部の接触面積」とする。また、ハニカム構造部と同軸であり電極部を分割する円筒を仮定し、その円筒に分割された電極部の分割面を仮想分割面とする。更に、この仮想分割面の面積を「仮想分割面積」とする。帯状の電極部と後述する「電極端子突起部」のように外側に向かって突出したものとの境界が明確でない場合、本明細書における「電極部の熱容量」の算出に際しては、上記「仮想分割面積」が、上記「電極部の接触面積」の90%以上となる部分を「電極部」とする。即ち、上記の場合、本明細書における「電極部の熱容量」の算出に際しては、上記「仮想分割面積」が、上記「電極部の接触面積」の90%未満となる部分は電極部ではないものとする。
【0046】
本実施形態のハニカム構造体においては、「一対の電極部の熱容量の合計が、外周壁全体の熱容量より小さい」場合、具体的には、一対の電極部の熱容量の合計が、外周壁全体の熱容量の2〜80%であることが好ましい。下限値は、9%であることが更に好ましく、15%であることが特に好ましい。また、上限値は、75%であることが更に好ましく、50%であることが特に好ましい。2%より小さいと、「電圧を印加したときに、ハニカム構造部の全体に、より均一に電流を流す」という効果が低下することがある。80%より大きいと、耐熱衝撃性を低下させる効果が小さくなることがある。
【0047】
本実施形態のハニカム構造体においては、電極部21の厚さは、0.01〜5mmであることが好ましく0.01〜3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、均一に発熱することができる。電極部21の厚さが0.01mmより薄いと、電気抵抗が高くなり均一に発熱できないことがある。5mmより厚いと、キャニング時に破損することがある。
【0048】
電極部21が、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることが好ましく、通常含有される不純物以外は、炭化珪素粒子及び珪素を原料として形成されていることが更に好ましい。ここで、「炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする」とは、炭化珪素粒子と珪素との合計質量が、電極部全体の質量の90質量%以上であることを意味する。このように、電極部21が炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることにより、電極部21の成分とハニカム構造部4の成分とが同じ成分又は近い成分(ハニカム構造部の材質が炭化珪素である場合)となる。そのため、電極部21とハニカム構造部4の熱膨張係数が同じ値又は近い値になる。また、材質が同じもの又は近いものになるため、電極部21とハニカム構造部4との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極部21がハニカム構造部4から剥れたり、電極部21とハニカム構造部4との接合部分が破損したりすることを防ぐことができる。
【0049】
電極部21は、気孔率が30〜60%であることが好ましく、30〜55%であることが更に好ましい。電極部21の気孔率がこのような範囲であることにより、好適な電気抵抗率が得られる。電極部21の気孔率が、30%より低いと、製造時に変形してしまうことがある。電極部21の気孔率が、60%より高いと、電気抵抗率が高くなり過ぎることがある。気孔率は、水銀ポロシメータ(Micromeritics社製 オートポアIV9505)で測定した値である。
【0050】
電極部21は、平均細孔径が5〜45μmであることが好ましく、7〜40μmであることが更に好ましい。電極部21の平均細孔径がこのような範囲であることにより、好適な電気抵抗率が得られる。電極部21の平均細孔径が、5μmより小さいと、電気抵抗率が高くなり過ぎることがある。電極部21の平均細孔径が、45μmより大きいと、電極部21の強度が弱くなり破損し易くなることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0051】
電極部21の主成分が炭化珪素粒子及び珪素である場合に、電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜70μmであることが好ましく、10〜60μmであることが更に好ましい。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極部21の電気抵抗率を0.1〜100Ωcmの範囲で制御することができる。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、10μmより小さいと、電極部21の電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、70μmより大きいと、電極部21の強度が弱くなり破損し易くなることがある。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0052】
電極部21に含有される「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極部21に含有される珪素の質量の比率が、20〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。電極部21に含有される炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、電極部21の電気抵抗率を0.1〜100Ωcmの範囲で制御することができる。電極部21に含有される炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、20質量%より小さいと、電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。50質量%より大きいと、製造時に変形し易くなることがある。
【0053】
本実施形態のハニカム構造体100は、隔壁厚さが50〜260μmであり、70〜180μmであることが好ましい。隔壁厚さをこのような範囲にすることにより、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持しても、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることを抑制できる。隔壁厚さが50μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。隔壁厚さが260μmより厚いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなることがある。
【0054】
本実施形態のハニカム構造体100は、セル密度が40〜150セル/cmであることが好ましく、70〜100セル/cmであることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cmより低いと、触媒担持面積が少なくなることがある。セル密度が150セル/cmより高いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなることがある。
【0055】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子(骨材)の平均粒子径は、3〜50μmであることが好ましく、3〜40μmであることが更に好ましい。ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることにより、ハニカム構造部4の400℃における電気抵抗率を10〜200Ωcmにすることができる。炭化珪素粒子の平均粒子径が3μmより小さいと、ハニカム構造部4の電気抵抗率が大きくなることがある。炭化珪素粒子の平均粒子径が50μmより大きいと、ハニカム構造部4の電気抵抗率が小さくなることがある。更に、炭化珪素粒子の平均粒子径が50μmより大きいと、ハニカム成形体を押出成形するときに、押出成形用の口金に成形用原料が詰まることがある。炭化珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0056】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4の電気抵抗率は、1〜200Ωcmであり、40〜100Ωcmであることが好ましい。電気抵抗率が1Ωcmより小さいと、例えば、200V以上の高電圧の電源によってハニカム構造体100に通電したときに、電流が過剰に流れることがある。尚、電圧は200Vには限定されない。電気抵抗率が200Ωcmより大きいと、例えば、200V以上の高電圧の電源によってハニカム構造体100に通電したときに、電流が流れ難くなり、十分に発熱しないことがある。尚、電圧は200Vには限定されない。ハニカム構造部の電気抵抗率は、四端子法により測定した値である。ハニカム構造部の電気抵抗率は、400℃における値である。
【0057】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部21の電気抵抗率は、ハニカム構造部4の電気抵抗率より低いものであることが好ましい。更に、電極部21の電気抵抗率が、ハニカム構造部4の電気抵抗率の、20%以下であることが更に好ましく、1〜10%であることが特に好ましい。電極部21の電気抵抗率を、ハニカム構造部4の電気抵抗率の、20%以下とすることにより、電極部21が、より効果的に電極として機能するようになる。
【0058】
本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4の材質が、珪素−炭化珪素複合材である場合、「炭化珪素粒子の質量」と「珪素の質量」とは以下の関係にあることが好ましい。即ち、「炭化珪素粒子の質量」と「珪素の質量」との合計に対する、「珪素の質量」の比率が、10〜40質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることが更に好ましい。10質量%より低いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。40質量%より高いと、焼成時に形状を保持できないことがある。上記「炭化珪素粒子の質量」とは、ハニカム構造部4に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」のことである。上記「珪素の質量」とは、ハニカム構造部4に含有される「結合材としての珪素の質量」のことである。
【0059】
ハニカム構造部4の隔壁1の気孔率は、35〜60%であることが好ましく、45〜55%であることが更に好ましい。気孔率が、35%未満であると、焼成時の変形が大きくなってしまうことがある。気孔率が60%を超えるとハニカム構造体の強度が低下することがある。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0060】
ハニカム構造部4の隔壁1の平均細孔径は、2〜15μmであることが好ましく、4〜8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μmより小さいと、電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。平均細孔径が15μmより大きいと、電気抵抗率が小さくなり過ぎることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0061】
また、本実施形態のハニカム構造体100の最外周を構成する外周壁3の厚さは、0.1〜2mmであることが好ましい。0.1mmより薄いと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。2mmより厚いと、触媒を担持する隔壁の面積が小さくなることがある。
【0062】
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状が、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせ、であることが好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体100に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
【0063】
本実施形態のハニカム構造体100の形状は特に限定されない。例えば、底面が円形の筒状(円筒形状)、底面がオーバル形状の筒状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の筒状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、底面の面積が2000〜20000mmであることが好ましく、4000〜10000mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、50〜200mmであることが好ましく、75〜150mmであることが更に好ましい。
【0064】
本実施形態のハニカム構造体100のアイソスタティック強度は、1MPa以上であることが好ましく、3MPa以上であることが更に好ましい。アイソスタティック強度は、値が大きいほど好ましい。ハニカム構造体100の材質、構造等を考慮すると、6MPa程度が上限となる。アイソスタティック強度が1MPa未満であると、ハニカム構造体を触媒担体等として使用する際に、破損し易くなることがある。アイソスタティック強度は水中にて静水圧をかけて測定した値である。
【0065】
次に、本発明のハニカム構造体の他の実施形態について説明する。図10図12に示されるように、本実施形態のハニカム構造体200は、上記本発明のハニカム構造体100(図1図4参照)において、電気配線を繋ぐための電極端子突起部22が配設されたものである。電極端子突起部22は、ハニカム構造体100において、それぞれの電極部21,21の、セルの延びる方向に直交する断面における中央部であり、且つセルの延びる方向における中央部に配設されている。電極端子突起部22は、電極部21,21間に電圧を印加するために、電源からの配線を接続する部分である。このように、電極端子突起部22が配設されることにより、電極部に電圧を印加したときに、ハニカム構造部の温度分布の偏りを、より小さくすることができる。図10は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す正面図である。図11は、図10における、A−A’断面を示す模式図である。図12は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す側面図である。
【0066】
本実施形態のハニカム構造体200の各条件は、下記条件(X)以外は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100)における各条件と同じであることが好ましい。条件(X)とは、「それぞれの電極部21,21の、セル2の延びる方向に直交する断面における中央部であり、且つセル2の延びる方向における中央部に、電気配線を繋ぐための電極端子突起部22が配設されている」ことである。
【0067】
電極部21の主成分が炭化珪素粒子及び珪素である場合、電極端子突起部22の主成分も、炭化珪素粒子及び珪素であることが好ましい。このように、電極端子突起部22が、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることにより、電極部21の成分と電極端子突起部22の成分とが同じ(又は近い)成分となる。そのため、電極部21と電極端子突起部22の熱膨張係数が同じ(又は近い)値になる。また、材質が同じ(又は近く)になるため、電極部21と電極端子突起部22との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極端子突起部22が電極部21から剥れたり、電極端子突起部22と電極部21との接合部分が破損したりすることを防ぐことができる。ここで、「電極端子突起部22が、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする」というときは、電極端子突起部22が、炭化珪素粒子及び珪素を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0068】
電極端子突起部22の形状は、特に限定されず、電極部21に接合でき、電気配線を接合できる形状であればよい。例えば、図10図12に示すように、電極端子突起部22は、四角形の板状の基板22aに、円柱状の突起部22bが配設された形状であることが好ましい。このような形状にすることにより、電極端子突起部22は、基板22aにより電極部21に強固に接合されることができる。そして、突起部22bにより電気配線を確実に接合させることができる。
【0069】
電極端子突起部22において、基板22aの厚さは、1〜5mmが好ましい。このような厚さとすることにより、電極端子突起部22を確実に電極部21に接合することができる。1mmより薄いと、基板22aが弱くなり、突起部22bが基板22aから、はずれやすくなることがある。5mmより厚いと、ハニカム構造体を配置するスペースが必要以上に大きくなることがある。
【0070】
電極端子突起部22において、基板22aの長さ(幅)は、電極部21の長さの、10〜50%であることが好ましく、20〜40%であることが更に好ましい。このような範囲にすることにより、電極端子突起部22が、電極部21から外れ難くなる。10%より短いと、電極端子突起部22が、電極部21から外れ易くなることがある。50%より長いと、質量が大きくなることがある。上記「基板22aの長さ(幅)」は、基板22aの、「ハニカム構造部4の、セルの延びる方向に直交する断面における外周方向」における長さのことである。上記「電極部21の長さ」は、電極部21の、「ハニカム構造部4の、セルの延びる方向に直交する断面における外周方向(外周に沿った方向)」における長さのことである。電極端子突起部22において、基板22aの「セル2の延びる方向」における長さは、ハニカム構造部4のセルの延びる方向における長さの、5〜30%が好ましい。基板22aの「セル2の延びる方向」における長さをこのような範囲とすることにより、十分な接合強度が得られる。基板22aの「セル2の延びる方向」における長さを、ハニカム構造部4のセルの延びる方向における長さの5%より短くすると、電極部21から外れ易くなることがある。そして、30%より長くすると、質量が大きくなることがある。
【0071】
電極端子突起部22において、突起部22bの太さは3〜15mmが好ましい。このような太さにすることにより、突起部22bに、電気配線を確実に接合させることができる。3mmより細いと突起部22bが折れ易くなることがある。15mmより太いと、電気配線を接続し難くなることがある。また、突起部22bの長さは、3〜20mmが好ましい。このような長さにすることにより、突起部22bに、電気配線を確実に接合させることができる。3mmより短いと電気配線を接合し難くなることがある。20mmより長いと、突起部22bが折れ易くなることがある。
【0072】
電極端子突起部22の電気抵抗率は、0.1〜2.0Ωcmであることが好ましく、0.1〜1.0Ωcmであることが更に好ましい。電極端子突起部22の電気抵抗率をこのような範囲にすることにより、高温の排ガスが流れる配管内において、電極端子突起部22から、電流を電極部21に効率的に供給することができる。電極端子突起部22の電気抵抗率が2.0Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなるため、電流を電極部21に供給し難くなることがある。
【0073】
電極端子突起部22は、気孔率が30〜45%であることが好ましく、30〜40%であることが更に好ましい。電極端子突起部22の気孔率がこのような範囲であることにより、適切な電気抵抗率が得られる。電極端子突起部22の気孔率が、45%より高いと、電極端子突起部22の強度が低下することがある。特に突起部22bの強度が低下すると、突起部22bが折れ易くなることがある。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0074】
電極端子突起部22は、平均細孔径が5〜20μmであることが好ましく、7〜15μmであることが更に好ましい。電極端子突起部22の平均細孔径がこのような範囲であることにより、適切な電気抵抗率が得られる。電極端子突起部22の平均細孔径が、20μmより大きいと、電極端子突起部22の強度が低下することがある。特に突起部22bの強度が低下すると、突起部22bが折れ易くなることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0075】
電極端子突起部22の主成分が炭化珪素粒子及び珪素である場合に、電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜60μmであることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極端子突起部22の電気抵抗率を、0.1〜2.0Ωcmにすることができる。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、10μmより小さいと、電極端子突起部22の電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、60μmより大きいと、電極端子突起部22の電気抵抗率が小さくなり過ぎることがある。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0076】
電極端子突起部22に含有される「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極端子突起部22に含有される珪素の質量の比率が、20〜40質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることが更に好ましい。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、0.1〜2.0Ωcmの電気抵抗率を得やすくなる。電極端子突起部22に含有される炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計に対する、珪素の質量の比率が、20質量%より小さいと、電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。そして、40質量%より大きいと、製造時に変形してしまうことがある。
【0077】
次に、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態について説明する。本実施形態のハニカム構造体300は、上述した、図1図4に示される、本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100)において、電極部21の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率をもつ導電体23が、電極部21の表面に設置されたものである。従って、本実施形態のハニカム構造体300は、導電体23を有すること以外は、上記本発明のハニカム構造体100(図1図4参照)と、同じ条件であることが好ましい。図13は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す正面図である。
【0078】
このように、本実施形態のハニカム構造体300は、電極部21の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率をもつ導電体23が、電極部21の表面に設置されたものである。そのため、導電体23に電圧を印加することにより、ハニカム構造部の全体に、より均一に電流を流すことが可能になる。
【0079】
導電体23の電気抵抗率は、電極部21の電気抵抗率の0.0001〜70%が好ましく、0.001〜50%が更に好ましく、0.001〜10%が特に好ましい。0.0001%より小さいと、ハニカム構造部の中心軸に直交する断面における外周方向への電流の流れが小さくなり、温度分布の偏りが大きくなることがある。70%より大きいと、ハニカム構造体300の温度分布の偏りを抑制する効果が低下することがある。電気抵抗率は、400℃における値である。
【0080】
導電体23の形状は、特に限定されない。図13に示されるように、電極部の一方の端部21aから電極部の他方の端部21bに亘る、長方形であることが好ましい。導電体23は、電極部の両端部間に亘らなくてもよい。即ち、導電体23の端部と電極部の端部との間に隙間があってもよい。導電体23の長さは、電極部21の長さの50%以上が好ましく、80%以上が更に好ましく、100%が特に好ましい。50%より短いと、電圧を印加したときに、ハニカム構造部の全体に、より均一に電流を流すという効果が低下することがある。上記「導電体23の長さ」は、「ハニカム構造部のセル」の延びる方向における長さのことである。上記「電極部21の長さ」は、「ハニカム構造部のセル」の延びる方向における長さのことである。
【0081】
また、導電体23の周方向(ハニカム構造部の外周における周方向)の長さは、電極部の周方向の長さ以下の長さであれば特に限定されない。導電体23の周方向の長さは、電極部の周方向の長さの5〜75%が好ましく、10〜60%が更に好ましい。75%より長いと、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部21の両端付近のハニカム構造部の温度が上昇し易くなることがある。5%より短いと、電圧を印加したときに、ハニカム構造部の全体に、より均一に電流を流すという効果が低下することがある。
【0082】
導電体23の材質としては、炭化珪素構造体に珪素が含浸されて気孔率が5%以下となるもの等を挙げることができる。
【0083】
また、導電体23の厚さは、0.1〜2mmが好ましく、0.2〜1.5mmが更に好ましく、0.3〜1mmが特に好ましい。2mmより厚いと、ハニカム構造体の耐熱衝撃性が低下することがある。0.1mmより薄いと、導電体23の強度が低下することがある。
【0084】
尚、本実施形態のハニカム構造体は、触媒担体として使用することができる。本実施形態のハニカム構造体に、公知の触媒を公知の方法で担持することにより、排ガス処理用の触媒として使用することができる。
【0085】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。上記本発明のハニカム構造体の他の実施形態である、ハニカム構造体200(図10図12参照)を製造する方法(以下、「製造方法(A)」と記す場合がある)を示す。
【0086】
まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3〜50μmが好ましく、3〜40μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2〜35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子である。金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。尚、これは、ハニカム構造部の材質を、珪素−炭化珪素系複合材とする場合の成形原料の配合である。ハニカム構造部の材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
【0087】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0〜10.0質量部であることが好ましい。
【0088】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20〜60質量部であることが好ましい。
【0089】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。
【0090】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5〜10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0091】
次に、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0092】
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する構造である。
【0093】
ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、外周壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとする本発明のハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。
【0094】
得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができるためである。乾燥の条件としては、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましい。外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。
【0095】
ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されるものではなく、例えば、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
【0096】
次に、電極部を形成するための電極部形成原料を調合する。電極部の主成分を、炭化珪素及び珪素とする場合、電極部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。尚、中央部及び拡張部からなる電極部を形成する場合には、中央部形成原料及び拡張部形成原料をそれぞれ調合する。中央部形成原料は、中央部の主成分を、炭化珪素及び珪素とする場合、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。拡張部形成原料は、拡張部の主成分を、炭化珪素及び珪素とする場合、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。
【0097】
具体的には、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して、混練して電極部形成原料を作製する。炭化珪素粉末及び金属珪素の合計質量を100質量部としたときに、金属珪素の質量が20〜40質量部となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。金属珪素粉末(金属珪素)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。2μmより小さいと、電気抵抗率が小さくなり過ぎることがある。20μmより大きいと、電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子である。金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。
【0098】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。
【0099】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、15〜60質量部であることが好ましい。
【0100】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。
【0101】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、大気孔ができやすくなり、強度低下を起こすことがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0102】
次に、炭化珪素粉末(炭化珪素)、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して得られた混合物を混練して、ペースト状の電極部形成原料とすることが好ましい。混練の方法は特に限定されず、例えば、縦型の撹拌機を用いることができる。
【0103】
次に、得られた電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の側面に塗布することが好ましい。電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、印刷方法を用いることができる。また、電極部形成原料は、上記本発明のハニカム構造体における電極部の形状及び配置になるように、ハニカム成形体の側面に塗布することが好ましい。具体的には、図1図3に示す本発明のハニカム構造体の一の実施形態のように、距離D1が、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の長さLの1〜10%となるように、電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布することが好ましい。上記距離D1は、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の一方の端部4aから、セル2の延びる方向においてハニカム構造部4の一方の端部4a側を向いている電極部21の端部(電極部の一方の端部21a)までの距離のことである。また、更に、距離D2も、同様に、セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の長さLの1〜10%となるように、電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布することが好ましい。上記距離D2は、上記セル2の延びる方向におけるハニカム構造部4の他方の端部4bから、セル2の延びる方向において「ハニカム構造部4の他方の端部4b側」を向いている「電極部21の端部(電極部の他方の端部)21b」までの距離のことである。尚、中央部及び拡張部からなる電極部を形成する場合には、中央部形成原料及び拡張部形成原料のそれぞれを、乾燥させたハニカム成形体の側面に、図8図9に示されるハニカム構造体400における、電極部21の中央部21X及び拡張部21Yの形状になるように、塗布することが好ましい。中央部形成原料及び拡張部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、電極部形成原料を塗布する場合と同様に、例えば印刷方法を用いることができる。
【0104】
また、電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布する際に、形成される電極部の外周形状が、下記形状となるようにしたりすることも、好ましい態様である。即ち、長方形の少なくとも一の角部が曲線状に形成された形状、又は長方形の少なくとも一の角部が直線状に面取りされた形状である。また、形成される電極部の、「ハニカム構造部のセルの延びる方向」における少なくとも一方の端部の形状が、波状となるようにしたりすることも、好ましい態様である。
【0105】
電極部の厚さは、電極部形成原料を塗布するときの厚さを調整することにより、所望の厚さとすることができる。このように、電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布し、乾燥、焼成するだけで電極部を形成することができる。そのため、非常に容易に電極部を形成することができる。
【0106】
次に、ハニカム成形体の側面に塗布した電極部形成原料を乾燥させることが好ましい。これにより、「乾燥後の「電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体(電極端子突起部形成用部材が貼り付いていないもの)」」を得ることができる。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0107】
次に、電極端子突起部形成用部材を作製することが好ましい。電極端子突起部形成用部材は、ハニカム成形体に貼り付けられて、電極端子突起部となるものである。電極端子突起部形成用部材の形状は、特に限定されないが、例えば、図10図12に示すような形状に形成することが好ましい。そして、得られた電極端子突起部形成用部材を、電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体の、電極部形成原料が塗布された部分に貼り付けることが好ましい。尚、ハニカム成形体の作製、電極部形成原料の調合、及び電極端子突起部形成用部材の作製の、順序はどのような順序でもよい。
【0108】
電極端子突起部形成用部材は、電極端子突起部形成原料(電極端子突起部形成用部材を形成するための原料)を成形、乾燥して得ることが好ましい。電極端子突起部の主成分を、炭化珪素及び珪素とする場合、電極端子突起部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。
【0109】
具体的には、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して、混練して電極端子突起部形成原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が20〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。金属珪素粉末(金属珪素)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。2μmより小さいと、電気抵抗率が小さくなり過ぎることがある。20μmより大きいと、電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素粒子(金属珪素)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子である。金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。
【0110】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0〜10.0質量部であることが好ましい。
【0111】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20〜40質量部であることが好ましい。
【0112】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。
【0113】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、大気孔ができやすくなり、強度低下を起こすことがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折方法で測定した値である。
【0114】
次に、炭化珪素粉末(炭化珪素)、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して得られた混合物を混練して、電極端子突起部形成原料とすることが好ましい。混練の方法は特に限定されず、例えば、混練機を用いることができる。
【0115】
得られた電極端子突起部形成原料を成形して、電極端子突起部形成用部材の形状にする方法は特に限定されず、押し出し成形後に加工する方法を挙げることができる。
【0116】
電極端子突起部形成原料を成形して、電極端子突起部形成用部材の形状にした後に、乾燥させて、電極端子突起部形成用部材を得ることが好ましい。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0117】
次に、電極端子突起部形成用部材を、電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体(ハニカム成形体の電極部形成原料が塗布された部分)に貼り付ける方法は、特に限定されない。上記電極部形成原料を用いて、電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。例えば、まず、電極端子突起部形成用部材の「ハニカム成形体に貼り付く面(ハニカム成形体に接触する面)」に電極部形成原料を塗布する。その後、「当該電極部形成原料を塗布した面」がハニカム成形体に接触するようにして、電極端子突起部形成用部材をハニカム成形体に貼り付けることが好ましい。
【0118】
そして、「電極部形成原料が塗布され、電極端子突起部形成用部材が貼り付けられたハニカム成形体」を乾燥し、焼成して、本発明のハニカム構造体とすることが好ましい。尚、本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100、図1図4参照)を作製する際には、上記、乾燥後の「電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体(電極端子突起部形成用部材が貼り付いていないもの)」を焼成すればよい。
【0119】
このときの乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0120】
また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400〜1500℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200〜1350℃で、1〜10時間、酸素化処理を行うことが好ましい。
【0121】
尚、電極端子突起部形成用部材は、ハニカム成形体を焼成する前に貼り付けてもよいし、焼成した後に貼り付けてもよい。電極端子突起部形成用部材を、ハニカム成形体を焼成した後に貼り付けた場合は、その後に、上記条件によって再度焼成することが好ましい。
【0122】
次に、図13に示される、ハニカム構造体300の製造方法について説明する。ハニカム構造体300の製造方法は、上記製造方法(A)において、「乾燥後のハニカム成形体」を作製した後に、電極端子突起部形成用部材を貼り付けずに、導電体23を配設するものである。
【0123】
「乾燥後のハニカム成形体」に、導電体23を配設する方法としては、導電体23を電極部の表面に貼り付け、焼成する方法等を挙げることができる。上記「乾燥後のハニカム成形体」は、乾燥後の「電極部形成原料が塗布されたハニカム成形体(電極端子突起部形成用部材が貼り付いていないもの)」のことである。
【実施例】
【0124】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0125】
(実施例1)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合した。これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。その後、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部であった。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部であった。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであった。金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は、20μmであった。炭化珪素、金属珪素及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0126】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した。その後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断した。
【0127】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合した。これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、保湿剤としてグリセリン、分散剤として界面活性剤を添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極部形成原料とした。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.5質量部であった。グリセリンの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに10質量部であった。界面活性剤の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.3質量部であった。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであった。金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。混練は、縦型の撹拌機で行った。
【0128】
次に、電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の側面に、厚さ(乾燥、焼成後の厚さ)が0.25mm、「セルの延びる方向に直交する断面において中心角の0.5倍が49.3°」になるようにして、帯状に塗布した。電極部形成原料は、乾燥させたハニカム成形体の側面に、2箇所塗布した。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、2箇所の電極部形成原料を塗布した部分のなかの一方が、他方に対して、ハニカム成形体の中心を挟んで反対側に配置されるようにした。ハニカム成形体の側面に塗布された電極部形成原料の形状は、長方形とした。そして、得られるハニカム構造体において、距離D1及び距離D2が、共に、セルの延びる方向におけるハニカム構造部の長さの1%となるように、電極部形成原料をハニカム成形体の側面に塗布した。上記距離D1は、セルの延びる方向におけるハニカム構造部の一方の端部から、セルの延びる方向においてハニカム構造部の一方の端部側を向いている「電極部の端部」までの距離のことである。即ち、上記距離D1は、「ハニカム端部−電極部端部」間距離のことである。上記距離D2は、セルの延びる方向におけるハニカム構造部の他方の端部から、セルの延びる方向においてハニカム構造部の他方の端部側を向いている「電極部の端部」までの距離のことである。即ち、上記距離D2は、「ハニカム端部−電極部端部」間距離のことである。つまり、得られるハニカム構造体において、電極部の両端部のそれぞれから、ハニカム構造部の両端部のそれぞれまでの距離が、「セルの延びる方向におけるハニカム構造部の長さ」の1%となるようにした。
【0129】
次に、ハニカム成形体に塗布した電極部形成原料を乾燥させた。乾燥条件は、70℃とした。
【0130】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合した。これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極端子突起部形成原料とした。電極端子突起部形成原料を、真空土練機を用いて坏土とした。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに4質量部であった。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに22質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであった。金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0131】
得られた坏土を、図10図12に示される電極端子突起部22のような形状(基板と突起部とからなる形状)に加工し、乾燥して、電極端子突起部形成用部材を得た。また、乾燥条件は、70℃とした。板状の基板22aに相当する部分は、「3mm×12mm×15mm」の大きさとした。また、突起部22bに相当する部分は、底面の直径が7mmで、中心軸方向の長さが10mmの円柱状とした。電極端子突起部形成用部材は2つ作製した。
【0132】
次に、2つの電極端子突起部形成用部材のそれぞれを、ハニカム成形体の2箇所の電極部形成原料を塗布した部分のそれぞれに貼り付けた。電極端子突起部形成用部材は、電極部形成原料を用いて、ハニカム成形体の電極部形成原料を塗布した部分に貼り付けた。その後、「電極部形成原料が塗布され、電極端子突起部形成用部材が貼り付けられたハニカム成形体」を、脱脂し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。
【0133】
得られたハニカム構造体の隔壁の平均細孔径(気孔径)は8.6μmであり、気孔率は45%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。また、ハニカム構造体の、隔壁の厚さは101.6μmであり、セル密度は93セル/cmであった。また、ハニカム構造体の底面は直径93mmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは100mmであった。また、得られたハニカム構造体のアイソスタティック強度は2.5MPaであった。アイソスタティック強度は水中で静水圧をかけて測定した破壊強度である。また、ハニカム構造体の、2つの電極部の、セルの延びる方向に直交する断面における中心角の0.5倍は、49.3°であった。また、電極部の厚さは、0.25mmであった。また、電極部の電気抵抗率は、0.8Ωcmであり、ハニカム構造部の電気抵抗率は、40Ωcmであり、電極端子突起部の電気抵抗率は、0.8Ωcmであった。また、電極部の両端部のそれぞれから、ハニカム構造部の両端部のそれぞれまでの距離(「ハニカム端部−電極部端部」間距離)が、「セルの延びる方向におけるハニカム構造部の長さ」の1%(1mm)であった。
【0134】
尚、ハニカム構造部、電極部及び電極端子突起部の電気抵抗率は、以下の方法で測定した。測定対象と同じ材質で10mm×10mm×50mmの試験片を作成した。つまり、ハニカム構造部の電気抵抗率を測定する場合にはハニカム構造部と同じ材質で試験片を作製した。電極部の電気抵抗率を測定する場合には電極部と同じ材質で試験片を作製した。そして、電極端子突起部の電気抵抗率を測定する場合には電極端子突起部と同じ材質で試験片を作製した。試験片の両端部(長手方向における両端部)全面に銀ペーストを塗布し、配線して通電できるようにした。試験片に電圧印加電流測定装置をつなぎ印加した。試験片中央部に熱伝対を設置し、電圧印加時の試験片温度の経時変化をレコーダーにて確認した。100〜200V印加し、試験片温度が400℃の状態における電流値及び電圧値を測定した。得られた電流値及び電圧値、並びに試験片寸法から電気抵抗率を算出した。
【0135】
得られたハニカム構造体について、以下の方法で、「最大応力」を測定した。また、得られたハニカム構造体に200Vの電圧を印加したときの、「長手方向温度差」を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0136】
(最大応力)
ガスバーナー試験機を用いてハニカム構造体の加熱冷却試験を実施した。その際、ハニカム構造内の最大応力を計算するためのハニカム構造内の温度測定を行った。上記ガスバーナー試験機は、ハニカム構造体を収納する金属ケース内に、ガスバーナーを用いて加熱ガスを供給することができるものである。加熱冷却試験は、具体的には、まず、ガスバーナー試験機の金属ケースに、得られたハニカム構造体を収納(キャニング)した。そして、金属ケース内に、ガスバーナーにより加熱されたガスを供給し、ハニカム構造体内を通過するようにした。金属ケースに流入する加熱ガスの温度条件(入口ガス温度条件)を以下のようにした。まず、5分で950℃まで昇温し、950℃で10分間保持した。その後、5分の速度で100℃まで冷却し、100℃で10分間保持した。その後、「100℃から5分で950℃まで昇温し、950℃で10分間保持し、その後、5分で100℃まで冷却する」という加熱冷却サイクルを100サイクル行った。上記加熱冷却サイクルの際に、ハニカム構造体内部の温度測定を実施した。得られたデータから、FEM解析(Finite Element Method:有限要素法)により、発生する最大応力を求めた。最大応力は、52.0MPa以下が合格である。
【0137】
(長手方向温度差)
得られたハニカム構造体に200Vの電圧を印加する。そのときの、ハニカム構造部の、「セルの延びる方向における中央部」におけるセルの延びる方向に直交する断面の、最高温度を測定した。断面の温度は熱電対で測定した。ハニカム構造部の端面の最低温度を、サーモビジョンを用いて測定した。長手方向温度差は、上記の断面の最高温度と上記の端面の最低温度との差である。長手方向温度差は、120℃以下が合格である。
【0138】
【表1】
【0139】
(実施例2〜6、比較例1〜4)
ハニカム構造体の、「ハニカム端部−電極部端部」間距離を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。尚、電極部の一方の端部からハニカム構造部の一方の端部までの距離と、電極部の他方の端部からハニカム構造部の他方の端部までの距離を、同じ距離とした。実施例1の場合と同様にして、ハニカム構造体の「最大応力」及び「長手方向温度差」を測定した。結果を表1に示す。
【0140】
表1より、「ハニカム端部−電極部端部」間距離を、1〜10mmとすることにより、「最大応力」を小さくしながら、「長手方向温度差」を小さくすることができることがわかる。また、「ハニカム端部−電極部端部」間距離を、1mmより小さくすると、「最大応力」が急激に大きくなることがわかる。また、「ハニカム端部−電極部端部」間距離を、10mmより大きくすると、「長手方向温度差」が急激に大きくなることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明のハニカム構造体は、自動車の排ガスを浄化する排ガス浄化装置用の触媒担体として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0142】
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、4a:ハニカム構造部の一方の端部、4b:ハニカム構造部の他方の端部、5:側面、11:一方の端面、12:他方の端面、21:電極部、21a:電極部の一方の端部、21b:電極部の他方の端部、21X:中央部、21Y:拡張部、22:電極端子突起部、22a:基板、22b:突起部、23:導電体、100,200,300,400:ハニカム構造体、O:中心、D1,D2:距離、E,G:角部のセル方向長さ、F,H:角部の垂直方向長さ、I:セルの延びる方向、J:周方向、L:長さ、α:中心角、θ:中心角の0.5倍の角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13