【実施例】
【0018】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0019】
本実施例は、車両20が通行する道路21に設ける振動発電装置10であって、この振動発電装置10を複数備えた振動発電システムSである。
【0020】
具体的には、この振動発電システムSは、
図1に図示したように道路21に設けられる複数の振動発電装置10と、この各振動発電装置10(圧電素子2)で発電した電力を該振動発電装置10(圧電素子2)から延設される電線24を介して蓄電する蓄電部25とを備えている。
【0021】
尚、この蓄電部25に蓄電された電気は、例えば道路21の脇に設置される照明や電光標識などの電源として利用される。また、道路21での設置については交通量の多い道路が望ましく、設置量を多くして発電所としての役割も果たすことができる。
【0022】
振動発電装置10は、
図1,2に図示したように
表面部1’が路面に露出するように道路21に埋設され、天板部1A,側板部1B及び底板部1Cから成る箱状基体1で構成されている。
【0023】
箱状基体1は、適宜な金属製の部材(アルミ)で形成した細長箱状体であり、即ち、平面視長方形状の天板部1Aと、前後左右の側板部1Bと、天板部1Aに対向する底板部1Cとで構成され、この各板部1A,1B,1C同士は図示省略の止着手段を介して分離自在に連結されている。
【0024】
尚、箱状基体1は、金属製に限らず、例えば合成樹脂製やFRP製などでも良いが、圧電素子2に振動を伝える素材としては金属が有効と考えられる。
【0025】
また、この箱状基体1は、天板部1A,前後の側板部1B及び底板部1Cの板厚は約5cm、左右の側板部1Bの板厚は約1cm、長さは設置する道路21の巾(本実施例では片側車線の巾)に対応した長さに設定され、巾は約20cm、高さは約20cmに設定されている。
【0026】
尚、箱状基体1の各サイズは適宜設定し得るものである。
【0027】
また、箱状基体1の天板部1Aの
裏面部1”には、振動により発電する圧電素子2(ピエゾ素子)が多数設けられている。
【0028】
この圧電素子2は公知構造、即ち、圧電材料(例えば水晶やセラミックなど)を一対の電極で挟んだ構造であり、振動による圧力を電力に変換するものである。
【0029】
尚、この圧電素子2の構造としては、前述した構造の他にも本実施例の特性を発揮する構造であれば適宜採用し得るものである。
【0030】
また、箱状基体1における天板部1Aの
表面部1’には凸部3が設けられている。
【0031】
この凸部3は、箱状基体1の長さ方向(道路21の巾方向)に所定長を有する凸条であり、この凸部3は箱状基体1の巾方向(設置する道路21の長さ方向)に2本並設されている。
【0032】
本実施例では、天板部1Aの
表面部1’に金属製(ステンレス製)の断面半円形の棒体(半径約2cm)を該棒体の平坦面を
表面部1’に当接させた状態で配設して構成されている。この凸部3の高さは、車両20のタイヤ20aが通過した際に天板部1A及び箱状基体1全体を良好に振動させること、運転に支障を来さないこと及びタイヤ20aの負担を低減することのバランスを考慮した高さである(現在の道路21でも、眠気防止のためとして、既にこのような形態が施工されている。)。尚、凸部3の形状や数や高さは適宜設計変更し得るものである。
【0033】
以上の構成から成る振動発電装置10を実際に前述した振動発電システムSとして構築する場合、
図1に図示したように複数の振動発電装置10を道路21のセンターラインL位置を境界とした左右の車線(互いに進行方向が反対となる車線R1・R2)夫々に、該道路21の長さ方向(約100mの範囲内)に間隔(約30cm)を介して並設し、この各振動発電装置10から延設される電線24を蓄電部25に接続する。
【0034】
この際、振動発電装置10に係る箱状基体1は、車両20が通行する道路21に揺動可能に埋設される。
【0035】
具体的には、
図2,3に図示したように道路21には、箱状基体1を配する凹部22が複数設けられ、この各凹部22の内周面と前記箱状基体1の外周面との間に隙間(約5mm程度)が設けられ、箱状基体1は凹部22内に水平方向(
図3中の矢印a方向)及び上下方向(
図3中の矢印b方向)に揺動可能に設けられている。
【0036】
また、凹部22の底面部には排水凹部23が設けられている。
【0037】
この排水凹部23は、凹溝23aとこの凹溝23aの中央部に設けられる集水凹部23bとで構成されており、この排水凹部23により、道路21の路面から隙間を通過して流れる雨水や消雪水が排水処理される。
【0038】
尚、前述した振動発電システムSを設置する道路21は交通量の多いところが望ましいのは勿論あり、交通量調査を行った上で設置場所を検討選択する。
【0039】
本実施例は上述のように構成したから、車両20が箱状基体1の
表面部1’を通過すると、箱状基体1の天板部1Aが振動し、天板部1Aの
裏面部1”に設けた圧電素子2が発電作用を発揮する。
【0040】
この本実施例に係る振動発電装置10は、天板部1Aの
表面部1’に凸部3が設けられており、この凸部3を車両20のタイヤ20aが通過した際には振動が誘発されて天板部1Aが良好に振動する。
【0041】
また、この天板部1Aは内部に空間を有する箱状基体1の一部であり、よって、この箱状基体1の空間内で反響して生じる振動によっても天板部1Aは良好に振動する。
【0042】
よって、本実施例によれば、圧電素子2を設けた天板部1Aを良好に振動させる構造であるから、前述した従来例に比し、圧電素子2を良好に振動させてより多くの発電量が得られることになる。
【0043】
また、本実施例は、凸部3は道路21の巾方向に所定長さを有する凸条であるから、より確実に道路21を通行する車両20のタイヤ20aが踏むことによる振動を得られることになる。
【0044】
また、本実施例は、箱状基体1は、車両20が通行する道路21に揺動可能に埋設されているから、より一層天板部1Aを振動させることができる。
【0045】
また、本実施例は、道路21には箱状基体1を配する凹部22が設けられ、この凹部22の内周面と箱状基体1の外周面との間に隙間が設けられ、確実に箱状基体1が凹部22内で揺動可能となる状態が得られることになる。
【0046】
また、本実施例は、道路21の対向車線夫々に振動発電装置10を配設する構造であるから、効率良い発電、即ち、切れ目のない発電が可能となる。
【0047】
また、本実施例は、凹部22の底面部には排水凹部23が設けられているから、例えば道路21から流入する雨水を排水処理して、常に箱状基体1が良好に揺動する状態が得られることになる。
【0048】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。