(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電性カーボンブラック源として、該導電性カーボンブラック100質量部に対してオイル70〜450質量部を混合したオイル含有導電性カーボンブラックを使用する請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分と、窒素吸着比表面積20〜110m
2/g、DBP吸油量60〜130ml/100gのカーボンブラックと、窒素吸着比表面積900m
2/g以上、DBP吸油量300ml/100g以上、揮発分0.8質量%以上の導電性カーボンブラックとを含有する。
【0014】
充填剤として、所定の窒素吸着比表面積及びDBP吸油量を有するカーボンブラックに加えて、高窒素吸着比表面積及び高DBP吸油量だけでなく、更に多量の揮発分も有する導電性カーボンブラックを使用することで、ゴム成分との相互作用が高まり、ゴム中の分散性が向上するので、良好な導電性が確保されると同時に、破壊性能や低燃費性を改善できる。特に、導電性カーボンブラックとオイルを混合したオイル含有導電性カーボンブラックを用いると、粒状材料となってハンドリング性能が向上すると同時に、破壊性能や低燃費性が顕著に改善される。
【0015】
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、スチレンイソプレンゴム、イソプレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴムが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、破壊性能、低燃費性、コードとの接着性などに優れるという点から、NR、ENR、IRなどのイソプレン系ゴムとSBRを併用することが好ましく、特にNRとSBRを併用することが好ましい。
【0016】
NRとしては、SIR20、RSS♯3、TSR20等を使用できる。IR、ENRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
【0017】
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。40質量%未満であると、充分な破断時伸び、低燃費性、繊維コードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性が得られないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、充分な操縦安定性、耐リバージョン性が得られないおそれがある。
【0018】
SBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
【0019】
SBRのスチレン含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、ゴムの破壊強度が低くなる傾向がある。また、該スチレン含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。40質量%を超えると、ゴムの加工性が悪化する傾向がある。
【0020】
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、充分な操縦安定性、耐リバージョン性が得られないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。60質量%を超えると、充分な破断時伸び、低燃費性、加工性、タイヤの耐久性が得られないおそれがある。
【0021】
NR及びSBRの合計含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%でもよい。80質量%未満であると、破壊強度、低燃費性について、良好な性能バランスが得られないおそれがある。
【0022】
本発明では、充填剤として、所定の窒素吸着比表面積及びDBP吸油量を有するカーボンブラックと、所定の窒素吸着比表面積、DBP吸油量及び揮発分を有する導電性カーボンブラックとが配合されている。これにより、本発明の効果が発揮される。
【0023】
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、20m
2/g以上である。20m
2/g未満であると、補強性が低下し、破壊性能が低下する傾向がある。また、該N
2SAは、110m
2/g以下、好ましくは100m
2/g以下、より好ましくは90m
2/g以下である。110m
2/gを超えると、低燃費性が悪化し、また、分散性に劣り、破壊性能、耐久性が低以下する傾向がある。
【0024】
前記カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、60ml/100g以上、好ましくは70ml/100g以上である。60ml/100g未満であると、補強性が低下し、破壊性能が低下する傾向がある。また、該DBP吸油量は、130ml/100g以下、好ましくは120ml/100g以下である。130ml/100gを超えると、引張破断時の伸びが悪化し、破壊性能、耐久性が低下する傾向がある。
【0025】
前記カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。20質量部未満であると、良好な強度が確保できないおそれがある。該含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。70質量部を超えると、tanδ(転がり抵抗特性)、破壊性能が悪化する傾向がある。
【0026】
前記導電性カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、900m
2/g以上、好ましくは1000m
2/g以上である。900m
2/g未満では、充分な導電性が得られない傾向がある。また、該N
2SAは、好ましくは1200m
2/g以下、より好ましくは1150m
2/g以下、更に好ましくは1100m
2/g以下である。1200m
2/gを超えると、低燃費性が悪化し、また、分散性に劣り、破壊性能、耐久性が低下する傾向がある。
【0027】
前記導電性カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、300ml/100g以上、好ましくは350ml/100g以上である。300ml/100g未満であると、充分な導電性が得られない傾向がある。また、該DBPは、好ましくは600ml/100g以下、より好ましくは500ml/100g以下、更に好ましくは400ml/100g以下である。600ml/100gを超えると、破壊性能、耐久性が低下する傾向がある。
【0028】
前記導電性カーボンブラックの揮発分は、0.8質量%以上、好ましくは0.9質量%以上である。揮発分が0.8質量%未満であると、ゴムとの相互作用が弱くなり、分散性、低燃費性、破壊性能が悪化する恐れがある。また、該揮発分の上限は特に限定されないが、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
【0029】
導電性カーボンブラック中の鉄含有量は、好ましくは60ppm以上、より好ましくは300ppm以上、更に好ましくは800ppm以上、特に好ましくは1000ppm以上である。該鉄含有量は、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下、特に好ましくは1500ppm以下である。
本明細書において、導電性カーボンブラック中の鉄含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置により測定できる。
【0030】
前記導電性カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上である。0.1質量部未満では、良好な導電性が得られず、また、優れた破壊性能、低燃費性が発揮されないおそれもある。該含有量は、3質量部以下、好ましくは2質量部以下である。3質量部を超えると、破壊性能が低下する傾向がある。ここで、導電性カーボンブラックとして後述のオイル含有導電性カーボンブラックを使用する場合、その導電性カーボンブラックの含有量は、これに含まれる導電性カーボンブラック量を意味する。
【0031】
なお、本発明において、前記カーボンブラック及び導電性カーボンブラックのN
2SAはJIS K 6217−2:2001、DBP吸油量はJIS K 6217−4:2001、揮発分はJIS K 6221(1982)により測定される。
【0032】
本発明では、前記導電性カーボンブラック源として、該導電性カーボンブラックにオイルを混合した(該導電性カーボンブラックにオイルを吸油させた)オイル含有導電性カーボンブラックを使用することが好ましい。これにより、ハンドリング性能が改善されるとともに、ゴムとのなじみ易さが向上して分散性が良好となり、破壊性能と低燃費性の性能バランスが顕著に改善される。
【0033】
前記オイル含有導電性カーボンブラックを構成するオイルとしては特に限定されず、適宜選択可能である。前記オイルとしては、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルなどのプロセスオイル;植物油などの天然資源由来のオイル;液状共役ジエンゴム、液状状水素添加共役ジエンゴムなどの液状ゴム;等が挙げられる。なお、オイル分により流動性をコントロールし、未加硫ゴム組成物の粘度を低下させて流動性を高められるため、良好なゴム組成物の押出性も得られる点でも有利である。
【0034】
前記導電性カーボンブラックにオイルを吸収させる方法としては、両成分を接触させることが可能な任意の方法を採用でき、例えば、導電性カーボンブラック及びオイルを混合し、所定温度で所望のオイル量が吸収されるまで撹拌する方法;導電性カーボンブラックにオイルを滴下又はスプレー噴射し、更に所定温度で所望のオイル量が吸収されるまで混合、撹拌する方法などが挙げられる。混合、撹拌には、公知の高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ヘンシェルミキサー等の装置を使用できる。前記所定温度は、オイルの吸収が可能な温度であれば特に限定されず、例えば、20〜100℃、好ましくは40〜80℃である。混合、撹拌時間は、所望のオイル量が吸収される時間を適宜設定すればよい。
【0035】
前記オイル含有導電性カーボンブラックを構成するオイルの配合量は、構成する導電性カーボンブラック100質量部に対して、好ましくは70質量部以上、より好ましくは200質量部以上、更に好ましくは250質量部以上である。70質量部未満であると、125μm未満の微粉量が多くなり、輸送経路の付着・詰まりといったハンドリング性能が悪化する傾向がある。該配合量は、好ましくは450質量部以下、より好ましくは400質量部以下、更に好ましくは350質量部以下である。450質量部を超えると、導電性カーボンブラックが湿潤化されて壁面に付着し易くなり、ハンドリング性能が悪化する傾向がある。
【0036】
前記導電性カーボンブラック及び前記カーボンブラックの配合比率(導電性カーボンブラック/カーボンブラック(質量比率))は、好ましくは0.1/99.9〜15/85、より好ましくは1/99〜10/90である。0.1/99.9未満では、良好な導電性が得られず、また、優れた破壊性能、低燃費性が発揮されないおそれもある。また、15/85を超えると、破壊性能が低下する傾向がある。
【0037】
前記カーボンブラック及び前記導電性カーボンブラックの各充填剤について、窒素吸着比表面積(m
2/g)と前記ゴム成分100質量部に対する配合量(質量部)との積の総和αが3453〜6120であることが好ましい。すなわち、例えば、ゴム組成物が、前記カーボンブラックとしてn種(nは自然数)のカーボンブラックC
1(N
2SA:C
1N(m
2/g))〜C
n(N
2SA:C
nN(m
2/g))をそれぞれC
1D〜C
nD(質量部)含み、前記導電性カーボンブラックとしてm種(mは自然数)のカーボンブラックC
d1(N
2SA:C
d1N(m
2/g))〜C
dm(N
2SA:C
dmN(m
2/g))をそれぞれC
d1D〜C
dmD(質量部)含むものである場合、α=(C
1N×C
1D+C
2N×C
2D+・・・+C
nN×C
nD)+(C
d1N×C
d1D+C
d2N×C
d2D+・・・+C
dmN×C
dmD)である。
【0038】
前記αは、より好ましくは3453〜5185である。3453未満では、ゴム中のカーボン表面積が確保できず、充分な導電性、補強性が得られない傾向があり、6120を超えると、ゴム中におけるカーボン表面積が大きくなり、低燃費性が悪化する傾向がある。
【0039】
前記カーボンブラック及び前記導電性カーボンブラックの含有量の合計は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。該合計含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。上記範囲内の場合、本発明の効果が良好に得られる。
【0040】
本発明のゴム組成物は、オイルの含有量(オイル含有導電性カーボンブラックの場合はそれに含まれるオイル量、他に添加するオイル量の合計量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは7質量部以上である。3質量部未満であると、ハンドリング性能が悪化するおそれがある。該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。30質量部を超えると、低燃費性、破壊性能が低下するおそれがある。
【0041】
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、シリカ、クレー、タルクなどの充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加工助剤、各種老化防止剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
【0042】
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
【0043】
本発明のゴム組成物は、カーカスにおけるカーカスコードを被覆するゴム組成物として好適に使用可能である。カーカスは、従来公知の方法により製造でき、例えば、複数のカーカスコードを引き伸ばして並列に配列した状態でカーカスコードの上下に未加硫のタイヤコード被覆用ゴム組成物をトッピングすることにより作製することができる。カーカスコードとしては、ポリエステルなどの有機繊維からなる繊維コード;スチールからなるスチールコードが挙げられ、なかでも、繊維コードが好ましい。
【0044】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。例えば、各種配合剤とゴム成分とを混練りした後、得られた混練物を用いてカーカスコードを被覆してから、タイヤ成型機上にて通常の方法でカーカス形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、未加硫タイヤを形成し、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
【0045】
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤに特に好適に使用できる。
【実施例】
【0046】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0047】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
SBR:JSR(株)製のJSR1502(スチレン含量25.2質量%)
カーボンブラック(1):三菱化学(株)製のダイアブラックH(N330、N
2SA:79m
2/g、DBP:105ml/100g)
カーボンブラック(2):東海カーボン(株)製のN660(N
2SA:27m
2/g、DBP:87ml/100g)
導電性カーボンブラック(1):LION(株)製のライオナイトCB(N
2SA:1052m
2/g、DBP:378ml/100g、揮発分:1.0質量%、鉄含有量:1330ppm)
導電性カーボンブラック(2):LION(株)製のケッチェンブラックEC300J(N
2SA:800m
2/g、DBP:365ml/100g、揮発分:0.4質量%)
導電性カーボンブラック(3):下記製造例1で調製されたオイル含有導電性カーボンブラック
導電性カーボンブラック(4):下記製造例2で調製されたオイル含有導電性カーボンブラック
導電性カーボンブラック(5):下記製造例3で調製されたオイル含有導電性カーボンブラック
導電性カーボンブラック(6):下記製造例4で製造されたオイル含有導電性カーボンブラック
導電性カーボンブラック(7):下記製造例5で製造されたオイル含有導電性カーボンブラック
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDZ(N、N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0048】
(製造例1)
導電性カーボンブラック(1)(ライオナイトCB)100質量部に対してオイル(ダイアナプロセスAH−24)を100質量部秤量してビーカーに投入し、その後、60℃にてオイルが完全に見えなくなるまで撹拌し、導電性カーボンブラック(3)を得た。
【0049】
(製造例2)
オイル量を200質量部に変更した以外は製造例1と同様にして、導電性カーボンブラック(4)を得た。
【0050】
(製造例3)
オイル量を300質量部に変更した以外は製造例1と同様にして、導電性カーボンブラック(5)を得た。
【0051】
(製造例4)
オイル量を400質量部に変更した以外は製造例1と同様にして、導電性カーボンブラック(6)を得た。
【0052】
(製造例5)
オイル量を500質量部に変更した以外は製造例1と同様にして、導電性カーボンブラック(7)を得た。
なお、導電性カーボンブラック(7)は、表面にオイルがにじみ出ており、ビーカーへの付着が強くて操作が困難であったため、下記試験には供しなかった。
【0053】
<実施例及び比較例>
表1及び2に示す配合処方に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を160℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
【0054】
<評価項目及び試験方法>
1)ハンドリング性能(微粉量)
導電性カーボンブラックについて、JIS K 6219に準拠し、ふるい分け時間である5分後の125μm未満の微粉量を測定した。微粉量が小さいほど、カーボンブラックが粒子としてまとまっており、ハンドリング性能に優れることを示す。
【0055】
2)導電性(体積固有抵抗)
上記加硫ゴム組成物を用いて厚さ2mm、15cm×15cmの試験片を作成し、ADVANTEST社製の電気抵抗測定R8340Aを用いて、温度25℃および相対湿度50%の恒温恒湿条件下で、印加電圧100Vとし、それ以外についてはJIS K 6271:2008に準拠し、ゴム組成物の体積固有抵抗を測定した。値が小さいほどゴム組成物の体積固有抵抗が低く、導電性が良好であることを示す。
【0056】
3)破壊性能
JIS K 6251に準拠し、上記加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)の引張強度と破断伸びを測定した。(引張強度×破断伸び/2)により破壊エネルギーを計算し、比較例1の破壊エネルギー指数を100として、下記式により、各配合の破壊エネルギーを指数表示した。指数が大きいほど、破壊性能に優れることを示す。
(破壊性能指数)=(各配合の破壊エネルギー)/(比較例1の破壊エネルギー)×100
【0057】
4)低燃費性能
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗特性(低燃費性)が優れることを示す。
(低燃費性能指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表1〜2により、1種のカーボンブラックを含む比較例1、更に揮発分が少ない導電性カーボンブラックを含む比較例2〜4に比べて、所定のカーボンブラックと、高窒素吸着比表面積、高DBP吸油量及び高揮発分の導電性カーボンブラックとを含む実施例では、優れた導電性を得ると同時に、破壊性能及び低燃費性の性能バランスを顕著に改善できることが明らかとなった。特に、導電性カーボンブラックとしてオイル含有導電性カーボンブラックを用いることで、ハンドリング性能が改善されるだけでなく、低燃費性や破壊性能を更に改善することが可能となった。