(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792786
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】基板印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41F 15/36 20060101AFI20150928BHJP
B41F 15/12 20060101ALI20150928BHJP
B41F 15/26 20060101ALI20150928BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20150928BHJP
B41F 33/00 20060101ALI20150928BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
B41F15/36 A
B41F15/12 A
B41F15/26 A
B41F15/08 303E
B41F33/00 S
H05K3/28 E
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-237850(P2013-237850)
(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公開番号】特開2014-121874(P2014-121874A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2013年11月18日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0150780
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】向井 範昭
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ジン・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム・スン・ウォン
【審査官】
亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−141027(JP,U)
【文献】
特開平10−202830(JP,A)
【文献】
特開2001−253042(JP,A)
【文献】
特開平01−249346(JP,A)
【文献】
特開平05−124176(JP,A)
【文献】
特開2006−150646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/36
B41F 15/08
B41F 15/12
B41F 15/26
B41F 33/00
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンホールが形成されたマスクと、
前記マスクの外郭を支持するマスク支持部と、
基板の面積の変化によって前記マスクの面積を変化させるように、前記マスクの外郭を垂直方向に加圧し、前記マスクに水平方向への引張力を与えるマスク加圧部と、
を含み、
前記マスク加圧部は、昇降部により上下移動が制御され、
前記昇降部は前記マスク加圧部の高さを個別に制御するシリンダーをさらに備える基板印刷装置。
【請求項2】
前記マスク支持部は、2列に形成され、前記マスク加圧部は、前記2列のマスク支持部の間を加圧する請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項3】
前記シリンダーは、対に構成され、昇降部の両端に設置される請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項4】
前記基板印刷装置は、基板に形成された基板認識マークと前記マスクに形成されたマスク認識マークを認識するカメラをさらに含む請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項5】
前記基板印刷装置は、基板に形成された基板認識マークと前記マスクに形成されたマスク認識マークの位置が一致するように前記マスク加圧部の動作を制御する制御部をさらに含む請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項6】
前記マスク加圧部は、ステッピングモーターにより動作する請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項7】
前記マスクは、外郭部がメッシュ(mesh)で形成される請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項8】
前記メッシュは、ポリエステル材質である請求項7に記載の基板印刷装置。
【請求項9】
前記マスクは、ニッケル(Ni)材質である請求項7に記載の基板印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に回路を印刷する基板印刷装置に関し、より詳しくは、回路パターンが形成されたマスクを利用して基板に回路を印刷する基板印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、印刷回路基板は、多くの熱処理工程を経て製造されるため、基板を形成している有機体の収縮により伸縮が発生する。このような基板の伸縮は、精密印刷工程の最も大きい問題点として注目されている。
【0003】
精密印刷の場合、ピッチ(pitch)が120μm未満であり、基板にはソルダーペーストを印刷するためのパッド(Pad)がほぼ60μmの大きさに形成されており、印刷マスクは、パッドの大きさよりほぼ20μm大きい80μmの大きさで開口されている。
【0004】
そして、印刷作業前に、基板とマスクに形成された認識マークを利用して基板とマスクの整合を実行し、このとき、印刷マスクの大きさに比べて基板の大きさが少しでも大きいか又は小さい場合、印刷品質は急激に落ちるようになる。
【0005】
特に、基板の伸縮は、製造工程、製品デザイン、使われる原資材などによって相当敏感に反応して発生するため、同一の条件と日付に生産された製品、即ち、同一のロット(lot)で構成されて生産された製品においても微細な差が発生するようになる。従って、基板の伸縮を予想してマスクの大きさを決定することも不可能な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許公報第2006−0056019号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑み創案されたものであり、基板の収縮又は膨脹とは関係なく基板とマスクを正確に整合させることができる基板印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明の基板印刷装置は、パターンホールが形成されたマスクと、前記マスクの一面で前記マスクを支持するマスク支持部と、前記マスクの他面で前記マスクを加圧するマスク加圧部と、を含み、前記マスク加圧部は、昇降部により上下移動が制御されることができる。
【0009】
また、前記マスク支持部は、2列に形成され、前記マスク加圧部は、前記2列のマスク支持部の間を加圧することができる。
【0010】
また、前記マスク加圧部は、昇降部の下部のシリンダーと結合されることができる。
【0011】
また、前記シリンダーは、対に構成され、昇降部の両端に設置されることができる。
【0012】
また、前記基板印刷装置は、基板に形成された基板認識マークと前記マスクに形成されたマスク認識マークを認識するカメラをさらに含むことができる。
【0013】
また、前記基板印刷装置は、基板に形成された基板認識マークと前記マスクに形成されたマスク認識マークの位置が一致するように前記マスク加圧部の動作を制御する制御部をさらに含むことができる。
【0014】
また、前記マスク加圧部は、ステッピングモーターにより動作することができ、前記マスクは、外郭部がメッシュ(mesh)で形成されることができる。
【0015】
また、前記メッシュは、ポリエステル材質であってもよい。
【0016】
また、前記マスクは、ニッケル(Ni)材質であってよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による基板印刷装置によると、基板の収縮又は膨脹に対応してマスクに形成されたパターンのスケールを変更させることができるため、基板とマスクを正確に整合させることができ、これにより、基板の印刷品質を顕著に向上させることができる。
【0018】
また、基板の一部の収縮又は膨脹に対応してマスクに形成されたパターンスケールを差等を設けて変更させることができるため、スケール偏差による追加マスク発注がいらないという長所がある。
【0019】
また、本発明による基板印刷装置は、既存設備を部分的に改造することで具現することができるため、新規設備の製作が不要で、設備費用を低減することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】マスクが加圧される前の状態を示す図面である。
【
図3】マスクが加圧された後の状態を示す図面である。
【
図4】本発明の実施形態によるマスク加圧部を示す図面である。
【
図5】マスク加圧部及び昇降部が結合された断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるマスク及びメッシュの多様な伸縮程度を示す図面である。
【
図7】本発明の他の一実施形態によるマスク及びメッシュの多様な伸縮程度を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を説明する。しかし、これは例示に過ぎず、本発明はこれに制限されるものではない。
【0022】
本発明を説明するにあたり、本発明と関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、後述される用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語であり、これはユーザー及び運用者の意図又は慣例などによって変わることができる。従って、本明細書の全般にわたる内容に基づいて定義されなければならない。
【0023】
本発明の技術的思想は、請求範囲により決定され、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に効率的に説明するための一つの手段に過ぎない。
【0024】
図1は、本発明による基板印刷装置の側面図である。
図1を参照すると、本発明による基板印刷装置100は、マスク140、マスク支持部110、及びマスク加圧部120を含むことができ、マスク加圧部120は、昇降部121と結合することができる。
【0025】
前記マスク140にはパターンホールが形成されており、インクがマスク140のパターンホールを通過して基板160に印刷されることによって回路が形成される。基板160は、テーブル180に安着され、真空吸着によりテーブル180に固定されることができる。
【0026】
また、マスク140は、外郭部がメッシュ147で形成され、マスク固定部150により四方が固定された状態に位置する。ここで、前記マスク140は、ニッケル材質で形成され、弾性力を有することができる。また、メッシュ147で形成された外郭部は、軽くて機械的性質が優秀なポリエステル材質を使用することで、マスク140自体の引張力を維持する役割をする。
【0027】
一方、前記マスク支持部110は、前記マスク140の一面を支持し、前記マスク加圧部120は、前記マスク140の他面を加圧する。本発明ではマスク支持部110がマスク140の下面を支持し、マスク加圧部120がマスク140の上面を支持すると図示したが、マスク支持部110がマスク140の上面を支持し、マスク加圧部120がマスク140の下面を加圧するようにすることも可能である。
【0028】
図2は、マスクが加圧される前の状態を示す図面であり、
図3は、マスクが加圧された後の状態を示す図面である。
【0029】
図2に示すように、マスク支持部110がマスク140を支持しており、マスク加圧部120がマスク140の反対面に位置している。そして、
図3に示すように、マスク加圧部120がマスク支持部110の反対面で加圧を開始し、マスク140に引張力が加えられることによってマスク140が伸びるようになる。
【0030】
マスク140の大きさ(伸び)の変化量は、マスク加圧部120の移動量により調節することができる。
【0031】
本発明は、前記のように、マスク支持部110とマスク加圧部120によりマスク140の大きさを変更し、これにより、マスク140に形成されたパターンのスケールを変更させることができる、従って、基板160の収縮又は膨脹とは関係なく基板160とマスク140を常に正確に整合させることができ、基板160の印刷品質が顕著に向上することができる。
【0032】
ここで、前記マスク支持部110は、2列に形成されることができる。そして、マスク加圧部120は、前記2列のマスク支持部110の間を加圧するようにすることができる。マスク加圧部120が2列に形成されたマスク支持部110の間を加圧することによって、張力がマスク加圧部120の一側に偏らずに両側に均等に分布する。従って、マスク加圧部120が一側に偏る現象を防止することができる。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態によるマスク加圧部を示す図面であり、図示したように、マスク140の前後左右部を各々独立的に加圧することができるようにマスク加圧部120が4個に分離されて形成されている。
【0034】
このように、マスク140の前後左右部に各々設置されたマスク加圧部120がそれぞれ独立的に動作することで、基板160に発生する膨脹又は収縮が一方に偏って発生しても、これに対応して基板160とマスク140を正確に整合させることができる。
【0035】
一方、
図5は、マスク加圧部及び昇降部が結合された断面図であり、
図6は本発明の一実施形態によるマスク及びメッシュの多様な伸縮程度を示す図面である。
【0036】
昇降部121は、下段部に対に形成されたシリンダー122をさらに含むことができる。シリンダー122は、昇降部121の下部の両端に設置されることができ、シリンダー122は、マスク加圧締結部124と締結されてマスク加圧部120と結合されることができる。
【0037】
昇降部121は、シリンダー122の上下移動を制御することができるため、マスク加圧部は、昇降部により制御されることができる。
【0038】
このとき、左右に位置したシリンダー122は、独立的に動作することができるため、基板160の一部に膨脹又は収縮が発生しても、これに対応して基板160とマスク140を正確に整合させることができる。
【0039】
基板160は、一律的に膨脹又は収縮が発生しないことがあり、基板160の一部に膨脹又は収縮が発生した場合、マスク加圧部120の全体又は一部を加圧してマスク140を膨脹させるとしても、基板160とマスク140の整合に誤差が発生することができる。
【0040】
従って、シリンダー122は、基板160の一部変形に対応することができるように上下に移動させることができ、シリンダー122が下方に移動すると、マスク加圧部120を加圧してマスク140を膨脹させることができる。
【0041】
マスク加圧部120が下方に移動して基板160の一部膨脹された部分と比例するように左右シリンダー122,123を個別的に制御すると、マスク140上に差等的な圧力が形成され、この過程で基板160とマスク140を正確に整合させることができる。
【0042】
この時、マスク加圧部120の形態は、左右が傾斜した形態であってもよい。基板160の膨脹/収縮の程度はμm単位の微細大きさであるため、
図5に示すマスク加圧部120の傾いた形状は誇張して図示されたことを認知しなければならない。
【0043】
図6を参照すると、マスク加圧部120は、マスク140の前後左右部に各々設置されたマスク加圧部120がそれぞれ独立的に動作することができ、マスク加圧部120に結合されたシリンダー122の制御によって基板160の膨脹又は収縮の程度に正確に対応することができるため、台形、菱形、矩形など、多様な変形にもマスク140を基板160と整合させることができる。
【0044】
また、前記マスク加圧部120は、マスク140と一体に形成されることができる。マスク加圧部120がマスク140と一体に形成されると、マスク140の加圧地点を常に一定に維持することができるため、さらに正確な加圧が可能である。
【0045】
一方、本発明による基板印刷装置100は、基板160に形成された基板認識マーク165と前記マスク140に形成されたマスク認識マーク145を認識するカメラ170をさらに含むことができる。また、前記基板認識マーク165とマスク認識マーク145の位置が一致するように前記マスク加圧部120の動作により制御する制御部をさらに含むことができる。
【0046】
本発明の基板印刷装置100は、前記カメラ170と制御部により基板160とマスク140を自動に整合することができ、整合正確度をさらに向上させることができる。
【0047】
参考までに、前記マスク加圧部120は、ステッピングモーター130により動作することができる。ステッピングモーター130は、回転角度を正確に制御することができるモーターであるため、ステッピングモーター130を利用して前記マスク加圧部120の動作を精密に制御することができる。
【0048】
ステッピングモーター130は、昇降部121と連結され、昇降部121の下段部のシリンダー122の位置を調節することができる。ステッピングモーター130の回転角度を調節することによって、シリンダー122を上昇又は下降させ、マスク加圧部120の高さを弾力的に調節すると、変形された基板160に対応するマスク140を正確に整合させることができる。
【0049】
一方、基板160の膨脹又は収縮は一方に偏って発生せずに全面にわたって均等に発生することができるため、四角の環状で一体形成されたマスク加圧部120によりマスク140の前後左右部を同時に加圧することで、基板160とマスク140を正確に整合させることができる(
図7参照)。
【0050】
このとき、マスク加圧部120の一部のみ加圧が発生しても全体マスク加圧部120に圧力が発生し、予想したマスク140の膨脹より広くなることができるため、マスク加圧部120の全体が同時に加圧されることができるように制御する必要がある。
【0051】
また、シリンダー122は、両端が同一の高さに形成されることができるようにステッピングモーター130が同一の回転角を有するように制御され、両シリンダー122が同時に下降しながらマスク140を加圧することで基板160とマスク140の整合の正確性を高めることができる。
【0052】
また、本発明による基板印刷装置100は、既存の印刷設備にマスク支持部110とマスク加圧部120をさらに設置することによって具現することができる。即ち、本発明は、既存の設備を部分的に改造することだけでも十分に具現することができるため、新規設備の製作が不要で、設備費用を低減することができるという長所がある。
【0053】
以上、代表的な実施形態を介して本発明に対して詳細に説明したが、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者は、前述した実施形態に対して本発明の範疇から外れない限度内で多様な変形が可能であることを理解するであろう。
【0054】
従って、本発明の権利範囲は、説明された実施形態に限定されて決まってはならず、添付の特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものにより決まらなければならない。
【符号の説明】
【0055】
100 基板印刷装置
110 マスク支持部
120 マスク加圧部
121 昇降部
122 シリンダー
124 マスク加圧締結部
130 ステッピングモーター
140 マスク
145 マスク認識マーク
147 メッシュ
150 マスク固定部
160 基板
165 基板認識マーク
170 カメラ
180 テーブル