(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ゲームにて所定の条件が成立すると、遊技価値を消費することなく所定回数のゲームを繰り返し実行するフリーゲームモードを開始し、前記フリーゲームモード中のゲームの結果に基づいてプレイヤに配当を付与するゲームシステムにおいて、
前記フリーゲームモードのゲームの残り回数以下の特定回数のゲームを実行した場合に予想される配当の合計量より小さい値を下限とし、かつ、該合計量より大きい値を上限とする配当範囲から、前記特定回数のゲームと引き換えにプレイヤに一括して付与されるべき一括配当を、抽選により決定する一括配当抽選手段と、
前記一括配当の受け取り、又は、前記フリーゲームモードのゲームの続行のいずれかを、プレイヤからの指示に従って選択する選択手段と、
前記一括配当の受け取りが選択された場合、前記一括配当抽選手段にて決定された一括配当をプレイヤに付与する一括配当付与手段と、
前記一括配当の付与と引き換えに、前記フリーゲームモードにおけるゲームの残り回数を前記特定回数に応じて減少させる残り回数制御手段と、
を備えたゲームシステム。
前記一括配当抽選手段は、前記予想される配当の合計量と掛け合わされるべき複数の配当倍率の候補からいずれか一つの配当倍率を所定の確率に従って抽選し、得られた配当倍率を前記予想される配当の合計量と掛け合わせることにより、前記配当範囲内から抽選されるべき前記一括配当を決定する請求項1に記載のゲームシステム。
前記選択手段は、前記配当倍率の候補の最大値と前記予想される配当の合計量とを掛け合わせて得られる前記一括配当の最大値、又は前記配当倍率の候補の最小値と前記予想される配当の合計量とを掛け合わせて得られる前記一括配当の最小値の少なくともいずれか一方の値をプレイヤに提示した状態で、当該プレイヤに対して前記一括配当の受け取り、又は前記フリーゲームモードのゲームの続行のいずれかの選択を要求する請求項2に記載のゲームシステム。
前記一括配当付与手段にて付与される一括配当の平均値が、前記特定回数に亘ってゲームを続行した場合に付与される配当の合計量の平均値と等しくなるように前記複数の配当倍率のそれぞれが抽選される確率が設定されている請求項2に記載のゲームシステム。
前記選択手段は、前記残り回数が所定の閾値を超える場合には前記一括配当の受け取りを選択可能とし、前記残り回数が前記閾値以下の場合には、前記フリーゲームモードのゲームの続行のみを可能とする請求項1に記載のゲームシステム。
前記所定の条件が、前記フリーゲームモードにおけるゲームでも成立可能とされ、前記フリーゲームモード中に前記所定の条件が成立した場合には前記残り回数が増加し、前記予想される配当の合計量は、前記残り回数の増加の影響を含んだ前記残り回数の予想値と一回のゲームにおける配当の期待値とを乗算した値に相当する請求項5に記載のゲームシステム。
前記ゲームとして、複数のシンボル列を互いに独立して移動及び停止させ、所定の入賞判定ライン上で停止した複数のシンボルの組み合わせが所定の入賞パターンを形成した場合に当該入賞パターンに応じた配当を付与するスロットゲームが実行される請求項1に記載のゲームシステム。
ゲームにて所定の条件が成立すると、遊技価値を消費することなく所定回数のゲームを繰り返し実行するフリーゲームモードを開始し、前記フリーゲームモード中のゲームの結果に基づいてプレイヤに配当を付与するコンピュータを備えたゲームシステム用のコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、
前記フリーゲームモードのゲームの残り回数以下の特定回数のゲームを実行した場合に予想される配当の合計量より小さい値を下限とし、かつ、該合計量より大きい値を上限とする配当範囲内から、前記特定回数のゲームと引き換えにプレイヤに一括して付与されるべき一括配当を、抽選により決定する一括配当抽選手段、
前記一括配当の受け取り、又は、前記フリーゲームモードのゲームの続行のいずれかを、プレイヤからの指示に従って選択する選択手段、
前記一括配当の受け取りが選択された場合、前記一括配当抽選手段にて決定された一括配当をプレイヤに付与する一括配当付与手段、及び、
前記一括配当の付与と引き換えに、前記フリーゲームモードにおけるゲームの残り回数を前記特定回数に応じて減少させる残り回数制御手段、
として機能させるように構成されたゲームシステム用のコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係るゲームシステムを、スロットマシンタイプのゲーム機として構成した一形態を説明する。
図1に示すように、本形態のゲーム機1は縦型の筐体2を有し、その筐体2の前面には表示装置3が設けられている。表示装置3は一例として液晶ディスプレイ装置である。表示装置3の下側にはコントロールパネル4が設けられている。コントロールパネル4には、コインの投入口5、及び操作装置6が設けられている。操作装置6は、例えばベット操作その他の各種の操作を行うためのボタンスイッチといった操作部材を含んでいる。さらに、操作装置6の一部として、表示装置3の画面上にはタッチパネル型の入力装置が設けられる。
【0010】
図2はゲーム機1の制御系の概略構成を示している。ゲーム機1には制御ユニット20が設けられている。制御ユニット20は、マイクロプロセッサとその動作に必要な主記憶装置その他の周辺装置とを含んだコンピュータユニットとして構成されている。制御ユニット20には、外部記憶装置21が接続されている。外部記憶装置21は磁気記憶媒体、DVD−ROM、EEPROMといった不揮発性の記憶媒体を有し、その記憶媒体には、制御ユニット20が所定の手順に従ってゲームを制御するために必要なゲームプログラム22及びゲームデータ23が記憶されている。ゲームプログラム22は制御ユニット20に適宜に読み込まれて実行される。ゲームデータ23も制御ユニット20に適宜に読み込まれて参照される。ゲームデータ23には配当倍率テーブル23aが含まれている。配当倍率テーブル23aは
図6に例示したようなデータ構造を有している。配当倍率テーブル23aの詳細は後述する。
【0011】
制御ユニット20には、上述した操作装置6及び表示装置3が接続される。操作装置6は、プレイヤの操作に応じた信号を制御ユニット20に出力する。表示装置3は、制御ユニット20から出力される画像信号に応じた画像を表示する。制御ユニット20は、操作装置6の出力信号を参照しつつゲームプログラム22に従って所定の手順でゲームを実行し、そのゲームの進行状況に応じたゲーム画面を表示装置3上に表示させる。さらに、ゲームを実行するために必要な入力装置又は出力装置として、制御ユニット20には、上述した操作装置6及び表示装置3に加えて、コイン投入装置24及びペイアウト装置25が接続されている。コイン投入装置24は、ゲームをプレイするための対価としてのコインの投入を受け付け、その投入量(投入額)に応じた信号を制御ユニット20に出力する。制御ユニット20は、コイン投入装置24の信号に基づいてゲーム機1に投入された通貨の額を検出し、その検出額に応じた数のクレジットを発生させる。クレジットは、遊技価値を定量的に表現する用語である。以下では、1回のゲームを実行するための遊技価値の最小単位を1クレジットと呼ぶことがある。ペイアウト装置25は、制御ユニット20からの指示に従って、プレイヤにゲームの配当としてのコインの支払いを実行する。なお、ゲームをプレイする対価の支払い、及びプレイヤに対する配当の付与はコインによる例に限らない。代替通貨としてのメダル、トークン等が利用されてもよいし、電子通貨その他の電子的な情報の交換を介して遊技価値のやり取りが可能な決済方法が利用されてもよい。
【0012】
次に、
図3及び
図4を参照して、ゲーム機1にて実行されるゲームの概要を説明する。上述したように、ゲーム機1はスロットマシンとして構成されている。周知のように、スロットマシンは、複数のシンボルの組み合わせが所定の入賞パターンを形成したときにプレイヤに配当が付与される。
図3はスロットゲームにて表示装置3上に表示されるゲーム画面の一例を示している。ゲーム画面100には、想像線Lで示したように、縦方向に3行、横方向に5列のマトリクス状に並んだセル102が規定された抽選領域101が設けられている。その抽選領域101には、セル102の縦方向の列(セル列と呼ぶ。)に沿って5本のリール103が互いに平行に並べて表示されている。リール103は画像によって表現されるビデオリール(仮想リール)である。各リール103には、複数のシンボル104がセル102の並べられたピッチと同一のピッチでセル列方向に並べられている。これにより各リール103がシンボル列として機能する。抽選領域101の両側には、入賞判定ラインを表示するためのライン指示部105が設けられている。ゲーム画面101の上部には、プレイヤが保持するクレジット数を示すクレジット数表示部106、プレイヤが賭けたクレジットの数であるベット数を示すベット数表示部107、ゲーム毎にプレイヤが獲得した配当数(クレジットと同一単位で表される。)を示す配当表示部108が設けられている。さらに、ゲーム画面100には選択ボタン109も表示されている。選択ボタン109は、後述するフリーゲームにおいて所定の条件が満たされるとその操作が可能な状態(アクティブな状態)となり、条件が満たされないときは操作が不可能な状態(非アクティブな状態)となる。選択ボタン109の表示態様はアクティブな状態か否かで変化する。
【0013】
プレイヤが遊技価値としてのクレジットの消費と引き換えに操作装置6を操作して入賞判定対象ラインを指定し、続いてゲーム開始を指示すると、各リール103がセル列の方向にスクロールされる。その後、所定の停止時期になると、1つのセル102に1つのシンボル104が出現するようにして各リール103が停止する。入賞判定ライン上のセル102にて停止したシンボル104が所定の入賞パターンを形成すると、その入賞パターンに応じた配当がプレイヤに付与される。入賞パターンは適宜に設定される。典型的には、同一種類の5つのシンボル104が行方向(左右方向)に揃った場合に入賞パターンが形成されたと判定される。以下では、クレジットの消費と引き換えにリール103を回転及び停止させ、停止したシンボル104の組み合わせが入賞パターンを形成したか否かを判定するゲームモードを通常モードと呼ぶ。通常モードにおけるゲームの手順は従来のスロットマシンと同様でよく、さらなる詳細な説明は省略する。
【0014】
通常モードのゲームにて、入賞判定ライン上に停止したシンボル104の組み合わせが所定のボーナスパターンを形成すると、フリーゲームモードへとゲームが切り替わる。ボーナスパターンは適宜に設定してよい。フリーゲームモードでは、クレジットを消費させることなく複数回のゲームが繰り返し実行され、各回のゲーム結果に応じた配当がプレイヤに付与される。また、毎回のゲームはプレイヤからのゲーム開始の指示を待つことなく自動的に開始される。フリーゲームモードにて行なわれるゲーム(以下、これをフリーゲームと呼ぶことがある。)は、通常モードにおいて行なわれるスロットゲームと同じであるが、クレジットの消費の有無が異なる。よって、フリーゲームモード中に再びボーナスパターンが形成されてフリーゲームモードが再び発生することもある。その再度の発生をリトリガーと呼ぶ。なお、フリーゲームモードにおける入賞判定ラインは適宜に定めてよいが、一例として、ベット数が最大限に設定され、全ての入賞判定ラインが指定された、いわゆるマックスベット状態に設定される。このようなフリーゲームモードは既に公知のスロットマシンでも実施されているものであり、本形態のゲーム機1でも公知例に倣ってフリーゲームモードの発生要件、フリーゲームモードにおけるフリーゲームの回数といったフリーゲームモードの内容は適宜に設定してよい。
【0015】
フリーゲームモードにて実行されるフリーゲームの回数は、フリーゲームモード発生のトリガーとなるボーナスパターンが発生する確率等に応じて適宜に定めてよいが、例えば100回を優に超える回数が設定されることがある。フリーゲームの回数が増加すれば、フリーゲームモードが終了するまでに要する時間が長時間化し、その途中で、あるいはフリーゲームモードが発生した時点で、プレイヤが都合によりゲームを終了させたい場合も想定される。その場合、残りの回数のフリーゲームをプレイヤが放棄可能とするだけでは、残された回数のフリーゲームで獲得が期待できる配当をプレイヤが放棄することになり、ゲームの興趣が損なわれるおそれがある。そこで、本形態のゲーム機1は、フリーゲームモードの終了と引き換えに所定の抽選を実行し、抽選された配当をプレイヤに一括して付与することにより、フリーゲームを続けるか、抽選された配当をボーナス配当として一括して受け取るかをプレイヤが選択可能としている。以下では、フリーゲームの続行に代えてボーナス配当を抽選するモードをボーナスチャンスと呼び、フリーゲームの続行かボーナスチャンスへの移行かを選択する機会をバランスチャンスと呼ぶことがある。なお、ゲーム画面100に表示される選択ボタン109は、フリーゲームモードの途中でバランスチャンスへの移行を可能とするために操作される。
【0016】
図4は、バランスチャンス時におけるゲーム画面120の一例を示している。バランスチャンスの画面120は、フリーゲームモードの開始時、及びフリーゲームの残り回数が100以上の状態で選択ボタン109が操作されたときに表示される。ゲーム画面120の上部には、
図3のゲーム画面100と同様に、クレジット数表示部106、ベット数表示部107、配当表示部108が設けられている。ゲーム画面120の中央には、フリーゲームによる配当とボーナス配当との大小を象徴するような天秤の画像121が表示され、その画像121の右側にはフリーゲーム選択部122が、左側にはボーナスチャンス選択部123がそれぞれ設けられている。フリーゲーム選択部122には、フリーゲームの残り回数(図示例では300回)を示す残回数表示部122aが設けられている。一方、ボーナスチャンス選択部123には、残回数表示部122aに表示された回数のフリーゲームと引き換えにボーナスチャンスを選択した場合に獲得し得るボーナス配当の最大値(図示例では28546)及び最小値(図示例では952)を示す最大配当表示部123a、及び最小配当表示部123bがそれぞれ設けられている。表示装置3上には操作装置6の一部としてタッチパネルが配置されており、フリーゲーム選択部122の表示位置をプレイヤがタッチすればフリーゲームの続行が選択され、ボーナスチャンス選択部123の表示位置をプレイヤがタッチすればボーナスチャンスが選択される。つまり、ゲーム画面120が表示されることにより、プレイヤは、フリーゲームの残り回数と、ボーナスチャンスを選択した場合に期待できる配当の範囲とを比較して、フリーゲームの続行か、ボーナスチャンスへの移行かを選択することができる。
【0017】
次に、
図5及び
図6を参照して、フリーゲームの残り回数と、ボーナスチャンスにて付与されるボーナス配当との関係を説明する。まず、ボーナス配当の額は下式(1)により計算される。
【0018】
[数1]
ボーナス配当=残りゲーム回数予想値×1ゲームの配当期待値×配当倍率…(1)
【0019】
ここで、残りゲーム回数予想値は、残回数表示部122aに表示される残り回数に対応した残り回数の平均値である。上述したように、フリーゲームモードでは、通常モードのそれと同様にしてスロットゲームが繰り返されるため、フリーゲームが繰り返される間にボーナスパターンが形成され、それによりフリーゲームの残り回数が増加することがある。その残り回数の増加数は、ボーナスパターンが形成される確率から求めることができる。その残り回数の増加数の平均値を残り回数と加算することにより、残りゲーム回数予想値を求めることができる。例えば、フリーゲームが100回繰り返されたとき、ゲーム回数が平均して5回増えるとしたならば、フリーゲームの残り回数が150回のとき、残りゲーム回数予想値は157.5回(150+5×150/100)である。また、(1)式における1ゲームの配当期待値は、入賞パターンが形成される確率と入賞パターンに対応した配当との積の総和であり、一回のゲームにてプレイヤが獲得し得る配当の期待値に相当する。したがって、残りゲーム回数予想値と1ゲームの配当期待値との積を求めることにより、フリーゲームを残り回数繰り返したときに予想される配当の合計量が得られる。以下では、その配当の合計量を合計配当等価量と呼ぶ。その合計配当等価量に配当倍率を掛け合わせることにより、ボーナス配当の値が決定される。配当倍率は予め用意された複数の候補から、所定の確率に従って抽選を行なうことにより決定される。
【0020】
図5は(1)式に適用されるべき配当倍率と確率との関係の一例を示している。この例では、配当倍率の候補として、0.1倍、0.5倍、1.0倍、2.0倍及び3.0倍の5種類が用意されている。各配当倍率の候補には重みが付されている。重みを百分率の比率に置き換えることにより、各配当倍率が抽選される確率が与えられる。その確率と配当倍率との積を求めることにより、各配当倍率の実比率が求められる。実比率は、一括配当(ボーナスの配当)の平均値を1としたときに、その平均値に占める各配当倍率の割合いである。配当倍率の重みの合計が100、実比率の合計値が1となるように重みが設定されている。したがって、
図5の確率に従って配当倍率を抽選すれば、ボーナス配当の平均値が、フリーゲームにて得られる配当の合計量の平均値と等しくなる。つまり、
図5における実比率の合計値が1であれば、フリーゲームと引き換えにボーナス配当をプレイヤに付与する仕組みを導入しても、導入しない場合と比較してゲーム機1のペイアウト率は変化しない。しかも、配当倍率を抽選することにより、合計配当等価量よりも大量のボーナス配当が発生する可能性が生じる。これにより、ボーナスチャンスを選択した場合の射倖性を適度に高めることができる。仮に、フリーゲームモードの終了と引き換えに合計配当等価量を一律にプレイヤに付与した場合、その処理は、フリーゲームの残り回数を、その回数に応じた量の配当に置き換えて一括で付与するという単なる精算的な処理となる。プレイヤからみれば、時間の短縮以外にボーナスチャンスを敢えて選択する理由を見出し難い。しかし、配当倍率を抽選し、これを合計配当等価量に掛け合わせてボーナス配当を決定する場合には、ボーナス配当の大小にもゲームの偶然的要素が加味され、短時間で大きな配当を得ることも期待できる。それにより、ボーナスチャンスを積極的に選択する動機付けをプレイヤに与えることができる。ゲーム機1の運用者からみれば、ボーナスチャンスの選択機会が増えることにより、遊技価値(クレジット)の消費なしにゲームが繰り返されるフリーゲームモードでの運用時間が相対的に減少するため、ゲーム機1の収益性の向上を期待することができる。
【0021】
図6は、ゲーム機1の外部記憶装置21に記憶されている倍率テーブル23aのデータ構造を示している。倍率テーブル23aは、
図5に示した配当倍率の候補をそれらの確率に従って抽選するためのテーブルである。倍率テーブル23aには、候補として用意されている複数の配当倍率と、所定の桁数(図示例では10進法で3桁)の乱数とが対応付けられている。各配当倍率に割り当てられるべき乱数の個数は、
図5の確率に従って差別化されている。すなわち、
図5に対応した倍率テーブル23aであれば、配当倍率0.1倍に対しては10個の乱数が、配当倍率0.5倍に対しては22個の乱数が、配当倍率1.0倍に対しては52個の乱数が、配当倍率2.0倍に対しては12個の乱数が、配当倍率3.0倍に対しては4個の乱数がそれぞれ割り当てられている。したがって、000〜099までのいずれかの整数を無作為に抽選し、得られた乱数に対応付けられている配当倍率を選択することにより、
図5の確率に従って配当倍率を抽選することができる。なお、
図5に示した配当倍率、及びそれらの重みは一例に過ぎない。これらの設定は適宜に変更してよい。
【0022】
図7は、上述したフリーゲームを制御するためにゲーム機1の制御ユニット20が実行するフリーゲーム制御ルーチンを示している。このルーチンは、例えば通常モードにてリール103が停止して入賞判定が行なわれるタイミングで実行される。制御ユニット20は、
図7のルーチンを開始すると、まずステップS1でフリーゲームモードを発生させるべき条件が満たされているか否かを、入賞判定ライン上のセル102にて停止したシンボル104の組み合わせに基づいて判別する。制御ユニット20は、フリーゲームモードを発生させる条件が満たされていなければルーチンを終了し、満たされていればステップS2に進む。ステップS2において、制御ユニット20は、上述した(1)式を利用して、ボーナスチャンスを選択した場合のボーナス配当の最大値及び最小値を演算する。つまり、現在のフリーゲームの残り回数に従って(1)式の残りゲーム回数予想値を決定し、かつ、(1)式の配当倍率に倍率テーブル23aの最大倍率及び最小倍率を代入してボーナス配当を演算するものである。なお、(1)式の1ゲームの配当期待値はゲーム機1にて提供されるスロットゲームの内容から予め算出して制御ユニット20の内部記憶装置に記憶させておけば足り、ステップS2でこれを新たに演算する必要はない。
【0023】
続くステップS3にて、制御ユニット20は
図4に示した選択画面としてのゲーム画面120を表示装置3に表示させる。このとき、ボーナスチャンス選択部123の最大配当表示部123a及び最小配当表示部123bには、ステップS2で演算されたボーナス配当の最大値及び最小値がそれぞれ表示される。ただし、最大値又は最小値のいずれか一方のみを表示させてもよく、それらの表示を省略してもよい。その後、制御ユニット20はステップS4に進み、操作装置6のタッチパネルからの信号を参照して、プレイヤがボーナスチャンスを選択したか否かを判別する。つまり、フリーゲームモードが発生すると、その最初のフリーゲームが開始される前に、プレイヤに対してフリーゲームへと進むか、あるいはボーナスチャンスへと移行するかを選択する機会が付与される。ステップS4にてボーナスチャンスが選択されていない場合、つまりプレイヤがフリーゲーム選択部122をタッチしたと判断した場合、制御ユニット20はステップS5に進み、表示装置3に
図3のゲーム画面100を表示させて一回のフリーゲームを実行する。このとき、クレジットは消費しない。
【0024】
フリーゲームの実行後、制御ユニット20はステップS6に進み、今回のフリーゲームにてリトリガー条件、すなわち、フリーゲームを発生させる要件としてのボーナスパターンが形成されたか否かを判別する。リトリガーではないと判断した場合、制御ユニット20はステップS7に進み、今回のフリーゲームにて入賞パターンが形成されたか否かを判別する。その後、制御ユニット20はステップS8に進み、ステップS7の判断結果に従ってプレイヤに配当を付与する。入賞パターンが形成されていなければ配当は0である。なお、ステップS8の配当は、一回のフリーゲームが終了する毎にゲーム画面120の配当表示部108の配当数に加算することにより、プレイヤに報知されてもよい。あるいは、フリーゲームモードが終了するまでは、毎回の配当をプレイヤに報知せずに制御ユニット20の内部に配当を蓄積し、フリーモード終了時点でその累積値を配当表示部108の表示数に加算してもよい。
【0025】
続くステップS9において、制御ユニット20はフリーゲームの残り回数から1を減算し、さらに次のステップS10で残り回数が0か否かを判別する。制御ユニット20は、ステップS10にて残り回数が0であればフリーゲームモードを終了し、0でなければステップS12へ進む。ステップS6にてリトリガー条件が満たされていると判断された場合、制御ユニット20は残り回数に所定数Xを加算してステップS12へ進む。ステップS12において、制御ユニット20はフリーゲームの残り回数が100を超えているか否かを判別する。100を超えている場合、制御ユニット20はステップS13へ進んでボーナスチャンスの選択を許可する。これにより、
図3のゲーム画面100の選択ボタン109がアクティブな状態へと切り替えられる。続くステップS14にて、制御ユニット20は選択ボタン109がオンされたか否か、つまり、選択ボタン109の位置をプレイヤがタッチしたか否かを判別する。
【0026】
ステップS14にて選択ボタン109がオンされていなければステップS5へ処理が戻される。一方、選択ボタン109がオンされた場合にはステップS2へと処理が戻される。したがって、選択ボタン109がオンされたときには、その時点での残り回数に基づいてボーナス配当の最大値及び最小値が演算され、選択画面120が表示され、ボーナスチャンスの選択の機会がプレイヤに与えられる。一方、プレイヤがボーナスチャンスを選択しなければフリーゲームが続行される。また、ステップS12にてフリーゲームの残り回数が100以下であった場合、制御ユニット20はステップS15に進み、ボーナスチャンスの選択を禁止する。このとき、
図3のゲーム画面100の選択ボタン109は非アクティブな状態へと切り替えられる。そして、ボーナスチャンスの選択を禁止した後、制御ユニット20はステップS5の処理に戻る。したがって、フリーゲームモードが一旦開始された後は、フリーゲームの残り回数が100を超えている限り、選択ボタン109のオンによってボーナスチャンスを選択することが可能であるが、残り回数が100以下になるとボーナスチャンスを選択することは不可能である。ただし、ステップS6にてリトリガー要件が満たされた場合には再びボーナスチャンスが選択可能となる可能性がある。フリーゲームの残り回数100を閾値として設定し、その閾値以下の場合にボーナスチャンスの選択を禁止するのは次の理由による。選択ボタン109をオンしてボーナス配当の最大値及び最小値を確認し、ボーナスチャンスへ移行するか否かを判断するには一定の時間を必要とする。そのため、ボーナスチャンスの選択を無制限に認めると、フリーゲームを単純に繰り返す場合と比較して、フリーゲームモードが終了するまでに要する時間が増大し、フリーゲームの短縮を目的として導入されたボーナスチャンスの趣旨が損なわれる。このような不都合を防止するために、フリーゲームの残り回数が閾値以下となったときに選択を禁止している。ただし、閾値は100に限らず、適宜に変更可能である。
【0027】
ステップS4にてボーナスチャンスが選択された場合、制御ユニット20は
図8のステップS21に進む。ステップS21にて、制御ユニット20は、配当倍率テーブル23aを参照してボーナスチャンスにおける配当倍率を抽選する。すなわち、
図6の例では乱数を利用して000〜099からいずれか一つの整数を抽選し、選ばれた値に対応付けられている配当倍率を、(1)式に代入すべき配当倍率として決定する。続いて、制御ユニット20はステップS22に進み、(1)式にステップS21で抽選した配当倍率を代入して今回のボーナスチャンスにおけるボーナス配当を演算する。次のステップS23にて、制御ユニット20は、決定されたボーナス配当をプレイヤに表示し、その後ステップS24にて内部記憶装置が保持する配当数にボーナス配当を加算し、その加算後の値を配当表示部108の配当数に表示させる。配当後、制御ユニット20はステップS25に進み、フリーゲームの残り回数を0にリセットして今回のルーチンを終了する。これにより、ボーナス配当の付与と引き換えにフリーゲームの残り回数が消滅する。
【0028】
以上の形態においては、制御ユニット20が(1)式に従って演算する合計配当等価量が、特定回数のゲームを実行する場合に予想される配当の合計量に相当し、その合計配当等価量を配当倍率の候補と掛け合わせて得られるボーナス配当の最大値から最小値の範囲が配当範囲に相当する。また、抽選されたボーナス配当が、特定回数のゲームと引き換えにプレイヤに一括して付与されるべき一括配当に相当する。そして、制御ユニット20は、配当倍率の候補からいずれか一つの配当倍率を抽選し、得られた配当倍率と合計配当等価量とを(1)式に従って掛け合わせてボーナス配当を演算する処理(ステップS21、S22)を実行することにより一括配当抽選手段として機能する。また、制御ユニット20は、ステップS2でボーナス配当の最大値及び最小値を演算し、ステップS3でこれらの最大値及び最小値を含んだ選択画面120を表示させ、さらにステップS4にてボーナスチャンスを選択するか否かをプレイヤからの指示に基づいて判別することにより選択手段として機能する。さらに、制御ユニット20は、ステップS24にてボーナス配当を一括して付与することにより一括配当付与手段として機能し、ステップS25で残り回数を0に設定することにより残り回数制御手段として機能する。
【0029】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、上記の形態では、フリーゲームの残り回数の全てを一括してボーナスチャンスにおけるボーナス配当へと置き換えてプレイヤに付与しているが、フリーゲームモードにおけるゲームの残り回数以下でかつ2以上のゲーム回数を特定回数として設定し、その特定回数のみを対象として、ボーナスチャンス又はフリーゲームの続行かをプレイヤに選択させ、ボーナスチャンスの選択時にその特定回数に対応するボーナス配当を抽選してもよい。その場合には、(1)式の残りゲーム回数予想値を特定回数に基づいて定めればよい。特定回数を残り回数未満に設定しても、複数回のフリーゲームを一回のボーナスチャンスに置き換えて配当を抽選することにより、フリーゲームモードを短縮することができる。なお、特定回数が残り回数未満の場合には、その差分のフリーゲームを実行してもよいし、差分の少なくとも一部を別の特定回数として設定してボーナスチャンスを実行してもよい。
【0030】
上記の形態では、
図5のテーブルの重みの合計を100に、実比率の合計を1にそれぞれ設定することにより、ボーナスチャンスを選択した場合のボーナス配当の平均値と、フリーゲームを続行した場合の配当の合計量の平均値とが等しくなるよう配当倍率の確率が調整されている。しかしながら、本発明はそのような形態に限定されず、一括配当の平均値とフリーゲームを続行した場合の配当の合計量の平均値とが所定の関係を有していればよい。例えば、上記の形態においては、実比率の合計が1よりも大きな値となり、あるいは1未満の値となるように重みを調整してもよい。実比率の合計が1よりも大きいときはフリーゲームを続行する場合の配当の合計量の平均値よりもボーナスチャンスを選択した場合のボーナス配当の平均値が大きくなり、ボーナスチャンスを選択するための動機付けをより強くプレイヤに与えることができる。一方、実比率の合計が1未満のときはフリーゲームを続行する場合の配当の合計量の平均値よりもボーナスチャンスを選択した場合のボーナス配当の平均値が小さくなる。しかし、その場合でも、高倍率のボーナス配当が付与される可能性があり、ボーナスチャンスを選択する動機付けをプレイヤに与えることが可能である。
【0031】
上記の形態では、フリーゲームモードの開始時点でボーナスチャンスの選択機会を設けているが、そのような選択機会を保障する必要は必ずしもない。例えば、フリーゲームモードの開始後、適当な回数だけゲームが繰り返されたことを条件として、一括配当(ボーナス配当)の受け取りを選択可能としてもよい。また、上記の形態では、残り回数が所定の閾値よりも減少すると一括配当の受け取りの選択を不可能としているが、そのような制限は省略してもよい。あるいは、一括配当の受け取りの選択を許可するか否かに関して、残りゲーム回数以外の条件を設定してもよい。一括配当の受け取り、又はフリーゲームモードのゲームの続行のいずれかの選択に関して、上記の形態では、選択画面120を利用したバランスチャンスを設けて選択機会を提供しているが、両選択肢の間にそのような中間的な選択機会を設けることは必ずしも必要ではない。例えば、ゲーム画面100にて選択ボタン109がアクティブであるにも関わらずこれが操作されない場合にはフリーゲームモードのゲームを続行させ、選択ボタン109がアクティブでかつこれが操作された場合にボーナスチャンスへと移行するように選択手段が構成されてもよい。
【0032】
本発明はスロットマシンに限定されず、遊技価値を消費することなく複数回のゲームを繰り返し実行してゲーム結果に応じた配当を付与するフリーゲームモードを備えたゲームを提供するゲーム機であれば、そのフリーゲームモードの少なくとも一部のゲームを一回の抽選に置き換えて配当を付与することにより、フリーゲームモードを早期に終了させる目的で本発明を適用することが可能である。フリーゲームの残り回数が1回であっても、ボーナスチャンス又はフリーゲームの続行が選択可能であってもよい。
【0033】
本発明のゲームシステムは、いわゆるスタンドアローン型のゲーム機として構成される例に限らない。本発明のゲームシステムは、ネットワークを介して接続されたサーバ装置と端末装置としてのゲーム機とを組み合わせて所定のゲームを実行可能としたネットワーク型のゲームシステムとして構成されてもよい。