(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つまたは複数の電気デバイスの電気状態を検出するよう構成された装置であって、前記1つまたは複数の電気デバイスは、電力インフラストラクチャと結合され、前記電力インフラストラクチャ上で高周波電気雑音を生成し、前記装置は、
コンピュータ・ユニットのプロセッサ上で実行するよう構成された処理モジュールと、
電気コンセントと結合するよう構成された検知デバイスと、
を備え、前記検知デバイスは、
前記検知デバイスが前記電気コンセントと結合される際に、前記電気コンセントを介して前記高周波電気雑音を受信し、前記高周波電気雑音を1つまたは複数の第1のデータ信号に変換するよう構成されたデータ取得用受信機を備え、
前記電気コンセントは、前記電力インフラストラクチャと電気的に結合され、
前記検知デバイスは、前記コンピュータ・ユニットと連通し、
前記処理モジュールは、前記1つまたは複数の第1のデータ信号を少なくとも部分的に使用して、前記1つまたは複数の電気デバイスの前記電気状態を特定するようさらに構成され、
前記高周波電気雑音は、10キロヘルツから3メガヘルツまでの範囲の電気雑音を含み、
前記処理モジュールは、前記1つまたは複数の第1のデータ信号のベースライン雑音シグネチャを特定するようさらに構成され、
前記処理モジュールは、前記1つまたは複数の第1のデータ信号の前記ベースライン雑音シグネチャを上回る既定の閾値量である、前記1つまたは複数の第1のデータ信号の1つまたは複数の振幅または周波数成分を特定するようさらに構成され、
前記処理モジュールは、少なくとも1つの電気デバイスを前記1つまたは複数の第1のデータ信号の前記1つまたは複数の振幅または周波数成分と関連付けるようさらに構成される、
ことを特徴とする装置。
前記処理モジュールは、前記1つまたは複数の第1のデータ信号を少なくとも部分的に使用して、前記1つまたは複数の電気デバイスによって消費された電力を判断するようさらに構成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
前記処理モジュールは、前記1つまたは複数の第1のデータ信号を少なくとも部分的に使用して、前記1つまたは複数の電気デバイスの最初の1つをオンまたはオフにした際に、それを特定するよう構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図示を簡単かつ明確にするため、図面は一般様式の構築物を示し、周知の特徴および技法の説明および詳細は、不必要に本発明を不明瞭にすることを避けるために省略される場合がある。それに加えて、図面の要素は、必ずしも原寸に比例するとは限らない。例えば、図面の要素のいくつかの寸法は、他の要素と比べて拡大することで、本発明の実施形態に対する理解を高める際に役立てることができる。異なる図面における同じ参照番号は、同じ要素を示す。
【0008】
説明内および特許請求の範囲内に「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」および同様の用語が使用される場合、これらの用語は、同様の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも特定の連続的または時間的順序を説明するものではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、その結果、本明細書に記載される実施形態は、例えば、本明細書に図示されるまたは別の方法で記載されるもの以外の順番で動作できることを理解されたい。その上、「含む」および「有する」ならびにその任意の変形用語は、非排他的な包括を取り扱うことを意図し、その結果、要素のリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイスまたは装置は、必ずしもそれらの要素に限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイスまたは装置に明確に表示されていないまたは固有の他の要素を含んでもよい。
【0009】
説明内および特許請求の範囲内に「左側」、「右側」、「前側」、「後側」、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」および同様の用語が使用される場合、これらの用語は、目的を説明するために使用されるものであり、必ずしも永久的な相対位置を説明するものではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、その結果、本明細書に記載される本発明の実施形態は、例えば、本明細書に図示されるまたは別の方法で記載されるもの以外の方向付けで動作できることを理解されたい。
【0010】
「結合する(couple)」、「結合された(coupled)」、「結合する(couples)」、「結合している(coupling)」および同様の用語は、幅広く理解すべきであり、2つ以上の要素または信号を電気的に、機械的におよび/または別の方法で接続することを指す。2つ以上の電気要素は、電気的に結合されるが、機械的にまたは別の方法で結合されなくともよく、2つ以上の機械要素は、機械的に結合されるが、電気的にまたは別の方法で結合されなくともよく、2つ以上の電気要素は、機械的に結合されるが、電気的にまたは別の方法で結合されなくともよい。結合は、例えば、永久的もしくは半永久的またはほんの一瞬など、どのような時間長でもよい。
【0011】
「電気結合」および同様の用語は、幅広く理解すべきであり、パワー信号、データ信号および/または電気信号の他のタイプもしくは組合せに関わらず、任意の電気信号に関与する結合を含む。「機械結合」および同様の用語は、幅広く理解すべきであり、すべてのタイプの機械結合を含む。
【0012】
「結合された」および同様の用語に「着脱可能に」、「着脱可能な」および同様の用語が付随しなければ、問題の結合などが着脱可能であることも着脱可能でないことも意味しない。
【0013】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の電気デバイスの電気状態を検出するよう構成された装置に関するものであり得る。1つまたは複数の電気デバイスは、電力インフラストラクチャと結合され、電力インフラストラクチャ上で高周波電気雑音を生成する。装置は、(a)コンピュータ・ユニットのプロセッサ上で実行するよう構成された処理モジュールと、(b)電気コンセントと結合するよう構成された検知デバイスとを含み得る。検知デバイスは、(a)検知デバイスが電気コンセントと結合される際に、電気コンセントを介して高周波電気雑音を受信し、高周波電気雑音を1つまたは複数の第1のデータ信号に変換するよう構成されたデータ取得用受信機を有し得る。電気コンセントは、電力インフラストラクチャと電気的に結合することができる。処理モジュールは、1つまたは複数の第1のデータ信号を少なくとも部分的に使用して、1つまたは複数の電気デバイスの電気状態を特定するようさらに構成される。検知デバイスは、コンピュータ・ユニットと連通する。高周波電気雑音は、10キロヘルツから3メガヘルツまでの範囲の電気雑音を含む。
【0014】
他の実施形態は、1つまたは複数の電気デバイスによる電力使用状況を検出して分類する方法に関する。1つまたは複数の電気デバイスは、電力線と結合される。本方法は、電力線上で2つ以上の電気信号を捕獲する工程であって、2つ以上の電気信号は実質的に連続性の電気雑音を含む工程と、2つ以上の電気信号内の実質的に連続性の電気雑音を少なくとも部分的に使用して、電力線上で1つまたは複数の電気事象の発生を検出する工程と、1つまたは複数の電気事象を1つまたは複数の電気デバイスの少なくとも1つのデバイスの電気状態の変化と関連付ける工程とを含み得る。2つ以上の電気信号内の実質的に連続性の電気雑音は、約1秒を超える時間長の場合、電力線上で特定することができる電気信号を含む。
【0015】
さらなる実施形態は、建造物の電力線インフラストラクチャ内の2つ以上の電気事象を検出するよう構成された電気事象検出デバイスに関する。電気事象検出デバイスは、(a)1つまたは複数の電気信号を受信して処理するよう構成された受信モジュールであって、1つまたは複数の電気信号は高周波成分を含み、(1)電力線インフラストラクチャと結合するよう構成された電気的インターフェイス、(2)電気的インターフェイスと結合され、1つまたは複数の電気信号の1つまたは複数の部分を通過させるよう構成された1つまたは複数のフィルタ回路、および、(3)1つまたは複数のフィルタ回路の出力と結合され、1つまたは複数の電気信号を1つまたは複数のデータ信号に変換するよう構成されたコンバータ・モジュールであって、1つまたは複数のデータ信号は1つまたは複数の電気信号の高周波成分に関する情報を含むコンバータ・モジュールを有する受信モジュールと、(b)プロセッサ上で実行するよう構成された処理モジュールであって、(1)1つまたは複数の電気信号の高周波成分に関する情報を使用して2つ以上の電気事象が発生したかどうか判断するよう構成された事象検出モジュール、(2)2つ以上の電気事象を分類するよう構成された分類モジュール、および、(3)第1のタイプの事象を2つ以上の電気事象の第1の事象と関連付け、第2のタイプの事象を1つまたは複数の電気事象の第2の事象と関連付けるよう構成された訓練モジュールを有する処理モジュールとを含み得る。2つ以上の電気事象は、建造物の電力線インフラストラクチャと結合された1つまたは複数の電気デバイスをオンにする工程と、建造物の電力線インフラストラクチャと結合された1つまたは複数の電気デバイスをオンにする工程とを含む。1つまたは複数の電気信号の高周波成分は、10キロヘルツを上回る電気信号を含む。
【0016】
電力線上の電力は電気雑音を含み得る。電力線上に存在する電気雑音は、電気デバイスの動作によって引き起こされる場合があり、電気デバイスは電力線と電気的に結合される。このタイプの電気雑音は、導電性の電磁妨害(EMI)と呼ばれる。EMIは2つのタイプ、すなわち、一過性雑音および連続性雑音に分類することができる。いくつかの実施形態では、電気デバイスをオンにすると発生する連続性または一過性電気雑音は、交流電源の数周期後(例えば、交流電源の1周期は、米国では1/60秒である)の電気雑音の形状と同じ形状ではない。例えば、電球型蛍光灯(CFL)の電気雑音は、CFLを暖めている間の交流電源の数周期後にはある形状を有するが、CFLが暖まると、電気雑音の形状は第2の形状に変化する。別の例では、DC(直流)モータは連続性雑音を有する。しかし、DCモータの連続性雑音は、ほんの数マイクロ秒しか継続されないが、DCモータが作動している間は交流電源の周期ごとに繰り返され得る。以下で説明される電気事象検出デバイスは、これらのタイプの電気雑音のすべてを検出することができる。
【0017】
一過性雑音は、観測できる時間が短いことによって特徴付けられ、一般に、数十ナノ秒から数ミリ秒である。他方では、連続性雑音(すなわち、実質的に連続性の雑音)は、電気デバイスが動作している限り観測できる。多くの実施形態では、本明細書で使用される場合、「連続性雑音」は、反復性の、継続的な、途切れることのないまたは繰り返される雑音を意味し得る。同じまたは異なる実施形態では、雑音のパターンが交流周期ごとに繰り返されるか、または、電気デバイスの動作中に電気雑音信号が停止することなく観察されれば、雑音は連続性であり得る。雑音において交流の1周期分の中断が発生した場合でも、雑音は依然として、連続性雑音と見なすことができる。
【0018】
多くの例では、連続性の電気雑音は、交流電源の1周期を超える時間長の場合、電力線上で特定することができる。別の例では、連続性の電気雑音は、交流の1周期未満の時間長であるが、電気信号が交流電源の3周期以上で繰り返される場合、特定することができる。別の例では、連続性の電気雑音は、約10ミリ秒を超える時間長の場合、電力線上で特定することができる電気信号であり得る。別の例では、連続性の電気雑音は、約50ミリ秒を超える時間長の場合、電力線上で特定することができる電気信号であり得る。さらなる他の例では、連続性の電気雑音は、約1秒を超える時間長の場合、電力線上で特定することができる電気信号であり得る。さらなる例では、連続性の電気雑音は、約10秒を超える時間長の場合、電力線上で特定することができる電気信号であり得る。
【0019】
一過性雑音と連続性雑音の両方とも、狭周波数帯域内に集中することも、広帯域幅に広がる(すなわち、広帯域雑音)こともできる。CFLは、連続性雑音を生成する電気デバイスの一例であり、電力線インフラストラクチャとのその電気結合により電力線上で導電する。建造物の配電システムは建造物の回路遮断器パネル側で並列に相互接続されるため、導電性のEMIは、所定の電気デバイスから建造物の電気線インフラストラクチャ全体を通して広く伝播される。
【0020】
連続性雑音は、通常、電気デバイスの動作および内部の電子機器に固有のものである。グラインダなどの器具は、このタイプの電気デバイスのモータブッシュによって電気接点を連続して作成したり切断したりするため、AC(交流)電源の周波数(米国では60Hz)およびその高調波(120Hz、180Hzなど)と同期する電気雑音を放射する。
【0021】
スイッチモード電源(SMPS)は、スイッチング・レギュレータを組み込み、SMPSを使用する電気デバイスによって必要とされる出力電圧を供給する電源ユニットである。SMPSの機能は、電力インフラストラクチャから受信する入力電圧とは通常異なるレベルで安定化出力電圧を供給することである。SMPSを使用する電気デバイスは、伝統的な電源と比較して、それらのより高い効率、より小さなサイズおよび低コストのため、ますます普及されるようになった。それに加えて、製造業者は、彼らの製品にますますSMPSを使用することで、最小限のエネルギー効率要件(例えば、United States Department of EnergyのEnergy Starプログラム)を満たす。例えば、蛍光灯と同様に大部分のパーソナル・コンピュータは現在SMPSを使用している。10年以上も前は、大部分の家庭用電子デバイスは、SMPSが発展途上の段階であったことと、低コストでもなく単一チップSMPS実装形態でもなかったことを理由にSMPSを使用しなかった。
【0022】
近代的なSMPSベースの電気デバイスは、それらの電源の内部オシレータと同期する雑音を生成する。それに加えて、伝統的なリニア電源レギュレータとは対照的に、SMPSは、過剰電力を熱として消散しないが、その代わりに、インダクタ内にエネルギーを蓄え、必要に応じて、電力線内に蓄えられた電気エネルギーを変換して負荷に供給し、したがって、伝統的な電源よりもエネルギーの浪費がはるかに少なくて済む。SMPSのより小さなサイズおよび効率のための秘訣は、スイッチング周波数としても知られる高周波数で蓄えられたエネルギーを変換するためのパワートランジスタのその使用である。スイッチング周波数は、通常、60HzのAC線周波数(米国で)よりもはるかに高いが、その理由は、高周波数では、必要とされるインダクタまたはトランスははるかに小型であるためである。典型的なSMPSは、数十〜数百キロヘルツ(kHz)で動作する。スイッチング波形を調整して、SMPSが給電する電気デバイスの電源要件に適合させることができる。例えば、CFLの電源は、SMPSを使用して、CFLの給電に必要な高圧を生成する。SMPSの動作原理の基礎であるスイッチング動作は、スイッチング周波数付近に中心を置く大量のEMIを生成する。
【0023】
その上、最新の家庭用電子器具は、機械スイッチの代わりに「ソフトスイッチ」の使用を目指している。機械スイッチと異なり、ソフトスイッチは、電気デバイスの電源を電子的に入れ直すソフトウェア駆動押しボタンを使用する。このタイプのスイッチでは、ソフトウェア駆動電子スイッチによる電気デバイスの間接的な起動により、起動の瞬間に生成される一過性雑音が最小限に抑えられる。ソフトスイッチを使用するLCD(液晶ディスプレイ)モニタおよびDVDプレーヤなどの数種のデバイスは、いかなる検出可能な一過性雑音も生成しないことが観察された。LCDモニタおよびDVDプレイなどのソフトウェア駆動デバイスは、大体常にSMPSベースであり、したがって、電気事象検出デバイス100(
図1)は、電気デバイスによって生成されたEMIをモニタすることによって電源状態のそれらの変化を検出することができる。
【0024】
近代的なSMPSベースの電気デバイスと同様に、少なくとも1つの内部トライアック・スイッチをトリガするため、調光器もまた連続性雑音を生成する。この連続性雑音を使用して、調光器が制御する白熱負荷を検出して特定することができる。SMPSによって生成された狭帯域騒音とは対照的に、調光器は、数百キロヘルツにまで及ぶ広帯域雑音を生成し、この雑音は、大きな分散を有するガウス分布としてモデル化することができる。
【0025】
その上、米国では、Federal Communications Commission(FCC)が、電力線インフラストラクチャと結合される任意の電気デバイスに対し、電気デバイスが電力線インフラストラクチャに逆導電することができるEMIの最大の量を決定する規則(例えば、47C.F.R.第15/18部:消費者放射限度)を規定した。FCC限度は現在、150kHz〜500kHzの周波数範囲に対して66dBuV(1マイクロボルトに対するボルトのデシベル比率)であり、これは、50オームの負荷の両端間でほぼ−40dBm(1ミリワットに対するワット数のデシベル比率)である。
【0026】
ここで図面を参照すると、
図1は、第1の実施形態による、例示的な電気事象検出デバイス100の図を示す。
図2は、第1の実施形態による、電気事象検出デバイス100を含む例示的なシステム200のブロック図を示す。いくつかの実施形態では、電気事象検出デバイス100は、システム200内の1つまたは複数の電気デバイス290(
図2)の電気状態を検出するよう構成することができる。また、電気事象検出デバイス100は、システム200内の建造物の電力線インフラストラクチャ150の1つまたは複数の電気事象を検出するよう構成することもできる。多くの例では、電気事象検出デバイス100は、電気デバイス290による電力線インフラストラクチャ150上に付加された連続性雑音を使用して、電気デバイス290の電気状態を検出するか、または、電力線インフラストラクチャ150上の電気事象を検出することができる。システム200および電気事象検出デバイス100は、単なる例示であり、本明細書に提示される実施形態に限定されない。電気事象検出デバイス100は、本明細書に具体的に描写も記載もされない多くの異なる実施形態または実施例において使用することができる。
【0027】
いくつかの例では、電気デバイス290は、1つまたは複数の高周波電気信号を生成する。さまざまな実施形態では、高周波電気信号(例えば、数十キロヘルツから数メガヘルツまでの範囲の電気信号)は、1つまたは複数のSMPSまたは電気デバイス290の他の電気コンポーネント(例えば、内部トライアック・スイッチもしくは内部オシレータ(SMPS以外))によって生成することができる。同じまたは異なる例では、高周波電気信号は、電力インフラストラクチャ150の交流電源の周期に対して周期定常であり得る。高周波電気信号は、広義の周期定常信号であり得る。いくつかの例では、高周波電気信号は、二次、三次または四次統計において周期定常性を呈し得る。
【0028】
多くの実施形態では、高周波電気信号は、10キロヘルツから3メガヘルツまでの範囲の電気信号である。さらなる他の実施形態では、高周波電気信号は、約10キロヘルツから約1メガヘルツまでの範囲の高周波電磁妨害である。さらなる別の実施形態では、高周波電気信号は、約30キロヘルツから約300キロヘルツまでの範囲の高周波電磁妨害である。
【0029】
同じまたは異なる実施形態では、高周波電気信号は、約10キロヘルツを上回る電気信号である。いくつかの実施形態では、電気事象検出デバイス100は、約10キロヘルツから約3メガヘルツまで、または、より具体的には、約10キロヘルツから約1メガヘルツまでの周波数範囲にわたって、−100dBmから−10dBmまでの連続性雑音を捕捉するのに十分高感度であり得る。
【0030】
いくつかの例では、電気事象検出デバイス100によって検出された1つまたは複数の電気事象は、電力線インフラストラクチャ150と結合された電気デバイス290の作動および停止(すなわち、オンにしたりオフにしたりすること)を含み得る。また、1つまたは複数の電気事象は、電気デバイスの電源によって電気デバイスの残りの部分に供給される電力の量が変化するまたは限定される場合の事象(例えば、調光スイッチを入れる)でもあり得る。本明細書で使用される場合、それぞれの電気デバイス290は、3つの電源状態(a)オン電源状態、(b)待機電源状態、または、(c)完全なオフ電源状態の1つを有し得る。オン電源状態は、電気デバイスの電源が入っている場合、および、電気デバイスの電力使用状況が公称値を超える場合(すなわち、待機電源状態でもオフ電源状態でもない)のすべての電源状態を含む。
【0031】
待機電源状態は、電気デバイスが名目上はオフ状態であるが、電気デバイスの1つまたは複数の機能のために依然として電力を引き出している場合の電気状態である。すなわち、待機電源状態の電気デバイスは、名目上はオフ状態であるが、1つまたは複数のデフォルト、継続または一定の機能のために依然として電力を引き出している。例えば、ユーザがビデオカセットレコーダ(VCR)またはデジタルビデオレコーダ(DVR)をオフにした後、VCRおよびDVRは、引き続き、電力線インフラストラクチャ150から電力を引き出し、デバイス上の1つもしくは複数のディスプレイ(例えば、時計または1つもしくは複数のLED(発光ダイオード))を点灯すること、および/または、1つもしくは複数の内部機能を実行することができる。この事例では、ユーザはVCRまたはDVRがオフ状態であると考えているが、実際には、VCRまたはDVRは待機電源状態である。別の例では、ユーザが電気デバイスをオフにした後、電気デバイスは、引き続き、電力を引き出して内部バッテリを充電することができ、したがって、待機電源状態である。
【0032】
完全なオフ電源状態は、電気デバイスが電力線インフラストラクチャ150から電力を一切引き出さない場合(すなわち、真にゼロの電力)の電源状態である。ユーザが電気デバイスをオフにした後でも電力を引き出すVCRまたはDVRの事例では、VCRまたはDVRは、電力線インフラストラクチャ150から電気デバイスの差し込みを抜くことによって、または、VCRもしくはDVRが電力を引き出すことを完全に停止する電気スイッチにVCRもしくはDVDを差し込むことによって、完全なオフ状態にすることができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「オンにする」および同様の句は、電気デバイスを、完全なオフ電源状態または待機電源状態のいずれかからオン電源状態に移行することを指す。同様に、本明細書で使用される場合、「オフにする」および同様の句は、電気デバイスを、オン電源状態から完全なオフ電源状態または待機電源状態のいずれかへ移行することを指す。その上、「電源オフ状態」および同様の句は、完全なオフ電源状態または待機電源状態のいずれかを指す。「電源オン状態」および同様の句は、オン電源状態を指す。
【0034】
いくつかの例では、以下で調光器およびテレビに関して論じるように、電気事象検出デバイス100は、電気デバイス290の中間状態を検出することもできる。すなわち、電気事象検出デバイス100は、電気デバイス290の異なるオン電源状態を検出することができる。
【0035】
図3は、一実施形態による、電気デバイスをオン・オフにした状態を示す例示的な周波数領域ウォーターフォール
図300を示す。
図3に示されるように、例示的な電気デバイスをオンにすると、デバイスの動作中継続される狭帯域連続性雑音シグネチャが見られる。それに加えて、
図3では、雑音は、雑音の中心(例えば、電気デバイスのSMPSのスイッチング周波数)において強度が最強であり、強度を減衰しながらより低いおよびより高い周波数にまで広がっている状態を見ることができる。強度減衰は、スイッチング周波数でその平均を有するガウス関数を用いて大まかにモデル化することができる。この分布は、スイッチング回路コアを構成するコンポーネントの誤差の許容範囲および電源負荷の特性に起因するものであり得る。すべての電気デバイスおよびそれらのコンポーネントが理想的なものであれば、スイッチング周波数における単一の狭い信号ピークが
図3で見られるであろう。SMPSコンポーネントの誤差の許容範囲により、同じモデルのCFLのさまざまなユニットなど、それ以外では同一と見なされるデバイスを区別することもできる。最終的に、電力線自体は、伝達関数(すなわち、検知源と電気デバイスとの間のインダクタンスの違い)として考えることができ、複数の同様の電気デバイス間の追加識別を提供することができる。
【0036】
図1〜2に戻って参照すると、電気事象検出デバイス100は、(a)電力線インフラストラクチャ150(すなわち、建造物内の電力線)の少なくとも1つの電気コンセント151と結合するよう構成された少なくとも1つの検知ユニット110と、(b)少なくとも1つのコンピュータ・ユニット120とを含み得る。いくつかの実施形態では、電気事象検出デバイス100は、電力線インフラストラクチャ150も、電気コンセント151も、電気デバイス290も含まない。異なる実施形態では、電気事象検出デバイス100は、コンピュータ・ユニット120も含まない。いくつかの例では、電気検出デバイス100は、処理モジュール222(
図2)を含むが、コンピュータ・ユニット120は含まない。
【0037】
検知ユニット110は、(a)少なくとも1つの受信機モジュールまたはデータ取得用受信機211と、(b)コントローラ215と、(c)送信機を備えた通信デバイス216と、(d)データ取得用受信機211、コントローラ215および通信デバイス216に電力を供給するよう構成された電源217とを含み得る。コンピュータ・ユニット120は、(a)受信機を備えた通信デバイス221と、(b)処理モジュール222と、(c)格納モジュール230とを含み得る。
【0038】
限定を意味するものとして捉えるべきではないが、電気事象検出デバイス100を使用する簡単な例は、電気デバイス290(
図2)が電力線インフラストラクチャ150上で1つまたは複数の高周波電気信号(例えば、EMI)を生成する工程を伴う。検知ユニット110は、電力線インフラストラクチャ150上で高周波電気信号(例えば、連続性雑音)を検出し、高周波電気信号に関する情報を含む1つまたは複数のデータ信号を発生させることができる。検知ユニット110は、有線および/または無線通信方法を使用して、データ信号をコンピュータ・ユニット120に伝達することができる。コンピュータ・ユニット120は、データ信号を少なくとも部分的に使用して、電気デバイス290の電気状態を特定することができる。
【0039】
データ取得用受信機211は、電力線インフラストラクチャ150から1つまたは複数の電気信号を受信して処理するよう構成することができる。電気信号は、高周波成分(例えば、EMI)を含み得る。すなわち、データ取得用受信機211は、高周波成分を有する電気信号を受信し、電気信号、特に高周波成分を1つまたは複数のデータ信号に変換するよう構成することができる。
【0040】
図4は、第1の実施形態による、例示的なデータ取得用受信機211の部分的な回路図を示す。
図2および4を参照すると、さまざまな実施形態では、データ取得用受信機211は、(a)電力線インフラストラクチャ150の電気コンセント151(
図1)と結合するよう構成された少なくとも1つの電気的インターフェイス212と、(b)1つまたは複数のフィルタ回路213と、(c)少なくとも1つのコンバータ・モジュール214とを含み得る。さまざまな実施形態では、電気的インターフェイス212は、2本足または3本足の電源コネクタを含み得る。
【0041】
いくつかの例では、フィルタ回路213は、電気的インターフェイス212と電気的に結合することができ、電力インフラストラクチャから入力される電気信号の一部をフィルタ除去するよう構成することができる。フィルタ回路は、高周波電気雑音を通過させるよう構成することができる。例えば、データ取得用受信機211は、AC線周波数(米国では60Hz)をフィルタ除去することができ、その結果、コンバータ・モジュール214は、60Hzの強い周波数成分による過負荷を受けることはない。同じまたは異なる例では、フィルタ回路213は、ハイパスフィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、ハイパスフィルタは、50kHzから30MHz(メガヘルツ)までの本質的に平坦な周波数特性を有し得る。ハイパスフィルタの3dB(デシベル)コーナー周波数は36.7kHzであり得る。この3dBコーナー周波数により、十分に広い帯域で電気信号内の全範囲のEMIおよび他の高周波連続性雑音を観察することができる。いくつかの例では、フィルタ回路213は10dBの減衰器も含み得、その結果、信号周波数またはAC線条件に関わらず、一定の50オームの負荷がデータ取得用受信機211の入力側に提示される。それに加えて、いくつかの例では、安全性および線間電圧からの絶縁のため、高圧コンデンサを使用することができる。同じまたは異なる例では、
図4に示される極性を使用することができる。すなわち、一実施形態では、安全性のため、線と中性線は逆接続してはならず、絶縁コンデンサは、AC線定格のポリエステルフィルムタイプからなるものである必要がある。
【0042】
いくつかの例では、フィルタ回路は、コンデンサ461,462と、抵抗器463,464,465を含み得る。コンデンサ461,462は、0.1uFのコンデンサ(450Vのポリエステルコンデンサ)であり得る。抵抗器463,465は、100オームの1ワット定格抵抗器であり得る。抵抗器464は、75オームの1ワット定格抵抗器であり得る。
【0043】
コンバータ・モジュール214は、フィルタ回路213と電気的に結合することができ、フィルタ回路213からフィルタ処理された信号を受信するよう構成することができる。コンバータ・モジュール214は、1つまたは複数のフィルタ処理された信号を1つまたは複数のデータ信号に変換するよう構成することができる。1つまたは複数のデータ信号は、1つまたは複数の電気信号の高周波成分に関する情報を含み得る。いくつかの例では、コンバータ・モジュール214は、アナログデジタル変換器を含み得る。いくつかの例では、アナログデジタル変換器は、既定のレート(例えば、1MHz)で、フィルタ処理された電気信号をサンプリングすることができる。一例では、コンバータ・モジュール214は、USRP(ユニバーサルソフトウェア無線周辺機器)を含み得る。
【0044】
いくつかの例では、通信デバイス216は無線送信機を含み得、通信デバイス221は無線受信機であり得る。いくつかの例では、電気信号は、WI−FI(ワイヤレスフィディリティ)、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11無線プロトコルまたはBluetooth(登録商標)3.0+HS(高速)無線プロトコルを使用して送信することができる。さらなる例では、これらの信号は、Zigbee(登録商標)(802.15.4)、Z−Waveまたは独自の無線規格を介して送信することができる。他の例では、通信デバイス216は、携帯との接続または有線接続(例えば、ワイヤを使用する)を使用して電気信号を送信することができる。
【0045】
北米や世界の他の多くの地域では、一般的に、大部分の建造物において、電力インフラストラクチャによって三相電力が使用される。いくつかの建造物では、電力線インフラストラクチャ150の位相間の強い雑音信号が検出可能である。しかし、電気的インターフェイス212が結合される電気コンセント151とは逆相のいくつかの建造物の一部では、電気事象の検出は難しい場合がある。いくつかの例では、各相上に検知ユニット110を設置する(すなわち、三相電力を使用する建造物に2つの検知ユニットを設置する)か、または、両方の相が存在する利用可能な240Vのコンセント(例えば、乾燥機用の電気コネクタ)に検知ユニット110を設置するかのいずれかにより、この問題に対処することができる。2つの検知ユニット110を設置することにより、電気事象検出デバイス100は、両方の相から事象を捕獲することができるだけでなく、2つの同様のデバイスに対して見た目が同じシグネチャが見られる可能性も増加させる。しかし、見た目が同じシグネチャの問題は、2つの検知ユニット110のうちどちらが事象を検出したかを見分けることによって対処することができる。
【0046】
いくつかの例では、処理モジュール222は、ソフトウェアを備えることができ、(a)1つまたは複数の電気事象を1つまたは複数の異なるタイプの電気事象と関連付けるよう構成された訓練モジュール223と、(b)データ信号を少なくとも部分的に使用して、1つまたは複数の電気事象が発生したかどうか判断するよう構成された事象検出モジュール224と、(c)1つまたは複数の電気事象のタイプを分類するよう構成された分類モジュール226と、(d)ユーザと通信するよう構成された通信モジュール225とを含み得る。
【0047】
コンピュータ・ユニット120または処理モジュール222は、1つまたは複数の第1のデータ信号(例えば、1つまたは複数の電気信号の高周波成分に関する情報)を少なくとも部分的に使用して、電気デバイス290の電気状態を特定するよう構成することができる。さまざまな実施形態では、コンピュータ・ユニット120および/または処理モジュール222は、通信デバイス216からの1つまたは複数のデータ信号を少なくとも部分的に使用して、1つまたは複数の電気デバイスによって消費された電力を判断するよう構成することができる。例えば、処理モジュール222は、通信デバイス216からのデータ信号を少なくとも部分的に使用して、1つまたは複数の電気デバイス290の最初の1つの電源が入ったまたは電源が切れた際にそれを特定するよう構成することができる。
【0048】
以下で詳細に論じられるように、いくつかの例では、検知ユニット110から受信されたデータ信号に加えて、処理モジュール222は、次のタイプのデータ、すなわち、(a)規制機関からのデータベースからのデータ、(b)以前に観測されたデータ信号に関するデータを含む1つもしくは複数のデータベースからのデータ、(c)電気デバイスの1つもしくは複数のラベルからのデータ、および/または、(d)1つもしくは複数の電気デバイスの識別に関するユーザからのデータを使用して、電気デバイス290の電気状態を特定することができる。
【0049】
以下でさらに詳細に説明されるように、事象検出モジュール224は、通信デバイス216からのデータ信号を少なくとも部分的に使用して、1つまたは複数の電気事象が発生したかどうか判断するよう構成される。分類モジュール226は、電力線インフラストラクチャ150上に電気事象を発生させた電気デバイスの特定の電気事象を特定するよう構成することができる。分類モジュール226は、電力線インフラストラクチャ150上の電気事象を特定の電気デバイスの電源状態の変化と関連付けるよう構成することができる。
【0050】
訓練モジュール223は、電力線インフラストラクチャ150上の特定の電気信号を特定の電気事象と関連付けるよう構成することができる。例えば、訓練モジュール223は、電力線インフラストラクチャ150上の特定の電気事象が特定の電気適用例(例えば、蛍光灯、コンピュータまたは洗濯機)をオンにするかまたはオフにするかに相当することを判断するよう構成することができる。
【0051】
いくつかの例では、訓練モジュール223は、訓練または較正シーケンスを実行して、データ取得用受信機211によって検出された電気事象を特定の電気事象と関連付けるよう構成することができる。較正シーケンスを実行した後、訓練モジュール223は、分類モジュール226に訓練相関データを提供することができ、その結果、分類モジュール226は、データ取得用受信機211によって検出された電気事象を特定の電気デバイスの状態における特定の変化と関連付けることができる。例示的な訓練または較正シーケンスは、
図8の方法800のアクティビティ835と関連して説明される。
【0052】
通信モジュール225を使用して、電気事象検出デバイス100の1人または複数のユーザへ情報を伝達したり、同ユーザから情報を受信したりすることができる。例えば、ユーザは、通信モジュール225を使用して、訓練または較正シーケンス中に情報を入力することができる。それに加えて、通信モジュール225は、電気事象が発生する際にそれをユーザに通知することができる。いくつかの実施形態では、通信モジュール225は、
図23のモニタ2306、キーボード2304および/またはマウス2310を使用することができる。
【0053】
格納モジュール230は、訓練モジュール223、事象検出モジュール224、通信モジュール225および分類モジュール226によって使用される情報およびデータを格納することができる。いくつかの例では、格納モジュール230は、USBポート2312(
図23)内のUSBデバイス、CD−ROMおよび/もしくはDVDドライブ2316(
図23)内のCD−ROMもしくはDVD、ハードドライブ2314(
図23)、または、メモリ2408(
図24)を含み得る。
【0054】
処理モジュール222は、コンピュータ・ユニット120のプロセッサ(例えば、
図24の中央演算処理装置(CPU)2410)上で実行するよう構成することができる。本明細書で使用される場合、「コンピュータ・ユニット」は、単一のコンピュータ、単一のサーバ、または、1つもしくは複数の場所にあるコンピュータおよび/もしくはサーバのクラスタもしくは集合体を指し得る。一例では、コンピュータ・ユニット120は、
図23および24に示されるコンピュータを含み得る。いくつかの例では、コンピュータ・ユニット120は、ユーザに少なくとも部分的にローカル接続することができる。他の例では、ユーザは、インターネットまたは他のネットワークを通じてコンピュータ・ユニット120にアクセスすることができる。
【0055】
いくつかの例では、コンピュータ・ユニット120は第1のサーバであり得る。第1のサーバは、電気事象検出デバイス100のユーザの家庭用コンピュータ、または、電気事象検出デバイス100が設置されている建物の所有者によって所有もしくは制御されたコンピュータであり得る。他の例では、第1のサーバは、建造物(例えば、家庭用制御または自動化システム、セキュリティシステム、環境制御システム)内に位置する別の電気デバイス(プロセッサを備えた)であり得る。第1のサーバは、通信デバイス221、格納モジュール230、訓練モジュール223、事象検出モジュール224、通信モジュール225および分類モジュール226の第1の部分を含み得る。1つまたは複数の第2のサーバ(例えば、電気事象検出デバイス100の製造業者もしくは販売業者、公益事業会社またはセキュリティモニタリング会社によって所有または制御されたコンピュータまたはサーバ)は、これらのモジュールの重複する可能性がある第2の部分を含み得る。これらの例では、コンピュータ・ユニット120は、第1のサーバと1つまたは複数の第2のサーバの組合せを含み得る。
【0056】
図5は、第2の実施形態による、電気事象検出デバイス500を含む例示的なシステムの図を示す。
図6は、第2の実施形態による、電気事象検出デバイス500の検知ユニット510のブロック図を示す。いくつかの実施形態では、電気事象検出デバイス500は、システム501の1つまたは複数の電気デバイス290(
図2)の電気状態を検出するよう構成することができる。また、電気事象検出デバイス500は、システム501の電力線インフラストラクチャ150(
図1および5)内の1つまたは複数の電気事象を検出するよう構成することもできる。多くの例では、電気事象検出デバイス500は、電気デバイス290(
図2)によって電力線インフラストラクチャ150上に付加された連続性雑音を使用して、電気デバイス290の電気状態を検出するか、または、電力線インフラストラクチャ150上の電気事象を検出することができる。電気事象検出デバイス500によって検出された電気事象は、電力線インフラストラクチャ150と結合された電気デバイス290(
図2)の作動および停止(すなわち、オンにしたりオフにしたりすること)を含み得る。また、1つまたは複数の電気事象は、電気デバイスの電源によって電気デバイスの残りの部分に供給される電力の量が変化するまたは限定される場合の事象(例えば、調光スイッチを入れる)でもあり得る。システム501および電気事象検出デバイス500は、単なる例示であり、本明細書に提示される実施形態に限定されない。システム501および電気事象検出デバイス500は、本明細書に具体的に描写も記載もされない多くの異なる実施形態または実施例において使用することができる。
【0057】
図5および
図6を参照すると、電気事象検出デバイス500は、(a)検知ユニット510と、(b)電力線インフラストラクチャ150の電気コンセント151と結合するよう構成されたハブ540と、(c)ハブ540をコンピュータ・ユニット120と結合するよう構成されたルータ505と、(d)コンピュータ・ユニット120とを含み得る。他の例では、ハブ540は、ルータ505を使用せずにコンピュータ・ユニット120と結合することができ、この事例では、電気事象検出デバイス500およびシステム501はルータ505を含まない。
【0058】
いくつかの例では、検知ユニット510は、電気遮断器パネル552および商用電力計553の少なくとも1つと結合される。他の例では、検知ユニット510は、電気遮断器パネル552または商用電力計553の少なくとも1つと統合されても、電気遮断器パネル552または商用電力計553の少なくとも1つの一部であってもよい。一実施形態では、電気事象検出デバイス500は、電気遮断器パネル552も、商用電力計553も、電力線インフラストラクチャ150も、電気コンセント151も、電気デバイス290も含まない。異なる実施形態では、電気事象検出デバイス500は、コンピュータ・ユニット120も、ルータ505も含まない。いくつかの例では、電気事象検出デバイス500は、処理モジュール222を含むが、コンピュータ・ユニット120は含まない場合がある。
【0059】
限定を意味するものとして捉えるべきではないが、電気事象検出デバイス500を使用する簡単な例は、電気デバイス290(
図2)が1つまたは複数の高周波電気信号を生成する工程を伴う。検知ユニット510は、電力線インフラストラクチャ150上で高周波電気信号を検出し、高周波電気信号に関する情報を含む1つまたは複数のデータ信号を発生させることができる。検知ユニット510は、電力線インフラストラクチャ150上で電力線通信(PLC)方法を使用して、データ信号をハブ540に伝達することができる。ハブ540は、有線または無線通信方法を使用して、データ信号をコンピュータ・ユニット120に伝達することができる。コンピュータ・ユニット120は、データ信号を少なくとも部分的に使用して、1つまたは複数の電気デバイスの電気状態を特定することができる。
【0060】
図5および
図6を参照すると、検知ユニット510は、(a)データ取得用受信機611と、(b)コントローラ615と、(c)通信デバイス616と、(d)電源617とを含み得る。いくつかのの例では、コントローラ615および電源617はそれぞれ、
図2のコントローラ215および電源217と同様でも同じでもよい。検知ユニット110(
図1および2)と同様に、検知ユニット510は、電力線インフラストラクチャ150からの1つまたは複数の電気信号を処理することによって、電力線インフラストラクチャ150上で連続性雑音を検出するよう構成することができる。いくつかの実施形態では、検知ユニット510は、高周波成分を有する電気信号を受信し、電気信号、特に電気信号の高周波成分を1つまたは複数のデータ信号に変換するよう構成することができる。
【0061】
データ取得用受信機611は、(a)1つまたは複数の変流器628,629と、(b)1つまたは複数のフィルタ回路613と、(c)少なくとも1つのコンバータ・モジュール614とを含み得る。
【0062】
変流器628,629を使用して、導体中を流れるAC電流の量を測定することができる。変流器628,629は、導体内の大電流に比例する測定し易い小信号を生成することができる。具体的には、変流器628,629は、それぞれのAC位相に変流器を1つずつ割り当てた状態で、電気遮断器パネル552を商用電力計553に結合する2つの導体中を流れる電流の量を測定する。建造物によって消費される総電力は、それぞれのAC位相が供給する電力の合計である。
【0063】
他の例では、変流器628,629は変流器ではない。変流器628,629は、ホール効果センサ、ロゴスキーコイル、変流器または分流抵抗器など、電流を測定する任意のデバイスであり得る。例えば、変流器628,629は分流抵抗器であり得る。すなわち、AC電流は小抵抗中を流れることができ、データ取得用受信機611は小抵抗器の両端間で生じる小電圧を測定することができる。この測定された小電圧は、電気遮断器パネル552を商用電力計553に結合する2つの導体中を流れる電流の量に比例する。
【0064】
いくつかの例では、フィルタ回路613は、電力インフラストラクチャから入力される電気信号の一部をフィルタ除去するよう構成される。例えば、フィルタ回路613は、AC線基本周波数(米国では60Hz)をフィルタ除去することができ、その結果、コンバータ・モジュール614は、60Hzの強い周波数成分による過負荷を受けることはない。同じまたは異なる例では、フィルタ回路613は、ハイパスフィルタを含み得る。いくつかの例では、フィルタ回路613は、
図2のフィルタ回路213と同様でも同じでもよい。
【0065】
コンバータ・モジュール614は、フィルタ回路613と電気的に結合することができ、フィルタ回路613からフィルタ処理された信号を受信するよう構成することができる。コンバータ・モジュール614は、1つまたは複数のフィルタ処理された信号を1つまたは複数のデータ信号に変換するよう構成することができる。データ信号は、電気信号の高周波成分に関する情報を含み得る。いくつかの例では、コンバータ・モジュール614は、(a)アナログデジタル変換器619と、(b)デジタル信号プロセッサ618とを含み得る。
【0066】
さまざまな実施形態では、通信デバイス616は、PLC送信機を含み得る。PLC送信機は、電力送信に使用される導体(例えば、電力線インフラストラクチャ150)に関するデータを送信するための送信機であり得る。通信デバイス616は、電力線インフラストラクチャ150と電気的に結合することができ、電力線インフラストラクチャ150上でデータ信号をハブ540に伝達するよう構成することができる。同じまたは異なる例では、通信デバイス616とハブ540との間のPLC通信は、双方向通信であり得る。他の例では、通信デバイス616は、通信デバイス216と同様でも同一でもよく、ルータ505および/またはコンピュータ・ユニット120に直接データ信号を送信することができる。
【0067】
ハブ540は、(a)電力線インフラストラクチャ150(
図5)の電気コンセント151(
図5)と結合するよう構成された電気的インターフェイス641と、(b)通信デバイス643とを含み得る。
【0068】
さまざまな実施形態では、電気的インターフェイス641は、2本足または3本足の電源コネクタを含み得る。また、いくつかの例では、電気的インターフェイス641は、PLC受信機も含み得る。電気的インターフェイス212のPLC受信機は、電力線インフラストラクチャ150を介して検知ユニット510の通信デバイス616からデータ信号を受信するよう構成することができる。また、いくつかの例では、電気的インターフェイス641は、PLC送信機も含み得る。
【0069】
通信デバイス643は、電気的インターフェイス641と電気的に結合し、電気的インターフェイス641からデータ信号を受信することができる。いくつかの例では、通信デバイス643は、無線送信機を含み得る。無線送信機は、ルータ505を介してコンピュータ・ユニット120に(またはコンピュータ・ユニット120に直接)データ信号を送信することができる。他の例では、通信デバイス643は、ワイヤを使用してルータ505および/またはコンピュータ・ユニット120と結合し、ワイヤ上でデータ信号を伝達することができる。さらなる他の例では、ハブ540は、コンピュータ・ユニット120またはルータ505と統合されても、コンピュータ・ユニット120またはルータ505の一部であってもよい。
【0070】
図7は、一実施形態による、電気事象検出デバイスを設ける方法700の例示的な実施形態のフロー図を示す。方法700は、単なる例示であり、本明細書に提示される実施形態に限定されない。方法700は、本明細書に具体的に描写も記載もされない多くの異なる実施形態または実施例において使用することができる。いくつかの実施形態では、方法700のアクティビティ、手順および/またはプロセスは、提示される順序で実行することができる。他の実施形態では、方法700のアクティビティ、手順および/またはプロセスは、他の任意の適切な順序で実行することができる。さらなる他の実施形態では、方法700のアクティビティ、手順および/またはプロセスの1つまたは複数は、組み合わせることも、省略することもできる。
【0071】
図7を参照すると、方法700は、少なくとも1つのデータ取得用受信機を設けるアクティビティ710を含む。いくつかの実施形態では、データ取得用受信機は、電力インフラストラクチャから1つまたは複数の電気信号を受信して処理し、電気信号を第1のデータ信号に変換するよう構成することができる。例えば、データ取得用受信機は、
図2のデータ取得用受信機211または
図6のデータ取得用受信機611と同様でも同一でもよい。同じまたは異なる例では、アクティビティ710は、第2のデータ取得用受信機を設ける工程を含み得る。いくつかの例では、第1のデータ取得用受信機は、建造物の電力インフラストラクチャの第1の相と結合することができ、第2のデータ取得用受信機は、建造物の電力インフラストラクチャの第2の相と結合することができる。
【0072】
図7の方法700は、通信デバイスを設けるアクティビティ715を引き続き実行する。いくつかの実施形態では、通信デバイスは、送信機を含み得、第1のデータ信号を送信するよう構成することができる。一例として、通信デバイスは、
図2の通信デバイス216または
図6の通信デバイス616と同様でも同一でもよい。
【0073】
その後、
図7の方法700は、コントローラを設けるアクティビティ720を含む。一例として、コントローラは、
図2のコントローラ215または
図6のコントローラ615と同様でも同一でもよい。
【0074】
次に、
図7の方法700は、通信デバイス、データ取得用受信機およびコントローラを電気的に結合するアクティビティ725を含む。例えば、通信デバイス、データ取得用受信機およびコントローラの電気結合は、
図2の通信デバイス216、データ取得用受信機211およびコントローラ215の電気結合または
図6の通信デバイス616、データ取得用受信機611およびコントローラ615の電気結合と同様でも同一でもよい。
【0075】
図7の方法700は、コンピュータ・ユニットを設けるアクティビティ730を引き続き実行する。いくつかの実施形態では、コンピューテーション・ユニットは、第1のデータ信号を使用して1つまたは複数の電気デバイスの電気状態の変化を特定するよう構成することができる。一例として、コンピューテーション・ユニットは、
図1および/または5のコンピュータ・ユニット120と同様でも同一でもよい。
【0076】
いくつかの例では、アクティビティ730は、(a)通信デバイスからデータ信号を受信するよう構成された通信デバイスと、(b)1つまたは複数の電気事象を1つまたは複数の異なるタイプの電気事象と関連付けるよう構成された訓練モジュールと、(c)電気事象が発生したかどうか判断するよう構成された事象検出モジュールと、(d)電気事象のタイプを分類するよう構成された分類モジュールと、(e)ユーザと通信するよう構成された通信モジュールとを含むコンピューテーション・ユニットを設ける工程を含み得る。一例として、通信デバイス、訓練モジュール、事象検出モジュール、分類モジュールおよび/または通信モジュールはそれぞれ、
図2の通信デバイス221、訓練モジュール223、事象検出モジュール224、分類モジュール226および通信モジュール225と同様でも同一でもよい。
【0077】
図8は、一実施形態による、電力インフラストラクチャと結合された1つまたは複数の電気デバイスによる電力使用状況を検出して分類する方法800の実施形態のフロー図を示す。方法800は、単なる例示であり、本明細書に提示される実施形態に限定されない。方法800は、本明細書に具体的に描写も記載もされない多くの異なる実施形態または実施例において使用することができる。いくつかの実施形態では、方法800のアクティビティ、手順および/またはプロセスは、提示される順序で実行することができる。他の実施形態では、方法800のアクティビティ、手順および/またはプロセスは、他の任意の適切な順序で実行することができる。さらなる他の実施形態では、方法800のアクティビティ、手順および/またはプロセスの1つまたは複数は、組み合わせることも、省略することもできる。
【0078】
図8を参照すると、方法800は、データ取得用受信機を電力インフラストラクチャと結合するアクティビティ810を含む。いくつかの例では、データ取得用受信機は、電気的インターフェイスを含み得る。電気的インターフェイスは、電力インフラストラクチャを結合するよう構成することができる。例えば、電気的インターフェイスは、2本足または3本足の電気プラグであり得、電気プラグは、電力インフラストラクチャの電気壁ソケットと結合することができる。他の例では、データ取得用受信機は、建造物の電気遮断器パネルおよび/または商用電力計と結合することができる。いくつかの実施形態では、アクティビティ810は、1つのデータ取得用受信機を建造物の二相電力インフラストラクチャの各相と結合する工程を含み得る。いくつかの例では、データ取得用受信機および電気的インターフェイスはそれぞれ、
図2のデータ取得用受信機211および電気的インターフェイス212と同様でも同一でもよい。また、データ取得用受信機は、
図6のデータ取得用受信機611と同様でも同一でもよい。
【0079】
図8の方法800は、電力インフラストラクチャから1つまたは複数の第1の電気信号を捕捉するアクティビティ815を引き続き実行する。いくつかの例では、捕捉された電気信号は、電気雑音を含み、より具体的には、基本周波数の連続性の電気雑音を含む。さまざまな例では、連続性の電気雑音は、高周波電磁妨害(例えば、数十キロヘルツから数百キロヘルツまでの範囲の電気信号)を含み得る。多くの実施形態では、データ取得用受信機は、第1の電気信号を捕捉することができる。
【0080】
その後、
図8の方法800は、第1の電気信号を1つまたは複数の第1のデータ信号に変換するアクティビティ820を含む。いくつかの例では、第1の電気信号を変換する工程は、最初に、フィルタ回路を使用して電気信号をフィルタ処理する工程を含み、次いで、コンバータ・モジュールを使用してフィルタ処理された信号をデジタル信号に変換する工程を含み得る。さまざまな例では、ハイパスフィルタを第1の電気信号に適用して、例えば、AC線周波数、AC線周波数の高調波および/または他の周波数をフィルタ除去することができる。その後、フィルタ処理された電気信号をコンバータ・モジュール(例えば、アナログデジタル変換器)に伝送することによって、フィルタ処理された電気信号を第1のデータ信号に変換することができ、コンバータ・モジュールは、例えば、1MHz(メガヘルツ)でフィルタ処理された電気信号をサンプリングすることができる。いくつかの例では、フィルタ回路およびコンバータ・モジュールは、
図2のフィルタ回路213およびコンバータ・モジュール214ならびに/または
図6のフィルタ回路613およびコンバータ・モジュール614と同様でも同一でもよい。
【0081】
次に、
図8の方法800は、第1のデータ信号を送信するアクティビティ825を含む。いくつかの実施形態では、第1の電気信号は、送信機を使用して送信することができる。一例として、送信機は、
図2の通信デバイス216または
図6の通信デバイス616と同様でも同一でもよい。いくつかの例では、送信機は、無線送信機であり得る。他の例では、第1のデータ信号は、ワイヤを使用して送信することができる。さらなる例では、第1のデータ信号は、有線および無線通信の組合せを使用して送信することができる。例えば、信号は、電力線上をデータ取得用受信機からハブまで転送して、ハブからコンピュータ・ユニットまで無線送信することができる。
【0082】
図8の方法800は、第1のデータ信号を受信するアクティビティ830を引き続き実行する。いくつかの実施形態では、第1の電気信号は、受信機を使用して受信することができる。一例として、受信機は、
図2の通信デバイス221の受信機と同様でも同一でもよい。いくつかの例では、受信機は、無線受信機であり得る。他の例では、第1のデータ信号は、ワイヤ上で有線受信機によって受信しても、有線および無線受信機の組合せを使用して受信してもよい。
【0083】
その後、
図8の方法800は、第1の電気信号を使用して、第1のデータ信号を特定の電気デバイスの電気状態の変化と関連付けるよう、演算モジュール上で実行する処理モジュールを訓練するアクティビティ835を含む。
図9は、一実施形態による、第1の電気信号を使用して、第1のデータ信号を特定の電気デバイスの電気状態の変化と関連付けるよう処理モジュールを訓練するアクティビティ835の例示的なフロー図を示す。
【0084】
図9のアクティビティ835の第1の手順は、第1のデータ信号を準備する手順911である。いくつかの例では、第1のデータ信号を2048ポイントベクトルとしてバッファリングし、第1のデータ信号の高速フーリエ変換(FFT)を演算して周波数領域信号を入手する。2048ポイントは、500kHzのスペクトル幅全体に等しく広げることができ、それにより、1つのFFTビンあたり244Hzの分解能をもたらす。FFTベクトルまたは周波数ベクトルは、1秒あたり244回演算される。他の例では、他のサイズのFFTビンおよびポイントベクトル数を使用することができる。いくつかの実施形態では、第1のデータ信号の準備は、事象検出モジュールによって実行される。例えば、事象検出モジュールは、
図2の事象検出モジュール224と同様でも同一でもよい。
【0085】
図9のアクティビティ835の次の手順は、電力インフラストラクチャ上で1つまたは複数の電気事象の発生を検出する手順912である。大部分のSMPSデバイスは、第1のデータ信号のベースライン雑音フロアを8dBから60dB上回る雑音ピークを生成する。大部分の建造物では、ベースライン雑音フロアは、スペクトル全体にわたって−90dBmから−70dBmまでの間で予測できないほどに変動し得る。ベースライン雑音の変動性が高いため、入力周波数ベクトルを経時的に平均して、安定した雑音フロアを得ることができる。いくつかの例では、規定量のウィンドウサイズ(例えば、25)を有するスライディングウィンドウ平均を使用することができる。使用するウィンドウサイズが小さすぎると、誤検出の増加を招く恐れがある一方で、大きなウィンドウサイズは、システムに対するほぼ同時の事象間に要する時間の量を増加し、別々の事象として検出し得る。
【0086】
いくつかの例では、事象検出モジュールは、既定数の周波数ベクトルの平均値を演算することができ、その平均値をベースライン雑音シグネチャとして格納モジュール230(
図2)に格納する。
図10は、一実施形態による、建造物のベースライン雑音シグネチャの例のグラフ1000を示す。
【0087】
その後、既定数の周波数ベクトルごとに新しいウィンドウが計算され、新しいベースライン雑音シグネチャとの差分ベクトルが演算される。電気デバイスを作動し、周波数領域内の新しい雑音が電力線インフラストラクチャに導入されると、差分ベクトルは、この変化を反映する。したがって、この差分ベクトルにより、事象の分割が可能になる。
図11は、一実施形態による、新しいデバイスの雑音シグネチャのグラフ1100の例を示す。
図12は、一実施形態による、ベースライン雑音を除去した後の新しい電気デバイスの雑音シグネチャのグラフ1200の例を示す。
【0088】
さまざまな実施形態では、事象検出モジュールは、差分ベクトルを走査して、既定の閾値を超える任意の値を見出すことができる。事象検出モジュールは、一度設定され異なる建造物で使用されるグローバル閾値を使用することができる。いくつかの例では、雑音ベースラインを8dB上回る閾値は、十分な電力閾値であり得る。ウィンドウ内のベクトルは平均化されるため、ウィンドウが事象と部分的にしか重複しなくとも、事象検出モジュールはそれを適正に検出することができるが、差分ベクトルはより小さな振幅を反映する。この潜在的な問題を緩和するため、事象を検出すると、次のウィンドウサイクルを使用して新しい差分ベクトルが計算される。事象の検出の後、ベースライン雑音ベクトルは、電力インフラストラクチャの新しい雑音フロアを反映するよう適切に更新される。
【0089】
多くの例では、事象検出モジュールは、差分ベクトルを使用して閾値を上回る振幅または周波数成分を見出すことができ、ガウス関数とフィットさせて平均、振幅および分散パラメータを抽出することができる。例えば、
図12は、新たに作動されたデバイスからの電気信号の例示的な振幅(A)、平均(μ)および分散(σ)を示す。振幅の変化は、デバイスをオンにするかオフにするかに応じて正でも負でもあり得る。雑音シグネチャは、逆の状態移行に対して互いに逆である(すなわち、オンにするのとオフにするのとでは雑音シグネチャは逆になる)。
【0090】
疑わしい事象の特徴ベクトルは、中心周波数のパラメータを使用して事象検出モジュールによって作成することができ、中心周波数は、一般に、グローバルな最大周波数成分である。他のピークもまた、高調波として存在し得る。多くの例では、事象検出モジュールは、ユークリッド距離メトリックおよび逆重み付けを用いてKNN(k近傍法)(k=1)を適用し、特徴ベクトルを作成することができる。
【0091】
その後、
図9のアクティビティ835は、特定の電気デバイスを特定の電気事象と関連付ける手順913を含む。いくつかの例では、訓練モジュールは、ユーザとともに訓練または較正プロセスを実行してこの関連性を生み出すことができる。
【0092】
電気事象検出システムがデバイス識別に対してフィンガープリントベースの手法を使用する場合は、電気事象検出システムは、建造物内のさまざまなデバイスのパラメータを学習するための訓練プロセスを必要とする場合がある。いくつかの例では、この訓練は、一般に、ユーザに各デバイスを少なくとも一度作動させることによって達成される。
【0093】
他の例では、電気雑音シグネチャのデータベースに対する別の情報源はクラウドソーシングであり得る。すべての電気事象検出デバイス間で共有される中央データベースを維持することができる。ユーザが新しい器具にラベル付けすると、それは共通のリポジトリの一部となり、今後のクエリで情報を使用して新しい電気デバイスを特定することができる。例えば、ユーザは、較正プロセスを経た他のユーザによって提出された人気の家庭用電子デバイスシグネチャのオンラインデータベースにアクセスすることができる。
【0094】
それに加えて、検知されたEMIは工学的信号であるため、物理的にデバイスを作動することも、物理的にデバイスにアクセスすることもなく、そのようなシグネチャデータベースを生成できる場合がある。これは、特定の電気デバイスが放射するさまざまな雑音ピークに対する周波数およびdBuV単位の未処理の振幅をリストする、デバイスの米国政府FCC(Federal Communications Commission)への準拠性に関する報告書および他の技術データシートから情報を検索することによって実現することができる。
【0095】
例えば、家庭用電子デバイスは、例えば、デバイスが生成するEMIがある特定の既定限度内にあることを保証するFCCのある特定の認証を通過しなければならない。認証の結果は、機器の電気的特性および雑音特性について説明する公的に利用可能な文書である。情報は、さまざまな器具に対する予測共鳴周波数を含むデータベースの構築に使用できる公的に利用可能な文書から抽出することができる。この情報の他の情報源は、家庭用電子デバイス内に見られる内部の集積回路およびオシレータのデータシートを検索することによって得られる。
【0096】
図2に戻って参照すると、コンピュータ・ユニット120(
図1)は、関連付けまたは較正プロセスの結果を格納モジュール230(
図2)に格納することができる。後にこの情報を使用して、1つまたは複数の雑音シグネチャを特定の電気事象と関連付けることができる。
【0097】
同じまたは異なる実施形態では、格納モジュール230は、電気デバイスの電気雑音シグネチャのデータベースを含み得る。いくつかの例では、電気デバイスの電気雑音シグネチャは、第三者(例えば、電気事象検出デバイス100(
図1)および/または500(
図5)の製造業者)によって提供される場合がある。
【0098】
同じまたは異なる実施形態では、較正プロセスは、ラベル付けプロセスを伴う場合があり、このプロセスでは、電気事象検出デバイス100のユーザは、電気デバイスを特定の電気事象と関連付ける際に支援する。いくつかの実施形態では、訓練シーケンスは、訓練モジュール223が動作して、電力線インフラストラクチャ150上で電気事象を記録している間に、電気事象検出デバイス100のユーザが電気デバイスのそれぞれをオンにしたりオフにしたりする工程(または、少なくとも住宅もしくは他の建造物内のSMPSを使用する電気デバイスをオンにしたりオフにしたりする工程)を伴う。
【0099】
電気事象を特定するため、訓練モジュール223(または、事象検出モジュール224)は、スライディングウィンドウステップ検出器を適用することができ、この検出器は、分割されたデータの振幅の変化を絶え間なく探索する。訓練モジュール223(または、事象検出モジュール224)は、学習されたまたは既定の閾値を超える変化率での信号の単調増加または減少に遭遇する際に、ステップ検出器をトリガすることができる。
【0100】
いくつかの例では、学習された閾値は、任意の大数に設定し、小さなステップで減少させる。各ステップに対し、訓練モジュール223(または、事象検出モジュール224)は、絶縁した状態で発生する事象の無作為のサブセットを分割することができる。適正な事象数が計算されれば、閾値は容認される。そうでなければ、閾値を減少させ、プロセスを繰り返す。例えば、サブセットが4つの事象を含む場合、分割された4つのステップ増加と4つのステップ減少が存在するはずである。訓練モジュール223(または、事象検出モジュール224)は、このパターンが見られるまで検出閾値を単調減少することができる。このように、学習された閾値は、最小限の管理または人為的介入で設定される。他の実施形態では、訓練モジュール223は、閾値量を規定量(例えば、8dB)に設定することができる。
【0101】
それぞれの電気デバイスの電源を入れ直した後、ユーザは、通信モジュール225を使用して、訓練モジュール223によって検出された各電気事象をラベル付けすることができる。例えば、ユーザが、(1)テレビをオン・オフにする場合、および、(2)室内の蛍光灯を備えた4つの照明のそれぞれをオンにしたりオフにしたりする場合、電気事象検出デバイス100によって検出された最初の2つの電気事象は、テレビをオン・オフにしたとしてラベル付けすることができ、次の8つの電気事象は、照明のそれぞれをオンにしたりオフにしたりしたとしてラベル付けすることができる。同様に、ユーザは、住宅または建物内のすべての電気デバイスの電源の入・切を繰り返し、同様のラベル付け手順を実行することができる。
【0102】
他の例では、通信モジュール225は、特定の電気事象が発生した際にユーザがタイムスタンプでマーク付けできる、携帯用電気デバイス(例えば、California、CupertinoのApple Computers,Inc.によるiPhone(登録商標)またはiPad(登録商標)デバイス)上で実行することができる部分を含み得る。これらの例では、ユーザは、通信モジュール225の一部を実行している電気デバイスを持ち運ぶ間、建造物内のすべての電気デバイスの携帯用電源の入・切を繰り返すことができる。ユーザは、通信モジュール225を使用して、電気事象が起こる際にマーク付けすることができる。例えば、訓練モジュール223が動作して、電気事象を記録している間に、ユーザは、ラップトップコンピュータをオンにして、電気デバイスに電気事象の説明および事象が発生した時間を記録させる、電気デバイス上のボタンを押すことができる。
【0103】
訓練モジュール223は、携帯用電気デバイスによって記録されたデータとデータ取得用受信機211によって記録された電気信号とを関連付けることができる。いくつかの例では、携帯用電気デバイスは、速やかに(例えば、リアルタイムで)コンピュータ・ユニット120にデータを中継することができ、他の例では、訓練プロセスが完了してから(例えば、バッチモードで)コンピュータ・ユニット120にデータを伝達することができる。
【0104】
さらなる例では、ユーザは、建造物内のすべての電気デバイスの電源の入・切を繰り返すことができ、訓練モジュール223は、格納モジュール230(または、オンラインデータベース)に格納された電気デバイスの電気雑音シグネチャにアクセスし、電気事象を特定の電気デバイスの電気雑音シグネチャと自動的に関連付けることができる。さまざまな実施形態では、ユーザは、建物内の電気デバイスについての情報(例えば、製造業者、モジュール番号および/またはシリアル番号)を入力して、訓練モジュール223が電気事象を建造物内の電気デバイスの電気雑音シグネチャと関連付ける際に役立てることができる。すなわち、訓練モジュール223は、データ取得用受信機211(
図2)によって検出された電気雑音信号を、建物内の電気デバイスの格納された電気雑音シグネチャと比較して、電気事象を特定の電気デバイスと関連付けることができる。
【0105】
さまざまな実施形態では、訓練シーケンスに着手する代わりに、訓練モジュール223または分類モジュール226は、電気事象検出デバイス100を実行している際に新しい電気デバイスを初めて作動すると、電気雑音シグネチャのデータベースにアクセスすることができる。この事例では、新しい電気デバイスの電気雑音シグネチャを電気雑音シグネチャデータベースと比較して、適合するシグネチャを見出すことができる。
【0106】
同じまたは異なる例では、電気雑音シグネチャデータベースを使用して電気事象を特定できなければ、電気事象を手動でラベル付けすることができる。いくつかの例では、訓練モジュール223は、電気デバイスをデバイスカテゴリ(例えば、テレビ)別に分類することができ、ユーザは、正確なラベル(例えば、ソニーKDL−40V TV)を提供することができる。ユーザがそのような電気デバイスを多数有する場合、ユーザは、電気デバイスのオン・オフを切り替えることができ、電気事象検出デバイス100は、より正確な情報で更新できるカテゴリラベルを用いてリストを生成することができる。
図9の手順911の一部として特定の電気デバイスと特定の雑音シグネチャとの関連付けを完了すると、
図9のアクティビティ835が完了する。
【0107】
図8を再度参照すると、方法800は、電力インフラストラクチャから第2の電気信号を捕捉するアクティビティ840を引き続き実行する。アクティビティ840は、アクティビティ815と同様でも同一でもよい。
【0108】
図8の方法800は、第2の電気信号を第2のデータ信号に変換するアクティビティ845を引き続き実行する。アクティビティ845は、アクティビティ820と同様でも同一でもよい。
【0109】
その後、
図8の方法800は、第2のデータ信号を送信するアクティビティ850を含む。アクティビティ850は、アクティビティ825と同様でも同一でもよい。
【0110】
次に、
図8の方法800は、第2のデータ信号を受信するアクティビティ855を含む。アクティビティ855は、アクティビティ830と同様でも同一でもよい。
【0111】
図8の方法800は、電力インフラストラクチャ上で1つまたは複数の電気事象の発生を検出するアクティビティ860を引き続き実行する。アクティビティ860は、
図9の手順912と同様でも同一でもよい。このアクティビティでは、事象検出モジュールは、既定の閾値を上回る電気信号のピークを位置付けることができる。
【0112】
その後、
図8の方法800は、1つまたは複数の電気事象を1つまたは複数の電気デバイスの少なくとも1つの電気デバイスの電気状態の変化と関連付けるアクティビティ865を含む。いくつかの例では、電気デバイスの電気状態の変化は、(a)完全な電源オフ状態(もしくは待機電源状態)から電源オン状態へ、または、(b)電源オン状態から完全な電源オフ状態(もしくは待機電源状態)へのいずれか1つであり得る。
【0113】
同じまたは異なる実施形態では、電気事象は、第1の電力を電気デバイスに供給する第1の状態から、第2の電力を電気デバイスに供給する第2の状態への変化であり得る。この例では、第1の電力は、第2の電力とは異なる。いくつかの実施形態では、第1の電力および第2の電力は、電源オフ状態ではない。
【0114】
事象検出モジュール224(
図2)は、差分ベクトルを使用して閾値を上回るピークを見出すことができ、ガウス関数とフィットさせて平均、振幅および分散パラメータを抽出する。特徴ベクトルは、それぞれの分割された事象に対して生成し、KNNモデルの構築に使用することができる。KNNモデルを使用して、電気事象の発生源を自動的に特定することができる。事象検出モジュール224(
図2)は、ユークリッド距離メトリックおよび逆重み付けのKNN(k=1)を適用することができる。
【0115】
同じまたは異なる例では、事象検出モジュール224(
図2)がデータ取得用受信機211(
図2)からの電気信号のピークを位置付けた後、事象検出モジュール224は、信号から3つの特徴(1)ステップ変化の相対振幅、(2)電流変化の勾配および(3)未知の事象の立ち上がりまたは立ち下がり時間を抽出することができる。これらの3つの特徴は、電気デバイスの曖昧さを除く際に役立てることができる。
【0116】
事象検出モジュール224(
図2)は、電気事象について集められた情報を使用して、その情報を特定の電気デバイスと関連付けることができる。例えば、事象検出モジュール224(
図2)は、電気事象のシグネチャを訓練プロセスで保存されたシグネチャと比較して、どの電気デバイスが事象を引き起こしたかおよびその事象のタイプを判断することができる。
【0117】
次に、
図8の方法800は、ユーザに1つまたは複数の電気事象についての情報を表示するアクティビティ870を含む。いくつかの例では、通信モジュール225(
図2)は、ユーザに1つまたは複数の電気事象についての情報を表示することができる。情報は、さまざまな形式で表示することができる。いくつかの実施形態では、特定の期間における建造物内の2つ以上の電気デバイスの電気状態は、図表形式でユーザに提示することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電気事象についての情報は、リアルタイムで表示することができる。アクティビティ870の後、アクティビティ840,845,850,855,860,865,870を新しい電気事象が発生するたびに繰り返して、電気事象を特定することができる。これらのアクティビティを使用して、システムは、1つまたは複数の電気デバイスによる電力使用状況を検出して分類することができる。
【0118】
電気事象検出デバイス100の例示的な実施形態をテストした結果を本明細書に提示する。以下で詳細に説明されるように、電気事象検出デバイス100(
図1)の例示的な実施形態をテストした結果では、個々の電気デバイスレベル(例えば、特定のテレビ、ラップトップコンピュータまたはCFL灯)で連続性雑音電気事象を特定して分類した際、93.82%の平均分類精度を有していた。
【0119】
電気事象検出デバイス100の例示的な実施形態は、120V、60Hzの電気インフラストラクチャ上でテストされた。しかし、電気事象検出デバイス100(
図1)は、ハードウェアおよびソフトウェアに若干変更を加えながら、異なる周波数および電圧定格を利用して、電気インフラストラクチャに容易に適用することができる。単相3線式配線(すなわち、位相が180度異なる120Vの2つの分岐線)を有する建造物の場合、いくつかの例では、2相間のクロストークにより、電気事象検出デバイス100(
図1)は引き続き両方の相の事象を単一場所でモニタして捕獲することができる。
【0120】
電気事象検出デバイス100(
図1)の例示的な実施形態を使用して、7つの異なる建造物で適用が行われた。データは、長期間(すなわち、6カ月)に対しては1つの建造物から収集され、短期間に対しては他の複数の建物から収集された。この手法は、さまざまな建造物への電気事象検出デバイス100(
図1)の一般的な適用性、および、電気事象検出デバイス100(
図1)の長期の経時安定性を示していた。
図13は、一実施形態による、電気事象検出デバイス100の例示的な実施形態の例示的な配備に使用される建造物のデモグラフィックデータの表1300を示す。
【0121】
各建造物に対し、2つの電気ソケットを備えた利用可能な電気コンセントが無作為に選択された。例示的な検知ユニット110は一方の電気コンセント151に差し込まれ、他方の電気コンセントはコンピュータ・ユニット120(
図1)への給電に使用された。コンピュータ・ユニット120(
図1)はEMI雑音を生成するが、このEMI雑音はベースライン雑音の一部として取り出される。設置後、スイッチモード電源が組み込まれた建造物内のあらゆる電気デバイスが記録された。このリストには、CFL電球を備えた任意の電灯に加えて、調光スイッチによって駆動される白熱灯が含まれていた。調光器に対し、正確に繰り返し中間の調光レベルに設定するという難題のため、0%と100%の調光レベルでのみ事象が収集された。調光器に関するさらなる分析については、後に提示する。次いで、収集されたラベルは、グランドトゥルースラベリングソフトウェアに伝送された。
【0122】
建造物内の電気デバイスは2段階でテストされた。第1の段階では、各器具は個別に5〜6回オン・オフが作動され、各器具に対して絶縁されたシグネチャを確実に捕捉するようにした。電気事象検出システムが事象を検出するたびに(すなわち、電気デバイスをオンにした際)、特徴が自動的に抽出され、グランドトゥルースラベリングソフトウェアのクエリに送信された。事象が捕捉されると、これらの事象は、グランドトゥルースラベリングソフトウェアを使用してラベル付けされた。このプロセスは、建造物内のすべての電気デバイスに対して実行された。
【0123】
各建造物内でのデータ収集の第2の段階に対し、目標は、重複および同時事象が発生し得る自然的な設定の下でデータを収集することであった。より自然的な設定を生み出すため、建造物の所有者は、無作為の器具および/または論理的な器具群を作動しながらテレビを見る、食事を用意するなど、ある特定のアクティビティを実行するよう求められた。例えば、DVDプレーヤ、デジタルケーブルボックスおよびゲーム機をオンにした状態でテレビをオンにし、ユニバーサルリモコンを通じてテレビの視聴経験をシミュレートした。
【0124】
それぞれのテスト建造物で既に見られる電気デバイスに加えて、それぞれの建造物内の同じラップトップの電源アダプタ、同じ2つのCFLおよび同じカメラ充電器からデータが収集された。各デバイスの自然的な使用をシミュレートするため、これらの電気デバイスを建造物内のあらゆる場所に移動させ、任意の利用可能なコンセントに差し込んだ。これにより、異なる全建造物にわたるこれらの雑音シグネチャの安定性の分析の実行が可能となった。
【0125】
グランドトゥルースラベリングソフトウェアによって収集されたデータは、タイムスタンプされ、ラベル付けされ、XML(拡張マークアップ言語)データベースに格納された。必要とされるよりも多くの特徴がこれらのテストで収集されたため、XMLデータベースでは、データを容易にフィルタ処理して構文解析し、直接インポートして処理できる形式で出力データを生成することができる。
【0126】
電気事象検出デバイスの経時安定性および長期の実現可能性をテストするため、電気事象検出デバイスの例示的な実施形態は、6カ月以上もの間、建造物の1つに配備された。事象は、この期間全体を通して、他の建造物で使用されたグランドトゥルースラベリングツールのわずかに変形された形態を使用して、手動で収集されラベル付けされた。事象が検出されるたびに、ロギングツールは、抽出された特徴をキューに入れ、聞き取れるビープ音を発生させることになる。建造物居住者は、ラベリングツールを使用して、作動した電気器具に事象をラベル付けするよう指示された。
【0127】
ラベリングツールは、高度に能率化されたインターフェイスを有するよう設計され、スクリーン上の選択リストからデバイスラベルを選択することのみが必要とされた。6分を超えてもユーザがキュー内で事象にラベル付けを行わなければ、事象は未知のものとしてラベル付けされ、キューから消去された。この特徴により、居住者は、誤って検出されたいかなる事象にも対処し、居住者がラベリングツールに迅速に対応できない場合に事象を無視することができるようになった。便利な特徴ではあるが、この特徴は、居住者が見逃したかまたは無視することを決めた実際の事象に関するラベルが紛失したことも意味していた。しかし、この適用例の意図は、長期間にわたってできる限り多くのグランドトゥルースラベルを集めることであった。
【0128】
合計で2,576個の電気事象が7つの建造物から収集された。最多数の事象は照明から得られ、CFLベースまたは調光器ベースのいずれかである傾向があった。他の検出可能デバイスの大部分は、LCD(液晶ディスプレイ)またはLED(発光ダイオード)テレビ、ゲーム機、パーソナル・コンピュータ、電源アダプタなどの一般的な家庭用電子デバイスであった。
【0129】
乾燥機や電気ストーブなどの器具は、いくつかのテスト建造物内では事象を生成する様子は見せなかった。一般に、そのようなデバイスは、大きな負荷抵抗を有し、したがって、いかなる高周波雑音も放射しない。連続性雑音事象は、住宅H7の洗濯機から観測されたが、その理由は、住宅H7のみが、連続性雑音を生成する近代的なEnergy Star準拠の高性能洗濯機を所持していたためである。連続性の電気雑音は、SMPSを通して給電されるその電子制御DC(直流)モータから来ていた。それに加えて、最も大型の器具の場合、その器具に対する全電力消費量と比較して、SMPSの使用はごくわずかなものと見なされる。
【0130】
建造物内での電気デバイスの作動を分類する性能を判断するため、分類方法は、2つの異なる手順を使用して評価された。第1の手順では、各建造物に対して10分割交差検定を使用して、我々のKNNベースの分類器の性能が評価された。第2の評価では、より実用的で実世界の状況をシミュレートするため、最小限の訓練セット(対象の各デバイスに対して単一の訓練事例)が使用された。
図14は、一実施形態による、例示的な配備の間の例示的な電気事象検出システムの性能を示す表1400を示す。10分割交差検定を使用して、91.75%の全体の平均精度が観測された。
【0131】
それぞれの建造物に対して混同行列を分析すると、H5とH6の両方に対して、照明デバイスのいくつかの間で混同があったことが分かった。
図15は、一実施形態による、例示的な配備の間の例示的な電気事象検出システムの性能を示す混同行列表1500を示す。データからは、処理モジュールが、異なる部屋に位置する同様の電灯(すなわち、同じモデルおよびブランド)を適正に特定したことが観測された。しかし、住宅H5およびH6の部屋では、同じモデルの蛍光電灯が空間的に互いの近くに(1〜2フィート離れて)設置されており、これにより、非常に類似した雑音シグネチャが生成された。したがって、これらの特定の照明は、十分な違いがあるわけでも、電力線インフラストラクチャに沿ってこれらの照明を区別できるほど十分遠くに離れているわけでもなかった。
【0132】
より高い周波数分解能を有するハードウェアの使用により、この問題を部分的に軽減することができる。また、いくつかの適用例に対し、空間的に同じ場所に位置付けられる照明の論理的な組合せまたは集団化を容認できる場合がある。この後者の手法を使用することにより、互いに1〜2フィート離れた同じモデルの照明またはデバイスを単一の事象として集団化した後、例示的な配備の間の例示的な電気事象検出システムの性能は向上した。この手法は、93.82%の全体の平均精度に対し、H5(92.4%)およびH6(91.8%)の分類精度の増加をもたらす。
【0133】
住宅H2の低精度は、電気事象検出デバイス100の設置地点において逆相上にある同じブランドの2つのデバイス間の混同が原因であった。住宅H2の2階の一部では電気相間の非常に弱い結合が見られ、それにより、我々は、その相で電気事象検出デバイス100を差し込む必要があり、したがって、シグネチャのいくつかが非常に類似したものに見えた。この問題は、例えば、2つの異なる電気事象検出デバイス100を2相のそれぞれに1つずつ割り当てた状態で使用することによって、または、単一の電気事象検出デバイス100を単相3線式240Vのコンセントに設置することによって、対処することができる。
【0134】
N分割交差検定は、一般に楽観視され、実世界システムに対する予測分類性能の真の測定ではないため、各デバイスに対して最小限の訓練セット、すなわち、単一の事象シグネチャを使用してフォローアップ分析を実行し、モデル化して、次いでそれをテストセットに適用した。例えば、建造物の所有者は、恐らく、各器具に対してほんの数個の訓練事象を提供することは厭わないであろう。
図16は、一実施形態による、例示的な配備の間の例示的な電気事象検出システムの最小限の訓練データセットを使用する際の分類精度を要約する別の表1600を示す。この検定手法を使用した場合、精度は89.25%であることが分かった。
【0135】
2つの建造物が全く同じ電気インフラストラクチャを有することはなく、電線上に存在する大幅に異なるベースライン雑音を有することができるため、全建造物にわたる雑音シグネチャのポータビリティも検査された。
【0136】
1つの建造物内の電気デバイスに対する学習された信号を使用して別の建造物内の同様の電気デバイスを分類できることをともに勧める2つの適用例が実装された。第1の適用例では、デバイスのEMI信号は、使用される建造物とは無関係であることが示された。それに応じて、信号は、電気デバイスの機能に固有のものである。第2に、EMI信号は、複数だが同様のデバイスにおいて分散限度内で一貫していることが示された。すなわち、同じブランドおよびモデルのデバイスからのEMI信号は、実質的に同様である。
【0137】
第1の適用例は、7つの建造物のそれぞれの中の4つの事前選択されたデバイスのそれぞれのデータを収集する工程を伴った。この適用例は、全建造物にわたる分類結果を通して信号のポータビリティを示していた。10分割交差検定テストの10回のトライアルの平均精度は96.87%であった。4つのデバイスのうちの3つにおいて分類精度は100%であった。この結果は、これらのデバイスが同様の信号を生成したことを強く示唆している。1つのデバイス、すなわち、ラップトップの電源アダプタの性能のみが不十分であった。
図17は、一実施形態による、10分割検定分類を使用して異なる全建造物にわたって使用された4つの電気デバイスの性能の表1700を示す。
【0138】
ラップトップの電源アダプタの特定は、住宅H6内のこのデバイスに対する特定の抽出された特徴ベクトルが他の建造物とはわずかに異なって見えたため、難しかった。しかし、より厳密な検査時には、ラップトップの電源アダプタによって生成された雑音は、振幅において中心周波数に非常に近い高調波ピークを有していた。この違いがわずかであったため、処理モジュールは、H6において第1の高調波を中心周波数として割り当て、したがって、異なる特徴ベクトルを抽出した。この問題を軽減する簡単な手法は、事象特徴ベクトルとその近傍との間のKNNでの距離がある特定の閾値を超える場合にのみ事象を分類する分類モジュールを使用することにある。そうでない場合は、分類モジュールは、その次の最強ピークから新しい特徴ベクトルを構築することができる。この新しい方法を使用した場合、ラップトップに対する分類精度は100%であった。
【0139】
第2の適用例では、データは、同じモデルの8つの20インチのDell(登録商標)LCDモニタに対して収集された。また、このLCDモデルは、偶然にも住宅H5およびH7で見られた。モニタの1つに対するEMIシグネチャは、異なる建造物または他の建物から得られた他の9つのモニタのEMIシグネチャと交換された。例えば、処理モジュールは、住宅H7からのシグネチャを使用して訓練され、住宅H5でテストされた。このテストにより、LCDモニタのいずれかに対するシグネチャが異なる場合に、別のデバイスとして誤って分類されることを保証した。テストのすべてが100%の精度をもたらし、これは、同様の型およびモデルのデバイスは同様のシグネチャを生成することを示唆していた。
【0140】
その上、いかなるシグネチャまたはフィンガープリントベースの分類システムにおいても、経時安定性は重要である。分類モジュールは、頻繁に再訓練することなく数カ月間(または理想的には数年間)うまく機能するはずであり、これには、基本的な特徴は経時的に安定性を維持することが余儀なくされる。
【0141】
雑音シグネチャの経時安定性を示すため、2つの基準、(1)配備期間中はデバイスをそれらの位置に固定すること、および、(2)決してデバイスを変更しない(例えば、電球を交換しない)ことを満たす電気デバイスが我々の長期配備データセットから選択された。これらのデバイスに対し、6カ月の評価期間に及ぶ、無作為に選択されたEMIシグネチャベクトルが抽出された。
【0142】
図18は、一実施形態による、特徴空間において特徴ベクトルを可視化することによって、無作為に選択された4つのデバイスのシグネチャの経時安定性または経時変化を示すグラフ1800を示す。長期の経時変化はこれらの電気デバイスにおける短期の経時変化で観測されたものと同様であり、いずれのクラスタも重複しないことが観測された。
【0143】
経時変化が経時的な分類精度にどのように影響を及ぼすかをより良く理解するため、テストセットは、各電気デバイスに対して、配備の最終日の一週間前までに起こったすべての事象からなるよう生成され、訓練セットは、すべての電気デバイスからの最終の週に起こった電気事象からなるよう生成された。この設定により、テストセット内の連続性雑音シグネチャが電気デバイスクラスタ間の距離を超えて逸脱する場合に、処理モジュールが誤った分類を見つけることを保証した。テストは、KNN分類器を使用することにより100%の精度を示し、これは、電気デバイスが長期間にわたって概して安定していることを示す。長期の適用は夏季と冬季にまたがっていたことに留意することが重要である。
【0144】
複数のテレビ、または、より一般的には、すべてが同じブランドのCFL電球を使用する照明を所持するなど、建造物内で多くの同様のデバイスを所持することはよくあることである。この複数の同一のデバイスは、特に、同様のデバイスを単一の組み合わされたグループに分類できない場合に、問題を引き起こす恐れがある。例えば、寝室の2つの天井灯を分類することは容認できる場合があるが、異なる部屋または階にある照明を分類することは容認できない場合がある。
【0145】
電気デバイスのスイッチング回路を構成するコンポーネントのコンポーネント公差は、通常、スイッチング周波数の十分な変動性を導入し、その結果、電力線インフラストラクチャ上で観測されたガウスフィットの平均値もまたシフトされる。
図19は、一実施形態による、電気事象検出システムによって観測されたスペクトルのグラフ1900を示し、4つ一組で購入された同じモデルの4つのCFL灯によって生成された雑音のスペクトルを示す。一組で購入された照明を使用することにより、照明が同じ製造バッチからのものであることを保証する。同じバッチのCFL間でもスペクトルは重複しないことに留意されたい。
【0146】
電気事象検出システムは、絶縁した状態で観測される場合にのみ、これらの特徴を識別することができる、すなわち、線絶縁トランスを使用して、この特定の適用例に対する雑音のない電力線を作成した。より高いADC分解能およびより高速なFFTを用いることで、この短所を克服することができる。したがって、分解能の増加により、より良い区別可能性を得ることができる。
【0147】
導電性のEMIが電力線中を移動すると、いくつかの方法で影響を受けるが、最も著しいのは、雑音源と検知地点との間の線間インダクタンスの関数として電気信号が減衰することである。したがって、同一のEMIを生成する2つの同一のデバイスは、デバイスが電力線に沿ってどの位置に取り付けられるかに応じて、検知源において異なるように見える場合があり、これは、建造物内の適用例において観測された。
【0148】
これを確認するため、電気デバイスは、建造物内の2つの異なる位置で差し込まれ、電気事象検出システムによって検知されると未処理のスペクトルデータを登録した。
図20は、一実施形態による、2つの異なる位置に差し込まれた電気デバイスのテストからのデータの一部のスペクトルのグラフ2000を示す。形状から抽出されたその関連ガウスパラメータとともに、ピークの平均値または位置の一貫性により、観測された特徴の振幅変化にも関わらす、ラップトップアダプタなどの携帯用器具の適正な識別が可能であった。それに加えて、建造物内では、建造物のさまざまな場所に位置する同様のデバイスは、電気デバイスのEMIスペクトルの特徴的形状を観測することによって区別することができる。この結果は、建造物内に存在する固定されたデバイスの数(すなわち、住宅内のCFL灯の数または特定のタイプのテレビの数)を特定できることを示唆している。
【0149】
2つの異なるタイプのデバイスが同じガウスフィットの平均値および分散を有する確率はごくわずかである。最大でも、確率は、1/(FFTサイズ)であり得、これは、2つの電気デバイスが同じ平均周波数を有する確率である。我々のFFTサイズとして2,048を用いると、この確率は0.05%である。実際には、フィットさせたガウスの位置およびパラメータが使用されるため、真の確率ははるかに低くなる可能性がある。
【0150】
SMPSベースのデバイスと異なり、調光器は、調光器の内部のトライアック・スイッチから広帯域信号を生成する。電気事象検出システムは、特徴抽出段階においてガウスフィットを使用するよう設計することができる。したがって、調光器によって放射された広帯域雑音は、帯域限定の一様分布がより適切であろう場合でも、ガウス分布でモデル化される。調光器制御デバイスに対し、大きな分散を有するガウスフィットが観測されることが分かった。
図21は、一実施形態による、さまざまな調光レベルで調光器によって生成されたEMI信号のグラフ2100を示す。
【0151】
さまざまな調光レベルで生成される雑音シグネチャの違いにより、電気事象検出デバイス100(
図1)は、調光器を特定し、調光レベルを推測することができる。異なるレベルでの訓練は不可能であるため、雑音特性のモデルを構築し、雑音特性がどのように調光レベルまたはトライアックの導通角の影響を受けるかを判断することができる。
【0152】
分類モジュールの性能およびロバスト性は使用されている特徴次第であるため、基本的な信号からより高度な特徴を探索して抽出することが望ましい場合がある。分類モジュールによって使用され得る他の複数の潜在的に有用な特徴が存在する。例えば、数種のデバイスは、スイッチを入れると、短時間継続する独特のEMIパターンを生成する。すなわち、これらの電気デバイスは、SMPSが始動している間に狭帯域の一過性EMIを生成する。これらの一過性信号は低周波数でのものである。
図22は、最初に起動した際に例示的なCFL灯が生成するEMIの短時間バーストを示すグラフ2200を示す。短時間バーストは、CFL内の点火回路からのものであり、点火回路は、動作用に電灯を暖めるために必要とされる。同様に、複数の電源を有する近代的なテレビおよびDVDプレーヤならびに支援電子機器などの他のデバイスもまた、電気デバイスのカテゴリを決定するための追加情報を提供できる始動雑音シグネチャを生成する。別の例では、チャネル変更およびテレビに現れる内容を推測するために使用することができる、バックライティング制御のためのSMPSの変調。
【0153】
電気事象検出デバイス100(
図1)のいくつかの例では、コンピュータ・ユニット120(
図1)は、デバイスが動作しているときは、EMIピークの平均値または位置は変化しないと想定する。この想定は、ある特定のタイプのデバイスには当てはまらない場合がある。例えば、特定のブランドのLCDテレビでは、その電源のスイッチング周波数は、スクリーンの輝度の関数である。したがって、このブランドのLCDテレビに対し、EMIピークの平均値は、スクリーン上の内容が変化するとシフトする。いくつかの例では、コンピュータ・ユニット120(
図1)は、時変雑音ピークを自動追跡して、このデータから時間的な特徴またはテンプレートを抽出することができる。
【0154】
それに加えて、洗濯機または食器洗い機などのある特定のモータベースのデバイスは、それらのモータコントローラにおいて低周波の周期的な雑音パターンを生成し、このパターンを使用して、デバイスおよびその状態を特定できる可能性がある。例えば、住宅H7では、洗濯機は、脱水サイクル中の一定の雑音とは対照的に、その洗濯サイクルにおいておよそ0.1Hzで断続雑音を生成することが観測された。演算モジュールでそのような特徴を使用して、より詳細な分類のための有限状態マシンまたは統計モデルを構築することができる。
【0155】
電気事象検出デバイスのさまざまな例は、ほぼ同時の事象、すなわち、102ミリ秒(ms)ほど接近した事象を検出することができる。すなわち、102msを超えて離れて起こる2つの事象は、ある特定のサンプリング周波数を使用してウィンドウサイズを平均化することによって、電気事象検出デバイスのさまざまな例により、別々の事象としてうまく検出することができる。これらの電気事象検出デバイスのさまざまな例を使用する際に102msより短時間の間に同時事象が起これば、別々の電気事象は単一の事象として検出され、抽出された特徴は複数のデバイスからの特徴の収集体である。したがって、基本的な特徴はそのままの状態だが、1つの事象として報告される。演算モジュールは、異なる分類手法を使用して、これらの組み合わされた特徴を分離し、個々のデバイスを特定することができる。
【0156】
図23は、電気事象検出デバイス100(
図1)の少なくとも一部の実施形態の実装に適切なコンピュータシステム2300の例示的な実施形態を示す。コンピュータ・ユニット120(
図1)は、コンピュータシステム2300の1つまたは複数を含み得る。コンピュータシステム2300は、1つまたは複数の回路基板(図示せず)を含むシャーシ2302と、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポート2312と、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)および/またはデジタルビデオディスク(DVD)ドライブ2316と、ハードドライブ2314とを含む。シャーシ2302の内部の回路基板に含まれる要素の代表的なブロック図を
図24に示す。
図24の中央演算処理装置(CPU)2410は、
図24のシステムバス2414と結合される。さまざまな実施形態では、CPU 2410のアーキテクチャは、市販用に分配されたさまざまなアーキテクチャファミリのいずれかに対応し得る。
【0157】
また、システムバス2414は、読み取り専用メモリ(ROM)とランダムアクセスメモリ(RAM)の両方を含むメモリ2408とも結合される。メモリ2408またはROMの不揮発性部分は、システムリセット後にコンピュータシステム2300(
図23)を機能状態にまで復元するのに適したブートコードシーケンスで符号化することができる。それに加えて、メモリ2408は、基本入出力システム(BIOS)などのマイクロコードを含むことができる。いくつかの例では、格納モジュール230(
図2)は、メモリ2408、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポート2312、ハードドライブ2314、および/または、CD−ROMもしくはDVDドライブ2316を含み得る。
【0158】
図24の描写された実施形態では、さまざまなI/Oデバイス、例えば、ディスクコントローラ2404、グラフィックスアダプタ2424、ビデオコントローラ2402、キーボードアダプタ2426、マウスアダプタ2406、ネットワークアダプタ2420、および、1つまたは複数の他のI/Oデバイスアダプタ2422をシステムバス2414と結合することができる。キーボードアダプタ2426、ディスクコントローラ2404およびマウスアダプタ2406はそれぞれ、コンピュータシステム2300(
図23)のキーボード2304(
図23および24)、USBポート2312(
図23および24)およびマウス2310(
図23および24)と結合される。
図24では、グラフィックスアダプタ2424およびビデオコントローラ2402は異なるユニットとして示されているが、他の実施形態では、ビデオコントローラ2402はグラフィックスアダプタ2424と統合することができ、逆もまた同様である。ビデオコントローラ2402は、モニタ2306(
図23および24)をリフレッシュして、コンピュータシステム2300(
図23)のスクリーン2308(
図23)上にイメージを表示するのに適している。ディスクコントローラ2404は、ハードドライブ2314(
図23および24)およびCD−ROMもしくはDVDドライブ2316(
図23および24)を制御することができる。他の実施形態では、異なるユニットを使用して、これらのデバイスのそれぞれを別々に制御することができる。
【0159】
コンピュータシステム2300(
図23)の他の多くのコンポーネントは示されてはいないが、そのようなコンポーネントおよびそれらの相互接続は当業者に周知である。それに応じて、コンピュータシステム2300の構築および構成ならびにシャーシ2302(
図23)内部の回路基板に関するさらなる詳細については、本明細書で論じる必要はない。
【0160】
図23のコンピュータシステム2300が作動している場合、USBポート2312内のUSBデバイス、CD−ROMおよび/もしくはDVDドライブ2316内のCD−ROMもしくはDVD、ハードドライブ2314、または、メモリ2408(
図24)に格納されたプログラム命令は、CPU 2410(
図24)によって実行される。これらのデバイスに格納されたプログラム命令の一部は、
図8の方法800を行うのに適している場合がある。
【0161】
本発明は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者であれば、本発明の精神または範囲から逸脱することなくさまざまな変更を行うことができることが理解されよう。それに応じて、本発明の実施形態の開示は、本発明の範囲を例示することを意図し、限定することを意図しない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲で必要とされる範囲にのみ限定されるものとすることを意図する。例えば、
図7のアクティビティ710,715,720,725,730、
図8のアクティビティ810,815,820,825,830,835,840,845,850,855,860,865,870、および、
図9の手順911〜913は、多くの異なるアクティビティ、手順からなり、多くの異なる順序で多くの異なるモジュールによって実行できること、
図1〜2および4〜6のいかなる要素も変更できること、ならびに、これらの実施形態の前述の議論は必ずしもすべての可能な実施形態の完全な説明を表すわけではないことが当業者には容易に明らかであろう。
【0162】
特定の請求項において請求されるすべての要素が、その特定の請求項において請求される実施形態に不可欠なものである。その結果、1つまたは複数の請求される要素の交換は、修理ではなく、再構築に相当する。それに加えて、利益、他の利点および問題の解決法については、特定の実施形態に対して説明してきた。しかし、利益、利点、問題の解決法、および、任意の利益、利点もしくは解決法を生じさせ得るまたはより顕著なものにし得る1つまたは複数のいかなる要素も、そのような利益、利点、解決法または要素がそのような請求項で記載されていない限り、請求項のいずれかまたはすべての重要な、必要なまたは必須の特徴または要素として解釈すべきではない。
【0163】
さらに、本明細書で開示される実施形態および限定事項は、それらの実施形態および/または限定事項が、(1)請求項内で明示的に請求されていない場合、ならびに、(2)均等論の下で請求項内の明確な要素および/もしくは限定事項と均等であるまたは潜在的に均等である場合、寄与の原則の下で公に寄与されるものではない。