特許第5792796号(P5792796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5792796-画像処理装置、画像読取システム 図000002
  • 特許5792796-画像処理装置、画像読取システム 図000003
  • 特許5792796-画像処理装置、画像読取システム 図000004
  • 特許5792796-画像処理装置、画像読取システム 図000005
  • 特許5792796-画像処理装置、画像読取システム 図000006
  • 特許5792796-画像処理装置、画像読取システム 図000007
  • 特許5792796-画像処理装置、画像読取システム 図000008
  • 特許5792796-画像処理装置、画像読取システム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792796
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像読取システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20150928BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20150928BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150928BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H04N1/12 Z
   H04N1/00 107A
   G06T1/00 430E
   H04N1/387
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-508754(P2013-508754)
(86)(22)【出願日】2012年4月2日
(86)【国際出願番号】JP2012002285
(87)【国際公開番号】WO2012137469
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2013年8月20日
(31)【優先権主張番号】特願2011-86731(P2011-86731)
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】内田 安陽夢生
【審査官】 宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−284478(JP,A)
【文献】 特開2008−270954(JP,A)
【文献】 特開平11−266337(JP,A)
【文献】 特開2005−51313(JP,A)
【文献】 特開2011−34168(JP,A)
【文献】 特開平6−152888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
G06K 13/00 − 13/30
G06T 1/00
H04N 1/00
H04N 1/38 − 1/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが取込可能である取込口と、
前記取込口から取り込まれたシートを排出する一方でシート取込口を兼ねる排出口と、
前記取込口及び前記排出口を相互に接続する搬送路と、
前記取込口又は前記排出口から取り込まれたシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路に設けられてシートの両面画像を、シート搬送方向と直交する主走査方向に読み取る画像読取手段と、
前記取込口から取り込まれたシートを前記画像読取手段によって読み取って得られる第1の画像のデータ出力条件と、前記排出口から取り込まれたシートを前記画像読取手段によって読み取って得られる第2の画像のデータ出力条件と、を揃える画像処理手段と
を備え、
前記画像読取手段は、シートの両面画像を読み取るために前記搬送路を挟み、それぞれの読取位置がシートの搬送方向にずれて配置されるイメージセンサを有し、前記搬送路を挟んで配置されるそれぞれのイメージセンサは、画像読取時における前記主走査方向を一方向のみとしてシートの画像読取を行うように構成されている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記第2の画像のデータ出力条件を、前記第1の画像のデータ出力条件に揃えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記第1の画像の向きと前記第2の画像の向きとを揃えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記第1の画像と前記第2の画像とで表裏を揃えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、前記第1の画像のデータ出力条件と前記第2の画像のデータ出力条件とを揃えるために、前記第2の画像に対して180度の回転処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記搬送手段を制御する搬送制御手段を更に備え、
前記搬送制御手段は、前記排出口からシートが取り込まれると、前記搬送手段を逆転駆動させて前記画像読取手段に対向する該シート上の画像読取領域を前記排出口から前記取込口に向けて前記画像読取手段を一旦通過させた後、前記搬送手段を正転駆動に切り替えて、前記排出口から該シートを排出するよう制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像読取手段は、前記排出口から取り込まれたシートに対する画像読取の処理を、前記搬送手段を逆転駆動から正転駆動に切り替えた後に前記画像読取領域が前記画像読取手段を通過するときに実行することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像読取手段は、前記排出口から取り込まれたシートに対する画像読取の処理を、前記搬送手段を逆転駆動から正転駆動に切り替える前に前記画像読取領域が前記画像読取手段を通過するときに実行することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像を読み取るための画像読取装置と、該画像読取装置に接続された情報処理装置と、を有する画像読取システムであって、
前記画像読取装置は、
シートが取込可能である取込口と、
前記取込口から取り込まれたシートを排出する一方でシート取込口を兼ねる排出口と、
前記取込口及び前記排出口を相互に接続する搬送路と、
前記取込口又は前記排出口から取り込まれたシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路に設けられてシートの両面画像を、シート搬送方向と直交する主走査方向に読み取る画像読取手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記取込口から取り込まれたシートを前記画像読取手段によって読み取って得られる第1の画像のデータ出力条件と、前記排出口から取り込まれたシートを前記画像読取手段によって読み取って得られる第2の画像のデータ出力条件と、を揃える画像処理手段を備え、
前記画像読取手段は、シートの両面画像を読み取るために前記搬送路を挟み、それぞれの読取位置がシートの搬送方向にずれて配置されるイメージセンサを有し、前記搬送路を挟んで配置されるそれぞれのイメージセンサは、画像読取時における前記主走査方向を一方向のみとしてシートの画像読取を行うように構成されている
ことを特徴とする画像読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関や医療機関等では、個人の特定を行うために、原稿の画像読取だけでなく個人を特定するIDカードの画像読取も行うようになってきている。一方で、装置のコンパクト化が進んでいる。しかし、従来の画像読み取り装置のサイズを小さくしただけでは、主搬送路上の屈曲部をIDカードが通過することができず、通常の原稿とIDカードとを同じ搬送路から読み取ることが難しい。
【0003】
この問題を解決するために、原稿排出口からIDカードを挿入する画像読取装置がある。特許文献1によれば、IDカードを排出口で読み取り、画像読取装置後方に設けられた副排出口から排出することで、主搬送路上の屈曲部を避ける事ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-270954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示の構成では、原稿排出口からIDカードを挿入するため、原稿の読取結果とIDカードの読取結果とを合わせる処理が必要となる。本発明はこのような問題に鑑み、IDカード等に対する適切な画像読み取り結果を、ユーザの手を煩わせることなく得るための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像処理装置は、シートが取込可能である取込口と、
前記取込口から取り込まれたシートを排出する一方でシート取込口を兼ねる排出口と、
前記取込口及び前記排出口を相互に接続する搬送路と、
前記取込口又は前記排出口から取り込まれたシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路に設けられてシートの両面画像を、シート搬送方向と直交する主走査方向に読み取る画像読取手段と、
前記取込口から取り込まれたシートを前記画像読取手段によって読み取って得られる第1の画像のデータ出力条件と、前記排出口から取り込まれたシートを前記画像読取手段によって読み取って得られる第2の画像のデータ出力条件と、を揃える画像処理手段と
を備え、
前記画像読取手段は、シートの両面画像を読み取るために前記搬送路を挟み、それぞれの読取位置がシートの搬送方向にずれて配置されるイメージセンサを有し、前記搬送路を挟んで配置されるそれぞれのイメージセンサは、画像読取時における前記主走査方向を一方向のみとしてシートの画像読取を行うように構成されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によれば、IDカード等に対する適切な画像読み取り結果を、ユーザの手を煩わせることなく得ることができる。
【0013】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】スキャナ装置100の外観例を示す図。
図2】システムの構成例を示す図。
図3】スキャナ装置100のハードウェア構成例を示すブロック図。
図4】カード挿入口104の断面図。
図5】IDカードを示す図。
図6】GUIの構成例を示す図。
図7】パーソナルコンピュータ201、スキャナ装置100が行う処理のフローチャート。
図8】パーソナルコンピュータ201のハードウェア構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0016】
[第1の実施形態]
先ず、本実施形態に係るシステムの構成例について、図2を用いて説明する。図2に示す如く、本実施形態に係るシステムは、IDカードを読み取り可能なスキャナ装置100と、画像処理装置として機能するパーソナルコンピュータ(PC)201と、が適当なネットワーク線200を介して互いにデータ通信可能に接続されている。また、パーソナルコンピュータ201には、CRTや液晶画面などにより構成されている表示装置202、ユーザが各種の指示をパーソナルコンピュータ201に入力するために操作するキーボード203やマウス204が接続されている。
【0017】
先ず、スキャナ装置100について説明する。図1は、スキャナ装置100の外観例を示す図である。スキャナ装置100は、オートドキュメントフィーダ(ADF)型の装置であり、原稿台106に置かれた原稿101を給紙口(取込口)102から取り込み、この原稿101に対して画像読み取りを行い、排紙口(排出口)103からこの原稿101を排紙する。この排紙口103には、IDカード105を挿入するためのカード挿入口104が設けられている。すなわち、排紙口103は、IDカード105の取込口を兼ねる。そして、このようなスキャナ装置100は、このカード挿入口104に挿入されたIDカード105の表面、裏面のそれぞれに印刷された情報を画像として読み取る。このカード挿入口104の断面図を図4に示す。
【0018】
カード挿入口104へのIDカード105の挿入は、IDカード105の表面を紙面上側、裏面を紙面下側にし、且つIDカード105の上部を図4に矢印で示すカード搬送方向側に向けて行う。ユーザは、IDカード105を手に持ってこのようにカード挿入口104にIDカード105を挿入する。IDカード105が挿入センサ408の近傍に到達すると、挿入センサ408はIDカード105の挿入を検知する。挿入センサ408がIDカード105の挿入を検知すると、搬送ローラ407が図4に示す矢印の方向(時計回り)に回転するため、IDカード105は搬送路401に沿ってカード搬送方向に搬送される。なお、この搬送路401は通常、給紙口102から取り込まれた原稿101が、カード搬送方向とは逆の方向に搬送される通路である。
【0019】
イメージセンサ402は搬送路401と直交し且つ紙面下方向への向き(矢印aの向き)に対してセンシングしており、イメージセンサ405は搬送路401と直交し且つ紙面上方向への向き(矢印bの向き)に対してセンシングしている。然るにIDカード105が搬送路401に沿ってカード搬送方向に搬送されてくると、イメージセンサ402はIDカード105の表面に印刷されている情報を表面画像として読み取る。また、イメージセンサ405はIDカード105の裏面に印刷されている情報を裏面画像として読み取る。
【0020】
イメージセンサ402(405)がIDカード105の表面(裏面)の後端の位置まで読み取ることができる位置(既知)までIDカード105が搬送されると、搬送ローラ407は先の回転とは逆の回転(反時計回り)に回転する。このような動作により、IDカード105はカード搬送方向とは逆の方向に搬送路401に沿って搬送され、カード挿入口104から排出される。
【0021】
このように、IDカード105をカード挿入口104に挿入すると、スキャナ装置100はIDカード105を搬送路401に沿ってカード搬送方向に搬送し、その表面及び裏面をそれぞれ表面画像及び裏面画像として読み取る。そしてスキャナ装置100は読み取りが終わると、このIDカード105を搬送路401に沿ってカード搬送方向とは逆の方向に搬送(スイッチバック搬送)し、カード挿入口104から排出する。
【0022】
このときのスキャナ装置100によるIDカード105の画像読取処理においては、スイッチバック搬送する前、すなわち、往路で両面読取を行ってもよいし、スイッチバック搬送後、すなわち、復路で両面読取を行ってもよい。あるいは、往路で一方面、復路で他方面を読み取ってもよい。また、スキャナ装置100の背面(排紙口103とは反対側の裏面)に搬送路401に連通する開口孔を設けて、装置前方のカード挿入口104から装置後方の開口孔から排出するようにしてもよい。
【0023】
スキャナ装置100のハードウェア構成例を図3のブロック図を用いて説明する。CPU301は、不揮発性メモリとしてのフラッシュメモリ(Flash)303に格納されているコンピュータプログラムやデータ、RAM302に格納されているデータを用いて、スキャナ装置100全体の動作制御を行う。
【0024】
RAM302は、CPU301が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアや、上記のイメージセンサ402及びイメージセンサ405により読み取られた表面画像及び裏面画像を一時的に格納するためのエリア、を有する。即ち、RAM302は各種のエリアを適宜提供することができる。
【0025】
フラッシュメモリ303には、スキャナ装置100が行うものとして後述する各処理(各制御処理)をCPU301に実行させるためのコンピュータプログラムやデータ、スキャナ装置100の各種の設定データ、起動プログラムなどが格納されている。
【0026】
スキャナ装置100が有する様々なボタンなど、ユーザが操作可能な操作部からの操作指示は外部I/F304を介してCPU301に通知される。例えば、ユーザがこの操作部を操作してスキャン指示を入力した場合、このスキャン指示は外部I/F304を介してCPU301に通知される。また、この外部I/F304には、上記のネットワーク線200も接続されており、スキャナ装置100によって読み取った表面画像及び裏面画像はこの外部I/F304、ネットワーク線200を介してパーソナルコンピュータ201に送信される。
【0027】
ADFスキャナ306は、通常のスキャンだけでなく図4に示すような機構によりIDカード105に対する画像読み取りを行うもので、読み取った画像をRAM302に格納する。このADFスキャナ306はCPU301により制御される。
【0028】
ADFスキャナ306は、上記のイメージセンサ402及びイメージセンサ405を含むラインイメージセンサ307を有する。更にADFスキャナ306は、ラインイメージセンサ307からの画像信号に対して増幅や黒レベルクランプなどのアナログ処理を施した後、デジタルデータ(読み取った画像)に変換するA/D変換部308を有する。更にADFスキャナ306は、ラインイメージセンサ307及びA/D変換部308等の動作制御を行うと共に、A/D変換部308からのデジタルデータに各種の画像処理(シェーディング補正等)を行う画像処理部309を有する。
【0029】
上記の各部は何れもシステムバス305に接続されており、このシステムバス305を介して互いにデータ通信が可能となる。
【0030】
なお、スキャナ装置100の構成は、上記で説明した構成に限定するものではない。即ち、少なくとも、IDカードがスキャナ装置の排紙口に挿入されると該IDカードの表面に印刷された情報を表面画像、裏面に印刷された情報を裏面画像、として読み取り、読み取ったそれぞれの画像を外部に送信することができる構成であればよい。
【0031】
次に、パーソナルコンピュータ201のハードウェア構成例について、図8のブロック図を用いて説明する。なお、パーソナルコンピュータ201の構成についても図8に示した構成に限るものではなく、スキャナ装置100から送信された画像に対して以下に説明する処理を実行することができるのであれば、如何なる構成を採用しても良い。
【0032】
CPU1001は、RAM1002やROM1003に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いてパーソナルコンピュータ201全体の動作制御を行うと共に、パーソナルコンピュータ201が行うものとして後述する各処理を実行する。
【0033】
RAM1002は、CPU1001が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有すると共に、外部記憶装置1006からロードされたコンピュータプログラムやデータを一時的に記憶する為のエリアを有する。更にRAM1002は、I/F1007を介してスキャナ装置100から受信した表面画像及び裏面画像を一時的に記憶するためのエリアを有する。即ち、RAM1002は、各種のエリアを適宜提供することができる。
【0034】
ROM1003には、ブートプログラムやパーソナルコンピュータ201に係る様々な設定データ等が格納されている。
【0035】
操作部1004は図2のキーボード203やマウス204を含む、ユーザが操作可能なユーザ入力インターフェースとして機能するものであり、ユーザが操作部1004を操作することで入力した様々な指示はCPU1001に通知される。
【0036】
表示部1005は、図2の表示装置202に対応するもので、CRTや液晶画面などにより構成されており、CPU1001による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる。
【0037】
外部記憶装置1006は、ハードディスクドライブ装置に代表される大容量情報記憶装置である。外部記憶装置1006には、OS(オペレーティングシステム)や、パーソナルコンピュータ201が行うものとして後述する各処理をCPU1001に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが保存されている。このコンピュータプログラムには、スキャナ装置100を制御するためのドライバプログラムも含まれる。
【0038】
外部記憶装置1006に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU1001による制御に従って適宜RAM1002にロードされ、CPU1001による処理対象となる。
【0039】
上記の各部は何れも、バス1008に接続されており、このバス1008を介して互いにデータ通信が可能となる。
【0040】
次に、パーソナルコンピュータ201及びスキャナ装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図7を用いて説明する。なお、パーソナルコンピュータ201が行う処理を構成する各ステップの主体はCPU1001であり、スキャナ装置100が行う処理を構成する各ステップの主体はCPU301である。
【0041】
ステップS701ではCPU301は、IDカード105がカード挿入口104に挿入されたことを示す信号を挿入センサ408から受けたか否かを判断する。この判断の結果、この信号を受けていない場合は処理をステップS701に戻し、受けた場合は、処理はステップS702に進む。
【0042】
ステップS702ではCPU301は、スキャナ装置100の動作モードをIDカード読み取りモードに設定する。なお、IDカード読み取りモードが設定されていないときは通常モードが設定されている。
【0043】
ステップS703ではCPU301は、ADFスキャナ306(図4に示した各部を含む)を動作させて、IDカード105に対する画像読み取りを行い、IDカード105の表面画像及び裏面画像をRAM302に取得する。
【0044】
ステップS704ではCPU301は、IDカード読み取りモードを示すIDカード読み取りモード情報、ステップS703でRAM302に取得した表面画像及び裏面画像、を、外部I/F304を介してパーソナルコンピュータ201に対して送信する。
【0045】
パーソナルコンピュータ201においてはステップS751では、CPU1001は、ネットワーク線200を介してスキャナ装置100から送信されたIDカード読み取りモード情報、表面画像及び裏面画像、をI/F1007を介して受信する。そしてCPU1001は、この受信したIDカード読み取りモード情報、表面画像及び裏面画像、をRAM1002に取得する。なお、IDカード読み取りモード情報、表面画像及び裏面画像、はRAM1002に取得することに限るものではなく、一旦外部記憶装置1006に保存し、必要に応じてRAM1002にロードするようにしても良い。
【0046】
ステップS752においてCPU1001は、スキャナ装置100からIDカード読み取りモード情報を受信したか否かを判断する。スキャナ装置100側における動作モードが通常モード(正転駆動モード)である場合、スキャナ装置100はスキャンした画像と共に、通常モードを示す通常モード情報を送信する。然るにCPU1001は、スキャナ装置100から受信したモード情報がIDカード読み取りモードの情報であるのかを判断する。この判断の結果、IDカード読み取りモード情報を受信したのであれば処理はステップS753に進み、受信していないのであれば、処理はステップS754に進む。
【0047】
ステップS753ではCPU1001は、以下の出力処理1〜3のうち何れか1つを実行する。
【0048】
(出力処理1) 表面画像をIDカード105の裏面を示す画像として出力すると共に、裏面画像をIDカード105の表面を示す画像として出力する出力処理
(出力処理2) 表面画像を該表面画像内で180度回転させた回転画像をIDカード105の表面を示す画像として出力すると共に、裏面画像を該裏面画像内で180度回転させた回転画像をIDカード105の裏面を示す画像として出力する処理
(出力処理3) 表面画像を該表面画像内で180度回転させた回転画像をIDカード105の裏面を示す画像として出力すると共に、裏面画像を該裏面画像内で180度回転させた回転画像をIDカード105の表面を示す画像として出力する処理
出力処理1〜3の何れを実行するのかは予め設定しておいても良いし、ユーザがパーソナルコンピュータ201側で適宜設定しても良い。また、出力処理1〜3の何れも、出力する先については特に限定するものではなく、表示部1005の表示画面上に出力しても良いし、外部記憶装置1006に対して出力しても良い。
【0049】
このように、CPU1001は、通常モードでの読み取り時の画像出力条件に対して、IDカード105の画像データ出力条件を合わせる画像処理(出力処理を含めてもよい)を行う手段としての機能を果たす。
【0050】
一方、ステップS754ではCPU1001は、表面画像をIDカード105の表面を示す画像として出力すると共に、裏面画像をIDカード105の裏面を示す画像として出力する(出力処理4)。この場合の出力先についても特に限定するものではなく、表示部1005の表示画面上に出力しても良いし、外部記憶装置1006に対して出力しても良い。
【0051】
ここで、図5に示すような表面501及び裏面502を有するIDカードを、表面501を上側にして従来のスキャナ装置に挿入して画像読み取りを行わせたとする。このとき、このスキャナ装置からは、1枚目が上下逆さの画像503、2枚目が上下逆さの画像504が出力されることになり、画像を利用するユーザにとって非常に扱いにくい。
【0052】
しかし、本実施形態では、パーソナルコンピュータ201は、スキャナ装置100側でIDカード105に対する画像読み取りを行った場合には、表面画像及び裏面画像を、出力処理1〜3の何れかにおける出力処理にて出力する。例えば、出力処理3により表面画像及び裏面画像を出力した場合、画像のならびが、1枚目にIDカード105の表面を示す画像、2枚目にIDカード105の裏面を示す画像、を取得することができる。これにより、スキャン後、画像を利用する際の使い勝手が向上する。
【0053】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、スキャナ装置100は表面画像及び裏面画像を生成してパーソナルコンピュータ201に送信し、パーソナルコンピュータ201側でこの表面画像及び裏面画像について上記の出力処理1〜3の何れかを行った。しかし、パーソナルコンピュータ201側で行った出力処理1〜3の何れかをスキャナ装置100に行わせても良い。この場合、スキャナ装置100は、カード挿入口104にIDカード105が挿入された後、IDカード105の表面画像及び裏面画像を取得すると、以下の出力処理A〜Cの何れかを行う。
【0054】
(出力処理A) 表面画像をIDカードの裏面を示す画像として出力すると共に、裏面画像をIDカード105の表面を示す画像として出力する出力処理
(出力処理B) 表面画像を該表面画像内で180度回転させた回転画像をIDカード105の表面を示す画像として出力すると共に、裏面画像を該裏面画像内で180度回転させた回転画像をIDカード105の裏面を示す画像として出力する出力処理
(出力処理C) 表面画像を該表面画像内で180度回転させた回転画像をIDカード105の裏面を示す画像として出力すると共に、裏面画像を該裏面画像内で180度回転させた回転画像をIDカード105の表面を示す画像として出力する出力処理
なお、出力処理A〜Cのそれぞれの出力先は、パーソナルコンピュータ201となる。この場合、パーソナルコンピュータ201はスキャナ装置100から受信したそれぞれの画像を表示部1005の表示画面上に表示しても良いし、外部記憶装置1006に保存しても良い。
【0055】
[第3の実施形態]
パーソナルコンピュータ201側で図6に示すようなGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を表示部1005の表示画面上に表示させ、そこでスキャナ装置100側における画像読み取り設定を行うようにしても良い。
【0056】
ユーザが操作部1004を用いてタブ801を操作することで、カラーで画像読み取りを行うのか、モノクロで画像読み取りを行うのかなど、画像読み取り時におけるカラーモードを指定することができる。
【0057】
ユーザが操作部1004を用いてタブ802を操作することで、画像読み取り時における解像度を指定することができる。また、ユーザが操作部1004を用いてタブ803を操作することで、給紙口102から取り込む原稿101の一方の面のみ(表面のみ若しくは裏面のみ)に対して画像読み取りを行うのか、両面に対して画像読み取りを行うのかを指定することができる。
【0058】
また、ユーザが操作部1004を用いてタブ804を操作することで、IDカード105の一方の面のみ(表面のみ若しくは裏面のみ)に対して画像読み取りを行うのか、両面に対して画像読み取りを行うのかを指定することができる。
【0059】
このようにして図6のGUIを用いて各設定事項の内容を指定した後、ユーザが操作部1004を用いてボタン画像805を指示すると、これら指定した内容がスキャナ装置100に対して送信される。スキャナ装置100はこれら指定された設定内容に基づいて動作することになる。
【0060】
ここで、本発明は、シートの取込口(シート取込口)とシートの排出口とを備えた画像処理装置において、画像処理装置内に対して排出口からもシートを取込可能とし、この場合に、取込口から取り込まれたシートを画像読取手段によって読み取って得られる第1の画像データ出力条件と、排出口から取り込まれたシートを画像読取手段によって読み取って得られる第2の画像データ出力条件とを揃える画像処理に1つの特徴がある。また、本発明でいう「画像データ出力条件」とは、例えば、画像の配置や向き、角度、両面画像であれば表裏、割り付け、レイアウト等の仕様を含む概念である。また、本発明でいう「画像処理」とは、例えば、下記のパターンを含むが、下記のパターンに限定されるものではない。
【0061】
(1) 排出口からシートの取り込み→搬送→表裏読取→反転→シートを排出口から排出
この場合には、画像をミラー処理して、表面を裏面として裏面を表面として出力する処理が画像処理となる。
【0062】
(2) 排出口からシートの取り込み→搬送→反転→表裏読取→シートを排出口から排出
この場合には、画像を180度回転で、表面を裏面として裏面を表面として出力する処理が画像処理となる。
【0063】
(3) 排出口からシートの取り込み→搬送→表面読取→反転→裏面読込→シートを排出口から排出
この場合には、表面画像(表画像)をミラー処理して、裏面とし出力する。また、裏面画像(裏画像)を180度回転して、表面とし出力する処理が画像処理となる。
【0064】
(4) 排出口からシートの取り込み→搬送→裏面読込→反転→表面読込→シートを排出口から排出
この場合には、表面画像を180度回転して、裏面とし出力する。また、裏面画像をミラー処理して、表面とし出力する処理が画像処理となる。
【0065】
なお、上記「画像処理」には、例えば、A4等の比較的大きいサイズの原稿と免許証等のカード媒体とを異なる搬送方向で読み取る場合などに、±90°回転、回転方向等を揃える処理も含まれる。また、「画像処理」は、画像読み取り時における走査方向(スキャン方向:主走査方向)をシート搬送方向(副走査方向)に関係なく一方向である場合において、シート搬送方向が相互に逆方向となることで出力結果である画像が左右逆にならないように、一方を他方に揃えるためのミラー処理する場合を含む。また、上述した実施形態の各例では、IDカードの表裏の画像データを取得する画像読取装置を挙げて説明したが、本発明は勿論これに限定されず、片面だけの画像読取装置にも適用できる。
【0066】
いずれにしても、本発明は、上述した各パターンを含めて、画像の表裏反転、あるいは上下反転、回転、ミラー処理等を適宜組み合わせて、異なる搬送方向でシートを搬送する場合に、一方の搬送方向での第1の画像データ出力条件と、他方の搬送方向での第2の画像データ出力条件とを揃える(一致させる)画像処理を施すことにより、結果的に得られる画像データの出力形式を統一化することができる。これにより、異なる搬送モードでシートの画像を読み取った場合でも、その後のユーザによる画像調整作業を大幅に軽減することができる。なお、「画像処理」については、第1の画像データ出力条件に第2の画像データ出力条件を揃えてもよいし、その逆の処理でもよい。また、本発明でいう「画像処理」とは、ユーザの手を煩わせないように、画像読取手段(画像読取センサ(シートの一方面を表画像として読み取る表画像読取センサと、シートの他方面を裏画像として読み取る裏面画像読取センサと、を有する))に対して異なる搬送方向からシートを搬送して、シートの画像を読み取った結果(画像読取結果)を所定の仕様、例えば、画像の向きや表裏等のレイアウト仕様に揃える処理を含むものである。
【0067】
また、このような「画像処理」は、あらかじめ、画像読取装置側で独立して操作ボタン等によりユーザが設定できるようにしてもよいし、あるいはPC等の情報処理装置で実行される画像読取装置を制御するための制御プログラム(ドライバやアプリケーション等)でユーザが設定できるようになっていてもよい。なお、本発明では、「画像処理」は、画像読取装置の駆動状態、すなわち、搬送モードの切り替え、情報処理装置との接続状態(例えば、USB2.0規格での接続状態、USB3.0規格での接続状態等)に応じて電力状態等が異なることを考慮して適宜、処理の切り替えや設定の変更(画像読取センサの走査方向を搬送モードによって左右逆にする場合を含む)等を行うようにしてもよい。
【0068】
この搬送に関しては、取込口から画像読取手段に向けて搬送部を正転駆動する正転駆動モードと、排出口から画像読取手段に向けて搬送部を逆転駆動する逆転駆動モードとを切り替える搬送制御を行っている。そしてこの搬送制御は、排出口からシートが取り込まれると搬送部を逆転駆動させて画像読取手段に対向する画像読取領域を一旦通過させた後、搬送部を正転駆動に切り替えて、排出口からシートを排出するよう制御する。
【0069】
さらに、上記の説明では、下記の構成要件を有することを特徴とする画像読取装置について説明した。
【0070】
・ 前記画像読取装置内に被読取媒体(シート)を導入するための導入口(取込口)
・ 前記被読取媒体を前記画像読取装置外に排出するための排出口
・ 前記導入口から前記排出口に至る搬送路上に設けられ、前記導入口に導入された前記被読取媒体を前記排出口に向けて搬送する搬送部
・ 前記搬送路上に前記搬送部により搬送される前記被読取媒体の画像を読み取る画像読取手段(イメージセンサ)
・ 前記導入口から取り込まれたシートを前記画像読取手段によって読み取って得られる第1の画像データ出力条件と、前記排出口から取り込まれたシートを前記画像読取手段によって読み取って得られる第2の画像データ出力条件とを揃える画像処理手段
しかし、この画像処理手段での機能は必ずしも画像読取装置(スキャナ装置)が有する必要はない。例えば、第2の実施形態のように、画像読取装置と通信可能な情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ)にこの画像手段の機能を持たせてもよい。もちろん、この画像処理手段の機能を、画像読取装置と情報処理装置との共同動作により実現させるような構成にしてもよい。即ち、上記の構成要件は、画像読取装置のみの構成としてもよいし、画像読取装置及び情報処理装置を有するシステムの構成としてもよい。
【0071】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0072】
本願は、2011年4月8日提出の日本国特許出願特願2011−086731を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8