(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792826
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】IPを介して加入者プロファイルのすべてをUICCに遠隔的に配信する方法
(51)【国際特許分類】
H04W 8/20 20090101AFI20150928BHJP
【FI】
H04W8/20
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-542478(P2013-542478)
(86)(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公表番号】特表2014-500679(P2014-500679A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】EP2011071675
(87)【国際公開番号】WO2012076425
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2013年7月12日
(31)【優先権主張番号】10306359.0
(32)【優先日】2010年12月6日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309014746
【氏名又は名称】ジェムアルト エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ ベラール
(72)【発明者】
【氏名】デニス ガション
【審査官】
東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−312056(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/055910(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/058241(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/141035(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPを介して加入者プロファイルのすべてを汎用ICカード(UICC)に遠隔的に配信する方法であって、
前記UICCは、遠隔サーバにIP接続可能かつ前記UICCにアクセス可能な端末に取り付けられ、固有のシリアル番号と、前記遠隔サーバとの間に安全な伝送チャネルを確立できるブートストラップアプリケーションおよびブートストラップ認証情報とにより予備的に個人化されており、前記遠隔サーバは、大量の加入者プロファイルをホストし、ウェブサーバとして機能し、前記方法は、
前記UICCの要求に応じて、前記ブートストラップアプリケーションを使用して前記端末および前記サーバ間にデータチャネルを開設し、
前記ブートストラップ認証情報を使用して前記UICCおよび前記サーバ間の相互認証を実行し、
前記UICCから前記サーバへ、前記固有のシリアル番号を使用して加入者プロファイルの配信を要求し、
前記UICCに対する加入者プロファイルが存在する場合に、前記加入者プロファイルのすべてを前記UICCへダウンロードすること、からなる方法。
【請求項2】
前記UICCおよび前記遠隔サーバ間の通信にはhttp通信プロトコルが使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UICCおよび前記端末は、BIPチャネルで通信する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記UICCは埋設型UICCである、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記UICCは取り外し可能なUICCである、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPを介して加入者プロファイルのすべてをUICCに遠隔的に配信する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信の領域では、SIMアプリケーションを内蔵するUICC(汎用ICカード)などのセキュアエレメントが、例えば携帯電話などの端末に固定的または取り外し可能に取り付けられている。場合によっては、端末は、他の装置とM2M(マシン・ツー・マシン)アプリケーションで通信する装置により構成される。
UICCは、スマートカードの形をとりうるが、特許文献1に記載されているパッケージチップや、その他いかなる形をとるものであってもよい。UICCは、例えばGSM(登録商標)及びUMTSネットワークにおける携帯端末内で用いられる。UICCは、ネットワーク認証、及びあらゆる種類の個人データの整合性と安全性を保証するものである。
【0003】
UICCは、GSMネットワークでは主にSIMアプリケーションを内蔵し、UMTSネットワークではUSIMアプリケーションを内蔵している。UICCにはその他複数のアプリケーションを内蔵させることができる。そうすると1つのスマートカードで、GSM及びUMTSネットワークの双方にアクセスしたり、また電話帳及びその他のアプリケーションの格納領域を提供したりすることが可能となる。また対応の携帯端末では、USIMアプリケーションでGSMネットワークにアクセスしたり、SIMアプリケーションでUMTSネットワークにアクセスしたりすることもできる。LTEなど、UMTSリリース5以降のネットワークでは、IMS(IPマルチメディアサブシステム)におけるサービスに、新たなアプリケーション、即ちIPマルチメディアサービスアイデンティティモジュール(ISIM)が必要である。電話帳は別個のアプリケーションであり、いずれの加入者情報モジュールにも属さない。
【0004】
UICCは、CDMAネットワークでは、3GPP USIM及びSIMアプリケーションに加えて、CSIMアプリケーションを内蔵している。これら3つの特徴を全て含むカードは、リムーバブルユーザアイデンティティカード、即ちR−UIMと呼ばれる。つまりR−UIMカードは、CDMA、GSM、またはUMTSハンドセットのいずれにも挿入でき、いずれにおいても機能する。
2Gネットワークにおいては、SIMカードとSIMアプリケーションは一体であったため、“SIMカード”は、この物理的なカード、又はSIMアプリケーションを有するあらゆる物理的なカードを意味していた。
【0005】
UICCスマートカードは、CPU、ROM、RAM、EEPROM、及び入出力回路からなる。初期のバージョンのスマートカードは、完全にフルサイズ(85×54mm,ISO/IEC 7810 ID−1)であった。すぐに、電話の小型化競争によって、より小型のカードが求められるようになった。
カードの差し込み口が標準化されているので、加入者は自分のワイヤレスアカウントおよび電話番号を、あるハンドセットから他のハンドセットへ簡単に移すことができる。これによって加入者の電話帳やテキストメッセージも移される。同様に加入者は、通常、自分の既存のハンドセットに新たなキャリアのUICCカードを挿入することでキャリアを変更することもできる。しかしこれは、常に可能であるとは限らない。なぜなら、自社の販売する電話にSIMロックをかけて(例、アメリカにおいてなど)、競合キャリアのカードが使用されないようにしているキャリアもあるからである。
【0006】
ETSIフレームワークとグローバルプラットフォームのアプリケーション管理フレームワークは統合され、UICC仕様に一本化された。
UICCは、3GPP及びETSIによって標準化された。
UICCは通常、例えばユーザが自分の携帯端末を変更したいときなどに、携帯端末から取り出すことができる。ユーザは、新たな端末に自身のUICCを挿入して、それまで通り自身のアプリケーション、連絡先、認証情報(ネットワークオペレータ)にアクセスすることができる。
【0007】
また、UICCを端末専用のものにする目的で、UICCを端末内にはんだ付け又は溶接することも周知である。これはM2M(マシン・ツー・マシン)アプリケーションにおいて行われている。上記の目的は、SIM又はUSIMアプリケーション及びファイルを内蔵するチップ(セキュアエレメント)を、端末に内蔵させることによっても達成できる。このチップは、例えば端末又は装置のマザーボードにはんだ付けされ、e−UICCとなる。
【0008】
以下に詳細に開示する発明の中には、はんだ付けされたUICCや、UICC中のチップと同じアプリケーションを内蔵するチップに適用されるものもある。また、遠隔端末内にある、又は装置の奥深くに組み込まれているUICCで、装置と完全に一体化しているわけではないが、元来取り外し用ではないために取り外しが困難なものに対しても、本発明を同様に適用することができる。UICCの特別なフォームファクタ(例えば非常に小さいので取り扱いが困難であるなど)も、そのUICCを、実質的に端末に組み込まれているものと見なす理由になりうる。同様のことは、開放が想定されていない装置内にUICCが組み込まれている場合についてもいえる。
【0009】
以下の記載では、UICCと同じアプリケーションを内蔵する、又は内蔵するよう設計されている、溶接されたUICC又はチップを総称して、(取り外し可能なUICC又は取り外し可能なセキュアエレメントに対し)埋設型UICC又は埋設型セキュアエレメントと呼ぶ。取り外し困難なUICC又はセキュアエレメントもこれに相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】PCT/SE2008/050380
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、IPを介して加入者プロファイルのすべてをUICCに遠隔的に配信する方法に関する。具体的には、本発明は、HTTPトランスポートOTIまたはOTAを使用して、装置に埋設されているUICCへ加入者プロファイルのすべて(ファイルシステム、セキュリティドメイン、アプリケーション(STK、USIM、ISM、...)、Kiなどの特異データ、応用キー、...を含む)を配信することに関する。
【0012】
本発明は、以下の課題を解決することを提案する。UICCを、例えばはんだにより受信装置に取り付けたり、装置のフォームファクタや、(距離などの問題で)経済的に実現不可能、又は(エンドユーザに装置と加入契約とを別々に選択する可能性を与えるために)特定加入契約への帰属なしに装置を市場に出さなければならないなどの理由により、どうしても物理的に取り外し不能な場合、加入者プロファイルにより製造段階でUICCを個人化することはもはや不可能である。
【0013】
本発明は、UICCが、装置の機能性に関する期待が低い状態で(IP接続性のみ)市場に展開された場合に、非常に安全な方法でUICCの個人化を遠隔的に行う方法を提案する。UICCはすでに市場に出ているため、MNOプロファイルはOTAまたはOTIを介してダウンロードする必要がある。
本発明は、UICCを遠隔的に個人化するために、HTTPプロトコルを使用することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
具体的には、本発明は、遠隔サーバにIP接続可能かつUICCにアクセス可能な端末に取り付けられたUICCに、IPを介して加入者プロファイルのすべてを遠隔的に配信する方法を提案する。UICCは、固有のシリアル番号と、遠隔サーバとの間に安全な伝送チャネルを確立できるブートストラップアプリケーションおよびブートストラップ認証情報とにより予め個人化されている。遠隔サーバは、大量の加入者プロファイルをホストし、ウェブサーバとして機能する。本発明にかかる方法は、UICCの要求に応じて、端末およびサーバ間にデータチャネルを開設し、ブートストラップ認証情報を使用してUICCおよびサーバ間の相互認証を実行し、UICCからサーバへ、固有のシリアル番号を使用して加入者プロファイルの配信を要求し、UICCに対する加入者プロファイルが存在する場合に、加入者プロファイルをUICCへダウンロードすることからなる。
【0015】
好適には、UICCおよび遠隔サーバ間の通信には、http通信プロトコルが使用される。
有利には、UICCと端末とは、BIPチャネルを介して通信する。
本発明は、本発明の実施の形態の全体フローを示す
図1を参照して以下の説明を読めば、よりよく理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、
−固有のシリアル番号と、遠隔サーバエンティティとの間に安全な伝送チャネルの確立を可能にするブートストラップアプリケーションおよびブートストラップ認証情報で予め個人化されているUICCと、
− 大量の加入者プロファイルをホストおよび配信し、単純なウェブサーバとして機能する遠隔配信サーバと、
− 遠隔サーバにIP接続可能かつ、例えばBIPインターフェースを介してUICCにアクセス可能な装置(端末)と、を必要とする。接続は、例えば有線や、WIFIやOTAのいずれかの方法により、その役割が最初のデータ接続の提供のみである最初から組み込まれているUICC加入者情報により可能である。
【0018】
図1には、全体フローが示されている。
手続の始めに、当該UICCの加入者プロファイルは、配信サーバにおいて決定され保存されているものと仮定する。
−ステップ100において、配信サーバは、オプションでUICC接続をトリガする起動イベントをUICCに送信する。これはまた、単にUICC自体の電源投入または定期的接続によっても行える。
−ステップ101において、UICCは装置にデータチャネルの開設を要求する。この段階で、UICCは接続情報を供給する。好適なメソッドは、BIP OPEN CHANNELコマンドである。
【0019】
−ステップ102において、UICCは、最初から組み込まれている認証情報を使用して配信サーバとセキュアチャネルの開設交渉を行う。好適なメソッドは、グローバルプラットフォームに規定されているSCP 81(PSK−TLS)チャネルの確立である。このステップの間に、UICCおよび配信サーバの相互認証が行われ、交換データの整合性を検証できる。
−ステップ103において、UICCは、所定の(または設定可能な)URLを使用して第1のHTTP POST要求を配信サーバに送信し、加入者プロファイルの配信を要求する。この要求には、少なくともUICCシリアル番号が含まれる。図中のPOST要求は、一例である。
【0020】
−次に、配信サーバは、当該UICCが利用可能な加入者プロファイルがあるかどうかをチェックする。利用可能な加入者プロファイルがある場合には、ステップ104において、配信サーバは、HTTP 200 OK応答を応答のボディとして加入者プロファイルとともに返す。当該UICCが利用可能な加入者プロファイルがない場合には、204 No content応答が返される。
−次に、UICCは、HTTP応答を受信し、加入者プロファイルのロードを実行する。ステップ105において、UICCは、サーバ応答でNEXT−URIとして与えられたURLによる第2のHTTP POST要求を送信する。このPOSTは、ロード実行ステータスを含む。
【0021】
−UICCが、1つの応答で加入者プロファイルのすべてを受信できない場合には、UICCおよび配信サーバ間において何回かの反復実行が必要となる(ステップ106および107)。
−この手続は、加入者プロファイルのすべてが配信されると終了する。この場合、最後の配信サーバHTTP応答には、204 No Contentが示される(ステップ108)。
−ステップ109において、UICCは、装置との間で確立されているデータチャネルを閉鎖する。
【0022】
この方法は、装置に物理的に取り付けられていないUICC(取り外し可能なUICC)にも適用可能である。
好適には、配信サーバとの通信にはHTTPプロトコルが使用され、UICCおよび装置間の通信にはBIPプロトコルが使用される。