特許第5792831号(P5792831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792831
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】貼り合せ装置および貼り合せ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20150928BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20150928BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H01L21/02 B
   H01L21/02 C
   H01L21/68 N
   H01L21/304 622J
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-548190(P2013-548190)
(86)(22)【出願日】2012年11月28日
(86)【国際出願番号】JP2012080675
(87)【国際公開番号】WO2013084761
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年6月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-267432(P2011-267432)
(32)【優先日】2011年12月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108753
【氏名又は名称】タツモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】才野 耕作
(72)【発明者】
【氏名】田辺 充
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/022457(WO,A1)
【文献】 特開2011−222657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/304
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1円板および第2円板があらかじめ中心合わせがなされると共に、前記第1円板の上面または前記第2円板の下面に接着剤が均一塗布されており、前記第1円板および前記第2円板を上下方向に加圧することにより、前記第1円板上に接着剤層を介して前記第2円板が貼り合された円板積層体を作製する貼り合せ装置であって、
気密性を有する処理室と、
前記処理室内に配置され、前記第1円板を支持するステージと、
前記処理室内の前記ステージの上方に対向配置され、前記第1円板および前記第2円板に対して中心合わせがなされた加圧円板と、
前記加圧円板を昇降可能に支持する昇降機構と、
前記第2円板を、前記ステージの上方、かつ、前記加圧円板の下方に離脱可能に保持する保持機構と、
を有し、
前記加圧円板の直径寸法は、前記第2円板の直径寸法よりも小さく、かつ、円板積層体の半径方向の厚みプロファイルに見られる凹凸形状モードの最適化が図られた寸法に設定されている、貼り合せ装置。
【請求項2】
前記保持機構は、前記第2円板の側面の一箇所に当接する1本の可動ピンと、前記第2円板の側面の複数箇所に当接する複数本の不動ピンと、前記可動ピンを前記第2円板の半径方向に往復移動させる移動機構と、を備える、請求項1に記載の貼り合せ装置。
【請求項3】
前記可動ピンは前記第2円板の側面の一箇所に設けられた角度合わせ用ノッチに係合される、請求項2に記載の貼り合せ装置。
【請求項4】
前記保持機構は、前記加圧円板に前記第2円板の上面を吸着させる吸引機構を備える、請求項1に記載の貼り合せ装置。
【請求項5】
前記処理室内を減圧する減圧機構を有し、前記吸引機構により達成される真空度が、前記減圧機構により達成される真空チャンバ内の真空度よりも小さくなるように、前記真空チャンバ内の圧力を調整する圧力調整機構をさらに備える、請求項4に記載の貼り合せ装置。
【請求項6】
前記昇降機構は、前記加圧円板の中心を位置決めして着脱自在に支持する着脱機構を備える、請求項1〜5のいずれかに記載の貼り合せ装置。
【請求項7】
ステージ上に支持された、接着剤が上面に均一に塗布された第1円板の上方に、中心合わせがなされた第2円板が対向保持され、前記第1円板および前記第2円板と中心合わせがなされた加圧円板により前記第2円板の上面を均等な力で加圧して前記第1円板および前記第2円板を貼り合せて円板積層体を作製する貼り合せ方法において、
前記加圧円板の直径寸法が、前記第2円板の直径寸法よりも小さく、かつ、円板積層体の半径方向の厚みプロファイルに見られる凹凸形状モードの最適化が図られた寸法に設定された、貼り合せ方法。
【請求項8】
前記加圧円板による加圧処理を高真空下で行う、請求項7に記載の貼り合せ方法。
【請求項9】
前記第2円板の直径寸法は、前記第1円板の直径寸法より大きい、請求項7に記載の貼り合せ方法。
【請求項10】
前記第2円板の直径寸法は、前記第1円板の直径寸法より大きい、請求項8に記載の貼り合せ方法。
【請求項11】
前記円板積層体のロット毎に、対応する直径寸法を有する前記加圧円板に交換する、請求項8に記載の貼り合せ方法。
【請求項12】
前記円板積層体のロット毎に、対応する直径寸法を有する前記加圧円板に交換する、請求項9に記載の貼り合せ方法。
【請求項13】
前記円板積層体のロット毎に、対応する直径寸法を有する前記加圧円板に交換する、請求項10に記載の貼り合せ方法。
【請求項14】
前記第1円板がシリコンウェーハであり、前記第2円板がガラス製の支持体である、請求項11に記載の貼り合せ方法。
【請求項15】
前記接着剤が光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂である、請求項14に記載の貼り合せ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の円板を貼り合せて、円板積層体を作製する貼り合せ装置および貼り合せ方法に関し、詳しくは平面研削・研磨加工により、半導体基板などの円形被加工体を薄片化するうえで、あらかじめ、該円形被加工体に対して略同径の円形支持体を中心合わせおよび角度合わせをした上で貼り合せを行う貼り合せ装置および貼り合せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TSV(Through Silicon Via=シリコン貫通電極)プロセスに代表される半導体3次元積層プロセスでは、半導体基板などの円形被加工体を平面研削・研磨加工により薄片化する技術が不可欠である。薄片化は例えば、直径300mmのシリコンウェーハに対して、厚さを30〜50μmまで薄くすることが要求されている。このように平面寸法に対して極端に厚みが薄片化した円形被加工体は、自らの剛性では内部応力、自重により平面形状を単体で維持することができない。そこで、特許文献1に記載されているように、平面研削・研磨加工の前段において、あらかじめ円形支持体を円形被加工体の非加工面側に接着剤を介して貼り合せる工程が必要である。
【0003】
この貼り合せ工程は、まず、薄片加工前の円形被加工体の非加工面側もしくは円形支持体の接着面側に液状接着剤が全面に均一に塗布される。接着剤は一般に熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂が使用され、貼り合せ後の熱処理、UV照射により固着することが可能である。また、円形支持体はあらかじめ平面度が精密に加工され、円形被加工体と略同径、薄片化前の円形被加工体と略同厚の耐熱性ガラスもしくは、シリコンウェーハが使用される。貼り合せ処理は、円形被加工体、円形支持体を間に挟んで下方にステージ、上方に加圧円板を配した真空チャンバ内で行われる。ステージと加圧円板はそれぞれ、高精度に平面度が加工されたものを使用し、真空チャンバ内において互いに平行度も精密に調整されている。また、ステージと加圧円板の直径は、円形被加工体およびこれに略同径の円形支持体に対して、小さくすることにより、貼り合せ時に外縁部で生じる接着剤のはみ出しによって汚損されないよう工夫されている。すなわち加圧円板の直径は、外縁にはみ出した接着剤が付着・汚損しない寸法値が経験的に使用されている。
【0004】
一方、貼り合せ工程では、円形支持体、接着剤層および円形被加工体から構成される貼り合せ後の積層体の総厚において、薄片加工後の円形被加工体の厚みの略1割程度の面内ばらつきに抑えることが要求されている。
【0005】
このため、前述したように高精度にステージおよび加圧円板を平面度加工、平行度調整することはもとより、上方に配する加圧円板にピエゾアクチュエータを面内適所に内装し、面内の厚み、荷重分布をモニタリングしながら加圧円板の平面形状を能動的に変化させて貼り合せを行う機構が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−159155号公報(段落0015,0016および図2参照。)
【特許文献2】特開2004−268113号公報(段落0033〜0050参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、貼り合せ後、接着剤固化前に接着剤層の面内厚み分布を平坦化するには、平面サイズが直径300mmの円形被加工体で1000kgfクラスの荷重を付与する必要があり、駆動部および、これらを支持する部材の高剛性化、如いては装置の重長高大化が避けられない。また、平面状態を高精度かつ、アクティブに監視するセンサ機材の高コスト化、およびその出力をフィードバックして反映する装置は制御が複雑化し、十分な応答性が得られないなど、高い生産性が求められる半導体製造装置にあって、これにそぐわない多くの問題点が露呈している。
【0008】
さらに、加圧処理工程での円形被加工体の外縁部は、接着剤層の流動特性に関して、それより内側とは半径方向における境界条件が異なり、自由端である。このため、接着剤層の端縁へのはみ出しによって生じる円形被加工体と円形支持体との間の体積減少は、直接、同部位における局所的な厚みの減少となる。この厚み減少の半径方向の範囲は、外周エッジより最大10mm内側にまでおよび、中心部に比して−8μmから−14μmもの厚みの落ち込みを呈することが明らかになっている。
【0009】
本願発明者は、貼り合せ後の積層体の半径方向の厚みのプロファイルを精査したところ、当該プロファイルに高次の凹凸形状モード(波打ち)が見られることを突き止め、当該凹凸形状モードが加圧円板の直径寸法を可変させることで変化することを確かめ、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、加圧円板の直径寸法を調整することにより、貼り合せ後の積層体の半径方向の厚みプロファイルに見られる凹凸形状モードの最適化を図り、もって、安価な装置構成により貼り合せ後の積層体の総厚の面内ばらつきを改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の貼り合せ装置は、第1円板および第2円板があらかじめ中心合わせがなされると共に、前記第1円板の上面または前記第2円板の下面に接着剤が均一塗布されており、前記第1円板および前記第2円板を上下方向に加圧することにより、前記第1円板上に接着剤層を介して前記第2円板が貼り合された円板積層体を作製するものである。
【0012】
このような貼り合せ装置は、具体的な構成として、気密性を有する処理室と、前記処理室内に配置され、前記第1円板を支持するステージと、前記処理室内の前記ステージの上方に対向配置され、前記第1円板および前記第2円板に対して中心合わせがなされた加圧円板と、前記加圧円板を昇降可能に支持する昇降機構と、前記第2円板を、前記ステージの上方、かつ、前記加圧円板の下方に離脱可能に保持する保持機構と、を有する。そして、本発明の貼り合せ装置は、このような構成において、前記加圧円板の直径寸法は、前記第2円板の直径寸法よりも小さく、かつ、円板積層体の半径方向の厚みプロファイルに見られる凹凸形状モードの最適化が図られた寸法に設定されている。
【0013】
この貼り合せ装置の構成によると、前記処理室内で、前記加圧円板を前記昇降機構により下降させるとともに、前記保持機構から前記第2円板を離脱させると、前記第2円板の上面が前記加圧円板により前記ステージ上で均等な力で加圧され、前記第1円板の上面とおよび前記第2円板の下面が接着剤層を介して貼り合された円板積層体が作製される。前記第1円板、前記第2円板および前記加圧円板はあらかじめ中心合わせがなされており、前記加圧円板の直径寸法は、前記円板積層体の半径方向の厚みプロファイルに見られる凹凸形状モードの最適化が図られた寸法に設定されている。このため、貼り合せ後の円板積層体の総厚の面内ばらつきが改善される。
【0014】
前記保持機構は、具体的構成の一例として、前記第2円板の側面の一箇所に当接する1本の可動ピンと、前記第2円板の側面の複数箇所に当接する複数本の不動ピンと、前記可動ピンを前記第2円板の半径方向に往復移動させる移動機構と、を備える。
【0015】
この保持機構の構成によると、移動機構を往方向動作させて可動ピンを第2円板の半径方向において中心に近づく方向に移動させることで、可動ピンが第2円板の側面に押圧され、可動ピンおよび不動ピンによって第2円板の側面が把持される。逆に、移動機構を復方向動作させて可動ピンを第2円板の中心から離れる方向に移動させることで、可動ピンが第2円板の側面から離間され、第2円板の側面の把持が解除され、第2円板は離脱される。
【0016】
前記可動ピンを前記第2円板の側面の一箇所に設けられた角度合わせ用ノッチに係合させるようにすれば、第2円板の把持と同時に、第2円板の角度位置も決まる。
【0017】
前記保持機構は、具体的構成の他の例として、前記第2円板の上面を前記加圧円板の加圧面に吸着させる吸引機構を備えても良い。これよると、吸引機構を動作させることで、吸引吸着力が第2円板に作用し、加圧円板の加圧面に第2円板の上面が吸着される。逆に、吸引機構を停止させれば、第2円板は加圧円板から離脱する。この保持機構の構成では、加圧円板自体に第2円板が保持されるので、別の保持部材が不要であり、保持機構を簡素化できる。
【0018】
貼り合せ装置が前記処理室内を減圧する減圧機構を有する場合は、前記吸引機構により達成される真空度が、前記減圧機構により達成される真空チャンバ内の真空度よりも小さくなるように、前記真空チャンバ内の圧力を調整する圧力調整機構を備える必要がある。これにより、加圧処理の前に吸引機構による保持力が弱まって第2円板が落下するのを防ぐことが出来る。
【0019】
また、前記加圧円板の中心を位置決めして前記昇降機構に着脱自在に支持させる着脱機構を備えると、加圧円板の交換が簡便に行え、円板積層体のロット変更に容易に対応することが可能となる。
【0020】
また、本発明の貼り合せ方法は、ステージ上に支持された、接着剤が上面に均一に塗布された第1円板の上方に、中心合わせがなされた第2円板が対向保持され、前記第1円板および前記第2円板と中心合わせがなされた加圧円板により前記第2円板の上面を均等な力で加圧して前記第1円板および前記第2円板を貼り合せて円板積層体を作製するものである。そして、本発明の貼り合せ方法では、加圧処理工程で、半径方向の前記円形積層体の厚みプロファイルに見られる凹凸形状モードの最適化された直径寸法を有する加圧円板を使用する。
【0021】
接着剤層に気泡を挟まないようには貼り合せは真空下で行う必要がある。
【0022】
なお、前記第2円板の直径寸法を、前記第1円板の直径寸法より大きく設定すると、加圧処理の際に、第1円板の上面に塗布された接着剤層が第1円板の外側にはみ出しても、当該第1円板よりもひとまわり大きな第2円板の下面の外縁部に流動してそこに付着して留まるため、第1円板の側面に接着剤が付着することがない。したがって、貼り合せ後の第1円板の直径寸法が周方向で不均一になることが防止される。
【0023】
最適な直径寸法を有する加圧円板は前記円板積層体のロット毎に異なる。したがって、ロット毎に加圧円板の最適な直径寸法を管理しておけば、ロットが変更されたときは対応する加圧円板に交換するだけで容易に対応出来る。
【0024】
前記第1円板は一例としてシリコンウェーハが用いられ、前記第2円板は一例としてガラス製の支持体が用いられる。前記接着剤は一例として、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、安価な装置構成により貼り合せ後の積層体の総厚の面内ばらつきを改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態に係る貼り合せ装置の概略構成を示す側面図であり、第1円板および第2円板に対する加圧処理実行前の状態を示している。
図2】同上貼り合せ装置の概略構成を示す側面図であり、第1円板および第2円板に対する加圧処理実施中の状態を示している。
図3】第2円板の保持機構を説明する平面図である。
図4図4(A)は可動ピンの移動機構を説明する側面図であり、第2円板の側面に可動ピンを押圧させて第2円板を保持した状態を示している。図4(B)は可動ピンの移動機構を説明する側面図であり、第2円板の側面から可動ピンを離間させて第2円板の保持を解除した状態を示している。
図5】貼り合せ後の円板積層体の半径方向の厚みプロファイルを示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る貼り合せ装置の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具現化した第1実施形態を図1図3を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る貼り合せ装置の概略構成を示す正面図である。この貼り合せ装置では、あらかじめいずれか一方に接着剤が均一塗布されて対向配置される2種類の第1円板W1および第2円板W2を貼り合せて円板積層体を作製する。第1円板は一例としてシリコンウェーハなどの半導体製の円形被加工体であり、第2円板は一例としてガラス製の円形支持体である。
【0029】
図1に示すように、貼り合せ装置10は、主要な構成要素として、チャンバ(処理室)20、減圧機構30、開閉機構40、ステージ50、加圧円板60、昇降機構70および保持機構80を備える。
【0030】
この貼り合せ装置10には、ベース板11および該ベース板11に固定された門型の支持フレーム12が備えられる。なお、ベース板11および支持フレーム12は十分に高い剛性を有する材質にて形成されている。支持フレーム12の内側には処理室としてのチャンバ20が備えられる。チャンバ20は上下に分割され、上側容器20Aと下側容器20Bとから構成されている。チャンバ20の開口部、すなわち、上側容器20Aと下側容器20Bが当接する箇所には、それらの間をシールしてチャンバ20内の気密を保つためのOリング21が設けられている。
【0031】
下側容器20Bはベース板11に支持されている。上側容器20Aは支持フレーム12に吊下支持されており、かつ、開閉機構40によって昇降(上下動)可能に構成されている。
【0032】
開閉機構40は、アクチュエータ41、昇降板42および支柱43を備える。アクチュエータ41はピストン411およびシリンダ412を有する。ピストン411はアクチュエータ41の不動部であり、支持フレーム12の天井壁上面中央に垂直に立設される。シリンダ412はアクチュエータ41の可動部であり、ピストン411に沿って上下動可能に構成される。アクチュエータ41は一例としてソレノイドや油圧、空圧などを動力として駆動され、制御機構(不図示)を用いて電気的な信号によって制御可能に構成される。昇降板42はアクチュエータ41のシリンダ412に固定され、シリンダ412と共に水平を保ったまま上下動可能である。ピストン411は昇降板42の中心に挿通されている。
【0033】
昇降板42の下面外縁部には、垂直に垂下する複数の支柱43の上端が固定されている。支柱43は支持フレーム12の天井壁を貫通され、その下端は上側容器20Aの上面に固定されている。これによって、上側容器20Aは支柱43を介して昇降板42に吊下支持される。
【0034】
上記の開閉機構40の構成において、アクチュエータ41が駆動されると、そのシリンダ412の上下動に連動して、上側容器20Aが下側容器20Bに対して上下動される。これにより、チャンバ20の開閉動作が行われるようになっている。図1はチャンバ20が開かれた状態を示し、図2はチャンバ20が閉じられた状態を示している。
【0035】
減圧機構30は真空ライン31、ベントライン32、真空ポンプ33、真空バルブ34およびベントバルブ35を備える。真空ライン31は真空材料にて作製された配管で形成され、吸気側は下側容器20Bを貫通させて取付けられる。これにより、真空ライン31はチャンバ20内に連通している。真空ライン31には真空ポンプ33および真空バルブ34が設けられる。ベントライン32は真空バルブ34の上流側で真空ライン31から分岐され、不活性ガス(例えば、窒素)を収容する耐圧容器に連結されている。ベントライン32は配管で形成される。ベントライン32にはベントバルブ35が設けられる。
【0036】
上記の減圧機構30の構成で、図2のようにチャンバ20を閉じられた状態で真空バルブ34を開にして、真空ポンプ33を駆動するとチャンバ20内の空気が真空ライン31を通って排気される。これによってチャンバ20内が減圧され、高真空が得られる。ベントバルブ35は、窒素などの不活性ガスをベントライン32を通じてチャンバ20内にリークさせてチャンバ20内の圧力を常圧に戻す際に開かれる。チャンバ20内の圧力は、上側容器20Aの外側に取付けられた真空計17により監視される。
【0037】
チャンバ20内には、第1円板W1を支持する支持板としてのステージ50および第2円板W2を加圧する加圧円板60が対向して配置されている。ステージ50は、吸引吸着力または静電吸着力のうち少なくとも一方を作用させて第1円板W1を吸着保持する機構を有する。
【0038】
加圧円板60は、上側容器20Aに設けられた昇降機構70によって昇降可能に支持されている。昇降機構70は、アクチュエータ71、取付台72、支軸73および円板磁石74を備える。加圧円板60はステージ50に対して4μm以下の平行度で取付け調整されている。
【0039】
アクチュエータ71はピストン711およびシリンダ712を有する。シリンダ712はアクチュエータ71の不動部であり、その軸方向が垂直に配向され、上側容器20Aの天井壁に固定された取付台72に取付けられている。ピストン711はアクチュエータ71の可動部であり、取付台72を貫通し、シリンダ712の軸方向に移動可能、すなわち上下動可能に構成される。アクチュエータ71は一例としてソレノイドや油圧、空圧などを動力として駆動され、制御機構(不図示)を用いて電気的な信号によって制御可能に構成される。
【0040】
支軸73の上端はアクチュエータ71のピストン711の下端に同軸に固定される。支軸73は円柱状に形成されており、上側容器20Aの天井壁中心に設けられた貫通孔に挿通される。上側容器20Aの貫通孔には軸シール14が備えられ、その軸シール14により上側容器20Aと支軸73との間をシールするようになっている。支軸73の下端には円板磁石74が水平に取付けられる。円板磁石74は、その中心が同軸設定されている、ピストン711および支軸73の軸線に精密に位置合わせなされた状態で取付けられている。加圧円板60は磁性を有する材質(例えば、磁性材料を含む合金など)で形成されており、円板磁石74の磁性吸着力を作用させて吸着保持させることが可能である。
【0041】
加圧円板60の直径寸法および加圧面(下面)の平滑性は極めて高精度に加工されている。加圧円板60の上面にはその中心および中心まわりの円周方向に複数の位置決め突起(不図示)が形成されている。一方、円板磁石74の下面の位置決め突起に対応する箇所には複数の位置決め穴が形成されている。したがって、加圧円板60上面の各位置決め突起を円板磁石74下面の対応する各位置決め穴に嵌合させるように、加圧円板60を円板磁石74に吸着保持させると、加圧円板60は位置ずれが防止された状態で、かつ、その中心がピストン711および支軸73の軸線に合わせれて装着される。
【0042】
円板磁石74およびその位置決め穴、ならびに加圧円板60の位置決め突起は加圧円板60を着脱自在にする着脱機構の一例である。この磁性吸着を利用した着脱機構では、ビスなどの固定部品が不要であるため、着脱作業がワンタッチで極めて簡便に行える。特に、円板積層体のロット毎に加圧円板60の交換が必要になる本発明の加圧方式では交換が容易に行えるため、非常に有用な着脱機構となる。
【0043】
上記の昇降機構70の構成において、アクチュエータ71が制御機構によって駆動されると、そのピストン711の上下動に連動して、加圧円板60がステージ50に対して上下動される。したがって、図2に示すように、チャンバ20が閉じられた状態で、加圧円板60を下降させることで、加圧円板60とステージ50との間に挟まれた被加圧物、すなわち第1円板W1および第2円板W2に対して上下方向の圧力が付与される。
【0044】
ステージ50は下側容器20Bに支持されている。ステージ50には、下方から複数のリフトピン13が貫通されている。複数のリフトピン13は支持部材16上に垂直に立設される。支持部材16は昇降機構90により上下動可能であり、これによってステージ50の支持面(上面)からリフトピン13の先端部を出没可能に構成される。昇降機構90の構成は上述した加圧円板60の昇降機構70と同様である。
【0045】
第1円板W1はアライメント装置(不図示)を用いて予め中心合わせおよび角度合わせがなされた状態で、ロボットアームを備えた搬送装置(不図示)によってステージ50の上方に搬送され、ステージ50上に突出するリフトピン13に支持される。この状態でリフトピン13を下降させると第1円板W1はステージ50の支持面の定位置に支持される。
【0046】
第2円板W2は、保持機構80によって、ステージ50の上方、かつ、加圧円板60の下方に離脱可能に保持される。本実施の形態では、保持機構80は第2円板W2の側面を把持可能に構成されている。保持機構80は可動ピン81、不動ピン82および移動機構(装置)83を備える。
【0047】
図3は保持機構80を説明する平面図である。図4(A)、図4(B)は可動ピン81の移動機構83を説明する側面図である。保持機構80の詳細を図3図4(A)、図4(B)を参照して説明する。図3に示すように、可動ピン81は、第2円板W2の側面の一箇所に形成された角度合わせ用ノッチNに係合され、2本の不動ピン82は第2円板W2の側面の2箇所に当接される。1本の可動ピン81および2本の不動ピン82は中心角120°で第2円板W2の円周を3等分した平面配置で設けられる。可動ピンおよび不動ピン82は一例として円柱状に形成されている。図1に示すように、不動ピン82は上側容器20Aの天井壁内面に、軸方向を垂直にして固定される。
【0048】
移動機構83は可動ピン81を第2円板W2の半径方向に往復移動可能に構成される。図4(A)、図4(B)に示すように、移動機構83はステッピングモータ831、ボールスクリューナット832、ボールスクリュー833、ステム834、支軸835、ストッパー836、フランジ837、圧縮コイルバネ838および軸受839を備える。
【0049】
ステッピングモータ831は上側容器20Aの天井壁外面に、その駆動軸が第2円板W2の半径方向において中心から離れる方向に配向されて固定される。ステッピングモータ831はパルス駆動によって正逆両方向に駆動軸を回転可能に構成され、その駆動力はボールスクリューナット832に伝達され、ボールスクリューナット832を正方向または逆方向に所定量だけ回転させる。ボールスクリューナット832の回転運動は、ボールスクリュー833の直線運動に変換される。ボールスクリュー833の先端は垂直に延びるステム834の上部に取り付けられる。ステム834の下部には、ボールスクリュー833と平行に延びる支軸835の基端が取り付けられる。
【0050】
支軸835は上側容器20Aの側壁の貫通孔に挿通される。上側容器20Aの貫通孔には軸シール14が備えられ、その軸シール14により上側容器20Aと支軸835との間をシールするようになっている。支軸835の軸方向において上側容器20Aの内側に位置する部分にはフランジ837が形成される。支軸835の先端部は可動ピン81の貫通孔に挿通される。可動ピン81の貫通孔には軸受839が備えられ、その軸受839により可動ピン81の支軸835に沿ったスライドを可能としている。
【0051】
支軸835の軸方向においてフランジ837と可動ピン81との間の部分には圧縮コイルバネ838が備えられ、その圧縮コイルバネ838により可動ピン81を支軸835の先端側へ付勢している。支軸835の先端にはストッパー836が取り付けられており、そのストッパー836により可動ピン81は支軸835から抜け止めされている。
【0052】
このような移動機構83の構成で、ステッピングモータ831が正回転駆動されると、図4(A)の矢印で示すように支軸835が第2円板W2の半径方向において中心に近づく方向に移動する。これによって、圧縮コイルバネ838で付勢される可動ピン81が第2円板W2の側面に押圧され、この可動ピン81と2本の不動ピン82によって第2円板W2が側面の3カ所で把持される。なお、図3に示すように、第2円板W2の中心は、加圧円板60の中心に合わされるように不動ピン82の取付位置は設定されているものとする。このとき、可動ピン81を第2円板W2の側面の一カ所に設けたノッチNに係合させれば、第2円板W2の角度合わせも行える。
【0053】
一方、ステッピングモータ831が逆回転駆動されると、図4(B)の矢印で示すように、支軸835が第2円板W2の半径方向において中心から離れる方向に移動する。これによって、可動ピン81が第2円板W2の側面から離間され、第2円板W2は離脱する。加圧円板60により第2円板W2を、第1円板W1に対してステージ50上で加圧する際は、図4(B)のように第2円板W2を離脱された状態にしてもよいし、図4(A)のように第2円板W2がピンに把持された状態で加圧を行ってもよい。後者の場合は加圧持の第2円板W2の位置ズレを防ぐのに効果的がある。第2円板W2の把持力は圧縮コイルバネ838のバネ定数で調整が可能である。
【0054】
上記のように構成される貼り合せ装置10の使用方法について説明する。まず準備段階として、チャンバ20が開かれた状態で保持機構80に第2円板W2を保持させるとともに、この第2円板W2を位置合わせの基準にして、第1円板W1をステージ50上に支持させる。これにより、チャンバ20内で第1円板W1と第2円板W2が上下方向で対向配置される。なお、第1円板W1の上面には、上面に接着剤が所定の膜厚で均等に塗布されている。そして、開閉機構40により上側容器20Aを下降させてチャンバ20を閉じた後、減圧機構30を動作させてチャンバ20内を高真空に保つ。
【0055】
加圧処理工程では、加圧円板60を昇降機構70により下降させるとともに、保持機構80から第2円板W2を離脱させる。これにより、第2円板W2の上面が加圧円板60によりステージ50上で均等な力で加圧され、第1円板W1の上面とおよび第2円板W2の下面が接着剤層を介して貼り合された円板積層体が作製される。第1円板W1、第2円板W2および加圧円板60はあらかじめ中心合わせがなされている。また、後述するように、加圧円板60の直径寸法は、円板積層体の半径方向の厚みプロファイルに見られる凹凸形状モードの最適化が図られた寸法に設定されている。このため、貼り合せ後の円板積層体の総厚の面内ばらつきが改善される。
【0056】
接着剤は一例として熱硬化性樹脂やUV硬化性樹脂が用いられる。貼り合せ後の円板積層体は貼り合せ装置10から取出され、次工程で加熱あるいやUV照射を行うことにより、接着剤層が固化されて製品となる。
【0057】
本発明の貼り合せ装置10では、凹凸形状モードの最適化が図られた直径寸法を有する加圧円板を使用して加圧処理を行うことで、簡便な装置構成で貼り合せ後の円板積層体の総厚の面内ばらつきを抑えられる。以下、加圧円板の寸法設定手順を例を挙げて説明する。
【0058】
第1円板W1である同一のシリコンウェーハ(直径300mm、厚み775μm)と、第2円板W2である同一のガラス円板(直径301mm、厚み675μm)を5枚ずつ用意し、各シリコンウェーハの非加工面に同一種類の接着剤を同一膜厚(50μm)で均一塗布する。そして、直径寸法の異なる5種類(296mm、290mm、285mm、280mm、270mm)の加圧円板60を用意し、各加圧円板60を装着した上記の貼り合せ装置10を用いてシリコンウェーハとガラス円板の貼り合せを行った。加圧時の圧力はいずれの加圧円板60でも同一になるように設定した。得られた円板積層体の半径方向の厚みプロファイルを図5に示す。ステージの直径寸法は296mmとする。
【0059】
図5に示すように、いずれのプロファイルも中心線に対して線対称な、高次の凹凸形状モードを呈することが分かった。この凹凸形状モードを分析したものを表1にまとめる。
【0060】
【表1】
【0061】
図5および表1に示すように、実験で調べられた加圧円板の直径範囲はいずれも被加工体であるシリコンウェーハの直径(300mm)よりも小さく、5種類すべての直径寸法について、厚みプロファイルに見られる凹凸形状モードの極大点の数は3つ(中心の1つと左右の2つ)で変化はなく共通している。一方、極小点の数は、296mm、290mmおよび285mmでは2つで、280mmおよび270mmでは外側に2つ増え4つとなる。
【0062】
詳細に見ると、加圧円板の直径が296mmと290mmのときは、半径方向において中心から最も離れた特異点(最外特異点)が極大点となり、それより外側では単調に減少する結果、外周エッジが最小の厚みとなる。冒頭で述べたように、直径の大きな加圧円板を用いたことにより、自由端であるシリコンウェーハの外縁部に作用する圧力で同部位における接着剤が端縁へはみ出し、同部位における局所的な厚みの落ち込みが生ずるからである。
【0063】
加圧円板の直径寸法が285mmに小径化されると、プロファイル自体は296mmと290mmのときと大きく変わらないが、半径方向において中心から最も離れた極大点のさらに外側に変曲点が現れ、その変曲点より外側での厚みの減少が抑えられている。
【0064】
さらに小径化され加圧円板の直径寸法が280mmと270mmになると、半径方向において中心から最も離れた極大点のさらに外側に極小点が現れ、最小の厚みを与える箇所が半径方向において外周エッジから内側へシフトする。直径の小さな加圧円板を用いたことにより、シリコンウェーハの外縁部の境界条件が変わり、この外縁部に作用する圧力が減少することにより、接着剤のはみ出しも低減され、同部位の凹凸形状モードが落ち込みから上昇へと転ずる。
【0065】
このように、半径方向において中心から最も離れた特異点(最外特異点)が、極大点から極小点へと移り変わる中間の加圧円板の直径寸法が285mmであり、この直径寸法を挟んで厚みプロファイル凹凸形状モードが大きく転換していることが分かる。本例ではこの転換点に当たる直径寸法で、貼り合せ後の円板積層体の総厚の面内ばらつきが最小となっている。
【0066】
ただし、円板積層体の総厚の面内ばらつきが最小となる加圧円板の直径寸法がプロファイルの転換点に当たる直径寸法になるとは限らず、用いるシリコンウェーハとガラス板の直径寸法や厚み、さらには接着剤の種類や膜厚(すなわち、円板積層体のロット)によって最適な直径寸法は変わってくる。このため、加圧円板の最適な直径寸法は円板積層体のロット毎に、直径寸法の異なる複数の加圧円板で試して上記のように厚みプロファイルの凹凸形状モードの変化を追跡しながら実験的に決定するしかない。しかし、最適な直径寸法が決定されたなら、同じ装置でそのロットを作製する際に必要な加圧円板が一義的に定まる。したがって、最適な直径寸法を円板積層体の種々のロットに対応付けて管理しておけば、ロットが変わっても対応する直径寸法を有する加圧円板に交換するだけで良く、装置の制御パラメータを変更することもいらないので、本発明は非常に簡便であり、有用である。
【0067】
図6は本発明の第2の実施形態に係る貼り合せ装置の概略構成を示す正面図である。この第2の実施形態では、加圧処理の前段階において第2円板W2を保持する保持機構が、第2円板W2に吸引吸着力を作用させて加圧円板60に吸着保持させる吸引機構180を備える。
【0068】
吸引機構180は、真空ライン181、真空ポンプ182、真空バルブ183を備える。真空ライン181の吸気側は昇降機構70の支軸73の内側を軸方向に通されて加圧円板60の加圧面(下面)に達し、吸気孔として開口している。真空ライン181の真空度は、真空計19で監視される。この吸引機構180は、チャンバ20内の真空を達成する減圧機構30と同様の構成である。
【0069】
チャンバ20内の圧力が常圧であれば、上記構成によって第2円板W2を吸着保持可能であるが、加圧処理工程で、チャンバ20内の圧力環境は高真空にされるので、上記の構成ではチャンバ20内の真空度が上がり、真空ライン181の真空度よりも高くなると、保持力が弱まり、加圧円板60を下降させる前に第2円板W2が落下してしまうおそれがある。このような事態を防ぐために、圧力調整機構100が追加で設けられる。
【0070】
圧力調整機構100は、吸引機構180の真空ライン181の真空度を、チャンバ20内の真空度よりも高く維持するためのもので、窒素ガス導入ライン101、マスフローコントローラ(MFC)102およびスロットバルブ103を備える。窒素ガス導入ライン101は配管で形成され、ガス導入側は上側容器20Aを貫通して取付けられている。これによって、窒素ガス導入ラインはチャンバ20内に連通している。スロットバルブ103は減圧機構30の真空ライン31に追加で設けられた開度を動的調整可能に構成されたバルブである。
【0071】
上記圧力調整機構100の構成で、マスフローコントローラ102を使用して、窒素ガスをチャンバ20内に導入しつつ、スロットバルブ103の開度を動的に調整しながら減圧機構30を動作させることにより、チャンバ20内の真空度を所定の圧力に維持することが出来る。これにより、吸引機構180の真空ライン181の真空度がチャンバ20内の真空度よりも高く維持され、第2円板W2の吸着が可能となる。
【0072】
加圧処理工程で、加圧円板60に吸着保持された第2円板W2を離脱させるには、真空ライン181に設けられた真空バルブ183を閉制御し、真空ポンプ182の吸引力を強制遮断する。
【0073】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
10…貼り合せ装置
20…チャンバ
30…減圧機構
40…開閉機構
50…ステージ
60…加圧円板
70…昇降機構
74…円板磁石(着脱機構)
80…保持機構
83…移動機構
100…圧力調整機構
180…吸引機構
W1…第1円板
W2…第2円板
図1
図2
図3
図4
図5
図6