【実施例1】
【0022】
図1〜
図11は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、吊り下げテーブル1はテーブル部材2を備え、このテーブル部材2は、可撓性を有する袋3と、この袋3内に挿脱自在に設ける板状部材4とを備える。前記袋3及び板状部材4は長方形形状をなし、その袋3の周囲の4箇所の角部には懸垂部材5が連結され、これら4つの懸垂部材5,5,5,5により前記テーブル部材2を車室内などに吊り下げることができる。
【0023】
前記袋3は、合成樹脂などからなり、上面部と下面部と構成する上,下網体11,12を有し、これら上,下網体11,12は略六角形をなす亀甲型の網目13を複数有し、その網目13の最大寸法は10〜15mm、構成する線材の太さは1〜3mm程度である。
【0024】
また、前記上,下網体11,12の一方の長辺の縁部14Lを除いた三辺の縁部14L,14S,14Sが重ね合わされている。そして、
図3に示すように、他方の長辺において重ね合わせた縁部14L,14Lを略コ字状の縁帯15により上下から挟み、重ね合わせた縁部14L,14Lと前記縁帯15とを縫着部16,16Aにより縫着している。また、
図4に示すように、両方の短辺の縁部14S,14Sにおいて重ね合わせた縁部14S,14Sを前記縁帯15により挟み、重ね合わせた縁部14S,14Sと縁帯15とを縫着部16,16Aにより縫着している。このようにして上,下網体11,12の三方に縁帯15,15,15を設けて前記上,下網体11,12を袋状に形成する。
【0025】
また、
図3に示したように、上,下網体11,12の前記一方の長辺の縁部14Lにおいて、上網体11の縁部14Lと、この縁部14Lを挟んだ略コ字状の上開口縁帯15Uとを縫着部16により縫着し、下網体12の縁部14Lと、この縁部14Lを挟んだ略コ字状の下開口縁帯15Sとを縫着部16により縫着し、それら上開口縁帯15Uの外縁と下開口縁帯15Sの内縁との間に前記袋3の開口部17を設けている。
【0026】
そして、下網体12は上網体11に比べて下開口縁帯15Sの幅の分だけ短辺方向に長く形成されている。尚、車室内の使用状態において、テーブル部材2の短辺が左右に配置され、テーブル部材2の長辺が前後に配置され、好ましくは開口部17を後に配置する。
【0027】
尚、縁帯15に設ける縫着部は、複数でなく、一方の縫着部16のみでもよい。また、縁帯15,15U,15Sは伸縮性を有するものを用いているが、該伸縮性を有する縁帯15,15U,15Sは、縫着部により該縫着部の長さ方向の伸縮が規制されている。
【0028】
また、板状部材4は短辺の縁帯15,15の内縁間に略対応した長辺方向の長さを有し(
図4)、板状部材4は下開口縁帯15Sと長辺の縁帯15の内縁間に略対応した短辺方向の幅を有する。
【0029】
さらに、前記開口部17には、該開口部17を開閉する開閉手段たるスライドファスナー21が設けられている。このスライドファスナー21は、前記上開口縁帯15Uの下面に一方のファスナーテープ22を重ね合わせ、上開口縁帯15Uと縁部14Lと一方のファスナーテープ22とを縫着部16Bにより縫着し、一方、下開口縁帯15Sにより他方のファスナーテープ23を挟み、この他方のファスナーテープ23は下網体12の上面に重ね合されており、前記下開口縁帯15Sとファスナーテープ23と縁部14Lとを縫着部16により縫着し、さらに、前記下開口縁帯15Sの上面とファスナーテープ23とを開口部17側の縫着部16Bにより縫着している。また、スライドファスナー21には、一方と他方のファスナーテープ22,23の間を閉鎖したり開いたりする一対のスライダ24,24が設けられている。尚、縫着部16,16A,16Bは縁帯15,15U,15Sの全長に設けられている。
【0030】
このようにして一方の長辺において、上網体11の縁部14Lには上開口縁帯15Uとファスナーテープ22が設けられると共に、下網体12の縁部14Lには下開口縁帯15Sとファスナーテープ22が設けられている。
【0031】
尚、一方のファスナーテープ22は上開口縁帯15Uの外縁に設けられ、他方のファスナーテープ23は下開口縁帯15Sの内縁に設けられている。
【0032】
前記板状部材4は、合板などの保形性を有する板材からなり、例えば厚さは2〜5mm程度であって、前記袋3より僅かに小さく形成されている。そして、前記スライドファスナー21,21を操作して開口部17を開き、この開口部17から板状部材4を袋3の中に収納し、開口部17を閉めることにより、袋3の内部に板状部材4が収納されると共に、板状部材4が袋3の芯材となってテーブル部材2が平板状に保形される。
【0033】
尚、後述する車室内の天井に照明手段(図示せず)がある場合には、透光性を有する部材により板状部材4を形成することが好ましく、これにより板状部材4と網目13とを光が通過する。
【0034】
前記懸垂部材5は、前記テーブル部材2の角部に連結した懸垂部材本体6と、各懸垂部材本体6に着脱可能に接続する延長部材本体7とを備える。
【0035】
前記懸垂部材本体6は、上バンド31と、該上バンド31より長い下バンド32とを備え、これら上,下バンド31,32の基端側を前記テーブル部材2の角部に連結している。具体的には、上,下バンド31,32の基端部を縁帯15で挟んだ状態で複数の縫着部30,30により角部に縫着している。また、各上,下バンド31,32は短辺の縁帯15,15の長さ方向における延長線上に配置されている。
【0036】
また、本実施例における全てのバンドは、合成樹脂製の繊維を織った帯であって可撓性を有するものなどが用いられているが、他にも可撓性を有する各種の材質のものを用いることができる。
【0037】
前記上バンド31の先端には一方の連結具である雄型連結具33を設け、前記下バンド32の先端側には他方の連結具である雌型連結具34を設け、前記雄型連結具33が前記雌型連結具34に係脱可能に連結される。また、それら雄型連結具33及び雌型連結具34は合成樹脂からなる。さらに、前記上,下バンド31,32はどちらか一方が他方より長ければよく、こうすることにより輪部を形成する際の雄型,雌型連結具33,34による連結作業が容易となる。
【0038】
前記雄型連結具33の基端側には、幅方向のバンド装着孔35,35Aが上バンド31の長さ方向に並んで形成され、前記上バンド31の先端を、一側から先端側の前記バンド装着孔35に挿通した後、さらに、他側から基端側の前記バンド装着孔35Aに挿入して基端側に引き出している。これにより、上バンド31の基端から雄型連結具33までの長さが調整可能となり、前記雄型連結具33が懸垂部材本体6の長さ調整部となる。
【0039】
また、前記雄型連結具33の先端に一対の弾性爪片36,36が設けられ、これら弾性爪片36,36の先端は自由端であり、それら弾性爪片36,36の先端に先端係止部37,37が設けられている。
【0040】
一方、前記下バンド32の先端には、該下バンド32の先端を折り返して重ね合わせた部分を縫着部41,41により縫着して輪部42Wを形成し、この輪部42W内に前記雌型連結具34の基端軸34Kを回転自在に設けている。また、雌型連結具34は先端側に略長方形形状の挿入孔43を有し、この挿入孔43から挿入した前記弾性爪片36,36が前記雌型連結具34内に段発的に係止する。また、前記雌型連結具34の幅狭側面44,44には、前記先端係止部37,37を側方から内側に押して前記係止を解除する解除操作部45,45が設けられている。
【0041】
したがって、雌型連結具34の挿入孔43に弾性爪片36,36を弾発的に挿入すると、前記先端係止部37,37が雌型連結具34内に抜け止め状態で係止する。この係止状態で、両側の解除操作部45,45を用いて先端係止部37,37の間隔を狭めてやれば前記係止が解除され、雌型連結具34から雄型連結具33を抜き取ることができる。
【0042】
図8に示すように、前記延長部材本体7は、延長バンド47と、この延長バンド47の一端に設けた前記雄型連結具33と、前記延長バンド47の他端に設けた前記雌型連結具34とからなり、延長バンド47は、前記下バンド32の2倍以上の長さを有する。
【0043】
そして、
図9に示すように、懸垂部材本体6の雄型連結具33と雌型連結具34とを連結して輪部を形成し、この輪部と後述する接続受け部とに延長部材本体7の延長バンド47を挿通し、テーブル部材2を吊り下げることができる。
【0044】
図9〜
図11に示すように自走式車両の車室内には、該車両の天井51の後部の前後左右に接続受け部たるグラブレール52が設けられており、このグラブレール52は略コ字状をなし、その両端部52T,52Tを天井51に回動可能に連結している。前記グラブレール52は人が把持する把持具として用いることができる。
【0045】
次に、前記テーブル1の使用方法について説明する。テーブル部材2内に板状部材4を挿入し、開口部17をスライドファスナー21により閉める。四方の懸垂部材本体6の雄型連結具33と雌型連結具34とを連結して輪部を形成し、この輪部に延長部材本体7の延長バンド47を挿通し、
図9に示したように、その延長バンド47をグラブレール52に挿通し、延長部材本体7の雄型連結具33と雌型連結具34とを連結し、該延長部材本体7をグラブレール52に掛装する。このようにして前後左右の懸垂部材5,5,5,5を対応する前後左右のグラブレール52,52,52,52に連結する。また、長さ調整部である雄型連結具33を用いて延長バンド47の長さを調整し、テーブル部材2を水平に配置する。
【0046】
こうして
図10に示したように天井51にテーブル部材2を吊設し、このテーブル部材2を用いて食事をしたり、トランプゲームなどを楽しんだりすることができる。尚、懸垂部材5は
図9に示したように懸垂部材本体6と延長部材本体7とからなるが、
図10では説明のため懸垂部材5を1本のバンドとして図示している。
【0047】
そして、テーブル1を車両などに装備した場合では、走行中に揺れても、テーブル部材2の上面に上網体11が設けられているため、その上網体11の凹凸による滑り止め効果により、テーブル部材2上の載置物を安定して載置することができる。この場合、車両の座席の背もたれ部(図示せず)を倒し、背もたれ部の後面を略水平とし、この背もたれの後面に直接又はシート状物50を敷き、その上に座ってテーブル部材2を使用することができる。
【0048】
一方、テーブルとして使用しない非使用時には、板状部材4を袋3内から取り外し、テーブル部材2から延長部材本体7,7,7,7を取り外し、
図11に示すように、懸垂部材本体6,6,6,6を直接グラブレール52,52,52,52に掛装し、テーブル部材2を天井51に近い位置に収納する。この状態で、或いは天井51に近い位置に収納する前に、袋3の内部に収納物を入れ、開口部17を閉め、車両であれば収納物を収納した状態で走行することができる。尚、
図11中、白抜き矢印Yは車両の前方を示している。
【0049】
また、板状部材4を袋3に入れた状態で、テーブル部材2を天井51に近い位置に収納することにより邪魔になることがない。この場合、載置物が安定したものであれば、滑り止め効果を有する上網体11の上に載置することもできる。また、上,下網体11,12は可撓性を有するから、袋3内に板状部材4を挿入した状態で、袋3内に収納物を入れることもできる。
【0050】
このように本実施例では、請求項1に対応して、テーブル部材2の角部から上方に伸びる紐状の懸垂部材5により吊り下げられる吊り下げテーブル1において、
テーブル部材2は、伸縮性を有する袋3の内部に、保形性を有する板状部材4を挿入してなり、板状部材4を挿脱自在に設けることにより、板状部材4を袋3の内部に挿入しない状態では吊り下げた物入れとして使用可能とし、また、請求項3に対応して、テーブル部材2は袋3の内部に板状部材4を挿脱自在に設けてなるから、板状部材4を挿入した状態では吊り下げテーブル1として使用することができ、板状部材4を挿入しない状態では吊り下げた物入れとして使用することができる。
【0051】
また、このように本実施例では、請求項
4に対応して、懸垂部材5は、角部に連結した懸垂部材本体6と、この懸垂部材本体6に着脱可能に接続する延長部材本体7とを備えるから、非使用時にはテーブル部材2の吊り下げ高さを高くし、邪魔にならない上方に収納することができ、使用時には延長部材本体7によりテーブル部材2の吊り下げ高さを低くして座席位置に近いテーブルとして使用することができる。
【0052】
さらに、このように本実施例では、請求項
2及び3に対応して、袋3が上面に網体たる上網体11を備え、上網体11の凹凸がテーブル部材2の上面に現れるため、テーブル部材2の上面が滑り止め構造となる。
【0053】
しかも、このように本実施例では、請求項
5に対応して、車室内の天井51の付近に設けられた接続受け部たるグラブレール52に懸垂部材5を接続するから、車室内のグラブレール52を利用してテーブル部材2を吊り下げて使用することができる。
【0054】
また、このように本実施例では、請求項
6に対応して、接続受け部がグラブレール52であり、このグラブレール52に懸垂部材5を挿通するから、車室内のグラブレール52に懸垂部材5の延長バンド47を挿通して連結することによりテーブル部材2を吊り下げて使用することができる。
【0055】
また、実施例上の効果として、懸垂部材本体6と延長部材本体7の雄型連結具33及び雌型連結具34が同一であるから、懸垂部材本体6の雄型連結具33と延長部材本体7の雌型連結具34とを連結したり、懸垂部材本体6の雌型連結具34と延長部材本体7の雄型連結具33とを連結したりすることができる。また、懸垂部材本体6と延長部材本体7はそれぞれ雄型,雌型連結具33,34を備えるから、懸垂部材本体6と延長部材本体7をそれぞれ輪状にして連結作業を容易に行うことができる。さらに、袋3の開口部17には開閉手段であるスライドファスナー21を設けたから、開口部17をスライドファスナー21により閉めることにより、内部に板状部材4を安定して収納することできる。また、上開口縁帯15Uの外縁と下開口縁帯15Sの内縁との間に前記袋3の開口部17を設けることにより、袋3の上部に開口部17が位置するため、板状部材4などの出し入れが容易となる。
【実施例4】
【0067】
図14は、本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例は接続受け部の変形例を示す。同図のように車両の天井51の左右には接続受け部たるルーフインサイドレール55が設けられ、このルーフインサイドレール55は、車両の前後方向に長い棒状のレール本体56と、車両の前後方向に間隔を置いて複数設けられ前記レール本体56を天井51に固定する棒状の固定部57,57とからなり、この固定部57は車両側方から車両中央側に向かって僅かに低くなるように配置されている。
【0068】
尚、ルーフインサイドレール55は車室内においてハンガーなどの吊り下げ物を吊り下げる被吊り下げ部である。また、前記グラブレール52,フック53及びルーフインサイドレール55はテーブル部材2を吊設する以外に、他の用途に用いるために車両に装備されているものである。
【0069】
そして、
図14に示すように、固定部57の外周に巻き付けるようにして懸垂部材本体6を直接掛装し、テーブル部材2を天井51に近い位置に収納することができる。この場合、固定部57,57の間隔はテーブル部材2の前後寸法に略対応している。
【0070】
一方、袋3に板状部材4を挿入し、懸垂部材本体6に延長部材本体7を接続し、この延長部材本体7を固定部57に通して掛装することにより、実施例1と同様にテーブルとして使用することができる。
【0071】
このように本実施例では上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。また、この例のように、ルーフインサイドレール55などの被吊り下げ部に懸垂部材5を接続することができる。
【0072】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、テーブル部材の形状は長方形に限らず、各種の形状のものを用いることができる。また、実施例では、袋の上面と下面に網体を用いたが、上面のみに網体を用いてもよい。さらに、網体は実施例の亀甲形に限定されず、各種の網目形状のものを用いることができる。また、開閉手段は実施例のスライドファスナーに限定されず、面ファスナーやホックなどでもよい。さらに、実施例では縁帯やバンドの固定などに縫着を用いたが、各種の固定手段を用いてもよい。また、請求項1〜
4においては、車両以外の室内やテント内などにおいて用いることができる。さらに、袋は上下を逆にして使用してよく、この場合は使用時に上になる面に網体を設けることが好ましい。さらに、板状部材は木材を主とする合板以外でも合成樹脂製などでもよく、各種材質のものを用いることができる。