(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロフィバスマスタ状態マシンは、前記仮想ネットワーク設定情報格納部に格納された仮想ネットワーク設定情報に基づいて前記複数のスレーブ装置に診断メッセージを送信して応答メッセージを受信し、前記応答メッセージを送信した複数のスレーブ装置に設定情報の要求メッセージを送信して設定情報を受信することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプロフィバスDPのマスタ装置。
【背景技術】
【0002】
プロフィバス(Process Field Bus)は、国際標準IEC61158の産業用通信プロトコルの一つであり、製造、工程制御、及びビルオートメーションなどを始めとする様々な分野においてフィールド機器間のリアルタイム通信に用いられる。
【0003】
このようなプロフィバスは、適用分野に応じて、プロフィバスFMS(Field Message Specification)、プロフィバスDP(Decentralized Periphery)、及びプロフィバスバスPA(Process Automation)などに区分することができる。
【0004】
これらのプロフィバスの中で、工場の自動化には、プロフィバスDPが最も広く用いられている。
【0005】
プロフィバスDPネットワークは、マスタ装置と、データの入出力を担う複数のスレーブ装置とから構成され、上記マスタ装置と上記複数のスレーブ装置との間の通信は、プロフィバスDPのマスタ装置に格納されたネットワークの設定(network configuration)情報を用いて行われる。
【0006】
上記ネットワーク設定情報は、プロフィバスDPのマスタ装置と通信する複数のスレーブ装置の通信速度の情報及び入出力データの情報などを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、プロフィバスで接続された複数のスレーブ装置と通信を行って、自動的にネットワークを設定するプロフィバスDPのマスタ装置を提供する。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記で言及した技術的課題に限定されず、言及されていない別の技術的課題は、以下の記載から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプロフィバスDPのマスタ装置は、複数のスレーブ装置と通信を行うプロフィバス通信モジュールと、仮想ネットワーク設定情報があらかじめ格納される仮想ネットワーク設定情報格納部と、仮想ネットワーク設定情報格納部に格納されたネットワーク設定情報に基づいて、プロフィバス通信モジュールを介して複数のスレーブ装置と通信を行ってネットワーク設定情報を取得し、取得したネットワーク設定情報をネットワーク設定情報格納部に格納し、ネットワーク設定情報格納部に格納されたネットワーク設定情報に基づいて複数のスレーブ装置と通信を行うプロフィバスマスタ状態マシンと、を有する。
【0010】
また、本発明のプロフィバスDPのマスタ装置は、プロフィバスマスタ状態マシンに複数のスレーブ装置のネットワーク設定情報を要求し、要求した複数のスレーブ装置のネットワーク設定情報を収集するスレーブ情報収集器をさらに有し、プロフィバスマスタ状態マシンは、スレーブ情報収集器から情報収集の要求がある場合、複数のスレーブ装置と通信を行ってネットワーク設定情報を取得し、取得したネットワーク設定情報をスレーブ情報収集器に提供してスレーブ情報収集器が取得したネットワーク設定情報を収集するようにし、スレーブ情報収集器が収集したネットワーク設定情報をネットワーク設定情報格納部に格納することができる。
【0011】
スレーブ情報収集器は、ネットワーク設定情報格納部にネットワーク設定情報が格納されているか否かを判断し、ネットワーク設定情報格納部にネットワーク設定情報が格納されていない場合、プロフィバスマスタ状態マシンに複数のスレーブ装置のネットワーク設定情報を要求することができる。
【0012】
また、本発明のプロフィバスDPのマスタ装置は、設定ツールと通信を行う設定ツール通信モジュールをさらに有し、スレーブ情報収集器は、設定ツール通信モジュールを介してネットワークの自動設定命令が入力された場合、プロフィバスマスタ状態マシンに複数のスレーブ装置のネットワーク設定情報を要求することができる。
【0013】
プロフィバスマスタ状態マシンは、仮想ネットワーク設定情報格納部に格納された仮想ネットワーク設定情報に基づいて複数のスレーブ装置に診断メッセージを送信して応答メッセージを受信し、応答メッセージに関連する複数のスレーブ装置に設定情報の要求メッセージを送信してネットワーク設定情報を受信することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプロフィバスDPのマスタ装置は、複数のスレーブ装置と通信を行って複数のスレーブ装置の情報を収集し、収集した情報を用いてネットワークを構成する。
【0015】
そのため、ユーザの利便性を向上させることができ、危険な場所に設置されたスレーブ装置を確認する必要がないことから、ユーザの安全を確保することができる。
【0016】
また、設置されたネットワークの構成を自動的に確認することができることから、設置されていないスレーブ装置を確認することができ、メンテナンスに非常に有利になるなどの効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明を限定しない実施形態を通じて本発明についてさらに詳細に説明し、一部の図面において同じ要素には同一の符号を付する。
【0019】
以下の詳細な説明は例示に過ぎず、本発明の実施形態を示したものに過ぎない。また、本発明の原理と概念は、最も有用で、かつ簡単に説明する目的で提供される。
【0020】
したがって、本発明の基本的な理解のために必要とされる以上の詳細な構造を提供しておらず、通常の知識を有する者が、本発明の実施形態で実施することができる様々な形態を図面を通じて例示する。
【0021】
図1は、従来のネットワーク設定のコンセプトを説明するための図である。ここで、符号100は、マスタ装置であり、符号110は、複数のスレーブ装置である。マスタ装置100と複数のスレーブ装置110とは、プロフィバス120で接続され、相互に所定のデータを送信できるように構成されている。
【0022】
符号130は、設定ツールである。設定ツール130は、マスタ装置100のネットワークの設定動作を行う。
【0023】
図2は、従来のマスタ装置の構成を示すブロック図である。
図2を参照すると、マスタ装置100は、設定ツール通信モジュール200と、ネットワーク設定情報格納部210と、プロフィバスマスタ状態マシン220と、プロフィバス通信モジュール230と、を有する。
【0024】
設定ツール通信モジュール200は、設定ツール130と通信を行い、ネットワーク設定情報を受信する。
【0025】
ネットワーク設定情報格納部210は、設定ツール通信モジュール200が受信したネットワーク設定情報を格納する。
【0026】
プロフィバスマスタ状態マシン220は、ネットワーク設定情報格納部210に格納されたネットワーク設定情報を用いて、複数のスレーブ装置110とプロフィバス120を介して相互に通信を行う。
【0027】
プロフィバス通信モジュール230は、プロフィバス120に接続され、プロフィバスマスタ状態マシン220と複数のスレーブ装置110が送信するデータをインタフェースする。
【0028】
図3は、従来のネットワーク設定動作のシーケンスを示す図である。
図3を参照すると、プロフィバスDPのネットワークを設定するために、ユーザ10は、まず、複数のスレーブ装置110のネットワーク設定情報を確認する(S300)。例えば、複数のスレーブ装置110のアドレス、通信速度の情報、及び入出力データの情報などを有するネットワーク設定情報を確認する。
【0029】
このとき、場合によっては、ユーザ10が直接複数のスレーブ装置110の設置場所に移動してネットワーク設定情報を確認することもできる。
【0030】
そして、ユーザ10は、設定ツール130に上記ネットワーク設定情報を入力し(S302)、上記ネットワーク設定情報の入力が完了した場合、入力したネットワーク設定情報の適用を要求する(S304)。
【0031】
すると、設定ツール130は、マスタ装置100にネットワーク設定情報を送信して適用する(S306)。
【0032】
設定ツール130が送信するネットワーク設定情報は、マスタ装置100の設定ツール通信モジュール200が受信して、ネットワーク設定情報格納部210に格納する。
【0033】
このような状態で、ユーザ10は、設定ツール130にネットワーク通信の開始を要求する(S308)。
【0034】
すると、設定ツール130は、マスタ装置100に通信開始の適用を要求し(S310)、上記通信開始の適用の要求に応じて、マスタ装置100は、複数のスレーブ装置110と、上記ネットワーク設定情報に基づいてプロフィバス120を介して通信を行う(S312)。
【0035】
つまり、上記通信開始の適用要求信号は、マスタ装置100の設定ツール通信モジュール200が受信し、プロフィバスマスタ状態マシン220に提供する。
【0036】
プロフィバスマスタ状態マシン220は、上記通信開始の適用要求信号に応じて、ネットワーク設定情報格納部210に格納されたネットワーク設定情報を確認し、確認したネットワーク設定情報に基づいて、プロフィバス通信モジュール230及びプロフィバス120を介して複数のスレーブ装置110と通信を行う。
【0037】
このような従来のネットワーク設定は、ユーザが複数のスレーブ装置のそれぞれに関するネットワーク設定情報をあらかじめ確認し、設定ツールを通じて、複数のスレーブ装置のそれぞれに関するネットワーク設定情報を入力した。
【0038】
そのため、ユーザは、複数のスレーブ装置のそれぞれに関するネットワーク設定情報をあらかじめ確認しなければならないという煩わしさがある。
【0039】
そして、複数のスレーブ装置のそれぞれが設置されている場所に直接行く場合があることから、危険な場所に設置されているスレーブ装置のネットワーク設定情報を確認しなければならない場合、ユーザが危険にさらされることがある。
【0040】
また、確認された複数のスレーブ装置のネットワーク設定情報を直接設定ツールに入力する必要があるため、ネットワーク設定情報を入力する過程で、誤って入力してエラーが発生する可能性があるという問題がある。
【0041】
図4は、本発明のマスタ装置の構成を示すブロック図である。
図4を参照すると、本発明のマスタ装置100は、設定ツール通信モジュール400と、ネットワーク設定情報格納部410と、仮想ネットワーク設定情報格納部420と、スレーブ情報収集器430と、プロフィバスマスタ状態マシン440と、プロフィバス通信モジュール450とを有する。
【0042】
設定ツール通信モジュール400は、設定ツールと通信を行い、ネットワークの自動設定命令を受信する。
【0043】
ネットワーク設定情報格納部410は、複数のスレーブ装置と通信を行うことができるようにするためのネットワーク設定情報を格納する。
【0044】
仮想ネットワーク設定情報格納部420には、ネットワーク設定情報格納部410にネットワーク設定情報が格納されていない場合、複数のスレーブ装置と通信を行うことができるようにするための仮想ネットワーク設定情報があらかじめ格納される。
【0045】
スレーブ情報収集器430は、ネットワーク設定情報格納部410にネットワーク設定情報が格納されていなかったり、または、ネットワークの自動設定命令が入力された場合、複数のスレーブ装置から上記ネットワーク設定情報を生成する情報を収集する。
【0046】
プロフィバスマスタ状態マシン440は、スレーブ情報収集器430が複数のスレーブ装置の情報収集を要求する場合、仮想ネットワーク設定情報格納部420に格納された仮想ネットワーク設定情報に基づいて複数のスレーブ装置と通信を行って複数のスレーブ装置の情報を受信し、受信した複数のスレーブ装置の情報をスレーブ情報収集器430が収集できるようにし、スレーブ情報収集器430が収集した情報をネットワーク設定情報としてネットワーク設定情報格納部410に格納する。また、プロフィバスマスタ状態マシン440は、ネットワーク設定情報格納部410に格納されたネットワーク設定情報を適用して、上記複数のスレーブ装置と通信を行う。
【0047】
プロフィバス通信モジュール450は、プロフィバスと接続され、プロフィバスマスタ状態マシン440の制御に応じて、上記プロフィバスを介して上記複数のスレーブ装置と通信を行いながら、所定の情報をインタフェースする。
【0048】
このように構成された本発明のマスタ装置は、電源が投入された状態で、スレーブ情報収集器430がネットワーク設定情報格納部410にネットワーク設定情報が格納されているか否かを判断する。
【0049】
また、スレーブ情報収集器430は、設定ツールから設定ツール通信モジュール400を介してネットワークの自動設定命令が入力されたか否かを判断する。
【0050】
ネットワーク設定情報格納部410にネットワーク設定情報が格納されていなかったり、または、ネットワークの自動設定命令が入力された場合、スレーブ情報収集器430は、プロフィバスマスタ状態マシン440に複数のスレーブ装置の情報収集を要求する。
【0051】
プロフィバスマスタ状態マシン440は、複数のスレーブ装置の情報収集要求に応じて、仮想ネットワーク設定情報格納部420に格納されている仮想ネットワーク設定情報を用いて複数のスレーブ装置と通信を行い、複数のスレーブ装置の設定情報を受信し、受信した情報をスレーブ情報収集器430が収集する。
【0052】
ここで、スレーブ情報収集器430が、複数のスレーブ装置の設定情報を収集する動作について、より詳細に説明する。
【0053】
まず、プロフィバスマスタ状態マシン440は、プロフィバスに接続された複数のスレーブ装置を検索するのに、診断メッセージを生成し、プロフィバス通信モジュール450を介して複数のスレーブ装置に送信する。
【0054】
上記複数のスレーブ装置は、上記診断メッセージが受信された場合、応答メッセージを生成して送信し、プロフィバスマスタ状態マシン440は、プロフィバス通信モジュール450を介して応答メッセージを受信し、受信した応答メッセージをスレーブ情報収集器430が収集する。
【0055】
そして、プロフィバスマスタ状態マシン440は、設定情報の要求メッセージを生成し、生成した設定情報の要求メッセージをプロフィバス通信モジュール450を介して、スレーブ情報収集器430が収集した応答メッセージに関連する複数のスレーブ装置に送信する。
【0056】
上記設定情報の要求メッセージを受信した複数のスレーブ装置は、自動的にネットワークを設定することができる設定情報を送信し、送信した複数のスレーブ装置の設定情報を、プロフィバスマスタ状態マシン440がプロフィバス通信モジュール450を介して受信し、受信したネットワーク設定情報をスレーブ情報収集器430が収集する。
【0057】
このようにして、スレーブ情報収集器430が、複数のスレーブ装置の設定情報を収集した状態で、プロフィバスマスタ状態マシン440は、マスタ装置としてのネットワーク通信を設定するために、スレーブ情報収集器430が収集した設定情報をネットワーク設定格納部410にネットワーク設定情報として格納する。
【0058】
このように、ネットワーク設定格納部410にネットワーク設定情報が格納された状態で、プロフィバスマスタ状態マシン440は、ネットワークが形成された複数のスレーブ装置と通信を行う必要がある場合、ネットワーク設定格納部410に格納されたネットワーク設定情報を適用して、プロフィバス通信モジュール450を介して複数のスレーブ装置と通信を行う。
【0059】
以上、代表的な実施形態を挙げて本発明について詳細に説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、上述した実施形態に対して本発明の範疇から逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることを理解することができる。
【0060】
したがって、本発明の権利範囲は、説明した実施形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものにより定められなければならない。