(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無機粒子が炭酸カルシウム、アルミナ、チタニア、硫酸バリウム、マイカ及びベーマイトからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1または請求項2に記載の積層多孔質膜。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に用いるポリオレフィン多孔質膜は、特定のポリオレフィン樹脂溶液を調整し、押出機からT型ダイを経由して押し出されたポリオレフィン樹脂溶液の冷却速度を高度に制御することで得られる表面に適度な形状と数の突起を有するポリオレフィン多孔質膜である。さらに、無機粒子及び引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーを含む改質多孔層を該ポリオレフィン多孔質膜に積層した場合において、ポリオレフィン多孔質膜と改質多孔層との間で極めて優れた剥離強度を得ることができる。
【0022】
本発明でいう突起とは、ポリオレフィン多孔質膜に、例えば無機粒子等を添加して得られる突起とは本質的に異なる。ポリオレフィン多孔質膜に無機粒子を添加して得られる突起は通常、極めて高さが小さいものであり、同手段で高さ0.5μm以上の突起を形成しようとすればポリオレフィン多孔質膜の厚さと同等かそれ以上の粒径を有する粒子の添加が必要となる。しかし、このような粒子を添加するとポリオレフィン多孔質膜の強度が低下してしまい現実的ではない。
【0023】
本発明でいう突起とは、ポリオレフィン多孔質膜の一部を適度な形状の隆起に成長させたものであり、ポリオレフィン多孔質膜の基本的な特性を低下させるものではない。
【0024】
また、本発明でいう不規則に点在するとは、ポリオレフィン多孔質膜の製造に際して、延伸工程の前、あるいは後にエンボス加工ロールを通過させて得られる規則性、あるいは周期性のある配置とは明確に異なる。エンボス加工等のプレス加工は基本的に突起以外の部分を圧縮することによって突起を形成するものであり、透気抵抗度、電解液浸透性の低下を生じやすいため好ましくない。
【0025】
本発明でいう適度な形状の突起とは、大きさ5μm以上、50μm以下、高さ0.5μm以上の突起を意味する。すなわち、5μm≦W≦50μm(Wは突起の大きさ)、且つ0.5μm≦H(Hは突起の高さ)である。このような突起は多孔質膜に改質多孔層を積層した際、アンカーとして機能し、その結果、前記0°剥離強度の大きい積層多孔質膜が得られる。一方、高さの上限は特に限定されないが、3.0μmもあれば十分である。十分な高さの突起が数多くあるほど前述の0°剥離強度は高くなる傾向にある。すなわち、0°剥離強度は高さ0.5μm以上の突起の数とその平均高さに影響される。突起の数の下限は3個/cm
2が好ましく、より好ましくは5個/cm
2、さらに好ましくは10個/cm
2である。突起の数の上限は200個/cm
2が好ましく、より好ましくは150個/cm
2である。突起の高さの下限は0.5μmが好ましく、より好ましくは0.8μm、さらに好ましくは1.0μmである。
なお、本発明における突起の大きさ及び高さは、後述する測定方法で測定した値をいう。
【0026】
本発明でいう透気抵抗度の上昇幅とは、ポリオレフィン多孔質膜の透気抵抗度と改質多孔層が積層された積層多孔質膜との透気抵抗度の差を意味し、100秒/100ccAir以下が好ましい。
【0027】
本発明のポリオレフィン多孔質膜と改質多孔層とを有する積層多孔質膜及び電池用セパレータとして用いる前記積層多孔質膜について概要を説明するが、当然この代表例に限定されるものではない。
【0028】
1.ポリオレフィン多孔質膜
まず、本発明のポリオレフィン多孔質膜について説明する。
本発明のポリオレフィン多孔質膜の厚さは、25μm以下が好ましく、より好ましい上限は20μm、さらに好ましくは16μmである。下限は7μm、好ましくは9μmである。ポリオレフィン多孔質膜の厚さが上記好ましい範囲であると、実用的な膜強度と孔閉塞機能を保有させることが出来き、電池ケースの単位容積当たりの面積が制約されず、今後、進むであろう電池の高容量化には適する。
【0029】
ポリオレフィン多孔質膜の透気抵抗度の上限は、300sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは200sec/100ccAir、さらに好ましくは150sec/100ccAirであり、下限は50sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは70sec/100ccAir、さらに好ましくは100sec/100ccAirである。
【0030】
ポリオレフィン多孔質膜の空孔率は、上限は70%が好ましく、より好ましくは60%、さらに好ましくは55%である。下限は好ましくは30%が好ましく、より好ましくは35%、さらに好ましくは40%である。透気抵抗度および空孔率が上記好ましい範囲であると、十分な電池の充放電特性、特にイオン透過性(充放電作動電圧)および電池の寿命(電解液の保持量と密接に関係する)において十分であり、電池としての機能を十分に発揮することができ、十分な機械的強度と絶縁性が得られることで充放電時に短絡が起こる可能性が低くなる。
【0031】
ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径については、孔閉塞性能に大きく影響を与えるため、0.01〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μmである。ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径が上記好ましい範囲であると、機能性樹脂のアンカー効果により十分な改質多孔層の前記0°の剥離強度が得られ、改質多孔層を積層した際に透気抵抗度が大幅に悪化せず、かつ、孔閉塞現象の温度に対する応答が緩慢になることもなく、昇温速度による孔閉塞温度がより高温側にシフトすることもない。
【0032】
ポリオレフィン多孔質膜は、充放電反応の異常時に孔が閉塞する機能を有することが必要である。従って、構成する樹脂の融点(軟化点)は、70〜150℃、より好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは100〜130℃である。構成する樹脂の融点が上記好ましい範囲であると、正常使用時に孔閉塞機能が発現してしまって電池が使用不可になることがなく、また、異常反応時に孔閉塞機能が発現することで安全性を確保できる。
【0033】
ポリオレフィン多孔質膜を構成するポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンが好ましい。また、単一物又は2種以上の異なるポリオレフィン樹脂の混合物、例えばポリエチレンとポリプロピレンの混合物であってもよいし、異なるオレフィンの共重合体でもよい。電気絶縁性、イオン透過性などの基本特性に加え、電池異常昇温時において電流を遮断し、過度の昇温を抑制する孔閉塞効果を具備しているからである。なかでもポリエチレンが優れた孔閉塞性能の観点から特に好ましい。
【0034】
以下、本発明で用いるポリオレフィン樹脂としてポリエチレンを例に詳述する。
ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンなどが挙げられる。また重合触媒にも特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒などが挙げられる。これらのポリエチレンはエチレンの単独重合体のみならず、他のα‐オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。エチレン以外のα‐オレフィンとしてはプロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐オクテン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル、スチレン等が好適である。
【0035】
ポリエチレンは単一物でもよいが、2種以上のポリエチレンからなる混合物であることが好ましい。ポリエチレン混合物としては、重量平均分子量(Mw)の異なる2種類以上の超高分子量ポリエチレンを含む混合物を用いてもよいし、同様に高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンの混合物を用いてもよい。また、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた2種以上ポリエチレンの混合物を用いてもよい。
【0036】
ポリエチレン混合物としては、重量平均分子量(Mw)が5×10
5以上の超高分子量ポリエチレンとMwが1×10
4以上〜5×10
5未満のポリエチレンからなる混合物が好ましい。超高分子量ポリエチレンのMwは5×10
5〜1×10
7であることが好ましく、1×10
6〜15×10
6であることがより好ましく、1×10
6〜5×10
6であることがさらに好ましい。Mwが1×10
4以上〜5×10
5未満のポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれも使用することが出来るが、特に高密度ポリエチレンを使用することが好ましい。Mwが1×10
4以上〜5×10
5未満のポリエチレンとしてはMwが異なるものを2種以上使用してもよいし、密度の異なるものを2種以上使用してもよい。ポリエチレン混合物のMwの上限を15×10
6以下にすることにより、溶融押出を容易にすることが出来る。
【0037】
本発明においては超高分子量ポリエチレンの含有量の上限は、40重量%が好ましく、より好ましくは30重量%、さらに好ましくは10重量%であり、下限は1重量%が好ましく、より好ましくは2重量%、さらに好ましくは5重量%である。
【0038】
超高分子量ポリエチレンの含有量が好ましい範囲内であると、十分な高さの突起が得られる。この突起によって改質多孔層を積層した場合に突起がアンカーとして機能し、ポリエチレン多孔質膜の面方向に平行に加わる力に対し極めて強い剥離耐性を得ることができる。また、ポリエチレン多孔質膜の厚さを薄膜化させた場合であっても、十分な引っ張り強度が得られる。引っ張り強度は100MPa以上が好ましい。上限は特に定めない。
【0039】
ポリエチレン樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比分子量分布(Mw/Mn)は5〜200の範囲内であることが好ましく、10〜100の範囲内であることがより好ましい。Mw/Mnの範囲が上記好ましい範囲であると、ポリエチレン樹脂溶液の押出しが容易であり、また十分な数の突起が得られる。さらに、ポリエチレン多孔質膜の厚さを薄膜化させた場合、十分な機械的強度が得られる。Mw/Mnは分子量分布の尺度として用いられるものであり、すなわち単一物からなるポリエチレンの場合、この値が大きい程分子量分布の幅が大きい。単一物からなるポリエチレンのMw/Mnはポリエチレンの多段重合により適宜調整することができる。またポリエチレンの混合物のMw/Mnは各成分の分子量や混合割合を調整することにより適宜調整することができる。
【0040】
前記ポリエチレン多孔質膜は単層膜であってもよいし、分子量あるいは平均細孔径の異なる二層以上からなる層構成であってもよい。二層以上からなる層構成の場合、少なくとも一つの最外層のポリエチレン樹脂の分子量、および分子量分布が前記を満足することが好ましい。ポリエチレン多孔質膜は、上記の各種特徴を満足する範囲内ならば、目的に応じた製造方法を自由に選択することができる。
【0041】
2.ポリオレフィン多孔質膜の製造方法
ポリオレフィン多孔質膜の製造方法としては、発泡法、相分離法、溶解再結晶法、延伸開孔法、粉末焼結法などがあり、これらの中では微細孔の均一化、コストの点で相分離法が好ましい。
【0042】
相分離法による製造方法としては、例えばポリエチレンと成形用溶剤とを加熱溶融混練し、得られた溶融混合物をT型ダイより押出し、冷却することによりゲル状成形物を形成し、得られたゲル状成形物に対して少なくとも一軸方向に延伸を実施し、前記成形用溶剤を除去することによって多孔質膜を得る方法などが挙げられる。
【0043】
二層以上からなる多層膜の製造方法としては、例えばa層及びb層を構成するポリエチレンのそれぞれを成形用溶剤と溶融混練し、得られた溶融混合物をそれぞれの押出機から1つのT型ダイに供給し各成分を構成するゲルシートを一体化させて共押出する方法、各層を構成するゲルシートを重ね合わせて熱融着する方法のいずれでも作製できる。共押出法の方が、高い層間接着強度を得やすく、層間に連通孔を形成しやすいために高い透過性を維持しやすく、生産性にも優れているためにより好ましい。
【0044】
本発明に用いるポリオレフィン多孔質膜の製造方法について詳述する。
本発明に用いるポリオレフィン多孔質膜の製造方法は以下の(a)〜(e)の工程を含むものである。
(a)ポリオレフィン樹脂に成形用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液を調製する工程
(b)前記ポリエチレン溶液をT型ダイより押出し、フィルム状に押し出されたポリオレフィン樹脂溶液の両面に配置された成形用溶剤が除去された表面を有する冷却ロールにて冷却し、ゲル状成形物を形成する工程
(c)前記ゲル状成形物を機械方向(MD)および幅方向(TD)に延伸し、延伸成形物を得る工程
(d)前記延伸成形物から前記成形用溶剤を除去し、乾燥し、多孔質成形物を得る工程
(e)前記多孔質成形物を熱処理し、ポリオレフィン多孔質膜を得る工程。
更に(a)〜(e)の工程の後、必要に応じてコロナ処理工程等を設けてもよい。
【0045】
各工程について、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン樹脂を使用した例で以下に説明する。
(a)ポリエチレン樹脂溶液を調製する工程
ポリエチレン樹脂に成形用溶剤を添加した後、溶融混練して、ポリエチレン樹脂溶液を調製する。
成形用溶剤としては、ポリエチレンを十分に溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィンなどの脂肪族または環式の炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分などがあげられるが、溶剤含有量が安定なゲル状成形物を得るためには流動パラフィンのような不揮発性の溶剤が好ましい。加熱溶解は、ポリエチレン組成物が完全に溶解する温度で攪拌または押出機中で均一混合して溶解する方法で行う。その温度は、押出機中又は溶媒中で攪拌しながら溶解する場合は使用する重合体及び溶媒により異なるが、例えば140〜250℃の範囲が好ましい。
【0046】
ポリエチレン樹脂の濃度は、ポリエチレン樹脂と成形用溶剤の合計を100重量部として、25〜40重量部であり、好ましくは28〜35重量部である。ポリエチレン樹脂の濃度が上記の好ましい範囲であると、突起を形成するための結晶核の数が十分形成され、十分な数の突起が形成される。また、ポリエチレン樹脂溶液を押し出す際のT型ダイ出口でスウェルやネックインを抑え、押出し成形体の成形性及び自己支持性が維持される。
【0047】
溶融混練の方法としては、特に限定されないが、通常は押出機中で均一に混練することにより行う。この方法は、前述のようなポリエチレンの高濃度溶液を調製するのに適する。溶融温度はポリエチレンの融点+10℃〜+100℃の範囲内であるのが好ましい。一般的に溶融温度は160〜230℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは170〜200℃の範囲内である。ここで融点とは、JIS K7121に基づいて示差走査熱量測定(DSC)により求められる値をいう。成形用溶剤は混練開始前に添加しても、混練中に押出機の途中から添加しさらに溶融混練してもよいが、混練開始前に添加して予め溶液化するのが好ましい。溶融混練にあたってはポリエチレンの酸化を防止するために酸化防止剤を添加するのが好ましい。
【0048】
(b)ゲル状成形物を形成する工程
溶融混練したポリエチレン樹脂溶液をT型ダイより押出し、成形用溶剤の除去手段により、成形用溶剤を除去した表面を有する冷却ロールにて冷却して、ゲル状成形物を形成する。T型ダイからの押出しは、溶融混練したポリエチレン樹脂溶液を押出機から直接的に又は別の押出機を介して行う。T型ダイとしては、通常は長方形の口金形状をしたシート用T型ダイを用いる。
【0049】
次に、冷媒で表面温度20℃から40℃に設定した回転する一対の冷却ロールに、T型ダイからフィルム状に押し出されたポリエチレン樹脂溶液の両面を接触させることでゲル状成形物を形成する。押出されたポリエチレン樹脂溶液は25℃以下まで冷却するのが好ましい。
【0050】
本発明において、実質的に結晶化が行われる温度域での冷却速度を制御することが突起形成に重要となる。
本発明でいう突起が形成されるメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。溶融したポリエチレン樹脂と成形用溶剤との樹脂溶液がT型ダイから押し出されると同時にポリエチレンの結晶化が開始され、冷却ロールに接触し急冷されることで結晶化速度は増大する。この時、結晶核を有する対称構造の球晶が形成される(
図2)。冷却ロール表面と前記溶融したポリエチレン樹脂間の熱伝達速度が比較的小さい場合は結晶化速度は小さく、その結果、比較的小さい結晶核を有する球晶となる。熱伝達速度が大きい場合は比較的大きい結晶核を有する球晶となる。これら球晶の結晶核は後工程であるTD(幅方向)及び/又はMD(機械方向)延伸時に突起となる。また、球晶はポリエチレン多孔質膜表面にリング状痕となって現れる(
図3)。
【0051】
本発明では、例えば、ポリエチレン樹脂溶液の表面が実質的に結晶化される温度域での冷却速度が10℃/秒以上で、押し出されたポリエチレン樹脂溶液を冷却し、ゲル状成形物を得る。冷却速度は、20℃/秒以上が好ましく、より好ましくは30℃/秒以上、さらに好ましくは50℃/秒以上である。このような冷却を行うことによりポリエチレン相が溶剤によりミクロ相分離された構造を固定化し、冷却ロールと接していたゲル状成形物の表面に比較的大きな核を有する球晶が形成され、延伸後に適度な形状の突起を形成することができる。冷却ロール上の冷却速度は、ポリオレフィン樹脂溶液の熱伝導度、厚み、成形用溶剤、冷却ロールと空気の熱伝達率によりシミュレーションすることによって推定できる。
【0052】
本発明において、冷却速度を制御するために、T型ダイから押出したポリエチレン樹脂溶液と接する部分の冷却ロール表面に付着している成形用溶剤を極力除去しておくことが重要である。すなわち、
図4に示すように、ポリエチレン樹脂溶液は回転する冷却ロールに巻きつくことにより冷却されゲル状成形物となるが、ゲル状成形物となって引き離された後の冷却ロール表面には成形用溶剤が付着しており、通常はそのままの状態で再びポリエチレン樹脂溶液と接触することになる。しかし、成形用溶剤が冷却ロール表面に多く付着しているとその断熱効果により、冷却速度が緩慢になり、突起が形成されにくくなる。そのため、冷却ロールが再びポリエチレン樹脂溶液と接触するまでに成形用溶剤を極力除去しておくことが重要となる。
【0053】
成形用溶剤を冷却ロールから除去する方法(成形用溶剤の除去手段ともいう)は特に限定されないが、冷却ロール上にドクターブレードをゲル状成形物の幅方向と平行になるようにあてて、ドクターブレードを通過した直後からゲル状成形物が接するまでの冷却ロール表面に成形用溶剤が視認できない程度に掻き落とす方法が好ましく採用される。あるいは圧縮空気で吹き飛ばす、吸引する、またはこれらの方法を組み合わせる等の手段で除去することもできる。なかでもドクターブレードを用いて掻き落とす方法は比較的容易に実施できるため好ましく、ドクターブレードは1枚より複数枚用いるのが成形用溶剤の除去効率を向上させる上でさらに好ましい。
【0054】
ドクターブレードの材質は成形用溶剤に耐性を有するものであれば特に限定されないが金属製より樹脂製、あるいはゴム製のものが好ましい。金属製の場合、冷却ロールをキズつけてしまう恐れがあるためである。樹脂製ドクターブレードとしてはポリエステル製、ポリアセタール製、ポリエチレン製などが挙げられる。
【0055】
冷却ロールの温度を20℃未満に設定しても、これだけでは成形用溶剤の断熱効果により、十分な冷却速度が得られないだけでなく、冷却ロールへの結露の付着によって、ゲル状成形物に表面荒れを引き起こす場合がある。
【0056】
冷却ロールはポリエチレン樹脂溶液の両面に配置する2つの冷却ロールであり、各ロールの直径は異なる方が好ましい。また、T型ダイのポリエチレン樹脂溶液の吐出口の設置位置の高さに対して、2つの冷却ロールの回転軸の設置位置の高さは異なる。直径が小さい冷却ロールの回転軸の設置位置の高さは、直径が大きい冷却ロールよりT型ダイのポリエチレン樹脂溶液の吐出口の配置位置に近い方が好ましい。これはT型ダイのポリエチレン樹脂溶液の吐出口の配置位置から直径の大きい冷却ロール上へのポリエチレン樹脂溶液の接地位置までの距離をできるだけ小さくするためである。例えば、
図4のような配置にすることによって、T型ダイから押出したポリエチレン樹脂溶液の実質的に結晶化が行われる温度域での冷却速度を10℃/秒以上にすることが可能となる。
【0057】
押出し時のポリエチレン樹脂溶液の厚みは、1500μm以下が好ましく、より好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは800μm以下である。押出し時のポリエチレン樹脂溶液の厚みが上記範囲内であると、冷却ロール側の面の冷却速度が緩慢にならず好ましい。
【0058】
(c)延伸成形物を得る工程
次に、このゲル状成形物を機械方向(MD)および幅方向(TD)に延伸し、延伸成形物とする。延伸は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロール法、もしくはこれらの方法の組み合わせによってMD及びTDの二方向に所定の倍率で行う。延伸は、MD及びTD同時延伸(同時二軸延伸)または逐次延伸のいずれでもよい。逐次延伸はMDとTDの順序は問わず、MD及びTDの少なくとも一方を多段で延伸してもよい。延伸温度は、ポリオレフィン組成物の融点+10℃以下である。延伸倍率は、原反の厚さによって異なるが面倍率で9倍以上が好ましく、より好ましくは16〜400倍である。MD及びTD同時延伸(同時二軸延伸)であれば、3×3、5×5及び7×7などのMD及びTD同倍率での延伸が好ましい。面倍率が上記好ましい範囲であると、延伸が十分であり高弾性、高強度の多孔質膜が得られる。また、延伸温度を調整することによって所望の透気抵抗度を得ることができる。
【0059】
(d)多孔質成形物を得る工程
延伸された延伸成形物を洗浄溶剤で処理して残留する成形用溶剤を除去し、多孔質膜を得る。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの易揮発性のものを用いることができる。これらの洗浄溶剤はポリエチレンの溶解に用いた成形用溶剤に応じて適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。洗浄方法は、洗浄溶剤に浸漬し抽出する方法、洗浄溶剤をシャワーする方法、洗浄溶剤を延伸成形物の反対側から吸引する方法、またはこれらの組合せによる方法などにより行うことができる。上述のような洗浄は、延伸成形物である延伸成形物中の残留溶剤が1重量%未満になるまで行う。その後、洗浄溶剤を乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は加熱乾燥、風乾などの方法で行うことができる。
【0060】
(e)ポリエチレン多孔質膜を得る工程
乾燥して得られた多孔質成形物を熱処理し、ポリエチレン多孔質膜を得る。熱処理は、テンター方式、ロール方式、圧延方式、フリー方式のいずれも採用できる。熱処理は、90〜150℃の温度範囲内で行うのが好ましい。熱処理温度が上記好ましい範囲であると、得られたポリオレフィン多孔質膜の熱収縮率低減および透気抵抗度が十分確保される。熱処理工程の滞留時間は、特に限定されることはないが、通常は1秒以上10分以下、好ましくは3秒から2分以下で行われる。
【0061】
さらに、熱処理工程では、熱収縮の観点から、機械方向(MD)、幅方向(TD)の両方向を固定しながら、MD、TDの少なくとも一方向に収縮させるのが好ましい。MD、TDの少なくとも一方向に収縮させる収縮率は、0.01〜50%が好ましく、より好ましくは3〜20%である。
なお、(a)〜(e)の工程の後、必要に応じてコロナ処理工程や親水化工程等の機能付与工程を設けてもよい。
【0062】
3.改質多孔層
次に、本発明に用いる改質多孔層について説明する。
本発明における積層多孔質膜は、上記ポリオレフィン多孔質膜の片面に改質多孔層A、反対面に改質多孔層Bを積層した積層多孔質膜である。
改質多孔層Aおよび改質多孔層Bは同じ多孔質層であってもよいし、異なっていてもよい。ただし、少なくとも改質多孔層Aには無機粒子と引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーとを含むことが重要である。改質多孔層Aのみ無機粒子と引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーとを含む場合はスリット工程や搬送工程などの後工程において、ロールやバーなどの接触によってより強く応力がかかる側に改質多孔層Aを積層するのが、本発明による効果が発揮されるため好ましい。
【0063】
本発明でいう改質多孔層とは、耐熱性、電極材料との密着性、電解液浸透性などの機能を少なくとも一つ付与、または向上させるものである。少なくとも改質多孔層Aには無機粒子と引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーとを含む。引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーを用いることによってポリオレフィン多孔質膜の表面に存在する突起と該バインダーの抗張力の相乗効果で前記0°剥離強度が極めて優れた積層多孔質膜が得られる。また、ポリオレフィン多孔質膜の透気抵抗度と比較して、本発明の積層多孔質膜は大幅に透気抵抗度が上昇しない。これはポリオレフィン多孔質膜の細孔内に多くのバインダーを浸透させなくとも十分な0°剥離強度が得られるためである。
【0064】
バインダーの引っ張り強度の下限は10N/mm
2が好ましく、より好ましくは20N/mm
2、さらに好ましくは30N/mm
2である。上限は特に定めないが100N/mm
2もあれば十分である。バインダーの引っ張り強度は後述する方法で測定した値をいう。
【0065】
本発明に用いる引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーとしては、引っ張り強度が5N/mm
2以上であれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。セルロースエーテル系樹脂としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、シアンエチルセルロース、オキシエチルセルロース等が挙げられ、アクリル系樹脂としては架橋型アクリル樹脂が好ましい。また、市販されている水溶液または水分散液を用いることもできる。市販されているものとしては、例えば、日新化成(株)製“POVACOAT”(登録商標)、東亜合成(株)製“ジュリマー”(登録商標)AT−510、ET−410、FC−60、SEK−301、大成ファインケミカル(株)製UW−223SX、UW−550CS、DIC(株)WE−301、EC−906EF、CG−8490などが挙げられる。なかでも、電極接着性を有し、非水電解液とも親和性が高く、しかも耐熱性が適切であり、比較的大きい引っ張り強度を有するポリビニルアルコール、アクリル系樹脂が好適である。
【0066】
改質多孔層Bに用いるバインダーとしては、改質多孔層Aと同じであってもよいが、異なっていてもよい。例えば、優れた耐熱性を付与させる場合はポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの耐熱性樹脂を用い、電極密着性を付与させる場合はポリフッ化ビニリデンやその誘導体などのフッ素系樹脂などを用いることができる。
【0067】
積層多孔質膜のカールを低減させるために、改質多孔層を形成するための塗布液に無機粒子を添加することが重要である。本明細書における塗布液とは、引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダー、無機粒子及び前記バインダーを溶解または分散しうる溶媒を含むものであり、改質多孔層を形成するために用いる。
【0068】
無機粒子の添加量の上限としては98重量%が好ましく、より好ましくは95重量%である。下限は80重量%が好ましく、より好ましくは85重量%である。無機粒子の添加量が上記好ましい範囲であるとカール低減効果が十分であり、改質多孔層の総体積に対して機能性樹脂の割合が最適であり、かつ、改質多孔層の十分な0°の剥離強度が得られる。
【0069】
無機粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ、ベーマイトなどが挙げられる。また、必要に応じて耐熱性架橋高分子粒子を添加してもよい。耐熱性架橋高分子粒子としては、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル系樹脂粒子、架橋メタクリル酸メチル系粒子などが挙げられる。
【0070】
無機粒子の形状は真球形状、略球形状、板状、針状、多面体形状が挙げられるが特に限定されない。
【0071】
これら無機粒子の平均粒径はポリオレフィン多孔質膜の平均細孔径の1.5倍以上、50倍以下であることが好ましい。より好ましくは2.0倍以上、20倍以下である。粒子の平均粒径が上記好ましい範囲であると、耐熱性樹脂と粒子が混在した状態でポリオレフィン多孔質膜の細孔を塞いでしまうことなく、結果として透気抵抗度を維持し、さらに電池組み立て工程において該粒子が脱落、電池の重大な欠陥を招くのを防ぐ。
【0072】
バインダーとは、少なくとも無機粒子同士を結合させる役割及びポリオレフィン多孔質膜と改質多孔層とを結合させる役割を有するものである。溶媒とは、例えば、水、アルコール類、アセトン又はn‐メチルピロリドンなどが挙げられる。塗布液に無機粒子を添加することによって、電池の内部における電極の樹枝状結晶の成長に起因する内部短絡の防止効果(デンドライト防止効果)、熱収縮率を低減、滑り性付与などの効果も得ることができる。
【0073】
塗布液の固形分濃度は、均一に塗布できれば特に制限されないが50重量%以上、98重量%以下が好ましく、80重量%以上、95重量%以下がより好ましい。塗布液の固形分濃度が上記好ましい範囲であると、改質多孔層が脆くなるのを防ぎ、改質多孔層の十分な0°の剥離強度が得られる。
【0074】
改質多孔層の膜厚は1〜5μmが好ましく、より好ましくは1〜4μm、さらに好ましくは1〜3μmである。改質多孔層の膜厚が上記好ましい範囲であると、改質多孔層を積層して得られた積層多孔質膜は融点以上で溶融・収縮した際の破膜強度と絶縁性を確保でき、また十分な孔閉塞機能が得られ異常反応を防ぐことができる。また、巻き嵩を抑制することができ電池の高容量化には適する。さらにカールを抑えることで電池組み立て工程での生産性の向上に繋がる。改質多孔層AおよびBの膜厚は同じであっても異なっていてもよいが、膜厚の差は0.5μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.3μm以下である。
【0075】
改質多孔層の空孔率は、電池特性の観点から30〜90%が好ましく、より好ましくは40〜70%である。所望の空孔率にするには、無機粒子の濃度、バインダー濃度などを適宜調整することにより得られる。
【0076】
改質多孔層を積層して得られた積層多孔質膜の膜厚の上限は25μmが好ましく、より好ましくは20μmである。下限は6μm以上が好ましく、より好ましくは7μm以上である。積層多孔質膜の膜厚が上記好ましい範囲であると、改質多孔層を積層して得られた積層多孔質膜は十分な機械強度と絶縁性を確保できる。また、容器内に充填できる電極面積が減少することにより容量の低下を回避できる。
【0077】
積層多孔質膜の透気抵抗度は、もっとも重要な特性のひとつであり、好ましくは50〜600sec/100ccAir、より好ましくは100〜500sec/100ccAir、さらに好ましくは100〜400sec/100ccAirである。所望の透気抵抗度にするには、改質多孔層の空孔率を調整し、バインダーのポリオレフィン多孔質膜への浸み込み程度を調整することにより得られる。積層多孔質膜の透気抵抗度が上記好ましい範囲であると、十分な絶縁性が得られ、異物詰まり、短絡および破膜を防ぐ。また、膜抵抗を抑えることで実使用可能な範囲の充放電特性、寿命特性が得られる。
【0078】
4.ポリオレフィン多孔質膜への改質多孔層の積層方法
次に本発明におけるポリオレフィン多孔質膜への改質多孔層の積層方法について説明する。
ポリオレフィン多孔質膜へ改質多孔層を積層する方法は、公知の方法を用いることができる。具体的には、前記塗布液をポリオレフィン多孔質膜に所定の膜厚になるように後述する方法で塗工し、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間5秒から60秒の条件下で乾燥させる方法で得ることができる。また、バインダーが可溶でかつ水と混和する溶媒で溶解した塗布液を所定のポリオレフィン多孔質膜に後述する塗布法を用いて積層し、特定の湿度環境下に置き、バインダーと水とを混和する溶媒を相分離させ、さらに水浴(凝固浴)に投入してバインダーを凝固させる方法も用いることができる。
【0079】
塗布液を塗布する方法としては、例えば、ディップ法、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、ブレードコート法およびダイコート法などが挙げられ、これらの方法は単独又は組み合わせて行うことができる。
【0080】
本発明の積層多孔質膜は、乾燥状態で保存することが望ましいが、絶乾状態での保存が困難な場合は、使用の直前に100℃以下の減圧乾燥処理を行うことが好ましい。
【0081】
本発明の積層多孔質膜は、ニッケル‐水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル‐亜鉛電池、銀−亜鉛電池、リチウム二次電池、リチウムポリマー二次電池等の二次電池、およびプラスチックフィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、電気二重層コンデンサなどのセパレータとして用いることができるが、特にリチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。以下にリチウムイオン二次電池を例にとって説明する。
【0082】
リチウムイオン二次電池は、正極と負極がセパレータを介して積層されており、セパレータは電解液(電解質)を含有している。電極の構造は特に限定されず、公知の構造であってよい。例えば、円盤状の正極及び負極が対向するように配設された電極構造(コイン型)、平板状の正極及び負極が交互に積層された電極構造(積層型)、帯状の正極及び負極が重ねられて巻回された電極構造(巻回型)等の構造とすることができる。
【0083】
正極は、通常集電体とその表面に形成されたリチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含む正極活物質層とを有する。正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物(リチウム複合酸化物)、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。遷移金属としては、V、Mn、Fe、Co、Ni等が挙げられる。正極活物質の中でリチウム複合酸化物の好ましい例としては、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、α‐NaFeO
2型構造を母体とする層状リチウム複合酸化物等が挙げられる。
【0084】
負極は、集電体とその表面に形成された負極活物質を含む負極活物質層とを有する。負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック等の炭素質材料が挙げられる。電解液はリチウム塩を有機溶媒に溶解することにより得られる。リチウム塩としては、LiClO
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiSbF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC(CF
3SO
2)
3、Li
2B
10Cl
10、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiPF
4(CF
3)
2、LiPF
3(C
2F5)
3、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlC
l4等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ‐ブチロラクトン等の高沸点及び高誘電率の有機溶媒や、テトラヒドロフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の低沸点及び低粘度の有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。特に高誘電率の有機溶媒は粘度が高く、低粘度の有機溶媒は誘電率が低いため、両者を混合して用いるのが好ましい。
【0085】
電池を組み立てる際に、本発明のセパレータに電解液を含浸させ、セパレータにイオン透過性を付与することができる。通常、含浸処理は微多孔膜を常温で電解液に浸漬して行う。例えば、円筒型電池を組み立てる場合、まず正極シート、セパレータ(複合多孔質膜)、及び負極シートをこの順に積層し、この積層体を一端より巻き取って巻回型電極素子とする。次にこの電極素子を電池缶に挿入し、上記電解液を含浸させ、さらに安全弁を備えた正極端子を兼ねる電池蓋を、ガスケットを介してかしめることにより電池を得ることができる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例よって何ら制限されるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法で測定した値である。
【0087】
1.バインダーの引っ張り強度(N/mm
2)
実施例および比較例で用いたバインダーが可溶な溶媒に十分溶解または水分散させ、JIS K7113に規定の2号形試験片作製用のダンベル型に乾燥後の膜厚が約100μmになるように入れて25℃で自然乾燥させ、さらに25℃で8時間真空乾燥(真空度3mmHg)を行って溶媒を十分除去して得られた試料シートを引っ張り強度測定に供した。引張試験機((株)島津製作所製 Autograph AGS-J ロードセル容量1kN)を用いて以下の条件で測定した。サンプルフィルム、測定条件は以下の通りであり、3回測定を行い、その平均値をバインダーの引っ張り強度とした。
チャック間距離:40mm
試験速度:20mm/min
測定環境:気温20℃、相対湿度60%
【0088】
2.突起の数
突起の数と大きさは免震台上に設置したコンフォーカル(共焦点)顕微鏡(Lasertec社製 HD100)を用いて、光源を安定化させた後に測定した。
(手順)
(1)実施例および比較例で得られた電池用セパレータの任意の片面(A面とする)に1cm×1cmの正方形の枠を極細油性ペンで描いた。
(2)上記正方形の枠を描いた面を上にしてサンプルステージに載せ、コンフォーカル顕微鏡付属の静電気密着装置を用いてサンプルステージに密着固定させた。
(3)倍率5倍の対物レンズを用いて、
図3のようなポリエチレンの球晶に由来するリング状痕をモニターに二次元画像(本装置ではREAL画面と称す)として表示させ、リング状痕の最も色の濃い部分がモニター画面のほぼ中央に位置するようにサンプルステージ位置を調整した。リング状痕が2つ連なっている場合はその接点に合わせた。突起高さ測定の対象は前記ポリエチレンの球晶に由来するリング状痕の長径が0.2mm以上のものとした。リング状痕の長径は前記二次元画像にて長径方向にリングの両端にカーソルを合わせ、その長さを読み取った。
(4)対物レンズを20倍レンズに替え、モニター画面の中央部にフォーカスを合わせて(本装置ではモニター画面の中央部が最も明るく表示されようにする)、この高さ位置を基準高さとした(本装置ではREF SETと称す)。
(5)高さ方向の測定範囲は前記基準高さを0μmとして上下15μmに設定した。また、スキャン時間120秒、STEP移動距離0.1μm/Stepとし、三次元データを取り込んだ。
(6)三次元データ取り込み後、データ処理用画像(本装置ではZ画像と称す)を表示させ、スムージング処理を行った(スムージング条件:フィルタサイズ3x3、マトリックスタイプ SMOOTH3_0、回数1回)。また、必要に応じて水平補正画面にて水平補正を行った。
(7)データ処理用画像にて最も高い突起を通る位置(最も明るい部分)に水平方向にカーソルを置き、前記カーソルに対応した断面プロファイルを、断面プロファイル画像に表示させた。
(8)断面プロファイル画像にて垂直方向に2本のカーソルを突起の両袖の変曲点に合わせ両カーソル間の距離を突起の大きさとした。
(9)断面プロファイル画像にて水平方向に2本のカーソルを突起の頂点と突起の両袖の変曲点に合わせ(突起の両袖の変曲点の高さが異なる場合は低い方)両カーソル間の距離を突起の高さとした。
(10)前記操作を前記1cm×1cmの正方形の枠内で繰り返し、大きさ5μm以上、50μm以下、高さ0.5μm以上、3.0μm以下の突起の数を数え1cm
2当たりのA面の突起数を求め、さらにその突起の高さ平均値を求めてA面の平均突起高さとした。A面と反対面(B面とする。)についても同様の操作を行いB面の突起数と平均突起高さを求めた。
【0089】
3.改質多孔層の0°の剥離強度
任意の面(例えばA面)を測定するために、反対面(B面)の改質多孔層を予め粘着テープで剥離し、ポリオレフィン多孔質膜一方の表面を露出させて試料に供した。
図1に、評価方法を模式的に示す。1が積層試料、2がポリオレフィン多孔質膜、3が改質多孔層、4が両面粘着テープ、5及び5’がアルミニウム板であり、図中の矢印が引張方向である。大きさ50mm×25mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板5に同じ大きさの両面粘着テープ(ニチバン(株)製NW‐K50)4を貼り付けた。その上に幅50mm×長さ100mmに切り出した試料1(電池用セパレータ)のポリオレフィン多孔質膜2の面を前記アルミニウム板5の25mm長さの片辺の端から40mmが重なるように貼り付け、はみ出た部分を切り取った。次いで、長さ100mm、幅15mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板5’の片面に両面粘着テープを貼り付け、前記アルミニウム板5の25mm長さの試料側の片辺の端から20mmが重なるように貼り付けた。その後、試料を挟持したアルミニウム板5とアルミニウム板5’を引張試験機((株)島津製作所製Autograph AGS-J 1kN)に取り付け、アルミニウム板5とアルミニウム板5’のそれぞれを平行に反対方向に引張速度10mm/minで引っ張り、改質多孔層が剥離したときの強度を測定した。この測定を長手方向に30cm以上の間隔を空けた任意の3点について行い、その平均値をA面の改質多孔層の0°の剥離強度とした。B面についても同様に改質多孔層の0°の剥離強度を求めた。
【0090】
4.膜厚
接触式膜厚計((株)ミツトヨ製ライトマチックseries318)を使用して20点の測定値を平均することによって求めた。超硬球面測定子φ9.5mmを用い、加重0.01Nの条件で測定した。
【0091】
5.平均孔径
ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径は以下の方法で測定した。試料を測定用セルの上に両面テープを用いて固定し、プラチナまたは金を数分間真空蒸着させ、適度な倍率で膜の表面をSEM測定した。SEM測定で得られた画像上で任意の10箇所を選択し、それら10箇所の孔径の平均値を試料の平均孔径とした。
【0092】
6.透気抵抗度(sec/100ccAir)
テスター産業(株)製のガーレー式デンソメーターB型を使用して、ポリオレフィン多孔質膜又は積層多孔質膜をクランピングプレートとアダプタープレートの間にシワが入らないように固定し、JIS P8117に従って測定した。試料は10cm角とし、測定点は試料の中央部と4隅の計5点として、その平均値を透気抵抗度として用いた。なお、試料の1辺の長さが10cmに満たない場合は5cm間隔で5点測定した値を用いてもよい。透気抵抗度の上昇幅は下記の式より求めた。
透気抵抗度の上昇幅=(Y)−(X)sec/100ccAir
ポリオレフィン多孔質膜の透気抵抗度度(X)sec/100ccAir
積層多孔質膜の透気抵抗度度(Y)sec/100ccAir
【0093】
7.ポリオレフィン多孔質膜の空孔率
10cm角の試料を用意し、その試料体積(cm
3)と質量(g)を測定し得られた結
果から次式を用いて空孔率(%)を計算した。
空孔率=(1−質量/(樹脂密度×試料体積))×100
【0094】
8.耐擦れ性
実施例及び比較例で得られたロール状積層多孔質膜を巻きだしながら、両端をスリット加工した。スリット加工はスリッター((株)西村製作所製 WA177A型)を用いて速度20m/分、張力60N/100mmの条件で行った。加工中、塗工面に接触するロールはハードクロムメッキロール2本(いずれもフリーロール)とした。次いで、スリット加工済のロール状積層多孔質膜を巻き戻しながら目視、および拡大率10倍のスケール付きルーペ(PEAK社SCALE LUPE×10)を用いて、長径0.5mm以上の改質多孔層の剥離欠点を数え、以下の判定基準で評価した。評価面積は幅100mm×長さ500mとした。(幅が100mmに満たない場合は長さを調整し、同様の評価面積になるようにした。)
判定基準
○(極めて良好):5ヶ以下
△(良好):6〜15ヶ
×(不良):16ヶ以上
【0095】
実施例1
重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)2重量%及び重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)98重量%からなる組成物(Mw/Mn=16.0)100重量部に、酸化防止剤0.375重量部を加えたポリエチレン組成物(融点135℃)を得た。このポリエチレン組成物30重量部を二軸押出機に投入した。この二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン70重量部を供給し、溶融混練して、押出機中にてポリエチレン樹脂溶液を調製した。続いて、ポリエチレン樹脂溶液を押出機の先端に設置されT型ダイから190℃、押出し厚さ825μmで押出し、フィルム状に押し出されたポリエチレン樹脂溶液を、その両側に配置され(
図4参照)、かつ冷却ロール内部冷却水温度を25℃に保った2つの冷却ロールで引き取りながらゲル状成形物を形成した。この時、それぞれの冷却ロールにおいて、ゲル状成形物が冷却ロールから離れる点からT型ダイから押し出されたポリエチレン樹脂溶液と冷却ロールとが接する点までの間に1枚のポリエステル製ドクターブレードをゲル状成形物の幅方向と平行に冷却ロールに接するようにあてて、冷却ロール上に付着している流動パラフィンを掻き落とした。続いてこのゲル状成形物を、所望の透気抵抗度になるように温度を調節しながら5×5倍に同時2軸延伸を行い、延伸成形物を得た。得られた延伸成形物を塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを除去し、乾燥して多孔質成形物を得た。その後、テンターに多孔質膜を保持し、TD(幅方向)方向にのみ10%縮幅し、90℃、3秒間熱処理し、厚さ16μm、空孔率45%、平均孔径0.15μm、透気抵抗度240sec/100ccAirのポリエチレン多孔質膜を得た。
(塗布液Aの調合)
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度99%以上)、平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、イオン交換水をそれぞれ6:54:40の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(a)を得た。
(塗布液Bの調合)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管のついた4ツ口フラスコにトリメリット酸無水物(TMA)1モル、o‐トリジンジイソシアネート(TODI)0.8モル、2,4‐トリレンジイソシアネート(TDI)0.2モル、フッ化カリウム0.01モルを固形分濃度が14%となるようにN‐メチル‐2‐ピロリドンと共に仕込み、100℃で5時間攪拌した後、固形分濃度が14%となるようにN‐メチル‐2‐ピロリドンで希釈してポリアミドイミド樹脂溶液を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は1.35dl/g、ガラス転移温度は320℃であった。
【0096】
ポリアミドイミド樹脂溶液及び平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、N‐メチル‐2‐ピロリドンをそれぞれ26:34:40の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製、“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(b)を得た。前記ポリエチレン多孔質膜の片面(A面とする)に塗布液(a)をグラビアコート法にて乾燥後の厚みで2μm塗布し、50℃の熱風乾燥炉を10秒間通過させることで乾燥させた。次いで反対面(B面とする)に乾燥後の厚みで2.5μm塗布し、温度25℃、絶対湿度12g/m
3の調湿ゾーンを5秒間で通過させた後、N‐メチル‐2‐ピロリドンを5重量%含有する水溶液中に10秒間浸漬した。さらに、純水で洗浄した後、70℃の熱風乾燥炉を通過させることで乾燥して、最終厚み20.5μmの積層多孔質膜を得た。
【0097】
実施例2
重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)と重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)の配合比を10:90(重量%比)に変更した以外は実施例1と同様にして積層多孔質膜を得た。
【0098】
実施例3
重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)と重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)の配合比を20:80(重量%比)に変更した以外は実施例1と同様にして積層多孔質膜を得た。
【0099】
実施例4
重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)と重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)の配合比を30:70(重量%比)に変更した以外は実施例1と同様にして積層多孔質膜を得た。
【0100】
実施例5
重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)と重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)の配合比を40:60(重量%比)に変更した以外は実施例1と同様にして積層多孔質膜を得た。
【0101】
実施例6
2つの冷却ロールとも2枚のポリエステル製ドクターブレードを20mmの間隔で冷却ロールにあてた以外は実施例1と同様にして積層多孔質膜を得た。
【0102】
実施例7
2つの冷却ロールとも3枚のポリエステル製ドクターブレードをそれぞれ20mmの間隔で冷却ロールにあてた以外は実施例1と同様にして積層多孔質膜を得た。
【0103】
実施例8
水性アクリルポリオールと水分散性ポリイソシアネート(硬化剤)からなる2液硬化型水性アクリルウレタン樹脂(固形分濃度45質量%)平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、イオン交換水をそれぞれ10:40:50の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製、“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(c)を得た。塗布液(a)を塗布液(c)に替えた以外は実施例1と同様に両面に改質多孔層を積層させ、最終厚み20.5μmの積層多孔質膜を得た。
【0104】
実施例9
ポリビニルアルコールとアクリル酸、メタクリル酸メチルの共重合体(日新化成(株)製“POVACOAT”(登録商標))、平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、溶媒(イオン交換水:エタノール=70:30)をそれぞれ5:45:50の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(d)を得た。塗布液(a)を塗布液(d)に替えた以外は実施例1と同様に塗布し、両面に改質多孔層を積層させ、最終厚み20.5μmの積層多孔質膜を得た。
【0105】
実施例10
KFポリマー#1120(呉羽化学工業(株)製、ポリフッ化ビニリデン樹脂溶液(融点175℃、12%N‐メチルピロリドン溶液))及び平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、N‐メチル‐2‐ピロリドンをそれぞれ14:19:67の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共に、ポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、ワニス(e)を調合した。塗布液(b)を塗布液(e)に替えた以外は実施例1と同様に塗布し、両面に改質多孔層を積層させ、最終厚み20.5μmの積層多孔質膜を得た。
【0106】
実施例11
冷却ロールの内部冷却水温度を35℃に保った以外は実施例1と同様にして積層多孔質膜を得た。
【0107】
実施例12
ポリエチレン樹脂溶液の押出し量を調整し、厚さ20μmのポリエチレン多孔質膜を得た以外は実施例1と同様にして、最終厚み24.5μmの積層多孔質膜を得た。
【0108】
実施例13
ポリエチレン樹脂溶液の押出し量を調整し、厚さ12μmのポリエチレン多孔質膜を得た以外は実施例1と同様にして、最終厚み16.5μmの積層多孔質膜を得た。
【0109】
実施例14
ポリエチレン樹脂溶液の押出し量を調整し、厚さ9μmのポリエチレン多孔質膜を得た以外は実施例1と同様にして、最終厚み13.5μmの積層多孔質膜を得た。
【0110】
実施例15
ポリエチレン組成物26重量部を二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン74重量部を供給し、溶融混練した以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0111】
実施例16
ポリエチレン組成物35重量部を二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン65重量部を供給し、溶融混練した以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0112】
実施例17
塗布液(a)においてアルミナ粒子を酸化チタン粒子(平均粒子径0.38μm)に替えた塗布液(f)を調合した。塗布液(a)の替わりに塗布液(f)を用いた以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0113】
実施例18
塗布液(a)においてアルミナ粒子を板状ベーマイト微粒子(平均粒子径1.0μm)替えた塗布液(g)を調合した。塗布液(a)の替わりに塗布液(g)を用いた以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0114】
実施例19
両面とも塗布液(a)用いた以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0115】
比較例1
T型ダイから押し出されたポリエチレン樹脂溶液を2つの冷却ロールで冷却し、ゲル状成形物を得る際に2つの冷却ロールともドクターブレードを用いず、冷却ロール上に付着している流動パラフィンを掻き落とさなかった以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0116】
比較例2
ポリエチレン組成物を重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)100重量%からなる組成物(Mw/Mn=16.0)100重量部に、酸化防止剤0.375重量部を加えたポリエチレン組成物(融点135℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0117】
比較例3
冷却ロールの内部冷却水温度を0℃に保ち、ドクターブレードを用いなかった以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0118】
比較例4
T型ダイから押し出されたポリエチレン樹脂溶液を冷却ロールで冷却する替わりに、25℃に保った水中に1分間浸漬した以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0119】
比較例5
実施例1で用いたポリエチレン組成物50重量部を二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン50重量部を供給し、溶融混練して、押出機中にてポリエチレン樹脂溶液を調製しT型ダイからの押出しを試みたが、均一なフィルム状に押し出せなかった。
【0120】
比較例6
冷却ロールの内部冷却水温度を50℃に保った以外は実施例1と同様にして、積層多孔質膜を得た。
【0121】
比較例7
温度計、冷却管、窒素ガス導入管のついた4ツ口フラスコにトリメリット酸無水物(TMA)1モル、o‐トリジンジイソシアネート(TODI)0.8モル、2,4‐トリレンジイソシアネート(TDI)0.2モル、フッ化カリウム0.01モルを固形分濃度が14%となるようにN‐メチル‐2‐ピロリドンと共に仕込み、100℃で5時間攪拌した後、固形分濃度が14%となるようにN‐メチル‐2‐ピロリドンで希釈してポリアミドイミド樹脂溶液を合成した。
ポリアミドイミド樹脂溶液及び平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、N‐メチル‐2‐ピロリドンをそれぞれ13:47:40の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム(登録商標)ビーズ”、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(h)を得た。塗布液(a)を塗布液(h)に替えた以外は実施例1と同様にして最終厚み20.5μmの積層多孔質膜を得た。
【0122】
実施例1〜19、比較例1〜7の製造条件を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
実施例1〜19、比較例1〜7で得られたポリオレフィン多孔質膜および積層多孔質膜の特性を表2に示す。
【0125】
【表2】
本発明の積層多孔質膜は、ポリオレフィンからなる突起が5μm≦W≦50μm(Wは突起の大きさ)および0.5μm≦H(Hは突起の高さ)をみたし、両面に片面あたり3個/cm
以下で不規則に点在し、かつ膜厚が25μm以下であるポリオレフィン多孔質膜の片面に改質多孔層A、反対面に改質多孔層Bを積層した積層多孔質膜であって、少なくとも改質多孔層Aは引っ張り強度が5N/mm