特許第5793026号(P5793026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793026
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/08 20060101AFI20150928BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   F24C15/08 G
   F24C15/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-187439(P2011-187439)
(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公開番号】特開2013-50246(P2013-50246A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆
(72)【発明者】
【氏名】智多 祐章
(72)【発明者】
【氏名】藤本 学
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−024341(JP,A)
【文献】 特開2006−349194(JP,A)
【文献】 特開2000−297935(JP,A)
【文献】 特開2009−002571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/08
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器本体の前面部に該前面部の一部を覆うカバーが回動自在に取り付けられた加熱調理器であって、カバーの調理器本体の前面部から離れる方向への回動を所定角度に制限する回動規制手段を備え、前記回動規制手段として、調理器本体とカバーを連結するストッパーを備え、調理器本体又はカバーのうちの一方を第一部材とすると共に他方を第二部材とし、ストッパーは第一部材に設けられると共に第二部材に着脱自在に連結される被連結部を有し、該被連結部が第二部材と連結されていない非連結状態においてカバーを前記調理器本体の前面部の一部を覆う位置まで回動した際に被連結部が第二部材に連結されるようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記ストッパーは一端部が調理器本体に形成された前後方向に伸びるスリットに摺動自在に挿入されることで所定範囲内で前後方向に移動自在に調理器本体に取り付けられ、該ストッパーの他端部に、係合によりカバーに着脱自在に連結される前記被連結部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記回動規制手段は、カバーの調理器本体の前面から離れる方向への回動を略90度に制限するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器本体の前面の一部を覆うカバーを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調理器本体を流し台に組み込んだ組込式加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、調理器本体の前面に設けられた操作部を覆う操作部カバーが操作部に対して係合により着脱自在に取り付けられており、該操作部カバーは調理器本体と流し台の前面開口部との間に形成される空間を覆うための延長部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−002571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記カバーは操作部に対して係合により着脱自在に取り付けられるため、調理器本体とは別に梱包する必要があり、このためカバーを施工時に紛失する恐れがある。また、カバーの着脱のための固定箇所が多くなりがちで、取り付けが煩わしい。
【0005】
ここで、前述の点を改善するため、カバーを調理器本体に対して回動自在に取り付けることが考えられるが、このようにすると、カバーが開きすぎてグリル用開口の前側に配置される等し、加熱調理器の利用等にあたってカバーが邪魔になることが懸念される。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、施工時にカバーを紛失することがなく、施工性に優れ、しかもカバーが邪魔になり難い加熱調理器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の加熱調理器は、調理器本体4の前面部10に該前面部10の一部を覆うカバー27が回動自在に取り付けられた加熱調理器であって、カバー27の調理器本体4の前面部10から離れる方向への回動を所定角度に制限する回動規制手段を備え、前記回動規制手段として、調理器本体4とカバー27を連結するストッパー47を備え、調理器本体4又はカバー27のうちの一方を第一部材とすると共に他方を第二部材とし、ストッパー47は第一部材に設けられると共に第二部材に着脱自在に連結される被連結部52を有し、該被連結部52が第二部材と連結されていない非連結状態においてカバー27を前記調理器本体4の前面部10の一部を覆う位置まで回動した際に被連結部52が第二部材に連結されるようにしたことを特徴とする。このように調理器本体4の前面部10の一部を覆うカバー27を調理器本体4の前面部10に対して回動自在に取り付けることにより、カバー27を施工時に紛失することを防止でき、また、カバー27を調理器本体4に取り付ける作業を省略できる。また、カバー27の調理器本体4の前面部10から離れる方向への回動を所定角度に制限する回動規制手段を備えることで、カバー27が開きすぎることを防止できる。このためグリル用開口11からグリル皿受けを出し入れ等するときにカバー27が邪魔になり難い。また、調理器本体4とカバー27を連結するストッパー47によりカバー27を回動規制することができる。また、カバー27を前記調理器本体4の前面部10の一部を覆う位置まで回動するだけで、ストッパー47の被連結部52を第二部材の連結部53に容易に連結することができる。
【0009】
また、前記ストッパー47は一端部が調理器本体4に形成された前後方向に伸びるスリット51に摺動自在に挿入されることで所定範囲内で前後方向に移動自在に調理器本体4に取り付けられ、該ストッパー47の他端部に、係合によりカバー27に着脱自在に連結される前記被連結部52が形成されることが好ましい。このように構成すると、カバー27を開いたときにストッパー47が前方に移動し、このストッパー47が移動範囲内における前端部に配置されたときにカバー27のそれ以上の回動が規制されることとなる。また、カバー27とストッパー47の連結を係合による簡易なものにできる。
【0010】
また、前記回動規制手段は、カバー27の調理器本体4の前面から離れる方向への回動を略90度に制限するものであることが好ましい。このようにすると、グリル用開口11からグリル皿受けを出し入れ等する際にカバー27をより邪魔になり難い位置に配置することができる。また、カバー27を略90度まで開くことができるので、調理器本体4の前面部10においてカバー27によって覆われる箇所を利用等する際にもカバー27が邪魔になり難い。
【発明の効果】
【0011】
本発明にあっては、施工時にカバーを紛失することがなく、施工性に優れ、しかもカバーが邪魔になり難い加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の加熱調理器のパーツ、第一カバー、及びストッパーを示す斜視図である。
図2】同上の加熱調理器をキッチンキャビネットに設置した状態を示す斜視図である。
図3】同上の加熱調理器の筐体をキッチンキャビネットに設置した状態を示す斜視図である。
図4図3においてカバーを第二位置に配置した状態を示す斜視図である。
図5】同上の加熱調理器の斜視図である。
図6】同上の加熱調理器の筐体の斜視図である。
図7】同上の加熱調理器の本体前面部の拡大斜視図である。
図8】同上のストッパーを示し、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
図9】同上のストッパーを調理器本体に取り付ける様子を示す斜視図である。
図10】同上のパーツ及びストッパーを示す斜視図である。
図11】第一カバーの図7におけるA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。図5に本実施形態の加熱調理器1を示す。本実施形態の加熱調理器1は、図2に示すようにキッチンキャビネット12に組み込まれて用いられる組込式のガスコンロである。
【0014】
加熱調理器1は、図6のように上方に開口する筐体2と、図5のように筐体2の上開口を覆うトッププレート3とで外面を構成した調理器本体4を具備している。
【0015】
図6等に示すように筐体2の内側には、複数のコンロ用バーナー5が設けられている。本実施形態では、コンロ用バーナー5として、2つの高火力バーナー6と、1つの低火力バーナー7が設けられている。高火力バーナー6は筐体2の前部両側に配置され、低火力バーナー7は筐体2の後部中央に配置されている。
【0016】
図4に示すように筐体2内の前部中央にはグリル庫9が設けられており、グリル庫9には図示しないグリル用バーナーが設けられている。
【0017】
筐体2の前面部10(以下、本体前面部10)の左右方向の中央部には正面視略矩形状のグリル用開口11が形成されており、グリル庫9はグリル用開口11から筐体2の前方に開口している。
【0018】
グリル庫9には図示しないグリル皿受けがグリル用開口11から前方に引き出し自在に設けられる。グリル皿受けの前端部には図2に示すグリル扉19が一体に設けられている。グリル皿受けをグリル庫9に収納した状態では、グリル扉19の前面が筐体2の前面と略面一となり、グリル扉19によってグリル用開口11が閉塞される。
【0019】
図6に示すように、筐体2の上縁部には外方に突出する鍔部13が形成されている。筐体2は、図3のようにキッチンキャビネット12に形成された上面開口部15からキッチンキャビネット12内に落とし込まれ、鍔部13がキッチンキャビネット12の上面開口部15の縁部上に載置されることで支持される。また、この際、本体前面部10は、キッチンキャビネット12の前面上端部に形成された正面視矩形状の前面開口部16に挿入され、筐体2の前方に露出する。そして、このようにキッチンキャビネット12内に落とし込まれた筐体2はビス等によりキッチンキャビネット12に固定される。
【0020】
調理器本体4の上面を構成するトッププレート3は、図2のようにキッチンキャビネット12の上面開口部15の縁部上に載置され、筐体2に装着される。トッププレート3の各コンロ用バーナー5に対応する箇所には開口が形成されており、これら開口を介して各コンロバーナー5はトッププレート3の上方に露出する。
【0021】
図6に示すように本体前面部10の左側上部には、前方に開口する電池収納部26が設けられている。電池収納部26には電池が出し入れ可能に収納され、この電池は、調理器本体4に設けられた燃焼制御部(不図示)等の各種装置の制御用電源や、バックアップ用電源として用いられる。
【0022】
本体前面部10の右側上部には、操作部として電源スイッチ22とチャイルドロックスイッチ41が設けられている。また、本体前面部10には、これらスイッチ22,41の他に、操作部として、コンロ用操作部及びグリル用操作部が設けられている。
【0023】
本実施形態では、コンロ用操作部として、各コンロバーナー5の点火と消火の切り替え並びに火力の調節を手動で行うための操作つまみ20(図6参照)と、各コンロバーナー5を用いて行う自動調理のモードを設定するためのコンロ用設定入力パネル21(図5参照)が設けられている。
【0024】
操作つまみ20はコンロバーナー5毎に設けられており、図6に示すように本体前面部10の右側上部に左右に並べて配置されている。各操作つまみ20は、本体前面部10に押し込んだ押し込み状態と、本体前面部10から前方に突出した突出状態とに切り替えられるようになっている。各操作つまみ20の押し込み状態と突出状態の切り替えがなされることにより、コンロバーナー5の点火と消火の切り替えの指令がなされ、これを受けて前記燃焼制御部は、当該操作つまみ20に対応するコンロバーナー5の点火と消火を切り替える。また、各操作つまみ20を前後軸を中心にして回動することでコンロバーナー5の火力調節の指令がなされ、これを受けて前記燃焼制御部は当該操作つまみ20に対応するコンロバーナー5の火力を調節する。
【0025】
図5に示すようにコンロ用設定入力パネル21は、本体前面部10の右側下部に設けられたコンロ用引出部材23の上面に設けられている。コンロ用引出部材23の下端部は本体前面部10に左右軸回りに回動自在に連結されており、これによりコンロ用引出部材23は本体前面部10から前方に出し入れ自在となっている。
【0026】
コンロ用引出部材23を本体前面部10に収納した状態では、コンロ用引出部材23の前面が本体前面部10の前面と略面一となる。この場合、コンロ用設定入力パネル21は外部に露出しない。コンロ用引出部材23を本体前面部10から前方に引き出した状態では、コンロ用設定入力パネル21が露出する。コンロ用設定入力パネル21は各種設定釦を有し、これら設定釦が操作されると、前記燃焼制御部はこれら設定釦で設定された調理モードに応じてコンロ用バーナー5の火力を自動で調節する。
【0027】
また、本実施形態では、グリル用操作部として、グリル用バーナーの点火と消火の切り替え、火力の調節、及びグリル用バーナーを用いて行う自動調理のモードを設定するためグリル用設定入力パネル24が設けられている。
【0028】
グリル用設定入力パネル24は、本体前面部10の左側下部に設けられたグリル用引出部材25の上面に設けられている。グリル用引出部材25は、コンロ用引出部材23と同様の機構により本体前面部10から前方に出し入れ自在に設けられており、グリル用引出部材25を前面から前方に引き出した状態で操作可能となる。グリル用設定入力パネル24には点火・消火切り替え釦や火力調節釦が設けられている。これら釦を操作することで、グリル用バーナーの点火と消火の切り替えの指令やグリル用バーナーの火力調節の指令がなされ、これを受けて前記燃焼制御部はグリル用バーナーの点火と消火を切り替えたり、グリル用バーナーの調節をしたりする。また、グリル用設定入力パネル24は各種設定釦を有しており、これら設定釦が操作されると、前記燃焼制御部はこれら設定釦で設定された調理モードに応じてグリル用バーナーの火力を自動で調節する。
【0029】
また、本体前面部10の右側上部には、各コンロ用バーナー5の火力を表示するための表示部として複数のLED45(図6参照)が設けられている。
【0030】
本体前面部10は、前述のように筐体2をキッチンキャビネット12に落とし込む際にキッチンキャビネット12の前面開口部16に挿入されるものであるが、本体前面部10が前面開口部16に合致する大きさであると、本体前面部10を前面開口部16に挿入することが難しくなる。このため、本実施形態では、図3に示すように本体前面部10が正面視において前面開口部16よりも一回り小さな矩形状に形成されており、これにより本体前面部10は前面開口部16に容易に挿入できるようになっている。
【0031】
また、このように本体前面部10を前面開口部16よりも一回り小さくすると、図3のように筐体2をキッチンキャビネット12に設置した際、前面開口部16の周縁と本体前面部10の外縁の間に隙間37が形成される。この隙間37のうち、本体前面部10の上側に形成される隙間38は上方にキッチンキャビネット12の前端部が位置するため目立ち難く、また、下側に形成される隙間39は上方に本体前面部10が位置するため目立ち難い。しかし、本体前面部10の両側に形成される隙間40は目立ちやすく外観を阻害する恐れがある。このため、本実施形態では、本体前面部10に前記隙間40を覆う部分を有するカバー27が設けられている。
【0032】
図2に示すように、本体前面部10には、カバー27として、第一カバー28、第二カバー29、第三カバー30、及び第四カバー31が設けられている。第一カバー28は本体前面部10の左側上部に設けられている。また、第二カバー29は本体前面部10の右側上部に、第三カバー30は本体前面部10の右側下部に、第四カバー31は本体前面部10の左側下部に夫々設けられている。
【0033】
図1は本体前面部10の左側上部を構成するパーツ66とこれに取り付けられた第一カバー28を示す斜視図である。図1に示すように、各カバー28〜31の側端部には回動軸を構成する軸ピン34が取り付けられており、軸ピン34を本体前面部10に設けられた軸支部33で軸支することにより、各カバー28〜31は本体前面部10に対して縦軸回りに回動自在に取り付けられている。
【0034】
第一カバー28用の軸支部33は、左右方向において、本体前面部10の電池収納部26とグリル用開口11の間に形成されており、これにより第一カバー28は右開きとなっている。また、図6のように、第二カバー29用の軸支部33は、左右方向において、前記複数の操作つまみ20からなるつまみ群とグリル用開口11の間に形成されており、これにより第二カバー29は左開きとなっている。また、第三カバー30の軸支部33はコンロ用引出部材23のグリル用開口11側の端部に設けられて第三カバー30は左開きとなり、第四カバー31の軸支部33はグリル用引出部材25のグリル用開口11側の端部に設けられて第四カバー31は右開きとなっている。つまり、本体前面部10においてグリル用開口11よりも左側に位置する第一カバー28及び第四カバー31は右開きとなり、グリル用開口11よりも右側に位置する第二カバー29及び第三カバー30は左開きとなっている。
【0035】
各カバー28〜31は、図3に示す第一位置(開き位置)と図4に示す第二位置(閉じ位置)との間で前記軸ピン34で構成された軸部を中心として回動自在となっている。ここで、第一位置は、図3に示すように、カバー28〜31の表面が本体前面部10の前面に対向する位置であり、この第一位置に配置されたカバー28〜31はグリル用開口11及びこれを閉塞するグリル扉19の前方に配置される。また、第二位置は、図4に示すように、カバー28〜31の裏面が、本体前面部10の前面、コンロ用引出部材23の前面、あるいはグリル用引出部材25の前面に対向する位置である。
【0036】
図6等に示すように、各カバー28〜31の自由端側部分の裏面には、被係止部としての被係止爪部43が突設されている。一方、本体前面部10、コンロ用引出部材23の前面、グリル用引出部材25の前面において各被係止爪部43に対応する箇所には係止部としての係止穴部44が形成されている。各カバー28〜31は、被係止爪部43が対応する係止穴部44に着脱自在に係止されることで閉じ位置である第二位置で固定されるようになっている。このため、第二位置に配置した各カバー28〜31が不意に第一位置側に向かって回動することが防止されている。なお、係止穴部44に係止された被係止爪部43は、第二位置に配置されたカバー28〜31に対して第一位置側に回動する方向にやや強い力を加えることにより係止穴部44との係止を解除することができる。
【0037】
図3に示すように第一位置に配置された各カバー28〜31は、前面視においてカバー28〜31の全てが調理器本体4の存在領域内に包含される。筐体2に設けられた各カバー28〜31は、例えば筐体2をキッチンキャビネット12に設置する前において、第一位置に配置されるように図示しない固定用テープによって仮止めされて拘束される。このようにすると、前述のように筐体2をキッチンキャビネット12に落とし込んで本体前面部10をキッチンキャビネット12の前面開口部16に挿入する際には、各カバー28〜31が第一位置に配置されて前面視においてカバー28〜31の全てが調理器本体4の存在領域内に包含されるので、各カバー28〜31がキッチンキャビネット12の上面開口部15の周縁部や前面開口部16の周縁部等に干渉し難くなり、作業が容易になる。
【0038】
また、加熱調理器1をキッチンキャビネット12に設置した後は、各カバー28〜31は図4に示すように閉じ位置である第二位置に配置される。このように第二位置に配置された各カバー28〜31は、その自由端側(軸ピン34と反対側)の側端部が本体前面部10よりも外側方に突出する。そして、この突出部分36により、前記本体前面部10の両側に形成された隙間40、すなわち、本体前面部10の側縁とキッチンキャビネット12の前面開口部16の側縁の間に形成された隙間40が覆われる。
【0039】
図2のように第一カバー28は、前記閉じ位置である第二位置に配置したときに本体前面部10の電池収納部26が設けられた左側上部を覆い、電池収納部26及びこれに収納された電池を隠す。また、第二カバー29は、第二位置に配置したとき、本体前面部10の電源スイッチ22、チャイルドロックスイッチ41、操作つまみ20、及びLED45が設けられた右側上部を覆い、電源スイッチ22やチャイルドロックスイッチ41を隠す。また、第三カバー30は第二位置に配置したときにコンロ用引出部材23の前面を覆い、第四カバー31は第二位置に配置したときにグリル用引出部材25の前面を覆う。
【0040】
図5に示すように、第二カバー29には電源ボタン32及びチャイルドロックボタン42が設けられている。電源ボタン32及びチャイルドロックボタン42の夫々は、第二カバー29を閉じ位置に配置したときに後方の電源スイッチ22、チャイルドロックスイッチ41に当接し、これにより、閉じ位置に配置された第二カバー29の電源ボタン32やチャイルドロックボタン42を前方から操作することで、電源スイッチ22やチャイルドロックスイッチ41を操作できるようになっている。
【0041】
第二カバー29の各操作つまみ20に対応する個所にはつまみ用孔35が設けられており、各操作つまみ20は第二位置に配置された第二カバー29の対応するつまみ用孔35を介して露出し、前述の操作を行えるようになっている。
【0042】
また、第二カバー29の各LED45に対応する箇所には、樹脂成型品等の透明な部材で構成される透光部46が設けられており、各LED45は閉じ位置に配置された第二カバー29の透光部46を通して視認できるようになっている。
【0043】
ところで、前記第一位置に配置された第一カバー28は、電池収納部26に配置された電池を交換等するため、加熱調理器1の設置後においても前記被係止爪部43と係止穴部44の係止を解除して第一位置側に開く場合がある。ここで、第一カバー28を大きく開いた場合、当該第一カバー28がグリル用開口11の前方に配置され、グリル用開口11からグリル扉19が設けられたグリル皿受けを出し入れする際に、第一カバー28が邪魔になることが懸念される。
【0044】
このため、本実施形態の加熱調理器1は、第一カバー28の本体前面部10から離れる方向への回動を所定角度に制限する回動規制手段を備えている。
【0045】
回動規制手段は、図1に示すように本体前面部10に設けられたストッパー47で構成されている。ストッパー47は図1に示すように第一カバー28の本体前面部10から離れる方向への回動を略90度に制限するものである。
【0046】
ストッパー47は、図8に示すように線状のばね素材を略「几」状に屈曲したものであり、平面視で後方に開口する略U字状の本体部48と、本体部48の後端に位置する両端部から互いに離れる方向に向けて突出する被取付部49で構成されている。
【0047】
図7に示すように、本体前面部10の第二位置にある第一カバー28によって覆われる部分には、縦長で前方に開口する凹部又は孔部からなるストッパー収納部50が形成されている。このストッパー収納部50は電池収納部26の下方に位置し、また、軸支部33寄りの箇所に位置している。
【0048】
ストッパー収納部50の上下面の夫々の左側(軸支部33と反対側)には、ストッパー収納部50内に開口して前後方向に直線状に伸びるスリット51(図9図10参照)が対向して形成されている。
【0049】
ストッパー47は各被取付部49を対応するスリット51に前後方向に摺動自在に挿入することで調理器本体4に取り付けられている。このように調理器本体4に取り付けられたストッパー47はスリット51の長さにより規定される前後方向の所定範囲内で前後方向に移動自在となり、ストッパー収納部50の前開口部から出し入れできるようになっている。
【0050】
図9に示すように、ストッパー収納部50の前部の左側面には、右側(軸支部33側)に向かって突出して両スリット51に対向する保持部59が形成されている。なお、図9はストッパー47を調理器本体4に取り付ける様子を示すものであり、ストッパー47は本来の取付位置にはない。
【0051】
保持部59は、ストッパー47の前後位置にかかわらず常にストッパー47の略U字状の本体部48の上下の横線状部60の間に配置されるようになっており、この保持部59により各被取付部49のスリット51から抜け出る方向への移動が規制されている。
【0052】
図8(b)に示すようにストッパー47の上下の横線状部60の間隔は、前側に行く程上下幅が広くなっている。特にストッパー47の本体部48の前端部においては、上下の横線状部60の間隔の広がる度合いが後方部よりも大きくなっており、この部分は第一カバー28に対して係合により着脱自在に連結される被連結部52となっている。また、被連結部52の前端部は、縦線状の縦線状部58となっている。
【0053】
図1に示すように、第一カバー28における軸ピン34寄りの箇所には、ストッパー47の被連結部52が連結される連結部53が形成されている。連結部53は、第一カバー28の裏面から背方に突出する係合部54と、同じく第一カバー28の裏面から背方に突出し、係合部54よりも第一カバー28の自由端側に位置する抜止部55とで構成されている。
【0054】
抜止部55は、係合部54の上下端部に対応する位置に夫々形成されており、係合部54と両抜止部55の間には第一カバー28の裏面側に開口する溝部57が形成されている。図11のように、係合部54の先部には抜止部55側に突出して溝部57の開口部分に位置する爪部56が形成されている。
【0055】
図1に示すように、ストッパー47の被連結部52は、その前端部を構成する縦線状部58が第一カバー28の溝部57に挿入され且つ縦線状部58の後側が爪部56に係合されることで連結部53に連結されている。また、このように被連結部52を連結部53に連結した状態では、縦線状部58の前側に両抜止部55が位置し、これら抜止部55によって縦線状部58の第一カバー28自由端側への移動が規制される。このため、縦線状部58の爪部56に対する係合は外れ難くなっている。
【0056】
このように本体前面部10と第一カバー28をストッパー47により連結した状態で、第一カバー28を図4に示す第二位置に配置したとき、ストッパー47は図10に示すようにストッパー収納部50に収納される。このとき、両被取付部49は対応するスリット51の後端部に配置される。この状態から第一カバー28を本体前面部10から離れる方向に回動すると、第一カバー28の被係止爪部43と本体前面部10の係止穴部44との係止が外れ、この後、縦線状部58が係合部54によって前側に引っ張られ、これによりストッパー47はストッパー収納部50から前側に引き出されていく。また、この際、ストッパー47の両被取付部49は対応するスリット51において前側に移動する。そして、第一カバー28が本体前面部10から離れる方向に略90度回動すると、図1に示すようにストッパー47の両被取付部49が対応するスリット51の前端部に配置され、これ以上前方に移動できない状態となる。これにより、当該ストッパー47に連結された第一カバー28はこれ以上第一位置側に開くことができない回動規制状態となる。
【0057】
逆に、前記回動規制状態にある第一カバー28を、本体前面部10に近づく方向、すなわち第二位置側に回動すると、溝部57に挿入されたストッパー47の縦線状部58が第一カバー28の抜止部55により後側に押し込まれ、これによりストッパー47はストッパー収納部50に挿入されていく。また、この際、ストッパー47の両被取付部49は対応するスリット51において後側に移動する。そして、第一カバー28が図4に示す第二位置に配置されると、被係止爪部43が係止穴部44に係止され、また、両被取付部49は対応するスリット51の後端部に配置される。
【0058】
また、本実施形態の加熱調理器1にあっては、ストッパー47を加熱調理器1に容易に設けられるようになっており、以下、この点につき詳述する。
【0059】
図9は調理器本体4にストッパー47を取り付ける前の様子を示す斜視図である。図9に示すように、ストッパー収納部50の後部の右側面には左側に向かって突出するガイド部61が形成されている。ガイド部61の前面には左側程後方に位置するように傾斜した後ガイド面62が形成されている。また、前記保持部59の前面には右側程後方に位置するように傾斜した前ガイド面63が形成されている。
【0060】
このように構成することで、ストッパー47は例えば以下のように調理器本体4に取り付けることが可能になる。すなわち、ストッパー47を上下から挟むように摘まんでストッパー47後部の上下幅を狭め、この状態でストッパー47を図9に示すようにストッパー収納部50の保持部59右側に挿入していくと、ストッパー47の両被取付部49が形成された後端部はガイド部61の後ガイド面62に当たって後ガイド面62に沿ってスリット51が形成された左側に移動し、最終的にストッパー47の後端部に形成された両被取付部49がスリット51に対応する位置に移動することとなる。このため、両被取付部49を対応するスリット51へとスムーズに導くことができる。そして、このように両被取付部49がスリット51に対応する位置に移動された後に、ストッパー47の弾性復元力によってストッパー47後部の上下幅が広がると、両被取付部49が対応するスリット51に挿入されることとなる。
【0061】
また、前記ストッパー収納部50へのストッパー47の挿入の際、ストッパー47がストッパー収納部50の左側に挿入されることも考えられる。しかし、この場合は、前記ストッパー47の挿入時においてストッパー47の後端部が保持部59の前ガイド面63に当たって前ガイド面63に沿ってガイド部61が形成された右側に移動するため、ストッパー47の後端部をガイド部61の前面にスムーズに導くことができる。
【0062】
また、本実施形態の加熱調理器1には、前述のように調理器本体4に取り付けたストッパー47の被連結部52を第一カバー28の連結部53に容易に連結できるようになっている。以下、この点につき説明する。
【0063】
図7のように、前記連結部53を構成する第一カバー28の裏面に突設された係合部54と両抜止部55は、第一カバー28が図4に示す第二位置に配置された際、ストッパー収納部50に前方から挿入されるようになっている。図11に示すように、係合部54の先端面には抜止部55側に行く程第一カバー28表面側に位置するように傾斜した第一案内面64が形成されている。また、各抜止部55の係合部54側の側面には、第一カバー28表面側に行く程係合部54側に位置するように傾斜した第二案内面65が形成されている。
【0064】
図7に示すように、ストッパー47の被連結部52を連結部53に連結していない状態で、第一カバー28を閉じ位置となる第二位置側に回動していくと、係合部54はストッパー収納部50に挿入される段階で、ストッパー47の縦線状部58が係合部54の第一案内面64に当接し、この後、この第一案内面64に沿って抜止部55側に導かれる。さらに回動を進めると、ストッパー47の縦線状部58は両抜止部55の第二案内面65に当接した後、溝部57側に導かれ、これにより縦線状部58は係合部54の爪部56に係合され、被連結部52が連結部53に連結されることとなる。
【0065】
以上説明した本実施形態の加熱調理器1は、本体前面部10に該本体前面部10の一部を覆うカバー28〜31が回動自在に取り付けられる。このため、施工時にカバー28〜31を紛失することがなく、また、施工時にカバー28〜31を調理器本体4に取り付ける必要がない。また、第一カバー28の本体前面部10から離れる方向への回動を所定角度に制限する回動規制手段を備えることで、第一カバー28が開きすぎることを防止できる。このため、グリル用開口11からグリル皿受けを出し入れする際等に第一カバー28が邪魔になり難い。
【0066】
また、回動規制手段として、調理器本体4と第一カバー28を連結するストッパー47を備え、ストッパー47は調理器本体4に設けられると共に第一カバー28に着脱自在に連結される被連結部52を有し、被連結部52が第一カバー28と連結されていない非連結状態において第一カバー28を本体前面部10の一部を覆う第二位置まで回動した際に被連結部52が第一カバー28に連結されるようになっている。このため、第一カバー28を閉じ位置となる第二位置まで回動するだけで、ストッパー47の被連結部52を第一カバー28の連結部53に容易に連結することができる。
【0067】
また、ストッパー47は一端部が調理器本体4に形成された前後方向に伸びるスリット51に摺動自在に挿入されることで所定範囲内で前後方向に移動自在に調理器本体4に取り付けられ、ストッパー47の他端部に、係合により第一カバー28に着脱自在に連結される前記被連結部52が形成されている。このように構成することで、カバー27を開いたときにストッパー47が前方に移動し、このストッパー47が移動範囲内における前端部に配置されたときにカバー27のそれ以上の回動が規制されることとなる。また、カバー27とストッパー47の連結を係合による簡易なものにできる。
【0068】
また、回動規制手段は、第一カバー28の本体前面部10から離れる方向への回動を略90度に制限するため、グリル用開口11からグリル皿受けを出し入れする際等に第一カバー28がより一層邪魔になり難い。また、第一カバー28を略90度まで開くことができるので、電池収納部26から電池を出し入れする際等にも第一カバー28が邪魔になり難い。
【0069】
なお、本実施形態では、ストッパー47を調理器本体4に設けたが、第一カバー28に設けてもかまわない。すなわち、この場合、ストッパーは調理器本体4に連結される被連結部を有し、該被連結部が調理器本体4と連結されていない非連結状態において第一カバー28を調理器本体4の前面部の一部を覆う位置まで回動した際に前記被連結部が調理器本体4に連結される。
【0070】
また、回動規制手段によって規制される第一カバー28の回動角度は、調理器本体4の利用にあたって第一カバー28が邪魔にならない位置に配置できるのであれば、前記略90度に限定されるものではなく、90度を超えてもよいし、90度未満であってもよい。
【0071】
また、本実施形態では、回動規制手段により第一カバー28の調理器本体4の前面から離れる方向への回動を所定角度に制限したが、同様の回動規制手段を用いて、他のカバー29〜31の調理器本体4の前面から離れる方向への回動を所定角度に制限する回動規制手段を備えてもよい。他のカバー29〜31にあっても、カバー29〜31に覆われた本体前面部10や、カバー29〜31の裏面、前面開口部16の周縁と本体前面部10の外縁の間に形成された隙間37部分の掃除をする際等に第二位置側に開く必要があるためである。
【0072】
また、回動規制手段によって回動が規制されるカバー(本実施形態では第一カバー28)は、開いたときに本体前面部10におけるグリル用開口11以外の箇所の前方に位置するものであってもよい。調理器本体4の前面には、グリル用開口11の他、多数の操作部や表示部等が集中的に設けられるものであり、これらの前側にカバーが配置されることは加熱調理器1の利用の際に邪魔になる恐れがあり、前記回動規制手段を設けることによりこの点を改善できるからである。
【0073】
また、本実施形態の加熱調理器1は加熱部としてガスバーナーを用いたが、加熱部はガスバーナに限定されるものではなく、加熱部として、電気ヒータ、IHヒータ等を用いるなど、本発明は、種々の方式の加熱部を用いた加熱調理器に適用可能である。また、この他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 加熱調理器
4 調理器本体
10 本体前面部
27 カバー
47 ストッパー
51 スリット
52 被連結部
図1
図2
図3
図4
図5
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図11