特許第5793049号(P5793049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ IHI運搬機械株式会社の特許一覧

特許5793049二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置
<>
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000002
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000003
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000004
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000005
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000006
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000007
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000008
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000009
  • 特許5793049-二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793049
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   E04H6/06 B
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-223949(P2011-223949)
(22)【出願日】2011年10月11日
(65)【公開番号】特開2013-83099(P2013-83099A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】望月 健次
【審査官】 土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−265697(JP,A)
【文献】 特開平08−028076(JP,A)
【文献】 特開2002−242470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/06
E04H 6/12
E04H 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースが設けられ、
車両が入出庫する入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で車両を載せて昇降可能なパレットと、
駐車するパレットの両側面に沿って長手方向に延びる支持梁とを備える二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置であって、
車両と干渉しない位置でパレットの四隅から上方に延びる衝突防止金具と、
前記支持梁に取り付けられ、衝突防止金具の鉛直方向上方に間隔を隔てて位置する浮き上がり防止金具と、を備え、
浮き上がり防止金具と衝突防止金具の当接により前記間隔を超えるパレットの浮き上がりを防止する、ことを特徴とする二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置。
【請求項2】
前記支持梁は、最上段に駐車するパレットの両側面に沿って長手方向に延びる側部梁、又は、最上段と最下段の間の中間段に駐車するパレットを囲みパレットを吊下げて横方向に移動可能に設置された矩形フレームである、ことを特徴とする請求項1に記載の二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置。
【請求項3】
浮き上がり防止金具は、前記支持梁からパレット側に向けて延びる浮き上がり防止部と、該浮き上がり防止部のパレット側端部から下方に延び衝突防止金具の上端よりも下方に下端を有する振れ止め部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置。
【請求項4】
衝突防止金具の上端は、その下端よりパレットの幅方向外側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置。
【請求項5】
衝突防止金具は、幅方向に貫通する矩形穴を有するリング形状であり、
さらに浮き上がり防止金具の下方に落下防止装置を備え、
落下防止装置は、パレット側に向けて前記矩形穴内に出入り可能なフックを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースが設けられた二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二多段式駐車装置は、地上のみに駐車スペースが設けられる地上式と、地上と地下に駐車スペースが設けられるピット式とに大別できる。地上式とピット式のいずれも、車両の入出庫は、入出庫高さ(FL)に位置するパレット上に車両を直接入庫し、又は入出庫高さのパレット上から車両を出庫することで行われる。
そして、二多段式駐車装置は、パレットを駐車スペースに昇降または横行させることにより、同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースを設け、車両を駐車している。
従来の一般的な二多段式駐車装置1は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図1は、特許文献1の二多段式駐車装置の説明図である。
従来の一般的な二多段式駐車装置1は、パレット3が風雨に晒される構造になっているにもかかわらず、空のパレット3が風圧で浮き上がることを想定して設計されていなかった。そのため、2段目以上の駐車スペースに設置されたパレット3に車両5が駐車されていない場合、台風などの風圧により、空のパレット3が浮き上がり、落下防止装置やパレット停止用スイッチにパレット3が衝突することで、部品が破損することがあった。
【0004】
このような観点から、パレットの浮き上がり防止装置を取り付けた二多段式駐車装置が、特許文献2及び特許文献3に開示されている。
【0005】
図2は特許文献2の浮き上がり防止装置の説明図である。
図2(A)は浮き上がり防止装置の作動時、図2(B)は浮き上がり防止装置の解除時である。
図2(A)において、パレット2内に浮き上がり防止装置4が上下に揺動自在に取り付けられており、パレット2の側面から浮き上がり防止装置4のストッパ部8がパレット係止部10の下方に突出する。
また、パレット2の下方には、パレット2を載せて昇降及び横行移動する昇降体12が備えられており、昇降体12内に回転可能な解除装置14が備えられている。
解除装置14は、ピン16を介して上下動自在に取り付けられたU字状の揺動体18と、揺動体18の基端から斜め上方に備えられているローラ20を有している。そして、昇降体12がパレット2を載せる際にローラ20がパレット2の下面に当接すると、解除装置14がピン16を中心に回転し、揺動体18の操作部22が浮き上がり、パレットの下面に開いた孔24からパレット内に挿入される。そして、操作部22が下から浮き上がり防止装置4に当接して、浮き上がり防止装置4を回転させパレット係止部10から解除するようになっている。
【0006】
図3は特許文献3の浮き上がり防止装置の説明図である。この図において、(A)は浮き上がり防止装置の第1実施例、(B)は第1実施例の設置位置の説明図である。また、(C)は浮き上がり防止装置の第2実施例、(D)は第2実施例の設置位置の説明図である。
図3(A)(B)の浮き上がり防止装置34は、パレット30の上部を押さえる出没自在な略円弧状のストッパ32を有する。
この浮き上がり防止装置34は、二多段式駐車装置36のピット38又は主支柱40に取り付けられたケーシング42に、ストッパ32を、その上部を回転自在に軸44で止めたものである。各浮き上がり防止装置34は、ストッパ32が個々に出没するように制御される。
なお、図3(B)に示すように、特許文献3の第1実施例の浮き上がり防止装置34は、パレット30の落下防止機能はないため、ピット38内の最下部に設置される。
【0007】
また、図3(C)(D)に示すように、パレット30側に設けた凹陥部30aに進退自在に嵌合するピン46を設けた二多段式駐車装置36も、第2実施例として開示されている。
この浮き上がり防止装置34は、ピン46がケーシング42にパレット30側に進退自在になるように設けられたものである。ピン46は、ケーシング42内のソレノイド又はラック・アンド・ピニオン等により進退自在に作動し、パレット30側に設けられた凹陥部30aに嵌合する。
各浮き上がり防止装置34は、ピン46が個々に出没するように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−105997号公報、「多段式駐車装置」
【特許文献2】特開平8−28088号公報、「立体駐車設備」
【特許文献3】特開2002−30820号公報、「機械式二・多段駐車装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、特許文献1の二多段式駐車装置1は、空のパレット3が風圧で浮き上がることを想定していないため、風圧により空のパレット3が浮き上がり、パレット3が衝突して落下防止装置やパレット停止用スイッチ等のパレット周囲の機器を破損させることがあった。
【0010】
また、特許文献2に開示された二多段式駐車装置7では、浮き上がり防止装置4の構造が複雑であるため、パレット2の位置がわずかにずれるだけで、パレット2の下面の孔24に揺動体18が入らずに、もしくは、揺動体18が浮き上がり防止装置4のストッパ部8に噛み合わずに、解除装置14が浮き上がり防止装置4を解除できないおそれがあった。
【0011】
また、特許文献2の二多段式駐車装置7では、パレット2の下方に昇降体12を設ける必要があるため、二多段式駐車装置7の最下層にしか浮き上がり防止装置4を設けることができなかった。
【0012】
また、特許文献2の浮き上がり防止装置4は、構造が複雑であるため、設置に手間がかかるだけでなく、壊れやすく、メンテナンスもこまめに必要であった。そのため、二多段式駐車装置7の維持に、手間と費用が必要であった。さらに、昇降体12を昇降させることにより解除装置14が作動するため、昇降体12が不可欠であった。
【0013】
特許文献3に開示された二多段式駐車装置36は、浮き上がり防止装置34が作動する度に、ストッパ32やピン46を作動させるための電力が必要であった。
【0014】
また、特許文献3では、上段に浮き上がり防止装置34を設置する場合は、落下防止装置を別に設ける必要がある。そのため、パレット1枚につき、浮き上がり防止34と落下防止装置の2種類の電力による制御が必要な装置が必要となり、電力消費が多く、メンテナンスが頻繁に必要であった。
【0015】
また、特許文献3の第2実施例の浮き上がり防止装置34においては、凹陥部30aを設ける分、パレット30に厚みが必要となるため、地上式の二多段式駐車装置36に設置すると、パレット30と、入出庫高さ(FL)との間に大きな段差が設けられてしまう。そのため、特許文献3の第2実施例の浮き上がり防止34は、地上式の二多段式駐車装置36には使用しにくかった。
【0016】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、単純な構造でパレットの浮き上がりを防止でき、停電時にもパレットの浮き上がり防止機能を発揮でき、地上式とピット式の両方への適用が容易であり、壊れにくく、メンテナンスがほとんど不要な二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースが設けられ、
車両が入出庫する入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で車両を載せて昇降可能なパレットと、
駐車するパレットの両側面に沿って長手方向に延びる支持梁とを備える二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置であって、
車両と干渉しない位置でパレットの四隅から上方に延びる衝突防止金具と、
前記支持梁に取り付けられ、衝突防止金具の鉛直方向上方に間隔を隔てて位置する浮き上がり防止金具と、を備え、
浮き上がり防止金具と衝突防止金具の当接により前記間隔を超えるパレットの浮き上がりを防止する、ことを特徴とする二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明の二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置は、パレットの四隅から上方に延びる衝突防止金具と、支持梁に取り付けられた浮き上がり防止金具とで構成され、浮き上がり防止金具と衝突防止金具の当接によりパレットの浮き上がりを防止するので、構造が単純であり、設置が簡単である。そのため、壊れにくく、メンテナンスがほとんど必要ない。また、構造が単純にもかかわらず、パレットの浮き上がりを確実に防止することができる。
【0019】
また、本発明のパレット浮き上がり防止装置は、パレットが浮き上がることによって上昇した衝突防止金具の上端が、パレット浮き上がり防止金具に当接することよって、機械的にパレットの浮き上がりを防止するため、電力を必要としない。そのため、従来の浮き上がり防止装置に使用していた電力を節約できるばかりでなく、停電時にもパレットの浮き上がりを防止することができる。
【0020】
さらに、本発明のパレット浮き上がり防止装置は、パレットの厚みを増す必要ないため、地上式とピット式の両方の二多段式駐車装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】特許文献1の二多段式駐車装置の説明図である。
図2】特許文献2の浮き上がり防止装置の説明図である。
図3】特許文献3の浮き上がり防止装置の説明図である。
図4】本発明のパレット浮き上がり防止装置を備えた二多段式駐車装置の正面図である。
図5】本発明のパレット浮き上がり防止装置の第1実施形態図である。
図6】本発明のパレット浮き上がり防止装置の第2実施形態図である。
図7図6(A)におけるD−D矢視図である。
図8】本発明のパレット浮き上がり防止装置の第3実施形態図である。
図9】本発明のパレット浮き上がり防止装置の第4実施形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0023】
図4は、本発明のパレット浮き上がり防止装置を備えた二多段式駐車装置の正面図である。
この例において、二多段式駐車装置50は、同一の設置スペースに3段(1F,2F,3F)の駐車スペースが設けられた地上3段昇降横行式の二多段式駐車装置である。
【0024】
この例において、3段のうち1Fに位置する2つのパレット52aは、水平に横行可能であり、2Fに位置する2つのパレット52bは、横行と昇降が可能であり、3Fに位置する3つのパレット52cは、昇降のみが可能になっている。
従って、この例において、車両54の収容台数は、3×3−2=7台である。
以下、パレット52a〜52cを特に区別しない場合は、単にパレット52と呼ぶ。
【0025】
なお、本発明は上述した二多段式駐車装置50に限定されず、それ以外の二多段式駐車装置50であってもよい。
例えば、駐車スペースの段数は、2段以上であれば、4段以上であってもよい。また、同一段の収容台数も3台に限定されず、2台でも4台以上でもよい。
以下、図4に基づき、本発明を説明する。
【0026】
車両54が入出庫する入出庫高さ(FL)は、この例で3連であり、A,B,Cの3つの入出庫部を有する。パレット52(パレット52a〜52c)の全幅はすべて同一であり、各入出庫部A,B,Cは、3つのパレット52が必要な隙間(例えば40mm以下)を隔てて互いに隣接して位置するようになっている。
【0027】
1Fに位置する2つのパレット52aは、その長さ方向両端部に車輪56aを有し、1Fに設けられた2本の水平レール58aに沿って図示しない水平駆動装置により水平に横行し、入出庫部A,B,Cのいずれかにおいて、車両54を直接入出庫させるようになっている。以下、入出庫とは、入庫と出庫を意味する。
【0028】
2Fに位置する2つのパレット52bは、これを吊上げる矩形フレーム60の長さ方向両端部に車輪56bを有し、2Fに設けられた2本の水平レール58bに沿って図示しない水平駆動装置により水平に横行し、入出庫部A,B,Cのいずれかにおいて、車両54を直接入出庫させるようになっている。
矩形フレーム60は、最上段と最下段の間の中間段に駐車するパレット52bを囲みパレット52bを吊下げて横方向に移動可能に設置されている。
【0029】
本発明の二多段式駐車装置50は、車両54が入出庫する入出庫高さ(FL)と、この入出庫高さより上方の駐車スペースとの間で車両54を載せて昇降可能なパレット52を有する。
この昇降可能なパレット52には、上述した2Fに位置する2つのパレット52bと、3Fに位置する3つのパレット52cが該当する。
【0030】
本発明の二多段式駐車装置50は、さらに、昇降駆動装置62を備えパレット52を昇降させるようになっている。
昇降駆動装置62は、車両54と干渉しない位置で鉛直に延びる可撓性のある紐状体64と、紐状体64を巻き上げ又は巻き戻しして、その下端64a(図7参照)を昇降させる吊り駆動装置66とを有することが好ましい。
この例において、紐状体64はチェーン(又はワイヤ)であり、吊り駆動装置66はチェーン駆動装置(又はウインチ)である。しかし、昇降駆動装置62はこれに限らず、紐状体64を昇降させることができるものであればどのような構造でもよい。
【0031】
2F用の吊り駆動装置66は、矩形フレーム60に固定され、矩形フレーム60と共に水平に横行する。
3F用の吊り駆動装置66は、本体フレーム68に固定され、本体フレーム68から3つのパレット52をそれぞれ独立して昇降させるようになっている。
なお、ここで、パレット52の外側に設けられた前後の支柱68a,68bと、後側の支柱68bの上端部を連結する後部梁68cと、前側の支柱68aの上端部を連結する前部梁68dと、最上段に駐車するパレット52の両側面に沿って長手方向に延びる側部梁68eを本体フレーム68とする。
また、側部梁68eのうち、向かい合った前後の支柱68a,68bを連結する梁を両端側部梁とし、設置スペース間で前部梁68dと後部梁68cとをパレット52の長手方向に連結する梁を連結側部梁とする。
さらに、側部梁68eと矩形フレーム60とを総称して、支持梁69とする。
【0032】
また、この例において、4本の紐状体64(チェーン又はワイヤ)の下端64a(図7参照)は荷重バランスを考慮して、パレット52の前後の計4箇所に固定され、吊り駆動装置66により、パレット52を水平に保持したまま昇降するようになっている。
【0033】
図5は、本発明のパレット浮き上がり防止装置の第1実施形態図である。
本発明のパレット浮き上がり防止装置74は、車両と干渉しない位置でパレット52の四隅から上方に延びる衝突防止金具70と、支持梁69(すなわち、側部梁68e又は矩形フレーム60)に取り付けられ、衝突防止金具70の鉛直方向上方に間隔を隔てて位置する浮き上がり防止金具72とを備える。
この間隔は、パレットの上限位置を検出する上限リミットスイッチ(図示せず)及び上限リミットスイッチより上でパレットを検出する安全リミットスイッチ(図示せず)の作動に支障がない距離(例えば40〜50mm)に設定するのが好ましい。
【0034】
浮き上がり防止金具72は、パレット52側に突出した面をもつ浮き上がり防止部72aを有する。浮き上がり防止部72aは、パレット52の長手方向に平行であることが好ましい。
【0035】
衝突防止金具70は、下端70aよりパレット52の幅方向外側に位置する上端70bを有することが好ましい。しかし、衝突防止金具70の形状はこれに限らず、車両と干渉しない位置でパレット52から上方に延びたものであれば、どのような形状でもよい。
また、衝突防止金具70は、金属製の棒であることが好ましいが、金属板であってもよい。
衝突防止金具70の下端70aは、パレット52の幅方向側部に取り付けられている。衝突防止金具70をパレット52に取り付ける方法は、ボルトによる締結か溶接が好ましいが、浮き上がり防止金具72に衝突したときにパレット52から分離しない方法であれば、その他の方法でもよい。
また、衝突防止金具70の素材は、衝突により変形しにくい硬い金属であれば、どのようなものでもよい。
【0036】
この例において、浮き上がり防止金具72の浮き上がり防止部72aは、側部梁68e又は矩形フレーム60からパレット52側に向けて水平に突出している。
浮き上がり防止金具72は、支持梁69にボルトによって締結されていることが好ましい。また、支持梁69を設置した後に、溶接によって取り付けても良い。
なお、第1実施形態のパレット浮き上がり防止装置74を使用するに際には、パレット52の振れ止めを、パレット浮き上がり防止装置74とは別に設けることが好ましい。
【0037】
上述した第1実施形態のパレット浮き上がり防止装置74を備えることにより、パレット52が風圧によって浮き上がった場合でも、浮き上がり防止金具70と衝突防止金具72の当接により前記間隔を超えるパレット52の浮き上がりを防ぐことができる。
【0038】
図6は、本発明のパレット浮き上がり防止装置の第2実施形態図である。この図において、(A)は落下防止装置の突出時であり、(B)は落下防止装置の解除時である。また、図7図6(A)におけるD−D矢視図である。
この例において、パレット浮き上がり防止装置74は、落下防止装置76を浮き上がり防止金具72の下方に備える。また、衝突防止金具70は、図7に示すように、幅方向に貫通する矩形穴78を有するリング形状である。
【0039】
落下防止装置76は、パレット52側に向けて矩形穴78内に出入り可能なフック80を有している。落下防止装置76のフック80は、ケーシング内のソレノイド又はラック・アンド・ピニオン等により進退自在に作動するようになっている。
【0040】
この構成により、衝突防止金具70が浮き上がり防止金具72に当接してパレット52の浮き上がりを防ぐばかりでなく、パレット52が落下した際にフック80に衝突防止金具70が掛かり、パレット52の落下を防ぐことができる。
【0041】
図8は、本発明のパレット浮き上がり防止装置の第3実施形態図である。
この例において、浮き上がり防止金具72は、浮き上がり防止部72aのパレット側端面から下方に延び、衝突防止金具70の上端70bよりも下方に下端72cを有する振れ止め部72bを備えている。
振れ止め部72bは、浮き上がり防止部72aと一体に形成されていることが好ましい。しかし、ボルトや溶接等の方法で、後から設置しても良い。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0042】
この構成により、パレット浮き上がり防止装置74とは別に、パレット52の振れ止めを設ける必要が無い。
すなわち、パレット52が左右に振れても、衝突防止金具70がパレット浮き上がり防止装置74の振れ止め部72bに当接するため、たとえ、矩形フレーム60が横行する際に、パレット52が横方向に大きく揺れても、パレット52が周囲の機器に衝突することはない。
【0043】
このように、第3実施形態のパレット浮き上がり防止装置74は、浮き上がり防止金具72の上方向に設置された機器に対してだけでなく、パレット52の横方向に設置された機器に対しても、パレット52の衝突を防ぐことができる。
【0044】
図9は、本発明のパレット浮き上がり防止装置の第4実施形態図である。この図において、(A)は落下防止装置の突出時であり、(B)は落下防止装置の解除時である。
第4実施形態のパレット浮き上がり防止装置74は、第2実施形態と同様に、パレット浮き上がり防止装置74の下方に落下防止装置76を備え、第3実施形態と同様の振れ止め部72bを備えている。
その他の構成は、第3実施形態と同様である。
【0045】
第4実施形態のパレット浮き上がり防止装置74は、衝突防止金具70から振れ止め部72bまでの距離D1を、衝突防止金具70から落下防止装置76までの距離D2より短くすることにより、衝突防止金具70の落下防止装置76への衝突を防ぐことができる。
すなわち、例えばパレット52の右側の紐状体64が外れた場合、パレット52は右に傾く。ここで、衝突防止金具70から振れ止め部72bまでの距離D1が、衝突防止金具70から落下防止装置76までの距離D2より短いことにより、右側の衝突防止金具70が右側の落下防止装置76に当接する前に、左側の衝突防止金具70が左側の振り止め部に当接する。そして、右側の衝突防止金具70が右側の落下防止装置76に衝突することを防ぐことができる。
したがって、このパレット浮き上がり防止装置74は、このような構成にすることで、パレット52の浮き上がりを防止するばかりでなく、駐車スペースにパレット52があるときのパレット52の振れ止めにもなり、なおかつ浮き上がり防止金具72の下に配置された機器への衝突防止金具70の衝突も防ぐことができる。
【0046】
なお、中間段(この例では2F)に本発明のパレット浮き上がり防止装置74を備える場合には、浮き上がり防止金具72を矩形フレーム60の内側に設け、落下防止装置76を矩形フレーム60の下に設ける。
その他の点に関しては、浮き上がり防止金具72を側部梁68eに設ける場合と同様である。
この構造により、パレット浮き上がり防止装置74は、矩形フレーム60と共に横行することができ、また、振れ止め部72bにより、横行時のパレット52の揺れによる横方向に配置された機器へのパレット52の衝突を防ぐことができる。
【0047】
上述した本発明の二多段式駐車装置用のパレット浮き上がり防止装置74は、パレットの四隅から上方に延びる衝突防止金具70と、支持梁69に取り付けられた浮き上がり防止金具72とで構成され、浮き上がり防止金具72と衝突防止金具70の当接によりパレット52の浮き上がりを防止するので、構造が単純であり、設置が簡単である。そのため、壊れにくく、メンテナンスがほとんど必要ない。また、構造が単純にもかかわらず、パレット52の浮き上がりを確実に防止することができる。
【0048】
また、本発明のパレット浮き上がり防止装置74は、パレット52が浮き上がることによって上昇した衝突防止金具70の上端が、パレット浮き上がり防止金具74に当接することよって、機械的にパレット52の浮き上がりを防止するため、電力を必要としない。そのため、従来の浮き上がり防止装置に使用していた電力を節約できるばかりでなく、停電時にもパレット52の浮き上がりを防止することができる。
【0049】
さらに、本発明のパレット浮き上がり防止装置74は、パレット52の厚みを増す必要ないため、地上式の二多段式駐車装置50にも、ピット式の二多段式駐車装置50にも適用することができる。
【0050】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1,7,36,50 二多段式駐車装置、
2,3,30 パレット、5,54 車両、
4,34 浮き上がり防止装置、
8 ストッパ部、10 パレット係止部、
12 昇降体、14 解除装置、
16 ピン、18 揺動体、20 ローラ、
22 操作部、24 パレットの下面の孔、30a 凹陥部、
32 ストッパ、38 ピット、40 主支柱、
42 ケーシング、44 軸、46 ピン、
52,52a,52b,52c パレット、
56a,56b 車輪、
58a,58b 水平レール、
60 矩形フレーム、62 昇降駆動装置、
64 紐状体、64a 下端、
66 吊り駆動装置、
68 本体フレーム、68e 側部梁、69 支持梁、
70 衝突防止金具、
72 浮き上がり防止金具、
72a 浮き上がり防止部、
72b 振れ止め部、72c 振れ止め部の下端、
74 パレット浮き上がり防止装置、
76 落下防止装置、
78 穴、80 フック、
D1 衝突防止金具から振れ止め部までの距離、
D2 衝突防止金具から落下防止装置までの距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9