(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態におけるトンネル施工装置の概略構成を示す。
図2(a)は、
図1のA−A断面を示す。
図2(b)は、
図1のB−B断面を示す。
【0018】
尚、本実施形態では、トンネル施工装置を用いて構築される構築物として床版を例にとって以下説明するが、構築物はこれに限らない。
また、本実施形態では、切羽側を前側とする一方、坑口側を後側とする。
また、本実施形態では、トンネル幅方向を左右方向とする。
【0019】
円形断面を有するトンネルの覆工体10は、シールド掘進機(図示せず)による掘進と並行してセグメント11(後述する
図3(b)参照)をトンネル周方向及びトンネル軸方向に連結させることにより構築される。
【0020】
覆工体10内での床版12の構築に用いられるトンネル施工装置1は、門型台車2と、この門型台車2に設置されたリフト装置3及びクレーン(揚重搬送装置)4とにより構成される。
【0021】
門型台車2はその前進方向がトンネル掘進方向である。
門型台車2は、左右方向断面で見て下側開口のコの字形状を有して前後方向に所定の長さで延在する台車本体(ガントリー)21と、その下面側に配置された左右一対の前輪22及び左右一対の後輪23とにより構成される。
【0022】
台車本体21は、左右一対の下端ビーム24と、複数(図では7つ)の門型フレーム25a〜25gと、左右一対の上端ビーム26とにより構成される。
【0023】
下端ビーム24は、台車本体21の左右両側の下端で前後方向に延在して所定長さを有する。また、下端ビーム24は、その前後端部に比べて中間部が下方に位置するように屈曲している。
【0024】
7つの門型フレーム25a〜25gは、門型台車2の前側端部から後側端部にかけて互いに間隔を空けて配置されており、各々の下端が下端ビーム24に接続されている。
ここで、門型フレーム25b,25c,25e,25fには、それぞれ、後述するリフト装置3のガイドレール33が取り付けられている。
【0025】
上端ビーム26は、7つの門型フレーム25a〜25gの各々の上端に接続されて、前後方向に延在している。
【0026】
また、左右一対の上端ビーム26は、各々が、門型フレーム25gより後方に向かって延在する所定長さの延長部26aを備える。左右一対の延長部26aには、左右方向に延在するビーム26bの両端が取り付けられている。このビーム26bにより、上端ビーム26の延長部26a同士の間隔が一定に保持される。
【0027】
門型台車2の左右両側面には、それぞれの上下方向中央部に、前後方向に延在する手摺り付きの足場27が設置されている。
また、門型台車2の後側端部(門型フレーム25g)には、床版構築時に使用される作業足場28が設けられている。尚、作業足場28には、図示しない手摺りが設けられている。
【0028】
台車本体21の下面側に配置された前輪22及び後輪23は、それぞれ、ウレタンタイヤである。また、覆工体10上の円弧状の路面RSに直角に接するように、前輪22及び後輪23は、各々の左右両輪が正面から見てハの字状になるように、車軸を傾斜させて配置される。
【0029】
前輪22は、図示しない油圧式操舵機構を介して操舵可能であり、これにより、門型台車2の走行方向の調整を行うことができる。
後輪23は、モータ29を駆動源とする駆動輪である。従って、門型台車2は、モータ29を駆動源として、トンネル軸方向に自走することができる。
【0030】
門型台車2の内側下方部では、搬送車両5が通過可能である。
【0031】
ここで、
図1及び
図2に加えて、
図3を用いて、搬送車両5(搬送台車5a)について説明する。
【0032】
図3は、搬送台車5aの概略構成を示す。ここで、
図3(a)は、床版12を構成する矩形板状のパネル部材(構成部材)12aを積載した状態の搬送台車5aを示す。また、
図3(b)は、円弧状のセグメント11を積載した状態の搬送台車5aを示す。
【0033】
搬送車両5は、覆工体10の底部に予め敷設された2本のレールからなる軌道51に沿ってトンネル軸方向に走行するものであり、トンネル工事用の資材の搬送に用いられる。
【0034】
搬送車両5は、例えば1編成3両で(
図1では3両のうちの2両を図示)、切羽側への走行方向先頭から順に、2両の搬送台車5aと、図示しない1両のバッテリーロコとから構成されている。尚、搬送車両5が坑口側から切羽側に向けて走行するときは、搬送台車5aを先頭にして、バッテリーロコにより搬送台車5aを押動して走行し、切羽側から坑口側へ戻るときは、バッテリーロコを先頭にして、バッテリーロコにより搬送台車5aを牽引して走行する。
【0035】
搬送台車5aは、その上面側に、パネル部材12aやセグメント11等の資材を積載するもので、その下面側に、4つの車輪52を備える。4つの車輪52は、搬送台車5aの前後左右に設けられており、それぞれがフランジ付きで、軌道51上を転動可能である。
【0036】
搬送台車5aの上面側は、その前後方向中間部が上側開口のコ字状に窪んでいる。この窪み部53には、
図3(a)に示すパネル部材12aの積載状態にて、後述するリフト装置3の支持アーム35の支持部35bが挿入される。尚、パネル部材12aは、その長辺が搬送台車5aの前後方向に一致するように、搬送台車5aに積載される。
【0037】
次に、
図1、
図2、及び
図4〜
図6を用いて、リフト装置3について説明する。
図4は、リフト装置3を構成するリフト本体31を門型台車2内から見た場合のリフト本体31の概略構成を示す。
図5(a)は、
図4のC−C断面を示す。
図5(b)は、
図4のD−D断面を示す。
図6は、リフト装置3を構成する電気チェーンブロック32の概略構成を示す。
【0038】
リフト装置3は、門型台車2の門型フレーム25bと門型フレーム25cとの間と、門型フレーム25eと門型フレーム25fとの間とに、左右一対ずつ設けられている。
【0039】
リフト装置3は、リフト本体31と、このリフト本体31を上昇・下降させる昇降装置である電気チェーンブロック32と、リフト本体31の上昇・下降をガイドするガイドレール33とにより構成される。
【0040】
リフト本体31は、矩形状の枠体34と、この枠体34の下部に設けられた一対の支持アーム35と、枠体34の両側面(トンネル軸方向での両端面)に回動自在に設けられた複数(図では4つ)のローラ36と、により構成される。
ここで、矩形状の枠体34については、その長辺がトンネル軸方向に対応し、短辺が上下方向に対応している。
【0041】
一対の支持アーム35は、枠体34の門型台車2内に向く側にて、トンネル軸方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0042】
支持アーム35は鉛直方向にL字型の断面形状を有し、その短辺が鉛直方向に延在する基端部35aをなし、基端部35aの下端から水平方向に延在する長辺が支持部35bをなしている。
また、支持アーム35は、その基端部35aがヒンジ機構38を介して、枠体34に取り付けられている。
【0043】
図5(b)はヒンジ機構38の一例を示している。この例ではヒンジ機構38が、旋回ピン38aとスラストブッシュ38bと割りピン38cとにより構成されている。この例では、旋回ピン38aを旋回中心として支持アーム35が旋回可能である。尚、ヒンジ機構38の構成は、
図5(b)に示す構成に限らない。
【0044】
一対の支持アーム35の間には、一対の油圧ジャッキ39が配置されている。
油圧ジャッキ39は、その一端がブラケット39aを介して支持アーム35の基端部35aに取り付けられて、他端が枠体34のトンネル軸方向中央部にブラケット39bを介して取り付けられている。
【0045】
油圧ジャッキ39を伸長させると、支持アーム35が旋回ピン38aを旋回中心として旋回し、これにより、支持アーム35の支持部35bが門型台車2の内側に突出する。
一方、油圧ジャッキ39を短縮させると、支持アーム35が旋回ピン38aを旋回中心として旋回し、これにより、支持アーム35の支持部35bが枠体34と略平行となって、支持アーム35の支持部35bが収納される。
従って、油圧ジャッキ39を伸縮させることにより、支持アーム35の支持部35bの突出・収納の切り換えを行うことができる。
【0046】
尚、一対の支持アーム35については、互いに連動して、油圧ジャッキ39の伸縮により、支持部35bの突出・収納の動作を行う。つまり、いわゆる観音開きのような動作形態で、一対の支持アーム35の支持部35bの突出・収納動作が行われる。
【0047】
ガイドレール33は、門型フレーム25b,25c,25e,25fの各々の左右両側部に設置されている。
ガイドレール33は、ウェブと一対のフランジとからなるコ字状断面を有して、下端ビーム24から足場27近傍まで上下方向に延在している。
【0048】
ここで、ガイドレール33については、そのフランジ間をリフト本体31のローラ36が通過可能なように、門型フレーム25b,25c,25e,25fの各々の左右両側部に設置されている。これにより、リフト本体31は、ガイドレール33のフランジ間にローラ36を位置させつつ、上昇・下降を行うことができる。
【0049】
リフト本体31を上昇・下降させる電気チェーンブロック32は、
図6に示すように、上端ビーム26に電気チェーンブロック32を吊り下げるための上フック41と、リフト本体31を吊り下げるためのチェーン42及び下フック43と、チェーン42を収納するためのチェーンバケット44と、チェーン42を駆動するための駆動装置45と、チェーン42の上下運動等の操作を行うためのスイッチ46とにより構成されている。
【0050】
ここで、下フック43は、リフト本体31に設けられた吊り具47(
図4参照)に取り付けられる。
また、トンネル軸方向に並ぶ電気チェーンブロック32同士の間隔は、搬送台車5aの前後方向長さに略一致している。これにより、2両の搬送台車5aが連結された状態で、搬送台車5a同士の重心位置間の距離が、トンネル軸方向に並ぶ電気チェーンブロック32同士の間隔に略一致する。
【0051】
次に、
図1、
図2、及び
図7を用いて、クレーン4について説明する。
図7は、クレーン4の概略構成を示す。
【0052】
クレーン4は、門型台車2の門型フレーム25a〜25gの上部及びビーム26bの下面に取り付けられて前後方向に延在する所定長さの左右1対の走行レール61と、走行レール61を走行する左右1対の走行装置62と、左右方向に延在して両端部に走行装置62がそれぞれ取り付けられる横行レール63と、横行レール63を走行する電気ホイスト64とにより構成される。
【0053】
クレーン4は、以上の構成を有することにより、門型台車2の前側端部から後側端部を経て延長部26aに至るまでの範囲内で資材を揚重搬送することができる。
【0054】
次に、トンネル施工装置1を用いたトンネルの施工方法について、
図1〜
図7に加えて、
図8〜
図10を用いて説明する。
【0055】
図8〜
図10は、トンネル施工装置1を用いた床版の構築方法を示す。
尚、本実施形態では、ハーフプレキャスト型枠工法を用いた床版の構築を例にとって以下説明する。
【0056】
ハーフプレキャスト型枠工法では、一般に、プレキャスト部材を敷き込み、その上に鉄筋を配置して型枠を設置した上でコンクリートを打ち込んで、床版を構築する。
本実施形態では、パネル部材12aが、このプレキャスト部材に対応する。
【0057】
まず、
図8(a)に示すように、リフト装置3をその下端の待機位置で待機させる。
また、2両の搬送台車5aが、それぞれ、複数(図では5枚)のパネル部材12aを積載した状態で、図示しない1両のバッテリーロコにより押動されて、坑口側から、構築済みの床版12や構築中の床版12の下方を通過して、門型台車2の内側下方部まで走行して停車する。この後に、4つのリフト装置3の支持アーム35の支持部35bをそれぞれ突出させる。このときに、支持アーム35の支持部35bが、搬送台車5aの窪み部53に挿入されて、積載されたパネル部材12aの下方に位置する。また、このときに、積載されたパネル部材12aのトンネル軸方向での重心位置と、当該パネル部材12aの左右両側に位置するリフト装置3のトンネル軸方向での支持中心とが一致していることを確認する。
【0058】
次に、
図8(b)に示すように、4つのリフト装置3によって、搬送台車5aより全てのパネル部材12aを門型台車2内で一度に持ち上げる。具体的には、4つの電気チェーンブロック32により4つのリフト本体31を同時に上昇させることにより、各々の支持アーム35の支持部35bにてパネル部材12aを支持して、パネル部材12aを一度に持ち上げる。この後に、2両の搬送台車5aは、図示しない1両のバッテリーロコにより牽引されて、門型台車2の内側下方部から、構築中の床版12や構築済みの床版12の下方を通過して、坑口側へ走行する。これにより、リフト本体31の下方には、搬送車両5が通過可能なスペースが形成される。従って、リフト本体31が上昇している間は、リフト本体31の下方を、セグメント11を積載した搬送車両5(搬送台車5a)が、通過可能である。
【0059】
ここで、リフト装置3は、パネル部材12aを持ち上げた状態を保持することができるので、本発明における保管装置として機能して、パネル部材12aを門型台車2内で保管することができる。
【0060】
次に、
図9(c)に示すように、リフト装置3により保管されているパネル部材12aを1枚ずつ、クレーン4を用いて揚重し、門型台車2の後方の設置位置の直上に搬送する。ここで、門型台車2の後方とは、門型台車2の後側端部(門型フレーム25g)の後方を意味する。また、クレーン4の玉掛け作業は、門型台車2の足場27上の作業員により行われる。
【0061】
次に、
図9(d)に示すように、クレーン4により揚重されたパネル部材12aを水平面上で90°回転させて、パネル部材12aの長辺をトンネル幅方向に一致させる。
【0062】
次に、
図10(e)に示すように、パネル部材12aを吊り下げて、設置位置への搬送を終了する。ここで、
図2(b)に示すように、パネル部材12aは、予め構築された左右の側壁13間を塞ぐように、左右の側壁13に載置される。そして、設置位置に搬送されたパネル部材12aについては、その坑口側で隣接するパネル部材12aとの接続部を塞ぐように添接板(図示せず)を配置して、添接板を、両パネル部材12aにボルト固定する。尚、添接板の配置及びボルト固定は、作業足場28上の作業員により行われる。
【0063】
クレーン4によるパネル部材12aの揚重搬送は、門型台車2内に保管されているパネル部材12aの在庫が無くなるまで連続的に行われる。また、パネル部材12aの設置の進行度合に応じて、門型台車2が前進する。
【0064】
門型台車2内のパネル部材12aの在庫が無くなると、
図10(f)に示すように、電気チェーンブロック32によりリフト本体31を下降させて、下端の待機位置にて待機させる。また、リフト装置3の支持アーム35を収納動作させる。
【0065】
本実施形態では、10枚のパネル部材12aを1グループとして、クレーン4により、パネル部材12aを1枚ずつ連続的に設置位置に揚重搬送している。この揚重搬送中のグループより1つ前のグループ(すなわち、設置位置に搬送されて添接板のボルト固定が完了しているグループ)については、設置されたパネル部材12a上に鉄筋(図示せず)が配置される。また、型枠(図示せず)が設置された上でコンクリートが打設される。このようにして、床版12が構築される。
【0066】
尚、搬送台車5aに積載されるパネル部材12aの上に添接板や鉄筋を載置して、これらをパネル部材12aと一緒に、リフト装置3により持ち上げて、門型台車2内に保管してもよい。すなわち、本発明における床版12の構成部材は、パネル部材12aに限らず、例えば、鉄筋や添接板であり得る。
【0067】
本実施形態によれば、トンネル施工装置1は、トンネル軸方向に走行自在であり、かつ、内側下方部で搬送車両5が通過可能な門型台車2と、搬送車両5により門型台車2内に搬送されたパネル部材12aを門型台車2内で持ち上げるリフト装置3と、持ち上げられたパネル部材12aを門型台車2内で保管する保管装置(リフト装置3)と、この保管装置よりパネル部材12aを揚重して門型台車2のトンネル軸方向外方の設置位置に搬送するクレーン4と、により構成される。これにより、クレーン4は、搬送車両5の走行状況に影響を受けることなく、必要に応じて、保管装置(リフト装置3)よりパネル部材12aをその設置位置に揚重搬送することができるので、クレーン4の稼働率を向上させることができ、ひいては、クレーン4によるパネル部材12aの搬送を効率的に行うことができる。
【0068】
また本実施形態によれば、クレーン4が、保管装置(リフト装置3)によりパネル部材12aを揚重して門型台車2のトンネル軸方向外方の設置位置に搬送する。これにより、特許文献2に記載のようなクレーンを用いて、構築済みの床版12上にてパネル部材12aを揚重して当該設置位置に搬送する場合に比べて、クレーンによる搬送距離を短くすることができるので、クレーンによるパネル部材12aの搬送を効率的に行うことができる。
【0069】
また本実施形態によれば、クレーン4はパネル部材12aを門型台車2のトンネル掘進方向とは反対方向である後方の設置位置に搬送する。これにより、門型台車2をトンネルの掘進に応じて前進させつつ、門型台車2の後方にパネル部材12aを搬送して床版12を構築することができる。
【0070】
また本実施形態によれば、リフト装置3は、パネル部材12aを持ち上げた状態を保持することにより、保管装置として機能して、パネル部材12aを門型台車2内で保管する。これにより、保管装置を別途設けることなく、リフト装置3にてパネル部材12aを保管することができるので、門型台車2内の省スペース化を実現することができる。
【0071】
また本実施形態によれば、門型台車2は、トンネル内をトンネル軸方向に自走する。これにより、シールド掘進機の掘進サイクルに影響を受けることなく、パネル部材12aの設置状況に応じて、門型台車2を前進させることができる。
【0072】
図11は、本発明の第2実施形態におけるトンネル施工装置の概略構成を示しており、
図1のA−A断面(
図2(a))に対応している。
図11(a)は、複数のパネル部材12aを積載した搬送台車5a(搬送車両5)が、門型台車2の内側下方部にて停車している状態を示している。
図11(b)は、後述する保管装置81により、複数のパネル部材12aが保管されている状態を示す。
【0073】
図2(a)に示す第1実施形態と異なる点について説明する。
【0074】
第1実施形態では、台車本体21が、左右方向断面で見て下側開口のコの字形状を有しているが、第2実施形態では、台車本体21が、左右方向断面で見て下側開口のU字形状を有している。
【0075】
台車本体21を構成する門型フレーム25a〜25gには、それぞれの上部の下面に、ブラケットを介して、クレーン4の走行クレーン61が取り付けられている。ここで、
図11は、門型フレーム25cの上部の下面に、ブラケット25c’を介して、走行レール61が取り付けられることを示している。
【0076】
台車本体21には、その門型フレーム25a〜25gのトンネル幅方向中央の頂部に接続されて前後方向に延在する所定長さの頂部ビーム71が設けられている。
【0077】
頂部ビーム71のうち、門型フレーム25bと門型フレーム25cとの間と、門型フレーム25eと門型フレーム25fとの間とには、それぞれ、電気チェーンブロック72が吊り下げられている。これら2つの電気チェーンブロック72の構成は、電気チェーンブロック32と同様である。また、2つの電気チェーンブロック72同士の間隔は、搬送台車5aの前後方向長さに略一致している。これにより、2両の搬送台車5aが連結された状態で、搬送台車5a同士の重心位置間の距離が、2つの電気チェーンブロック72同士の間隔に略一致する。
【0078】
本実施形態では、第1実施形態におけるリフト装置3の代わりとして、保管装置81を備えている。
【0079】
保管装置81は、門型台車2の門型フレーム25bと門型フレーム25cとの間と、門型フレーム25eと門型フレーム25fとの間とに、左右一対ずつ設けられている。
保管装置81は、上述のリフト本体31のうち、ローラ36以外の構成を有する。つまり、保管装置81は、上述の枠体34と支持アーム35とヒンジ機構38と油圧ジャッキ39とにより構成される。
【0080】
門型台車2の左前側に位置する保管装置81の枠体34は、その両端が、門型フレーム25b,25cの左側部の上下方向中央部に固定されている。一方、門型台車2の右前側に位置する保管装置81の枠体34は、その両端が、門型フレーム25b,25cの右側部の上下方向中央部に固定されている。
【0081】
門型台車2の左後側に位置する保管装置81の枠体34は、その両端が、門型フレーム25e,25fの左側部の上下方向中央部に固定されている。一方、門型台車2の右後側に位置する保管装置81の枠体34は、その両端が、門型フレーム25e,25fの右側部の上下方向中央部に固定されている。
【0082】
保管装置81では、上述のリフト本体31と同様に、油圧ジャッキ39を伸縮させることにより、支持アーム35の支持部35bの突出・収納の切り換えを行うことができる。
【0083】
本実施形態では、2つの電気チェーンブロック72が、本発明におけるリフト装置として機能して、搬送車両5(搬送台車5a)により門型台車2内に搬送された複数のパネル部材12aを門型台車2内で一度に吊上げる。
【0084】
吊上げられたパネル部材12aの下方では、4つの保管装置81の各々の支持アーム35の支持部35bがそれぞれ突出可能である。
【0085】
従って、電気チェーンブロック72によって吊上げられたパネル部材12aを、突出状態の支持アーム35の支持部35b上に荷卸しすることにより、パネル部材12aを門型台車2内で保管することができる(
図11(b)参照)。換言すれば、保管装置81は、電気チェーンブロック72により持ち上げられたパネル部材12aを、比較的高位な状態のままで門型台車2内にて保管することができる。
【0086】
保管装置81により保管されているパネル部材12aは、クレーン4を用いて1枚ずつ揚重されて、門型台車2の後方の設置位置の直上に搬送される。
【0087】
特に本実施形態によれば、搬送車両5(搬送台車5a)により門型台車2内に搬送されたパネル部材12aを門型台車2内で電気チェーンブロック72を用いて持ち上げ、この持ち上げられたパネル部材12aを保管装置81にて保管する。これにより、パネル部材12aの持ち上げを比較的簡素な構成で実現することができる。
【0088】
尚、上述の第1及び第2実施形態では、トンネル内の構築物として、床版を例にとって説明したが、構築物はこれに限らず、例えば、
図2及び
図11に示したような側壁をトンネル内の構築物として、本発明に係るトンネル施工装置を用いて、側壁の構成部材をその設置位置に搬送してもよい。