特許第5793078号(P5793078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5793078T字形磁石ウェッジを備えた回転電気機械用内部ロータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793078
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】T字形磁石ウェッジを備えた回転電気機械用内部ロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   H02K1/27 501K
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-523326(P2011-523326)
(86)(22)【出願日】2009年7月28日
(65)【公表番号】特表2012-500614(P2012-500614A)
(43)【公表日】2012年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2009005456
(87)【国際公開番号】WO2010020335
(87)【国際公開日】20100225
【審査請求日】2012年7月27日
(31)【優先権主張番号】0855634
(32)【優先日】2008年8月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512068547
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】べディー ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】ブラン クロード
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−327548(JP,A)
【文献】 特開2006−141164(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0193255(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0169334(US,A1)
【文献】 米国特許第04700096(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01317744(FR,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0083112(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1796248(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1657800(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械用の磁石埋め込み型内部ロータ(1)であって、前記ロータは、
・シャフト(2)を有し、
・磁性材料で作られていて、前記シャフトの外周側にシャフトの軸線方向に沿って取り付けられた複数個の極性部品(30)を有し、前記極性部品相互間には、シャフトの軸線に沿って延びる収納部(40)が画定され、
・前記収納部(40)内に配置された複数個の永久磁石(4)を有し、
・前記シャフト(2)に沿って前記極性部品の軸方向各側に設けられた側方シュラウド(5,5′)を有し、これらの各側方シュラウド(5,5′)の外周面には周方向に沿って延びる周辺溝(52)が形成され、 前記シャフトは、各側方シュラウドを貫通しており、
・前記収納部は、前記極性部品の長手方向スプライン(31)と相互作用するウェッジ(51)によって半径方向に閉じられ、
前記ウェッジは、T字形輪郭形状の断面を有し、且つ、前記極性部品の長手方向スプラインと係合して磁性部品を半径方向に支承する半径方向支承面(54)を備え、このウェッジの半径方向支承面は、前記収納部(40)の中央において半径方向に延びる面(41)に垂直であり、前記ウェッジ(51)は、前記極性部品を軸方向に超えて延び薄く形成された端部(511)を備え、このウェッジの端部が、各側方シュラウド(5,5′)の周辺溝(52)内に折り曲げられ、さらに、各側方シュラウド(5,5′)の前記周辺溝(52)の軸方向外側にある外壁(521)と接触して軸方向に不動化された、ロータ。
【請求項2】
前記ウェッジは、前記極性部品(30)の表面と実質的に面一をなしている、請求項1記載のロータ。
【請求項3】
前記ウェッジの半径方向外面(53)は、前記極性部品(30)の外縁(32)と同じ曲率を有する、請求項2記載のロータ。
【請求項4】
各側方シュラウド(5,5′)の前記周辺溝(52)の外壁(521)は、軸方向の外側に対して実質的に90°未満の角度をなして傾けられている、請求項1乃至の何れか1項に記載のロータ。
【請求項5】
請求項1乃至の何れか1項に記載のロータ(1)を有する回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータが永久磁石を有する回転電気機械に関する。より詳細には、本発明は、磁石がロータの凹部内に配置される機械に関する。問題の電気機械は、一般に、「磁石埋め込み型」という表現によって表示されている。ロータのこの構成上の原理は、自動制御型磁束密度同期機に広く適用される。
【背景技術】
【0002】
回転電気機械のサイズは、その公称トルクで決まる。モータが送り出すことができるトルクが高ければ高いほど、電気モータはそれだけ一層大型化する。ただし、他の条件が全て同じであることを前提とする。しかしながら、相当大きな出力とモータの高度のコンパクトさを同時に達成することが望ましい用途が存在する。単に実用的な例を挙げると、自動車のホイール内に電気トラクションモータを設置することが望ましい場合、非懸架重量を可能な限り制限するために考えられる最も小さな重量についてモータ1つ当たり少なくとも10kW、大抵の場合モータ1つ当たり少なくとも25又は30kWの出力を生じさせることができるということが望ましい。また、スペース上の要件は、極めて甘く、サスペンションの動作中及び車両のボデーシェルに対するホイールの他形式の運動中、車両の種々の要素を邪魔しないようにホイールの可能な限り小さい内容積を上回ることが望ましい。
【0003】
これら2つの必要条件(高い出力が高いこと、スペース上の要件が甘いこと及び軽量であること)により、現在市場に存在する電気機械の重量/出力比を劇的に改善することなく乗用車のホイール内に電気トラクションモータを設置することは非常に問題がある。
【0004】
モータを設計する際に電気モータの高速を選択することは、出力が所与の場合、トルクを減少させ、それ故にスペース上の要件を減少させることを可能にする解決策である。換言すると、モータの公称出力が所与の場合、その公称回転速度が高ければ高いほど、そのスペース上の要件がそれだけ一層緩和される。
【0005】
他方、回転電気機械の回転速度を上げると、特にロータの幾つかの要素、特に磁石及び極性部品の受ける遠心力に関して多くの問題が生じる。
【0006】
振動(機械的振動及び音響振動)も又、回転速度が増大するにつれて増悪する問題である。
【0007】
高い回転速度を達成する特定の設計が欧州特許出願公開第1001507号明細書に既に提案されている。この欧州特許出願明細書において提案されている速度は、これに関しては、多角形一体形シャフトと、このシャフトの周りに適切な判断により配置された極性部品とから成る組立体の特定の配置を提案することによって12000rpmのオーダのものである。
【0008】
20000rpmのオーダの速度を目的とすることができる改造例がこれに関し、磁石をこれらの収納部内に半径方向にロックするウェッジの使用を提案することによって欧州特許出願公開第1359657号明細書に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1001507号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1359657号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一目的は、特に耐遠心力性及びそれ故に寸法安定性に関して改良されたロータを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、回転電気機械用の磁石埋め込み型内部ロータであって、ロータは、
・シャフトを有し、
・磁性材料で作られていて、シャフトを包囲した複数個の磁性部品を有し、磁性部品相互間には、収納部が画定され、
・収納部内に配置された複数個の永久磁石を有し、
・シャフトに沿って磁性部品の軸方向各側に設けられた側方シュラウドを有し、シャフトは、各側方シュラウドを貫通しており、
・収納部は、磁性部品の長手方向スプラインと相互作用するウェッジによって半径方向に閉じられ、ウェッジは、T字形輪郭形状を有し、極性部品のウェッジの半径方向支承面は、収納部の中央アールに垂直であり、ウェッジは、極性部品を軸方向に超えて延びているので、ウェッジの端部は、薄くされると共に各側方シュラウドの周辺溝内に折り曲げられることを特徴とするロータに関する。
【0012】
好ましくは、ウェッジは、ロータの表面と実質的に面一をなす。
【0013】
この場合も又、好ましくは、ウェッジの半径方向外面は、極性部品の表面の半径方向外側曲率を延長させるためにドーム状になっている。
【0014】
この場合も又、好ましくは、ウェッジの端部は、各側方シュラウドの周辺溝の外壁と接触状態にある。
【0015】
この場合も又、好ましくは、各側方シュラウドの周辺溝の外壁は、軸方向に対して実質的に90°未満の角度をなして傾けられている。
【0016】
本発明は又、かかるロータを有する回転電気機械に関する。
【0017】
本発明の内容は、以下の図に基づく以下の説明により良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図2及び図3に見える破線A‐Aに沿って見た本発明のロータの軸線方向の断面図である。
図2図1に見える破線B‐Bに沿って見た図1の本発明のロータの軸線に垂直な方向の部分断面図である。
図3図1に見える破線A‐Aに沿って見た図1の本発明のロータの軸線に垂直な方向の断面図である。
図4】シャフト2の斜視図である。
図5a】ロータの軸線に沿うシュラウド及び磁石ウェッジの詳細な実施形態の断面斜視図である。
図5b】ロータの軸線に沿う側方シュラウドの周辺溝内に位置した磁石ウェッジの折り曲げ端部の断面詳細図である。
図6図1に類似した図であり、本発明のロータの第2の実施形態の図である。
図7】極性部品金属シート及び本発明の磁石ウェッジの第1の実施形態を示す拡大斜視図である。
図8図7に類似した図であり、本発明のウェッジの他の実施形態を示す図である。
図9図7に類似した図であり、本発明のウェッジの他の実施形態を示す図である。
図10図7に類似した図であり、本発明のウェッジの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図は、図示されていないステータを更に有する6極機用のロータ1を示している。ロータ1は、軸受20で支持された一体形シャフト2を有している。6つの極性部品30が好ましくは強磁性金属シートのスタックによって形成された状態で見える。各金属シート3は、シャフトの軸線に実質的に垂直である。金属シートは、極めて薄いのが良く、例えば、1ミリメートルの数十分の一のオーダのものであるのが良く、例えば0.2mmである。ついでに言うに過ぎないが、本発明は、中実極性部品(非層状)の場合にも有用であることに注目されたい。
【0020】
シャフト2の半径方向各側には、側方シュラウド5,5′(好ましくは非磁性材料で作られている)が極性部品30の各側に位置した状態で見える。図1は又、2つのオプションとしての中間シュラウド7(好ましくはこれ又非磁性材料で作られている)を示している。各側方シュラウド及び該当する場合には各中間シュラウド7は、中央開口部を有している。図1に記載された非限定的な例では、側方シュラウドの中央開口部の形状は、円形であり、中間シュラウドの中央開口部の形状は、シャフト2の形状に合わせられ、即ち、この場合、スプライン付きである。
【0021】
極性部品30の各々に関し、タイロッド6が金属シート3のスタック、該当する場合には中間シュラウドを貫通しており、このタイロッドにより、組立体を側方シュラウド5,5′相互間にクランプすることができる。したがって、極性部品の受ける遠心力は、側方シュラウドにより且つ該当する場合には中間シュラウドによって(ただし、任意他の手段を除く)吸収される。
【0022】
シャフト2は、この場合、その軸方向位置及びかくしてシャフト上における極性部品の軸方向位置(特に、図1図4図5及び図6を参照されたい)を定めるために第1の側方シュラウド5と相互作用するよう設計された内部肩22を更に有している。シャフトの肩22は、好ましくは、シュラウドの皿穴50の底部又は肩に当たる。例えば、焼嵌めによってシャフトに固定された外リング26がシュラウドをシャフトの肩に軸方向に押し付けることによってシュラウドを不動化する。したがって、「浮動性」と形容することができる第2のシュラウドは、シャフトの肩に載らず、スタックの熱膨張によって定められるように自由に軸方向に動くことができる状態のままである。この浮動性シュラウドは、不動化されたシュラウドの皿穴と実質的に同一である皿穴を有しても良く、或いは、これとは異なり、図示のように(第2のシュラウドのボア50′を参照されたい)その厚さを貫通して穴あけされても良い。
【0023】
平行六面体形の永久磁石4が極性部品30相互間で収納部40内に配置された状態で示されている。収納部は、中間シュラウド7によって途切れている。したがって、図1の例では、磁極1つ当たり3つの磁石が設けられ、図6の例では、磁極1つ当たり2つの磁石しか設けられていない。磁石の収納部の各々は、磁石ウェッジ51によって閉じられている。
【0024】
さらに、図2又は図7で理解できるように、極性部品30の長手方向フェース(面)300は各々、各磁性部品30(及びかくして各金属シート3)の外縁32の近くの半径方向高さ位置までくりぬかれた、ロータの軸線に平行なスプライン31を有しており、これら磁性部品は、更に、磁石4の高さよりも僅かに大きな高さ(より正確に言えば半径方向寸法)を有している。したがって、各ウェッジ51は、隣接の極性部品の各々に設けられた2つのスプライン31と嵌合している。したがって、磁石4は、磁性部品30に機械的に固定されている。各スプライン31の本質的な機能は、ウェッジ及び磁石の遠心作用に抵抗するための肩を形成することにある。極性部品はこれら自体、タイロッド及び側方シュラウド並びに必要な場合には中間シュラウドによって互いに固定されている。
【0025】
本発明によれば、ウェッジ51は、T字形である。“T”は、ロータの頂部に配置されたウェッジを見たときに(図2)上下逆さまである。“T”のフランジ及びスプライン31は、平坦な半径方向支承面54を有し、即ち、収納部(40)の中央において半径方向に延びる面(41)を有している。一方において、ウェッジ51のこの輪郭形状及びスプライン31のこの輪郭形状により、ロータは、この場合、収納部40を広げる傾向のある力を発生させることなく、遠心作用に耐えることができる。
【0026】
他方、“T”の半径方向部分(足)は、ロータに事実上滑らかな(研削が行われていない場合であっても)外面を与える極性部品相互間の空間を埋める。というのは、ウェッジの半径方向外面53は、極性部品の外面32と面一をなしているからである。
【0027】
図7で理解できるように、スプライン31のコーナ部及びウェッジの縁部は、好ましくは、応力の集中を阻止するために例えば約0.5mmのアールで丸くなっている。
【0028】
ウェッジ53の頂部は、実際には、図8に示されているように、金属シートの外縁32の曲率を正確に延長させるために僅かにドーム状になっているのが良い(好ましくは、ロータの外部と同一のアールを採用するのが良い)。このように、この場合も又、高速回転により、僅かな音響振動(ノイズ)が生じる。
【0029】
図9に示されている輪郭形状は、“T”の半径方向部分を除き図8の輪郭形状と同一であり、この半径方向部分の幅は、この場合、一定ではなく、ロータの外部に向かって減少している。金属シート3の切り欠きは、当然のことながら、これにマッチした形状を有する。
【0030】
図10は、この場合も又、“T”の半径方向部分が一定幅の部分の次に、ロータの外部に向かってテーパしている別の実施形態を示している。
【0031】
図5a及び図5bに詳細に示されているように、ウェッジ51の端部511は、極性部品を超えて各側で側方シュラウドの凹部内に軸方向に延びている。好ましくは、端部511は、側方シュラウドの周辺溝52内に折り返し可能であるように薄く作られており、その目的は、端部をこの周辺溝の中に軸方向に不動化することにある。この構成は又、モータが高速で回転しているときに音響振動(ノイズ)についても有利であることが判明した。ウェッジの端部511を周辺溝52内に折り返すことができるようにするために、ウェッジの端部511は、好ましくは、薄く作られ、他方、T字形輪郭形状の半径方向部分を含まない。この場合、端部511は、舌部の形態をしている。この場合も又、好ましくは、周辺溝52の外壁は、ウェッジを折り返したときにウェッジの軸方向クランプをもたらすために軸方向に対して実質的に90°未満、例えば70°オーダの角度をなして傾けられている。
【0032】
好ましくは、極性部品30は、シャフト2のスプライン21と相互作用するよう設計されたほぞ(tenon )を有する。極性部品からのトルクをシャフトに直接伝えるのは、この連結部である。スプライン21は、好ましくは、互いに平行な壁を有すると共にこれ又互いに平行な支承面を備えたほぞと相互作用する。極性部品は、好ましくは、強磁性金属シート3のスタックで作られているので、各金属シートは、ほぞの一部分をなす実質的に長方形の半径方向突出部34を有する。当然のことながら、極性部品の金属シートの一部分のみがこの突出部を有している場合、応力は、かかる金属シートに集中することになろう。
【0033】
図2及び図4は、シャフトが好ましくは、磁極(この場合、数が6つ)と同数のスプラインを有するが、関与する力に応じて、それ自体を4つだけ、3つだけ又はそれどころか2つだけのスプラインに制限することが可能である。
【0034】
肩22は、好ましくは、シャフトの中央スプライン付き部分23の端部に対応している。皿穴50及びボア50′が設けられているので、この場合、これら端部は、シュラウド5,5′中に引っ込められる。このように、スタックの端部の金属シートは、シャフトのスプライン付き中央部分23から逃げ出ることができない。これは、ロータの組み立ての際に特に有利である。
【0035】
ロータの静的及び動的釣合いを完全にするために重りも又シュラウドに取り付けられるのが良い。
【0036】
図1図3及び図6の本発明の実施形態によれば、釣合い重りは、シュラウドに設けられたねじ山付きドリル穴102内に位置決めされた頭なしねじ101の形状を有している。好ましくは、ドリル穴は、この場合磁石4に向いた状態で設けられており、従って、釣合いねじが磁石を軸方向にクランプすることができるようになっている。したがって、各シュラウドは、6本のタイロッド6のための6つの通路61に加えて、6つのねじ山付きドリル穴102を有している。
【0037】
第2の実施形態によれば、釣合い重りは、タイロッドの端部60に設けられた凹み104内に位置決めされるのが良い。重りは、例えば、タイロッドの凹み又は実際にはタイロッドねじ62の頭に設けられたねじ山にマッチする頭なしねじの形態をしているのが良い。
【0038】
理解できるように、各釣合い重りについて選択された位置、長さ及び/又は材料を変えることによって、ロータの釣合いを調節することができる。ねじ山の個数が制限されるので、十分にきめ細やかな釣合いを得るために各々が特定のドリル穴内に位置決めされた2つの重りの作用効果を組み合わせることが必要な場合が多い。満足のいく動的釣合いを得るためには、2つの側方シュラウドの各々の上に重りを配置することが有益な場合が多い。
【0039】
好ましくは、重りは又、これらのねじ山を結合することによって不動化され、その目的は、重りがこれらの軸方向位置に保持されるようにすることにある。
【0040】
図は又、特定のタイロッド6及びタイロッドねじ62を示している。タイロッドの頭は、シュラウドのうちの1つの中に滑り込まされており(この場合、図の右側)そして、保持リング63がシュラウドの肩64と相互作用することによって単に停止されている。タイロッドねじ62は、皿穴付き頭がシュラウドの厚みの中に潜り込んでいる(図の左側)ねじである。
【0041】
この設計により、一方において、ロータの軸方向におけるスペース上の要件を緩和することができ、他方、事実上滑らかであり、従って発生させるノイズが少ないシュラウドを得ることができる。
【0042】
図6のロータの中間シュラウド7の中央開口部は、円形であり、即ち、それにより、回転力をシャフトに伝達することができないようにする。したがって、この例では、トルク全体は、金属シートの突出部34によってシャフトに伝達される。というのは、シュラウドが全て(側方シュラウド及び中間シュラウド)は、シャフトに摺動回転可能に取り付けられているからである。図1に示されている形態(この形態では、中間シュラウドも又ほぞを有している)は、一方において、トルクを伝達しやすくすると共にロータの組み立ての際にタイロッドの通路61を位置合わせしやすいようにするよう選択可能である。
【0043】
本発明のロータは、損傷なく、10000rpmを遙かに超える非常に高い回転速度、即ち、少なくとも20000rpmのオーダの回転速度に耐える。本発明のロータの高い耐遠心力性により、隙間、即ち、電気機械のロータとステータとの間の半径方向距離を約0.2〜0.3mmに一段と減少させることができる。
【0044】
図は、6極ロータ、即ち、3対の磁極を有するロータを示しているが、当業者であれば、本発明の技術的開示内容を3対ではなく、例えば2対、4対又は5対の磁極を有するロータに適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10