特許第5793090号(P5793090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5793090携帯用の中継装置、パケット送信方法およびパケット送信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793090
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】携帯用の中継装置、パケット送信方法およびパケット送信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/04 20090101AFI20150928BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20150928BHJP
【FI】
   H04W88/04
   H04W52/02 130
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-1459(P2012-1459)
(22)【出願日】2012年1月6日
(65)【公開番号】特開2013-143588(P2013-143588A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年7月29日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、総務省、「電波資源拡大のための研究開発」のうち「異種無線システム動的利用による信頼性向上技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩輔
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−074720(JP,A)
【文献】 特開2005−295512(JP,A)
【文献】 特開2004−312542(JP,A)
【文献】 特開2011−172218(JP,A)
【文献】 特開2005−160062(JP,A)
【文献】 特開2001−346253(JP,A)
【文献】 特開2007−036907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットの中継を行なう携帯用の中継装置であって、
送信するパケットのうち、中継を要求されたパケットとそれ以外のパケットとを区別して、前記送信するパケットの優先度を再評価し、前記送信するパケットの優先度の評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値が自機の残電力量に応じて決まる基準を満たさないパケット以外のパケットを送信する送信部と、を備えることを特徴とする携帯用の中継装置。
【請求項2】
前記評価値算出部は、自機から送信される自パケットであることを中継を要求された中継パケットであることより高く評価して、前記送信するパケットの優先度の評価値を算出することを特徴とする請求項1記載の携帯用の中継装置。
【請求項3】
前記評価値が自機の残電力量に応じて決まる基準を満たさないパケットを廃棄するフィルタ部を更に備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯用の中継装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記評価値の高いデータを優先的に送信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯用の中継装置。
【請求項5】
モバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットを中継する携帯用の中継装置を用いて行なうパケット送信方法であって、
送信するパケットのうち、中継を要求されたパケットとそれ以外のパケットとを区別して、前記送信するパケットの優先度を再評価し、前記送信するパケットの優先度の評価値を算出するステップと、
前記評価値が自機の残電力量に応じて決まる基準を満たさないパケット以外のパケットを送信するステップと、を含むことを特徴とするパケット送信方法。
【請求項6】
モバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットを中継する携帯用の中継装置に実行させるためのパケット送信プログラムであって、
送信するパケットのうち、中継を要求されたパケットとそれ以外のパケットとを区別して、前記送信するパケットの優先度を再評価し、前記送信するパケットの優先度の評価値を算出する処理と、
前記評価値が自機の残電力量に応じて決まる基準を満たさないパケット以外のパケットを送信する処理と、とを含む一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴とするパケット送信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配下のモバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットの中継を行なう携帯用の中継装置、パケット送信方法およびパケット送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一方で端末と直接つながる無線LANを構成、他方でLTE、WiMAX、CDMA等のインターネットにつながる無線回線に接続できる携帯用のモバイルルータが知られている。ユーザは、モバイルルータを購入し、電気通信事業者と契約することで、対応エリア内のあらゆる場所で簡易に無線LAN対応機器をインターネットに接続できる。
【0003】
モバイルルータには、複数のユーザ端末から発生するトラヒックや、自機の情報や加入者情報等のモバイルルータ自体によるデータトラヒックも含め、様々なトラヒックが混在している。たとえばモバイルルータは、どのユーザの端末から受信したデータかということを処理する必要がある。
【0004】
一方、従来、パケット送信の優先制御を行なう機器が開発されている。たとえば非特許文献1記載のルータは、高価かつハイスペックな据え置き型のルータであり、優先制御、帯域制御、階層型QoS、Dynamic Traffic Control、帯域検出、負荷通知等の様々な機能を有する。
【0005】
また、特許文献1記載のスケジューリング装置は、パケット優先度、伝送路品質及びバッファを監視し、待ち行列長の各条件のいずれか一つに基づいて、各パケットフローの出力優先順位を決定している。そして、無線リソースを無線リソースが格納されたパケットフローに対して割当てている。
【0006】
また、特許文献2記載の無線通信装置は、高リアルタイム性パケットであり高信頼性パケットでもあるトラヒック制御パケットの送信優先度を、データパケットの送信優先度よりも高く設定して、パケット送信の優先制御を行なっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】イーサアクセスVPNルーターRTX3000、[online]、[平成23年11月17日検索]、インターネット<URL:http://jp.yamaha.com/products/network/routers/rtx3000/?mode=model>
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−229896号公報
【特許文献2】特開2006−245887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、携帯用のモバイルルータの普及により通信環境が向上しているが、このようなモバイルルータは、低価格となるように構成されているため、搭載されるハードウェアの能力にも限界がある。また、携帯できることからバッテリ駆動を前提としており、使用できる電力に限界がある。その一方で、その配下には5〜10台程度の端末が接続されることもあり、そのような場合には処理能力を超えた負荷がかかったり、著しくバッテリ電力が消費されうる。
【0010】
先行技術文献に開示されているように、端末側あるいは基地局側でパケットごとの優先度を参照して行なうパケット送信の優先制御は知られているが、モバイルルータ等におけるトラヒックオフロードを進められる技術は開発されていない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、データ種別に応じた優先制御により、有限のリソースを有効活用してユーザに提供する通信品質を向上させる携帯用の中継装置、パケット送信方法およびパケット送信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の携帯用の中継装置は、配下のモバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットの中継を行なう携帯用の中継装置であって、送信するパケットのうち、中継を要求されたパケットとそれ以外のパケットとを区別して、前記送信するパケットの優先度を再評価し、前記再評価された優先度の高いパケットを優先的に送信することを特徴としている。
【0013】
これにより、複数ユーザから送信されるデータや中継装置自体から送信される制御情報を区別して、中継装置の処理能力やバッテリー駆動に伴い制限された動作時間等の有限のリソースを効率的に利用することができる。
【0014】
(2)また、本発明の携帯用の中継装置は、モバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットの中継を行なう携帯用の中継装置であって、自機から送信される自パケットであることを中継を要求された中継パケットであることより高く評価して、前記再評価された優先度の評価値を算出する評価値算出部と、前記評価値の高いデータを優先的に送信する送信部と、を備えることを特徴としている。これにより、中継装置自体から送信される制御情報を優先し、中継装置自体の機能を十分に確保することができる。
【0015】
(3)また、本発明の携帯用の中継装置は、前記評価値算出部は、前記自パケットの優先度が前記中継パケットの優先度に対して、所定割合高くなるように、少なくとも前記自パケットまたは中継パケットの一方の優先度に係数をかけた評価値を算出することを特徴としている。これにより、各パケットが当所から有する優先度をもとに自パケットか中継パケットかによる再評価を行ない、評価値を算出できる。その結果、総合的な判断により、パケット送信の優先順位を決めることができる。
【0016】
(4)また、本発明の携帯用の中継装置は、前記評価値が自機の残電力量に応じて決まる基準を満たさないパケットを廃棄するフィルタ部を更に備えることを特徴としている。これにより、予め低い評価値のパケットを排除して、残りのパケットを優先順位に応じて送信することができる。その結果、不要な電力消費を省き、効率よくパケットを送信できる。
【0017】
(5)また、本発明のパケット送信方法は、配下のモバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットを中継する携帯用の中継装置を用いて行なうパケット送信方法であって、送信するパケットのうち、中継を要求されたパケットとそれ以外のパケットとを区別して、前記送信するパケットの優先度を再評価し、前記再評価された優先度の高いパケットを優先的に送信することを特徴としている。これにより、処理能力やバッテリー駆動に伴い制限された動作時間等の有限のリソースを効率的に利用することができる。
【0018】
(6)また、本発明のパケット送信プログラムは、配下のモバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットを中継する携帯用の中継装置に実行させるためのパケット送信プログラムであって、送信するパケットのうち、中継を要求されたパケットとそれ以外のパケットとを区別して、前記送信するパケットの優先度を再評価し、前記再評価された優先度の高いパケットを優先的に送信することを特徴としている。これにより、処理能力やバッテリー駆動に伴い制限された動作時間等の有限のリソースを効率的に利用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、データ種別に応じた優先制御により、有限のリソースを有効活用してユーザに提供する通信品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る中継システムの構成例を示す概略図である。
図2】本発明に係る携帯用の中継装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係る携帯用の中継装置の動作を示すフローチャートである。
図4】パケット送信順の並び替えの例を示す概略図である。
図5】シミュレーションにおける各装置の配置を示す図である。
図6】シミュレーションの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
(中継システムの構成)
図1は、中継システム100の構成例を示す概略図である。図1に示す中継システム100は、携帯用の中継装置110、端末121〜123、基地局130、インターネット140で構成されている。中継装置110は、配下のモバイルネットワークと外部のネットワークとの間で通信パケットの中継を行なう。配下のモバイルネットワークには、ネットワークノードとしての端末121〜123により構成されている。外部のネットワークは、LTE、WiMAX、CDMA等のインターネットにつながる無線回線である。
【0023】
中継装置110は、たとえば、モバイルルータやティザリング端末である。中継装置110は、送信するパケットのうち、中継を要求されたパケットとそれ以外のパケットとを区別してパケットの優先度を再評価し、再評価された優先度の高いパケットを優先的に送信する。これにより、中継装置110の処理能力やバッテリー駆動に伴い制限された動作時間等の有限のリソースを効率的に利用できる。中継装置110の詳細は、後述する。
【0024】
端末121〜123は、中継装置110に接続可能であり、モバイルネットワークを構成する。端末121〜123には、ノートパソコン、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機、タブレット端末、ポータブルメディアプレーヤー等が挙げられる。端末121〜123は、中継装置110に接続可能な構成として、たとえば無線LANに対応可能なチップを搭載している。
【0025】
基地局130は、外部のネットワーク(WAN)の無線回線の末端に設置されており、中継装置110は、基地局130を介してインターネット140へ接続できる。なお、中継装置110は、外部のネットワーク側に複数種の回線に対応できる機能を有していることが好ましく、その場合には外部のネットワーク側のアクセスポイントは中継装置110で動作する無線回線に応じた形態とすることができる。
【0026】
(中継装置の構成)
図2は、携帯用の中継装置110の構成を示すブロック図である。中継装置110は、自パケットおよび中継パケットを送信キュー内に保持し、基本的には送信キューに入った順に各パケットを送信するが、優先度によりパケットを並べ替え、優先度の高いパケットを送信する。図2に示すように、中継装置110は、評価値算出部111、残電力量確認部112、フィルタ部113および送信部114を備えている。
【0027】
評価値算出部111は、自機から送信される自パケットであることを他機から中継を要求された中継パケットであることより高く評価して、再評価された優先度の評価値を算出する。これにより、中継装置110自体から送信される制御情報を優先し、自己の制御機能を十分に確保することができる。
【0028】
評価値算出部111は、自パケットの優先度が中継パケットの優先度に対して、所定割合高くなるように評価値を算出する。すなわち、少なくとも自パケットまたは中継パケットの一方の優先度に係数をかけた評価値を算出する。これにより、各パケットが有する当初の優先度をもとに自パケットか中継パケットかによる再評価を行ない、評価値を算出できる。その結果、総合的な判断により、パケット送信の優先順位を決めることができる。
【0029】
なお、係数には、優先度にかけて評価値を算出したときに、評価値の数値範囲がもとの優先度の数値範囲に重なるように、所定の値を設定しておく。このように係数を設定することで、自パケットと中継パケットとの間で順位が入れ替わり、効率的にリソースを活用できる。なお、上記では、自パケットまたは中継パケットの一方の優先度に係数をかけるが、一方の係数を1として、両方に係数をかけることとしても実質は同じである。
【0030】
残電力量確認部112は、中継装置110のバッテリの残電力量を確認する。フィルタ部113は、確認された残電力量に応じてフィルタリングの基準を決定し、評価値がその基準を満たさないパケットを廃棄する。また、残電力量が一定値以下の場合には、中継パケットをすべて廃棄することとしてもよく、上記の方法を重複させて二段階でパケットのフィルタリングを行なってもよい。これにより、予め低い評価値のパケットを排除して、残りのパケットを優先順位に応じて送信することができる。その結果、不要な電力消費を省き、効率よくパケットを送信できる。
【0031】
特に、中継装置110がティザリング端末である場合には、電力量の枯渇の問題がシビアになるため、残電力量に応じた制御が有効である。送信部114は、評価値に応じて送信キュー内のパケットの優先順位を並べ替え、評価値の高いデータを優先的に送信する。並び替えの具体例については後述する。
【0032】
(中継装置の動作)
図3は、中継装置110の動作を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、中継装置110において、送信データが発生する(ステップS1)。送信データとは、送信しようとするデータであり、自パケットおよび中継パケットを含む。
【0033】
次に、中継装置110は、自機の残電力量を確認する(ステップS2)。そして、送信キュー内の各パケットの評価値を算出する(ステップS3)。評価値は、優先度に自パケットまたは中継パケットの種別ごとの定数をかけることで算出される。評価値の算出例については、後述する。
【0034】
次に、残電力量が第1の閾値より大きいか否かを判定する(ステップS4)。残電力量が第1の閾値以下の場合には、送信キュー内のパケットのうち、評価値が第2の閾値より小さいものをすべて破棄し(ステップS5)、ステップ6に進む。残電力量が第1の閾値より大きい場合には、評価値の最も高いデータを送信する(ステップS6)。このように、重要でないパケットを破棄することで、送信電力を抑制するように制御できる。なお、第2の閾値は、残電力量の減少関数として設定されることが好ましい。
【0035】
パケットが廃棄されたときには、通信失敗となる。その場合、たとえば、端末側の上位のレイヤでパケットが届いたかを相互で確認し、パケットが廃棄されるとTCPのレイヤでタイムアウトが起こり、再送が要求される。そして、パケットを異なる中継装置に振り分けるなどの対応がなされる。最後に、送信キュー内が空でないかを確認し(ステップS7)、空でない場合には、ステップS3に戻る。送信キュー内が空の場合にはそのまま終了する。
【0036】
以上の動作は、中継装置110にプログラムを実行させることで実現できる。なお、上記の例では、数値を対比して大きいか否かを判定しているが、以上か未満かで判定してもよい。また、残電力量が最低限の閾値以下であるときには、中継パケットをすべて廃棄とすることもできる。また、送信データが発生したときに、ステップ3に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0037】
(優先度の再評価)
図4は、パケット送信順の並び替え(キューイング)の例を示す概略図である。図4の例では、送信キューに優先度4の自パケット、優先度2の中継パケット、優先度4の中継パケット、優先度3の自パケット、優先度1の自パケット、優先度1の中継パケット、優先度4の自パケットの順で送信パケットが保持されている。これらのパケットについて図3に示す処理を適用する。送信キューは、送信パケットを仮想的に保持する待ち行列である。送信キュー内のパケットは、図中の最下のものから送信される。
【0038】
このときの各送信パケットの優先度は、送信パケットが送信キューに入る再にその送信パケットの属性に基づいて与えられている。たとえば、QoS制御により優先度が与えられたときには、テレビ電話のデータのような高リアルタイム性パケットの優先度は高くなり、TCPのようにトラヒックを制御するための高信頼性パケットの優先度は低くなる。
【0039】
この優先度に対して、対象となるパケットが自パケットか中継パケットかによりそれぞれ異なる係数を乗算して再評価する。この例では、自パケットの係数は1.0で、他パケットの係数は0.8である。たとえば、優先度4の自パケットの場合には、評価値は、4×1=4と算出される。そして、各送信パケットの評価値は、下から、4.0、1.6、3.2、3.0、1.0、0.8、4.0となる。このうち、残電力量で決まった閾値を1とすると、これより小さい優先度1の中継パケットは破棄される。
【0040】
このようにして得られた評価値に基づいて評価値の大きい順にパケットを並べる。並び替えられた送信パケットは、下から優先度4の自パケット、優先度4の自パケット、優先度4の中継パケット、優先度3の自パケット、優先度2の中継パケット、優先度1の自パケットの順となる。なお、評価値が同じ場合には、先に送信キューに入った方を優先する。以上のように送信キュー内の並べ替えを行なって、送信キュー内の下からパケットを送信する。
【0041】
(シミュレーション)
以下のような評価環境で計算機シミュレーションを実施し、一定の効果が得られることを確認した。図5は、シミュレーションにおける各装置の配置を示す図である。縦軸、横軸は、相対的な位置を表している。0〜3台のモバイルルータ210と100台のユーザ端末220とを設定した。また、モバイルルータ210と通信可能で、かつネットワークに接続された1局のWiMAX基地局230と1局のLTE基地局240とを設定した。
【0042】
このような環境の下、複数のプライオリティ(64、128、255)をデータに設定し、モバイルルータ210を置いた場合と置かなかった場合とについて、ユーザ端末220からこれらのデータを送信するシミュレーションを行なった。モバイルルータ210内では、各データのプライオリティに応じて送信キューのデータを並べ替えてデータを送信した。そして、ネットワーク側にまで到達したパケット数を集計した。
【0043】
図6は、シミュレーションの結果を示す図である。図6に示すように、モバイルルータ数が0で送信されたデータのうちネットワークまで到達したパケット数は、プライオリティ(64(A)、128(B)、255(C))の高低にかかわらず100000〜140000の間に収まり、大きな差は生じなかった。これに対し、1台のモバイルルータ210を経由したデータは、最もプライオリティの低いパケットの到達数が70000程度なのに対し、最もプライオリティの高いパケットの到達数が200000程度となり、大きな差が生じた。この結果、各データのプライオリティに応じて送信キューのデータを並べ替えるモバイルルータ210を設置することでより高いプライオリティのデータを優先的に届けられることが実証できた。
【符号の説明】
【0044】
100 中継システム
110 携帯用の中継装置
111 評価値算出部
112 残電力量確認部
113 フィルタ部
114 送信部
121〜123 端末
130 基地局
140 インターネット
210 モバイルルータ
220 ユーザ端末
230 WiMAX基地局
240 LTE基地局
図1
図2
図3
図4
図5
図6