(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
(検査装置の構成)
図1は本実施形態に係る検査装置の機能ブロック図である。
制御棒位置指示装置700(
図2Aおよび
図2B)の検査装置(以下、検査装置と称する)1は、制御棒位置指示装置700におけるリードスイッチ710(
図2B)の作動範囲などを測定することによって、制御棒位置指示装置700の検査を行うものである。
検査装置1は、
図1に示すように、構造部10、制御部20、操作部30、出力部40、動作部50、抵抗測定部60を有している。
【0013】
図1に示すように、制御部20は、操作部30を介して操作指示が入力され、出力部40へ検査結果などの情報を出力する。また、制御部20は測定対象である制御棒位置指示装置700のリードスイッチ710の作動状態を電圧値として検出する。また、制御部20は、抵抗測定部60からリードスイッチ710の抵抗測定値を取得する(詳細は後記する)。そして、制御部20は動作部50へ動作信号を出力することで、動作部50の各部を作動させる。
また、測定対象としての制御棒位置指示装置700は、
図2で後記するように構造部10に取り付けられ、構造部10は
図2で後記するように動作部50に取り付けられている。
以下、各部10〜60の詳細な構成を説明する。
【0014】
図2Aおよび
図2Bは本実施形態に係る検査装置の概略外観図であり、
図3は本実施形態に係る検査装置の詳細な機能ブロック図である。ここで、
図2Aは、検査装置の側面図であり、
図2Bは、検査装置の上面図である。ちなみに、
図2Aは、
図2BのA−A’方向からの側面図である。なお、
図2Aにおいても、専用ホース581、バッファ部582、開度調整弁583が存在するが、図面が煩雑にならないように
図2Aではこれらの要素を図示省略してある。
なお、
図2Aおよび
図2Bを参照して構造部10および動作部50の詳細を説明し、
図3を参照して制御部20、操作部30および出力部40の詳細を説明する。
【0015】
(構造部)
構造部10は、まず、
図2Aに示すように、試験の対象となる制御棒位置指示装置700が設置される架台100と、架台100に設置された複数の可動式支持部(支持構造部)110と、制御棒位置指示装置700を架台100に取り付けるための位置決めブラケット120と、架台100に取り付けられた移動用キャスタ130を有している。つまり、制御棒位置指示装置700は一端側(端子取出口711側)が、位置決めブラケット120に支持されるほか、各可動式支持部110により支持されている。
【0016】
可動式支持部110は、検査マグネット移動体510が通過する際に検査マグネット移動体510に押されることで架台100との取り付け部111を中心に進行方向へ倒れ、検査マグネット移動体510の通過後にバネによってもとの位置に戻って(つまり、当該部材が有する弾性力によって元の形状に戻って)、再び制御棒位置指示装置700を下方から支持する部材である。可動式支持部110は、制御棒位置指示装置700を支持する部材であればよく、検査マグネット移動体510が通過する際に上下に伸縮する構造としてもよい。また、可動式支持部110は、制御棒位置指示装置700を支持し、かつ検査マグネット移動体510の通過を円滑に行うために、先端にローラ構造112を有している。
【0017】
図2Aに示すように、可動式支持部110は架台100に複数取付けられている。検査マグネット移動体510が移動して、一の可動式支持部110が倒れている間は、他の可動式支持部110が制御棒位置指示装置700を支持する。端子取出口711は、リードスイッチ710(
図2B)からの信号線を取り出すための取出口である。
なお、制御棒位置指示装置700は、例えば、特開2007−225502号公報の
図2におけるスクラム位置検出プローブ210に相当する。
また、本実施形態において、制御棒位置指示装置700は横向きに架台100に載置されている。そして、
図2Aの左方が特開2007−225502号公報の
図2の上方となり、
図2Aの右方が特開2007−225502号公報の
図2の下方となっている。
また、
図2Aにおいて、制御棒位置指示装置700は破線で示している。
【0018】
(動作部)
次に動作部50は、検査装置1を上面から見た図である
図2Bに示すように、検査マグネット移動体ガイドであるLM(Linear Motion)ガイド500、検査マグネット移動体510、モータであるインダクションモータ520、インバータ530およびエンコーダ540を有している。また、動作部50は、高速カウンタ550、リミットスイッチ560、位置決め接点570、コンプレッサ580、専用ホース581、バッファ機構582および開度調整弁583を有している。さらに、動作部50は、レーザ速度計590およびレーザ距離計591を有している。
なお、専用ホース581などについては、
図2Aでは、前記のとおり記載を省略している。
【0019】
LMガイド(登録商標)500は、
図2Bに示すように架台100に設置され、検査マグネット移動体510の移動をガイドする。
検査マグネット移動体510は、制御棒位置指示装置700のリードスイッチ710を作動させるための検査用のマグネットである。検査マグネット移動体510は制御棒位置指示装置700のマグネット820(
図4)と同等の磁束密度をもったマグネットが取り付けられる。
インダクションモータ520は、検査マグネット移動体510をLMガイド500上で移動させるためのモータである。
インバータ530は、インダクションモータ520を駆動させるための信号を出力するものである。
エンコーダ540は、インダクションモータ520により検査マグネット移動体510を一定の速度で駆動させるための動作信号を出力するものである。また、エンコーダ540は、動作信号を、検査マグネット移動体510の位置情報の基となる位置検出用パルス信号として高速カウンタ550へ出力するものである。
高速カウンタ550は、エンコーダ540からの位置検出用パルス信号を制御部20へ出力するものである。
リミットスイッチ560は、検査マグネット移動体510が動作時に作動限界位置に達したことを検知するためのスイッチであり、試験対象である制御棒位置指示装置700の両端近傍に1ヶ所ずつ設置されている。
位置決め接点570は、検査マグネット移動体510の位置情報の原点調整を行うものである。
【0020】
コンプレッサ580は、スクラムを模擬した速度で検査マグネット移動体510を駆動させるために圧縮空気を開度調整弁583を介して専用ホース581へ供給する。
専用ホース581は、圧縮空気が送り込まれることで伸縮するアコーディオン状のホースである。前記したように、専用ホース581の伸縮速度(伸張速度)は、スクラムを模擬した速度となるよう制御されている。専用ホース581の伸張により、検査マグネット移動体510はスクラム時の速度で移動する。なお、
図2Bでは、収縮時の専用ホース581を実線で示し、伸張時の専用ホース581を破線で示している。
バッファ部582は、スクラムを模擬した速度で駆動した際に検査マグネット移動体510の速度を減衰させるためのダンパである。
開度調整弁583は、スクラムを模擬した速度とするためにコンプレッサ580からの空気量を調整する。
【0021】
図3は、検査装置の各部における機能を詳細に説明するための機能ブロック図である。
図3に示すレーザ速度計590は、スクラム模擬時において検査マグネット移動体510の速度を測定する。
また、
図3に示すレーザ距離計591は、スクラム模擬時において検査マグネット移動体510と検査マグネット移動体510の移動原点との距離(すなわち、検査マグネット移動体510の移動距離)を測定する。
このように、スクラムを模擬した駆動時における検査マグネット移動体510の速度はレーザ速度計590で測定される。レーザ計出力データ処理部207は、レーザ距離計591による検査マグネット移動体510の移動距離との情報を同時に取り込むことで、各リードスイッチ710近傍での検査マグネット移動体510の速度を測定することができる。これにより検査マグネット移動体510の試験速度が、要求される試験条件(スクラム時速度を基準として設定した値)を満足しているかどうかの検証が可能となる。
レーザ速度計590や、レーザ距離計591での測定結果や各リードスイッチ710の動作信号と、それらの時刻暦はデータメモリ203に格納される。
【0022】
前記したように、検査マグネット移動体510の移動は、一定速度で移動する場合と、スクラムを模擬した速度で移動する場合とがある。
検査マグネット移動体510を一定速度で駆動させる場合、
図2Bに示されているインダクションモータ520に取り付けられたピニオンギア521、ラック522およびLMガイド500によりインダクションモータ520の回転が制御棒位置指示装置700の長手方向の動作に変換される。
スクラムを模擬した速度で駆動する場合、検査マグネット移動体510が
図2Bに示されているピニオンギア521およびラック522から切り離された状態となる。そして、伸張する専用ホース581の推進力が検査マグネット移動体510に速度を付与し、検査マグネット移動体510をLMガイド500の上で移動させる。
【0023】
なお、検査装置1の測定機能に関する校正は、エンコーダ540と高速カウンタ550から出力される値と、レーザ距離計591による移動距離を基準距離と比較し、この基準距離を満足するか確認することで実施することができる。
【0024】
(制御部)
次に制御部20についての詳細を
図3を参照して説明する。
制御部20は、各種制御を行うシーケンサ200を有している。
シーケンサ200は、リードスイッチ測定回路201、変換部202、記憶部であるデータメモリ203、信号出力部204、スクラム速度制御部205、スクラム時間計測部206およびレーザ計出力データ処理部207を有する。
リードスイッチ測定回路201は、検査マグネット移動体510を移動させることによって、リードスイッチ710が作動すると、その作動状態を電圧値として検出する。そして、リードスイッチ測定回路201は、検出した電圧値を微分することにより、リードスイッチ710の「ON→OFF」および「OFF→ON」時の電圧変化である作動信号を検出する。また、リードスイッチ測定回路201は、後記する本走査の際には、このような作動信号の検出と同時に抵抗測定部60の抵抗測定器600に抵抗測定を実行させる。
リードスイッチ710の作動に伴って検出される電圧値は、リードスイッチ710毎に異なる値となる。制御部20は、この電圧値を基に、作動したリードスイッチ710を特定する。制御部20によって検出された作動信号は、リードスイッチ710の管理番号とともにデータメモリ203に格納される。リードスイッチ測定回路201については
図7を参照して後記する。
【0025】
変換部202は、高速カウンタ550からの位置検出用パルス信号を検査マグネット移動体510の位置情報に変換する。この位置情報は、時刻と対応付けられていてもよく、変換部202は、この時刻と位置情報から、検査マグネット移動体510の速度を算出し、データメモリ203に格納してもよい。
データメモリ203には、リードスイッチ測定回路201で出力されたリードスイッチ710の作動信号、抵抗測定値、それに対応する変換部202から出力された検査マグネット移動体510の位置情報などがデータとして格納されている。
また、データメモリ203には、リードスイッチ710の設計上の位置(設計位置)情報についても格納されている。
【0026】
信号出力部204は、検査マグネット移動体510を一定の速度で動作させるためのインダクションモータ520の動作信号をインバータ530に出力する。インバータ530は動作信号に基づいてインダクションモータ520を回転させる。
スクラム速度制御部205は、検査マグネット移動体510を、スクラムを模擬した速度で移動させるため、コンプレッサ580から専用ホース581出力される圧縮空気の量を調整する開度調整弁583の制御を行う。開度調整弁583は、スクラム速度制御部205の制御に従って、専用ホース581への圧縮空気を送る。
スクラム時間計測部206は、スクラム模擬の際に、図示しないタイマから時刻暦を読み込む。この時刻暦は、スクラム模擬の際における作動信号に対応する時刻暦となる。
レーザ計出力データ取込部207は、レーザ速度計590およびレーザ距離計591からのデータを取得して、データメモリ203に格納する。
【0027】
なお、制御部20(シーケンサ200)における各部202,204〜207は、データメモリ203に格納されているプログラムが、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサ上で実行されることによって具現化されるものである。
【0028】
(操作部)
次に、操作部の詳細を
図3を参照して説明する。
操作部30は、タッチパネル300を有しており、当該タッチパネル300を介して、ユーザによる制御部20の操作が行われる。また、異常があった場合などには、タッチパネル300の表示を通してユーザに異常状態が報知される。また、タッチパネル300を介して、ユーザにより入力される通常検査か、スクラム模擬かの選択情報は、信号出力部204や、スクラム速度制御部205に通知される。
【0029】
(出力部)
続いて、出力部の詳細を
図3を参照して説明する。
出力部40は、制御部20に入力された検査結果をはじめとする各情報を出力するパソコン400などを有する。
また、出力部40のパソコン400は、後記する初期走査や、本走査実行時に異常があった場合、そのリードスイッチ710の管理番号を表示することにより、不具合対象品をユーザに通知する。
【0030】
(抵抗測定部)
次に、抵抗測定部を
図3で説明する。
抵抗測定部60は、作動範囲の確認と平行して実施する抵抗測定を行う抵抗測定器600を有する。
抵抗測定部60は、リードスイッチ710が検査マグネット移動体510(
図1)によって閉状態となっており、かつ作動範囲に異常のないリードスイッチ710の抵抗測定を実行するものである。
抵抗測定部分60で測定された結果(抵抗測定値)は、リードスイッチ測定回路201に出力される。
【0031】
ここで、位置情報、作動信号および設計位置について説明する。位置情報は、エンコーダ540(
図2)から取得した検査マグネット移動体510の位置に関する情報である。また、作動信号は、前記したようにリードスイッチ710の作動による電圧値の変化を、リードスイッチ測定回路201が微分することによって得られるリードスイッチ710の作動状態を示す信号である。さらに、設計位置は、リードスイッチ710の設計上の位置である。制御部20は、作動信号の基となる電圧値から閉状態となったリードスイッチ710を特定する。制御部20は、後記する初期走査や、本走査において、位置情報と、作動信号と、設計位置とを照合することによって、リードスイッチ710の作動範囲の異常の有無を判定する。
【0032】
(制御棒位置指示装置の動作)
図4は、実際の原子炉内における制御棒位置指示装置の動作を示す図であり、
図4(a)は制御棒位置指示装置の一部を示し、
図4(b)は制御棒位置指示装置に備えられているリードスイッチの開閉状態を示す。
原子炉の出力は再循環流量調整や制御棒によって反応をコントロールすることで実行されるが、制御棒による反応のコントロールは制御棒駆動装置(不図示)による制御棒の炉心への挿入および炉心からの引抜によって行われる。この制御棒の挿入および引抜に際して、制御棒の位置が監視されることが重要である。制御棒位置指示装置700(
図2A、
図2B)はこの制御棒の位置を監視する。また、制御棒を急速に反応させるために緊急挿入するスクラム時において、制御棒位置指示装置700は、スクラム速度で制御棒を挿入する。
【0033】
以下、制御棒位置指示装置の動作原理を説明する。
制御棒駆動装置700の構成部品であるドライブピストン810に取り付けられたマグネット820は、制御棒駆動装置が制御棒の挿入・引抜することに連動して動作する。ドライブピストン810は、昇降自在であり、制御棒の上下移動に伴ってドライブピストン810も上下に移動する。なお、
図4の例では、制御棒が上方に移動することにより制御棒の炉心への挿入が行われ、制御棒が下方に移動することにより制御棒の炉心からの引抜が行われる。
【0034】
制御棒位置指示装置700には、個別の管理番号が与えられているリードスイッチ710が複数等間隔(所定の間隔)で備えられている。
図4(b)に示すようにドライブピストン810のマグネット820がリードスイッチ710の作動範囲に入ると、リードスイッチ710が接点開状態から閉状態へと作動する。作動したリードスイッチ710の作動状態に関する情報は、制御線を介して出力先(例えば、図示しない制御棒位置指示装置700の制御部)へと読み込まれる。このとき、リードスイッチ710の管理番号も出力先に読み込まれる。制御棒位置指示装置700の制御部は、この作動状態に関する情報を基に、作動したリードスイッチ710を特定し、ドライブピストン810の位置情報を監視する。
【0035】
(通常検査のフローチャート)
図5は、本実施形態に係る通常検査の処理手順を示すフローチャートである。
まず、ユーザはタッチパネル300を介した入力設定により、通常検査を実行する(S101)。
そして、制御部20は、動作部50などを介して検査マグネット移動体510を走査させる初期走査を行う(S102)。制御部20は、検査効率向上のために検査マグネット移動体510を後記する本スキャンよりも早い速度(例えば、2〜3倍)で走査させ、リードスイッチ710の大まかな検査を行う。ここでは、リードスイッチ710の作動順序や、リードスイッチ710の大幅な作動範囲に異常があるか否かを検査する。一般に、後記する本走査は時間がかかるので、このようにすることで効率的な検査が可能となる。
【0036】
次に、制御部20は、ステップS102の初期走査の結果、リードスイッチ710の作動順序や、作動範囲の異常が許容範囲以上であるか否かを判定する(S103)。制御部20は、高速カウンタ550から取得される検査マグネット移動体510の位置情報と、作動信号の基となる電圧値から特定される、作動したリードスイッチ710の設計位置とを比較する。さらに、制御部20は、これらの比較の結果と、作動信号とを比較して、作動範囲の異常の有無を判定する。
ステップS103の結果、リードスイッチ710の作動順序や、作動範囲の異常が許容範囲以上である場合(S103→Yes)、制御部20は、タッチパネル300や、パソコン400上に異常が生じているリードスイッチ710の番号を表示する(S104)。すなわち、該当するリードスイッチ710の異常を通知して処理を終了する。
【0037】
ステップS103の結果、リードスイッチ710の作動順序や、大幅な作動範囲の異常がない(許容範囲未満である)場合(S103→No)、制御部20は、すべてのリードスイッチ710についてステップS102の初期走査を完了したか否かを判定する(S105)。
ステップS105の結果、すべてのリードスイッチ710について初期走査を完了していない場合(S105→No)、制御部20はステップS102へ処理を戻し、初期走査を続行する。
【0038】
ステップS105の結果、すべてのリードスイッチ710について初期走査を完了している場合(S105→Yes)、制御部20は本走査を行う(S106)。本走査については、
図6を参照して後記する。
そして、制御部20は、ステップS106の本走査の結果、リードスイッチ710の作動範囲に異常があったか否かを判定する(S107)。制御部20は、高速カウンタ550から取得される検査マグネット移動体510の位置情報と、作動信号の基となる電圧値から特定される、作動したリードスイッチ710の設計位置とを比較する。さらに、制御部20は、これらの比較の結果と、作動信号とを比較して、作動範囲の異常の有無を判定する。
ステップS107の結果、リードスイッチ710の作動範囲に異常があった場合(S107→Yes)、制御部20はステップS104の処理を行う。
ステップS107の結果、リードスイッチ710の作動範囲に異常がない場合(S107→No)、制御部20はリードスイッチ710の抵抗測定結果に異常があったか否かを判定する(S108)。
【0039】
ステップS108の結果、リードスイッチ710の抵抗測定結果に異常があった場合(S108→Yes)、制御部20はステップS104の処理を行う。
また、ステップS108の結果、リードスイッチ710の抵抗測定結果に異常がない場合(S108→No)、制御部20はすべてのリードスイッチ710について、ステップS106の本走査を完了したか否かを判定する(S109)。
ステップS109の結果、すべてのリードスイッチ710について本走査を完了していない場合(S109→No)、制御部20はステップS106に処理を戻し、本走査を続行する。
【0040】
また、ステップS109の結果、すべてのリードスイッチ710について本走査を完了している場合(S109→Yes)、制御部20は、操作部30のタッチパネル300や、出力部40のパソコン400に正常終了した旨の情報を表示させる(S110)。
そして、
【0041】
(本走査)
図6は、
図5のステップS106における本走査の処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御部20は、検査マグネット移動体510の位置がリードスイッチ710近傍(所定距離以内)であるか否かを判定する(S201)。なお、リードスイッチ710の位置は、予め制御部20のデータメモリ203に入力設定されている。
ステップS201の結果、検査マグネット移動体510の位置がリードスイッチ710近傍である場合(S201→Yes)、検査精度を向上させるため、制御部20は検査マグネット移動体510を予め設定されている低速度で移動させ(S202)、
図5のステップS107へ処理をリターンする。つまり、制御部20は、リードスイッチ710の近傍において、検査マグネット移動体510の測定速度を、リードスイッチ710の近傍以外の場所より低下させる。
ステップS201の結果、検査マグネット移動体510の位置がリードスイッチ710近傍ではない場合(S201→No)、検査効率を向上させるため、制御部20は検査マグネット移動体510を予め設定されている高速度で移動させ(S203)、
図5のステップS107へ処理をリターンする。
このような本走査が行われることで、効率的な検査を行うことが可能となる。
【0042】
(リードスイッチ測定回路)
図7は、リードスイッチ測定回路の構成例を示す図である。なお、
図7に示すリードスイッチ測定回路201は、既存の技術であるため、その説明を簡略化する。
リードスイッチ測定回路201は測定回路電源210、V側電圧リレー250、H側電圧リレー251、V側抵抗230、H側抵抗231、V側のA/D変換器220、H側のA/D変換器221、V側抵抗リレー240、H側抵抗リレー241および原点調整用スイッチ260を有する。
測定回路電源210は、リードスイッチ測定回路201全体に電源を供給するものである。
V側電圧リレー250およびH側電圧リレー251は、抵抗測定器600による抵抗測定時に抵抗用ループとの切り替えを行うリレースイッチである。
V側抵抗230は、各リードスイッチ710の作動時にV側の電圧値を計測するための抵抗であり、H側抵抗231は、各リードスイッチ710の作動時にH側の電圧値を計測するための抵抗である。
【0043】
V側のA/D変換器220は、V側抵抗230に発生した電圧値をA/D変換し、H側のA/D変換器221は、H側抵抗231に発生した電圧値をA/D変換する。
V側抵抗リレー240およびH側抵抗リレー241は、抵抗測定時にONとなるリレースイッチである。
原点調整用スイッチ260は、検査実施前に原点調整を実行するためのスイッチである。この場合の「原点」とは、原子炉における制御棒位置指示装置700のハウジングの取付位置を想定した位置である。
なお、各リレースイッチ710は、制御棒位置指示装置700中に整列して配置されている。
リードスイッチ測定回路201は図示しない微分回路を有している。この微分回路は、
図7に示すスイッチマトリックスの行成分(V側抵抗230:R1〜R6)と列成分(H側抵抗231:R7〜R11)における電圧変化を基に、リードスイッチ710の作動信号を検出する。V側抵抗230に発生した電圧値と、H側抵抗231に発生した電圧値は、リードスイッチ710毎に異なるものとなるため、制御部20はこれらの電圧値から作動したリードスイッチ710を特定することができる。
【0044】
制御棒位置指示装置700は、一般に54個(もしくは53個)のリードスイッチ710を有している。これらのリードスイッチ710は管理番号「00」〜「53」までの管理番号をそれぞれ有している。ただし、一般には個別のリードスイッチ710に対し、1対1で管理番号が付されることはない。多くの場合、「01」〜「47」までの奇数の管理番号に相当するリードスイッチ710には管理番号が付されていない。すなわち、これらのリードスイッチ710には奇数の管理番号が割り当てられているのみである。
制御棒が作動すると、制御部20は「48」→「奇数管理番号」→「46」→「奇数管理番号」→「44」→「奇数管理番号」→・・・の順にリードスイッチ710が閉状態(すなわち、マグネット810が通過)したと認識する。制御部20は、奇数の管理番号に相当するリードスイッチ710について、管理番号から特定することができない。しかしながら、制御部20は前後の偶数の管理番号から、奇数の管理番号を有するリードスイッチ710を特定することができる。
【0045】
スクラム模擬駆動時には、制御部20は、リードスイッチ測定回路201からの作動信号を取得するとともに、スクラム時間計測部206から時刻暦を取得し、レーザ計出力データ処理部207から検査マグネット移動体510の速度と移動距離を取得する。
【0046】
また、抵抗測定時では、V側電圧リレー250およびH側電圧リレー251が閉状態となることによって、抵抗測定器600が閉状態となっているリードスイッチ710の抵抗値を測定する。測定された抵抗値は、抵抗測定値として制御部20に入力される。
【0047】
本実施形態によれば、可動式支持部110を有することにより、リードスイッチ710の動作範囲および抵抗測定値の検査を、制御棒位置指示装置700の全域にわたって、自動かつ一度に実行することができる。また、本実施形態よれば、制御棒位置指示装置700の検査結果を出力部40などに出力することが可能となるため検査時間の短縮化や、エンコーダ540からの位置検出用パルス信号とリードスイッチ710の作動信号を連動して処理することによる測定精度の向上を図ることができる。また、本実施形態によれば、原子炉に取付けていなくても制御棒位置指示装置700のスクラム動作速度を模擬したリードスイッチ710の作動健全性試験を行うことができる。
【0048】
なお、スクラム模擬時の検査マグネット移動体510の移動は、専用ホースによる移動に限らず、動作部50による検査マグネット移動体510の移動でもよい。