特許第5793103号(P5793103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岩谷産業株式会社の特許一覧 ▶ セントラル硝子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5793103-混合気体の供給方法及び供給装置 図000003
  • 特許5793103-混合気体の供給方法及び供給装置 図000004
  • 特許5793103-混合気体の供給方法及び供給装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793103
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】混合気体の供給方法及び供給装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 15/02 20060101AFI20150928BHJP
   B01F 3/02 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B01F15/02 A
   B01F15/02 C
   B01F3/02
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-91508(P2012-91508)
(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2013-220367(P2013-220367A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】小池 国彦
(72)【発明者】
【氏名】吉野 裕
(72)【発明者】
【氏名】牧平 尚久
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 武彦
(72)【発明者】
【氏名】相田 敏広
(72)【発明者】
【氏名】枇榔 智也
(72)【発明者】
【氏名】市丸 広志
(72)【発明者】
【氏名】田井中 正弘
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−511133(JP,A)
【文献】 特開2009−097573(JP,A)
【文献】 特開2009−108925(JP,A)
【文献】 特開2009−197274(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0278163(US,A1)
【文献】 特開2010−245226(JP,A)
【文献】 特表2008−543563(JP,A)
【文献】 特開2007−190448(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/090537(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 15/02
B01F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸点が0℃以上の低蒸気圧の第一気体と沸点が−30℃以下の高蒸気圧の第二気体とを混合した混合気体を高圧状態で充填した混合容器内から、前記高圧状態の混合気体を使用ポイントに供給するとともに、前記使用ポイントへの供給により前記混合容器内の圧力が設定値に低下した際に、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充するようにした混合気体の供給方法において、
補充容器を補充用弁を介設した補充用管路により前記混合容器に接続し、真空状態とした前記補充容器内に所定量の前記第一気体を充填し、前記第一気体を充填した前記補充容器内に前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充することを特徴とする混合気体の供給方法。
【請求項2】
前記補充容器の内容積が前記混合容器の内容積の100分の1以上5分の1以下であることを特徴とする請求項1に記載の混合気体の供給方法。
【請求項3】
下記の(1)式で定義される前記補充容器の内部断面の円相当径が、前記補充容器の内部高さの100分の1以上2分の1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合気体の供給方法。
S=πD2/4 …(1)
D:円相当径(mm)
S:補充容器の内部断面積(mm2
π:円周率
【請求項4】
複数の補充容器を補充用弁を介設した補充用管路により並列に前記混合容器に接続し、真空状態とした前記補充容器内に所定量の前記第一気体を充填し、前記混合容器から前記高圧状態の混合気体を使用ポイントに供給中に、前記第一気体を充填した一つの前記補充容器内に前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、一つの前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充するとともに、連続して前記第一気体を充填した他の前記補充容器内に前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、他の前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で繰返し補充可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混合気体の供給方法。
【請求項5】
前記低蒸気圧の第一気体は、沸点が0℃以上100℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載の混合気体の供給方法。
【請求項6】
前記混合気体を使用ポイントに供給する圧力が、絶対圧で0.5MPa以上15MPa以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の混合気体の供給方法。
【請求項7】
沸点が0℃以上100℃以下の低蒸気圧の第一気体と沸点が−30℃以下の高蒸気圧の第二気体とを混合した混合気体を高圧状態で充填するとともに絶対圧で0.5MPa以上15MPa以下で使用ポイントに供給するようにした混合容器と、前記混合気体の前記使用ポイントへの供給により前記混合容器内の圧力が設定値に低下した際に、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充する手段とを備えた混合気体の供給装置において、
内容積が前記混合容器の内容積の100分の1以上5分の1以下の補充容器を形成し、
下記の(1)式で定義される前記補充容器の内部断面の円相当径が、前記補充容器の内部高さの100分の1以上2分の1以下であり、
S=πD2/4 …(1)
D:円相当径(mm)
S:補充容器の内部断面積(mm2
π:円周率
前記補充容器と前記混合容器とを補充用弁を介設した補充用管路により接続し、前記第一気体を収納した第一容器を第一気体用弁を介設した第一気体用管路により前記補充容器に接続し、前記第二気体を収納した第二容器を第二気体用弁を介設した第二気体用管路により前記補充容器に接続し、真空ポンプを排気用弁を介設した排気管路により前記補充容器に接続し、
真空状態とした前記補充容器内に前記第一気体用弁を開いて所定量の前記第一気体を充填し、
前記混合容器内の圧力を検出する検出手段を形成して、前記高圧状態の混合気体の前記使用ポイントへの供給により前記検出手段で検出した圧力が設定値に低下した際に、前記第一気体を充填した前記補充容器内に前記第二気体用弁を開いて前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充することを特徴とする混合気体の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造、液晶製造、MEMS製造、太陽電池製造等において、成膜やエッチング等の表面加工工程及びクリーニング工程に使用される、低蒸気圧の気体と高蒸気圧の気体とを混合した高圧状態の混合気体の供給方法及び供給装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体、液晶、MEMS、太陽電池等の製造過程では、成膜工程及び珪素、タングステン、アルミニウム等を除去するためのエッチング工程、クリーニング工程に、活性気体としてのフッ化水素(HF)、三フッ化塩素(ClF3)、三塩化ホウ素(BCl3)等の低蒸気圧の気体と、希釈気体としてのアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N2)等の高蒸気圧の気体とを混合した混合気体が用いられ、製造装置内を真空ポンプで排気し減圧状態にした後に前記混合気体を導入してプラズマエッチングを行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、低蒸気圧の気体と高蒸気圧の気体を混合するために昇圧ポンプ、圧縮機等を使用するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
さらに、従来、活性気体としての低蒸気圧の気体と、希釈気体としての高蒸気圧の気体とを混合した高圧状態の混合気体を混合容器に充填し、この混合容器から混合気体を高圧状態で使用ポイントに供給し、使用ポイントにおいて高圧状態の混合気体を断熱膨張させながら噴出させて反応性クラスタを生成し、半導体等の表面を加工するものが知られている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3989286号公報
【特許文献2】特表2008−543563号公報
【特許文献3】WO2010/021265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来の技術は、混合気体が減圧状態であり、使用ポイントにおいて高圧状態の混合気体を供給することができないという課題がある。
また、特許文献2に記載の従来の技術は、昇圧ポンプ、圧縮機等の運転による混合気体への不純物の混入や、外部への混合気体の洩れが生じ易いという課題がある。
【0006】
さらに、特許文献3に記載の従来の技術は、混合容器内の混合気体を使用ポイントに供給することにより、混合容器内の圧力が使用ポイントで要求される圧力まで低下した際に、混合容器内に混合気体のうちの低蒸気圧の活性気体を補充するためには、混合容器内の残っている混合気体を真空ポンプにより廃棄した後に、低蒸気圧の活性気体を充填し、次に高蒸気圧の希釈気体を充填して混合容器内の混合気体の圧力を高圧状態に戻さなければならず、残留する混合気体を廃棄することが必要であり、混合気体の廃棄の無駄が生ずるという課題がある。
また、真空ポンプによる廃棄に時間がかかり、その間、混合気体の使用ポイントへの供給を中断しなければならないという課題もある。
【0007】
本発明は、特許文献1に記載の従来例における使用ポイントで要求される高圧状態の混合気体を供給できないという課題、特許文献2に記載の従来例における昇圧ポンプ、圧縮機等での混合気体への不純物の混入や洩れが生じ易いという課題、及び特許文献3に記載の従来例における混合気体の廃棄の無駄や混合気体の使用ポイントへの供給の中断という課題を一挙に解決しようとするものであり、活性気体としての低蒸気圧の第一気体を充填した補充容器内に希釈気体としての高蒸気圧の第二気体を充填しながら同時に補充用弁を開いて、前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、混合容器内に混合気体を高圧状態で補充する混合気体の供給方法及び供給装置とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明の混合気体の供給方法は、沸点が0℃以上の低蒸気圧の第一気体と沸点が−30℃以下の高蒸気圧の第二気体とを混合した混合気体を高圧状態で充填した混合容器内から、前記高圧状態の混合気体を使用ポイントに供給するとともに、前記使用ポイントへの供給により前記混合容器内の圧力が設定値に低下した際に、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充するようにした混合気体の供給方法において、
補充容器を補充用弁を介設した補充用管路により前記混合容器に接続し、真空状態とした前記補充容器内に所定量の前記第一気体を充填し、前記第一気体を充填した前記補充容器内に前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充するようにしたものである。
【0009】
請求項2に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1に係る本発明の構成に加え、前記補充容器の内容積が前記混合容器の内容積の100分の1以上5分の1以下であるものである。
【0010】
請求項3に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1又は2に係る本発明の構成に加え、下記の(1)式で定義される前記補充容器の内部断面の円相当径が、前記補充容器の内部高さの100分の1以上2分の1以下であるものである。
S=πD2/4 …(1)
D:円相当径(mm)
S:補充容器の内部断面積(mm2
π:円周率
【0011】
請求項4に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1〜3のいずれかに係る本発明の構成に加え、複数の補充容器を補充用弁を介設した補充用管路により並列に前記混合容器に接続し、真空状態とした前記補充容器内に所定量の前記第一気体を充填し、前記混合容器から前記高圧状態の混合気体を使用ポイントに供給中に、前記第一気体を充填した一つの前記補充容器内に前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、一つの前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充するとともに、連続して前記第一気体を充填した他の前記補充容器内に前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、他の前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で繰返し補充可能としたものである。
【0012】
請求項5に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1〜4のいずれかに係る本発明の構成に加え、前記低蒸気圧の第一気体は、沸点が0℃以上100℃以下としたものである。
【0013】
請求項に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1〜のいずれかに係る本発明の構成に加え、前記混合気体を使用ポイントに供給する圧力が、絶対圧で0.5MPa以上15MPa以下であるものである。
【0014】
請求項に係る本発明の混合気体の供給装置は、沸点が0℃以上100℃以下の低蒸気圧の第一気体と沸点が−30℃以下の高蒸気圧の第二気体とを混合した混合気体を高圧状態で充填するとともに絶対圧で0.5MPa以上15MPa以下で使用ポイントに供給するようにした混合容器と、前記混合気体の前記使用ポイントへの供給により前記混合容器内の圧力が設定値に低下した際に、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充する手段とを備えた混合気体の供給装置において、
内容積が前記混合容器の内容積の100分の1以上5分の1以下の補充容器を形成し、
下記の(1)式で定義される前記補充容器の内部断面の円相当径が、前記補充容器の内部高さの100分の1以上2分の1以下であり、
S=πD2/4 …(1)
D:円相当径(mm)
S:補充容器の内部断面積(mm2
π:円周率
前記補充容器と前記混合容器とを補充用弁を介設した補充用管路により接続し、前記第一気体を収納した第一容器を第一気体用弁を介設した第一気体用管路により前記補充容器に接続し、前記第二気体を収納した第二容器を第二気体用弁を介設した第二気体用管路により前記補充容器に接続し、真空ポンプを排気用弁を介設した排気管路により前記補充容器に接続し、
真空状態とした前記補充容器内に前記補充用弁を開いて所定量の前記第一気体を充填し、
前記混合容器内の圧力を検出する検出手段を形成して、前記高圧状態の混合気体の前記使用ポイントへの供給により前記検出手段で検出した圧力が設定値に低下した際に、前記第一気体を充填した前記補充容器内に前記第二気体用弁を開いて前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充するようにしたものである
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明の混合気体の供給方法は、真空状態とした補充容器内に所定量の沸点が0℃以上の低蒸気圧の第一気体を充填し、前記第一気体を充填した前記補充容器内に沸点が−30℃以下の高蒸気圧の第二気体を充填しながら同時に補充用弁を開いて、前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充するようにしたから、不純物の混入を防止し、混合容器内の混合気体の廃棄を最小限にし、しかも、混合気体の使用ポイントへの供給を中断することなく連続的に行うこともできるのである。
【0016】
請求項2に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1に係る本発明の効果に加え、前記補充容器の内容積が前記混合容器の内容積の100分の1以上5分の1以下であるから、混合気体の補充頻度を抑えつつ、補充容器の設置スペースを小さくすることができるのである。
すなわち、その内容量が100分の1未満であれば、1回当たりに補充できる容量が少なく、頻繁に補充を繰り返さなければならず、混合気体の供給に対し時間的な制限が掛かるのである。5分の1を超えれば、補充容器の設置スペースが大きくなり装置製作上好ましくなく、さらに第一気体の廃棄量も多くなるのである。
【0017】
請求項3に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1又は2に係る本発明の効果に加え、前記補充容器の内部断面の円相当径が、前記補充容器の内部高さの100分の1以上2分の1以下であるから、補充容器内での第一気体と第二気体との混合を起こりにくくし、補充容器から混合気体を混合容器に補充後に廃棄する補充容器内の混合気体中における前記第一気体の濃度を低下させることができ、第二気体に比べて高価な第一気体の廃棄量を低減することができるのである。
【0018】
請求項4に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1〜3のいずれかに係る本発明の効果に加え、複数の補充容器を形成して、一つの補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、混合容器内に混合気体を高圧状態で補充するとともに、連続して他の補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で繰返し補充可能としたから、使用ポイントにおける混合気体の使用量が多量の場合でも、混合気体の使用ポイントへの供給を中断することなく連続的に行うこともできるのである。
【0019】
請求項5に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1〜4のいずれかに係る本発明の効果に加え、前記低蒸気圧の第一気体は、沸点が0℃以上であるから、液化することなく気体で補充容器に充填でき、また、沸点が100℃以下であるから、蒸気圧が得られて補充容器に充填することができるのである。
【0020】
請求項に係る本発明の混合気体の供給方法は、請求項1〜のいずれかに係る本発明の効果に加え、前記混合気体を使用ポイントに供給する圧力が、絶対圧で0.5MPa以上15MPa以下であるから、使用ポイントにおいて高い圧力の混合気体を供給することができるのである。
【0021】
請求項に係る本発明の混合気体の供給装置は、沸点が0℃以上100℃以下の低蒸気圧の第一気体と沸点が−30℃以下の高蒸気圧の第二気体とを混合した混合気体を高圧状態で充填するとともに絶対圧で0.5MPa以上15MPa以下で使用ポイントに供給するようにした混合容器と、前記混合気体の前記使用ポイントへの供給により前記混合容器内の圧力が設定値に低下した際に、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充する手段とを備えた混合気体の供給装置において、
内容積が前記混合容器の内容積の100分の1以上5分の1以下であって、内部断面の円相当径が内部高さの100分の1以上2分の1以下の補充容器を形成し、
前記補充容器の内部断面の円相当径が、前記補充容器の内部高さの100分の1以上2分の1以下であり、
前記補充容器と前記混合容器とを補充用弁を介設した補充用管路により接続し、前記第一気体を収納した第一容器を第一気体用弁を介設した第一気体用管路により前記補充容器に接続し、前記第二気体を収納した第二容器を第二気体用弁を介設した第二気体用管路により前記補充容器に接続し、真空ポンプを排気用弁を介設した排気管路により前記補充容器に接続し、
真空状態とした前記補充容器内に前記補充用弁を開いて所定量の前記第一気体を充填し、
前記混合容器内の圧力を検出する検出手段を形成して、前記高圧状態の混合気体の前記使用ポイントへの供給により前記検出手段で検出した圧力が設定値に低下した際に、前記第一気体を充填した前記補充容器内に前記第二気体用弁を開いて前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁を開いて、前記補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で補充するようにしたから、請求項1〜3及び5〜に係る本発明の混合気体の供給方法による前記効果を備えた装置とすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第一の実施の形態に係る混合気体の供給方法及び供給装置の概略を示す概略説明図である。
図2】本発明の第二の実施の形態に係る混合気体の供給方法及び供給装置の概略を示す概略説明図である。
図3】比較案に係る混合気体の供給方法及び供給装置の概略を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る混合気体の供給方法及び供給装置を図1及び図2に基づいて、図3を参照しながら説明する。
第一の実施の形態を示す図1において、1は、混合容器であり、混合容器1内に低蒸気圧の第一気体と高蒸気圧の第二気体とを混合した混合気体を高圧状態で充填している。
【0024】
2は補充容器であり、補充用弁3を介設した補充用管路31により前記補充容器2の下部を前記混合容器1の上部に接続している。
前記第一気体を収納した第一容器(図示せず)を圧力調整弁(図示せず)及び第一気体用弁4を介設した第一気体用管路41により前記補充容器2の上部に接続し、前記第二気体を収納した第二容器(図示せず)を圧力調整弁(図示せず)及び第二気体用弁5を介設した第二気体用管路51により前記補充容器2の上部に接続し、真空ポンプ(図示せず)により前記補充容器2を真空状態にする第一排気用弁6を介設した排気管路61を前記補充容器2の上部に接続している。
【0025】
また、前記混合容器1の上部には供給用弁7及び圧力調整弁71を介設した混合気体を使用ポイント72に供給する供給管路73と、前記混合容器1内の混合気体を前記真空ポンプにより排気する第二排気用弁8を介設した排気管路81とを接続しており、前記排気管路81の下流側を前記補充容器2からの前記排気管路61と合流させている。
前記供給管路73にはフーリエ変換式赤外線吸光分析計(図示せず)が接続されており、前記混合容器1から供給される前記混合気体における前記第一気体の濃度を測定することができるようにしている。
【0026】
前記排気管路61には吸着剤を収納した吸着装置(図示せず)が設けられており、前記補充容器2から廃棄される前記混合気体から前記第一気体を捕集してその質量をロードセルにより積算して計測するようにしている。
前記混合容器1に前記排気管路81を接続しているが、前記混合容器1内の混合気体の排気を行うのは、混合気体供給装置の稼動直後に行う最初の真空引きの際、あるいは長期間稼働させた後に行なう点検整備の際などであり、通常の稼働中には、前記補充容器2内の混合気体の排気を行うのみであり、前記混合容器1内の混合気体の排気は行わないのである。
【0027】
なお、11は前記混合容器1内の混合気体の圧力を検出する圧力検出器、21は前記補充容器2内の圧力を検出する圧力検出器である。
以上のとおり、この実施の形態に係る混合気体の供給装置は、低蒸気圧の第一気体と高蒸気圧の第二気体とを混合した混合気体を高圧状態で充填するとともに使用ポイント72に供給するようにした前記混合容器1と、前記高圧状態の混合気体の前記使用ポイント72への供給により前記混合容器1内の圧力が設定値に低下した際に、前記混合容器1内に前記混合気体を高圧状態で補充する手段とを備えた混合気体の供給装置であって、内容積が前記混合容器1の内容積よりも小さい補充容器2を形成し、前記補充容器2と前記混合容器1とを補充用弁3を介設した補充用管路31により接続し、前記第一気体を収納した第一容器を第一気体用弁4を介設した第一気体用管路41により前記補充容器2に接続し、前記第二気体を収納した第二容器を第二気体用弁5を介設した第二気体用管路51により前記補充容器2に接続し、真空ポンプを第一排気弁6を介設した排気管路61により前記補充容器2に接続し、真空状態とした前記補充容器2内に前記第一気体用弁4を開いて所定量の前記第一気体を充填し、前記混合容器1内の圧力を検出する圧力検出器11を形成して、前記高圧状態の混合気体の前記使用ポイント72への供給により前記圧力検出器11で検出した圧力が設定値に低下した際に、前記第一気体を充填した前記補充容器2内に前記第二気体用弁5を開いて前記第二気体を充填しながら同時に前記補充用弁3を開いて、前記補充容器2内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器1内に前記混合気体を高圧状態で補充するようにしたものである。
【0028】
そして、使用ポイント72への混合気体の供給方法は、前記低蒸気圧の第一気体と前記高蒸気圧の第二気体とを混合した混合気体を高圧状態で充填した前記混合容器1内から、前記高圧状態の混合気体を前記使用ポイント72に供給するとともに、前記使用ポイント72への供給により前記混合容器1内の圧力が設定値に低下した際に、前記混合容器1内に前記補充容器2により前記混合気体を高圧状態で補充するのである。
前記混合容器1内に前記補充容器2により前記混合気体を高圧状態で補充する具体的方法は、まず前記補充容器2内を前記排気管路61で接続された真空ポンプにより真空状態とし、前記第一気体用弁4を開いて前記第一気体用管路41から前記第一気体を充填し、前記補充容器2内の圧力検出器21が所定の値に達した後に前記第一気体用弁4を閉じるのである。
【0029】
次いで、前記第二気体用弁5を開き前記第一気体を充填した補充容器2内に前記第二気体用管路51から前記第二気体を圧力調整弁により所定の圧力で充填しながら、同時に前記補充用弁3を開いて、前記補充容器2内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器1内に前記混合気体を高圧状態で補充するのである。
なお、前記補充用弁3の前記開弁は、前記第二気体用弁5の開弁と同じタイミングで行なっても良いし、前記混合容器1から前記補充容器2への混合気体の逆流を防ぐため、前記第二気体用弁5の開弁より少しタイミングを遅らせて前記補充容器2の昇圧を行なうようにしても良いのである。
【0030】
次に、前記補充容器2について各種の形状仕様及び充填仕様により、前記低蒸気圧の第一気体の使用ポイント72への供給量、前記補充容器2からの廃棄量などを、本出願人らのこれまでの経験により算出した算出値として以下に示す。
まず、活性気体としての前記低蒸気圧の第一気体は、フッ化水素(HF)、三フッ化塩素(ClF3)、三塩化ホウ素(BCl3)等のハロゲン気体又はハロゲン化物気体であり、沸点が0℃以上100℃以下のものとするのである。
【0031】
前記第一気体は沸点が0℃以上であれば液化せずに前記補充容器2に充填でき、100℃以下で有れば前記補充容器2への充填に必要な蒸気圧が得られるからである。
希釈気体としての前記高蒸気圧の第二気体は、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N2)等の不活性気体及び酸素(O2)、アンモニア(NH3)、塩素(Cl2)等であり、沸点が−30℃以下のものとするのである。
【0032】
前記第二気体は沸点が−30℃以下であれば前記使用ポイント72における前記混合気体の必要な高圧状態を得ることができるからである。
そして、本発明の以下の実施案1〜実施案8及び以下の比較例においては、前記第一気体としてフッ化水素(HF)及び前記第二気体としてアルゴン(Ar)を用い、前記混合気体のフッ化水素の濃度を10%とし、前記混合容器1内の前記混合気体の充填後の圧力を1050kPa(絶対圧、以下圧力は絶対圧表示とする)とし、前記使用ポイント72での前記混合気体の要求される圧力から、前記混合容器1内の圧力を900kPa以上に保持することを条件としている。
【0033】
前記補充容器2の形状仕様及び充填仕様の作用及び機能の確認のために、前記使用ポイント72への供給により前記混合容器1内の圧力が設定値である900kPa、1035kPa、950kPa又は1000kPaに低下した際に、前記混合容器1内に前記混合気体を補充するように条件を設定している。
ただし、比較例においては前記混合容器1内の圧力を900kPa以上に保持すれば良いから前記設定値を900kPaとして実施案1〜実施案8と比較検討した。
【0034】
前記混合容器1及び前記補充容器2に接続された前記圧力検出器11、21は、いずれも0kPa以上1100kPa以下の圧力を計測できるようにしている。
実施案1〜実施案8及び比較例における前記混合容器1は、材質をステンレススチールとしており、その内容積を38Lとしている。
【0035】
また、実施案1〜実施案8における前記補充容器2は、前記混合容器1と同様に、材質をステンレススチールとしており、その形状が円筒状である。
実施案1〜実施案8における前記補充容器2の形状仕様、前記補充容器2の充填仕様及び前記混合容器2の圧力は、表1に示すとおりである。
【0036】
【表1】
【0037】
すなわち、実施案1における前記補充容器2の内容積は前記混合容器1の内容積の9.5分の1である4Lであり、円筒状である前記補充容器2の内部の高さが434mm、その内部断面の径が高さの4分の1弱である108.3mmである。
この実施案1における前記補充容器2に充填されるHFの充填圧が157kPaであり、その充填量が5.53gであり、前記混合容器1の前記補充容器2からの充填前の混合気体の圧力が900kPaであるから、前記混合容器1から前記使用ポイント72への混合気体の供給による使用圧力差は150kPaである。
【0038】
実施案2における前記補充容器2の内容積は前記混合容器1の内容積の約100分の1である0.39Lであり、円筒状である前記補充容器2の内部の高さが200mm、その内部断面の径が高さの4分の1である50mmであり、この実施案2では前記補充容器2の内容積が小さいため、前記混合容器1の圧力が900kPaに低下する前の1035kPaにおいて前記補充容器2からの補充を行うようにした場合であり、前記混合容器1から混合気体を使用ポイント72へ供給中に、すなわち前記混合容器1からの混合気体の使用ポイント72への供給を中断させることなく連続的に補充による昇圧をおこなうのである。
この実施案2における前記補充容器2に充填されるHFの充填圧が157kPaであり、その充填量が0.54gであり、前記混合容器1の前記補充容器2からの充填前の混合気体の圧力が1035kPaであるから、前記混合容器1から前記使用ポイント72への混合気体の供給による使用圧力差は15kPaである。
【0039】
実施案3における前記補充容器2の内容積は前記混合容器1の内容積の約5分の1である8.1Lであり、円筒状である前記補充容器2の内部の高さが548mm、その内部断面の径が高さの4分の1である137mmである。
この実施案3における前記補充容器2に充填されるHFの充填圧が93kPaであり、その充填量が6.62gであり、前記混合容器1の前記補充容器2からの充填前の混合気体の圧力が実施案1と同様に900kPaであるから、前記混合容器1から前記使用ポイント72への混合気体の供給による使用圧力差は150kPaである。
【0040】
実施案4における前記補充容器2の内容積は、実施案1と同様に前記混合容器1の内容積の9.5分の1である4Lであり、円筒状である前記補充容器2の内部の高さが275mm、その内部断面の径が高さの約2分の1である136mmである。
この実施案4における前記補充容器2に充填されるHFの充填圧が172kPaであり、その充填量が6.06gであり、前記混合容器1の前記補充容器2からの充填前の混合気体の圧力が実施案1と同様に900kPaであるから、前記混合容器1から前記使用ポイント72への混合気体の供給による使用圧力差は150kPaである。
【0041】
実施案5における前記補充容器2の内容積は、実施案1と同様に前記混合容器1の内容積の9.5分の1である4Lであり、円筒状である前記補充容器2の内部の高さが3700mm、その内部断面の径が高さの約100分の1である37.1mmである。
この実施案5における前記補充容器2に充填されるHFの充填圧が150kPaであり、その充填量が5.29gであり、前記混合容器1の前記補充容器2からの充填前の混合気体の圧力が実施案1と同様に900kPaであるから、前記混合容器1から前記使用ポイント72への混合気体の供給による使用圧力差は150kPaである。
【0042】
実施案6における前記補充容器2の形状仕様(内容積、内部高さ及び内部断面の径)は、実施案1と同様であるが、前記混合容器1から混合気体を使用ポイント72へ供給中に、すなわち前記混合容器1の圧力が900kPaに低下する前の950kPaにおいて前記補充容器2からの補充を行うようにした場合であり、前記混合容器1からの混合気体の使用ポイント72への供給を中断させることなく連続的に補充による昇圧をおこなうのである。
この実施案6における前記補充容器2に充填されるHFの充填圧が105kPaであり、その充填量が3.70gであり、前記混合容器1の前記補充容器2からの充填前の混合気体の圧力が上記のとおり950kPaであるから、前記混合容器1から前記使用ポイント72への混合気体の供給による使用圧力差は100kPaである。
【0043】
実施案7における前記補充容器2の形状仕様(内容積、内部高さ及び内部断面の径)は、実施案1と同様であるが、前記混合容器1から混合気体を使用ポイント72へ供給中に、すなわち前記混合容器1の圧力が900kPaに低下する前の1000kPaにおいて前記補充容器2からの補充を行うようにした場合であり、前記混合容器1からの混合気体の前記使用ポイント72への供給を中断させることなく連続的に補充による昇圧をおこなうのである。
この実施案7における前記補充容器2に充填されるHFの充填圧が52kPaであり、その充填量が1.83gであり、前記混合容器1の前記補充容器2からの充填前の混合気体の圧力が上記のとおり1000kPaであるから、前記混合容器1から前記使用ポイント72への混合気体の供給による使用圧力差は50kPaである。
【0044】
実施案8は、本発明の第二の実施の形態に係る図2に示すもので、第一の実施の形態に係る図1における前記補充容器2を、2基の補充容器2a、2bとしたものであり、図2に補充容器を2基としたことに伴う構成について、図1における符号にサッフィクスaとbとを付している。
実施案8において、2基の補充容器を形成したのは、補充容器に低蒸気圧の第一気体を充填するには、その前に真空ポンプで真空状態にする必要があり、真空状態にする時間がかかるから、補充容器が1基では、使用ポイントにおける混合気体の供給量が多い場合に連続供給に支障がでるおそれがあり、2基の補充容器とすることにより、一基の補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、混合容器内に混合気体を高圧状態で補充するとともに、連続して他の一基の補充容器内の前記第一気体を前記第二気体で押し出すことにより、前記混合容器内に前記混合気体を高圧状態で繰返し補充可能として、使用ポイントにおける混合気体の使用量が多量の場合でも、混合気体の使用ポイントへの供給を中断することなく連続的に行うこともできるのである
【0045】
そして、実施案8における2基の補充容器2a、2bの形状仕様(内容積、内部高さ及び内部断面の径)及び内容積は、実施案5の前記補充容器2と同様に前記混合容器1の内容積の9.5分の1である4Lであり、円筒状である補充容器2の内部の高さが3700mm、その内部断面の径が高さの約100分の1である37.1mmであり、2基とも同じである。
この実施案8における前記補充容器2a、2bに充填されるHFの充填圧が150kPaであり、その充填量が5.29gであり、前記混合容器1の前記補充容器2からの充填前の混合気体の圧力が実施案1、5などと同様に900kPaであるから、前記混合容器1から前記使用ポイント72への混合気体の供給による使用圧力差は150kPaであり、2基とも同じである。
【0046】
また、比較例は、図3に示すように、本発明の第一及び第二の実施形態の特徴である、前記補充容器2、2a、2bを備えておらず、混合容器1に混合気体を充填する際には、まず、混合容器1を真空状態にしてHFを充填し、次に、Arで所定圧の混合気体とするのである。
すなわち、比較例は、実施案1〜実施案8と同様に、前記第一気体としてHF及び前記第二気体としてArを用い、前記混合気体のHFの濃度を10%とし、前記混合容器1内の前記混合気体の充填後の圧力を1050kPaとし、前記混合容器1内の圧力を900kPa以上に保持する場合であって、前記使用ポイント72への供給により前記混合容器1内の圧力が設定値である900kPaに低下した際に、供給を中断し、前記混合容器1内の前記混合気体を真空ポンプにより排気して、真空状態とした前記混合容器1内にHFを105kPaで充填し、次にArを充填して混合気体の圧力を1050kPaにして、前記混合容器1への再充填を行うのである。
【0047】
このように、比較例は混合容器1内の混合気体の大部分(約86%)が残っているにもかかわらず、使用ポイント72における混合気体の要求圧力が高い場合に、その要求圧力までしか前記混合容器1内の混合気体を使用ポイント72に供給することができないのである。
さらに、前記混合容器1内の混合気体を昇圧するためにはHF及びArを再充填しなければならないが、低蒸気圧のHFを充填する前には前記混合容器1に残っている混合気体を廃棄せざるを得ないのである。
【0048】
表1に示す比較例においては、補充容器を使用していないが、便宜上、補充容器形状仕様の容積の欄に混合容器の容積を括弧を付して記載し、補充容器充填仕様のHF充填圧及びHF充填量の欄に混合容器のHF充填圧及びHF充填量を括弧を付して記載している。
次に、実施案1〜実施案8による混合気体の使用ポイント72への供給におけるHFの使用と廃棄とについて、比較例に対する優位性を表1に基づいて、説明する。
【0049】
実施案1〜実施案8は、まず、比較例と同じく混合容器1に混合気体を充填する操作を行なうのである。
そして、混合容器1内の混合気体を使用ポイント72に圧力調整弁71により900kPa弱の圧力で供給し、混合容器1内の圧力を圧力検出器11で検出して検出圧力が設定値である900kPa、1035kPa、950kPa又は1000kPaに低下した際に、補充容器2、2a、2bを補充用弁3、3a、3bを介設した補充用管路31、31a、31bにより前記混合容器1に接続し、真空状態とした前記補充容器1内に表1にそれぞれ記載の所定の圧力に達するまでHFを充填し、HFを充填した前記補充容器2、2a、2b内に、圧力調整弁により1050kPaよりも若干(10〜30kPa)高い圧力に調整したArを充填しながら同時に前記補充用弁3、3a、3bを開いて、前記補充容器2、2a、2b内のHFをArで押し出すことにより、前記混合容器1内に前記混合気体を高圧状態で補充し、圧力検出器11で検出した検出圧力が1050kPaに到達すると前記補充用弁3、3a、3bを閉じて混合気体の補充を終了するのである。
【0050】
なお、前記補充容器2、2a、2bにより前記混合容器1内に前記混合気体を高圧状態で補充する際には、実施案1、実施案3〜実施案5及び実施案8では、前記混合容器1内の圧力が900kPaに低下するまで混合気体を使用ポイント72に供給したため、前記供給用弁7を閉じて、補充するようにしたものであり、実施案2、実施案6及び実施案7については、前記混合容器1内の圧力が900kPaに低下していないから、混合気体の使用ポイント72への供給を継続しながら、補充するようにしているが、前記供給用弁7を閉じて、補充するようにしても良いのである。
補充を終了した前記補充容器2、2a、2bは、次の補充に備えて、真空ポンプにより前記補充容器2、2a、2b内に残った気体を廃棄するのであるが、前記補充容器2、2a、2b内には殆どのHFがArにより前記混合容器1に押し出され、若干のHFがArに混合してHFの濃度の低い混合気体が前記補充容器2、2a、2b内に残っており、これを廃棄することになるのである。
【0051】
HFを廃棄する程度を本出願人らの豊富な経験に基づいて算出した結果が表1に示す数値である。
すなわち、混合容器に補充容器から混合気体を補充する際に、混合容器から使用ポイントへ供給されたHFの量が分かっており、補充容器の形状及び容積から、補充容器内のHFをArで押し出すときにHFがArに混合する程度を算出して、補充終了時の補充容器内のHFの量と使用ポイントに供給されたHFの量との合計を、真空状態にした補充容器内に充填するのである。
【0052】
そして、混合気体を使用ポイントに長期間供給すると、混合容器内の混合気体のHF濃度が設定値から外れてくることが予測されるため、定期的に、混合気体を使用ポイントに供給する供給管路に接続したフーリエ変換式赤外線吸光分析計によりHF濃度を測定して、測定値と設置値との差を補正する方向に、補充容器内に充填するHFの量を増減するのである。
表1において、それぞれの数値は下記のとおりである。
HF使用率[%]=100*HF使用量[g]/(HF使用量[g]+HF廃棄量[g])
HF廃棄率[%]=100*HF廃棄量[g]/(HF使用量[g]+HF廃棄量[g])
比較例とのHF使用率比[%]=100*実施案HF使用率[%]/比較例HF使用率[%]
比較例とのHF廃棄率比[%]=100*実施案HF廃棄率[%]/比較例HF廃棄率[%]
比較例とのHF廃棄量比[%]=100*実施案HF廃棄量[g]/比較例HF廃棄量[g]
【0053】
実施案1〜実施案8は、いずれもHF使用率、HF廃棄率において、比較例のそれらに比し、優位性があることが確認できた。
特に、補充容器の容積を同じ4Lとし、その形状を実施案1、実施案4及び実施案5のように変えることもでき、このことは使用ポイントにおける要求に応じ、補充容器により混合気体を混合容器に補充する際に、補充容器内で低蒸気圧の第一気体が高蒸気圧の第二気体に混合する量を最小限とする形状を選定できることを示している。
【0054】
また、補充容器の内容積、形状を変えたり、補充容器による混合容器への補充を、混合容器の圧力が使用下限である設定値に低下する前に行ったりしても、HF使用率、HF廃棄率において、比較例のそれらに比し、優位性を保持できることが確認できた。
これらの実施案から、補充容器の内容積は混合容器の内容積の100分の1以上5分の1以下であっても比較例に対して優位性を保持できることが確認できた。
【0055】
すなわち、その内容量が100分の1未満であれば、1回当たりに補充できる容量が少なく、頻繁に補充を繰り返さなければならず、混合気体の供給に対し時間的な制限が掛かるのである。5分の1を超えれば、補充容器の設置スペースが大きくなり装置製作上好ましくなく、さらに第一気体の廃棄量も多くなるのである。
また、補充容器の内部断面の径が内部高さの100分の1以上2分の1以下であっても比較例に対して優位性を保持できることが確認できた。
【0056】
補充容器の形状としては、実施案1、実施案4及び実施案5から分かるように、内径が大きく、高さが小さいとHFとArとの混合が起こり易くなり、HF廃棄量が多くなり、内径が小さく、高さが大きいとHFとArとの混合が起こりにくくなり、HF廃棄量は少なくなるのである。
ただし、補充容器の内径が小さく、高さが大きいと補充容器から混合容器への補充時間が長くかかるため、その補充中に使用ポイントに混合気体の供給を継続する場合、混合気体の補充量が混合気体の供給量を上回るように設定するのである。
【0057】
また、補充容器の容量を大きくすると、HF廃棄量が増える上に、補充及び真空引きに時間がかかるから、使用ポイントへの混合気体の供給を継続する場合、第二の実施の形態及び実施案8のように補充容器を2基又はそれ以上の複数基にするのである。
以上の第一及び第二の実施の形態では、補充容器として円筒形状としたが、筒状の内部断面が楕円状、多角形状でもよく、その場合、下記の(1)式で定義される前記補充容器の内部断面の円相当径を、前記補充容器の内部高さの100分の1以上2分の1以下とするのである。
S=πD2/4 …(1)
D:円相当径(mm)
S:補充容器の内部断面積(mm2
π:円周率
【0058】
以上の第一及び第二の実施の形態では、前記混合気体を使用ポイントに供給する圧力を絶対圧で900kPaとしたが、0.5MPa程度以上であれば廃棄量低減の効果が大きくなるので、供給圧は絶対圧で0.5MPa以上15MPa以下であれば良いのである。
以上の第一及び第二の実施の形態では、低蒸気圧の第一気体(HF)及び高蒸気圧の第二気体(Ar)の補充容器への充填量を補充容器の圧力を検出する圧力検出器21、21a、21bの検出圧力によっており、また、補充容器から混合容器への補充開始及び補充終了のタイミングを混合容器の圧力を検出する圧力検出器11の検出圧力によっていたが、圧力計側値に替えて圧力と相関関係にある、積算流量あるいは重量の計測値を用いることもできるのである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、以上の第一及び第二の実施の形態並びに実施案1〜実施案8に限定されるものではなく、混合気体の需要量、廃棄量、混合容器容量、補充時間等を勘案し、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な構成をとり得るのである。
本発明は、半導体製造、液晶製造、MEMS製造、太陽電池製造等において、成膜やエッチング等の表面加工工程及びクリーニング工程に使用される、活性気体としての低蒸気圧の気体と高蒸気圧の気体とを混合した高圧状態の混合気体の供給方法及び供給装置として有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 混合容器
2、2a、2b 補充容器
3、3a、3b 補充用弁
31、31a、31b 補充用管路
4、4a、4b 第一気体用弁
41、41a、41b 第一気体用管路
5、5a、5b 第二気体用弁
51、51a、51b 第二気体用管路
7 供給用弁
72 使用ポイント
図1
図2
図3