特許第5793106号(P5793106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5793106パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置の制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793106
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20150928BHJP
   G01L 3/10 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B62D5/04
   G01L3/10 317
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-100514(P2012-100514)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-226944(P2013-226944A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2014年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】301041449
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズステアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉武 敦
(72)【発明者】
【氏名】椎野 高太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−029172(JP,A)
【文献】 特開昭63−317702(JP,A)
【文献】 特開2011−169716(JP,A)
【文献】 特開平09−072758(JP,A)
【文献】 特開2012−046047(JP,A)
【文献】 特開2011−020544(JP,A)
【文献】 特開2007−008447(JP,A)
【文献】 特開2009−132281(JP,A)
【文献】 特開2001−310743(JP,A)
【文献】 特開2003−335251(JP,A)
【文献】 特開2005−306124(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/138676(WO,A1)
【文献】 特開2004−142731(JP,A)
【文献】 特開2007−245819(JP,A)
【文献】 特開2003−344190(JP,A)
【文献】 特開2009−227122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに接続された入力軸とトーションバーを介して前記入力軸に接続された出力軸とから構成されたステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトの回転を転舵輪の転舵動作に変換する変換機構と、から構成される操舵機構と、
前記ステアリングシャフトの回転角情報である正弦波信号および余弦波信号を出力すると共にMR素子によって構成された操舵角センサと、
前記入力軸と前記出力軸との相対角を用いて前記ステアリングシャフトに発生するトルクを検出するトルクセンサと、
前記操舵機構に操舵補助力を付与する電動モータと、
1つのプロセッサパッケージ内に1つのプロセッサコアが搭載されたシングルコアマイコンを有する第1のECUと、
前記第1のECUに設けられ、前記操舵角センサからの出力信号を受信する操舵角信号受信部と、
前記第1のECUに設けられ、前記トルクセンサからの出力信号を受信するトルク信号受信部と、
前記第1のECUに設けられ、前記操舵角信号受信部で受信した正弦波信号および余弦波信号に基づき、前記入力軸および前記出力軸の回転角を演算する第1の角度演算処理部と、
1つのプロセッサパッケージ内に複数のプロセッサコアが搭載されたマルチコアマイコンを有する第2のECUと、
前記第1のECUと前記第2のECUの間に設けられ、前記第1のECU内の情報を前記第2のECUに送信する第1の情報通信回路および前記第2のECU内の情報を 前記第1のECUに送信する第2の情報通信回路と、
前記第2のECUに設けられ、前記第1の情報通信回路を介して伝達された前記第1のECUの演算結果である前記入力軸の回転角に基づき、前記電動モータを駆動制御するモータ制御部と、
前記第2のECUに設けられ、 前記操舵角センサおよび前記トルクセンサからの出力信号とは異なる異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づき前記複数のプロセッサコアで同一の角度演算を行い、演算結果を相互比較する第2の角度演算処理部と、
前記第2のECUに設けられ、前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づいて前記第1の角度演算処理部によって演算された回転角と前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づいて第2の角度演算処理部で算出された回転角とを比較することにより前記第1の角度演算処理部の異常を検出する異常検出処理部と、を備え、
前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号は、前記第2のECUに保存され、前記第1のECUに送信され、
前記第1のECUは、前記ステアリングシャフト側に設けられ、前記第2のECUは前記電動モータ側に設けられ、それぞれ分離して配置されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項2】
ステアリングホイールに接続された入力軸とトーションバーを介して前記入力軸に接続された出力軸とから構成されたステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトの回転を転舵輪の転舵動作に変換する変換機構と、から構成される操舵機構と、
前記ステアリングシャフトの回転角情報である正弦波信号および余弦波信号を出力すると共にMR素子によって構成された操舵角センサと、
前記入力軸と前記出力軸との相対角を用いて前記ステアリングシャフトに発生するトルクを検出するトルクセンサと、
前記操舵機構に操舵補助力を付与する電動モータと、
1つのプロセッサパッケージ内に1つのプロセッサコアが搭載されたシングルコアマイコンを有する第1のECUと、
前記第1のECUに設けられ、前記操舵角センサからの出力信号を受信する操舵角信号受信部と、
前記第1のECUに設けられ、前記トルクセンサからの出力信号を受信するトルク信号受信部と、
前記第1のECUに設けられ、前記操舵角信号受信部で受信した正弦波信号および余弦波信号に基づき、前記入力軸および前記出力軸の回転角を演算する第1の角度演算処理部と、
1つのプロセッサパッケージ内に複数のプロセッサコアが搭載されたマルチコアマイコンを有する第2のECUと、
前記第1のECUと前記第2のECUの間に設けられ、前記第1のECU内の情報を前記第2のECUに送信する第1の情報通信回路および前記第2のECU内の情報を 前記第1のECUに送信する第2の情報通信回路と、
前記第2のECUに設けられ、前記第1の情報通信回路を介して伝達された前記第1のECUの演算結果である前記入力軸の回転角に基づき、前記電動モータを駆動制御するモータ制御部と、
前記第2のECUに設けられ、 前記操舵角センサおよび前記トルクセンサからの出力信号とは異なる異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づき前記複数のプロセッサコアで同一の角度演算を行い、演算結果を相互比較する第2の角度演算処理部と、
前記第2のECUに設けられ、前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づいて前記第1の角度演算処理部によって演算された回転角と前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づいて第2の角度演算処理部で算出された回転角とを比較することにより前記第1の角度演算処理部の異常を検出する異常検出処理部と、を備え、
前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号は、前記第1のECUに保存され、
前記第1のECUは、前記ステアリングシャフト側に設けられ、前記第2のECUは前記電動モータ側に設けられ、それぞれ分離して配置されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項3】
ステアリングホイールの操舵操作に伴い電動モータによって転舵輪に操舵力を付与するパワーステアリング装置の制御装置であって、
1つのプロセッサパッケージ内に1つのプロセッサコアが搭載されたシングルコアマイコンを有する第1のECUと、
前記第1のECUに設けられ、ステアリングホイールに接続された入力軸およびトーションバーを介して前記入力軸に接続された出力軸とから構成されたステアリングシャフトの回転角 情報である正弦波信号および余弦波信号を出力すると共にMR素子によって構成された操舵角センサからの出力信号を受信する操舵角信号受信部と、
前記第1のECUに設けられ、前記入力軸と前記出力軸との相対角を用いて前記ステアリングシャフトに発生するトルクを検出するトルクセンサからの出力信号を受信するトルク信号受信部と、
前記第1のECUに設けられ、前記操舵角信号受信部で受信した正弦波信号および余弦波信号に基づき、前記入力軸および前記出力軸の回転角を演算する第1の角度演算処理部と、
1つのプロセッサパッケージ内に複数のプロセッサコアが搭載されたマルチコアマイコンを有する第2のECUと、
前記第1のECUと前記第2のECUの間に設けられ、前記第1のECU内の情報を前記第2のECUに送信する第1の情報通信回路および前記第2のECU内の情報を前記第1のECUに送信する第2の情報通信回路と、
前記第2のECUに設けられ、前記第1の情報通信回路を介して伝達された前記第1のECUの演算結果である前記入力軸の回転角に基づき、前記電動モータを駆動制御するモータ制御部と
前記第2のECUに設けられ、 前記操舵角センサおよび前記トルクセンサからの出力信号とは異なる異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づき前記複数のプロセッサコアで同一の角度演算を行い、演算結果を相互比較する第2の角度演算処理部と、
第2のECUに設けられ、前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づいて前記第1の角度演算処理部によって演算された回転角と前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づいて第2の角度演算処理部で算出された回転角とを比較することにより前記第1の角度演算処理部の異常を検出する異常検出処理部と、を備え、
前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号は、前記第2のECUに保存され、前記第1のECUに送信され、
前記第1のECUは、前記ステアリングシャフト側に設けられ、前記第2のECUは前記電動モータ側に設けられ、それぞれ分離して配置されることを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
【請求項4】
ステアリングホイールの操舵操作に伴い電動モータによって転舵輪に操舵力を付与するパワーステアリング装置の制御装置であって、
1つのプロセッサパッケージ内に1つのプロセッサコアが搭載されたシングルコアマイコンを有する第1のECUと、
前記第1のECUに設けられ、ステアリングホイールに接続された入力軸およびトーションバーを介して前記入力軸に接続された出力軸とから構成されたステアリングシャフトの回転角 情報である正弦波信号および余弦波信号を出力すると共にMR素子によって構成された操舵角センサからの出力信号を受信する操舵角信号受信部と、
前記第1のECUに設けられ、前記入力軸と前記出力軸との相対角を用いて前記ステアリングシャフトに発生するトルクを検出するトルクセンサからの出力信号を受信するトルク信号受信部と、
前記第1のECUに設けられ、前記操舵角信号受信部で受信した正弦波信号および余弦波信号に基づき、前記入力軸および前記出力軸の回転角を演算する第1の角度演算処理部と、
1つのプロセッサパッケージ内に複数のプロセッサコアが搭載されたマルチコアマイコンを有する第2のECUと、
前記第1のECUと前記第2のECUの間に設けられ、前記第1のECU内の情報を前記第2のECUに送信する第1の情報通信回路および前記第2のECU内の情報を前記第1のECUに送信する第2の情報通信回路と、
前記第2のECUに設けられ、前記第1の情報通信回路を介して伝達された前記第1のECUの演算結果である前記入力軸の回転角に基づき、前記電動モータを駆動制御するモータ制御部と
前記第2のECUに設けられ、 前記操舵角センサおよび前記トルクセンサからの出力信号とは異なる異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づき前記複数のプロセッサコアで同一の角度演算を行い、演算結果を相互比較する第2の角度演算処理部と、
第2のECUに設けられ、前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づいて前記第1の角度演算処理部によって演算された回転角と前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づいて第2の角度演算処理部で算出された回転角とを比較することにより前記第1の角度演算処理部の異常を検出する異常検出処理部と、を備え、
前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号は、前記第1のECUに保存され、
前記第1のECUは、前記ステアリングシャフト側に設けられ、前記第2のECUは前記電動モータ側に設けられ、それぞれ分離して配置されることを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータを駆動源として車両の操舵機構に操舵補助力を与えるパワーステアリング装置およびその制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ステアリングホイールにおける中立状態からの操舵角を検出し、この操舵角に基づいて電動モータから車両の操舵機構にトルクを伝達することにより、操舵の補助を行うパワーステアリング装置が知られている。
【0003】
上記のようなパワーステアリング装置としては、コントロールユニット内に設けられた主演算部と副演算部によってそれぞれ演算した操舵角信号を比較することにより異常を検出する方法や、物理的に離れて配置されたCPU(シングルコア)によって求められた操舵角信号を比較することにより異常を検出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−239261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような異常検出方法は、操舵角演算における異常検出の精度が低く、操舵角演算に異常があっても異常を検出することができなかった。そのため、演算された操舵角は信頼性の高いものではなく、その操舵角に基づいて操舵補助力を与えてしまっていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、操舵角演算における異常検出の精度を向上させ、演算された操舵角の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1つのプロセッサパッケージ内に1つのプロセッサコアが搭載されたシングルコアマイコンを有する第1のECUと、1つのプロセッサパッケージ内に複数のプロセッサコアが搭載されたマルチコアマイコンを有する第2のECUと、 を備え、第1のECUは、第1の角度演算処理部により操舵角センサおよびトルクセンサから出力された正弦波信号および余弦波信号に基づき、入力軸および出力軸の回転角を演算し、第2のECUは、異常検出処理部により、第1のECUの第1の角度演算処理部の異常を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操舵角演算における異常検出の精度を向上させ、演算された操舵角の信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1におけるパワーステアリング装置を示す概略図である。
図2】実施形態1におけるトルクセンサを示す断面図である。
図3】実施形態1における操舵角センサを示す構成図である。
図4】実施形態1におけるECUを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るパワーステアリング装置の各実施形態1〜3を図面に基づいて詳述する。
【0011】
[実施形態1]
図1は、本実施形態1におけるパワーステアリング装置を示す概略図である。図1に示すパワーステアリング装置は、ステアリングホイールSW,ステアリングシャフト1,ピニオン軸2,ラック軸3により基本的な操舵機構が構成されている。この操舵機構は、運転者によってステアリングホイールSWが回転操作されると、そのステアリングホイールSWの操舵トルクがステアリングシャフト1を介してピニオン軸2に伝達されるとともに、そのピニオン軸2の回転運動がラック軸3の直線運動に変換され、ラック軸3の両端に連結された左右の転舵輪Wが転舵するようになっている。つまり、ラック軸3には、ピニオン軸2が噛み合いするラック歯3Aが形成されており、そのラック歯3Aとピニオン軸2との噛合をもってステアリングシャフト1の回転を転舵動作に変換する変換機構が構成される。
【0012】
また、ステアリングシャフト1にはステアリングシャフト1の回転角を検出するトルクセンサTSおよび操舵角センサ4が設けられており、トルクセンサTSおよび操舵角センサ4の出力信号およびモータ回転センサ信号に基づいて制御装置(以下、ECUと称する)5により電動モータMの電流制御を行い、電動モータMからピニオン軸2に対して操舵補助力を付与するように構成されている。
【0013】
図2に示すように、ステアリングシャフト1は、ステアリングホイールSW側の入力軸1aとラック軸3側の出力軸1bとに軸方向で分割されている。入力軸1aと出力軸1bは、それぞれ中空状に形成されているとともに、入力軸1a,出力軸1bの内周側に設けられたトーションバー1cを介して互いに同軸連結されている。なお、入力軸1aとトーションバー1c、出力軸1bとトーションバー1cは中立ピンや圧入等により連結されている。これにより、入力軸1aと出力軸1bとがトーションバー1cの捩れ変形を持って相対回転可能になっている。
【0014】
ステアリングシャフト1の外周側には、外部使用環境に対応できるように、ステアリングシャフト1の外周側を囲繞しつつ車体に固定されたケーシング6が設けられていて、当該ケーシング6の内周面と入力軸1aの外周面との間に入力軸1aの回転変位を検出する入力軸側回転角センサ(例えば、レゾルバ)7が設けられている。また、ケーシング6の内周面と出力軸1bの外周面との間には、出力軸1bの回転変位を検出する出力軸側回転角センサ(例えば、レゾルバ)8が設けられている。
【0015】
すなわち、トーションバー1cの捩れ変形に基づく入力軸1aと出力軸1bとの相対回転変位量を両回転角センサ7,8によって検出することにより、運転者がステアリングホイールSWを回転操作する操舵トルクを検出するようになっている。換言すれば、ステアリングシャフト1に作用するトルクを検出するためのトルクセンサTSが両回転角センサ7,8をもって構成されている。
【0016】
両回転角センサ7,8は、ステータにのみコイルが設けられ、ロータにはコイルが設けられていない周知の可変リラクタンス(VR)型のものであって、入力軸側回転角センサ7は、入力軸1aの外周面に一体的に嵌着された環状の入力軸側ロータ7aと、その入力軸側ロータ7aの外周面に所定の径方向の隙間を介して外挿され、ケーシング6に対して固定された環状の入力軸側ステータ7bと、を有している。一方、出力軸側回転角センサ8は、出力軸1bの外周面に一体に嵌着された環状の出力軸側ロータ8aと、その出力軸側ロータ8aの外周側に所定の径方向隙間を介して外挿され、ケーシング6に対して固定された環状の出力軸側ステータ8bと、を有している。
【0017】
入力軸側回転角センサ7,出力軸側回転角センサ8からの正弦波信号sinθ1,sinθ2,余弦波信号cosθ1,cosθ2は、ハーネス(クロックケーブルやスリップリング等),無線通信等によりECU5に取り込まれる。
【0018】
操舵角センサ4は、図3に示すように、回転体としてのステアリングシャフト1の回転に伴って回転する第1歯車11と、この第1歯車11に噛み合う第2歯車12と、この第2歯車12に噛み合う第3歯車13と、を有する。これら第1〜第3歯車11〜13を覆うように、回路基板18が配置されている。
【0019】
各歯車11〜13の外周側にはそれぞれ複数の歯が形成されている。検出用歯車としての第2,第3歯車12,13の歯数は1を除く所定の減速比を有するように設定されている。また、第2,第3歯車12,13には、それぞれN極及びS極が着磁された磁性部材14,15が取り付けられ、各磁性部材14,15と対向するように、MR素子16,17がそれぞれ回路基板18に装着されている。各MR素子16,17は、対向する磁性部材14,15の発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することにより、対応する各第2,第3歯車12,13の回転角である第3回転角及び第4回転角を検出するものである。このようにして検出された第3,第4回転角に基づいて、ステアリングホイールSWの操舵角が検出される。
【0020】
次に、本実施形態1におけるECU5について説明する。図4に示すにように、本実施形態1におけるECU5は、1つのプロセッサパッケージ内に1つのプロセッサコアが搭載されたシングルコアマイコンを有する第1のECU5aと、1つのプロセッサパッケージ内に2つのプロセッサコアが搭載されたデュアルコアマイコンを有する第2のECU5bと、で主に構成されている。
【0021】
前記第1のECU5aは、図4に示すように、第1の角度演算処理部21と、データ送信処理部22と、データ受信処理部23と、を備える。一方、第2のECU5bは、データ受信処理部24と、データ送信処理部25と、第2の角度演算処理部26と、異常検出処理部27と、を有する。ここで、第1のECU5aは、トルクセンサTS(入力軸側,出力軸側回転角センサ7,8)から出力されたステアリングホイールSWの回転角情報である正弦波信号sinθ1,sinθ2および余弦波信号cosθ1,cosθ2や操舵角センサ4(MR素子16,17)から出力されたステアリングホイールSWの回転角情報である正弦波信号sinθ3,sinθ4および余弦波信号cosθ3,cosθ4を回転角θ1,θ2,θ3,θ4に変換するセンサECU として動作し、第2のECU5bは、前記回転角θ1,θ2,θ3,θ4に基づいてモータ電流を制御するモータECUとして動作する。
【0022】
前記第1のECU5aと第2のECU5bとの間には、第1のECU5a内の情報を前記第2のECU5bに送信する第1の情報通信回路28および前記第2のECU5b内の情報を 前記第1のECU5aに送信する第2の情報通信回路29と、 が設けられている。なお、図4では、第1の情報通信回路28と第2の情報通信回路29とを説明の便宜上2本に分けて記載しているが、双方向通信可能な1本の情報通信回線でも適用可能である。
【0023】
前記第1のECU5aでは、まず、トルクセンサTSから出力された正弦波信号sinθ1,sinθ2および余弦波信号cosθ1,cosθ2をトルク信号受信部(図示省略)において受信し、操舵角センサ4から出力された正弦波信号sinθ3,sinθ4,および余弦波信号cosθ3,cosθ4を操舵角受信部(図示省略)で受信する。このトルク信号受信部および操舵角信号受信部で受信した正弦波信号sinθ1および余弦波信号cosθ1に基づいて、第1の角度演算処理部21により前記入力軸1aおよび出力軸1bの回転角θ1を下記式により演算する。
【0024】
tan-1(sinθ1/cosθ1)=θ1
なお、θ2〜θ4も同様の方法で算出できる。
【0025】
この入力軸1aおよび出力軸1bの回転角θ1,θ2,θ3,θ4はデータ送信処理部22により、第1の情報通信回路28を介して第2のECU5bに送信される。
【0026】
第2のECU5bでは、第1のECU5aから送信された入力軸1aおよび出力軸1bの回転角θ1,θ2,θ3,θ4の信号をデータ処理受信部23で受信し、モータ制御部(図示省略)により、この回転角θ1,θ2,θ3,θ4に基づき、電動モータMを駆動制御する。
【0027】
モータ制御部では、入力軸の回転角θ1と出力軸の回転角θ2の差分からトーションバー1cの捩れ角を算出し、トーションバー捩れ角から、下記式によりトーションバー1cに発生する操舵トルクを検出する。
(操舵トルク)=(トーションバー捩れ角)×(トーションバー剛性)
モータ制御部には、その他に、モータ回転センサ信号,車速信号,舵速信号等が入力され、この操舵トルク,モータ回転センサ信号,車速信号,舵速信号等に基づいて電動モータMへの指令電流値を演算する。
【0028】
また、第2のECU5bには、前記トルクセンサTSおよび操舵角センサ4からの出力信号sinθ1〜sinθ4,cosθ1〜cosθ4とは異なる異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5が記憶手段(図示省略)等に格納されている。この異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5は模擬信号としてデータ送信処理部25から第2の情報通信回路29を介して第1のECU5aに出力される。第1のECU5aでは、データ受信処理部23において前記異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5を受信する。この異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5は第1の角度演算処理部21において回転角θ5に変換され、データ送信処理部22,第1の情報通信回路28,データ受信処理部24を介して第1のECU5aから第2のECU5bに回答信号として送信される。そして、この回答信号はデータ受信処理部24から異常検出処理部27に送信される。
【0029】
前記ECU5bの記憶手段に格納されている前記異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5は、データ送信処理部25から第2の角度演算処理部26にも出力され、この第2の角度演算処理部26において異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5に基づき回転角θ5が演算される。ECU5bは、前述したように、2つのプロセッサコアが搭載されたデュアルコアマイコンであり、それぞれのプロセッサコアで同一の角度演算を行い、演算結果を相互比較する。
【0030】
異常検出処理部27は、第1の角度演算処理部21で演算された回転角θ5と第2の角度演算処理部26で演算された回転角θ5とを比較することにより、第1の角度演算処理部21の異常を検出する。
【0031】
以上示したように、本実施形態1におけるパワーステアリング装置によれば、 演算の信頼性の高いマルチコアマイコンが搭載された第2のECU5bにおいて第1の角度演算処理部21の異常検出を行うことにより、第1の角度演算処理部21の信頼性を向上させることができる。
【0032】
すなわち、第2のECU5bはデュアルコアマイコンを有し、第2の角度演算処理部26においてはそれぞれのプロセッサコアで同一の角度演算が行われ相互比較される。その結果、一方のプロセッサコアにおいての演算処理に誤りがあったとしても異常を検出することができるため、第2の角度演算処理部26で演算した回転角は信頼性が高いものとなる。そこで、第2の角度演算処理部26で演算された回転角θ5は正しいことを前提とし、第1の角度演算処理部21で演算した回転角θ5を第2の角度演算処理部26で演算した回転角θ5と比較することにより、異常検出の精度が向上し、第1の角度演算処理部21で演算された回転角θ5の信頼性が向上する。
【0033】
また、異常検出処理部27は、第1の角度演算処理部21の異常検出のための正弦波信号および余弦波信号として、操舵角センサ4およびトルクセンサTSから出力された正弦波信号sinθ1〜sinθ4および余弦波信号cosθ1〜cosθ4を用いないことにより、第1の情報通信回路28における通信データ量の増大を抑制することが可能となる。
【0034】
すなわち、第1の情報通信回路28は、モータ制御部の演算に用いる回転角θ1〜θ4を送信しなければならず、通信データ量が多い。そこに、操舵角センサ4およびトルクセンサTSから出力された正弦波信号sinθ1〜sinθ4および余弦波信号cosθ1〜cosθ4を異常検出に用いた場合、この正弦波信号sinθ1〜sinθ4および余弦波信号cosθ1〜cosθ4も第1の情報通信回路28を介して第2のECU5bに送信しなければならず、通信データ量がさらに増大する。また、第1の情報通信回路28の通信容量が小さい場合には、演算周期を遅らせならければならない。
【0035】
それに対し、本実施形態1のように異常検出のための信号として模擬信号である正弦波信号sinθ5,cosθ5を用いることにより、第1のECU5aから第2のECU5bに送信するデータは回転角θ1〜θ4の他に回転角θ5のみであるため、従来と比較して第1の情報通信回路28におけるデータ量の増大を抑制することが可能となる。また、演算周期を遅らせることも不要となる。
【0036】
また、第1のECU5aにおける処理の異常検出を行う場合、第1のECU5aから第2のECU5bにデータを送信する必要があるが、第1の情報通信回路28は通信データ量が元々多く、空きが限られているため、第1のECU5aにおける全ての処理の異常検出を行うことができず、重要度の高い処理のみを優先して異常検出を行っていた。それに対し、本実施形態1によれば、前述したように第1の情報通信回路28の通信データ量が抑制され、第1のECU5aから多くのデータを送信することができるため、第1のECU5aにおける多くの処理の異常検出を行うことが可能となり、異常検出の網羅性が向上する。
【0037】
さらに、異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5を第2のECU5b内に保存することにより、第2のECU5bにおいて異常検出用正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5に対応した回転角θ5を演算することができ、第1のECU5aと同じ信号を用いて同じ演算を行うことにより異常検出精度を向上させることができる。
【0038】
[実施形態2]
次に、本実施形態2における電動パワーステアリング装置について説明する。実施形態1では第2のECU5bから異常検出用の正弦波信号sinθ5,余弦波信号cosθ5を第1のECU5aに送信していたが、本実施形態2では、第1のECU5aに複数の異常検出用の正弦波信号sinθ5,余弦波信号cosθ5が格納されている。
【0039】
すなわち、本実施形態2では、第2のECU5bから設問番号を有する演算指令信号を第2の情報通信回路29を介して第1のECU5aに送信する。第1のECU5aには設問番号に対応して複数の異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5が記憶手段(図示省略)に記憶されており、第2のECU5bからの設問番号に対応した異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5を記憶手段から読み出し、第1の角度演算処理部21において、回転角θ5を演算する。この回転角θ5は、データ送信処理部22,第1の情報通信回路28,データ受信処理部24を介して第2のECU5bの異常検出処理部27に送信される。
【0040】
また、第2のECU5bでは、設問番号に対応した異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5をデータ送信処理部25から第2の角度演算処理部26に送信し、第2の角度演算処理部26において回転角θ5を演算し、異常検出処理部27に送信する。異常検出処理部27では、実施形態1と同様に、第1の角度演算処理部21と第2の角度演算処理部26で演算された回転角θ5を比較し、異常検出を行う。
【0041】
以上示したように、本実施形態2におけるパワーステアリング装置によれば、実施形態1の作用効果に加え、異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5を第2のECU5bから第1のECU5aへ送信する必要が無く、第2の情報通信回路29の送信負荷を抑制することができる。
【0042】
また、第2のECU5bが演算指令信号を出力することにより、第2のECUが第1のECUの異常検出用演算を行うタイミングを制御することができる。
【0043】
[実施形態3]
次に、本実施形態3におけるパワーステアリング装置について説明する。実施形態1,2では、異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5に基づいて算出された回転角θ5を比較したが、本実施形態3では、トルクセンサTS,操舵角センサ4から出力された正弦波信号sinθ1〜sinθ4,余弦波信号cosθ1〜cosθ4に基づいて算出された回転角θ1〜θ4を比較するものである。
【0044】
具体的には、第1の角度演算処理部21により、トルクセンサTS,操舵角センサ4から出力された正弦波信号sinθ1〜sinθ4,余弦波信号cosθ1〜cosθ4に基づいて回転角θ1〜θ4が算出され、この回転角θ1〜θ4はデータ処理送信処理部22,第1の情報通信回路28,データ受信処理部24を介して異常検出部27に送信される。
【0045】
また、トルクセンサTS,操舵角センサ4から出力された正弦波信号sinθ1〜sinθ4,余弦波信号cosθ1〜cosθ4は、データ送信処理部22,第1の情報通信回路28,データ受信処理部24を介して第2のECU5bの第2の角度演算処理部26にも入力され、第2の角度演算処理部26では、この正弦波信号sinθ1〜sinθ4,余弦波信号cosθ1〜cosθ4に基づいて回転角θ1〜θ4が算出される。
【0046】
そして、第1の角度演算処理部21で演算された回転角θ1〜θ4と、第2の角度演算処理部26で演算された回転角θ1〜θ4とを異常検出処理部27で比較し、異常判定を行う。
【0047】
なお、本実施形態3では、実施形態1,2で用いた模擬信号である異常検出用の正弦波信号sinθ5および余弦波信号cosθ5は用いないものとする。
【0048】
以上示したように、本実施形態3におけるパワーステアリング装置によれば、実施形態1,2の作用効果に加え、模擬信号ではなくトルクセンサTS,操舵角センサ4から出力されたモータ制御に用いる正弦波信号sinθ1〜sinθ4,余弦波信号cosθ1〜cosθ4に基づき第2の角度演算処理部26で演算を行い、異常検出処理部27で比較することにより、異常検出精度を向上させることが可能となる。
【0049】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0050】
例えば、第1のECU5aから第2のECU5bに第1の情報通信回路28を介して出力される回転角に関する信号は、分割して送信しても良い。このように、回転角に関する情報を分割して送信することにより、第1の情報通信回路28における時間あたりのデータ量が抑制されるため、他の信号を優先して送信することが可能となる。
【0051】
また、実施形態1では、電動モータMからピニオン軸2に対して操舵補助力を付与するピニオンアシストタイプの操舵機構について説明したが、出力軸に設けられた第1ピニオン軸と、この第1ピニオン軸と噛合う第1ラック歯および第1ラック歯と異なるラック歯である第2ラック歯が形成されたラックバーと、第2ラック歯と噛合う第2ピニオン軸と、前記第2ピニオン軸に設けられたウォームホイールと、 ウォームホイールと噛合うと共に電動モータの回転力が付与されるウォームシャフトと、から構成されるデュアルピニオンタイプの操舵機構でも適用可能である。
【0052】
このように、ステアリングホイールによって回転される第1ピニオンと電動モータによって回転駆動される第2ピニオンとを夫々設けることにより、第1、第2ピニオンの負荷を分担させることができ、より大きな出力の装置を提供することができる。
【0053】
また、前記第1のECU5aは前記操舵軸側に設けられ、第2のECU5bは電動モータM側にそれぞれ分離して配置しても良い。このように、第1、第2のECU5a,5b夫々の機能に応じた配置とすることにより、信号伝達の信頼性および伝達ロスの低減を図ることができる。
【0054】
また、実施形態2では、第2のECU5aから第1のECU5aに演算指令信号を出力したが、第2のECU5bから第1のECU5aに演算指令信号は送信せず、第1のECU5aに演算周期や設問番号等を予め設定しておき、その設定に従って模擬信号の演算を行うようにしても良い。
【0055】
また、実施形態1では、第2のECUとして1つのプロセッサパッケージ内に2つのプロセッサコアが搭載されたデュアルコアマイコンについて説明したが、1つのプロセッサパッケージ内に搭載されるプロセッサコアが4つや8つ搭載されたマルチコアマイコンでも良い。
【0056】
ここで、上述した各実施形態から把握される技術的思想であって、特許請求の範囲に記載したもの以外のものについて、その効果ともに以下に記載する。
【0057】
(1) 請求項4に記載のパワーステアリング装置において、前記第2のECUは、前記第1のECUに対して前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づき回転角を演算するように演算指令信号を出力することを特徴とするパワーステアリング装置。
【0058】
(1)に記載の技術的思想によれば、第2のECUが演算指令信号を出力することにより、第2のECUが第1のECUの異常検出用演算を行うタイミングを制御することができる。
【0059】
(2)請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出処理部は、前記操舵角センサまたは前記トルクセンサからの出力信号に基づき前記第1の角度演算処理部によって演算された回転角と、前記操舵角センサまたは前記トルクセンサからの出力信号に基づき前記第2のECUによって演算された回転角とを比較することにより前記第1の角度演算処理部の異常を検出することを特徴とするパワーステアリング装置。
【0060】
(2)に記載の技術的思想によれば、第2のECUは、モータ制御に用いる信号と同じ信号に基づき同じ演算を行って第1の角度演算処理部の異常を検出することにより、異常検出精度を向上させることができる。
【0061】
(3)請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記第1のECUの演算結果である回転角に関する信号は、前記第1の情報通信回路を介して分割して前記第2のECUに送信することを特徴とするパワーステアリング装置。
【0062】
(3)に記載の技術的思想によれば、回転角に関する情報を分割して送信することにより、他の信号を優先して送信することができる。
【0063】
(4) 請求項5に記載のパワーステアリング装置において、前記操舵機構は、
前記出力軸に設けられた第1ピニオン軸と、
前記第1ピニオン軸と噛合う第1ラック歯および前記第1ラック歯と異なるラック歯である第2ラック歯が形成されたラックバーと、
前記第2ラック歯と噛合う第2ピニオン軸と、
前記第2ピニオン軸に設けられたウォームホイールと、
前記ウォームホイールと噛合うと共に前記電動モータの回転力が付与されるウォームシャフトと、
から構成されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【0064】
(4)に記載の技術的思想によれば、ステアリングホイールによって回転される第1ピニオンと電動モータによって回転駆動される第2ピニオンとを夫々設けることにより、第1、第2ピニオンの負荷を分担させることができ、より大きな出力の装置を提供することができる。
【0065】
(5)(4)に記載のパワーステアリング装置において、前記第1のECUは、前記ステアリングシャフト側に設けられ、前記第2のECUは前記電動モータ側に夫々分離して配置されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【0066】
(5)に記載の技術的思想によれば、第1、第2のECU夫々の機能に応じた配置とすることにより、信号伝達の信頼性および伝達ロスの低減を図ることができる。
【0067】
(6)(4)に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号は、前記第2のECUに保存され、前記第1のECUに送信されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【0068】
(6)に記載の技術的思想によれば、異常検出用の正弦波信号および余弦波信号を第2のECUが有することにより、第2のECUにおいて異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に対応した回 転角を演算することができ、第1のECUと同じ信号を用いて同じ演算を行うことにより異常検出精度を向上させることができる。
【0069】
(7)(4)に記載のパワーステアリング装置において、前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号は、前記第1のECUに保存されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【0070】
(7)に記載の技術的思想によれば、異常検出用の正弦波信号および余弦波信号を第2のECUから第1のECUへ送信する必要が無く、送信負荷を抑制することができる。
【0071】
(8)(7)に記載のパワーステアリング装置において、前記第2のECUは、前記第1のECUに対して前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づき回転角を演算するように演算指令信号を出力することを特徴とするパワーステアリング装置。
【0072】
(8)に記載の技術的思想によれば、第2のECUが演算指令信号を出力することにより、第2のECUが第1のECUの異常検出用演算を行うタイミングを制御することができる。
【0073】
(9)請求項5に記載のパワーステアリング装置において、前記第1のECUの演算結果である回転角に関する信号は、前記第1の情報通信回路を介して分割して前記第2のECUに送信されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【0074】
(9)に記載の技術的思想によれば、回転角に関する情報を分割して送信することにより、他の信号を優先して送信することができる。
【0075】
(10)請求項6に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号は、前記第2のECUに保存され、前記第1のECUに送信されることを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
【0076】
(10)に記載の技術的思想によれば、異常検出用の正弦波信号および余弦波信号を第2のECUが有することにより、第2のECUにおいて異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に対応した回転角を演算することができ、第1のECUと同じ信号を用いて同じ演算を行うことにより異常検出精度を向上させることができる。
【0077】
(11)請求項6に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号は、前記第1のECUに保存されることを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
【0078】
(11)に記載の技術的思想によれば、異常検出用正弦波信号および余弦波信号を第2のECUから第1のECUへ送信する必要が無く、送信負荷を抑制することができる。
【0079】
(12)(11)に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、前記第2のECUは、前記第1のECUに対して前記異常検出用の正弦波信号および余弦波信号に基づき回転角を演算するように演算指令信号を出力することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
【0080】
(12)に記載の技術的思想によれば、第2のECUが演算指令信号を出力することにより、第2のECUが第1のECUの異常検出用演算を行うタイミングを制御することができる。
【0081】
(13)請求項6に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、前記第1のECUの演算結果である回転角に関する信号は、前記第1の情報通信回路を介して分割して前記第2のECUに送信されることを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
【0082】
(13)に記載の技術的思想によれば、回転角に関する情報を分割して送信することにより、他の信号を優先して送信することができる。
【符号の説明】
【0083】
4…操舵角センサ
TS…トルクセンサ
5a…第1のECU
5b…第2のECU
21…第1角度演算処理部
22,25…データ送信処理部
23,24…データ受信処理部
26…第2の角度演算処理部
27…異常検出処理部
図1
図2
図3
図4