【実施例1】
【0019】
以下本発明の一実施例を図面により説明する。
【0020】
図1および
図2は液晶表示ユニット1の構造を示す図であって、液晶表示ユニット1は、液晶表示ユニット1の筐体となるケース2、バックライトの光源であるLEDユニット3、光源からの光を液晶表示面に伝播させる導光板4、光のムラを抑えて輝度を均一にする拡散シート5、文字等を表示する液晶表示素子6から構成され、ケース2の部品載置面21の端部にLEDユニット3を取り付け、その後順次導光板4、拡散シート5、液晶表示素子6を積層して形成されている。また、最上面の液晶表示素子6は、矩形の板状をしており、長尺辺の端部には下方に延出するリード端子6aが一直線上に並んで配置されている。
【0021】
ケース2は、合成樹脂により成形されて略長方形の部品載置面21の周囲に側壁を備えた形状であって、部品載置面21の短辺に形成された側壁22aには中央にそれぞれ1つずつ係止片23が設けられている。係止片23は、側壁22aから延びる脚部24と、脚部24の先端にケース2の外方に突出して形成された爪25を有しており、ケース2の長手方向に撓むようになっている。また、長辺に形成された側壁22bにはケース2の角に近い位置2箇所に円柱状の位置決めピン26が形成され、この2つの位置決めピン26の間にはリード端子6aが貫通する端子貫通孔27が複数形成されている。端子貫通孔27が形成される部位は、側壁22bの下端面が凹状に底上げされており、これにより端子貫通孔27を形成した際に下方に飛び出したバリがプリント基板7に接触しないようにしている。
【0022】
図3はプリント基板7を示す図であって、プリント基板7には上述の液晶表示ユニット1のほか種々の電気部品が取り付けられる多数の孔が設けられている。液晶表示ユニット1の取付位置は枠線で指示されており、液晶表示ユニット1を固定する係止片23が挿入される係止孔71、液晶表示ユニット1を取り付ける位置のガイドとなる位置決めピン26が挿入される位置決め孔72、リード端子6aが挿入される端子挿入孔73が枠線内に形成されている。
【0023】
位置決め孔72はケース2の長手方向に長い形状であり、
図4に示すように位置決め孔72の短手径をd1、長手径をd2とすると、短手径d1は位置決めピン26の径dの径とほぼ同じであるのに対し、長手径d2は位置決めピン26の径dのおよそ2倍の大きさを有している。なお径の大きさは、短手径d1が位置決めピン26の径dと同程度の大きさとなっていればよく、長手径d2については特に厳密に定めるものではない。
【0024】
係止孔71は、係止片23に対してケース2の長手方向および短手方向の双方とも一回り大きく形成されていて、液晶表示ユニット1がプリント基板7に取り付けられると、係止片23が撓む方向の前後、すなわち脚部24の幅広面と係止孔71との間に隙間が空くようになっている。この隙間と係止片23の撓みにより、位置決めピン26は位置決め孔72内を移動することができる。
【0025】
端子挿入孔73は、2つの位置決め孔72の間に、ケース2の長手方向に直線上に形成されている。
【0026】
次に、
図5〜8を用いて本発明の液晶表示ユニット1をプリント基板7に取り付ける手順について説明する。各図において(a)はプリント基板7を横から見た状態である。(b)はプリント基板7を裏から見た状態を示すもので、プリント基板7の表側に設けられた液晶表示ユニット1の取付位置を表す枠線は破線で表示した。また図の説明上、(b)においてプリント基板7の孔に挿入された部品は塗りつぶして表示する。
【0027】
まず、
図5(a)のように、液晶表示ユニット1をプリント基板7に対して斜めにし、右側の係止片23aと位置決めピン26aをプリント基板7の孔に挿入する。プリント基板7の裏側は
図5(b)のように係止片23aと位置決めピン26aがそれぞれ係止孔71aと位置決め孔72aに挿入され、位置決めピン26aは位置決め孔72aの中央付近に位置した状態になっている。
【0028】
次に、
図6(a)に示すように、液晶表示素子6のリード端子6aをプリント基板7の端子挿入孔73に挿入する。リード端子6aは端子挿入孔73に対して斜めに挿入されるが、端子挿入孔73はリード端子6aよりも大きく形成されているので、斜めに挿入してもリード端子6aに負担がかからないようになっている。このとき、まだ左側の係止片23bは爪25が係止孔71bの外側にあるため、係止片23bと位置決めピン26bはプリント基板7に挿入されておらず、液晶表示ユニット1は少し傾いた状態である。
【0029】
そして液晶表示ユニット1を図中Aの方向(ケース2の長手方向)に引き寄せる。すると、すでに位置決め孔72aに挿入されている位置決めピン26aは、位置決め孔72aとの孔径の差の分だけ右に移動することができる。また、同じく係止孔71aに挿入されている係止片23aは、Aと反対の方向へ撓むのと同時に係止孔71aとの間の隙間の分右に移動するため、液晶表示ユニット1が右に移動する。これに伴い係止片23bの爪25が係止孔71bの内側に寄るので、液晶表示ユニット1を上から少し押すだけで係止片23bは係止孔71bに挿入される。
図7(a)は左右の係止片23a、23bともに係止孔71a、71bに挿入された状態を示し、プリント基板7の裏側は
図7(b)で示すように位置決めピン26a、26bが位置決め孔72a、72bの右端に寄った状態となっている。
【0030】
なお、このとき、リード端子6aの中心と端子挿入孔73の中心がずれるため、リード端子6aは斜めに曲がるが、リード端子6aは弾性部材であるためこの程度の曲げであれば形状が変形してしまうことはない。また、リード端子6aは液晶表示ユニット1の長手方向に扁平な平板状であるため、曲げに対して元の形状に戻ろうとする復元力も強い。そのためこの状態から手を離すと、リード端子6aの復元力により液晶表示ユニット1が図中Bの方向に移動する。
図8(a)はリード端子6aの復元力により液晶表示ユニット1が適正な位置に戻った状態を示している。裏から見ると、
図8(b)のように位置決めピン26a、26bは位置決め孔72a、72bの中央付近に戻っており、係止片23a、23bの爪25は両方とも係止孔71a、71bに引っかかっているため液晶表示ユニット1がプリント基板7から外れてしまうこともない。
【0031】
また、位置決め孔72は、位置決めピン26の径dと比べてケース2の長手方向の径である長手径d2が大きく、短手径d1はほぼ同じ大きさである。この形状により、液晶表示ユニット1は長手方向にのみ移動が可能となり短手方向には位置ズレを起こさないので、確実に係止片23を係止孔71に挿入することができる。
【0032】
このように、片側の係止片23aと位置決めピン26aをまずプリント基板7に挿入し、その後、液晶表示ユニット1をすでにプリント基板7に挿入した係止片23aの方へ引き寄せるだけで、力を入れることなく液晶表示ユニット1を取り付けることができる。したがって、従来のようにケース2を上から強く押さえ付けたりする必要がなく、作業者の負担を軽減することができる。そして、プリント基板7に取り付けられた液晶表示ユニット1は、リード端子6aが元の形状に戻ろうとする復元力により位置が補正されて適切な位置に配置されるため、液晶表示ユニット1がプリント基板7からは外れてしまうことも防止される。
【0033】
上述の効果は、位置決めピン26の径dに対して位置決め孔72の長手径d2を大きくするだけで実現できるのであり、係止片23の爪25の大きさに配慮して設計したり、その寸法を厳密に管理したりする必要もない。
【0034】
また、従来は、係止片23の撓み量だけに頼って係止片23を係止孔71に挿入していたが、係止片23を撓ませるためには脚部24にある程度の長さが必要であり、脚部24が短いと同じ力を加えても係止片23の撓み量は少なくなる。そのため、プリント基板7を機器に配置するときに高さ方向の余裕がない場合は、脚部24を短くして全体の高さを抑えなくてはならないが、脚部24を短くすることにより係止片23を撓ませるために必要な力が大きくなり、作業者にかかる負担が増えてしまうことになる。ところが、本発明の取付構造によれば、係止片23は殆ど撓ませる必要がないので、脚部24の長さが短くなっても作業者の負担を抑えることができるため、機器の小型・薄型化にも対応することが可能となる。
【0035】
なお、
図5〜
図8の取り付け手順では、後から挿入する左側の位置決めピン26bおよび位置決め孔72bがなくとも、取り付けの作業性には殆ど影響しない。しかし、係止片23と係止孔71の間にはケース2の短手方向に隙間があるため、位置決めピン26と位置決め孔72が片側(右側)のみにしかないと、プリント基板7に取り付けた液晶表示ユニット1ががたつきやすくなり、プリント基板7上の適切な位置に対して傾いてしまう可能性がある。そして、傾いた状態ではんだ槽に通してしまうと、リード端子6aがはんだ付けされて液晶表示ユニット1が傾いたままプリント基板7に固定されてしまう。よって、液晶表示ユニット1の傾きを抑えるためにも、位置決めピン26と位置決め孔72は少なくとも2箇所に設けるのが良い。位置決めピン26と位置決め孔72はケース2の短手方向に隙間が殆どないので、複数箇所に設けることにより短手方向のがたつきを抑えることができる。