【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0046】
以下の例1に示した1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置は、例1−4及び1−5に示すように、絶対配置既知の市販されているα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導き、比旋光度の符号を比較することで決定した。また、所望の1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度はキラルHPLC分析(CHIRALPAK(登録商標)AS−RH;移動相:エタノール/水=60/40;流速:0.5mL/min;カラム温度:25℃;検出波長:220nm;保持時間:第一ピーク/(R)21.8min、第二ピーク/(S)26.0min)により決定した。
【0047】
(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールとしては光学純度99.5%及び98%の(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを用い、生成物については光学純度(%ee)のほか、光学純度が維持された相対的割合を示すための数値「転化率(%)」を記載した。転化率(%)=生成物の%ee/原料アルコールの%eeである。
【0048】
例1−1
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1.0g, 3.87mmol、>99.5%ee)に水浴上、20℃以下で三臭化リン(0.52g,1.94mmol)を滴下し、19〜22℃で30分撹拌した。反応液を冷却し、0℃以下で臭化水素(30%酢酸溶液)(0.76mL,3.87mmol)を滴下し、13〜15℃で18時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(15mL×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(15mL×1)で洗浄、次いで飽和食塩水(15mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル8g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより1.06gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:85%
キラルHPLC分析:光学純度96.8%ee(第一ピーク)、転化率97.3%
[α]
D25 +56.6(c=1.18,CHCl
3)
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.08 (3H, d, J = 7.1 Hz), 5.21 (1H, q, J = 7.1 Hz), 7.81 (1H, s), 7.87 (2H, s).
【0049】
例1−2
アルゴン雰囲気下、(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1.0g, 3.87mmol、>99.5%ee)に水浴上、20℃以下で三臭化リン(0.52g,1.94mmol)を滴下し、19〜22℃で30分撹拌した。反応液を冷却し、0℃以下で臭化水素(30%酢酸溶液)(0.76mL,3.87mmol)を滴下し、13〜15℃で18時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(15mL×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(15mL×1)で洗浄、次いで飽和食塩水(15mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル8g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより1.13gの(S)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:91%
キラルHPLC分析:光学純度96.3%ee(第二ピーク)、転化率>96.8%
[α]
D25 −55.6(c=1.23,CHCl
3)
1H-NMRスペクトルは例1−1に示したものと同じであった。
【0050】
例1−3
アルゴン雰囲気下(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1.0g, 3.87mmol、>99.5%ee)のヘプタン懸濁液(2mL)に0〜5℃で三臭化リン(0.52g,1.94mmol)を滴下し、0〜5℃で30分撹拌した。反応液に0〜5℃で臭化水素(30%酢酸溶液)(0.76mL,3.87mmol)を滴下し、10℃で17時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(15mL×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水洗浄(15mL×1)、飽和食塩水洗浄(15mL×1)し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル8g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより1.12gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:90%
キラルHPLC分析:光学純度97.7%ee(第二ピーク)、転化率>98.2%
1H-NMRスペクトルは例1−1に示したものと同じであった。
【0051】
例1−4
例1−1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(第一ピーク:96.8%ee,102mg, 0.32mmol)のジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(62.0mg,0.95mmol)を加え−18〜−15℃にて3時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で希釈し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで118.8mgの1−アジド−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの粗生成物を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.61 (3H, d, J = 6.8 Hz), 4.79 (1H, q, J = 6.8 Hz), 7.78 (2H, s), 7.84 (1H, s).
【0052】
例1−5
例1−4で得られた1−アジド−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの粗生成物にパラジウム−フィブロイン(18mg)とメタノール(6mL)を加え水素で置換し、室温で撹拌した。1時間撹拌後、セライトろ過、濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、58.9mgのα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た。
収率:74%(2工程)
[α]
D25 −15.4(c=1.01,CHCl
3)
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.42 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.58 (2H, br-s), 4.30 (1H, q, J = 6.8 Hz), 7.75 (1H, s), 7.85 (2H, s).
標品:(S)−α−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン
セントラル硝子社製
Lot.0102000
光学純度:99%ee
[α]
D25 −15.9(c=1.15,CHCl
3)
【0053】
市販されている標品のアミンと比旋光度の符号を比較することにより、例1−5で得られたα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンはS体であることが判明した。すなわち、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、例1−1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンはR体(キラルHPLC分析:第一ピーク)であることを確認した。
【0054】
例1−1及び1−2と同様にして表1に示す条件で三臭化リンを用いた臭素化反応を行った。単離収率、光学純度(%ee)、及び転化率(生成物の%ee / 原料の%ee)を表1に示す。
【0055】
【表1】
注)DCM:ジクロロメタン、Pyr:ピリジン
【0056】
表1に示された結果から明らかなように、特にNo.1〜3及びNo.22の反応条件において極めて高収率で、かつ高い光学純度を保ったまま目的物を得ることができた。
【0057】
以下の例2に示した1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置は、例2−5及び2−6に示すように、絶対配置既知の市販されているα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導き、比旋光度の符号を比較することで決定した。また、所望の1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度はキラルHPLC分析(CHIRALPAK(登録商標)AS−RH;移動相:エタノール/水=60/40;流速:0.5mL/min;カラム温度:25℃;検出波長:220nm;保持時間:第一ピーク/(R)21.8min、第二ピーク/(S)26.0min)により決定した。
【0058】
(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールとしては光学純度99.5%及び98%の(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを用い、生成物については光学純度(%ee)のほか、光学純度が維持された相対的割合を示すための数値「転化率(%)」を記載した。転化率(%)=生成物の%ee/原料アルコールの%eeである。
【0059】
例2−1
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g,23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g,23.2mmol)を加え30分間撹拌した。(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(5.0g,19.4mmol, >99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。ろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56oC,0.7mmHg)することで、5.52gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:89%
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(第一ピーク),転化率>99.5%
[α]
D25 +59.1(c=1.03,CHCl
3)
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.08 (3H, d, J = 7.1 Hz), 5.21 (1H, q, J = 7.1 Hz), 7.81 (1H, s), 7.87 (2H, s).
【0060】
例2−2
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g,23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g,23.2mmol)を加え30分間撹拌した。(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(5.0g,19.4mmol,>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。ろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56oC,0.7mmHg)することで、5.45gの(S)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:88%
キラルHPLC分析:光学純度99.0%ee(第二ピーク),転化率>99.5%
1H-NMRスペクトルは例2−1に示したものと同じであった。
【0061】
例2−3
アルゴン雰囲気下、N-ブロモコハク酸イミド(206mg,1.16mmol)の無水ジクロロメタン(3.8mL)懸濁液に、氷冷下にてジメチルスルフィド(105μL,1.40mmoL)を3分間かけて滴下した。−20℃にて、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(200mg,0.78mmol、>99.5%ee)の無水ジクロロメタン(2mL)溶液を滴下し、室温にて9時間攪拌した。反応液にn−ヘキサンを加え、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で精製し、144 mgの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:58%
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(第一ピーク),転化率>99.5%
1H-NMRスペクトルは例2−1に示したものと同じであった。
【0062】
例2−4
アルゴン雰囲気下、N-ブロモコハク酸イミド(103mg,0.58mmol)の無水ジクロロメタン(2.0mL)懸濁液に、氷冷下にてジメチルスルフィド(53μL,0.70mmoL)を3分間かけて滴下した。−20℃にて、(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(100mg,0.39mmol、>99.5%ee)の無水ジクロロメタン(1mL)溶液を滴下し、室温にて6時間攪拌した。反応液にn−ヘキサンを加え、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で精製し、82mgの(S)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:66%
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(第二ピーク),転化率>99.5%
1H-NMRスペクトルは例2−1に示したものと同じであった。
【0063】
例2−5
例2−1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(第一ピーク:>99.5%ee,106mg, 0.33mmol)のジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(64.4mg,0.99mmol)を加え−18〜−15℃にて4時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で希釈し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで111.5mgの1−アジド−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの粗生成物を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.61 (3H, d, J = 6.8 Hz), 4.79 (1H, q, J = 6.8 Hz), 7.78 (2H, s), 7.84 (1H, s).
【0064】
例2−6
例2−5で得られた1−アジド−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの粗生成物にパラジウム−フィブロイン(18mg)とメタノール(6mL)を加え水素で置換し、室温で撹拌した。1時間撹拌後、セライトろ過、濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、77.6mgのα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た。
収率:91%(2工程)
[α]
D25 −15.9(c=1.31,CHCl
3)
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.42 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.58 (2H, br-s), 4.30 (1H, q, J = 6.8 Hz), 7.75 (1H, s), 7.85 (2H, s).
標品:(S)−α−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン
セントラル硝子社製
Lot.0102000
光学純度:99%
[α]
D25 −15.9(c=1.15,CHCl
3)
【0065】
市販されている標品のアミンと比旋光度の符号を比較することにより、例2−6で得られたα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンはS体であることが判明した。すなわち、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、例2−1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンはR体(キラルHPLC分析:第一ピーク)であることを確認した。
【0066】
例2−1及び2−2と同様にして、表2に示す条件で臭素化条件で反応を行った。単離収率、光学純度(%ee)、及び転化率(生成物の%ee / 原料の%ee)を表2に示す。
【0067】
【表2-1】
【表2-2】
注)DCM:ジクロロメタン、1,2-DCE:1,2-ジクロロエタン、NBS:N-ブロモコハク酸イミド、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、TMSCl:塩化トリメチルシリル、PyHBr
3:ピリジニウムトリブロミド、HMDS:1,1,1,2,2,2-ヘキサメチルジシラン、DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート
【0068】
表2に示された結果から明らかなように、特にNo.1〜4の反応条件において極めて高収率で、かつ高い光学純度を保ったまま目的物を得ることができた。
【0069】
例3(比較例)
日本国特許第3938651号を参考に、(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(光学純度>99.5%ee, 1.6g, 6.20mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に氷冷攪拌下、塩化メタンスルホニル(0.58mL,7.44mmol)、トリエチルアミン(1.30mL,9.3mmol)、ジメチルアミノピリジン(76mg,0.62mmol)を加え、同温にて30分間攪拌した。反応液に同温にて1N塩酸とクロロホルムを加え有機層を分取した。水層をクロロホルム(20mL×3)で抽出し、有機層を合わせ飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧濃縮し、無色油状物として(R)−メタンスルホン酸 1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルエステル(2.23g)を得た。次に得られた(R)−メタンスルホン酸 1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル エステル(2.23 g)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液に臭化ナトリウム(1.26g,12.25mmoL)を加え、50℃にて1時間攪拌した。反応液に室温にて水(30mL)を加え、ヘキサン(30mL×3)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、1.85gの1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。比旋光度より、得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンがラセミ化していることを確認した。
収率:93 %(2工程)
[α]
D25 −0.19(c=1.01,CHCl
3)
1H-NMRスペクトルは例1−1に示したものと同じであった。
【0070】
例4(比較例)
(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(光学純度>99.5%ee,100mg,0.39mmol)の脱水ジエチルエーテル(1.0mL)溶液にアルゴン雰囲気下、脱水ピリジン(69.4mg,0.89mmol)を加えた。−15〜−20℃にて三臭化リン(117.2mg, 0.43mmol)の脱水ジエチルエーテル(0.5mL)溶液をゆっくり滴下し、同温にて2時間攪拌した後、−5℃で48時間静置させた後、氷冷下、反応液に冷却水 (3mL)を加え室温で15分攪拌した後、ジエチルエーテル (10mL)で抽出した。有機層を減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル3.0g, 展開溶媒:n−ヘキサン)で精製し、17.6 mgの1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:14%
1H-NMRスペクトルは例1−1に示したものと同じであった。