特許第5793148号(P5793148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793148
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】止血帯
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/132 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   A61B17/12 330
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-543281(P2012-543281)
(86)(22)【出願日】2010年12月9日
(65)【公表番号】特表2013-513440(P2013-513440A)
(43)【公表日】2013年4月22日
(86)【国際出願番号】US2010059689
(87)【国際公開番号】WO2011072126
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/285,157
(32)【優先日】2009年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512149846
【氏名又は名称】タクティカル メディカル ソリューションズ インク.
【氏名又は名称原語表記】TACTICAL MEDICAL SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ロス
(72)【発明者】
【氏名】へスター, リチャード エイ.
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0240217(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0095072(US,A1)
【文献】 特開平07−051275(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0267518(US,A1)
【文献】 特開昭59−232531(JP,A)
【文献】 実開昭48−089684(JP,U)
【文献】 米国特許第2480430(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第3327528(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一および第二端部を有するベースと、
前記ベースの第一端部に取り付けてあり該第一端部から伸びている締め付けバンドと、
前記締め付けバンドと係合しているハンドルと、
多角形フレーム部材および前記フレーム部材と係合する自己締め付け部材を含む自己締め付けバックルであって、前記締め付けバンドの自由端部が前記自己締め付けバックルを縫うように通してある自己締め付けバックルと、
前記ベースの前記第一端部に回動可能に取り付けてあり、前記フレーム部材と係合するように構成されているフック部材と、を含む止血帯であって、
前記自己締め付け部材は、前記多角形フレーム部材内でスライド可能に係合するように配置されたバーを含み、
前記多角形フレーム部材は、長辺側の長さがLである開口部を有し、前記フック部材の長さLは、Lよりも短く、
前記多角形フレーム部材の前記フック部材と係合する短辺の長さLは、前記フック部材の長さLよりわずかに長い止血帯
【請求項2】
請求項に記載の止血帯であって、前記自己締め付け部材は、前記多角形フレームとさねはぎ係合を形成する止血帯。
【請求項3】
請求項に記載の止血帯であって、前記フック部材は、前記フレーム部材と摩擦嵌合している止血帯。
【請求項4】
請求項に記載の止血帯であって、前記フック部材は、複数の凸部を有する内部表面を含む止血帯。
【請求項5】
請求項に記載の止血帯であって、前記フック部材の長さは、前記多角形フレームの前記開口部の長辺側の長さがLのおおよそ半分である止血帯。
【請求項6】
請求項に記載の止血帯であって、前記フック部材と係合する短辺側の前記多角形フレーム部材は長方形の断面を有する止血帯。
【請求項7】
請求項1に記載の止血帯であって、前記フック部材および前記自己締め付けバックルは、金属である止血帯。
【請求項8】
止血帯のためのロック組立体であって、
多角形フレーム部材と、前記フレーム部材と係合する自己締め付け部材とを含む自己締め付けバックルであり、締め付けバンドが縫うように通る構成にされた自己締め付けバックルと、
止血帯ベースに回動可能に取り付けられ、前記多角形フレーム部材と係合するように構成されたくぼみを有するフック部材と、を含み、
前記自己締め付け部材は、前記多角形フレーム部材内でスライド可能に係合するように配置されたバーを含み、
前記多角形フレーム部材は、長辺側の長さがLである開口部を有し、前記フック部材の長さLは、Lよりも短く、
前記多角形フレーム部材の前記フック部材と係合する短辺の長さLは、前記フック部材の長さLよりわずかに長い止血帯のためのロック組立体。
【請求項9】
請求項に記載のロック組立体であって、前記自己締め付け部材は、前記多角形フレームとさねはぎ係合するように形成されているロック組立体
【請求項10】
請求項に記載のロック組立体であって、前記フック部材は、複数の凸部を有する内部表面を含むロック組立体
【請求項11】
請求項に記載のロック組立体であって、前記フック部材の長さは、前記多角形フレームの前記開口部の長辺側の長さがLのおおよそ半分であるロック組立体
【請求項12】
請求項に記載のロック組立体であって、前記フック部材と係合する短辺側の前記多角形フレーム部材は長方形の断面を有するロック組立体
【請求項13】
請求項に記載のロック組立体であって、前記フック部材および前記自己締め付けバックルは、金属であるロック組立体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年12月9日に提出された米国特許出願番号61/285,157の優先権を主張し、全体を参照として本願に取り込んでいる。
本願発明は、応急手当に使用される医療装置に関する。特に、本願発明は、救急治療に使用される止血帯の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
負傷した人が一人でいる場合や医療扶助をすぐに受けられない場合などの緊急時において、出血は死に至る重大な要因である。このような状況において、血流を止める技術として止血帯を用いて負傷した腕や足などの出血を止めることはよく知られていることである。一般的に、負傷者が一人である緊急時の使用に関しては、負傷者は、彼もしくは彼女の腕もしくは足などに自分で止血帯を取り付けて、片手で血流を遮断できなければならない。典型的な止血帯は、体の一部の周囲に、例えば腕や足などに、きつく結ばれるもしくはバンドを巻きつけるものであり、これにより深刻な流血を止める、もしくは緊急時の制御不可能な出血を止めるものである。
【0003】
近年では、片手で装着する複数の止血帯が可能になっている。これらの止血帯は、図1に示すように、硬いベース15と係合しさらにハンドル20を通りもしくは周りにかけられるストラップ10を典型的には含む。止血帯を四肢の周りできつく縛るためには、ストラップ10をバックル25に通し、ハンドル20をひねることにより、ストラップ10を四肢に対して円周方向に締めることができる。これらの公知の止血帯の大きな欠点は、特異な状況下では、これらは挟まった四肢に対してすぐに用意できないということがある。このような止血帯を挟まった四肢に取り付けるには、ストラップ10を手動でバックル25から外さなければならず、さらに続いて四肢の周りに取り付けきつく締める前にバックル25を再び取り付けなければならない。この作業には、高い集中力と正確な器用さが必要であり、これらは非常時において負傷している人もしくは高い緊張状態に置かれているファストレスポンダーには不可能である。加えて、該作業は、数秒の遅れでも致命的な量の失血を起こす場合において、止血帯の適用に時間がかかってしまう。
【0004】
片手で適用する公知の止血帯の他の欠点としては、ストラップを該ストラップの上で数回強く引く必要があるバックルと係合している場合に、きつく締めるのが難しいという点がある。しばしば、負傷者は、自分で自分の四肢に止血帯を適用する必要がある。負傷者が、深刻な外傷を負い、意識がないかもしれずきつく締めるということをこなす忍耐力とスタミナを持ち合わせていないかもしれない。
【0005】
軍関係者、司法関係者、およびファストレスポンダーによる止血帯の使用は、重さおよびサイズの制限がかかる。このような人達は、様々な緊急時用の道具を持っており、止血帯が重すぎたり、かさばりすぎると持っていきたがらない。したがって、ファストレスポンダーもしくは負傷者が片手ですばやく適用できるような小さく軽量な止血帯が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本願発明の目的は、片手での適用に好適な軽量かつ小型な止血帯を提供することである。
【0007】
本願発明のさらなる目的は、挟まった四肢に簡単に適用できる片手で適用するのに好適な止血帯を提供することである。
【0008】
本願発明の他の目的は、所望しない緩みを最小限にする片手で適用するのに好適な止血帯を提供することである。
【0009】
本願発明のさらなる目的は、意図しない解除を最小限にする片手で適用するのに好適な止血帯を提供することである。
【0010】
本願発明のさらなる目的は、止血帯が適切に設けられた時、音声アラームで知らせる片手で適用するのに好適な止血帯を提供することである。
【0011】
本願発明の実施形態によれば、止血帯は、第一および第二端部を有するベースと、該ベースの該第一端部に取り付けられて、さらにそこから伸びている締め付けバンドと、該締め付けバンドと係合しているハンドルと、を有する。自己締め付けバックルは、多角形フレーム部材と、該フレーム部材と係合する自己締め付け部材と、を含み、該締め付けバンドの自由端部は、該自己締め付けバックルを縫うように通る。フック部材は、該ベースの該第一端部に結合しており、前記フレーム部材と係合するように構成されている。
【0012】
本願発明の他の実施形態によれば、止血帯のためのロック組立体を有する。
【0013】
他の実施形態によれば、ロッキングリングは、構造部材に結合している。
【0014】
本願発明のさらなる実施形態によれば、該ハンドルの第一端部および第二端部の少なくとも一つは該ロッキングリングと係合するように構成されている。
【0015】
本願発明のさらなる実施形態では、該ロッキングリングは、該ハンドルと機能的に関連しており、該ハンドルの第一端部および第二端部の少なくとも一つは、該ロッキングリングを係合するラッチ部を含んでいる。
【0016】
本願発明のさらなる実施形態では、止血帯は、多角形フレーム部材と該フレーム部材と係合する自己締め付け部材を含む自己締め付けバックルを含み、自己締め付けバックルは、自己締め付けバックルを縫うように通る締め付けバンドを有するように構成されており、さらに止血帯ベースと接続するようになっているフック部材と、を含み、フック部材は、該多角形フレーム部材と係合するように構成されているくぼみを含んでいる。
【0017】
ここで述べる“実質的”、“一般的”、“わずかに”などの程度に関する用語は、変動する特性の許容できるばらつきを示す相対的変動条件である。変動する絶対的数値もしくは特性に限定されるものではなく、むしろその反対の物理的もしくは機能的特性の操作、さらに好ましくはそのような物理的もしくは機能的特性に近づけるもしくは近似させるものである。
【0018】
以下に示す実施形態は、当業者が本願発明を実施するのに充分に詳細に記載するものである。本願発明の範囲を逸脱しない範囲において、他の実施形態を使用してもよく、さらに公知の構造的および/または機能的に同等の構造的変更が加えられてもよい
【図面の簡単な説明】
【0019】
上述のおよび他の本願発明の目的、利点および特徴は、添付の図面とともに理解される以下の記載によりさらに明確になるものである。
図1図1は、例示としての止血帯の平面図である。
図2図2は、本願発明に係る実施形態の止血帯の透視図である。
図3図3は、図2に示す止血帯のロック組立体を示す。
図4図4は、図3のフック部材とロック組立体のストライク界面の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2に示すように、本願発明に係る止血帯は、ベース115と係合する締め付けバンド110を含む。締め付けバンド110は、好ましくは幅が1インチから3インチの間であり、さらに好ましくは幅が1インチから2インチの間である。例示的実施形態においては、締め付けバンドの幅は約1.5インチである。
【0021】
締め付けバンド110の第一端部は、固定接着されており、例えば接着ポイント120においてベース115に縫い付けられている。締め付けバンド110は、その後止血帯ハンドル125に通しおよび/または係合され、そして図2に示すベース115の第二端部と再び係合する。例えば、締め付けバンド110は、上部および下部ベース層125Aおよび125Bの間に挟まれ、ベース125の第二端部と近接する。締め付けバンド110は、そしてベース125の第二端部から、締め付けバンド110が平均的な大人の四肢の周囲を周るのに必要な長さ分だけ少なくとも伸びる。いくつかの実施形態においては、止血帯ハンドル125は、ここに参照として組み込まれている米国特許番号7776064号に記載の方法でベース115に取り付けられていてもよい。
【0022】
本願発明によると、本願発明に係る止血帯の例示的実施形態は、自己締め付けバックル135およびフック部材140を有するロック組立体130をさらに有する。いくつかの実施形態では、バックル135は、多角形フレーム部材137を含み、該多角形フレーム部材137は、多角形フレーム部材137と係合する自己締め付け部材139を有する。図3に示すように、自己締め付け部材139は、多角形フレーム部材137の開口部を横断するように伸び、そして多角形フレーム部材の相対する第一および第二端部に、さねはぎ(tongue and groove)係合を形成するカフ(cuff)もしくはバーなどの構造部材を有する。締め付けバンド110は、自己締め付け部材139の周りをループして、締め付けバンド110の自由端部を単純に引っ張ることにより、締め付けバンド110が自己締め付け部材139とフレーム部材137の間に挟まれるまで、自己締め付け部材139はフレーム部材137に沿って矢印Aの方向にスライドする。
【0023】
図示した実施形態において、フレーム部材137は、六角形である。しかしながら、フレーム部材137は、締め付けバンド110をフレーム部材137に挟むようにする自己締め付け部材であればいかなる多角形でもよい。
【0024】
フック部材140は、回動可能にベース115の第一端部近くに取り付けられており、フレーム部材137と摩擦嵌合するように構成されている。図4に示すように、フック140は、内表面142を有するカフを有する。フック140は、使用者が意図的に外さない限りは、フレーム部材137と係合していることが望ましい。したがって、可能性としては考えられる意図しない解除を防ぐには、例えば、医療従事者、ファストレスポンダー、兵隊もしくはハイカーなどの器具に対してバウンドしたりして止血帯が外れてしまった場合などのために内表面142には複数の凸部144を有するストライク界面が付与されている。凸部144は、フレーム部材137をフック部材140にロックし、偶発的な解除を最小限に抑えている。さらには、凸部144には、例えばクリック音などの音声アラームがついており、使用者がフレーム137を再接続したときには、接続が確実に行われたことを使用者に知らせる。
【0025】
本願発明の一観点に関し、フック部材140は、フレーム部材137の開口部の長手方向寸法Lよりも短い長さLを有する。一実施形態では、L=1/2Lである。フレーム部材137の開口部の寸法は、フック部材の140の長さよりも大きいため、ストレス下にある人にとって、複雑な動的動作を最小限にし、さらにフック部材140をフレーム部材137に接続するのに必要な手と目の協調運動のレベルを下げることからフック部材140をフレーム部材137に接続するほうが楽である。これらは、明かりの少ない戦闘状況においてとくに重要な懸念事項である。さらには、フック部材140と係合するフレーム部材137の側は、長さLを有し、これはほんの少しだけ、例えば数センチ以下、Lよりも長い。これにより、フック部材140のフレーム部材に対する所望しない関連する動作、スライドおよび/または回動などを最小限にしつつ、フック部材140をフレーム部材137に接続するのが簡単になる。
【0026】
本願発明の一観点に関し、例えば、患者が動いている間に止血帯が不具合を起こすことによる起こりうる止血帯の緩みを最小限にすることが望ましい。したがって、ループ150は、穴148を通り、例えば縫い付けによりベース115としっかりと取り付けてあり、フック部材140をベース115と接続している。フレーム部材137は長方形の断面を有する。したがって、フレーム部材137がフック部材140の三日月状のくぼみに止めてある場合、患者の移動もしくは計画的抜去などの時に止血帯をずらしたりするのにともない、フック部材140はループ150の周りを回動するために傾き、フレーム部材137の周りを回動するのを抑制し、これにより締め付けバンド110の偶発的なゆるみを最小限に抑える。
【0027】
本願発明を詳細な実施形態および代替例を使って図示および説明したが、本願発明の精神および範囲を逸脱することない範囲において種々の変更ができることを理解されたい。したがって、本願発明は、添付の請求の範囲およびそれらの均等物に従うほかは、いかなるようにも限定されないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4