特許第5793280号(P5793280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧

特許5793280無線通信システムにおける資源スケジューリング方法及び基地局
<>
  • 特許5793280-無線通信システムにおける資源スケジューリング方法及び基地局 図000090
  • 特許5793280-無線通信システムにおける資源スケジューリング方法及び基地局 図000091
  • 特許5793280-無線通信システムにおける資源スケジューリング方法及び基地局 図000092
  • 特許5793280-無線通信システムにおける資源スケジューリング方法及び基地局 図000093
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793280
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】無線通信システムにおける資源スケジューリング方法及び基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/10 20090101AFI20150928BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20150928BHJP
   H04W 72/12 20090101ALI20150928BHJP
【FI】
   H04W72/10
   H04W72/04 131
   H04W72/04 132
   H04W72/12 110
【請求項の数】18
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2009-281196(P2009-281196)
(22)【出願日】2009年12月11日
(65)【公開番号】特開2010-141893(P2010-141893A)
(43)【公開日】2010年6月24日
【審査請求日】2012年11月6日
【審判番号】不服2014-10944(P2014-10944/J1)
【審判請求日】2014年6月10日
(31)【優先権主張番号】200810185518.1
(32)【優先日】2008年12月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】杜 蕾
(72)【発明者】
【氏名】陳 嵐
(72)【発明者】
【氏名】ウメシュ アニール
(72)【発明者】
【氏名】田 輝
(72)【発明者】
【氏名】張 平
(72)【発明者】
【氏名】徐 海 博
(72)【発明者】
【氏名】馮 媛
(72)【発明者】
【氏名】陸 兆 新
【合議体】
【審判長】 佐藤 智康
【審判官】 加藤 恵一
【審判官】 吉田 隆之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−181124(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/022817(WO,A1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と複数のユーザ設備とを含む無線通信システムにおいて資源をスケジューリングする方法において、
前記複数のユーザ設備のうち、資源ブロックにおいてデータを送信するユーザ設備を確定する確定ステップと、
少なくとも確定されたユーザ設備のバッファメモリにおける送信予定データのデータ量とユーザ設備の前記資源ブロックにおける伝送レートとのうち、小さい方を前記資源ブロックにおける有効伝送レートとして確定し、前記有効伝送レートに基づいて、確定されたユーザ設備それぞれの優先度を計算する計算ステップと、
前記資源ブロックを優先度が最高のユーザ設備に割り当てる割り当てステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
【数1】
は、t時刻でユーザkが物理資源ブロックnにおいて送信可能な最大ビット数、bs(t)は、ユーザkのt時刻におけるバッファデータ量、minは、bs(t)と
【数2】
のうち小さいほうの値とすると、前記計算ステップにおいて下記公式に従い優先度を計算することを特徴とする請求項に記載の方法。
【数3】
【請求項3】
【数4】
は、t時刻でユーザkが物理資源ブロックnにおいて送信可能な最大ビット数、bs(t)は、ユーザkのt時刻におけるバッファデータ量、A(t)はレート制御情報、Tは、レート保証優先度関数の重みを調整するための、予め定義された制御パラメータとすると、前記計算ステップにおいて下記公式に従い優先度を計算することを特徴とする請求項に記載の方法。
【数5】
【請求項4】
【数6】
は、t時刻でユーザkが物理資源ブロックnにおいて送信可能な最大ビット数、bs(t)は、ユーザkのt時刻におけるバッファデータ量、
【数7】
は、ユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとすると、前記計算ステップにおいて下記公式に従い優先度を計算することを特徴とする請求項に記載の方法。
【数8】
【請求項5】
【数9】
は、t時刻でユーザkが物理資源ブロックnにおいて送信可能な最大ビット数、bs(t)は、ユーザkのt時刻におけるバッファデータ量、
【数10】
は、ユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レート、A(t)はレート制御情報、Tは、レート保証優先度関数の重みを調整するための、予め定義された制御パラメータとすると、前記計算ステップにおいて下記公式に従い優先度を計算することを特徴とする請求項に記載の方法。
【数11】
【請求項6】
【数12】
は、t時刻でユーザkが物理資源ブロックnにおいて送信可能な最大ビット数、bs(t)は、ユーザkのt時刻におけるバッファデータ量、A(t−1)はレート制御情報、Tは、レート保証優先度関数の重みを調整するための、予め定義された制御パラメータ、
【数13】
は、ユーザ端末kの平均SNR値、SNRTHは、基地局がシステムにアクセスしたすべてのユーザ端末の平均SNR値に基づいて設定したSNR閾値とすると、前記計算ステップにおいて下記公式に従い優先度を計算することを特徴とする請求項に記載の方法。
【数14】
【請求項7】
【数15】
は、t時刻でユーザkが物理資源ブロックnにおいて送信可能な最大ビット数、bs(t)は、ユーザkのt時刻におけるバッファデータ量、A(t−1)はレート制御情報、Tは、レート保証優先度関数の重みを調整するための、予め定義された制御パラメータ、
【数16】
は、ユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レート、
【数17】
は、ユーザ端末kの平均SNR値、SNRTHは、基地局がシステムにアクセスしたすべてのユーザ端末の平均SNR値に基づいて設定したSNR閾値とすると、前記計算ステップにおいて下記公式に従い優先度を計算することを特徴とする請求項に記載の方法。
【数18】
【請求項8】
【数19】
は、ユーザ端末kが要求する最小レート、
【数20】
は、ユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻tまでの実際の平均送信レートとすると、下記式が成り立つことを特徴とする請求項3又は5に記載の方法。
【数21】
【請求項9】
【数22】
は、ユーザ端末kが要求する最小レート、
【数23】
は、ユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとすると、下記式が成り立つことを特徴とする請求項3又は5に記載の方法。
【数24】
【請求項10】
(t−1)は、ユーザ端末が要求する最小レートとユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻t−1までの実際の平均送信レート又はユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとの差分、
【数25】
は、ユーザ端末kが要求する最小レート、
【数26】
は、ユーザ端末kがt時刻で取得した総資源量のサイズ、Tは、スケジューリング周期の長さとすると、下記式が成り立つことを特徴とする請求項3又は5に記載の方法。
【数27】
【請求項11】
(t−1)は、ユーザ端末が要求する最小レートとユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻t‐1までの実際の平均送信レート又はユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとの差分、
【数28】
は、ユーザ端末kが要求する最小レート、
【数29】
は、ユーザ端末kがt時刻で取得した総資源量のサイズとすると、下記式が成り立つことを特徴とする請求項3又は5に記載の方法。
【数30】
【請求項12】
【数31】
は、ユーザ端末kが要求する最小レート、
【数32】
は、ユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻t‐1までの実際の平均送信レートとすると、下記式が成り立つことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【数33】
【請求項13】
【数34】
は、ユーザ端末kが要求する最小レート、
【数35】
は、ユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとすると、下記式が成り立つことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【数36】
【請求項14】
(t−2)は、ユーザ端末が要求する最小レートとユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻t‐2までの実際の平均送信レート又はユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとの差分、
【数37】
は、ユーザ端末kが要求する最小レート、
【数38】
は、ユーザ端末kがt‐1時刻で取得した総資源量のサイズ、Tは、スケジューリング周期の長さとすると、下記式が成り立つことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【数39】
【請求項15】
(t−2)は、ユーザ端末が要求する最小レートとユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻t−2までの実際の平均送信レート又はユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとの差分、
【数40】
は、ユーザ端末kが要求する最小レート、
【数41】
は、ユーザ端末kがt‐1時刻で取得した総資源量のサイズとすると、下記式が成り立つことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【数42】
【請求項16】
複数のユーザ設備と、各ユーザ設備に送信するデータをバッファするための業務バッファメモリを備える基地局とを含む無線通信システムにおいて資源をスケジューリングする方法において、
前記複数のユーザ設備のうち、資源ブロックにおいて前記基地局からデータが送信されてくるユーザ設備を確定する確定ステップと、
少なくとも確定されたユーザ設備に対応する業務バッファメモリにおける送信予定データのデータ量とユーザ設備の前記資源ブロックにおける伝送レートとのうち、小さい方を前記資源ブロックにおける有効伝送レートとして確定し、前記有効伝送レートに基づいて、確定されたユーザ設備それぞれの優先度を計算する計算ステップと、
前記資源ブロックを優先度が最高のユーザ設備に割り当てる割り当てステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
無線通信システムにおいて資源をスケジューリングする基地局において、
複数のユーザ設備のバッファメモリにおけるデータのデータ量に関連する情報を記憶し、資源ブロックにおいてデータを送信するユーザ設備を確定するためのバッファ管理装置と、
各ユーザ設備が要求するデータレートに関連する情報を記憶するためのレート情報記録装置と、
少なくとも確定されたユーザ設備のバッファメモリにおける送信予定データのデータ量とユーザ設備が要求するデータレートとのうち、小さい方を前記資源ブロックにおける有効伝送レートとして確定し、前記有効伝送レートに基づいて、確定されたユーザ設備それぞれの優先度を計算し、前記資源ブロックを優先度が最高のユーザ設備に割り当てる資源スケジューリング装置とを含むことを特徴とする基地局。
【請求項18】
無線システムにおいて資源をスケジューリングする基地局において、
複数のユーザ設備に対して設置されて、対応するユーザ設備に送信するデータを記憶する複数の業務バッファメモリと、
各ユーザ設備が要求するデータレートに関連する情報を記憶するためのレート情報記録装置と、
前記複数のユーザ設備のうち、資源ブロックにおいて前記基地局からデータが送信されてくるユーザ設備を確定するバッファ管理装置と、
少なくとも確定されたユーザ設備に対応する業務バッファメモリにおける送信予定データのデータ量とユーザ設備が要求するデータレートとのうち、小さい方を前記資源ブロックにおける有効伝送レートとして確定し、前記有効伝送レートに基づいて、確定されたユーザ設備それぞれの優先度を計算し、前記資源ブロックを優先度が最高のユーザ設備に割り当てる資源スケジューリング装置とを含むことを特徴とする基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に関し、具体的には、無線通信システムにおいて資源をスケジューリングする方法及び対応する基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは既に大きな発展を遂げ、しかも発展が進化しており、GSMを代表とする第二代移動通信システムや実施中の第三代移動通信システム標準IMT‐2000が出てきている。しかし、現在の無線通信ネットワークは、依然として将来の通信の需要を満足することができない。将来の無線通信システムには、高速のデータ通信能力の提供が期待されているが、これは周波数スペクトル資源の不足に矛盾している。従って、限られた周波数スペクトル資源において、周波数利用効率を向上させると共により高いデータレートや様々なサービス品質(QoS)需要を有するマルチメディアサービスをユーザ端末に提供することは、次世代移動通信システムのキーポイントの一つである。
【0003】
直交周波数分割多重技術は、強い減衰抵抗能力、強いシンボル間干渉抵抗能力、高い周波数利用率を持ち、高速データや非対称型業務伝送に適合するなどの特徴を有するため、現在の高速データ伝送を解決する主流技術の一つとなっている。該技術は、デジタルビデオブロードキャスト(DVB)、非対称型デジタル加入者回線(ADSL)及び無線アクセスネットワークシステムにおける使用に成功しており、次世代移動通信システムに発展する見込みのある伝送技術になるであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A.Jalali, R.Padovani, R.Pankai, “Data Throughput of CDMA‐HDR a High Efficiency‐High Data Rate Personal Communication Wireless System,” in Proc. Veh. Technol. Conf., Jan. 2001, pp. 55‐67
【非特許文献2】Matthew Andrews, Krishnan Kumaran, Kavita Ramanan, Alexander Stolyar, Phil Whiting. “Providing quality of service over a shared wireless link”, IEEE Communications Magazine. 2001, pp.150‐154
【非特許文献3】S.Shakkottai and A.L.Stolyar, “Scheduling for multiple flows sharing a time varying channel: the exponential rule,” Bell laboratories technical report, December, 2000
【非特許文献4】H. Kim, Y. Han, “A Proportional Fair Scheduling for Multicarrier Transmission Systems”, IEEE Commun. Letters, vol.9, Mar 2005, pp.210−212
【非特許文献5】Zhen Kong, Jiangzhou Wang, Yu‐Kwong Kwok, “A New Cross Layer Approach to QoS‐Aware Proportional Fairness Packet Scheduling in the Downlink of OFDM Wireless Systems”, in Proc. ICC, June, 2007, pp. 5695‐5700
【非特許文献6】Jinri Huang, Zhisheng Niu, “Buffer‐Aware And Traffic‐Dependent Packet Scheduling in Wireless OFDM Networks”, in Proc. WCNC, March,2007,pp. 1554‐1558
【非特許文献7】Stiliadis, D., Varma, A, “Latency‐rate servers: a general model for analysis of traffic scheduling algorithms”, IEEE/ACM Transactions on Networking, vol.3, Oct.1998, pp. 399‐408
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パケット交換に基づく無線システムにおいて、資源のスケジューリングはとても重要な機能を有する。Max C/IとPFは、現在広範に採用される二種類のスケジューリング方法である(非特許文献1)。複雑度が低いため実現されやすい面を有するほか、Max C/I方法によりシステムスループットを最大化することができ、PF方法によりユーザの公平性とシステムスループットとの有効な折衷を実現できる。しかし、この二種類の方法は、ユーザに対していかなるQoSの保証を提供することもできない。
【0006】
リアルタイム業務のQoS需要を保証するために、M.Andrewsなどは、M−LWDF方法を提案した(非特許文献2)。PF方法を基に、業務の最大遅延制限とユーザ端末のバッファにおける一個目のパケットの待ち遅延の両方を考慮しているため、リアルタイム業務の遅延要求を効果的に保証することができる。
【0007】
S.Shakkottaiなどは、リアルタイム業務に対する別種のスケジューリング方法であるEXP方法を提案した(非特許文献3)。M−LWDF方法と比べ、EXP方法のほうがよりよい遅延特性を有している。システム負荷が非常に大きいという場合でもリアルタイム業務のQoS需要を満足することができる。
【0008】
しかし、上記方法はシングルキャリアシステムに対して提案されたものであり、直交周波数分割多重システムに直接に応用することができない。マルチキャリア比例公平(MC−PF)方法(非特許文献4)は、PF方法を直交周波数分割多重システムの資源スケジューリングへ応用することに成功したが、業務のサービス品質の需要が考慮されていない。MC−PF方法に対する改良案であるQPF方法(非特許文献5)において、優先度を計算する際に業務の遅延とパケットロス率の要求を考慮しており、業務のサービス品質を保証する。
【0009】
QPF方法を除き、上記方法はいずれもフルバッファ(Full Buffer)という理想的なモデルを業務モデルとしており、即ちユーザ端末のキューには常に送信予定データがあると仮定している。従って、資源のスケジューリングを行うときに、ユーザ端末のバッファ状態を考慮する必要がない。しかし、実際のシステムでは、例えばvideo業務など一部の業務の場合、パケットが連続して生成するのではなく、且つパケットの長さが比較的に小さいため、その業務モデルは簡単にフルバッファモデルで表すことができない。
【0010】
資源をより効果的に利用すると共にサービス品質需要を業務に提供するために、スケジューリングアルゴリズムの設計を行うときに、物理レイヤにおける資源の伝送レートのほか、ユーザ端末のバッファ状態も考慮しなければならない。QPF方法とJinri Huangなどが提案したBATD方法(非特許文献6)は、共にユーザバッファの長さが限られていると仮定することを出発点としており、バッファあふれによるパケットロスを減少させるために、ユーザ端末のスケジューリング優先度を計算するときにバッファにおける残りの空間を考慮している。
【0011】
また、直交周波数分割多重技術を物理レイヤ伝送技術とする将来のシステムにおいて、割り当てる資源の最小単位は、粗粒の特徴を有する。例えば、標準化が進められているLTEシステムでは、割り当てる資源の最小単位が一つの物理資源ブロックであり、タイム領域では14個のOFDMシンボルからなり、周波数領域では12個のサブキャリアが含まれている。ユーザバッファにおけるデータ量が比較的に少ないとき、一つの物理資源ブロックの伝送レートは、ユーザバッファにおけるデータ量より高くなる。従って、このような粗粒の資源単位に対して割り当てを行うとき、資源の物理レイヤにおける伝送レートだけを考慮しユーザバッファにおけるデータ量のサイズを無視するのであれば、資源の浪費に繋がる。QPF方法とBATD方法はバッファ状態を考慮しているが、資源浪費を減少させるという問題について解決していない。また、上記非特許文献2、3、5、6によるスケジューリング方法は業務に対してサービス品質を保証できるが、下りリンクのみに適合するものである。上りリンクでは、例えばユーザ端末のバッファにおける一個目のパケットの待ち遅延など一部の情報が得られないため、これらのスケジューリング方法は、ユーザ端末の上り業務にサービス品質保証を提供することができない。
【0012】
本発明の目的は、複数のユーザ端末を含む無線通信システムに応用する資源スケジューリング方法及び基地局を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基地局と複数のユーザ設備とを含む無線通信システムにおいて資源をスケジューリングする方法を提供している。該方法は、上記複数のユーザ設備のうち、資源ブロックにおいてデータを送信するユーザ設備を確定する確定ステップと、少なくとも確定されたユーザ設備のバッファメモリに送信予定データのデータ量を考慮することにより、確定されたユーザ設備それぞれの優先度を計算する計算ステップと、上記資源ブロックを優先度が最高のユーザ設備に割り当てる割り当てステップとを含む。
【0014】
また、本発明は、複数のユーザ設備と、各ユーザ設備に送信するデータをバッファするための業務バッファメモリを備える基地局とを含む無線通信システムにおいて資源をスケジューリングする方法を提供している。該方法は、上記複数のユーザ設備のうち、資源ブロックにおいてデータを送信してくるユーザ設備を確定する確定ステップと、少なくとも確定されたユーザ設備に対応する業務バッファメモリにおける送信予定データのデータ量を考慮することにより、確定されたユーザ設備それぞれの優先度を計算する計算ステップと、上記資源ブロックを優先度が最高のユーザ設備に割り当てる割り当てステップとを含む。
【0015】
また、本発明は、無線通信システムにおいて資源をスケジューリングする基地局を提供している。該基地局には、複数のユーザ設備のバッファメモリにおけるデータのデータ量に関連する情報を記憶し、資源ブロックにおいてデータを送信するユーザ設備を確定するためのバッファ管理装置と、各ユーザ設備が要求するデータレートに関連する情報を記憶するためのレート情報記録装置と、少なくとも確定されたユーザ設備のバッファメモリにおける送信予定データのデータ量を考慮することにより、確定されたユーザ設備それぞれの優先度を計算し、上記資源ブロックを優先度が最高のユーザ設備に割り当てる資源スケジューリング装置とを含む。
【0016】
更に、本発明は、無線システムにおいて資源をスケジューリングする基地局を提供している。該基地局には、複数のユーザ設備に対して設置されて、対応するユーザ設備に送信するデータを記憶する複数の業務バッファメモリと、各ユーザ設備が要求するデータレートに関連する情報を記憶するためのレート情報記録装置と、上記複数のユーザ設備のうち、資源ブロックにおいてデータを送信してくるユーザ設備を確定するバッファ管理装置と、少なくとも確定されたユーザ設備に対応する業務バッファメモリにおける送信予定データのデータ量を考慮することにより、確定されたユーザ設備それぞれの優先度を計算し、上記資源ブロックを優先度が最高のユーザ設備に割り当てる資源スケジューリング装置とを含む。
【発明の効果】
【0017】
上記技術方案は、上りリンクのスケジューリングに応用できるのみならず、下りリンクのスケジューリングにも応用できる。上記技術方案によれば、システム資源をユーザ端末に動的に割り当てることでシステム資源の浪費を減少することができ、最小レート要求を有するユーザ端末のレートを保証することができる。シミュレーション結果によると、異なる業務特徴及びユーザ端末の最小レート要求に応じて、本発明による方法及び装置は、各指標について優れた性能を提供することができ、次世代移動通信ネットワークの発展の需要に応じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施例による無線通信システムの構造を示す。
図2】本発明の第1の実施例による資源スケジューリング方法の流れを示す。
図3】本発明の第2の実施例による無線通信システムの構造を示す。
図4】本発明の第2の実施例による資源スケジューリング方法の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の優れた実施形態を詳細に説明する。各図面では、異なる図面にあるものの、同一の記号は同一又は類似の構成を示す。記載の明確化及び簡素化を図り、本発明の主題が不明確となることのないよう、既知の機能と構造の詳細な記載を省略する。
【0020】
直交周波数分割多重システムにおいて、サブキャリアの間に一定の相関性を持つため、システムにおけるサブキャリアに対して直接にスケジューリングすることで、チャネルのフィードバック量が大きくなる。通常、サブキャリアをいくつかのグループに分けることが行われ、各グループのサブキャリアを一つのサブバンドという。例えば、直交周波数分割多重システムに隣接するR個のサブキャリアで一つのサブバンドを構成し、N個のサブキャリアがM個のサブバンドに分けられると、N=M*Rが成り立つ。LTEシステムにおける定義に類似して、本発明の実施例では、周波数領域の一つのサブバンドと時間領域のいくつかのOFDMシンボルからなる資源単位を物理資源ブロックと言い、ユーザ端末が物理資源ブロックを競争することにより通信を行う。直交周波数分割多重システムにおいて適応な変調符号化(AMC)技術を利用すれば、可変の伝送レートをサポートできる。従って、各周期内に、基地局は、ユーザ端末の各物理資源ブロックにおける瞬時の信号対雑音比(SNR)に基づいてそれに対応する変調符号化方式を確定することにより、ユーザ端末の各物理資源ブロックにおける伝送レートを取得し、該伝送レートを利用して下記の方式でユーザ端末のスケジューリング優先度を計算する。
【0021】
(第1の実施例)
本発明の第1の実施例による資源スケジューリングは上りリンクに応用する。図1は、本発明の第1の実施例による無線通信システムの構造を示す。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施例による無線通信システムは基地局と少なくとも一つのユーザ端末を含む。本発明の第1の実施例による基地局100は、チャネル推定ユニット101、バッファ管理ユニット104、レート情報記録ユニット105、資源スケジューリングユニット103及び資源割り当て記録ユニット102を含む。
【0023】
本発明の第1の実施例において、チャネル推定ユニット101は、ユーザ端末の物理資源ブロックにおけるSNRのようなチャネル情報を推定し、取得したチャネル情報を記録する。
【0024】
バッファ管理ユニット104は、ユーザ端末のバッファメモリにバッファされているデータのデータ量情報を記録し、スケジューリング時刻毎にバッファメモリにデータ量がゼロでないユーザ端末を選択して集合Sを構成する。
【0025】
レート情報記録ユニット105は、各ユーザ端末が要求する最小レートと送信レートとの差分を記録する。
【0026】
資源スケジューリングユニット103は、チャネル推定ユニット101、資源割り当て記録ユニット102、バッファ管理ユニット104及びレート情報記録ユニット105における情報の少なくとも一部に基づいて、ユーザ端末の各物理資源ブロックにおけるスケジューリング優先度を確定し、ユーザ端末の優先度に基づいて物理資源ブロックに対して割り当てを行う。
【0027】
資源割り当て記録ユニット102は、各スケジューリング周期内の物理資源ブロックのスケジューリング結果、即ち各物理資源ブロックに割り当てられたユーザ端末を記録する。各スケジューリング周期が終了するときに、本スケジューリング周期内のスケジューリング結果を符号化し、下り制御シグナリングでユーザ端末に通知する。
【0028】
図1に示すように、本発明の第1の実施例によるユーザ端末200は、業務バッファユニット201とロードユニット202とを含む。
【0029】
業務バッファユニット201は、例えばバッファメモリであり、基地局送信される新着の業務パケットを記憶する。
【0030】
ロードユニット202は、基地局からの上りスケジューリング情報に基づいて、業務パケットと業務バッファ状態報告とをデータブロックにパッケージ化し、該データブロックを、該ユーザ端末に割り当てられた物理資源ブロックにロードする。以下、図2を参照しながら、上記各ユニットの機能及びそれぞれの間の関係を詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施例による資源スケジューリング方法の流れを示す。
【0031】
図2に示すように、本発明の第1の実施例による資源スケジューリング方法は、ユーザ端末から基地局までのリンクである上りリンクに応用する。該リンクにおける資源のスケジューリングは、基地局側により実現し、そして下り制御シグナリングを通してスケジューリング結果をユーザ端末に送信する。
【0032】
図2に示すように、ステップS101において、スケジューリング時刻tの開始時に、ひとつ前のスケジューリング時刻の終了後に更新して得たユーザ端末の業務バッファユニットにおけるデータ量情報に基づいて、バッファ管理ユニット104は、送信予定データがあるすべてのユーザ端末を集合Sに構成する。資源のスケジューリングを行うときに、集合Sにおけるユーザ端末だけが考慮される。N個の物理資源ブロックに1、2、…、Nのように番号を振り、順に割り当てを行う。
【0033】
ステップS102において、資源スケジューリングユニット103は、集合Sにおけるすべてのユーザ端末が現在割り当てられた物理資源ブロックn(1<n<N)におけるスケジューリング優先度を計算する。
【0034】
ステップS103において、資源スケジューリングユニット103は、物理資源ブロックnにおいて優先度が最高のユーザ端末
【数1】
を見つけ出し、物理資源ブロックnを該ユーザ端末に割り当て、資源スケジューリング結果を資源割り当て記録ユニット102に通知する。
【0035】
ステップS104において、バッファ管理ユニット104は、ユーザ端末kのバッファにおけるデータ量を公式(1)に従い更新する。また、資源割り当て記録ユニット102は、ユーザ端末kが現在時刻に取得した総資源量のサイズ
【数2】
を公式(2)に従い更新する。
【0036】
【数3】
【0037】
ステップS105において、ユーザ端末kの業務バッファ記憶ユニットにおけるデータ量が0であるか否かを判断する。
【0038】
バッファ管理ユニット104に記録されているユーザ端末kのバッファにおけるデータ量が0であると、ステップS106において、ユーザ端末kを集合Sから削除する。そして、ステップS107において、集合Sがヌルであるか否かを判断する。
【0039】
バッファ管理ユニット104に記録されているユーザ端末kのバッファにおけるデータ量が0でない場合、ステップS111において次の物理資源ブロックをターゲットとし、そしてステップS110において該物理資源ブロックが最後の物理資源ブロックであるか否かを判断する。最後の物理資源ブロックでなく、且つ集合
【数4】
となる場合、ステップS102に戻り引き続き実行する。集合Sがヌルである又は該資源ブロックが最後の物理資源ブロックである場合、ステップS108において該時刻のスケジューリングを終了し、資源割り当て記録ユニット102はスケジューリング結果である各ユーザ端末の上りスケジューリング情報を符号化して下り制御シグナリングを通して各ユーザ端末に通知する。
【0040】
ユーザ端末200が資源スケジューリング情報を受信すると、ロードユニット202は上りスケジューリング情報に基づいて、業務バッファユニット201からパケットを抽出し、最新の業務バッファ状態情報bs(t+1)と共にパッケージ化して、ユーザ端末に割り当てられた物理資源ブロックにロードして基地局100に送信する。基地局100は、受信したパケットにおけるユーザ端末識別子に基づいてバッファ管理ユニット104における対応する情報を更新する。
【0041】
以下、具体的な例を通して、上記資源スケジューリング過程のステップS102のスケジューリング優先度の計算方法を詳細に説明する。
【0042】
(例1)
例えば非リアルタイム型ビデオ業務のようなユーザ端末業務にはパケット長が比較的に短く、パケット生成間隔が比較的に長いという特徴を持ち、且つ、ユーザ端末には最小レート要求を有しないとき、ユーザバッファにおけるデータ量が一つの物理資源ブロックの伝送レートより小さい可能性があるため、ユーザ端末の物理資源ブロックにおけるスケジューリング優先度を計算する際に、ユーザ端末の物理資源ブロックにおける伝送レートだけを考慮すれば資源を浪費することとなる。このような資源の浪費を減少させ、ユーザ端末の業務バッファにおけるデータ量とユーザ端末の物理資源ブロックにおける伝送レートの両方を考慮するために、本発明の実施例に基づいて、有効伝送レート関数を下記のように定義する。
【0043】
ユーザ端末kの物理資源ブロックnにおける有効伝送レート関数は、公式(3)のように定義する。
【0044】
【数5】
【0045】
上記公式のうち、
【数6】
は、t時刻でユーザkが物理資源ブロックnに送信可能な最大ビット数(該送信可能な最大ビット数は、上り伝送をスケジューリングするときにユーザから報告されたチャネル品質により指示され、下り伝送をスケジューリングする際に基地局が測定したチャネル状況により確定されるものであって、又は、該ユーザの最大伝送能力で確定されたビット数である)を示す。bs(t)は、ユーザkがt時刻におけるバッファデータを示す。minは、bs(t)と
【数7】
のうち小さいほうの値を示す。有効伝送レート関数に基づき、スケジューリング優先度の計算方法は下記のとおりとなる。
【0046】
【数8】
【0047】
(例2)
ユーザ端末業務の特徴がFTP業務のようにフルバッファ業務に近く、且つ、ユーザ端末が最小レート要求を有する場合、ユーザ端末の最小レート要求を保証するために、本発明の実施例に基づいて、レート保証優先度関数を下記のように定義する。
【0048】
ユーザ端末kのレート保証優先度関数は、下記のように定義する。
【0049】
【数9】
【0050】
上記公式のうち、A(t)はレート制御情報であり、ユーザ端末が要求する最小レートと実際の平均送信レートとの差分を示す。Tは、レート保証優先度関数の重みを調整するための、予め定義された制御パラメータである。本発明の実施例に基づいて、ここの実際の平均送信レートは、ユーザ端末が要求する最小レートとユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻t‐1までの実際の平均送信レート又はユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとの差分を示す。
【0051】
以下、レート保証優先度関数を更に説明する。最小レート要求が満足されたユーザ端末に対して、A(t)=0、このとき、
【数10】
となるため、該関数はユーザ端末のスケジューリング優先度に影響を与えない。最小レート要求が満足されていないユーザ端末に対して、A(t)>0、このとき
【数11】
となるため、該関数はユーザ端末のスケジューリング優先度を向上させる。
【0052】
本発明の実施例に基づいて、レート制御情報は、三種類の方法により得られる。
【0053】
1. 第1のレート制御情報計算方法
【数12】
【数13】
は、ユーザ端末kが要求する最小レートを示し、
【数14】
は、ユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻tまでの平均送信レートを示す。
【0054】
2. 第2のレート制御情報計算方法
【数15】
【数16】
は、ユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートを示す。
【0055】
3. 第3のレート制御情報計算方法
トークンバケツでレートを制御する方法を採用する(非特許文献7)。スケジューリング周期毎に、トークンは、ユーザ端末が要求する最小レート要求
【数17】
でトークンバケツに入り込む。トークンの数がマイナスでないことを保証する前提において、実際の送信レートでトークンバケツから移行させる。数学式は、下記の如くである。
【0056】
【数18】
(t−1)は、ユーザ端末が要求する最小レートとユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻t−1までの実際の平均送信レート又はユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとの差分を示す。
【数19】
は、ユーザ端末kが要求する最小レートを示し、
【数20】
は、ユーザ端末kがt‐1時刻に取得した総資源量のサイズを示し、Tは、スケジューリング周期の長さを示す。
【0057】
本発明の別の実施形態に基づいて、下記公式が成立する。
【0058】
【数21】
(t−1)は、ユーザ端末が要求する最小レートとユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻t‐1までの実際の平均送信レート又はユーザ端末kが予め設定された時間ウィンドウ内における平均送信レートとの差分を示す。
【数22】
は、ユーザ端末kが要求する最小レートを示し、
【数23】
は、ユーザ端末kがt‐1時刻に取得した総資源量のサイズを示す。
【0059】
レート保証優先度関数に基づいて、スケジューリング優先度の計算方法は下記となる。
【0060】
【数24】
【0061】
(例3)
例えばリアルタイム型ビデオ会議業務のようなユーザ端末業務にはパケット長が比較的に短く、パケット生成間隔が比較的に長いという特徴を持ち、且つ、ユーザ端末には最小レート要求を有するとき、ユーザ端末の物理資源ブロックにおける伝送レートとユーザ端末バッファにおけるデータ量との相違により生じた資源の浪費を減少させると共に、ユーザ端末の最小レート要求を保証できるには、スケジューリング優先度の計算方法は下記となる。
【0062】
【数25】
資源ブロックに対してスケジューリングを行うとき、ユーザ端末間の公平性を更に考慮するために、上記三種類のスケジューリング優先度計算方法の実施例に記載された異なる業務類型に基づいて、上記スケジューリング優先度計算方法の例1〜例3の代わりにそれぞれ下記例4〜例6を実施することができる。
【0063】
(例4)
【数26】
【0064】
(例5)
【数27】
【0065】
(例6)
【数28】
【0066】
上記資源スケジューリング方法のステップS102において、ユーザ端末のスケジューリング優先度を計算する場合、スケジューリング優先度計算方法の例4〜例6の何れか一つを実施するとき、毎回のスケジューリング時刻の終了時に
【数29】
を更新する必要がある。詳しくは下記のように行われる。
【0067】
ユーザ端末が資源スケジューリング情報を受信すると、ロードユニット202は上りスケジューリング情報に基づいて、業務バッファユニット201からパケットを抽出し、最新の業務バッファ状態情報bs(t+1)と共にパッケージ化して、ユーザ端末に割り当てられた物理資源ブロックにロードして基地局100に送信する。基地局100は、受信したパケットにおけるユーザ端末識別子に基づいて、バッファ管理ユニット104における対応する情報を更新すると共に、対応するユーザ端末の平均レート
【数30】
を更新する。下記公式のように行われる。
【0068】
【数31】
【0069】
ユーザ端末に最小レート要求を有するとき、システムにアクセスするユーザ端末数が比較的に少ない場合、スケジューリング優先度計算方法の例2、3、5、6により各ユーザ端末の最小レートを公平に保証できる。システムにアクセスするユーザ端末が増加するにつれて、上記四種類のスケジューリング優先度計算方法はすべてのユーザ端末の最小レートを保証することができない。本発明によりシステム負荷が比較的に大きいときにすべてのユーザ端末が要求する最小レートを保証できないという問題を効果的に解決できるには、本発明の実施例における上記資源スケジューリング過程にユーザ端末に最小レート要求を有する実施方法について更に補充する。
【0070】
基地局100は、各アクセスしたユーザ端末の正規化平均レート
【数32】
を周期的に計算する。
【数33】
の計算方法は下記となる。
【0071】
【数34】
【数35】
は、ユーザ端末kの業務接続確立からスケジューリング時刻tまでの平均送信レートを示す。
【0072】
システムはアクセスしたすべてのユーザ端末が要求する最小レートを保証でき、即ち
【数36】
(Kは現在システムにアクセスしたユーザ端末数を示す)のときに、新規ユーザ端末のアクセス要求があると、基地局が該ユーザ端末を受け入れる。スケジューリング時刻毎に、上記資源スケジューリング過程に従いユーザ端末に対して資源スケジューリングを行う。スケジューリング優先度計算方法は、上述のように、具体的な業務状況とシステムの性能要求に応じて上述優先度計算方法の例2、3、5、6のうちの一種を実施してもよい。
【0073】
システムはアクセスしたすべてのユーザ端末が要求する最小レートを保証できないとき、即ち
【数37】
のとき、新規ユーザ端末のアクセス要求をある場合、基地局が該ユーザ端末を拒絶する。スケジューリング時刻毎に、上記資源スケジューリング過程に従い受け入れたユーザ端末に対して資源スケジューリングを行う。チャネル品質が比較的に悪いユーザ端末の資源利用率がそれほど高くないため、システムはアクセスしたすべてのユーザ端末が要求する最小レートを保証できないとき、一部のチャネル品質が比較的に悪いユーザ端末レートを犠牲にして、チャネル品質が比較的によいユーザ端末が要求する最小レートを保証することができる。このとき、受け入れたユーザのスケジューリング優先度計算方法の例2、3、5、6に対して補正をする必要がある。詳しくは下記のように行われる。
【0074】
(例2´)
【数38】
【0075】
(例3´)
【数39】
【0076】
(例5´)
【数40】
【0077】
(例6´)
【数41】
【0078】
上記公式のうち、
【数42】
は、ユーザ端末kの平均SNR値を示し、チャネル推定ユニット101により推定して得られる。SNRTHは、基地局がシステムにアクセスしたすべてのユーザ端末の平均SNR値に基づいて設定したSNR閾値であり、ユーザ端末のチャネル品質を区分することに用いられる。A(t−1)の定義は、公式(5)〜(8)を参照し、時刻tをt‐1に差し替えている。
【0079】
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例による資源スケジューリングは下りリンクに応用する。図3は、本発明の第2の実施例による無線通信システムの構造を示す。図3に示すように、本発明の第2の実施例による無線通信システムの基地局100は、チャネル情報記憶ユニット106、業務バッファユニット107、バッファ管理ユニット104、レート情報記録ユニット105、資源スケジューリングユニット103、資源割り当て記録ユニット102及びロードユニット109を含む。
【0080】
本発明の第2の実施例において、チャネル情報記憶ユニット106は、ユーザ端末の物理資源ブロックにおけるSNRのようなチャネル情報を記録する。
【0081】
業務バッファユニット107は、各ユーザ端末に対応する業務バッファ領域を設置し、各ユーザ端末に送信され新着の業務パケットを記憶する。
【0082】
バッファ管理ユニット104は、ユーザ端末のバッファメモリにおけるデータ量情報を記録し、スケジューリング時刻毎にバッファにデータ量が0でないユーザ端末を選択して集合Sを構成する。
【0083】
レート情報記録ユニット105は、各ユーザ端末の最小レートと送信レートとの差分を記録する。
【0084】
資源スケジューリングユニット103は、チャネル情報記憶ユニット106、業務バッファユニット107及びレート情報記録ユニット105における情報の少なくとも一部に基づいて、ユーザ端末の各物理資源ブロックにおけるスケジューリング優先度を確定し、ユーザ端末の優先度に基づいて物理資源ブロックに対して割り当てを行う。
【0085】
資源割り当て記録ユニット102は、各スケジューリング周期内の物理資源ブロックのスケジューリング結果を記録する。各スケジューリング周期が終了するときに、本スケジューリング周期内のスケジューリング結果である下りスケジューリング情報を符号化し、下り制御シグナリングでユーザ端末に通知する。
【0086】
ロードユニット109は、下りスケジューリング情報に基づいて、対応する業務バッファユニット104からパケットを抽出してパッケージ化し、各ユーザ端末に割り当てられた物理資源ブロックにロードする。
【0087】
本発明の実施例によるユーザ端末200は、チャネル情報フィードバックユニット203を含む。チャネル情報フィードバックユニット203は、SNRのような推定した、基地局100からユーザ端末までのチャネルの情報を基地局にフィードバックし、チャネル情報記憶ユニット106に記憶する。
【0088】
以下、図4を参照して上記各ユニットの具体的な機能とそれぞれの間の関係を詳細に説明する。
【0089】
図4は、本発明の第2の実施例による資源スケジューリング方法の流れを示す。図4に示すように、ステップS201において、ユーザ端末に送信する下りパケットが基地局100に送信されると、基地局100は、パケットに付加されているユーザ端末識別子に基づいて、各ユーザ端末に設置した業務バッファユニット107の対応する業務バッファ領域に格納する。
【0090】
ステップS202において、スケジューリング時刻tの開始時に、バッファ管理ユニット104は、業務バッファユニット107における各ユーザ端末のバッファ情報に基づいて、現在時刻において業務バッファに送信予定データを有するユーザ端末を集合Sに構成する。資源のスケジューリングを行うときに、集合Sにおけるユーザ端末だけが考慮される。N個の物理資源ブロックに1、2、…、Nのように番号を振り、順に割り当てを行う。
【0091】
ステップS203において、資源スケジューリングユニット103は、集合Sにおけるすべてのユーザ端末が現在割り当てられた物理資源ブロックnにおけるスケジューリング優先度を計算する。ここで、スケジューリング優先度の計算は上記第1の実施例の記載と同一のため、詳細な説明を省略する。
【0092】
ステップS204において、資源スケジューリングユニット103は、該物理資源ブロックに優先度が最高のユーザ端末
【数43】
を見つけ出し、物理資源ブロックnを該ユーザ端末に割り当て、資源スケジューリング結果を資源割り当て記録ユニット102に通知する。
【0093】
ステップS205において、バッファ管理ユニット104は、ユーザ端末kのバッファにおけるデータ量を公式(1)に従い更新する。また、資源割り当て記録ユニット102は、ユーザ端末kが現在時刻に取得した総資源量のサイズ
【数44】
を公式(2)に従い更新する。
【0094】
ステップS206において、ユーザ端末kのバッファ領域にデータ量が0であるか否かを判断する。バッファ管理ユニットに記録されているユーザ端末kのバッファにおけるデータ量が0であると、ステップS207において、ユーザ端末kを集合Sから削除する。そして、ステップS208において、集合Sがヌルであるか否かを判断する。
【0095】
ヌルでない又はユーザ端末kのデータ量が0でない場合、次の物理資源ブロックをターゲットとし、該物理資源ブロックが最後の物理資源ブロックであるか否かを判断する。
【0096】
最後の物理資源ブロックでない場合、ステップS203に戻り引き続き実行する。逆であると、ステップS209において該時刻のスケジューリングを終了し、資源割り当て記録ユニット102はスケジューリング結果を符号化して下り制御シグナリングを通して各ユーザ端末に通知する。ロードユニット109は下りスケジューリング情報に各ユーザ端末に割り当てた資源量のサイズ及び割り当てられた資源ブロックの位置基づいて、対応する業務バッファユニット107からパケットを抽出し、対応する物理資源ブロックにロードしてユーザ端末200に送信する。
【0097】
上記資源スケジューリング方法のステップS203において、ユーザ端末のスケジューリング優先度を計算するときに、スケジューリング優先度計算方法の例4〜例6の何れか1つを実施するには、上記下り無線資源スケジューリング実施例のステップS209に対して下記補正を行うことが必要となる。
【0098】
残りの物理資源ブロックがあり、且つ集合
【数45】
となる場合、ステップS203に戻り引き続き実行する。逆であると、該時刻のスケジューリングを終了し、資源割り当て記録ユニット102はスケジューリング結果を符号化して下り制御シグナリングを通して各ユーザ端末に通知する。ロードユニット109は下りスケジューリング情報に各ユーザ端末に割り当てた資源量のサイズ及び割り当てられた資源ブロックの位置基づいて、対応する業務バッファユニット107からパケットを抽出し、対応する物理資源ブロックにロードしてユーザ端末に送信し、公式(14)に示すように
【数46】
を更新する。
【0099】
上述のように、本発明の実施例により、無線通信システムにおけるスケジューリング方法と対応する基地局を提供している。物理資源ブロックの伝送レートとユーザ端末バッファにおけるデータ量との相違により生じた資源の浪費を減少させ、システムにアクセスしたすべてのユーザ端末が要求する最小レートを保証するために、基地局はユーザ端末のチャネル情報、バッファ状態情報及びレート制御情報に基づいて、各物理資源ブロックにおけるスケジューリング優先度を計算する。該方法は、伝統的なMAX C/IとPF方法と比べ、ユーザ数が比較的に少ないときにシステムのスループット性能を更に向上させることができ、ユーザ数が比較的に多いときに、ユーザ端末間の公平性とユーザ端末業務の最小レート要求をより保証することができる。
【0100】
以上の記述は、本発明を実現する実施方式に限るものである。本分野の技術者にとって、本発明の範囲を逸脱しない元でのあらゆる補正或いは局部の差し替えは、いずれも本発明の請求項で限定された範囲に属する。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲書の保護範囲を基準とする。
図1
図2
図3
図4