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特許5793301局所的な酸素摂取/かん流の測定装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793301
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】局所的な酸素摂取/かん流の測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20150928BHJP
   A61B 5/05 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   A61B5/08
   A61B5/05 B
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-524942(P2010-524942)
(86)(22)【出願日】2008年9月9日
(65)【公表番号】特表2010-538748(P2010-538748A)
(43)【公表日】2010年12月16日
(86)【国際出願番号】US2008075691
(87)【国際公開番号】WO2009035965
(87)【国際公開日】20090319
【審査請求日】2011年1月19日
(31)【優先権主張番号】60/960,015
(32)【優先日】2007年9月11日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510066972
【氏名又は名称】ケアフュージョン 207,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ワイラー,ノルベルト
【審査官】 石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−534867(JP,A)
【文献】 特表2002−511329(JP,A)
【文献】 特開2000−298044(JP,A)
【文献】 特開2004−174260(JP,A)
【文献】 特開2004−154600(JP,A)
【文献】 特開2006−231012(JP,A)
【文献】 特表平05−507864(JP,A)
【文献】 特表平04−500915(JP,A)
【文献】 特表2002−531207(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/127356(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 − 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における局所的酸素摂取を評価するための装置であり、
呼吸停止法の第1時点で及び前記呼吸停止法の第2時点で局所的肺容積を測定するように構成された電気インピーダンス・トモグラフィ装置、
を含み、
該電気インピーダンス・トモグラフィ装置は、該呼吸停止法の第1時点と前記呼吸停止法の第2時点の局所的肺容積とを比較するようにさらに構成され、前記1時点及び第2時点の局所的肺容積は、局所的酸素摂取を決定するために用いられ、該電気インピーダンス・トモグラフィ装置は、前記患者が第1姿勢であるときの第1姿勢局所的肺容積を決定し、前記患者が第2姿勢であるときの第2姿勢局所的肺容積を決定し、該第2姿勢局所的肺容積を第1姿勢局所的肺容積に比較するようにさらに構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記患者の胴体上部を囲むためのセンサーのアレイをさらに含む、請求項に記載された装置。
【請求項3】
患者における局所的かん流を評価するための装置であり、
呼吸停止法の第1時点及び前記呼吸停止法の第2時点で局所的肺容積を測定するように構成された電気インピーダンス・トモグラフィ装置、
を含み、
該電気インピーダンス・トモグラフィ装置は、該呼吸停止法の第1時点と前記呼吸停止法の第2時点の局所的肺容積とを比較するようにさらに構成され、前記第1時点及び第2時点の局所的肺容積は、局所的かん流を決定するために用いられ、該電気インピーダンス・トモグラフィ装置は、前記患者が第1姿勢であるときの第1姿勢局所的肺容積を決定し、前記患者が第2姿勢であるときの第2姿勢局所的肺容積を決定し、該第2姿勢局所的肺容積を第1姿勢局所的肺容積に比較するようにさらに構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
前記患者の胴体上部を囲むためのセンサーのアレイをさらに含む、請求項に記載された装置。
【請求項5】
患者における局所的酸素摂取を評価するためのシステムであり、
該患者を感知するように構成された電気インピーダンス・トモグラフィ装置であり、
該患者の感知に応答し、信号を転送するように構成されている、ことを特徴とする電気インピーダンス・トモグラフィ装置、
前記信号を受信するように構成された信号プロセッサであり、該信号に応答し、呼吸停止法の第1時点及び前記呼吸停止法の第2時点で局所的肺容積を決定し、該呼吸停止法の第1時点と前記呼吸停止法の第2時点の局所的肺容積とを比較するように構成されたアルゴリズムを含み、該アルゴリズムは、該比較に応答し、局所的酸素摂取を決定するように構成され、該アルゴリズムは、前記患者が第1姿勢であるときの第1姿勢局所的肺容積を決定し、前記患者が第2姿勢であるときの第2姿勢局所的肺容積を決定し、該第2姿勢局所的肺容積を第1姿勢局所的肺容積に比較するようにさらに構成されている、ことを特徴とする信号プロセッサ、及び
該局所的酸素摂取を表示するためのディスプレイ、
を含むシステム。
【請求項6】
前記患者の胴体上部を囲むためのセンサーのアレイをさらに含む、請求項に記載されたシステム。
【請求項7】
患者における局所的かん流を評価するためのシステムであり、
該患者を感知するように構成された電気インピーダンス・トモグラフィ装置であり、
該患者の感知に応答し、信号を転送するように構成されている、ことを特徴とする電気インピーダンス・トモグラフィ装置、
前記信号を受信するように構成された信号プロセッサであり、該信号に応答し、呼吸停止法の第1時点で第1局所的肺容積を決定し、該呼吸停止法の第2時点で、該第1局所的肺容積を第2局所的肺容積に比較するように構成されたアルゴリズムを含み、該アルゴリズムは、該比較に応答し、局所的かん流を決定するように構成され、該アルゴリズムは、前記患者が第1姿勢であるときの第1姿勢局所的肺容積を決定し、前記患者が第2姿勢であるときの第2姿勢局所的肺容積を決定し、該第2姿勢局所的肺容積を第1姿勢局所的肺容積に比較するようにさらに構成されている、ことを特徴おとする信号プロセッサ、及び
該局所的かん流を表示するためのディスプレイ、
を含むシステム。
【請求項8】
前記患者の胴体上部を囲むためのセンサーのアレイをさらに含む、請求項に記載されたシステム。
【請求項9】
患者における局所的酸素摂取を評価するためのシステムであり、
該患者を感知するように構成された電気インピーダンス・トモグラフィ装置であり、前記電気インピーダンス・トモグラフィ装置は、前記患者の感知に応答して信号を転送するよう構成される、電気インピーダンス・トモグラフィ装置、
前記信号を受信するよう構成された信号プロセッサであって、前記信号プロセッサは、
前記患者の肺活量試験中に前記電気インピーダンス・トモグラフィ装置により感知された信号に応答して、肺容量を決定し、
第1の時間に感知された信号に応答して呼吸停止法の第1時点における第1局所的肺容積を決定し、
前記第1局所的肺容積を、第2の時間に感知された信号に応答して前記呼吸停止法の第2時点において決定された第2局所的肺容積と比較し、前記の比較からの決定された肺容積の減少に基づき、1ミリ・リットル毎の血液における酸素量として局所的酸素摂取を決定
前記患者が第1姿勢であるときの第1姿勢局所的肺容積を決定し、前記患者が第2姿勢であるときの第2姿勢局所的肺容積を決定し、該第2姿勢局所的肺容積を第1姿勢局所的肺容積に比較する、
よう構成されたアルゴリズムを有する、信号プロセッサ、
前記局所的酸素摂取を表示するディスプレイ、
を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この非仮出願は、「REGIONAL OXYGEN UPTAKE/PERFUSION MEASURING DEVICE AND METHOD」と題する2007年9月11日に出願された米国仮出願整理番号60/960015号に対して優先権を主張し、その開示は、全体として参照することによりここに組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般的に、患者の肺における酸素摂取及び/又はかん流の測定に関する。さらに具体的には、本発明は、電気インピーダンス・トモグラフィによる肺の局所における酸素摂取量及び/又はかん流の決定及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気インピーダンス・トモグラフィ(EIT)は、患者の部分の伝導性及び誘電率の画像が、その患者の表面で感知される電気的測定から推測される、既知の医用画像技術である。通常、導電性電極は、その患者の皮膚に、対象の領域を取り囲むパターンで付着される。2、3ナノ・アンペア(nA)から数ミリ・アンペア(mA)の単位の小さな交流電流が、一般的にキロ・ヘルツ(kHz)の範囲の周波数でそれらの電極のいくつか又は全てに印加される。その結果生じる電位は測定され、その過程は、いくつかの異なる印加電流の設定において繰り返される。
【特許文献1】米国特許第6,595,211号明細書
【特許文献2】米国特許第7,162,296号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2003−0216664A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2006−0260611A1号明細書
【特許文献5】米国特許出願第2004−0249301A1号明細書
【特許文献6】米国特許第6,370,415号明細書
【特許文献7】米国特許第6,650,924号明細書
【特許文献8】米国特許第6,915,151号明細書
【特許文献9】米国特許第6,015,389号明細書
【特許文献10】米国特許第5,311,878号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、いくつかの実施形態において、患者の肺における局所的な酸素の摂取を決定する装置及び方法を提供する。さらに、体の位置に依存する局所的酸素摂取及び/又はかん流が、本発明の様々な実施形態によって決定されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態は、患者における局所的酸素摂取及び/又はかん流を評価する方法に関する。これにおいて、患者によって吸入された空気の容積が決定され、電気インピーダンス・トモグラフィの方法に従って、呼吸停止法の第1時点に第1局所的肺容量が測定される。その第1局所的肺容量は、その呼吸停止法の第2時点で、第2局所的肺容量に比較される。
【0006】
本発明のもう1つの実施形態は、患者における局所的酸素摂取及び/又はかん流を評価するための装置に関する。その装置は、呼吸停止法の第1時点で、第1局所的肺容量を測定するように構成されている電気インピーダンス・トモグラフィ装置を含む。さらに、その電気インピーダンス・トモグラフィ装置は、呼吸停止法の第2時点で、その第1局所的肺容量を第2局所的肺容量に比較するように構成されている。
【0007】
本発明のさらにもう1つの実施形態は、患者における局所酸素摂取及び/又はかん流を評価するためのシステムに関し、そのシステムは、電気インピーダンス・トモグラフィ装置、信号プロセッサ、及びディスプレイを含む。その電気インピーダンス・トモグラフィ装置は、その患者を感知し、その患者の感知に応答して信号を転送するように構成されている。その信号プロセッサは、信号を受信するように構成されている。その信号プロセッサは、その信号に応答して、呼吸停止法の第1時点で第1局所的肺容量を決定するように構成されたアルゴリズムを含み、その呼吸停止法の第2時点で、その第1局所的肺容量を第2局所的肺容量に比較する。そのアルゴリズムは、その比較に応答して局所酸素摂取及び/又はかん流を決定するように構成されている。そのディスプレイは、局所酸素摂取及び/又はかん流を表示する。
【0008】
従って、本発明のある一定の実施形態は、その詳細な記載がさらに理解されるように、及び本発明の当該技術への貢献がより高く評価されるように、かなり広く概説されている。当然のことながら、本発明のさらなる実施形態が以下に記載され、添付された請求項の対象を形成する。
【0009】
この観点において、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、出願書では、構造の詳細及び以下の記載及び図表において説明される構成要素の配置に限定されていないことは理解されるべきである。本発明は、記載された実施形態以外の実施形態も適応でき、多様な方法において実施され実行されることが可能である。また、当然のことながら、ここで使用される表現及び専門用語、及び要約もまた、説明の目的のためであり、限定するものとして考慮されるべきではない。
【0010】
そのようにして、当業者は、この開示が基づく概念は、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法及びシステムの設計の基盤として、容易に使用されてもよいことを理解することができる。従って、請求項は、本発明の要旨及び範囲から離脱しない限り、そのような均等構造を含むものとして考慮することが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に従って、適切な電気インピーダンス・トモグラフィ(EIT)装置によって走査される患者の斜視図である。
図2】本開示の実施形態に従って、あおむけの位置にある標準患者の全体的な肺酸素摂取の移送インピーダンス(オーム(縦座標))が影響される時間(秒(縦座標))のグラフの一例である。
図3】本開示の実施形態に従って、あおむけの位置にある標準患者の右側の肺酸素摂取の移送インピーダンス(オーム(縦座標))が影響される時間(秒(縦座標))のグラフの一例である。
図4】本開示の実施形態に従って、あおむけの位置にある標準患者の左側の肺酸素摂取の移送インピーダンス(オーム(縦座標))が影響される時間(秒(縦座標))のグラフの一例である。
図5】本開示の実施形態に従って、左側に横向きの位置にある標準患者の全体的な肺酸素摂取の移送インピーダンス(オーム(縦座標))が影響される時間(秒(縦座標))のグラフの一例である。
図6】本開示の実施形態に従って、左側に横向きの位置にある標準患者の右側の肺酸素摂取の移送インピーダンス(オーム(縦座標))が影響される時間(秒(縦座標))のグラフの一例である。
図7】本開示の実施形態に従って、左側に横向きの位置にある標準患者の左側の肺酸素摂取の移送インピーダンス(オーム(縦座標))が影響される時間(秒(縦座標))のグラフの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の様々な実施形態は、電気インピーダンス・トモグラフィ(EIT)技術を使用し、肺の局所的なガス含有量を感知し解析する。この解析に基づいて、酸素の局所的摂取が計算され、局所的な肺かん流が推定される。非侵襲性のリアルタイムの患者の肺かん流が、その患者の肺の局所において推定されることは、少なくとも1つの実施形態の利点である。
【0013】
本発明の実施形態は、換気の局所的分配の評価に使用されてもよく、さらに、患者の肺における局所的かん流の評価にも使用されてよい。その上、本発明の実施形態は、換気の分配とかん流とを適合させることに使用される上で、有利である。他の形式で述べれば、患者の局所的かん流が評価されてもよいということである。特定の例において、患者の肺の局所的かん流容量又は局所的能力が、評価又は決定されてもよく、その患者の姿勢は、換気を最適化するように調整されてもよい。
【0014】
肺における酸素摂取は、換気及びかん流に依存する。急性肺損傷において、病気の経過は、その肺において大きく不均一に分配されることが知られている。換気‐かん流不適合による低酸素症は、これらの患者において最も重症の合併症である。治療は、換気に関する戦略に主に依存し(PEEP、LE比、自発呼吸などを可能にする補助換気など)、肺に損傷を与えずに換気‐かん流比を改善する。現在、これらの戦略の局所的換気及びかん流に対する影響を臨床で評価することは不可能である。
【0015】
本発明の実施形態は、患者の臨床で、換気戦略の局所的換気及びかん流に対する影響をリアルタイムで評価するシステム、装置及び方法を提供する。局所的かん流の評価における主な目的は、局部的な酸素摂取を、局部的なかん流として使用することである(すなわち、血液が肺胞を流れるとき、それらから酸素を抽出する)。従って、酸素摂取が減少又は中止した場合、この状態は、減少又は中止された血流に起因していると考えられる。上記に示され記載されているように、酸素摂取は、呼吸停止の期間中に、局所的容積変化として測定することができる。酸素摂取を定量化するために、相対的なインピーダンス変化における変化は、例えば肺活量測定、既知のガス量の吸入又は呼気による適切な方法でキャリブレートしてもよい。ある特定の例では、既知の換気装置が患者に息を供給するために使用されてもよく、あるいは患者の息の容積が、適切な流れセンサーのいずれかを使用して測定されてもよい。局所的な酸素摂取を知った上で、ヘモグロビンの混合静脈酸素飽和度及びヘモグロビンの濃度に基づいて、局部的な血流が計算されてもよい。その代わりに、これらの値が関連の評価に対して推定されてもよい。これらの2つの値から、ミリ・リットルの血液における酸素量が、100パーセントの飽和度まで計算されることができる。より高い吸気酸素濃度(好ましい実施形態では100%酸素が使用されている)では、換気された肺領域を流れる血液は、肺を出ると完全に飽和状態になる。
【0016】
肺全体の血流の計算の1例として:混合静脈飽和度70%、Hb濃度12g/dl 酸素摂取200ml/min O2摂取 ml/min;0.12g/ml(Hb濃度)x1.39ml/g(ヘモグロビン結合因子)x(1-0.7)(飽和度の差)と推定される。この例では、血流は4000ml/minである。換気かん流比を評価するために、患者は、100%の酸素で数分間換気される。全体的なEIT換気は、流れセンサー又は換気装置から測定された全体的容積に基づいて見積もるか又はキャリブレートすることができる。この見積もられた全体的なEIT換気から、局所的換気がml/minの単位で計算されてもよい。呼気終末の呼吸停止が、1例において実施されてもよい。他の例では、実質上如何なる時点における呼吸停止も適切である。この呼吸停止から、インピーダンスの減少によって感知される肺容積の減少に基づいて、同じ局所の酸素摂取を測定する。個別の局所からのインピーダンスに対するそれぞれの貢献に基づいて、局所的な換気/かん流比が計算されることは、本発明の実施形態の特定の利点である。肺の健康な自発呼吸を行う対象物に対して実施された研究は、局所的酸素摂取及びそれに続いてかん流に対して姿勢が及ぼす影響を容易に論証した。
【0017】
本発明の実施形態は、ここで、図を参照しながら説明され、類似の参照符号は、全体において類似の部分を示す。図1に示されるように、EIT装置10は、センサーのシリーズ12a‐12n及び計算/表示ユニット14を含む。センサー12a‐12nは、患者に対して配置され、センサー12a‐12nにおける患者のインピーダンスを決定するために制御される。特定の例において、EIT装置10は、16のセンサー12a‐12nを含み、多周波数信号を発し、解析するように構成されている。しかし、他の例では、適切なEIT装置は、より少ない又はより多くのセンサー12a‐12nを含んでもよく、多周波数信号を発し、解析してもよく、あるいは発しなくてもよく、解析しなくてもよい。一般的に知られているように、EIT手順の間、1つ又はそれ以上のセンサー12a‐12nが信号を発し、残りのセンサー12a‐12nが、その信号のインピーダンスを感知してもよい。人体の流体及び組織は、これらの信号に異なったレベルのインピーダンスを提供し、空気はそれらの信号に、高いインピーダンスを提供する。多数のそのような信号は、通常、患者を撮像するために十分なデータを発するように使用される。この方法では、その患者の中の空気の容積が決定されてもよい。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施形態に従って、EIT装置10は、局所的酸素摂取の測定のためのEITデータを評価するためにアルゴリズム16を含む。そのアルゴリズム16は、測定された呼吸容積を使用し、容積変化に対するEIT信号を見積もるように構成されている。アルゴリズム16はさらに、呼吸停止の間にEITが測定した容積における変化を使用し、かん流から肺の局所への酸素摂取を計算するように構成されている。つまり、患者の呼吸は停止されるか、あるいはその患者は適切な期間の間、呼吸を停止するように指導される。適切な呼吸停止の期間の例は、60秒、100秒、120秒などを含む。その期間の正確な長さは重要ではない。呼吸停止法の間、肺容積の減少はいずれも酸素摂取に起因すると考えられる。酸素摂取量は、肺の個別の局所及び全体の酸素摂取量においても決定されることは、本発明の実施形態の利点である。センサー12a‐12nの配置によって、その局所は、右側/左側の肺、上部/真ん中/下部の肺などを含む。特定の例において、図1に示されるEIT装置10は、左側及び右側の肺における酸素摂取を決定するために使用されてもよい。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に従って、仰向けの位置における標準の患者に対する全体的な肺酸素摂取の移送インピーダンス(オームで示される(縦座標))が影響される時間(秒で示される(横座標))のグラフの例である。図2に示されるように、トレース図(tracing)は、自発的又は潮の呼吸20aの段階から始まる。特に、4つの呼吸が、吸入イベント22及び呼気イベント24によって中断される潮の呼吸20aにおいて示される。トレース図は、完全な呼気32で始まり完全な吸入34まで続き、完全な呼気34で終了する肺活量(VC)演習30aを次に示す。次に、潮の呼吸20b、VC演習30b、及び潮の呼吸20cが続き、無呼吸段階40が、完全な呼気42そして吸入44に続いて始まる。無呼吸段階40は、適切な間に実施される呼吸停止を含む。顕著であるのは、その無呼吸段階40は、トレース図において44ポイントから46ポイントまで進む呼吸停止演習によって特徴付けられることである。この期間中に、インピーダンス、及び、従って肺容積は、減少することが示される。この容積における減少は、その肺における酸素摂取に起因すると考えられる。酸素摂取それ自体は、肺かん流の指標であることから、そこを流れる血流の指標である。
【0020】
アルゴリズム16は、トレース図上でポイント44からポイント46までの肺容積における変化を決定し、その容積における変化に基づいて酸素摂取を計算する。図2に示される特定の例において、患者の肺活量は、5.3リットル(l)であり、酸素摂取は、393毎分ミリ・リットル(ml/min)であり、かん流は、(Sv:70%)、Hb:12g/dl:毎分7.8リットル(l/min)である。
【実施例2】
【0021】
図3は、本発明の実施形態に従って、仰向けの姿勢にある標準の患者における右側の肺の酸素摂取の移送インピーダンス(オームで示される(縦座標))が影響される時間(秒で示される(横座標))のグラフの例である。図3に示されるように、トレース図は、図2のトレース図に比較して類似したパターンに従う。特に、図3に示されるトレース図は、潮の呼吸段階20a‐20c、VC演習30a及び30b及び無呼吸段階40を含む。注目すべきは、そのトレース図は、右側の肺は、肺の全体的な酸素摂取の50%よりもわずかに多くの割合を占めることである。具体的には、その酸素摂取は、226ml/minと計算され、かん流(Sv:70%、Hb:12g/dl)は、4.5l/minである。
【実施例3】
【0022】
図4は、本発明の実施形態に従って、仰向けの姿勢にある標準の患者における左側の肺の移送インピーダンス(オームで示される(縦座標))が影響される時間(秒で示される(横座標))のグラフの例である。図4に示されるように、トレース図は、図2及び3のトレース図に比較して類似したパターンに従う。この場合もまた、図4に示されるトレース図は、潮の呼吸段階20a‐20c、VC演習30a及び30b、及び無呼吸段階40を含む。注目すべきは、トレース図は、左側の肺が、肺の全体的な酸素摂取の50%よりもわずかに少ない割合を占めることである。具体的には、その酸素摂取は、167ml/minであると計算され、かん流(Sv:70%、Hb:12g/dl)は、3.3l/minである。この右側に比べてわずかに減少した左側の肺の酸素摂取は、右側と左側の肺とのサイズの相違に一致する。
【0023】
図2、3、及び4に示されるトレース図は、一般的に、肺の標準又は対照条件を説明する。これらのトレース図を他と比較することによって、顕著である如何なる相違も、患者における潜在的問題又は病状を診断するために使用されてもよい。さらに、これらの測定を様々な患者の位置で実施することによって、位置に依存する酸素摂取及び/又は肺かん流が決定されてもよい。以下の図5、6、及び7において、標準の男性患者が左側の横向きの姿勢の間に測定されている。
【実施例4】
【0024】
図5は、本発明の実施形態に従って、左側に横向きの姿勢にある標準の患者における全体的な肺の酸素摂取の移送インピーダンス(オームで示される(縦座標))が影響される時間(秒で示される(横座標))のグラフの例である。図5に示されるように、トレース図は、図2のトレース図に比較して類似したパターンに従う。この場合もまた、図5に示されるトレース図は、潮の呼吸段階20a‐20c、VC演習30a及び30b、及び無呼吸段階40を含む。さらに、図5は、VC演習30bの間にキャリブレートされた容積キャリブレーション36を含む。様々な実施形態に従って、容積キャリブレーション36は、例えば、肺活量測定法又は他のそのような肺機能処置を通した如何なる適切な方法で実施されてもよい。容積キャリブレーションは、基本的にその処置の間に実施してもよく、VC演習の間に実施する必要はない。
【0025】
もう1つの例において、容積キャリブレーションは、完全な呼気42に始まれ完全な吸入44で終わる無呼吸段階40の直前に実施されてもよい。さらに、そのテストは、実質的に呼吸のどの時点で実施してもよい。つまり、無呼吸段階40は、完全な呼気42と完全な吸入44との間の如何なる時点で実施されてもよい。そのように、テストは、完全な吸入演習を実施することが出来ない又は実施しないようにアドバイスされている患者に対して実施してよい。
【0026】
図5においてさらに示されているように、トレース図は、無呼吸段階40の間にトレース図の傾斜を指定しているライン48を含む。そのライン48は、アルゴリズム16によって決定されたように計算された「ベストフィット」に沿って横たわる。さらに、容積における変化率の他の数学的モデルも、アルゴリズムに使用されてもよい。このライン48は、一般的に、無呼吸段階40の間における肺又は肺の局所における容積の平均減少を示し、酸素摂取を計算するために使用されてもよい。その容積キャリブレーション36に基づいて決定された値及びトレース図は以下の通りである:容積キャリブレーションは5.4lである;酸素摂取は、421ml/minであると計算され、かん流(Sv:70%、Hb:12g/dl)は、8.4l/minである。図2に示される仰向けの姿勢にある標準の男性に対する全体的な値に比較し、図4のこれらの値は、非常に類似している。しかし、図6及び7に示されるように、右側及び左側の肺に対する局所的又は個別の値は、姿勢によって際立って異なる。
【実施例5】
【0027】
図6は、本発明の実施形態に従って、左側に横向きの姿勢にある標準の患者における右側の肺の酸素摂取の移送インピーダンス(オームで示される(縦座標))が影響される時間(秒で示される(横座標))のグラフの例である。図6に示されるように、トレース図は、図5のトレース図にいくらか類似したパターンに従う。例えば、図6において示されるトレース図は、潮の呼吸段階20a‐20c、VC演習30a及び30b、及び無呼吸段階40を含む。図6のトレース図は、また、ライン48の傾斜に関して図5から大きく異なっている。ほぼ水平のライン48は、比較的低い酸素摂取を示している。具体的には、酸素摂取は、39ml/minであると計算され、かん流(Sv:70%、Hb:12g/dl)は、0.8l/minである。この強く減少した酸素摂取は、図7において示される酸素摂取の強い増加によって相殺されている。この現象は、血液の重力的に誘導される肺の下部(左側)への流れにある程度起因していると考えられる。
【実施例6】
【0028】
図7は、本発明の実施形態に従って、左側に横向きの姿勢にある標準の患者における左側の肺の酸素摂取の移送インピーダンス(オームで示される(縦座標))が影響される時間(秒で示される(横座標))のグラフの例である。図7に示されるように、トレース図は、図5のトレース図にいくらか類似したパターンに従う。例えば、図7において示されるトレース図は、潮の呼吸段階20a‐20c、VC演習30a及び30b、及び無呼吸段階40を含む。注目すべきは、図7のトレース図は、ライン48の傾斜に関して、図6のトレース図と大きく異なっていることである。図6のほぼ水平のライン48は、図7において示される強く傾斜しているライン48に対比して標識が付けられている。図7におけるライン48は、比較的高い酸素摂取を示している。具体的には、酸素摂取は、382ml/minであると計算され、かん流(Sv:70%、Hb:12g/dl)は、7.6l/minである。この場合もまた、この現象は、血液重力によって誘導される肺の下部(左側)への流れにある程度起因していると考えられる。
【0029】
本発明の多くの特徴及び利点は、詳細な記載から明らかになることから、添付されている請求項は、本発明の真の要旨及び範囲内に含まれる特徴及び利点を含むことを目的としている。さらに、多数の修正及び変形型が、当業者にとって容易に明確であることから、本発明が、説明及び記載された正確な構成及び操作に限定されることは望まれていないことから、全ての適切な修正及び均等物は、本発明の範囲内に含まれるものとして使用されてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7