特許第5793317号(P5793317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793317
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-39664(P2011-39664)
(22)【出願日】2011年2月25日
(65)【公開番号】特開2012-176045(P2012-176045A)
(43)【公開日】2012年9月13日
【審査請求日】2013年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】小池 敦
(72)【発明者】
【氏名】大熊 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】古都 将啓
(72)【発明者】
【氏名】伊東 謙一
(72)【発明者】
【氏名】小林 竜也
(72)【発明者】
【氏名】井本 武臣
(72)【発明者】
【氏名】橋本 賢慶
【審査官】 森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−119700(JP,A)
【文献】 特開2007−215606(JP,A)
【文献】 特開2010−273742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動表示ゲームを表示する表示手段と、
前記変動表示ゲームの大当たりおよびはずれの抽選を行い、前記変動表示ゲームの大当たりおよびはずれを決定し、かつ、前記変動表示ゲームの演出表示をパターン化した複数の変動パターンから大当たりおよびはずれの前記抽選結果に対応して設定された抽選確率で1つの前記変動パターンを選択する抽選を行い、前記変動表示ゲームの大当たり時またははずれ時の前記変動パターンを決定する主制御手段と、
前記主制御手段で決定された前記変動表示ゲームの大当たりもしくははずれの結果と前記変動パターンに基いて、前記変動表示ゲームの演出表示を制御する副制御手段とを備え、
前記副制御手段は、前記変動表示ゲーム中に、当該変動表示ゲームの大当たりもしくははずれの結果が表示される前に、当該変動表示ゲームの大当たりになる可能性の度合いを示唆する複数種類の予告演出を実行させる予告演出制御手段を有し、
前記予告演出制御手段は、前記予告演出の種類毎に、当該予告演出をパターン化するとともに、前記予告演出により示唆される前記変動表示ゲームが大当たりになる可能性の度合いに応じて設定された複数の予告演出パターンが記憶された予告演出パターン記憶手段と、
前記主制御手段に決定された前記変動表示ゲームの大当たり時またははずれ時の前記変動パターンに基づいて、各種類の前記予告演出毎に、前記予告演出パターン記憶手段に記憶された複数の前記予告演出パターンから1つの前記予告演出パターンを抽選で選択する予告演出パターン抽選手段とを有し、
かつ、前記予告演出パターン抽選手段で選択された前記予告演出パターンに基いて前記変動表示ゲーム中に前記予告演出を実行させる遊技機において、
前記予告演出パターン抽選手段は、前記変動表示ゲームの大当たりになる可能性の度合いに基いて複数設定されたモードを記憶したモード記憶手段と、
前記主制御手段で決定された前記変動表示ゲームの大当たり時またははずれ時の前記変動パターンに対応して、前記モード記憶手段に記憶された複数の前記モードから1つの前記モードを抽選で選択する際に用いられ、かつ、各変動パターンに対応して前記モード毎に抽選確率が設定されたモード選択テーブルを記憶したモード選択テーブル記憶手段と、
前記予告演出の種類毎に、複数の前記予告演出パターンから1つの前記予告演出パターンを抽選で選択する際に用いられ、前記予告演出の種類毎に設けられるとともに、各モードに対応して前記予告演出パターン毎に抽選確率が設定された予告演出パターン選択テーブルを記憶した予告演出パターン選択テーブル記憶手段と、
前記モード選択テーブル記憶手段に記憶された前記モード選択テーブルを用い、前記主制御手段で決定された前記変動パターンに対応して、複数の前記モードから1つの前記モードを抽選で選択するモード抽選手段と、
前記予告演出パターン選択テーブル記憶手段に記憶された前記予告演出パターン選択テーブルを用い、前記予告演出の種類毎に、前記モード抽選手段で選択された前記モードに対応して、複数の前記予告演出パターンから1つの前記予告演出パターンを抽選で選択する予告演出パターン抽選手段とを備え、
前記予告演出パターン選択テーブルでは、前記変動パターンに関係なく、前記モードに対応して前記予告演出パターンの抽選確率が設定されていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店などの遊技場に設置して使用される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なパチンコ遊技機として、所謂デジパチと呼ばれるものが知られている。
デジパチと称されるパチンコ遊技機においては、遊技球が打ち込まれて流下する遊技盤面に形成された遊技領域に始動入賞口が設けられ、当該始動入賞口に遊技球が入賞することに基いて、内部の主基板側の制御装置において、大当たり、はずれ(小当たりを含む場合がある)の抽選が行われ、抽選で大当たりになると遊技領域に設けられたアタッカが開放して、アタッカに遊技球が入賞可能になる大当たり状態になる。
【0003】
また、この抽選により当否は、パチンコ遊技機に設けられた液晶ディスプレイ等からなる可変表示装置に表示される変動表示ゲームの結果として遊技者に報知される。変動表示ゲームは、例えば、識別情報としての複数の装飾図柄(例えば、数字を図柄化したもの)を複数組表示するもので、各組の複数の装飾図柄を順次切り替えるように移動しながら表示する変動表示を行った後に、各組毎に一つから三つ程度の装飾図柄を停止表示し、これら装飾図柄の組み合わせに所定の組み合わせとして、例えば、各組とも同じ図柄が表示された場合に上述の抽選の大当たりを報知するものになる。停止表示時に上述のような所定の装飾図柄の組み合わせが表示されていない場合にははずれを報知するものになる。
【0004】
上述の変動表示ゲームにおいては、一般的に、順番に各組の装飾図柄が変動表示された状態から停止表示された状態に移行する。この際に、上述のように大当たりになる装飾図柄の表示が各組で全て同じ装飾図柄が表示される場合とすると、各組で停止表示される装飾図柄の組み合わせにおいて、変動表示されている各組の図柄を停止表示していく際に、全ての組の装飾図柄が停止表示される前にはずれが確定する場合と、最後に停止表示される装飾図柄が確定するまで大当たりになる可能性が残っている場合とがあることになる。後者の場合をリーチと称し、最後に停止される組の装飾図柄が変動表示されている間にリーチ演出を行うようになっている。
【0005】
リーチ演出には、そのまま最後の組の装飾図柄を変動表示した後に停止表示するノーマルリーチ演出と、アニメーション等の動画によりキャラクタに勝ち負けや当たりはずれがあるようなプレイ(ゲーム)を表示し、その結果勝った場合(当たった場合)に最後に装飾図柄が停止された際に大当たりの停止表示になるスーパーリーチ演出とがある。また、スーパーリーチ演出には、さらに稀にしか表示されないプレミアムリーチ演出がある。
【0006】
変動表示ゲームの演出表示としては、上述のリーチ演出がメインになるが、それに加えて、変動表示ゲームにおいて、リーチ(スーパーリーチ)になるか否かや大当たりになるか否かを予告する予告演出が行われるのが一般的である(例えば、特許文献1,2参照)。
この予告演出が行われた場合に、必ずリーチや大当たりになるわけではなく、予告演出が行われない場合よりも、リーチや大当たりになる確率が高いことを示すものになっている。
【0007】
なお、リーチを予告する演出は、リーチになる前に表示され、スーパーリーチを予告する演出は、上述のアニメーション等のスーパーリーチ演出が行われる前に行われる。大当たりを予告する予告演出は、変動表示が終わる前に行われる。
また、ノーマルリーチを予告する予告演出後に、ノーマルリーチではなく、スーパーリーチになる場合もあり、かつ、ノーマルリーチや、スーパーリーチを予告する予告演出後に大当たりになる場合もある。
【0008】
変動表示ゲームの演出は、変動パターンとしてパターン化されており、設定された多くの変動パターンから一つの変動パターンを選択することにより行われる。この際には、例えば、変動パターンとして設定された変動表示ゲームの表示に基いて記憶された画像データ等から表示データを作成して表示する。
【0009】
この変動パターンには、リーチにならないはずれの変動パターンと、ノーマルリーチを含む各リーチ演出になるはずれの変動パターンと、ノーマルリーチを含む各リーチ演出になる大当たりの変動パターンとがある。これらの変動パターンは、抽選で決定されるが、例えば、はずれの場合と、大当たりの場合とに分けられ、大当たりの場合には、さらに大当たりの種類毎に分けられ、それぞれ変動パターンが設定される。なお、リーチ演出の変動パターンは、基本的に、はずれの場合と、大当たりの場合とで同じ種類もしくは極めて近似する種類があり、同じリーチ演出もしくは極めて近似するリーチ演出が行われても、はずれになる場合と、大当たりになる場合とがあるようになっている。
【0010】
また、予告演出表示も、基本的にパターン化されている。通常、予告演出表示は、複数種類ものが同時に表示可能に行われる。また、予告演出には、可変表示装置を用いた表示演出だけではなく、パチンコ遊技機に設けられた演出用の可動役物を動作させて予告演出を行うものも知られている。この場合に、可動役物の動作に連動するように、可変表示装置で予告演出表示が行われるものも知られている。
【0011】
また、各予告演出表示の種類毎に、複数の予告演出パターンが設定されており、各予告演出パターン毎に、リーチや大当たりになる信頼度(期待値)が異なるものになっており、例えば、大当たりを予告する一つの種類の予告演出表示には、例えば、背景の色やキャラクタの種類などによって大当たりになる信頼度が異なるものになっている。
特に、ステップアップ予告と呼ばれる予告演出表示では、例えば、表示されるキャラクタの服装や動作や同時に表示される別のキャラクタ等で表示が例えば5段階ぐらいに分かれており、予告演出パターンによって、1段階目までの予告演出パターン、2段階目までの予告演出パターン、〜、5段階目までの予告演出パターンのいずれか表示され、表示される段階が高いほど大当たりの期待値が高くなる。
【0012】
このような予告演出表示は、基本的に各種類の予告演出表示を同時に表示可能で、予告演出表示の各種類において、一つの予告演出パターンだけが抽選で選択されて表示される。なお、予告演出パターンには予告演出表示を行わないものも含まれる。言い換えれば、予告演出表示の抽選結果には、予告演出表示を行わない場合が含まれる。
なお、各予告演出表示毎の予告演出パターンの抽選においては、予告演出表示毎のデータテーブルと、抽選用の乱数とが用いられる。例えば、乱数は、所定範囲の数値(たとえば0〜255)から一つが選択されて決定される。データテーブルには、上述の所定範囲の数値である判定値と、その種類の予告演出表示の全ての予告演出パターンとが対応付けられている。
【0013】
たとえば、予告演出パターンが1〜5まである場合に、データテーブルにおいては、予告演出パターン1に0〜99までの判定値が割り付けられ、予告演出パターン2に100〜219までの判定値が割り付けられ、予告演出パターン3に220から239までの判定値が割り付けられ、予告演出パターン4に240〜254までの判定値が割り付けられ、予告演出パターン5に255が割り付けられる。なお、予告演出パターン1は、予告演出表示を行わない予告演出パターンであり、この予告演出パターンが選択されるとその種類の予告演出表示は行われない。
【0014】
各予告演出パターンが選択される抽選確率は、割り付けられた判定値の個数を乱数になる数位範囲に含まれる全ての整数の数で除算したものになる。したがって、上述のデータテーブルでは、予告演出が行われない予告演出パターン1を除くと、予告演出パターン2から予告演出パターン5に向って抽選確率が低くなるように設定されている。
なお、各予告演出パターンの期待値は、例えば、大当たりの予告演出表示の場合に、基本的に大当たりでの抽選確率が高く、はずれでの抽選確率が低い場合に高くなる。なお、抽選確率の高低は相対的なもので、例えばはずれでの抽選確率が0ならば、大当たりでの抽選確率が0でなければ100%大当たりになる期待値が最高の予告演出表示になる。
【0015】
したがって、大当たり予告の予告演出表示の抽選用のデータテーブルは、少なくともはずれ用と大当たり用とを必要とする。
実際には、例えば、リーチの種類によっても、各予告演出パターンの抽選確率を変更したり、リーチの種類によって、特定の予告演出パターンが出現する場合と出現しない場合とを設定したりするので、基本的に変動パターン毎にデータテーブルを必要とする。なお、変動パターンには、上述のようにはずれの変動パターンと大当たりの変動パターンがあるので、これにより、大当たりの場合とはずれの場合とで異なるデータテーブルが用いられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3481194号公報
【特許文献2】特開2005−211487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、変動パターン毎に複数種類の予告演出表示を組み合わせて表示可能で、かつ、各種類の予告演出表示では、複数の予告演出パターンから選択された予告演出パターンを選択可能なことから、変動表示ゲームで表示可能な演出は極めて多彩なものになる。
しかしながら、例えば、各変動パターン毎に、複数の種類の予告演出表示毎のデータテーブルが必要になり、データテーブルの数も膨大なものになる。
【0018】
また、上述の予告演出表示の種類は階層的になっている場合があり、互いに同時に表示可能なメインの種類の下層に、互いに同時に表示されないサブの種類が設定されている場合がある。また、ステップアップ予告の段階も直線的な段階ではなく、枝分かれして段階が設定されている場合もある。
これらのことを考慮してデータテーブルを作成すると、データテーブルの数が増えたり、データテーブルの内容が煩雑になる。
【0019】
また、データテーブルの数が多すぎると、そのためにROM等のメモリの容量を増加させる必要があり、コスト増になるという問題がある。
また、データテーブルは、パチンコ遊技機の制御プログラムを開発する際に、例えば、各予告演出表示の各予告演出パターンの出現率や期待値による演出効果等を考慮して作成されるの、データテーブルの数が多いと、その作成やチェック等に多くの人と時間を必要とし、パチンコ遊技機の開発コストの増加の要因になる。
【0020】
また、大当たり予告用の予告演出表示の場合には、上述のようにはずれのデータテーブルと大当たりのデータテーブルとで抽選確率を異なるように設定することによって、期待値が決まる。したがって、データテーブルを作成する際には、期待値が遊技者に与える心理的な効果等を考慮して各データテーブルにおける各予告演出パターンの抽選確率が設定されるが、大当たりの各変動パターンと、はずれの各変動パターンとでそれぞれデータテーブルに登録される各数値を設定している際に、これらの設定を人がしていることによって、大当たりの場合の出現率が高めになったり、はずれの場合に出現率が低めになってしまうようなことがある。
【0021】
すなわち、各変動パターン毎に差をつけながらデータテーブルを設定していることから大当たりの場合の各予告演出パターンの出現率や、はずれの場合の各予告演出パターンの出現率に偏りが生じてしまい、例えば、期待値の高い予告演出パターンが、大当たりになる変動表示ゲームにのみ偏って出現し易くなってしまうような設定になり易い。この場合に、期待値は、想定されたものよりもさらに高いものになってしまい、予告演出の演出的効果が想定したものと異なるものになってしまう。
【0022】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、変動表示ゲーム中に出現する予告演出表示の抽選確率を設定するデータテーブルの数を減少することができ、かつ、各予告演出表示の予告演出パターンが出現した際の期待値を容易に設定可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
請求項1に記載の遊技機は、変動表示ゲームを表示する表示手段と、
前記変動表示ゲームの大当たりおよびはずれの抽選を行い、前記変動表示ゲームの大当たりおよびはずれを決定し、かつ、前記変動表示ゲームの演出表示をパターン化した複数の変動パターンから大当たりおよびはずれの前記抽選結果に対応して設定された抽選確率で1つの前記変動パターンを選択する抽選を行い、前記変動表示ゲームの大当たり時またははずれ時の前記変動パターンを決定する主制御手段と、
前記主制御手段で決定された前記変動表示ゲームの大当たりもしくははずれの結果と前記変動パターンに基いて、前記変動表示ゲームの演出表示を制御する副制御手段とを備え、
前記副制御手段は、前記変動表示ゲーム中に、当該変動表示ゲームの大当たりもしくははずれの結果が表示される前に、当該変動表示ゲームの大当たりになる可能性の度合いを示唆する複数種類の予告演出を実行させる予告演出制御手段を有し、
前記予告演出制御手段は、前記予告演出の種類毎に、当該予告演出をパターン化するとともに、前記予告演出により示唆される前記変動表示ゲームが大当たりになる可能性の度合いに応じて設定された複数の予告演出パターンが記憶された予告演出パターン記憶手段と、
前記主制御手段に決定された前記変動表示ゲームの大当たり時またははずれ時の前記変動パターンに基づいて、各種類の前記予告演出毎に、前記予告演出パターン記憶手段に記憶された複数の前記予告演出パターンから1つの前記予告演出パターンを抽選で選択する予告演出パターン抽選手段とを有し、
かつ、前記予告演出パターン抽選手段で選択された前記予告演出パターンに基いて前記変動表示ゲーム中に前記予告演出を実行させる遊技機において、
前記予告演出パターン抽選手段は、前記変動表示ゲームの大当たりになる可能性の度合いに基いて複数設定されたモードを記憶したモード記憶手段と、
前記主制御手段で決定された前記変動表示ゲームの大当たり時またははずれ時の前記変動パターンに対応して、前記モード記憶手段に記憶された複数の前記モードから1つの前記モードを抽選で選択する際に用いられ、かつ、各変動パターンに対応して前記モード毎に抽選確率が設定されたモード選択テーブルを記憶したモード選択テーブル記憶手段と、
前記予告演出の種類毎に、複数の前記予告演出パターンから1つの前記予告演出パターンを抽選で選択する際に用いられ、前記予告演出の種類毎に設けられるとともに、各モードに対応して前記予告演出パターン毎に抽選確率が設定された予告演出パターン選択テーブルを記憶した予告演出パターン選択テーブル記憶手段と、
前記モード選択テーブル記憶手段に記憶された前記モード選択テーブルを用い、前記主制御手段で決定された前記変動パターンに対応して、複数の前記モードから1つの前記モードを抽選で選択するモード抽選手段と、
前記予告演出パターン選択テーブル記憶手段に記憶された前記予告演出パターン選択テーブルを用い、前記予告演出の種類毎に、前記モード抽選手段で選択された前記モードに対応して、複数の前記予告演出パターンから1つの前記予告演出パターンを抽選で選択する予告演出パターン抽選手段とを備え、
前記予告演出パターン選択テーブルでは、前記変動パターンに関係なく、前記モードに対応して前記予告演出パターンの抽選確率が設定されていることを特徴とする
【0024】
請求項1に記載の発明においては、副制御手段が、主制御手段で決定された変動パターンに対応して予告演出表示用の予告演出パターンを選択する際に、決定された変動パターンに対して、複数種類の予告演出毎に抽選で予告演出パターンを決定するのではなく、変動パターンからモードを介して予告演出パターンを抽選で選択するようになっている。
【0025】
副制御手段では、変動パターン毎にモードを抽選で選択するためのモード選択テーブルが記憶されている。モード選択テーブルでは、複数のモードから一つのモードを抽選で選択する際の抽選確率が設定されており、このモード選択テーブルを用いることによって、複数のモードから一つのモードが選択可能になっている。
【0026】
モードは、変動表示ゲームの当たりになる可能性の度合い(期待値)に基いて複数設定されている。すなわち、当たりになる可能性が高いことを示すモードから低いことを示すモードまで、複数のモードが設定されている。
【0027】
例えば、当たり(大当たり)の変動パターンに対応するモード選択テーブルでは、当たりになる可能性が高いことを示すモードの抽選確率が高く、当たりになる可能性が低いことを示すモードの抽選確率が低く設定されている。また、はずれの変動パターンに対応するモード選択テーブルでは、当たりになる可能性が高いことを示すモードの抽選確率が低く、当たりになる可能性が低いことを示すモードの抽選確率が高く設定されている。
【0028】
また、各モードに対応して、各種類の予告演出毎に予告演出パターン選択テーブルが設定されている。予告演出パターンテーブルには、一つの種類の予告演出に設定された複数の予告演出パターンのそれぞれの抽選確率が設定されており、この抽選確率に基いて抽選で一つの予告演出パターンが選択可能になっている。
したがって、変動パターンが決定されると、その変動パターン用に選定されたモード選択テーブルを用いてモードが抽選で選択されて決定される。次に、決定されたモードに対して各予告演出の種類毎に、予告演出パターン選択テーブルを用いて予告演出パターンが抽選で選択されて決定される。
【0029】
これにより該当する変動表示ゲームにおいては、複数種類の予告演出のそれぞれにおいて決定された予告演出パターンで予告演出が行われる。なお、予告演出パターンには、その種類の予告演出を行なわないパターンも含まれる場合があり、各変動表示ゲームにおいて、毎回設定された全ての種類の予告演出を行うものではない。
【0030】
以上の場合には、データテーブルとしては、変動パターン毎に設けられるモード選択テーブルと、各モード毎でかつ各予告演出の種類毎に設けられた予告演出パターンテーブルとが必要になり、データテーブルの数は、各変動パターンの数に対応するモード選択テーブルの数と、モードの数に予告演出の種類を乗算した数とを合わせたものになる。
それに対して、従来のように変動パターン毎に全ての種類の予告演出の予告演出パターンを決定する場合のデータテーブルの数は、変動パターンの数に、予告演出の種類の数を乗算したものになる。
【0031】
ここで、変動パターンの数に対してモードの数が十分に小さければ、必要なデータテーブル数が減少することになる。現状のデジパチ系のパチンコ遊技機では、リーチの種類が有る程度多く、それに対応して変動パターンが多く、モードを多少多くしてもデータテーブルの数が変動パターン毎に予告演出パターンを抽選で決定する場合よりも少なくなる。
これにより、データテーブルを記憶するための記憶容量を減少させてメモリ容量の減少を図ることによりコストダウンを図ることができる。
また、パチンコ遊技機の開発時の各データテーブルの作成やチェックにかかる時間を削減し、開発コストの低減を図ることができる。
【0032】
また、従来のように各変動パターンに対応してそれぞれ予告演出パターンを選択するためのデータテーブルを作成していく場合に、データテーブルの数が多いことから、各データテーブル間の調整を行うことが困難になり、例えば、当たりの変動パターンでは、多くの種類の予告演出で、期待値の高い予告演出パターンが選択されるのに対して、この当たりの変動パターンと同じ程度の期待値のはずれの変動パターンでは、少しの種類の予告演出でしか期待値の高い予告演出パターンが選択されないようになってしまう場合がある。
【0033】
すなわち、予告演出に対して、各変動パターンによる違いと、各予告演出の種類による違いを出すために、各データテーブルで違いを出そうとした場合に、データテーブルの設定に偏りが生じてしまう虞がある。
以上のことから、当たりの変動パターンに偏って期待値の高い予告演出が行われてしまい、はずれの変動パターンでは、期待値の高い予告演出がほとんど行われないような状況になってしまい、予告演出の期待値が高くなりすぎてしまう虞が有る。
それに対して、本発明では、各変動パターンに対しては、モードを選択するためのデータテーブルしか設けられないので、各変動パターンで違いを出すようにするデータテーブルを設定しても、同じモードが選択されると、同じ予告演出パターン選択テーブルを用いて、予告演出パターンを決定することになり、はすれ変動パターンと当たり変動パターンとで予告演出に極端な偏りが生じるのを防止できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、予告演出をパターン化した予告演出パターンの抽選による選択において、必要とされるデータテーブルの数を削減して、データテーブルの記憶に必要なメモリ量を減少させてコストの低減を図ることができる。また、データテーブルの数を減らせることから、遊技機の開発時にデータテーブルの作成に要する時間とコストを削減することができる。また、データテーブルの数を減らすことによって、データテーブル開発時に、多くデータテーブルで選択される予告演出パターンの抽選確率の設定に偏りが生じるような事態を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤上の遊技領域を示す正面図である。
図2】前記パチンコ遊技機の制御係を示すブロック図である。
図3】前記パチンコ遊技機の主制御部の主制御装置で行われる抽選処理を説明するためのフローチャートである。
図4】前記パチンコ遊技機の副制御部の図柄制御装置で行われる予告演出パターン抽選処理を説明するためのフローチャートである。
図5】はずれの変動パターンのモード選択テーブルの概要を示す図表である。
図6】はずれの変動パターンのモード選択テーブルの概要を示す図表である。
図7】大当たりの変動パターンのモード選択テーブルの概要を示す図表である。
図8】大当たりの変動パターンのモード選択テーブルの概要を示す図表である。
図9】予告演出パターン選択テーブルの概要を示す図表である。
図10】予告演出パターン選択テーブルの概要を示す図表である。
図11】予告演出パターン選択テーブルの概要を示す図表である。
図12】予告演出パターン選択テーブルの概要を示す図表である。
図13】予告演出パターン選択テーブルの概要を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、この実施の形態のパチンコ遊技機は、所謂デジパチと呼ばれる種類のパチンコ遊技機としての基本的な構成を有するものである。
遊技盤1の盤面上の遊技領域2内には、その略中央部に可変表示装置(表示装置)3が設けられている。可変表示装置3は、例えば、液晶表示装置からなるもので、当たり抽選手段として機能する後述の主制御装置14で行われる抽選の各種大当たりおよびはずれの抽選結果を表示するものであり、抽選結果の表示に際し、識別情報としての装飾図柄の変動表示ゲームを表示し、この変動表示ゲームの大当たりおよびはずれによって上述の抽選結果を報知するようになっている。
【0037】
遊技領域2の下部には、第1および第2特図表示器4a,4bが設けられている。第1および第2特図表示器4a,4bは、例えば、7セグのLED表示装置からなる。なお、第1および第2特図表示器4a,4bは、数字を表示可能な7セグの表示装置である必要はなく、例えば、6から8個程度の任意の形状のセグメントが任意の位置に配置されたものでよく、各セグメントの点灯および消灯を個別に制御できるようになっていればよい。第1および第2特図表示器4a,4bは、後述の変動パターンの一部として設定される変動表示時間だけ変動表示(一部のセグメントを点滅表示)した後に特図を停止表示(抽選結果表示)する。
【0038】
ここで、第1および第2特図表示器4a,4bの前記点滅表示後に特図を停止表示する特図の変動表示ゲームを特図ゲームと称する。また、特図ゲームには、第1特図表示器4aで行われる第1特図ゲームと、第2特図表示器4bで行われる第2特図ゲームとがあるが、同時に第1特図ゲームと第2特図ゲームとが行われることがなく、例えば、第1特図ゲームと第2特図ゲームとの両方が開始可能な場合には、第2特図ゲームが先に開始され、開始すべき第2特図ゲームが無い場合にだけ、第1特図ゲームが開始される。
【0039】
可変表示装置3で表示される変動表示ゲームは、実行されている第1特図ゲームもしくは第2特図ゲームに対応したものであり、第1特図ゲームが実行されている際には、この第1特図ゲームと同様の結果になる装飾図柄の変動表示ゲームが表示され、第2特図ゲームが実行されている際には、この第2特図ゲームと同様の結果になる装飾図柄の変動表示ゲームが表示されている。
【0040】
前記可変表示装置3の直ぐ下には、第1始動入賞口52が設けられている。
また、第1始動入賞口52の直ぐ下には第2始動入賞口54を備えた所謂電チューと呼ばれる普通変動入賞装置5が設けられている。
この普通変動入賞装置5は、開閉動作自在な1対の可動片51,51を備え、第2始動入賞口54に遊技球が入賞できないように可動片51,51が閉じた状態(閉状態)と、遊技球が入賞し易くなるように可動片51,51が開いた状態(開状態)との間で変動するようになっている。
【0041】
第1始動入賞口52には、遊技球の入賞を検知する第1始動入賞球検知センサ53a(図2に図示)が設けられており、第1始動入賞球検知センサ53aは、主制御装置14に、遊技球が第1始動入賞口52に入賞した際に第1始動入賞信号を出力する。また、第2始動入賞口54には、遊技球の入賞を検知する第2始動入賞球検知センサ53b(図2に図示)が設けられており、第2始動入賞球検知センサ53bは、主制御装置14に、遊技球が第2始動入賞口54に入賞した際に第2始動入賞信号を出力する。主制御装置14は、第1始動入賞信号の入力(所定の乱数取得条件の成立)に基づいて第1特図ゲーム(変動表示ゲーム)の各大当たりおよびはずれを決める乱数を取得し、第2始動入賞信号の入力(所定の乱数取得条件の成立)に基づいて第2特図ゲーム(変動表示ゲーム)の各大当たりおよびはずれを決める乱数の取得を行う。
【0042】
また、可変表示装置3には、画面の周縁部分に後述の特図保留数の表示が行われる特図保留数表示領域31が設定されている。主制御装置14では、第1始動入賞球検知センサ53aから始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(たとえば4)の範囲内で第1特図保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて特図ゲームおよび変動表示ゲームが開始される場合に、特図保留数から1減算する。この特図保留数が特図保留数表示領域31にマークの数として表示される。同様に、主制御装置14では、第2始動入賞球検知センサ53bから始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(たとえば4)の範囲内で第2特図保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて特図ゲームおよび変動表示ゲームが開始される場合に、特図保留数から1減算する。この特図保留数が特図保留数表示領域31にマークの数として表示される。
【0043】
また、可変表示装置3の下方で、さらに普通変動入賞装置5の下方に、大入賞口61を有する特別変動入賞装置6が設けられている。この特別変動入賞装置6には、いわゆるアタッカとしての構成を有するもので、大入賞口61を開閉する可動扉62が備えられ、通常行われる通常遊技状態では、可動扉62が遊技球を大入賞口61に流入させないように立って閉じた閉状態になり、第1特図ゲームまたは第2特図ゲームの結果が各大当たりになって大当たり状態が発生した場合に遊技球が流入し易いように前に略水平に倒れて開いた開状態になる。特別変動入賞装置6には、その大入賞口61に入賞した遊技球を検知する大入賞球検知センサ63が設けられている。
【0044】
なお、大当たりになった場合には、大当たり状態として、例えば、特別変動入賞装置6が閉塞状態から開放状態になって再び閉塞状態になる開閉動作としての1ラウンドの動作を、所定ラウンド数だけ行うようになっている。パチンコ遊技機によって異なる場合があるが、例えば、大当たり状態では、所定ラウンド数が10〜16程度になっている。なお、ラウンド数は、大当たりの種類によって異なる場合がある。
また、特別変動入賞装置6は、いわゆる突確、突時、潜確等の大当たりに対応する大当たり状態では、2ラウンドだけの動作を行うものになっており、これらを2ラウンド当たりと称する。大当たり状態における特別変動入賞装置6の制御は、当たり状態制御手段としての主制御装置14が行う。
【0045】
可変表示装置3の左側方には、普通図柄(普図と略す)始動口(スルーチャッカー)7が設けられている。また、普図始動口7に対応して、普図始動口7内を通過した遊技球を検知する通過球検知センサ71が設けられ、通過球検知センサ71は遊技球を検知すると主制御装置14に通過球検知信号を出力する。当該通過球検知信号の入力に基づいて主制御装置14は、普通変動入賞装置5を開状態とする当たりと、普通変動入賞装置5を閉状態のままとするはずれとを抽選する普図抽選を行う。なお、この普図抽選の結果は、普図の変動表示ゲーム(以下、普図ゲーム)を普図表示装置8で表示することにより報知される。上述の普図表示装置8の下には、普図保留数表示ランプ9が設けられており、特図保留数と同様に求められる普図保留数が表示される。
【0046】
上述のように、普図ゲームが当たりになった場合に、普通変動入賞装置5が開放し、普通変動入賞装置5(始動入賞口)への遊技球の入賞率が高まり、特図ゲームの開始機会が増加するようになっている。なお、このパチンコ遊技機では、普通変動入賞装置5が開放した場合にだけ、第2始動入賞口54に遊技球が入賞可能になり、第2特図ゲームの開始機会が増加することになる。また、遊技領域2の左側部には、複数の一般入賞口10,10が設けられている。また、一般入賞口10,10に対応して、一般入賞口10,10に入賞した遊技球を検知する一般入賞球検知センサ11がそれぞれ設けられている。
【0047】
また、特別変動入賞装置6の下方の遊技領域2の最下端部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域2の外部になる遊技盤1裏面に排出させるアウト口12が設けられている。また、遊技盤1の前面には、遊技球の流下方向を規制するとともに流下方向を転換する遊技釘81(一部だけ図示)や風車(図示略)等の流下規制転換部材が設けられている。
【0048】
次に、この例のパチンコ遊技機の制御系を図2に示されるブロック図を参照して説明する。パチンコ遊技機の制御系は、大きく分けて主制御部(主基板の制御装置としての主制御手段)15と、副制御部(サブ基板側の制御装置としての副制御手段)16と、これら主制御部15および副制御部16に電力を供給する電源供給装置82とから構成されている。主制御部15には、例えば、遊技機用のワンチップマイコン等で構成される主制御装置14が備えられ、主制御装置14には、プログラムを実行するCPU14a、プログラムやプログラムで使用するデータを記憶したROM14bや、プログラムに基づいて発生したデータやROM14bから読み出した各種データ等を記憶するRAM14cや周波数発生回路部14d等が備えられている。
【0049】
主制御装置14(CPU14a)には、パチンコ遊技機に設けられた各種センサからの信号が入力可能になっており、前述の第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53b、大入賞球検知センサ63、通過球検知センサ71、一般入賞球検知センサ11が接続されるとともに、遊技球の入賞に対応して賞球を払出す遊技球払出装置17から払い出された賞球を検知する遊技球払出検知センサ18、パチンコ遊技機におけるエラーを検知するエラー検知センサ19等が接続されている。
【0050】
また、主制御装置14は、パチンコ遊技機の各種装置を動作させるため各種信号を出力するようになっている。例えば、主制御装置14には、遊技店において設置された各遊技機のデータを集計管理するための集中管理装置20が主制御装置14からデータを入力可能に接続されている。また、主制御装置14には、サブ制御装置(副制御手段)としての払出制御装置22、図柄制御装置23、ランプ制御装置24、音声制御装置25が接続され、これらサブ制御装置に対してコマンド(制御指令)を出力可能とされている。
【0051】
なお、ここで、払出制御装置22は実質的に賞球を払出すためのパチンコ遊技機における遊技の主要な制御を行うことから主制御部15に含まれるものとし、遊技の演出に係わる図柄制御装置23、ランプ制御装置24、音声制御装置25は副制御部16に含まれるものになっている。
【0052】
また、主制御装置14には、第1および第2特図表示器4a,4bが接続され、主制御装置14が第1および第2特図表示器4a,4bにおける特図の表示制御を行う。
また、主制御装置14には、上述の普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通変動ソレノイド55が接続されるとともに、特別変動入賞装置6の可動扉62を駆動する特別変動ソレノイド64が接続される。
【0053】
また、払出制御装置22には、払出制御装置22により制御されて賞球および貸球を払出す遊技球払出装置17が接続されるとともに、プリペードカード(記録媒体)26のデータを読み込で遊技球の貸出制御を行うためのCRユニット27が球貸信号制御装置28を介して接続されている。払出制御装置22は、主制御装置14からのコマンドに基づいて賞球を払出すとともに、CRユニット27から球貸信号制御装置28を介して入力される球貸信号に基づいて貸球を払出す制御を行う。
【0054】
また、主制御部15には、主制御装置14と直接接続されていないが、遊技球を遊技領域2に発射する打球発射装置(図示略)の発射駆動装置29を制御する発射制御装置29aが設けられ、発射制御装置29aには、遊技球の発射を操作するための回転式操作ハンドル29b、発射停止釦29c、タッチセンサ29dが接続されている。
【0055】
主制御部15の主制御装置14は、パチンコ遊技機における遊技の進行を制御するもので、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53b、大入賞球検知センサ63、一般入賞球検知センサ11から遊技球の検知信号が入力された場合、すなわち、各入賞口に遊技球が入賞した場合に、払出制御装置22にコマンドを出力して、賞球として遊技球の排出を行わせる。
【0056】
また、主制御装置14は、通過球検知センサ71から遊技球の検知信号が入力した場合に、上述の普図保留数を加算する処理を行うとともに、普図ゲームの当たり外れを決定する抽選処理で用いられる各種乱数を取得し、普図保留数が上限未満の場合に乱数を記憶する。また、所定の開始条件として、前の普図ゲームのはずれでの終了もしくは当たり後の普通変動入賞装置5の開閉動作の終了で普図ゲームを開始するとともに普図保留数を1減算する。この際に乱数による抽選処理によって、普図ゲームの当たり外れを決定し、普図ゲームの表示や結果の報知や演出のために図柄制御装置23やランプ制御装置24や音声制御装置25にコマンドを出力する。
【0057】
また、主制御装置14は、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力と特図ゲームの開始に基づいて、上述の特図保留数の処理を行うとともに、特図ゲームの大当たり外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を取得し、特図保留数が上限未満の場合に当該乱数をRAM14c(乱数記憶手段の一部)に記憶する。なお、前記抽選処理によって、当たり判定乱数に基づいて第1および第2特図ゲームの大当たりおよびはずれを決定し、第1および第2特図表示器4a,4bを制御して第1および第2特図ゲームを表示するとともに、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示や結果の報知や演出のために図柄制御装置23やランプ制御装置24や音声制御装置25等にコマンドを出力する。
【0058】
なお、第1および第2特図ゲーム(変動表示ゲーム)の開始条件(乱数判定条件)は、前の第1特図ゲームまたは第2特図ゲームがはずれで終了した際と、第1特図ゲームまたは第2特図ゲームが大当たりになったことにより、特別変動入賞装置6を開放する大当たり状態になった場合に、この大当たり状態が終了した際に、第1特図保留数(第2特図保留数)が1以上になっているか、第1始動入賞信号または第2始動入賞信号が入力した場合である。また、それに加えて第1特図ゲームでは、開始すべき第2特図ゲームが無いこと(第2特図保留数が0になっていること)が開始条件の1つになる。また、開始条件の成立(乱数判定条件の成立)に伴って、特図ゲームの開始時に、この特図ゲームに対応する乱数の大当たりおよびはずれ等の判定を行う。
【0059】
また、主制御装置14は、普図ゲームが当たりになった場合には、普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通変動ソレノイド55を制御して普通変動入賞装置5を閉状態から開状態とする制御を行う。また、主制御装置14は、第1特図ゲームまたは第2特図ゲームが各大当たりになった場合には、特別変動入賞装置6の可動扉62の特別変動ソレノイド64を制御して所定の条件に基づいて特別変動入賞装置6を閉状態から開状態に変動させて上述の大当たり状態を発生させる制御を行う。
【0060】
また、当たり抽選手段としての主制御装置14は、前述の始動入賞信号に基づいて第1特図ゲームおよび第2特図ゲームが大当たりになるかはずれになるかを決める抽選処理を行う。また、主制御装置14は、大当たりとはずれとのいずれかを示す第1特図ゲームまたは第2特図ゲームを順次表示する際に、確変大当たり等の発生に基づいて前記抽選処理により第1特図ゲームおよび第2特図ゲームが大当たりになる確率を低確率状態より高い高確率状態とし、通常大当たり等の発生に基づいて前記抽選処理により第1特図ゲームおよび第2特図ゲームが大当たりになる確率を高確率状態より低い低確率状態とする制御を行う。また、主制御装置14は、所定の大当たりの発生に基づいて、通常状態より普通変動入賞装置の単位時間あたりの開放時間(開放回数)が多くなる時短状態(電チユーサポート状態)とする制御を行う。なお、確変状態(高確率支援状態)では、基本的に高確率状態になるとともに電チユーサポート状態になり、時短状態(支援状態)では、低確率状態で電チユーサポート状態になる。
【0061】
また、副制御部16の変動表示ゲーム表示制御手段としての図柄制御装置23は、可変表示装置3と、普図表示装置(LED表示装置)8とを制御するものであり、可変表示装置3がビデオディスプレイプロセッサ35を介して接続されている。上述の主制御装置14により決定された各大当たりおよびはずれと、変動パターンとしての変動表示時間等に基づいて、報知演出制御手段としての図柄制御装置23により装飾図柄の変動表示ゲームの可変表示装置3における表示が制御される。また、図柄制御装置23は、主制御装置14において、算出される特図保留数に基づいて、可変表示装置3の特図保留数表示領域31における特図保留数のマークの表示を制御する。また、図柄制御装置23は、パチンコ遊技機の遊技盤1を支持する前面枠等に設けられたボタンスイッチ23aを遊技者等が操作した場合に、ボタンスイッチ23aからの外部入力信号が入力するようになっている。
【0062】
副制御部16のランプ制御装置24は、遊技盤1の盤面に設けられた盤面関係の電飾(LED等の光源)24aと、パチンコ遊技機の遊技盤1を支持する前面枠に設けられ、遊技盤1の前面を覆うガラス枠等の枠扉関係の電飾(LED等の光源)24bとが接続され、LEDやランプ等による演出を制御する。また、ランプ制御装置24には、普図保留数表示ランプ9が接続されている。
【0063】
音声制御装置25には、サウンドプロセッサ、アンプ、スピーカ等からなる音声発生装置25aが接続されており、音声制御装置25は、演出用の効果音、音声、音楽等の出力を制御する。
【0064】
図3のフローチャートに示すように、主制御装置14では、上述のように第1始動入賞信号が入力した場合、また、第2始動入賞信号が入力した場合に、乱数の取得処理が行われる(ステップS1)。
この実施の形態において、乱数生成手段としての主制御装置14は、所定範囲内の数値からなる乱数(擬似乱数)を生成する。例えば、0から所定数まで高速にカウントアップし、所定数に達したら再び0とする処理を行い、この数値を擬似乱数とする。なお、乱数の生成に際して、周期性のある擬似乱数の周期性を乱すような処理を加えてもよい。また、主制御装置14とは、別に乱数生成手段を設けてもよい。
【0065】
乱数取得手段としての主制御装置14が第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力時に生成された乱数を取得する。なお、始動入賞信号が入力した際に、上述の対応する特図保留数(記憶された3つ一組の乱数の組数)が上限未満の場合に乱数を取得するが、対応する特図保留数が上限の場合には、乱数を取得しない。
【0066】
また、乱数記憶手段としての主制御装置14は、上述のように取得した乱数をRAM14cに記憶し、この乱数に対応する変動表示ゲームの開始条件が成立し、記憶された乱数による抽選処理が行われた場合に乱数消去条件が成立したものとして乱数を消去し、この際に特図保留数が一つ減算される。
【0067】
当たり抽選手段としての主制御装置14は、特図ゲーム開始の際に、上述のように取得された3つずつの乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を用いて第1および第2特図ゲームを表示するための抽選処理を行う。抽選処理においては、まず、当否抽選処理(ステップS2)として、当たり判定乱数と、設定されている当たり判定テーブル(低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブル)に登録された当たり判定値とを比較する。主制御装置14のROM14bは、テーブル記憶手段として当たり判定テーブルが記憶されている。
【0068】
当たり判定値は、当たり判定乱数になる所定範囲の数値(整数)のうちから予め決められた数値であり、大当たり確率は、(当たり判定値の数)/(当たり判定乱数になる所定範囲の数値(全ての整数)の個数)になる。また、当たり判定値には、当たり確率が低確率になる通常時の低確率判定テーブルに登録された当たり判定値と、確変大当たり後の高確率時の高確率判定テーブルに登録された当たり判定値とがあり、例えば、通常時(低確率時)の当たり判定値の数に対して、高確率時の当たり判定値の数が約10倍とされる。これにより、低確率時に対して高確率時の大当たり確率が約10倍とされる。
【0069】
取得された当たり判定乱数の数値と、当たり判定値とが一致した場合に、大当たりになり、一致しない場合にはずれになる。
また、低確率判定テーブルを用いるか、高確率判定テーブルを用いるかは、上述のように制御される確率状態が高確率状態か低確率状態かにより、確率変動制御手段としての主制御装置14で決定される。
【0070】
当否判定処理の次に、停止図柄抽選処理が行われる(ステップS3)。
図柄乱数は、第1および第2特図表示器4a,4bに停止表示される停止図柄(特図)の種類を決定するものであるが、特図ゲームがはずれの場合には、たとえば一種類の特図になり、大当たりの場合には、各大当たりの種類毎、例えば、通常大当たり、確変大当たりでそれぞれ複数種類の特図が設定されており、図柄乱数と関連付けられた特図が選択される。
【0071】
例えば、特図ゲームが大当たりの場合の停止図柄判定テーブルが主制御装置14のROM14bに記憶されており、停止図柄判定テーブルでは、それぞれの停止図柄に対応する停止図柄判定値が登録されている。例えば、取得される図柄乱数が0〜255の数値範囲である場合に、通常大当たりの図柄4種類、確変大当たりの図柄が4種類あり、合わせて8種類の図柄がある場合に、全ての図柄に0〜255の範囲で32個ずつの判定値を割り当てると、いずれかの判定値と図柄乱数とが一致し、図柄乱数と一致した判定値が割り当てられた停止図柄が抽選されて停止表示されることになる。これにより、当該停止図柄に対応する大当たりの種類が決定されることになる。
【0072】
例えば、通常大当たりに対応する停止図柄が図柄1〜図柄4で、確変大当たりに対応する停止図柄が図柄5〜図柄8の場合に、図柄1に0〜31の判定値を割り当て、図柄2に32〜63の判定値を割り当て、図柄3に64〜95の判定値を割り当て、図柄4に96〜127の判定値を割り当て、図柄5に128〜159の判定値を割り当て、図柄6に160〜191の判定値を割り当て、図柄7に192〜223の判定値を割り当て、図柄8に224〜255の判定値を割り当てる。この場合に、例えば、図柄乱数が97なら図柄4が選択され、かつ、通常大当たりになり、図柄乱数が200なら図柄7が選択され、かつ、確変大当たりになる。
【0073】
なお、各特図に割り当てる判定値の個数を変えることによって停止図柄として選択される抽選確率を異なるものにすることができる。抽選確率は、乱数になる数値の範囲に含まれる全ての整数の個数を分母とし、各停止図柄に割り当てられた判定値の数を分子として求めることができる。
また、大当たりの停止図柄(特図)には、通常大当たりや確変大当たりに加えて、突確大当たりや、潜確大当たりなどの各パチンコ遊技機で設定される大当たりの種類に対応した特図が存在する。
以上のように、大当たりの場合に図柄乱数によって、通常大当たりなのか確変大当たりなのか等の大当たりの種類が決定される。なお、変動表示ゲームの複数の装飾図柄からならる停止図柄の組み合わせは、上述の図柄乱数で決められる大当たりの種類に対応して決められる。
【0074】
停止図柄抽選処理の次に、変動パターン抽選処理が行われる(ステップS4)。
上述の演出乱数は、特図ゲームの表示時間を含む変動パターンを決定するものであり、はずれの場合にリーチになるか否か、また、リーチの場合に表示時間が短いノーマルリーチか、表示時間の長いスーパーリーチやプレミアムリーチになるかを決定するものである。また、大当たりの場合は、リーチ確定であり、ノーマルリーチかスーパーリーチかなどのリーチの演出の種類を決定するものになる。なお、変動パターン選択手段としての主制御装置14は、変動パターンの選択に際して、はずれや大当たりの種類毎に設定された抽選確率と複数の変動パターンの組み合わせからなる変動パターン判定テーブルに従って抽選を行い、変動パターンを選択する。
【0075】
変動パターン判定テーブルは、例えば、大当たり用と、はずれ用とがあり、ROM14bに記憶されている。各変動パターン判定テーブルでは、上述の停止図柄判定テーブルと同様に、各変動パターン毎に判定値が割り当てられており、各変動パターンに割り当てられた判定値の個数で、抽選確率が決定される。各判定値は、演出乱数になる数値の範囲に含まれる整数であり、抽選確率は、演出乱数になる数値の範囲に含まれる全ての整数の個数を分母とし、各変動パターンに割り当てられた判定値の個数を分子とした数値である。
【0076】
なお、変動パターンがリーチの変動パターンの場合に、基本的にはずれの変動パターン判定テーブルと、大当たりの変動パターン判定テーブルとに、それぞれ同じ変動パターンまたは略同じ変動パターンが登録されている。なお、はずれの変動パターン判定テーブルだけに登録されている変動パターンは、表示された場合に必ずはずれになる期待値が0の変動パターンであり、例えば、リーチにならない変動パターンである。また、大当たりの変動パターン判定テーブルだけに登録されている変動パターンは、表示された場合に必ず大当たりになる期待値100%のプレミアムリーチの変動パターンになる。
【0077】
基本的に同様またはほぼ同様の変動パターンが大当たりの変動パターン判定テーブルと、はずれの変動パターン判定テーブルとの両方に登録されている場合に、それぞれの変動パターン判定テーブルにおける抽選確率によって当該変動パターンが表示された場合の期待値(信頼度)が決定されることになる。相対的にはずれの判定テーブルより大当たりの判定テーブルでの抽選確率が高いものが期待値が高い変動パターンになり、相対的に大当たりの判定テーブルよりはずれの判定テーブルでの抽選確率が高いものが期待値が低い変動パターンになる。
なお、期待値は、上述の変動パターンテーブルが作成された段階で決定されることになる。
【0078】
なお、リーチとは、変動表示ゲームにおいて、一部の停止表示される装飾図柄が確定し、一部が未だ変動表示されている段階で、大当たりの可能性が残っている状態であり、同時に表示される装飾図柄が3つの場合に、2つの装飾図柄が停止表示され、未だ1つの装飾図柄が変動表示されている段階で、大当たりの可能性がある状態である。すなわち、リーチは、変動表示ゲームが停止表示されて大当たりまたははずれが報知される直前まで、はずれが確定せずに大当たりの可能性が残っている状態である。
【0079】
上述の3つの乱数により、特図ゲームの表示内容が決定され、この表示内容にしたがってずれおよび大当たりの第1および第2特図ゲームが行われる。
また、主制御装置14では、これらの抽選決定情報に基づく情報(当否、停止図柄、変動パターンを含む)が、図柄制御装置23に上述の変動表示ゲームの開始条件成立時に変動コマンドと一緒に送信される(ステップS5)。
【0080】
すなわち、主制御装置14は、第1特図ゲームもしくは第2特図ゲームを開始する際に、上述の抽選結果に基づいて、図柄制御装置23に、大当たりおよびはずれのいずれかを示すデータと、変動パターンのデータと、大当たりの場合の大当たりの種類データとを送信するとともに、変動表示ゲームの開始を示す変動コマンドを送信するようになっている。
【0081】
この変動コマンドに基いて、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示制御が副制御部16の図柄制御装置23により行われる。
基本的に選択された変動パターンに基いて変動表示ゲームを表示することになり、変動表示ゲームの変動表示時間経過後、所定の組み合わせで装飾図柄を停止表示することになる。この際に、はずれの場合は、はずれの組み合わせになる複数の装飾図柄を停止表示し、大当たりの場合に大当たりでかつ大当たりの種類を示す複数の装飾図柄を停止表示する。
また、可変表示装置3への表示は、変動パターンに基いて、図柄制御装置23のROMに記憶されている表示用データを用いて編成された動画表示を行う。
【0082】
また、変動表示ゲーム中に予告演出を行う。予告演出は、基本的に変動表示ゲーム中に、変動表示ゲームの表示に予告演出用の表示を合成することによって行われる。予告演出には、多くの種類が設定されており、同じ変動パターンの変動表示ゲームでも、表示される予告演出によって多彩な変動表示ゲームの表示になる。
【0083】
また、各種類の予告演出には、複数にパターン化されており、各種類の予告演出においては、複数の予告演出パターンから一つの予告演出パターンが選択されて表示されることになる。また、これら予告演出パターンは、それぞれ期待値(信頼度)が異なるものになっており、例えば、表示された場合に大当たりになる可能性が高い予告演出パターンと、表示された場合に大当たりになる可能性が低い予告演出パターンとがある。
【0084】
また、予告演出パターンには、その種類の予告演出を行わないものが含まれていてもよい。すなわち、変動表示ゲーム毎に全ての種類の予告演出が表示される必要はなく、変動表示ゲームによって表示される予告演出の種類が異なってもよい。
また、予告演出には、可変表示装置3に変動表示ゲームに合成されて表示されるものだけではなく、パチンコ遊技機の遊技盤1に設けられた可動役物を動作させるものであってもよい。また、この場合に、可変表示装置での予告表示に連動するように可動役物を動作させるものとしてもよい。また、可動役物の動作にも複数の動作パターンとしての予告演出パターンがあるとともに、可変表示装置3での予告表示と合わせて複数の予告演出パターンが設定されているものとしてもよい。
【0085】
すなわち、可動役物の動作が同じであっても、可動役物が動作する際に可変表示装置3に表示される予告表示が異なることによって、予告演出パターンが異なるものになってもよい。
各種類の予告演出の予告演出パターンは、大当たりまたははずれの変動パターン毎に決定される。
【0086】
この実施形態では、大当たりまたははずれの各変動パターン毎に設定されているモード選択テーブルを用いて複数のモードのいずれかに振り分けるように抽選を行うようになっている。なお、各モードは、基本的に期待値が異なるものになっており、大当たりになる可能性が異なるように設定されるものである。
ここでは、モードは、モードAからモードFまで、期待値の順位が6段階に設定されており、モードAは、基本的に大当たりになる可能性(期待値)が低いモードであり、モードFは大当たりになる可能性(期待値)が高いモードである。大当たりになる可能性(期待値)は、基本的にモードAからモードFまで各モード毎に段階的に大きくなるように設定される。
【0087】
基本的には、大当たりになる変動パターンでの抽選確率が高く、はずれになる変動パターンでの抽選確率が低く設定されたものが期待値が高く、その逆で大当たりになる変動パターンでの抽選確率が低く、はずれになる変動パターンでの抽選確率が高く設定されたものが期待値が低くなる。また、リーチになるか否かや、スパーリーチになるか否か、プレミアムリーチになるか否かも考慮されてモード選択テーブルが作成されている。
図5および図6ははずれの変動パターンに対応するモード選択テーブルの概略を示すもので、図7および図8は大当たりの変動パターンに対応するモード選択テーブルの概略を示すものである。
モードの抽選においても、上述の各抽選と同様に、乱数を取得し、モード選択テーブルに登録された判定値と比較して、乱数と一致する判定値が振り分けられたモードが選択されることになる。
【0088】
図5図8においては、各変動パターン毎のモード選択テーブルにおいて、各モードに割り当てられた判定値の個数を示すものになっている。実際のモード選択テーブルでは、図5図8で示された個数の判定値が各モードに割り付けられた状態になっている。
なお、抽選時に用いられる乱数になる数値の範囲は、たとえば、1〜250の250個の整数値になる。また、各モード選択テーブルにおいて、各モードには、1〜250の判定値のうちの図5図8に示される個数の判定値が割り当てられる。
なお、各モードに割り当てられた判定値は、重複しないものになっており、それぞれ異なる判定値が各モードに割り当てられる。
図5に示すように、リーチにならない非リーチの変動パターンのモード選択テーブルでは、基本的にモードAにだけに全ての判定値が割り付けられている。ただし、非リーチでも、停止直前の装飾図柄が高速で移動するいわゆる滑りが生じるものや、その他特殊な演出が行われる場合に、モードAとモードBのいずれかが選択可能になるように、モードBにもモード判定値が割り付けられているものがある。
【0089】
また、はずれのスーパーリーチの場合には、基本的にモードCも割り振られ、一部のスーパーリーチでは、モードDまで割り振られている。また、スーパーリーチの中でも、特にプレミアリーチと呼ばれるものについては、例えば、モードEおよびモードFが割り付けられるようになっている。
また、大当たりの変動パターンの場合には、全てリーチになるが、ノーマルリーチでもモードAからモードCまで割り振られており、かつ、モードCになる抽選確率がモードBになる抽選確率より高く、モードBになる抽選確率がモードAになる抽選確率より高くなっている。
【0090】
また、スーパーリーチでは、モードCまでのもの、モードDまでのもの、モードEまでのものがあり、基本的にモードFまで割り振られているものがプレミアムリーチになる。また、モードEだけ抽選可能になっているスーパーリーチ9、13、17、20もプレミアムリーチになる。なお、はずれの場合よりも大当たりの場合の方がプレミアムリーチの変動パターンが多く、対応する変動パターンがはずれにない場合に大当たり確定のプレミアムリーチになるが、類似するプレミアムリーチがはずれにあり、例えば、プレミアムリーチの終盤でのみはずれの場合と大当たりの場合で異なるものも含まれる。
【0091】
また、大当たりの場合と、はずれの場合のモード選択テーブルを比較すると、大当たりの場合も、はずれの場合のモードAが抽選される可能性があるが、はずれの場合の方が大当たりの場合よりもモードAが抽選で当選する確率が高い。また、大当たりの変動パターンに対応して、モードEが選択される可能性が高く、はずれの変動パターンでモードEが選択される可能性は低い。
【0092】
変動コマンドが図柄制御装置23に入力した場合に、当該変動コマンドとともに受信される変動パターンの情報に基いて、変動パターンに対応するモード選択テーブルが選択される。
このモード選択テーブルでは、上述のようにモードA〜モードFまでのそれぞれにモード判定値が振り分けられるが、プレミアムリーチ以外は、基本的にモードEまでが選択可能で、ノーマルリーチの変動パターンでは、はずれの場合にモードBまでが選択可能で、大当たりの場合にモードCまでが選択可能になっている。
【0093】
基本的には、大当たりであってもモードE以上が選択される可能性は高くなく、大当たりであっても、モードEおよびモードFが選択されない場合が多い。このモード抽選処理により、変動表示ゲームが開始される変動パターンに対応して例えば6つのモードから1つのモードが選択されることになる。また、各モードは、大当たりやプレミアムリーチ等に対する期待値の順位が付けられており、ここでは、モードAからモードEでは、その順で期待値が高くなっている。
【0094】
それに対応して、モード選択テーブルでは、はずれの変動パターンより大当たりの変動パターンの方が期待値の順位の高いモードが抽選で選択され易い抽選確率の設定になっている。また、非リーチよりノーマルリーチの方が期待値の高いモードが選ばれ易く、ノーマルリーチよりスーパーリーチの方が期待値の高いモードが選ばれ易く、さらにスーパーリーチよりプレミアムリーチの方が期待値の高いモードが選ばれ易くなっている。
なお、ノーマルリーチよりスーパーリーチの方がリーチとしての期待値(大当たりになる可能性)が高く、スーパーリーチよりプレミアムリーチの方がリーチとしての期待値が高くなっている。
【0095】
また、図柄制御装置23のROMには、各予告演出の種類毎に、各モードに対して予告演出パターンの抽選確率を設定している予告演出パターン選択テーブルが記憶されている。
図9図13に示すように、例えば、予告演出の種類として、予告演出Aから予告演出Eがある場合に、各予告演出の種類毎にモード別の予告演出パターン選択テーブルが設定されている。
【0096】
ここでは、各予告演出の種類毎に、予告演出パターンがパターン1〜パターン8まであるものとしている。なお、予告演出の種類によって、予告演出パターンの数が異なっていてもよい。ここで、予告演出パターン抽選用の乱数は、1〜250の250個の整数であり、予告演出パターン選択テーブルでは、図9図13に示ように、各予告演出パターンに対して1〜250の整数のうちの記載された個数の整数が割り当てられる。この際に、各予告演出パターンに割り当てられる数値は、異なるものになっている。
【0097】
また、予告演出パターンは、パターン1からパターン8まで、期待値が段階的に高くなるように設定されている。したがって、期待値の低いモードでは、期待値の低い予告演出パターンが抽選されやすく、期待値の高いモードでは、期待値の高い予告演出パターンが選択されやすい。例えば、図9図13では、期待値の低いモードAでは、パターン1の予告演出パターンだけが選択され、期待値の高いモードFでは、期待値の高いパターン8の予告演出パターンだけが選択されるようになっている。
【0098】
モードAとモードFの間においては、モードBでパターン1,2が選択可能で、モードCでパターン1〜3が選択可能で、モードDでパタ−ン2〜パターン7が選択可能で、モードEでは、パターン1とパターン4〜6が選択可能になり、パターン7が選択できなくなるが、パターン4以上になる確率がモードDの場合より高くなっている。
なお、この実施形態では、各モード毎の各予告演出パターンの予告演出パターン選択テーブルは異なるものになっている。
【0099】
また、予告演出の種類が異なっても、モードが同じ場合は、同じ予告演出パターン選択テーブルを用いているが、これは仮のものであり、実際には、モードが同じ場合でも予告演出パターン選択テーブルが異なるものになる。すなわち、各予告演出パターン選択テーブルは、それぞれ予告演出の種類とモードとに基いてそれぞれ作成されるので、基本的には、各予告演出パターン選択テーブルはそれぞれ異なるものになる。
【0100】
また、実際には、予告演出の種類が異なる場合に、予告演出パターンの数が異なる場合があり、これにより予告演出判定テーブルも異なるものになる。また、予告演出の種類によっても期待値が異なるものになっており、予告演出の各種類において期待値が最上位になる予告演出パターンどうしを比較した場合に、それぞれ期待値が異なり、予告演出判定テーブルにおける抽選確率の設定が異なるものになる。
【0101】
このようなモード選択テーブルおよび予告演出パターン選択テーブルを用いて、開始される変動表示ゲームの変動パターンに対応して、抽選でモードを決めた後に、モードに対応して抽選で各予告演出の種類毎に予告演出パターンを抽選で選択することになる。
変動表示ゲームの開始に伴って変動パターンと停止表示される装飾図柄に対応して、図柄制御装置23のROMに記憶されている画像データ等から表示画像を生成して、変動表示ゲームを表示するとともに、上述のように選択された各予告表示の種類毎の予告演出パターンに基いて予告演出を行う。
【0102】
この際に予告演出が予告演出表示として行われる場合には、上述の予告演出パターンに基いて、周知のように、図柄制御装置23のROMに記憶されている画像データ等を用いて予告演出の表示データを生成して、変動表示ゲームの表示と合成して可変表示装置3の画面上に変動表示ゲームとともに予告演出表示を行う。
また、予告演出が可動役物の動作を含み、かつ動作に予告演出パターンに対応して複数のパターンがある場合には、周知のように、各予告演出パターンとして、動作の段階が設定されており、予告演出パターンで設定された段階になるように可動役物を動作させる。
【0103】
このような図柄制御装置における予告変動パターンの決定処理を図4のフローチャートを参照して説明する。
この処理は、主制御装置14から図柄制御装置23に変動コマンドが送信されて変動表示ゲームが開始される際に行われる。
まず、変動パターン別のモード抽選処理が行われる(ステップS11)。
主制御装置14から変動コマンドを受信した際に受信される変動パターン(大当たりおよびはずれの情報を含む)に基いて、各変動パターン毎に設定されているモード選択テーブルの中から主制御装置14から受信した変動パターンに対応するモード選択テーブルを選択する。また、モード抽選用の乱数を取得して記憶する。なお、この際にその次に行われる予告演出パターン抽選用の乱数も取得して、記憶する。
【0104】
なお、乱数を取得するタイミングは、変動コマンドを受信した際に限られるものではなく、例えば、上述の当たり判定乱数、図柄乱数および演出乱数と同様に始動入賞信号が入力した際に乱数を取得して記憶するものとしてもよい。この際に、図柄制御装置23では、直接始動入賞信号が入力しないので、始動入賞信号入力時に主制御装置14から図柄制御装置23に始動入賞信号の入力を通知する信号を送信し、この信号の受信時に図柄制御装置23でモード抽選用乱数と、上述の予告演出パターンを抽選する際に用いるパターン抽選用乱数とを取得するものとしてもよい。
【0105】
取得されたモード抽選用乱数と、開始すべき変動表示ゲームの変動パターンに対応するモード判定データテーブルに登録された判定値とを比較し、モード抽選用乱数と一致する判定値に対応するモードを取得する。
【0106】
次に、ステップS12からS14に示すように、各種類の予告抽選毎に、取得されたモードに対応する予告演出パターン選択テーブルに登録された判定値と、上述のように取得された予告演出パターン用乱数とを比較し、予告演出パターン用乱数と一致する判定値に対応する予告演出パターンを選択する。
【0107】
この処理は、設定されている予告演出の全種類に対してそれぞれ行われる。すなわち、取得した予告演出パターン抽選用乱数と予告演出の種類に対応する予告演出パターン選択テーブルに登録された判定値とを比較して、予告演出パターン抽選用乱数と一致する判定値に対応する予告演出パターンを取得する処理を、予告演出の全ての種類に対して行うまで繰り返し行うことになる(ループ処理)。
なお、予告演出パターン抽選用乱数としては、例えば、予告演出パターン選択テーブル毎に異なる乱数を用いるが、同じ乱数を用いるものとしてもよい。
【0108】
そして、予告演出の種類毎に予告演出パターンが決定された際に、上述のように変動表示ゲームの映像に合成して、各予告演出パターンにより生成された表示データを表示させる変動表示ゲーム実行処理を行う(ステップS15)。
【0109】
以上のように予告演出パターンを選択した場合に、各変動パターンの大当たりまたははずれや、変動パターンがはずれの非リーチ、はずれのノーマルリーチ、はずれのスーパーリーチ、はずれのプレミアムリーチ、大当たりのノーマルリーチ、大当たりのスーパーリーチ、大当たりのプレミアムリーチ等の変動パターンの種類に対応してモード判定テーブルの各モードに対応する判定値を設定している。また、各モードには、ノーマルリーチになり易いか、スーパーリーチになり易いか、プレミアムリーチになり易いか、大当たりになり易いか等に基いて期待値の順位が決められている。
【0110】
したがって、期待値の順位が低いモードは、非リーチの変動パターンや、はずれのノーマルリーチの変動パターン等で選ばれ易く、期待値の順位が高いモードは、はずれのプレミアムリーチや、大当たりのスーパーリーチ以上で選ばれ易くなるように、判定値が設定されている。
また、予告演出パターンにも上述のように期待値の順位が設定されており、順位の高い予告演出パターンほど、期待値の順位の高いモードで選択され易くなるように判定値が設定されている。
【0111】
また、各予告演出の種類にも期待値の順位があり、順位が高い予告演出の種類は、抽選で決定されたモードの期待値の順位が高いほど、期待値の高い順位の予告演出パターンが選択され易くなるように判定値が設定されている。
例えば、予告演出として期待値が低い種類の場合には、この予告演出の期待値が最も高い予告演出パターンが比較的期待値の順位が低いモードでも選択されるように判定値が設定されている。
これにより、期待値が低い予告演出の種類では、その予告演出でも最も期待値が高い予告演出パターンが選択されてもプレミアムリーチや大当たりになる可能性があまり高くないことになる。
それに対して、期待値が高い予告演出の種類では、その予告演出で最も期待値が高い予告演出パターンが期待値の順位が高いモードでだけ選択されるようになっている。これにより、プレミアムリーチや大当たりの場合に予告演出が行われることになり、期待値が高い予告演出になる。
【0112】
以上のように、各予告演出パターンをその期待値に対応する変動パターンで出現し易くするように設定する際に、各変動パターンから直接各種類の予告演出毎に予告演出パターンを抽選するためのデータテーブルを設定するのではなく、変動パターンから一度モードを選択した後に、モードから予告演出パターンを抽選するようにすることによって、変動パターンの数が多い場合に、抽選用のデータテーブルの数を減らし、抽選用のデータテーブルのための記憶容量を減らして、コストの削減を図ることができる。
また、各データテーブルは、パチンコ遊技機の開発時に、各変動パターンの期待値と、各予告演出パターンの期待値とを考慮して判定値を設定することになり、作成とチェックに時間がかかり、開発時間の長期化や開発コストの増大などの要因になる虞があった。
したがって、作成するデータテーブルの数を減少させることによって、開発期間の短縮および開発コストの低減を図ることができる。
【0113】
また、従来のように、各変動パターン毎に各種類の予告演出の予告演出パターンを選択する予告演出パターン選択テーブルとしてのデータテーブルを設定する場合に、データテーブルの作成において、作成者が、期待値の高い予告演出パターンの抽選確率を大当たりの変動パターンで高めに設定してしまう虞があり、作成前に考えていた期待値と異なる設定になってしまう可能性がある。例えば、大当たりの場合の変動パターンに対しては、多くの種類の予告演出で、期待値の高い予告演出パターンが抽選されてしまう可能性がある。それに対して、はずれの変動パターンでは、期待値の高い変動パターン例えばプレミアムリーチの変動パターンであっても高い予告演出パターンが抽選される予告演出の種類が少なくなってしまい、プレミアムリーチであるのに、期待値の高い予告演出パターンが表示される予告演出の種類が少ない状態になってしまう虞がある。
すなわち、変動パターンが多く、かつ、各変動パターン毎に全ての種類の予告演出毎にデータテーブルを作成することから、各データテーブル同士の調和を取るように抽選確率を設定していくことが難しくなる。
【0114】
それに対して、この実施形態では、変動パターン毎に設定されるデータテーブルがそれぞれモード用の一つであり、また、各予告演出の種類に対しては、モードの数分のデータテーブルを作成すればよいので、データテーブル同士の調整が容易になり、予め考えていた期待値になるように各予告演出のデータテーブルを作成するのが容易になる。
【0115】
特に、最終的に予告演出パターンを抽選する際に用いられるデータテーブルは、各変動パターンではなく、各モードに対して予告演出パターンの抽選確率が設定されるようになっているので、大当たりの変動パターンと、はずれの変動パターンとで同じモードが選択されれば、大当たりとはずれで略同様に予告演出パターンが選択されることになり、大当たりの変動パターンでのみ期待度の高い予告演出パターンが集中して発生するような事態を防止できる。
【0116】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0117】
3 可変表示装置(表示手段)
14 主制御装置(主制御手段)
23 図柄制御装置(副制御手段、予告演出制御手段、予告演出パターン記憶手段、予告演出パターン抽選手段、モード記憶手段、モード選択テーブル記憶手段、モード抽選手段と、予告演出パターン選択テーブル記憶手段と、予告演出パターン抽選手段)
図1
図2
図3
図4
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