(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793337
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】コンピューティングデバイス、コンテンツの表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20130101AFI20150928BHJP
G06F 3/048 20130101ALI20150928BHJP
【FI】
G06F3/048 620
G06F3/048 654D
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-102017(P2011-102017)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2012-234331(P2012-234331A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2014年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】507381857
【氏名又は名称】Kii株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高久 哲良
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智貴
(72)【発明者】
【氏名】井口 誠
【審査官】
山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/056393(WO,A1)
【文献】
米国特許第06154194(US,A)
【文献】
特開2007−011797(JP,A)
【文献】
特開2010−262557(JP,A)
【文献】
特開2010−117842(JP,A)
【文献】
特開2010−026710(JP,A)
【文献】
特表2012−509524(JP,A)
【文献】
特開2000−039964(JP,A)
【文献】
特開2002−073257(JP,A)
【文献】
特開2003−248550(JP,A)
【文献】
特開2009−140342(JP,A)
【文献】
特開2009−163278(JP,A)
【文献】
特開2009−099067(JP,A)
【文献】
特開2011−237945(JP,A)
【文献】
特開2011−028399(JP,A)
【文献】
特開2011−086035(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0167706(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0220444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0488
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが両手で保持するコンピューティングデバイスであって、
タッチパネルディスプレイと、
前記タッチパネルディスプレイにコンテンツを表示するコンテンツ表示部と、
前記ユーザが当該コンピューティングデバイスを保持したまま前記両手のうちの第1及び第2の手の指でタッチ可能な前記タッチパネルディスプレイ上の第1及び第2の制御領域であって、前記タッチパネルディスプレイの側部及び下端部の間の角部近傍と、前記タッチパネルディスプレイの側部近傍とに設けられる前記第1及び第2の制御領域のそれぞれにおける第1及び第2のスワイプを検出するスワイプ検出部と、
前記第1及び第2のスワイプに応じて前記コンテンツの表示を変化させる表示制御部と、
を備えることを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記スワイプ検出部は、前記第1及び第2の制御領域において、前記タッチパネルディスプレイの側部又は下端部における第1及び第2の点を中心とする扇形領域の内部におけるスワイプは検出しないこと、
を特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記コンテンツ表示部は、第1及び第2の表示領域に第1及び第2のコンテンツを表示し、
前記表示制御部は、前記第1のスワイプに応じて前記第1のコンテンツの表示を変化させ、前記第2のスワイプに応じて前記第2のコンテンツの表示を変化させること、
を特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記表示制御部は、前記第1のスワイプに応じて前記コンテンツを第1の方向にスクロールさせ、前記第2のスワイプに応じて前記コンテンツを前記第1の方向に垂直な第2の方向にスクロールさせること、
を特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記表示制御部は、前記第1のスワイプに応じて前記コンテンツを所定の方向に第1の量をスクロールさせ、前記第2のスワイプに応じて前記コンテンツを前記方向に第2の量をスクロールさせること、
を特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記第1及び第2のスワイプの方向が所定の軸に対して対称でありかつ移動量が略同一であるミラースワイプが行われているか否かを検出するミラースワイプ検出部を備え、
前記表示制御部は、前記ミラースワイプが検出された場合、前記コンテンツの表示を、前記第1及び第2のスワイプに応じた変化とは異なるように変化させること、
を特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記スワイプ検出部はさらに、前記第1及び第2の制御領域のそれぞれに隣接する第3及び第4の制御領域における第3及び第4のスワイプを検出し、
前記コンピューティングデバイスはさらに、前記第3及び第4のスワイプの方向が同じ方向である順スワイプが行われているか否かを検出する順スワイプ検出部を備え、
前記表示制御部は、前記順スワイプが検出された場合、表示する前記コンテンツを切り替えること、
を特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記スワイプ検出部はさらに、前記第1及び第2の制御領域のそれぞれに隣接する第3及び第4の制御領域における第3及び第4のスワイプを検出し、
前記コンピューティングデバイスはさらに、前記第3及び第4のスワイプの方向が互いに逆方向である逆スワイプが行われているか否かを検出する逆スワイプ検出部を備え、
前記表示制御部は、前記逆スワイプが検出された場合、表示されている前記コンテンツを回転して表示すること、
を特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
音データを再生する音データ再生部と、
前記第1及び第2の制御領域にそれぞれ近接する領域である第1及び第2のタッチ領域におけるタッチを検出するタッチ検出部と、
前記第1のタッチ領域に対するタッチのみを検出した場合、前記第2のタッチ領域に対するタッチのみを検出した場合、及び前記第1及び第2のタッチ領域の両方におけるタッチを検出した場合に、それぞれ異なる再生モードとなるように前記音データ再生部を制御する再生制御部と、
をさらに備えることを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記第1及び第2の制御領域にそれぞれ近接する領域である第1及び第2のタッチ領域におけるタッチを検出するタッチ検出部と、
前記第1及び第2のタッチ領域が同時にタッチされ続けた時間を計測する同時タッチ時間計測部と、
を備え、
前記表示制御部は、表示されている前記コンテンツに関連するサブコンテンツを前記コンテンツに重ねて表示すること、
を特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項11】
ユーザが両手で保持するコンピューティングデバイスにおけるコンテンツの表示方法であって、
前記コンピューティングデバイスが、
タッチパネルディスプレイにコンテンツを表示し、
前記ユーザが当該コンピューティングデバイスを保持したまま前記両手のうちの第1及び第2の手の指でタッチ可能な前記タッチパネルディスプレイ上の第1及び第2の制御領域であって、前記タッチパネルディスプレイの側部及び下端部の間の角部近傍と、前記タッチパネルディスプレイの側部近傍とに設けられる前記第1及び第2の制御領域のそれぞれにおける第1及び第2のスワイプを検出し、
前記第1及び第2のスワイプに応じて前記コンテンツの表示を変化させること、
を特徴とするコンテンツの表示方法。
【請求項12】
ユーザが両手で保持するコンピューティングデバイスにおいてコンテンツを表示するためのプログラムであって、
前記コンピューティングデバイスに、
タッチパネルディスプレイにコンテンツを表示するステップと、
前記ユーザが当該コンピューティングデバイスを保持したまま前記両手のうちの第1及び第2の手の指でタッチ可能な前記タッチパネルディスプレイ上の第1及び第2の制御領域であって、前記タッチパネルディスプレイの側部及び下端部の間の角部近傍と、前記タッチパネルディスプレイの側部近傍とに設けられる前記第1及び第2の制御領域のそれぞれにおける第1及び第2のスワイプを検出するステップと、
前記第1及び第2のスワイプに応じて前記コンテンツの表示を変化させるステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューティングデバイス、コンテンツの表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年大型のタッチパネルディスプレイを搭載したスマートフォンやタブレット端末などのポータブルデバイスが広まっている。このようなポータブルデバイスでは、タッチパネルディスプレイへの指のタッチに応じてコンテンツが表示される。例えば特許文献1では、タッチスクリーンディスプレイ上でのジェスチャーに応答して規定の動作を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010-503126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くのポータブルデバイスでは片手で操作することが想定されており、両手でデバイスを保持する場合には操作がしにくい。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、両手で保持した場合にも容易に操作することのできるコンピューティングデバイス、コンテンツの表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、ユーザが両手で保持するコンピューティングデバイスであって、タッチパネルディスプレイと、前記タッチパネルディスプレイにコンテンツを表示するコンテンツ表示部と、前記ユーザが当該コンピューティングデバイスを保持したまま前記両手のうちの第1及び第2の手の指でタッチ可能な前記タッチパネルディスプレイ上の第1及び第2の制御領域
であって、前記タッチパネルディスプレイの側部及び下端部の間の角部近傍と、前記タッチパネルディスプレイの側部近傍とに設けられる前記第1及び第2の制御領域のそれぞれにおける第1及び第2のスワイプを検出するスワイプ検出部と、前記第1及び第2のスワイプに応じて前記コンテンツの表示を変化させる表示制御部と、を備えることとする。
【0009】
また、本発明のコンピューティングデバイスでは、前記スワイプ検出部は、前記第1及び第2の制御領域において、前記タッチパネルディスプレイの側部又は下端部における第1及び第2の点を中心とする扇形領域の内部におけるスワイプは検出しないようにしてもよい。
【0010】
また、本発明のコンピューティングデバイスでは、前記コンテンツ表示部は、第1及び第2の表示領域に第1及び第2のコンテンツを表示し、前記表示制御部は、前記第1のスワイプに応じて前記第1のコンテンツの表示を変化させ、前記第2のスワイプに応じて前記第2のコンテンツの表示を変化させるようにしてもよい。
【0011】
また、本発明のコンピューティングデバイスでは、前記表示制御部は、前記第1のスワイプに応じて前記コンテンツを第1の方向にスクロールさせ、前記第2のスワイプに応じて前記コンテンツを前記第1の方向に垂直な第2の方向にスクロールさせるようにしてもよい。
【0012】
また、本発明のコンピューティングデバイスでは、前記表示制御部は、前記第1のスワイプに応じて前記コンテンツを所定の方向に第1の量をスクロールさせ、前記第2のスワイプに応じて前記コンテンツを前記方向に第2の量をスクロールさせるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明のコンピューティングデバイスは、前記第1及び第2のスワイプの方向が所定の軸に対して対称であり、かつ、移動量が略同一であるミラースワイプが行われているか否かを検出するミラースワイプ検出部を備え、前記表示制御部は、前記ミラースワイプが検出された場合、前記コンテンツの表示を、前記第1及び第2のスワイプに応じた変化とは異なるように変化させるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明のコンピューティングデバイスは、前記スワイプ検出部はさらに、前記第1及び第2の制御領域のそれぞれに隣接する第3及び第4の制御領域における第3及び第4のスワイプを検出し、前記コンピューティングデバイスはさらに、前記第3及び第4のスワイプの方向が同じ方向である順スワイプが行われているか否かを検出する順スワイプ検出部を備え、前記表示制御部は、前記順スワイプが検出された場合、表示する前記コンテンツを切り替えるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明のコンピューティングデバイスでは、前記スワイプ検出部はさらに、前記第1及び第2の制御領域のそれぞれに隣接する第3及び第4の制御領域における第3及び第4のスワイプを検出し、前記コンピューティングデバイスはさらに、前記第3及び第4のスワイプの方向が互いに逆方向である逆スワイプが行われているか否かを検出する逆スワイプ検出部を備え、前記表示制御部は、前記逆スワイプが検出された場合、表示されている前記コンテンツを回転して表示するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明のコンピューティングデバイスは、音データを再生する音データ再生部と、前記第1及び第2の制御領域にそれぞれ近接する領域である第1及び第2のタッチ領域におけるタッチを検出するタッチ検出部と、前記第1のタッチ領域に対するタッチのみを検出した場合、前記第2のタッチ領域に対するタッチのみを検出した場合、及び前記第1及び第2のタッチ領域の両方におけるタッチを検出した場合に、それぞれ異なる再生モードとなるように前記音データ再生部を制御する再生制御部と、をさらに備えるようにしてもよい。
【0017】
また、本発明のコンピューティングデバイスは、前記第1及び第2の制御領域にそれぞれ近接する領域である第1及び第2のタッチ領域におけるタッチを検出するタッチ検出部と、前記第1及び第2のタッチ領域が同時にタッチされ続けた時間を計測する同時タッチ時間計測部と、を備え、前記表示制御部は、表示されている前記コンテンツに関連するサブコンテンツを前記コンテンツに重ねて表示するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の他の態様は、ユーザが両手で保持するコンピューティングデバイスにおけるコンテンツの表示方法であって、前記コンピューティングデバイスが、タッチパネルディスプレイにコンテンツを表示し、前記ユーザが当該コンピューティングデバイスを保持したまま前記両手のうちの第1及び第2の手の指でタッチ可能な前記タッチパネルディスプレイ上の第1及び第2の制御領域
であって、前記タッチパネルディスプレイの側部及び下端部の間の角部近傍と、前記タッチパネルディスプレイの側部近傍とに設けられる前記第1及び第2の制御領域のそれぞれにおける第1及び第2のスワイプを検出し、前記第1及び第2のスワイプに応じて前記コンテンツの表示を変化させることとする。
【0019】
また、本発明の他の態様は、ユーザが両手で保持するコンピューティングデバイスにおいてコンテンツを表示するためのプログラムであって、前記コンピューティングデバイスに、タッチパネルディスプレイにコンテンツを表示するステップと、前記ユーザが当該コンピューティングデバイスを保持したまま前記両手のうちの第1及び第2の手の指でタッチ可能な前記タッチパネルディスプレイ上の第1及び第2の制御領域
であって、前記タッチパネルディスプレイの側部及び下端部の間の角部近傍と、前記タッチパネルディスプレイの側部近傍とに設けられる前記第1及び第2の制御領域のそれぞれにおける第1及び第2のスワイプを検出するステップと、前記第1及び第2のスワイプに応じて前記コンテンツの表示を変化させるステップと、を実行させることとする。
【0020】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、両手で保持した場合にも容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンピューティングデバイス10の外観例を示す図である。
【
図2】コンピューティングデバイス10のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】コンピューティングデバイス10のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】タッチパネルディスプレイ20上に設定される制御領域を説明するための図である。
【
図5】2つのペイン401及び402に表示されたコンテンツの制御について説明する図である。
【
図6】コンテンツ411を上下左右にスクロールさせる制御について説明する図である。
【
図7】コンテンツ421を上下にスクロール量を変えてスクロールさせる制御について説明する図である。
【
図8】コンテンツ431を拡大縮小する制御について説明する図である。
【
図9】2つのコンテンツ501及び502を切り替える制御について説明する図である。
【
図10】コンテンツ511を回転させる制御について説明する図である。
【
図11】音声データの再生制御に用いられる画面を説明する図である。
【
図12】サブコンテンツ532を表示する制御について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンピューティングデバイス10の外観例を示す図である。本実施形態のコンピューティングデバイス10は、大型のタッチパネルディスプレイ20を備えるタブレット端末であることを想定している。タッチパネルディスプレイ20は、複数箇所における指のタッチを感知するマルチタッチ機能を備えているものとする。なお、本実施形態では、タッチパネルディスプレイ20に接触するのは手の指であることを想定するが、指以外の物体の接触を検知するようにしてもよい。
【0024】
==コンピューティングデバイス10の構成==
図2は、コンピューティングデバイス10のハードウェア構成例を示す図である。コンピューティングデバイス10は、タッチパネルディスプレイ20、CPU101、メモリ102、フラッシュメモリ103、ディプレイコントローラ104、音声コントローラ105、スピーカ106を備えている。フラッシュメモリ103は、各種のデータやプログラムを記憶する記憶装置である。本実施形態では、フラッシュメモリ103には、1つ以上のアプリケーションプログラムと、アプリケーションプログラムを制御する制御プログラムとが記憶されているものとする。フラッシュメモリ103に代えて、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブなどの記憶装置を採用してもよい。CPU101は、フラッシュメモリ103に記憶されている制御プログラムやアプリケーションプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。ディスプレイコントローラ104は、タッチパネルディスプレイ20への情報の表示やタッチパネルディスプレイ20における指のタッチを検出する。音声コントローラ105は音データをスピーカ106から再生する。
【0025】
図3は、コンピューティングデバイス10のソフトウェア構成例を示す図である。コンピューティングデバイス10は、コンテンツ表示部111、スワイプ検出部112、表示制御部113、音データ再生部114、再生制御部115を備える。
【0026】
コンテンツ表示部111は、各種のコンテンツを表示する。コンテンツ表示部111は、例えば電子メールを閲覧するソフトウェア、スケジュール管理を行うソフトウェア、ゲームソフトウェアなどである。コンテンツ表示部111は、CPU101がフラッシュメモリ103に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。コンテンツ表示部111からの出力はディスプレイコントローラ104を介してタッチパネルディスプレイ20に表示される。
【0027】
スワイプ検出部112(本発明の「スワイプ検出部」及び「タッチ検出部」に該当する。)は、タッチパネルディスプレイ20上での操作を取得する。スワイプ検出部112は、CPU101がフラッシュメモリ103に記憶されている制御プログラムを実行することにより実現される。具体的には、スワイプ検出部112は、タッチパネルディスプレイ20上に指が接触されたこと(タッチ)、指がタッチパネルディスプレイ20に接触したままスライドされたこと(スワイプ)、タッチされたタッチパネルディスプレイ20上の位置、タッチされている時間、スワイプが開始されたタッチパネルディスプレイ20上の位置、スワイプされた方向、スワイプされた距離(以下、「スワイプ量」という。)を測定する。なお、スワイプ検出部112は、ディスプレイコントローラ104から所定時間ごとにタッチパネル20におけるタッチ位置を取得して、タッチ及びスワイプの位置や量などを測定するものとするが、ディスプレイコントローラ104がタッチ及びスワイプの位置や量を測定するように構成することもできる。
【0028】
表示制御部113は、タッチ及びスワイプに応じて、コンテンツ表示部111によるコンテンツの表示を制御する。表示制御部113も、CPU101がフラッシュメモリ103に記憶されている制御プログラムを実行することにより実現される。表示制御部113は、例えば、タッチやスワイプに応じたイベントを発生させ、コンテンツ表示部111が当該イベントに応じたコンテンツの表示を行うようにすることができる。なお、表示制御部113がコンテンツ表示部111を制御する方式については、一般的なものを採用することができる。表示制御部113は、タッチパネルディスプレイ20上に設定される特別な領域(以下、「制御領域」という。)におけるスワイプ又はタッチに応じてコンテンツの表示を制御する。
【0029】
音データ再生部111は、音楽などの音データを再生する。音データ再生部111は、CPU101がフラッシュメモリ103に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。音データ再生部114は、例えば音楽再生ソフトウェアなどである。音データ再生部111は、音声コントローラ105を制御することでスピーカ106から音声が再生されるようにする。
【0030】
再生制御部115は、タッチに応じて音データの再生、停止、早送り、巻き戻し、一時停止などを行うように音データ再生部111を制御する。再生制御部115は、CPU101がフラッシュメモリ103に記憶されている制御プログラムを実行することにより実現される。表示制御部113は、例えば、タッチに応じたイベントを発生させ、音データ再生部111が当該イベントに応じて、音データを変更し、音データの再生又は停止を行い、あるいは再生位置を変更するようにすることができる。
【0031】
==制御領域==
図4は、タッチパネルディスプレイ20上に設定される制御領域を説明するための図である。本実施形態では、制御領域はユーザの親指でタッチ又はスワイプされることを想定している。タッチパネルディスプレイ20には、コンテンツ表示領域201と、主スワイプ領域211及び212(本発明の「第1及び第2の制御領域」に該当する。)、副スワイプ領域221及び222(本発明の「第3及び第4の制御領域」に該当する。)ならびにタッチ領域231及び233の制御領域と、が設定される。
【0032】
コンテンツ表示領域201には、コンテンツ表示部111によりコンテンツが表示される。
【0033】
主スワイプ領域211及び212は、スワイプを検知する領域であり、タッチパネルディスプレイ20の側部及び下端部の間の左右の角部近傍に設けられる。主スワイプ領域211及び212はそれぞれ、点202及び203を中心とした扇形から、その内部に設けられる扇形の不反応領域204及び205(本発明の「扇形領域」に該当する。)を除いた領域である。点202及び203は、ユーザがコンピューティングデバイス10を両手で保持しながら左右の親指31又は32をタッチパネルディスプレイ20上でスワイプする場合に、親指31及び32がそれぞれ旋回する中心となる点である。なお、点202及び203はタッチパネルディスプレイ20の角部に限らず、角部からずらした位置としてもよいし、ユーザごとに設定してもよい。表示制御部113は、主スワイプ領域211及び212におけるスワイプに応じてコンテンツの表示を制御するが、不反応領域204及び205におけるタッチやスワイプは無視する。通常スワイプは親指31及び32の先端部分で行われるが、ユーザがコンピューティングデバイス10を両手で保持している間には、ユーザが意図することなく親指31又は32の根本部分がタッチパネルディスプレイ20にタッチしてしまうこともある。これに対して、不反応領域204及び205におけるタッチやスワイプを無視することにより、誤作動を防止することができる。
【0034】
副スワイプ領域221及び222は、スワイプを検知する領域であり、タッチパネルディスプレイ20の左右の側部近傍に設けられる。副スワイプ領域221及び222は、ユーザがコンピューティングデバイス10を保持する両手の位置を変えることなく、側部沿いに親指31及び32が到達可能な範囲に設けられるものとする。
【0035】
タッチ領域231及び232は、タッチを検知する領域であり、タッチパネルディスプレイ20の下端部の主スワイプ領域211及び212近傍に設けられる。タッチ領域231及び232も、ユーザがコンピューティングデバイス10を保持する両手の位置を変えることなく、下端部沿いに親指31及び32が到達可能な範囲に設けられるものとする。
【0036】
以下、表示制御部113によるコンテンツの表示制御処理について説明する。
【0037】
==2つのコンテンツのスクロール==
まず、主スワイプ領域におけるスワイプに応じた制御について説明する。
図5は、2つのペイン401及び402に表示されたコンテンツの制御について説明する図である。2つのペイン401及び402にコンテンツが表示される場合とは、例えば、コンテンツ表示部111が電子メール閲覧ソフトウェアやニュースリーダ、ファイル管理ソフトウェアである場合である。表示制御部113は、主スワイプ領域211又は212のいずれかにおけるスワイプに応じて、ペイン401又は402のいずれかのコンテンツをスクロールする。例えば、表示制御部113は、左の主スワイプ領域212がスワイプされた場合には、スワイプ方向406に応じて、左側のペイン401に表示されたコンテンツを上下方向403にスクロールさせ、右の主スワイプ領域211がスワイプされた場合には、スワイプ方向405に応じて、右側のペイン402に表示されたコンテンツを上下方向404にスクロールさせる。また、表示制御部113は、コンテンツのスクロール量もスワイプ量に応じて変化させるようにすることができる。このようにして、ユーザは両手でコンピューティングデバイス10を保持したまま親指31及び32をスワイプさせることで、容易に左右のペイン401及び402に表示されたコンテンツをそれぞれスクロールさせることができる。
【0038】
==上下左右スクロール==
図6は、コンテンツ411を上下左右にスクロールさせる制御について説明する図である。表示制御部113は、主スワイプ領域211及び212におけるスワイプに応じて上下左右にコンテンツ411をスクロールさせるように表示制御部113を制御する。例えば、表示制御部113は、左の主スワイプ領域212がスワイプされた場合には、上下方向412にコンテンツ411をスクロールさせ、右の主スワイプ領域211がスワイプされた場合には、左右方向413にコンテンツ411をスクロールさせる。表示制御部113は、スワイプ量に応じてスクロール量も変化させる。このようにして、ユーザは両手でコンピューティングデバイス10を保持したまま親指31及び32をスワイプさせることで、容易にコンテンツ411を上下左右にスクロールさせることできる。
【0039】
==スクロール量の大小==
図7は、コンテンツ421を上下にスクロール量を変えてスクロールさせる制御について説明する図である。表示制御部113は、主スワイプ領域211及び212におけるスワイプに応じて上下にコンテンツ421をスクロールさせるように表示制御部113を制御する。ここで、表示制御部113は、主スワイプ領域211がスワイプされた場合と、主制御領域212がスワイプされた場合とでは、スワイプ量が同じであっても、スクロール量が変わるようにする。例えば、表示制御部113は、左の主制御領域212が1単位のスワイプ量だけスワイプされた場合にスクロールするスクロール量422は、右の主スワイプ領域211が1単位のスワイプ量だけスワイプされた場合にスクロールするスクロール量423よりも大きくなるようにコンテンツ421をスクロールする。これにより、ユーザは両手でコンピューティングデバイス10を保持したまま親指31及び32をスワイプさせることで、コンテンツ421を容易に上下にスクロールさせることができる。また、左右のスワイプでスクロール量が異なるため、大量のスクロールが必要なコンテンツ421を表示させる場合でも、容易にコンテンツ421の表示位置を設定することが可能となる。
【0040】
==拡大縮小==
図8は、コンテンツ431を拡大縮小する制御について説明する図である。表示制御部113は、主スワイプ領域211及び212の両方において、軸436に対して対称の方向に、ほぼ同じスワイプ量(スワイプ量の差が所定の閾値以下)だけスワイプ(以下、「ミラースワイプ」という。)された場合、コンテンツ431を拡大又は縮小する。
図8の例では、表示制御部113は、軸436に近づく方向434にミラースワイプされた場合には、矢印432に示すようにコンテンツ431を縮小し、軸436から離れる方向435にミラースワイプされた場合には、矢印433に示すようにコンテンツ431を拡大する。表示制御部113は、スワイプ量に応じて拡大又は縮小の比率が変わるようにする。このようにして、ユーザは両手でコンピューティングデバイス10を保持したまま親指31及び32をミラースワイプさせることにより、容易にコンテンツ431の拡大又は縮小をすることができる。
【0041】
==コンテンツの変更==
次に、副スワイプ領域221及び222におけるスワイプに応じた制御について説明する。
図9は、2つのコンテンツ501及び502を切り替える制御について説明する図である。表示制御部113は、副スワイプ領域221及び222の両方においてスワイプが同じ方向504にされた場合、コンテンツ501及び502を切り替える。表示制御部113は、スワイプの方向504に合わせて、コンテンツ501及び502を上下方向503に移動しながら切り替える。このようにして、ユーザは両手でコンピューティングデバイス10を保持したまま、親指31及び32を副スワイプ領域221及び222で同じ方向にスワイプさせることにより、容易にコンテンツ501及び502の切り替えを行うことができる。
【0042】
==コンテンツの回転==
図10は、コンテンツ511を回転させる制御について説明する図である。表示制御部113は、副スワイプ領域221及び222においてスワイプが反対の方向513及び514にされた場合、コンテンツ511を回転する。なお、コンテンツ511は、表示領域201に表示されるコンテンツの全てであってもよいし、コンテンツの一部として表示されている図形等のオブジェクトであってもよい。
図10の例では、左の副スワイプ領域222において上方向513にスワイプがされるとともに、右の副スワイプ領域221において下方向514にスワイプがされると、表示制御部113は、コンテンツ511を時計周り方向512に回転する。副スワイプ領域222及び221においてそれぞれ方向513及び514と逆方向にスワイプされた場合には、表示制御部113は、コンテンツ511を方向512と逆の反時計回り方向に回転する。表示制御部113は、スワイプ量に応じて回転量も変化させる。このようにして、ユーザは両手でコンピューティングデバイス10を保持したまま、親指31及び32を副スワイプ領域221及び222で逆方向にスワイプさせることにより、容易にコンテンツ511を回転させることができる。
【0043】
==再生制御==
次に、タッチ領域231及び232におけるタッチに応じた制御について説明する。
図11は、音声データの再生制御に用いられる画面を説明する図である。再生制御部115は、タッチ領域231及び232におけるタッチに応じて再生制御部115を制御することにより音データの再生を制御する。再生制御部115は、タッチ領域231又は232のいずれかのみがタッチされた場合と、両方タッチされた場合とで制御を変更する。例えば、再生制御部115は、右側のタッチ領域231のみがタッチされた場合は再生中の音データを所定の通常スピードで早送りし、左側のタッチ領域232がタッチされている間に右側のタッチ領域231がタッチされた場合には、通常スピードよりも速いスピード(早送りをフレーム単位に変更するなど)で早送りをするようにすることができる。また、先にタッチ領域231がタッチされて早送りが行われている間にタッチ領域232がタッチされた場合には、再生制御部115は、通常スピードよりも遅いスピードで早送りするようにすることもできる。また、早送りモードと巻き戻しモードとを切り替え可能とし、巻き戻しモードにおいて、再生制御部115は、左側のタッチ領域232のみがタッチされた場合は再生中の音データを通常スピードで巻き戻し、右側のタッチ領域231がタッチされている間にタッチ領域232がタッチされた場合には通常スピードよりも速いスピードで巻き戻しを行うようにしてもよい。さらに、早送りや巻き戻しに限らず、シャッフル再生や倍速再生などについても、再生制御部115は、タッチ領域231及び232のいずれか一方のみがタッチされた場合と、両方がタッチされた場合とで異なる制御を行うようにすることができる。
【0044】
==サブコンテンツ==
図12は、表示されているコンテンツ531に関連するコンテンツ(以下、「サブコンテンツ」という。)532を表示する制御について説明する図である。表示制御部113は、タッチ領域231及び232におけるタッチに応じて、コンテンツ531に関連するサブコンテンツ532を表示する。
図12の例では、コンテンツ531が表示されているときに、タッチ領域231及び232が両方タッチされると、表示制御部113は、サブコンテンツ532をポップアップさせ、コンテンツ531の上に重畳表示する。サブコンテンツ532は、例えばコンテンツ531のメタ情報を表示するコンテンツなどである。表示制御部113は、例えばコンテンツ531として写真データを表示している場合に、サブコンテンツ532として当該写真データのEXIF情報をポップアップしたり、コンテンツ531として電子メールを表示している場合に、サブコンテンツ532として差出人のアドレス情報を表示したりすることができる。このようにして、ユーザはコンピューティングデバイス10を両手で保持したまま、親指31及び32をタッチ領域231及び232にタッチすることにより、表示されているコンテンツ531に関するサブコンテンツ532を容易に視認することができる。
【0045】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10 コンピューティングデバイス
20 タッチパネルディスプレイ
101 CPU
102 メモリ
103 フラッシュメモリ
104 ディスプレイコントローラ
111 コンテンツ表示部
112 スワイプ検出部
113 表示制御部
201 コンテンツ表示領域
211、212 主スワイプ領域
221、222 副スワイプ領域
231、232 タッチ領域