【実施例】
【0052】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0053】
(実施例1)
まず、70質量部のポリスチレン樹脂(DIC社製の商品名「XC−515」)と、30質量部のポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)及びポリスチレン系樹脂(PS)の混合樹脂(SABIC社製の商品名「ノリルEFN4230」 PPE/PS=70/30)とからなる樹脂組成物100質量部に対し、1質量部の造核剤(東洋スチレン社製の商品名「DSM1401A」)と、0.5質量部の消臭剤(東亞合成社製の商品名「ケスモンNS−100」)とを、直径115mmの第1押出機に投入して270℃で加熱して溶融混練した。
【0054】
次に、第1押出機の途中に配置された注入口から、イソブタンとノルマルブタンとを有する発泡剤(ブタンガス)を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂の樹脂混合物100質量部に対して、3.0質量部の割合で第1押出機に圧入してこれらを混合した。
【0055】
次に、造核剤及び発泡剤と混練された樹脂組成物を第1押出機から直径180mmの押出機に供給し、樹脂組成物(発泡剤含有ポリスチレン系樹脂組成物)を184℃まで冷却した後、サーキュラーダイを通して押出発泡した。さらに、発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を1.2m
3/分にするとともに、発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を1.5m
3/分として、押出直後の発泡体の外側および内側にエアを吹き付けて冷却し、ポリスチレン系樹脂発泡体を得た。この筒状のポリスチレン系樹脂発泡体を冷却マンドレルに沿わせて冷却した後に、押出方向に沿って切断し、坪量220g/m
2、厚み2.05mm、幅1050mmのポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0056】
(実施例2)
ポリスチレン樹脂として東洋スチレン社製の商品名「HRM18」を用いた点及び樹脂温度を180℃にした点以外は実施例1と同様にして実施例2のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0057】
(実施例3)
発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を1.0m
3/分とした点及び発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を0.5m
3/分とした点以外は実施例1と同様にして実施例3のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0058】
(実施例4)
発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を0.5m
3/分とした点及び発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を0.4m
3/分とした点以外は実施例1と同様にして実施例4のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0059】
(実施例5)
造核剤を1.4質量部とした点以外は実施例1と同様にして実施例5のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0060】
(実施例6)
造核剤を0.7質量部とした点以外は実施例1と同様にして実施例6のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0061】
(比較例1)
ポリスチレン樹脂として東洋スチレン社製の商品名「G100C」を用いた点以外は実施例1と同様にして比較例1のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0062】
(比較例2)
樹脂温度を193℃にした点以外は実施例1と同様にして比較例2のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0063】
(比較例3)
発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を1.4m
3/分とした点及び発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を0.3m
3/分とした点以外は実施例1と同様にして比較例3のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0064】
(比較例4)
発泡体の内部に配置された空冷リングの風量を0.6m
3/分とした点及び発泡体の外部に配置された空冷リングの風量を2.3m
3/分とした点以外は実施例1と同様にして比較例4のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0065】
(比較例5)
造核剤を1.8質量部とした点以外は実施例1と同様にして比較例5のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0066】
(比較例6)
造核剤を0.4質量部とした点以外は実施例1と同様にして比較例6のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0067】
(比較例7)
ポリスチレン樹脂として東洋スチレン社製の商品名「HRM30」を用いた点以外は実施例1と同様にして比較例7のポリスチレン系樹脂発泡シートを製造した。
【0068】
(測定方法)
実施例1〜6及び比較例1〜7のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、分子量Mwを以下のようにGPCにより測定した。この結果を下記の表1に記載する。
具体的には、測定装置として東ソー社製のHPLC(ポンプDP−8020、オートサンプラーAS−8020、検出器UV−8020,RI−8020)を用い、カラムとしてShodex社製のGPC K−806L×2(試験数2)を用いた。測定条件としては、カラム温度を40℃とし、移動相をクロロホルムとし、移動相流量を1.2mL/分とし、ポンプ温度を室温とし、測定時間を25分とし、検出器をRIとし、注入量を50μLとし、内部標準法(0.1重量%BHT)を用いた。
製造した各々のポリスチレン系樹脂発泡シートから10mgの試験体をそれぞれ形成し、0.1重量%のBHTを含有したクロロホルム4mLで試験体の各々を溶解し、非水系0.45μmクロマトディスクで濾過し、浸透時間を測定した。浸透時間は、完全溶解するまでの時間とした各々の浸透時間とし、0.1重量%BHTの分子量から、実施例1〜6及び比較例1〜7のポリスチレン系樹脂発泡シートの分子量を求めた。
【0069】
また、実施例1〜6および比較例1〜6のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、連続気泡率、裏面層の密度に対する表面層の密度の比(A/B)、および厚み方向の気泡径について以下のように測定した。なお、比較例7は押出圧力が高かったため、外観の良好な発泡体が得られず、評価できなかった。これらの結果を下記の表1に記載する。
【0070】
<連続気泡率>
連続気泡率は、空気比較式比重計(東京サイエンス(株)製)を用いて測定される、ポリスチレン系樹脂発泡シートの試験体の体積から、下記式により算出した。
連続気泡率(%)=(V
0−V)/V
0×100
なお、上記式において、Vは上述した方法で測定される試験体の体積(cm
3)、V
0は測定に使用した試験体の外形寸法から計算される試験体の見掛けの体積(cm
3)である。
【0071】
<密度の比>
密度の比(A/B)は、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置でスライスするとともに、裏面から表面に向けて200μmの深さ位置でスライスして、それらのスライス片の平均密度をJIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に基づいて測定することで、各々の密度A、Bの値を求め、その値からA/Bを求めた。
なお、裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度をBとし、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度をAとした。また、裏面とは、冷却マンドレルに接触する面とし、表面とは、冷却マンドレルに接触する面と反対側の面とした。表面及び裏面の算術平均粗さRaを表2に記載する。
表面及び裏面の粗さRaは、JIS B 0601−1994「表面粗さ−定義及び表示」に準じて、以下の条件で測定した。装置:非接触輪郭形状 粗さ測定システム キーエンス社製MAP−2DS、測定範囲:20000μm、測定ピッチ:20μm、速度:500μm/秒、評価長さ(ln):12.5mm、カットオフ(l):2.5mm、測定箇所:シート表裏面MD方向(押出方向)、TD方向(押出方向に直交し且つシート面に沿った方向)、平均フィルター:4、ノイズフィルター:1 表側MD方向、TD方向の各n=3で測定し、全平均値をとった。
【0072】
<厚み方向の気泡径>
厚み方向の気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠し測定した。具体的には、まず、試験用の発泡シート試料を、押出方向に直交する平面に沿って切断し、また、押出方向及び厚み方向に広がる平面に沿って切断し、それぞれの切断面厚み方向の両外側1/10の部分を除いた部分につき、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3000N」)を用いて17〜20倍、必要に応じて最大200倍に拡大して撮影した。撮影した4つの画像をそれぞれA4用紙上に印刷して、MD方向(押出方向)、TD方向(押出方向に直交し且つシート面に沿った方向)、VD方向(厚み方向)の各方向に沿った平行な線分(長さ60mm)を各A4用紙につき6ヶ所引いた。斯かる線分に重なる気泡の数から、各方向における気泡の平均弦長(t)を下記式(1)により算出した。ただし、線分は、できる限り気泡が接点でのみ接しないように引き、接してしまった場合は、気泡数に含めることとした。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)・・・(1)
そして、下記式(2)により、各方向における気泡径を算出した。
D=t/0.616・・・(2)
さらに、上記のように測定した各気泡径(D
MD、D
TD、D
VD)に基づいて、平均気泡径を下記式(3)により算出した。
平均気泡径(mm)=(D
MD+D
TD+D
VD)/3・・・(3)
なお、試験用の発泡シート試料の厚みが薄く、VD方向に60mm長さ分の線分を引くことができない場合は、30mm又は20mm長さの線分に重なる気泡数を数えて、60mm長さ線分における気泡数に換算する。
【0073】
(評価方法)
また、実施例1〜6および比較例1〜6のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、圧縮割れの発生率及びフィルムインパクトテスター衝撃強度を測定した。これらの結果を下記の表1に記載する。なお、比較例7は押出圧力が高かったため、外観の良好な発泡体が得られず、評価できなかった。
【0074】
<圧縮割れの発生率>
圧縮割れの発生率は、以下のように測定した。製造した各々のポリスチレン系樹脂発泡シートを一定期間養生した後、片面(作製する容器の内側となる面)に接着剤を積層した無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム40μm(接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム層=2μm/40μm、合計42μm)をドライラミネートし、さらに反対面(作製する容器の外側となる面)に弱延伸PSフィルム(CPSフィルム40μm)を熱ラミネートして積層シートを作製した。そして、各々の積層シートを用いて開口部直径155mm、底部直径120mm、高さ65mm(1ショットが5×4=20個)の食品用丼容器を熱成型した。各々の容器をテンシロンにて、リップ部MD方向(押出方向)およびTD方向(MD方向と直交する方向)にそれぞれ20個(合計40個)を30mm圧縮したときのリップ部の割れの発生率を測定した。
【0075】
<フィルムインパクトテスター衝撃強度>
フィルムインパクトテスター衝撃強度は、安田精機製作所のフィルムインパクトテスターを用いて、衝撃球面0.5インチ半球にて測定した。
【0076】
<容器変形発生率>
上記圧縮割れの発生率の測定の際に熱成型した食品用丼容器に100gのサラダ油を入れ、1500W電子レンジで70秒加熱し、サラダ油を廃棄した後、容器開口部直径が5mm以上変形したものを不良(NG)とし、このNG品の発生率を測定した。なお、サラダ油の温度は約120℃とした。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
(評価結果)
表1に示すように、本発明の範囲内の実施例1〜6のポリスチレン系発泡シートは、分子量が本発明の範囲外の比較例1、連続気泡率が本発明の範囲外の比較例2および比較例5、裏面層の密度に対する表面層の密度の比が本発明の範囲外の比較例3および比較例4、および気泡径が本発明の範囲外の比較例5および6に比べて、圧縮割れ発生率を0%に低減できるとともに、フィルムインパクトテスター強度を6.3kg/cm以上に向上することができた。
【0080】
また、本発明の範囲内の実施例1〜6のポリスチレン系発泡シートは、外観が良好であり、圧縮割れ発生率およびフィルムインパクトテスター衝撃強度を向上した製品として実現できたが、分子量が本発明の上限を超えた比較例7は押出圧力が高かったため、外観の良好な発泡体が得られず、製品として実現できなかった。
【0081】
以上より、本実施例によれば、分子量が160000以上310000以下であり、且つ連続気泡率が20%未満であり、且つ裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度に対する、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度が、0.77以上1.30以下であり、且つ厚み方向の気泡径が100μm以上400μm以下であることにより、シート発泡倍率が低くなることに起因した割れや、食品用容器の形状に起因した圧縮による割れを抑制できることが確認できた。
【0082】
また、表2に示すように、表面の粗さRaは、裏面の粗さRaよりも大きかった。粗さRaが相対的に大きい表面を含む表面層の密度をAとし、粗さRaが相対的に小さい裏面を含む裏面層の密度をBとしたときに、表1の容器変形発生率に示すように、A/Bが1.01以上1.30以下の実施例1、2、5、6は、容器内面に配置されるシートの密度を高くすることで、内面側の耐熱性を高めることができたので、容器の変形を抑制することができた。この結果から、分子量が160000以上310000以下であり、且つ連続気泡率が20%未満であり、且つ粗さRaが相対的に大きい面を表面とし、Raが相対的に小さい面を裏面としたときに、裏面から表面に向けて200μmの深さ位置までの裏面層の密度に対する、表面から裏面に向けて200μmの深さ位置までの表面層の密度が、1.01以上1.30以下であり、且つ厚み方向の気泡径が100μm以上400μm以下であることにより、割れを抑制できると共に、成形する容器の変形を抑制できることがわかった。
【0083】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。