【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る機器導通状況図式化システムの基本構成を示したブロック図である。この機器導通状況図式化システムは、インターネットやイントラネットで標準的に使われる通信プロトコルのTCP/IP通信が可能なネットワーク上で利用端末が物理的に接続されているネットワーク上に存在する機器を稼動・非稼働に依らずに検出した導通確認結果をネットワーク構成図として図式化するものである。
【0017】
具体的に云えば、ここでの利用端末は、DHCP構成情報をファイル化したDHCP構成情報用ファイル111を内部のDHCPサーバ処理装置110に保有するDHCPサーバ端末109と、ネットワーク経由でDHCPサーバ端末109から取得したDHCP構成情報、内部のパケットキャプチャ情報用ファイル105にファイル化して保有する取得したパケットの情報であるパケットキャプチャ情報、及び内部のARPテーブル情報用ファイル106にファイル化して保有するIPアドレスからイーサネットの物理アドレス(MACアドレス)を動的に得るための対照表を示すARPテーブル情報に基づいて機器の導通確認対象となるものを抽出し、抽出した機器についてのIPアドレスをパラメータに設定することで導通確認パラメータを作成する導通確認パラメータ作成処理部102、導通確認パラメータに基づいて自機器及び確認対象である相手先機器を示す機器の通信経路情報と機器の導通状況とを取得した結果から結果リストを作成してファイル化して結果リスト用ファイル107として保有する導通確認処理部103、並びに結果リスト用ファイル107の結果リストに基づいてネットワーク構成図を作成してファイル化してネットワーク構成図用ファイル108として保有すると共に、ネットワーク構成図を出力するネットワーク構成図出力処理部104を含むシステム操作端末100と、を備えている。
【0018】
このうち、導通確認パラメータ作成処理部102、導通確認処理部103、並びにネットワーク構成図出力処理部104は、合わせてシステム操作端末100におけるシステム処理装置101内に設けられる。また、導通確認処理部103では、通信経路情報を確認するツール名「traceroute」のツールを実行することにより結果リストを作成する。ツール名「traceroute」のツールは、自機器と相手先機器の通信経路を確認するツールであり、具体的には入力情報として疎通確認対象のIPアドレス又はホスト名を指定するものである。
【0019】
上述した機器導通状況図式化システムにおいて、システム操作端末100のシステム処理装置101内に設けられた導通確認パラメータ作成処理部102、並びにパケットキャプチャ情報用ファイル105と、システム操作端末100を管理するためのDHCPサーバ端末109のDHCPサーバ処理装置110が保有するDHCP構成情報用ファイル111とが合わせて入力部となる。
【0020】
パケットキャプチャ情報用ファイル105は、パケットキャプチャの結果がファイル出力されたパケットキャプチャ情報を保有する。ARPテーブル情報用ファイル106は、システム操作端末100でファイル出力されたARPテーブルの登録内容を示すARPテーブル情報を保有する。DHCP構成情報用ファイル111は、DHCPサーバ端末109でファイル出力されたDHCPサーバ処理装置110の構成内容を示すDHCP構成情報を保有する。そこで、導通確認パラメータ作成処理部102では、これらのDHCP構成情報、パケットキャプチャ情報、及びARPテーブル情報に基づいて導通確認対象となる機器を抽出し、そのIPアドレスをパラメータに設定して導通確認パラメータを作成する。
【0021】
また、システム操作端末100のシステム処理装置101内に設けられた導通確認処理部103、並びに結果リスト用ファイル107が合わせて処理部となる。ここでの導通確認処理部103は、導通確認パラメータ作成処理部102で作成された導通確認パラメータから結果リストを作成して結果リスト用ファイル107へ出力し、結果リスト用ファイル107が結果リストを保有する。
【0022】
更に、システム操作端末100のシステム処理装置101内に設けられたネットワーク構成図出力処理部104、並びにネットワーク構成図用ファイル108が合わせて出力部となる。ここでのネットワーク構成図出力処理部104は、結果リスト用ファイル107の結果リストに基づいてネットワーク構成図を作成してネットワーク構成図用ファイル108へ出力し、ネットワーク構成図用ファイル108がネットワーク構成図を保有する。
【0023】
尚、
図1に示す機器導通状況図式化システムでは、システム操作端末100とDHCPサーバ端末109とがネットワーク上で利用端末として接続された構成を説明したが、システム操作端末100だけを利用端末として構成することも可能である。前者の場合、導通確認パラメータ作成処理部102における入力情報はパケットキャプチャ情報、ARTテーブル情報、DHCP情報の3種であるが、後者の場合にはパケットキャプチャ情報、ARPテーブル情報の2種となる。
【0024】
実施例1に係る機器導通状況図式化システムは、DHCP情報、パケットキャプチャ情報、及びARTテーブル情報を利用することで、機器情報(IPアドレスや機器名称)の入力作業を不要とし、本システムの利用端末が属さないネットワークセグメント上の機器や非稼動である機器の検出を行うことができる。
【0025】
図2は、実施例1に係る機器導通状況図式化システムを適用したネットワークセグメントの構成例を示したブロック図である。
【0026】
ここでのネットワークセグメントの構成は、実施例1に係る機器導通状況図式化システムの利用端末としてのシステム操作端末100及びDHCPサーバ端末109を含んでそれに属する第1のネットワークセグメント200とそれに属さない第2のネットワークセグメント205とが中継通信機器としてのルータ204により接続されたものである。
【0027】
実施例1に係る機器導通状況図式化システムのシステム操作端末100及びDHCPサーバ端末109は、それが属する第1のネットワークセグメント200からそれが属さない第2のネットワークセグメント205内における各種機器の検出が可能な適用範囲の広い機能を特色とする。
【0028】
第1のネットワークセグメント200におけるDHCPクライアント端末201は、dDHCPサーバ端末109からIPアドレスを取得する端末である。パケットキャプチャ処理で検出した端末202は、システム操作端末100で実施されるパケットキャプチャ処理で検出される端末である。ARPテーブル情報から検出した端末203は、システム操作端末100のARPテーブルに機器情報が登録されている端末である。
【0029】
第2のネットワークセグメント205におけるDHCPクライアント端末206は、ルータ204を経由して第1のネットワークセグメント200におけるDHCPサーバ端末109からIPアドレスを取得する端末である。パケットキャプチャ処理で検出した端末207は、ルータ204を経由して第1のネットワークセグメント200におけるシステム操作端末100で実施されるパケットキャプチャ処理で検出される端末である。
【0030】
図3は、実施例1に係る機器導通状況図式化システムに備えられるシステム操作端末100のシステム処理部101の動作処理を示したフローチャートである。
【0031】
システム処理部101の動作処理では、まず導通確認パラメータ作成処理部102がDHCP構成情報用ファイル111、パケットキャプチャ情報用ファイル105、ARPテーブル情報用ファイル106を参照し、それらのDHCP構成情報、パケットキャプチャ情報、及びARPテーブル情報に基づいて導通確認パラメータを作成する導通確認パラメータ作成処理(ステップS301)を行う。
【0032】
次に、導通確認処理部103が作成された導通確認パラメータに基づいて結果リストを作成する導通確認処理(ステップS302)を行い、その結果リストを結果リスト用ファイル107へ出力して保有させる。
【0033】
更に、ネットワーク構成図出力処理部104が結果リスト用ファイル107からの結果リストに基づいてネットワーク構成図を作成してネットワーク構成図用ファイル108へ出力するネットワーク構成図出力処理(ステップS303)を行い、ネットワーク構成図用ファイル108にネットワーク構成図を保有させて動作処理を終了する。
【0034】
図4は、導通確認パラメータ作成処理部102における導通確認パラメータ作成処理を示したフローチャートである。この導通確認パラメータ作成処理は、導通確認パラメータの作成を目的とする。
【0035】
そこで、導通確認パラメータ作成処理では、まず導通確認パラメータ作成処理部102がパケットキャプチャ処理(ステップS401)を行い、パケットキャプチャ情報を生成してパケットキャプチャ情報用ファイル105へ出力して保有させる。このパケットキャプチャ処理(ステップS401)は、後述するARPテーブル情報設定処理(ステップS404)が完了するまで継続して情報を収集し、パケットキャプチャ結果設定処理(ステップS405)によりパケットキャプチャ情報から取得した機器のIPアドレスをパラメータに設定することで導通確認パラメータを作成するものである。
【0036】
次に、導通確認パラメータ作成処理部102は、DHCP構成情報用ファイル111からのDHCP構成情報によりDHCP機能を利用している端末の機器情報をパラメータに設定するDHCP構成情報設定処理(ステップ402)を行った後、システム端末が属するネットワークセグメントの全ホストアドレスを入力としてツール名「ping」のツールを実行するping処理(ステップ403)を行うことにより、ARPテーブル情報を生成し、ARPテーブル情報用ファイル106に保有させる。
【0037】
更に、導通確認パラメータ作成処理部102は、ARPテーブル情報用ファイル106からのARPテーブル情報によりシステム端末が属するネットワークセグメントの機器のIPアドレスをパラメータに設定するARPテーブル情報設定処理(ステップS404)を行う。尚、ここでは上述したDHCP構成情報設定処理(ステップS402)で既に設定済みの場合には設定を行わない。
【0038】
最後に、導通確認パラメータ作成処理部102は、パケットキャプチャ情報用ファイル105からのパケットキャプチャ情報により取得した機器のIPアドレスをパラメータに設定することで導通確認パラメータを作成するパケットキャプチャ結果設定処理(ステップS405)を行った後、動作処理を終了する。
【0039】
図5は、導通確認処理部103における導通確認処理を示したフローチャートである。この導通確認処理は、機器の導通状況と経路情報とを取得することを目的とする。
【0040】
そこで、導通確認処理では、まず導通確認処理部103が処理対象となる機器のIPアドレス情報を取得する導通確認パラメータ読込処理(ステップS501)を行った後、前処理で取得したIPアドレスを入力として、ツール名「traceroute」のツールを実行するtracert処理(ステップS502)を行う。
【0041】
更に、導通確認処理部103は、ツールの実行結果により機器の導通状況と経路情報とを結果リストとして作成し、その結果リストを結果リスト用ファイル107へ出力して保有させる結果リスト作成処理(ステップS503)を行って動作処理を終了する。
【0042】
図6は、ネットワーク構成図出力処理部104におけるネットワーク構成図出力処理を示したフローチャートである。このネットワーク構成図出力処理は、導通状況と稼働状況とが識別可能なネットワーク構成図を作成して出力することを目的とする。
【0043】
ネットワーク構成図出力処理では、まずネットワーク構成図出力処理部104が結果リスト用ファイル107からの結果リストにより導通状況と経路情報とを読み込む結果リスト読込処理(ステップS601)を行い、ネットワーク構成図の構成要素となる機器情報と機器間の接続情報とを取得する。
【0044】
更に、ネットワーク構成図出力処理部104は、機器情報及び接続情報に基づいて機器と機器間の接続とを図式化し、ネットワーク構成図を作成してネットワーク構成図用ファイル108へ出力して保有させるネットワーク構成図作成処理(ステップS602)を行ってから動作処理を終了する。
【0045】
図7は、上述したネットワーク構成図出力処理で得られた出力情報であるネットワーク構成図のサンプルを例示した模式図である。但し、ここでのサンプルは、画像処理化されてシステム操作端末100に付設される表示装置の表示画面上に表示されるものとする。
【0046】
このネットワーク構成図のサンプルでは、各機器を丸形ノード、セグメントを四角形ノード、セグメントの中継機器を丸の中に×を記述した形のノードで表示している。また、ノードの内側に表示している文字は、IPアドレスやセグメント情報である。ここではノードの色、エッジ(ノードを結ぶ線)の種類を使い分けることにより、導通状況や稼働状況を識別可能とすることができる。例えばノードが白色であれば導通可能を示し、ノードが灰色であれば導通不可を示し、エッジが実線であれば稼働を示し、エッジが破線であれば非稼働を示す場合を例示できる。
【0047】
以上に説明した実施例1に係る機器導通状況図式化システムは、ツール名「ping」や「traceroute」を単独で利用する手法と比較すると、DHCP構成情報、パケットキャプチャ情報、ARPテーブル情報を入力とすることで、機器情報(IPアドレスや機器名称)を1台分ずつ入力する作業が不要となり、入力データ量が導通確認対象数に依存しないため、確認対象が多数存在する場合についても、入力作業時間を短縮し、入力誤りや入力漏れを招く可能性を軽減することができる。また、ネットワーク構成図を作成することで、導通状況を色、稼働状況を線の種類で表示するため、文字と比べて一目で確認結果を認識可能とし、確認結果の見落としや読み取り誤りをする可能性を軽減することができる。更に、入力情報から確認対象機器を検出して導通確認を行うため、検出できたが導通していない機器は非稼働であると認識し、その情報をネットワーク構成図に出力するため、導通していなかった場合でも導通確認対象機器が物理的にネットワーク接続されていないのか、或いは非稼働であるのかを適確に判断することができる。
【0048】
一方、特許文献1記載の技術と比較しても、入力情報が通信機器の構成に依存しないため、ノンインテリジェントな通信機器を利用しているネットワーク環境でも非稼動状態である機器を含むネットワーク構成図を作成することが可能となる。また、情報取得先が通信機器ではなく、システム操作端末100を管理するDHCPサーバ端末109であるため、一部の通信機器が故障した場合でも、その機器に接続されている全機器を含むネットワーク構成図を作成することが可能となる。