特許第5793413号(P5793413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793413
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】放送受信装置及び放送受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20150928BHJP
   H03J 7/18 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H04B1/16 G
   H03J7/18
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-280410(P2011-280410)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-131927(P2013-131927A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112760
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 五雄
(72)【発明者】
【氏名】濱野 隆能
(72)【発明者】
【氏名】大橋 徹
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−183371(JP,A)
【文献】 特開2005−117286(JP,A)
【文献】 実開平04−057930(JP,U)
【文献】 実開平05−023623(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H03J 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選局中のチャンネルにおけるFM放送の放送波の受信品位を評価する受信品位評価部と;
前記放送波の変調の程度を検出する変調レベル検出部と;
前記選局中のチャンネルから一時的な選局チャンネル変更を行う変更周期を、前記検出された変調の程度と少なくとも2つの閾値のそれぞれとの大小関係と、前記評価された受信品位との組み合わせに対応して定められている周期に決定する決定部と;
を備えることを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの閾値には、第1閾値と、前記第1閾値未満の第2閾値が含まれ、
前記決定部は、
前記検出された変調の程度が、第1閾値以上である場合には、前記評価された受信品位の高低にかかわらず、第1周期を前記変更周期に決定し、
前記検出された変調の程度が、前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合には、前記評価された受信品位に対応した周期を前記変更周期に決定し、
前記検出された変調の程度が、前記第2閾値未満である場合には、前記第1周期よりも短い周期を前記変更周期に決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記検出された変調の程度前記第1閾値未満かつ前記第2閾値以上である場合には、前記評価された受信品位が高いほど長い周期を前記変更周期に決定する、ことを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記検出された変調の程度前記第1閾値未満かつ前記第2閾値以上である場合には、
前記評価された受信品位が所定受信品位に達するまでは、前記評価された受信品位が高いほど長い周期を前記変更周期に決定し、
前記評価された受信品位が前記所定受信品位よりも高い場合には、前記一時的な選局チャンネル変更を行わない決定を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記検出された変調の程度前記第2閾値未満である場合には、前記評価された受信品位の高低にかかわらず、第2周期を前記変更周期に決定する、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの閾値には、前記第2閾値未満の第3閾値が更に含まれ、
前記決定部は、前記検出された変調の程度前記第2閾値未満である場合、
前記検出された変調の程度第3閾値以上であるときには、前記評価された受信品位の高低にかかわらず、第2周期を前記変更周期に決定し、
前記検出された変調の程度前記第3閾値未満であるときには、前記評価された受信品位の高低にかかわらず、前記第2周期よりも短い第3周期を前記変更周期に決定する、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の放送受信装置。
【請求項7】
前記放送波の受信レベルを検出する受信レベル検出部を更に備え、
前記受信品位評価部は、前記受信レベル検出部による検出結果に基づいて、前記放送波の受信品位を評価する、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の放送受信装置。
【請求項8】
前記放送波におけるマルチパスノイズレベル及び高周波ノイズレベルの少なくとも一方を検出するノイズレベル検出部を更に備え、
前記受信品位評価部は、前記ノイズレベル検出部による検出結果を更に利用して、前記放送波の受信品位を評価する、
ことを特徴とする請求項7に記載の放送受信装置。
【請求項9】
前記放送波における音声再生に利用する信号の離調度を検出する離調度検出部を更に備え、
前記受信品位評価部は、前記離調度検出部による検出結果を更に利用して、前記放送波の受信品位を評価する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の放送受信装置。
【請求項10】
前記放送波における音声再生に利用する信号の周波数帯域幅を検出する帯域幅検出部を更に備え、
前記受信品位評価部は、前記帯域幅検出部による検出結果を更に利用して、前記放送波の受信品位を評価する、
ことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の放送受信装置。
【請求項11】
選局中のチャンネルにおけるFM放送の放送波の受信品位を評価する受信品位評価工程と;
前記放送波の変調の程度を検出する変調レベル検出工程と;
前記選局中のチャンネルから一時的な選局チャンネル変更を行う変更周期を、前記検出された変調の程度と少なくとも2つの閾値のそれぞれとの大小関係と、前記評価された受信品位との組み合わせに対応して定められている周期に決定する決定工程と;
を備えることを特徴とする放送受信方法。
【請求項12】
請求項11に記載の放送受信方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする放送受信プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の放送受信プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送受信装置、放送受信方法及び放送受信プログラム、並びに、当該放送受信プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体に搭載され、ラジオ放送波を受信する放送受信装置が広く普及している。こうした放送受信装置に関する技術の進展は目覚しく、ラジオ放送の副搬送波の一部を用いて放送関連情報を多重伝送する情報伝送システムとして、例えば、欧州で実施されているラジオデータシステム(RDS)が実用化されている。
【0003】
このRDSでは、受信エリアごとに存在する各々の放送局が、放送番組の内容である周波数変調したFM(Frequency Modulation)オーディオ信号に、放送局名(プログラムサービス名)を示すPSコード、同一番組を放送するためにネットワーク化されている受信エリアごとの放送局の周波数リスト(代替周波数のリスト)を示すAF(Alternative Frequencies)コード、番組を識別するためのPIコード等のデータを有するRDSデータを周波数多重して放送している。かかるRDSデータは、各放送局を特定するコードデータの集まりであることから、放送受信装置に到来する放送波(到来電波)を検波等してRDSデータを抽出し、その抽出したRDSデータを利用してネットワークフォローの処理を行うことで、受信可能な放送局を自動検索したり、より良好な受信品質の得られる放送波を受信するように選局切り替えを行ったりすることができるようになっている。
【0004】
こうしたネットワークフォローの処理を1チューナ構成の放送受信装置で行う場合には、定期的に、聴取用の選局を一時的に中断することが必要となる。こうした選局状態の一時的な中断による異音の発生を防止するため、ミュート処理を行い、無音状態とする手法が多く用いられている。しかしながら、定期的な無音状態の発生は、放送内容の音切れや、音揺れを発生させ、聴取者に不快感を与えることになる。
【0005】
こうした定期的な放送内容の音切れや、音揺れによる聴取者の不快感を低減するために、聴取用の選局の一時的な中断が発生する時間間隔をランダムとし、定期的な無音状態の発生による放送内容の音切れを、聴取者に気付かれにくくする技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」という)。この従来例の技術では、乱数を生成し、生成された乱数に対応する時間が経過したときに、聴取用の選局の一時的な中断を伴うネットワークフォローの処理を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−111467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来例の技術では、聴取用の選局の一時的の中断に伴う無音状態が発生する時間間隔をランダムとする。このため、無音状態が短時間に集中して発生する場合ある。こうした無音状態の発生が短時間に集中すると、聴取者の不快感が高いものになってしまう。
【0008】
ところで、本発明者が研究の結果として得た知見によれば、選局した放送局の放送波の受信品位が高く、再生音がクリアな場合には、聴取者は、無音状態の発生に伴う音切れや音揺れに気付きやすい。一方、放送波の受信品位が低く、再生音がクリアではない場合には、聴取者は、無音状態の発生に伴う音切れや音揺れに気付きにくい。
【0009】
また、放送波の変調の程度の違いによって、無音状態の発生に伴う音切れや音揺れの気付き易さが異なってくる。例えば、平均的な程度の変調がなされ、かつ、受信品位が高いことを前提として、放送番組がトーク番組である場合には、発話の開始直後に無音状態が発生すると、音切れと認識されやすく、また、放送番組がクラシック音楽番組である場合には、クレッシェンド演奏中に無音状態が発生すると、音揺れと認識されやすい。
【0010】
このため、ネットワークフォロー処理に際して、放送波の受信品位や、放送内容を考慮して、聴取者の不快感を低減することができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、無音状態の発生による聴取者の不快感を低減することができる新たな放送受信装置及び放送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、選局中のチャンネルにおけるFM放送の放送波の受信品位を評価する受信品位評価部と;前記放送波の変調の程度を検出する変調レベル検出部と;前記選局中のチャンネルから一時的な選局チャンネル変更を行う変更周期を、前記検出された変調の程度と少なくとも2つの閾値のそれぞれとの大小関係と、前記評価された受信品位との組み合わせに対応して定められている周期に決定する決定部と;を備えることを特徴とする放送受信装置である。
【0013】
請求項11に記載の発明は、選局中のチャンネルにおけるFM放送の放送波の受信品位を評価する受信品位評価工程と;前記放送波の変調の程度を検出する変調レベル検出工程と;前記選局中のチャンネルから一時的な選局チャンネル変更を行う変更周期を、前記検出された変調の程度と少なくとも2つの閾値のそれぞれとの大小関係と、前記評価された受信品位との組み合わせに対応して定められている周期に決定する決定工程と;を備えることを特徴とする放送受信方法である。


【0014】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の放送受信方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする放送受信プログラムである。
【0015】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の放送受信プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の放送受信装置の概略的な構成を説明するためのブロック図である。
図2図1の検出ユニット125の構成を示すブロック図である。
図3図1の検波ユニット130の構成を示すブロック図である。
図4図1の検出ユニット135の構成を示すブロック図である。
図5図1のサーチ周期テーブルTBLの内容を説明するための図である。
図6図1の装置による自動サーチ処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1図6を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
[構成]
図1には、一実施形態に係るRDS対応のFM放送の放送受信装置100の構成がブロック図にて示されている。この図1に示されるように、放送受信装置100は、アンテナ110と、RF処理ユニット115と、帯域幅検出部としての可変バンドパスフィルタ(BPF)ユニット120と、検出ユニット125とを備えている。また、放送受信装置100は、検波ユニット130と、検出ユニット135と、ステレオ復調ユニット140とを備えている。さらに、放送受信装置100は、音出力ユニット150L,150Rと、操作入力ユニット160と、受信品位評価部及び決定部としての制御ユニット190とを備えている。
【0019】
上記のアンテナ110は、様々な放送局(基地局)からの放送波を受信する。そして、アンテナ110による受信結果は、受信信号RFSとして、RF処理ユニット115へ送られる。
【0020】
上記のRF処理ユニット115は、アンテナ110から送られた受信信号RFSを受ける。そして、RF処理ユニット115は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、再生チャンネルにおける放送波のパイロット信号成分の周波数を所定の中間周波数に変換する周波数変換を行い、当該周波数変換が行われた信号IFSを生成する。こうして生成された信号IFSは、可変BPFユニット120へ送られる。
【0021】
ここで、RF処理ユニット115は、入力フィルタと、高周波増幅器(RF AMP:Radio Frequency-Amplifier)と、バンドパスフィルタ(以下、「RFフィルタ」とも呼ぶ)とを備えている。また、RF処理ユニット115は、ミキサ(混合器)と、中間周波フィルタ(以下、「IFフィルタ」とも呼ぶ)と、中間周波増幅器(IF AMP:Intermediate Frequency-Amplifier)とを備えている。さらに、RF処理ユニット115は、局部発振回路(OSC)を備えている。
【0022】
入力フィルタは、アンテナ110から送られた受信信号RFSの低周波成分を遮断するハイパスフィルタである。高周波増幅器は、入力フィルタを通過した信号を増幅する。
【0023】
RFフィルタは、高周波増幅器から出力された信号のうち、特定の周波数範囲の信号を選択的に通過させる。ミキサは、RFフィルタを通過した信号と、局部発振回路から供給された局部発振信号とを混合する。
【0024】
IFフィルタは、ミキサから出力された信号のうち、予め定められた中間周波数範囲の信号を選択して通過させる。中間周波増幅器は、IFフィルタを通過した信号を増幅し、増幅結果を、信号IFSとして、可変BPFユニット120へ送る。
【0025】
局部発振回路は、電圧制御等により発振周波数の制御が可能な発振器等を備えて構成される。この局部発振回路は、制御ユニット190から供給された選局指令CSLに従って、RF処理ユニット115において選局すべきチャンネルに対応する周波数の局部発振信号を生成し、ミキサへ供給する。
【0026】
上記の可変BPFユニット120は、RF処理ユニット115から送られた信号IFSを受ける。この可変BPFユニット120は、信号IFSを解析して、再生チャンネルにおける放送波に対する隣接妨害(隣接チャンネルの放送波の影響)の程度を評価する。引き続き、可変BPFユニット120は、評価結果に基づいて、隣接妨害の程度を低減するために通過させる信号成分の周波数範囲を決定する。
【0027】
そして、可変BPFユニット120は、決定された周波数範囲の信号IFSにおける信号成分を通過させ、信号BPSとして、検出ユニット125及び検波ユニット130へ送る。また、可変BPFユニット120は、決定された周波数範囲の幅を、利用周波数幅BWD(利用周波数幅(周波数帯域幅)の検出結果)として、制御ユニット190へ送る。
【0028】
上記の検出ユニット125は、可変BPFユニット120から送られた信号BPSを受ける。そして、検出ユニット125は、再生チャンネルにおける放送波の受信信号レベル、及び、当該放送波におけるマルチパスノイズレベルを検出する。検出ユニット125による2種の検出結果は、検出結果DR1として、制御ユニット190へ送られる。
【0029】
なお、検出ユニット125の構成の詳細については、後述する。
【0030】
上記の検波ユニット130は、可変BPFユニット120から送られた信号BPSを受ける。そして、検波ユニット130は、信号BPSに対して音声検波処理を行った後、当該音声検波処理の結果を、信号DASとして、検出ユニット135及びステレオ復調ユニット140へ送る。
【0031】
また、検波ユニット130は、信号BPSに対してRDS検波処理を行った後、RDSデコード処理を行う。そして、検波ユニット130は、RDSデコード処理の結果を、RDSデータRSDとして、制御ユニット190へ送る。
【0032】
なお、検波ユニット130の構成の詳細については、後述する。
【0033】
上記の検出ユニット135は、検波ユニット130から送られた信号DASを受ける。そして、検出ユニット135は、信号DASの変調レベル、離調度レベル及び高周波ノイズレベルを検出する。検出ユニット135による3種の検出結果は、検出結果DR2として、制御ユニット190へ送られる。
【0034】
なお、検出ユニット135の構成の詳細については、後述する。
【0035】
上記のステレオ復調ユニット140は、検波ユニット130から送られた信号DASを受ける。そして、ステレオ復調ユニット140は、セパレーション処理を含めたステレオ復調処理を信号DASに対して施し、出力音声信号AOSL,AOSRを生成する。生成された出力音声信号AOSL,AOSRは、音出力ユニット150L,150Rへ送られる。
【0036】
上記の音出力ユニット150Lは、電子ボリューム、スピーカ等を備えて構成される。この音出力ユニット150Lは、ステレオ復調ユニット140から送られた出力音声信号AOSL、及び、制御ユニット190から送られたミュート制御信号MTCを受ける。そして、ミュート制御信号MTCによりミュート解除が指定されている場合には、音出力ユニット150Lは、出力音声信号AOSLに対応する音声を出力する。一方、ミュート制御信号MTCによりミュート設定が指定されている場合には、音出力ユニット150Lは、音声出力を停止する。
【0037】
上記の音出力ユニット150Rは、音出力ユニット150Lと同様に、電子ボリューム、スピーカ等を備えて構成される。この音出力ユニット150Rは、ステレオ復調ユニット140から送られた出力音声信号AOSR、及び、制御ユニット190から送られたミュート制御信号MTCを受ける。そして、音出力ユニット150Rは、ミュート制御信号MTCによりミュート解除が指定されている場合には、出力音声信号AOSRに対応する音声を出力する。一方、ミュート制御信号MTCによりミュート設定が指定されている場合には、音出力ユニット150Rは、音声出力を停止する。
【0038】
上記の操作入力ユニット160は、放送受信装置100の本体部に設けられたキー部及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、不図示の表示ユニットに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は、併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。操作入力ユニット160への操作入力結果は、操作入力データIPDとして制御ユニット190へ送られる。この操作入力ユニット160を操作することにより、利用者は、再生チャンネル指定等の指定入力ができるようになっている。
【0039】
上記の制御ユニット190は、放送受信装置100の全体の動作を制御する。この制御ユニット190は、内部記憶部、タイマ等を備えて構成されている。
【0040】
ここで、当該内部記憶部には、サーチ周期テーブルTBLが記憶されている。なお、サーチ周期テーブルTBLの内容については、後述する。
【0041】
制御ユニット190は、操作入力ユニット160に入力された再生チャンネル指定が操作入力データIPDとして通知されると、当該再生チャンネル指定に従って再生チャンネルの選局指令を生成する。そして、制御ユニット190は、生成された選局指令を、選局指令CSLとして、RF処理ユニット115へ送る。
【0042】
また、制御ユニット190は、受信処理期間において定期的に、受信可能な放送局の自動サーチを行う。かかる自動サーチに際して、制御ユニット190は、可変BPFユニット120から送られた利用周波数幅BWD、検出ユニット125から送られた検出結果DR1、及び、検出ユニット135から送られた検出結果DR2に基づいて、サーチ周期テーブルTBLを参照し、自動サーチの周期(再生チャンネルから一時的な選局チャンネル変更を行う変更周期)を決定する。
【0043】
そして、制御ユニット190は、決定された周期で、再生チャンネルとは異なる複数のチャンネルの自動サーチ用選局指令を順次生成し、選局指令CSLとして、RF処理ユニット115へ送る。そして、制御ユニット190は、個々の自動サーチ用選局指令を、選局指令CSLとして、RF処理ユニット115へ送るたびに、検出ユニット125による検出結果DR1及び検出ユニット135による検出結果DR2を収集する。
【0044】
なお、制御ユニット190は、個々の自動サーチ用選局指令を送る直前に、ミュート設定を指定したミュート制御信号MTCを音出力ユニット150L,150Rへ送る。
【0045】
次に、制御ユニット190は、個々の自動サーチ用選局指令に対応する検出結果DR1の収集が終了するたびに、再生チャンネルの選局指令を生成し、選局指令CSLとしてRF処理ユニット115へ送る。そして、制御ユニット190は、ミュート解除を指定したミュート制御信号MTCを音出力ユニット150L,150Rへ送る。
【0046】
<検出ユニット125の構成>
次に、上述した検出ユニット125の構成について説明する。図2に示されるように、検出ユニット125は、受信レベル検出部としてのレベル検出部211と、バンドパスフィルタ(BPF)部212と、レベル検出部213とを備えている。ここで、BPF212と、レベル検出部213とがノイズレベル検出部の構成要素となっている。
【0047】
上記のレベル検出部211は、可変BPFユニット120から送られた信号BPSを受ける。そして、レベル検出部211は、信号BPSの信号レベルを検出する。このレベル検出部211による検出結果は、再生チャンネルにおける放送波の電界強度を反映したものとなっている。レベル検出部211による検出結果は、受信信号レベルSLVとして、制御ユニット190へ送られる。
【0048】
上記のBPF部212は、可変BPFユニット120から送られた信号BPSを受ける。そして、BPF部212は、信号BPSにおける所定周波数(例えば、18kHz)の近傍の周波数成分を抽出する。かかる所定周波数の近傍の周波数成分のレベルは、マルチパス現象の影響により変化するものである。BPF部212による抽出結果は、信号MPSとして、レベル検出部213へ送られる。
【0049】
上記のレベル検出部213は、BPF部212から送られた信号MPSを受ける。そして、レベル検出部213は、信号MPSの信号レベルを検出する。このレベル検出部213による検出結果は、マルチパスフェージングの影響度を反映したものとなっている。レベル検出部213による検出結果は、マルチパスノイズレベルMPLとして、制御ユニット190へ送られる。
【0050】
<検波ユニット130の構成>
次いで、上述した検波ユニット130の構成について説明する。図3に示されるように、検波ユニット130は、音声検波部132と、RDS検波部137と、RDSデコード部138とを備えている。
【0051】
上記の音声検波部132は、可変BPFユニット120から送られた信号BPSを受ける。そして、音声検波部132は、信号BPSに対して、音声成分に対応する所定方式で検波処理を施して信号DASを生成する。こうして生成された信号DASは、検出ユニット135及びステレオ復調ユニット140へ送られる。
【0052】
上記のRDS検波部137は、可変BPFユニット120から送られた信号BPSを受ける。そして、RDS検波部137は、信号BPSに対して、放送関連情報成分に対応する所定方式で検波処理を施して、信号DRSを生成する。生成された信号DRSは、RDSデコード部138へ送られる。
【0053】
上記のRDSデコード部138は、RDS検波部137からの信号DRSに対してデコード処理を施し、放送関連情報が含まれるRDSデータRSDを生成する。このRDSデータRSDには、番組識別コード(PIコード)、及び、現在の再生チャンネルと同じネットワークに属する放送チャンネルの周波数情報のデータであるAF(Alternative Frequencies)データ等が含まれている。こうして生成されたRDSデータRSDは、制御ユニット190へ送られる。
【0054】
<検出ユニット135の構成>
次に、上述した検出ユニット135の構成について説明する。図4に示されるように、検出ユニット135は、変調レベル検出部の一部としてのAM成分抽出部221と、変調レベル検出部の一部としてのレベル検出部222とを備えている。また、検出ユニット135は、離調度検出部の一部としてのオフセット抽出部223と、離調度検出部の一部としてのレベル検出部224とを備えている。さらに、検出ユニット135は、ノイズ検出部の一部としてのハイパスフィルタ(HPF)部225と、ノイズ検出部の一部としてのレベル検出部226とを備えている。
【0055】
上記のAM成分抽出部221は、検波ユニット130から送られた信号DASを受ける。そして、AM成分抽出部221は、信号DASのAM変調成分を抽出する。かかるAM変調成分のレベルは、再生チャンネルにおけるFM放送波の変調の程度が大きなほど大きくなる。AM成分抽出部221による抽出結果は、信号AMSとして、レベル検出部222へ送られる。
【0056】
上記のレベル検出部222は、AM成分抽出部221から送られた信号AMSを受ける。そして、レベル検出部222は、信号AMSの信号レベルを検出する。このレベル検出部222による検出結果は、再生チャンネルにおけるFM放送波の変調の程度を反映したものとなっている。レベル検出部222による検出結果は、変調レベルAMLとして、制御ユニット190へ送られる。
【0057】
上記のオフセット成分抽出部223は、検波ユニット130から送られた信号DASを受ける。そして、オフセット成分抽出部223は、信号DASのオフセット成分を抽出する。オフセット成分抽出部223による抽出結果は、信号OFSとして、レベル検出部224へ送られる。
【0058】
上記のレベル検出部224は、オフセット成分抽出部223から送られた信号OFSを受ける。そして、レベル検出部224は、信号OFSの信号レベルを検出する。このレベル検出部224による検出結果は、信号DASにおける離調度を反映したものとなっている。レベル検出部222による検出結果は、離調度レベルOFLとして、制御ユニット190へ送られる。
【0059】
上記のHPF部225は、検波ユニット130から送られた信号DASを受ける。そして、HPF部225は、信号DASにおける音声成分に対応する周波数よりも高い周波数成分を抽出する。HPF部225による抽出結果は、信号HFSとして、レベル検出部226へ送られる。
【0060】
上記のレベル検出部226は、HPF部225から送られた信号HFSを受ける。そして、レベル検出部226は、信号HPSの信号レベルを検出する。このレベル検出部226による検出結果は、信号DASにおける高周波ノイズレベルを反映したものとなっている。レベル検出部226よる検出結果は、高周波ノイズレベルHFLとして、制御ユニット190へ送られる。
【0061】
<サーチ周期テーブルTBLの内容>
次に、上述したサーチ周期テーブルTBLの内容について説明する。図5に示されるように、サーチ周期テーブルTBLには、変調レベルと受信品位との組み合わせに関連付けて自動サーチの周期が登録されている。
【0062】
なお、本実施形態では、図5に示されるように、変調レベルが、「高」、「中」、「低」及び「無変調」の4段階に分類されるようになっている。この分類では、上述の自動サーチによって生じるミュート期間の存在によって音切れや音揺れが目立つ事態が発生する変調レベルの値の範囲を「中」段階としている。また、変調レベルが、「中」の範囲より高い範囲、すなわち、大半の放送番組での音量変化よりも激しい音量変化が生じている範囲を「高」段階としている。さらに、音声成分が実質的に存在していないといえる変調レベルが非常に低い範囲を「無変調」段階に分類するとともに、音声成分が実質的に存在していないといえないが、大半の放送番組での音量変化よりも少ないときの範囲を「低」としている。
【0063】
かかる変調レベルの分類の基準は、多数の放送番組に関する変調レベルと、音切れや音揺れが目立つ程度の調査結果、及び、多数の放送番組に関する変調レベルと視聴可能性との関連の調査結果に基づいて定められる。
【0064】
また、本実施形態では、受信品位が「1」〜「10」の10段階に分類されるようになっている。なお、「j」(j=1〜10)の値jが小さいほど受信品位が低く、値jが大きいほど受信品位が高いことを示すようになっている。
【0065】
ここで、受信品位は、再生チャンネルにおける放送波の受信信号レベル、音声再生に利用される周波数帯幅、当該放送波におけるマルチパスノイズレベル及び高周波ノイズレベル、並びに、離調度レベルに基づいて評価される。ここで、受信信号レベルが高いほど、受信品位が高いと評価される。また、音声再生に利用される周波数帯幅が広いほど、受信品位が高いと評価される。一方、マルチパスノイズレベル、高周波ノイズレベル及び離調度レベルが高いほど、受信品位が低いと評価される。
【0066】
なお、本実施形態においては、再生チャンネルにおける放送波の受信信号レベル、音声再生に利用される周波数帯幅、当該放送波におけるマルチパスノイズレベル及び高周波ノイズレベル、並びに、離調度レベルを、受信品位のパラメータとして採用する。そして、これらのパラメータのそれぞれの値に対応して予め定められたポイント値を設定しておく。これらのパラメータそれぞれの値に対応して予め定められたポイント値の加算結果の取り得る値の範囲を等分する等して10分割することにより、受信品位が「1」〜「10」の10段階に分類されるようになっている。
【0067】
以上のように4段階に分類された変調レベルと、10段階に分類された受信品位との組み合わせに関連付けて、サーチ周期、すなわち、無音期間が発生する周期が、本実施形態におけるサーチ周期テーブルTBLに登録されている。ここで、本実施形態のサーチ周期テーブルTBLでは、変調レベルが「中」段階の場合には、受信品位が「1」,「2」,…,「6」段階に対応して、自動サーチ周期「TPM1」,「TPM2(>TPM1)」,…,「TPM6(>TPM5)」というように、受信品位が高くなるほど、自動サーチ周期が長くなるようになっている。これは、受信品位が高いほど、無音期間の発生による音切れや音揺れが目立つ傾向にあるためである。
【0068】
また、変調レベルが「中」段階の場合には、受信品位が「7」〜「10」段階に対応して、自動サーチ周期「∞」、すなわち、自動サーチを行わない旨が登録されている。これは、受信品位が非常に高いと、無音期間の発生による音切れや音揺れが良く目立つため、音切れや音揺れを発生させないためである。
【0069】
変調レベルが「高」段階の場合、本実施形態のサーチ周期テーブルTBLにおいては、受信品位の段階にかかわらず、自動サーチ周期「TPH」が登録されている。本実施形態では、自動サーチ周期「TPH」は、自動サーチ周期「TPM6」と同程度の値となっている。これは、変調レベルが「高」段階である、すなわち、激しい音量変化が生じている場合には、一般に受信信号レベルが高いことに起因して受信品位が高く、かつ、変調レベルが「中」段階の場合と比べて、無音期間の発生による音切れや音揺れが目立ち難くなる傾向があることを考慮したためである。
【0070】
変調レベルが「低」段階の場合、本実施形態のサーチ周期テーブルTBLにおいては、受信品位の段階にかかわらず、自動サーチ周期「TPL」が登録されている。ここで、本実施形態では、自動サーチ周期「TPL」は、自動サーチ周期「TPM1」と同程度の値となっている。これは、変調レベルが「低」段階である場合には、一般に受信信号レベルが低いことに起因して受信品位が低く、かつ、変調レベルが「中」段階の場合と比べて、無音期間の発生による音切れや音揺れが目立ち難いためである。
【0071】
変調レベルが「無変調」段階の場合、本実施形態のサーチ周期テーブルTBLにおいては、受信品位の段階にかかわらず、自動サーチ周期「TPN」が登録されている。ここで、本実施形態では、自動サーチ周期「TPN」は、自動サーチ周期「TPL」よりも小さな値となっている。これは、変調レベルが「無変調」段階である、すなわち、音声成分が実質的に存在しない場合には、頻繁に自動サーチを行い、多くの他局の情報を短時間に収集することが望ましいためである。
【0072】
[動作]
次に、上記のように構成された放送受信装置100の動作について、自動サーチ処理に主に着目して説明する。
【0073】
なお、放送受信装置100は、放送受信動作を開始しており、制御ユニット190は、操作入力ユニット160に入力された選局指定従って、再生チャンネルの設定をRF処理ユニット115に対して行っているものとする。すなわち、放送受信装置100では、通常の期間において、当該再生チャンネルを利用した放送に対応する出力音声信号AOSL,AOSRが、音出力ユニット150L,150Rに供給されている状態となっている。また、可変BPSユニット120が、通過させる信号成分の周波数範囲を決定し、決定結果を、利用周波数幅BWDとして、制御ユニット190へ送っている状態となっている。
【0074】
さらに、可変BPSユニット120から送られた信号BPSを受けている検出ユニット125が、検出結果DR1として、受信信号レベルSLV及びマルチパスノイズレベルMPLを制御ユニット190へ送っている状態となっている。また、検波ユニット130から送られた信号DASを受けている検出ユニット135が、検出結果DR2として、変調レベルAML、離調度レベルOFL及び高周波ノイズレベルHFLを制御ユニット190へ送っている状態となっている。
【0075】
こうした状態において、自動サーチ処理が実行される。かかる自動サーチ処理に際しては、図6に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット190が、利用周波数幅BWD、及び、検出結果DR1,DR2を収集する。
【0076】
次に、ステップS12において、制御ユニット190が、上述のステップS11で収集した利用周波数幅BWD、検出結果DR1における受信信号レベルSLV及びマルチパスノイズレベルMPL、並びに、検出結果DR2における離調度レベルOFL及び高周波ノイズレベルHFLに基づいて、現時点における受信品位を評価する。ここで、制御ユニット190は、上述したように、利用周波数幅BWD、受信信号レベルSLV、マルチパスノイズレベルMPL、離調度レベルOFL及び高周波ノイズレベルHFLのそれぞれに対応するポイントを加算する。そして、制御ユニット190は、加算結果が受信品位の「1」段階から「10」段階のいずれに該当しているかを特定することにより、現時点における受信品位を評価する。
【0077】
次いで、ステップS13において、制御ユニット190が、自動サーチ周期を決定する。かかる自動サーチ周期の決定に際して、制御ユニット190は、まず、上述のステップS11で収集した検出結果DR2における変調レベルAMLに基づいて、現時点における変調レベルが「高」段階、「中」段階、「低」段階及び「無変調」段階のいずれに該当しているかを特定する。引き続き、制御ユニット190は、特定された変調レベルの段階と、上述のステップS12において特定された受信品位の段階との組み合せに対応する自動サーチ周期を、サーチ周期テーブルTBLから読み取る。そして、制御ユニット190は、読み取られた自動サーチ周期を、次回の自動サーチまでの周期に決定する。
【0078】
次に、ステップS14において、制御ユニット190が、決定された周期が有限値か否か、すなわち、自動サーチを行うか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、処理はステップS11へ戻る。
【0079】
一方、ステップS14における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS14:Y)には、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、制御ユニット190が、ミュート設定を指定したミュート制御信号MTCを音出力ユニット150L,150Rへ送る。この結果、無音期間が開始する。
【0080】
次に、ステップS16において、制御ユニット190が、今回のサーチ対象となるチャンネルにおける放送波に関する受信信号レベル、マルチパスノイズレベル、離調度レベル及び高周波ノイズレベルの検出結果を収集する。かかる収集に際して、制御ユニット190は、まず、今回のサーチ対象となるチャンネルを選局するための自動サーチ用選局指令を生成し、生成された自動サーチ用選局指令を、選局指令CSLとして、RF処理ユニット115へ送る。そして、制御ユニット190は、検出ユニット125による検出結果DR1、及び、検出ユニット135による検出結果DR2を収集することにより、当該チャンネルの現時点における受信信号レベルSLV、マルチパスノイズレベルMPL、離調度レベルOFL及び高周波ノイズレベルHFLを収集し、内部に保持する。
【0081】
次に、ステップS17において、制御ユニット190が、再生チャンネルの選局指令を生成し、生成された選局指令を、選局指令CSLとして、RF処理ユニット115へ送る。引き続き、ステップS18において、制御ユニット190が、ミュート解除を指定したミュート制御信号MTCを音出力ユニット150L,150Rへ送る。この結果、再生チャンネルにおける放送波に対応する音声の再生出力が再開される。
【0082】
次いで、ステップS19において、制御ユニット190が、上述のステップS13において決定した周期の時間が経過したか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS19:N)には、ステップS19の処理が繰り返される。
【0083】
当該周期の時間が経過し、ステップS19における判定の結果が肯定的となると(ステップS19:Y)、処理はステップS11へ戻る。この後、ステップS11〜S19の処理が繰り返され、定期的に、自動サーチが実行される。
【0084】
なお、制御ユニット190は、自動サーチの対象となったチャンネルの放送波の現時点における受信信号レベルSLV、マルチパスノイズレベルMPL、離調度レベルOFL及び高周波ノイズレベルHFLに基づいて、当該チャンネルにおける放送波の受信可能性を判断する。
【0085】
以上説明したように、本実施形態では、選局中の再生用チャンネルにおけるFM放送の放送波の受信信号レベル等の検出結果に基づいて、当該放送波の受信品位を評価する。また、当該放送波の変調レベルを検出する。そして、当該評価された受信品位と、当該検出された変調レベルとの組み合わせに基づいて、自動サーチのために行われる再生用チャンネルから一時的な選局チャンネル変更を行う変更周期、すなわち、自動サーチ周期を決定する。
【0086】
したがって、本実施形態によれば、無音状態の発生による聴取者の不快感を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態では、放送波の受信信号レベル、マルチパスノイズレベル、高周波ノイズレベル、放送波における音声再生に利用する信号の離調度、及び、放送波における音声再生に利用する信号の周波数帯域幅(利用周波数幅)を検出し、これらの検出結果に基づいて、放送波の受信品位を評価する。このため、非常に合理的に、放送波の受信品位を評価することができる。
【0088】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0089】
例えば、上記の実施形態では、放送波の受信信号レベル、マルチパスノイズレベル、高周波ノイズレベル、放送波における音声再生に利用する信号の離調度レベル、及び、放送波における音声再生に利用する信号の周波数帯域幅に基づいて、放送波の受信品位を評価するようにした。これに対し、放送波の受信信号レベルを含むことを必須としつつ、マルチパスノイズレベル、高周波ノイズレベル、当該離調度レベル及び当該周波数帯域幅の少なくとも1つを除いて、放送波の受信品位を評価するようにしてもよい。
【0090】
また、上記の実施形態では、変調レベルが「中」段階の場合には、受信品位が「1」,「2」,…,「6」段階に対応して有限時間の自動サーチ周期を設定し、受信品位が「7」〜「10」段階に対応して、自動サーチ周期「∞」を設定するようにした。これに対し、変調レベルが「中」段階の場合に、受信品位が「1」〜「10」段階の全てについて、受信品位が高くなるほど、自動サーチ周期が長くなるようにして、有限時間の自動サーチ周期を設定するようにしてもよい。
【0091】
また、上記の実施形態では、変調レベルが「高」段階の場合には、受信品位の段階にかかわらず、同一の自動サーチ周期を設定するようにした。これに対し、変調レベルが「高」段階の場合に、受信品位の変化に対応して、受信品位が高くなるほど、自動サーチ周期が長くなるように自動サーチ周期を設定するようにしてもよい。
【0092】
また、上記の実施形態では、変調レベルが「低」段階の場合には、受信品位の段階にかかわらず、同一の自動サーチ周期を設定するようにした。これに対し、変調レベルが「低」段階の場合に、受信品位の変化に対応して、受信品位が高くなるほど、自動サーチ周期が長くなるように自動サーチ周期を設定するようにしてもよい。
【0093】
また、上記の実施形態では、受信品位を10段階に分類するようにしたが、任意の数の段階に分類するようにしてもよい。
【0094】
また、上記の実施形態では、変調レベルを4段階に分類するようにしたが、「高」、「中」及び「低」の段階のうちの任意の段階を更に細かく分類するようにしてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態では、変調レベルの分類において「無変調」段階を設けるようにしたが、「無変調」段階を設けないようにしてもよい。
【0096】
また、上記の実施形態では、自動サーチの対象となったチャンネルの放送波の現時点における受信信号レベル、マルチパスノイズレベル、離調度レベル及び高周波ノイズレベルに基づいて、当該チャンネルにおける放送波の受信可能性を判断するようにした。これに対し、放送波の受信信号レベルを含むことを必須としつつ、マルチパスノイズレベル、離調度レベル及び高周波ノイズレベルの少なくとも1つを除いて、放送波の受信可能性を判断するようにしてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態では、自動サーチ処理に際して本発明を適用するようにしたが、最適局サーチ処理を定期的に行うようにする場合には、最適局サーチ処理に際して本発明を適用するようにしてもよい。
【0098】
また、上記の実施形態では、RDS方式を採用する放送受信装置に本発明を適用するようにしたが、再生チャンネルから一時的に選局チャンネルを変化させることにより定期的に無音期間が発生する場合には、RDS方式を採用する放送受信装置以外の装置も本発明を適用することができるのは、勿論である。
【0099】
なお、上記の実施形態における制御ユニットをCPU(Central Processing Unit)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における制御ユニットの処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
100 … 放送受信装置
120 … 可変バンドパスフィルタユニット(帯域幅検出部)
190 … 制御ユニット(受信品位評価部及び決定部)
211 … レベル検出部(受信レベル検出部)
212 … BPF部(ノイズレベル検出部の一部)
213 … レベル検出部(ノイズレベル検出部の一部)
221 … AM成分抽出部(変調レベル検出部の一部)
222 … レベル検出部(変調レベル検出部の一部)
223 … オフセット成分抽出部(離調度検出部の一部)
224 … レベル検出部(離調度検出部の一部)
225 … HPF部(ノイズレベル検出部の一部)
226 … レベル検出部(ノイズレベル検出部の一部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6