【実施例】
【0022】
図1および
図2に示すように、吸気ダクト10は、通気孔28を備えた筒状の導管本体12と、この通気孔28を覆う遮蔽部材32と、この遮蔽部材32を導管本体12に固定する保持部材34とを備えている。導管本体12の内部には、空気流通路14が形成されており(
図3参照)、流入口12aが一端に、流出口12bが他端に設けられている。吸気ダクト10は、導管本体12の流入口12aが車両の外方に臨み、導管本体12の流出口12bがエアクリーナ等の装置に接続するように、車両のエンジンルームに設置されている。
【0023】
図3に示すように、前記導管本体12は略円筒状の部材である。この導管本体12は、断面形状が半円の第1半体16と、同じく断面形状が半円の第2半体18とを組み合わせて構成されている。第1半体16および第2半体18は、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)等の合成樹脂からなり、インジェクション成形等によって成形された気密性を有する部材である。
【0024】
第1半体16および第2半体18の周方向端部には夫々、径方向外方に延出する鍔部16a,18aが長手方向に沿って形成されている。第1半体16および第2半体18の鍔部16a,18aを突き合わせて接合することで導管本体12が組み立てられる。鍔部16a,18aは、振動溶着、接着剤による接着、リベットやボルト等による機械的な締結等の手法により接合される。
【0025】
また、互いに接合した鍔部16a,18aは長手方向に延在するフランジ部20を形成している。このフランジ部20は
図2に示すように、周方向に離間した2カ所に形成されている。すなわち、吸気ダクト10には、2つのフランジ部20,20が空気流通路14を挟んで対称となるように設けられている。
【0026】
導管本体12には、空気流通路14から外方に連通する通気孔28が設けられている(
図2参照)。通気孔28は円形であり(
図2または
図3参照)、その直径を5mm〜16mmの範囲に設定すると好適である。また、図示したように全ての通気孔28を同一寸法に設定してもよい。導管本体12の周方向には、複数(図示の例では4個)の通気孔28が離間して配置されて一組の開口組26とされている。この開口組26は、図示の如く長手方向に離間して複数組(実施例では3組)設けてもよいし、1組のみ設けてもよい。
【0027】
図2に示した例では、各開口組26を構成する複数の通気孔28は、流入口12aからの中心線長が同じとなるように導管本体12の周面に並べられている。具体的には、複数の通気孔28は、円形の通気孔28の中心(重心)が各開口組26において周方向に並ぶように配列されている。なお、導管本体12の中心線Cとは、空気流通路14の中心を通る長手方向に沿う仮想線をいう。また、中心線長とは、この中心線Cの長さをいう(
図1参照)。なお、図示の例では、第1半体16のみに通気孔28が形成されており、第1半体に開口組26が設けられている。
【0028】
図2に示した例では、導管本体12には3組(少なくとも2組以上)の開口組26A,26B,26Cが形成されている。このうち、第1開口組26Aは、流入口12aから流出口12bまでの中心線長の1/2の位置に設けられている。また、第2開口組26Bは流入口12aから第1開口組26Aまでの中心線長の1/2の位置に、第3開口組26Cは流入口12aから第2開口組26Bまでの中心線長の1/2の位置に設けられている。
【0029】
すなわち、吸気ダクト10は、導管本体12における中心線全長の1/2の位置に少なくとも一つの開口組26Aが設けられている。更に、別の開口組26B(26C)は、流入口12aと該流入口12aに最も近い開口組26A(26B)との中間位置に配置される。このように、導管本体12の中心線の1/2,1/4,1/8等、気柱共鳴の位相が重なって音圧レベルが高くなる位置に、開口組26A〜26C(通気孔28)が配置されている。したがって、吸気ダクト10は、通気孔28を介して空気流通路14の圧力脈動を外方へ逃がし、気柱共鳴を適切に減衰することができる。
【0030】
通気孔28は、その周方向の総開口長が導管本体12の周長に対して13%〜67%の範囲になるよう設定されている。ここで、通気孔28の周方向の開口長とは、該通気孔28の重心を通る周方向の長さ寸法であって、図示の例では、通気孔28の直径である。また、総開口長とは、開口組26を構成する通気孔28の周方向の開口長を足し合わせた値である。図示の例では、同一形状および同一寸法の通気孔28が導管本体12の周方向に配列されているので、総開口長は開口組26を構成する通気孔28の直径を足し合わせた値である。
【0031】
この総開口長が導管本体12の周長に対して13%を下回ると、通気孔28を介して空気流通路14の圧力脈動を外方へうまく逃がすことができず、気柱共鳴の減衰効果を十分に得られない。一方、総開口長が導管本体12の周長に対して67%を上回ると、通気孔28を介して空気流通路14を流通する空気が漏れてしまい、圧力損失が大きくなり、エンジンに効率よく空気を導くことができない。さらに、総開口長が導管本体12の周長に対して67%を上回ると、通気孔28を介した音漏れも大きくなり、また吸気ダクト10の強度自体も低下する。
【0032】
遮蔽部材32は通気性を有する部材である。遮蔽部材32には、連続気泡構造のウレタンフォームやゴム等の発泡体、微細な孔を有する樹脂膜等の多孔質体、不織布等の繊維の集合体、網状物等を採用可能である。この中でも、表面に撥水処理が施された不織布が特に好ましい。不織布は、スパンボンド法やニードルパンチ法により、ポリエステル系繊維またはポリプロピレン系繊維などから構成されるものが好適であり、その目付量は30g/m
2〜300g/m
2の範囲に設定するとよい。
【0033】
遮蔽部材32は長手方向及び周方向の寸法が通気孔28の長手方向及び周方向の寸法よりも大きく設定されており、遮蔽部材32は通気孔28を被覆可能である。なお、遮蔽部材32の周方向の寸法は、フランジ部20,20の周方向の離間幅(導管本体12の半周分)と略同一に設定してもよい。遮蔽部材32は短冊状のシートである(
図2または
図3参照)。遮蔽部材32は、遮蔽部材32の長手辺が吸気ダクト10の周方向に延在するように、導管本体12の外周面に配置されている。このように配置された遮蔽部材32は、通気孔28を塞いだ状態で、保持部材34により導管本体12に保持されている。
【0034】
保持部材34は、それぞれ導管本体12の開口組26に対応する位置に取り付けられる(
図2参照)。保持部材34は、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)等の合成樹脂やゴムなどからなり、周方向に長手辺が延在する短冊形状に形成されている(
図3参照)。
【0035】
保持部材34の短手辺の寸法(導管本体12の長手方向の寸法)は、通気孔28の長手方向の寸法より大きく、かつ遮蔽部材32の短手辺寸法(導管本体12の長手方向の寸法)より大きく設定される。また、保持部材34の長手辺の寸法(導管本体12の周方向の寸法)は遮蔽部材32の周方向の寸法以上に設定されている。なお、保持部材34の長手辺の寸法は、フランジ部20,20の周方向の離間幅(導管本体12の半周分)と略同一に設定してもよい。
【0036】
このように、保持部材34は、対応する開口組26を構成する全ての通気孔28を被覆可能な大きさで、かつ当該開口組26に対応する遮蔽部材32より大きく設定される。なお、保持部材34を予め導管本体12の外周面に沿う形状に形成してもよい。あるいは遮蔽部材32を可撓性や弾性を有する部材から構成し、保持部材34を導管本体12に取り付けた際に導管本体12の外周面に倣って変形させてもよい。
【0037】
保持部材34は、少なくとも一方の端部が導管本体12に対して着脱可能に取り付けられている。また、保持部材34には、導管本体12の通気孔28に整合する大きさの開放部(開口)36が形成されている。この開放部36は、保持部材34を導管本体12の外周面に固定した際に、通気孔28に対向する位置に形成されている。
【0038】
したがって、保持部材34が導管本体12の外周面に取り付けられた状態では、開放部36を介して通気孔28に対応する部位の遮蔽部材32が外方に露出し、遮蔽部材32の該通気孔28から外れた部位が保持部材34によって保持される。換言すれば、遮蔽部材32は、通気孔28に対応する部位を除いて保持部材34で覆われて保護されている。なおこの保持部材34の開放部36は、通気孔28と同一の形状に形成する必要はなく、少なくとも通気孔28より大きく開口するように形成すればよい。
【0039】
前記保持部材34は、
図5に示すように、周方向の一方の端部に第1爪部(係止部)38を備えている。この第1爪部38は、フランジ部20に形成された第1爪穴(被係止部)22に係止される。また、保持部材34は、周方向の他方の端部に第2爪部40を備えている。この第2爪部40は、第1爪穴22が設けられたフランジ部20の周方向に隣接するフランジ部20に形成された第2爪穴24に着脱可能に係合する。
【0040】
第1爪穴22および第2爪穴24は、フランジ部20に貫通形成された開口であって、互いに周方向に離間して配置されている。これに対して、第1爪部38および第2爪部40は、保持部材34の端部から周方向に延出する舌片と、この舌片の先端に爪穴22,24への挿入方向と交差する方向に突出する突出片38a,40aと、を有する鉤状に形成されている。第1,2爪部38,40を、それぞれ第1,2爪穴22,24に押し込むことで、第1,2爪部38,40の突出片38a,40aが第1,2爪穴22,24の縁辺に引っ掛かり、
図4の如く保持部材34がフランジ部20に保持される。
【0041】
さらに導管本体12には、周方向に延在する一対のリブ30,30が通気孔28を挟んで形成されている。この一対のリブ30,30の間に遮蔽部材32を配置し、通気孔28に対向させて保持部材34を嵌め込むことにより、遮蔽部材32を保持しながら保持部材34を導管本体12の外周面に固定することができる(
図1または
図3参照)。
【0042】
より詳細には、一対のリブ30,30は、通気孔28が設けられた第1半体16の外周面に一方の鍔部16aから他方の鍔部16aに亘って延在して設けられている。一対のリブ30,30は、その離間間隔が保持部材34の短手方向寸法(導管本体12の長手方向の寸法)と同一となるように、配置されている。また、各リブ30,30は、遮蔽部材32の厚みより高くなるように、導管本体12の外周面から突出して形成されている。
【0043】
〔作用〕
次に、上述した吸気ダクト10の作用について説明する。吸気ダクト10は、通気性を有する遮蔽部材32で導管本体12の通気孔28を覆うことで、通気孔28および遮蔽部材32を介して外方へ空気流通路の圧力脈動を逃がすことができ、気柱共鳴を減衰させることができる。これにより、気柱共鳴に起因する騒音の発生を抑えることができる。また、通気孔28が遮蔽部材32で覆われているので、通気孔28を直接外方に露出させる場合に比べて、通気孔28からの音漏れを抑制することができる。
【0044】
また、遮蔽部材32は導管本体12に固定される保持部材34で保持される。したがって、従来例で説明した熱収縮するシート部材のように、遮蔽部材の取り付けに際して加熱装置を必要とせず、製造設備を簡易にできる。また、遮蔽部材32の取り付けに加熱が不要なので、導管本体12および遮蔽部材32の変形を避けることができる。
【0045】
また、保持部材34を導管本体12に固定するだけで遮蔽部材32を保持することができるので、遮蔽部材32の取り付け工程を簡略化できる。特に、導管本体12の第1,2爪穴22,24に対して第1,2爪部38,40を差し込むだけで、保持部材34を導管本体12に取り付けることができるので、更に組み付け作業効率が向上されている。
【0046】
また、遮蔽部材32は保持部材34によって確実に保持されており、その位置がずれ難い。したがって車両の振動等によらず、長期的に安定して騒音抑制効果を期待できる。また遮蔽部材32の外側は通気孔28に対応する部位を除いて保持部材34で覆われて保護されている。また外部に露出する遮蔽部材32の通気孔28に対応する部位についても、保持部材34の外面より径方向内方に位置している。したがって、吸気ダクト10の運搬時や取り付け時、あるいは車両のメンテナンス時等に、遮蔽部材32が他の部材や人の手と接触して損傷する虞が少ない。すなわち、保持部材34は、遮蔽部材32を保持するよう機能するだけでなく、遮蔽部材32を保護するように機能するので、遮蔽部材32のずれや傷付き等を効果的に抑制できる。
【0047】
また、保持部材34には導管本体12に固定した際に通気孔28に対応する部位に開放部36が設けられている。したがって、保持部材34により遮蔽部材32の通気性が損なわれることはない。更に、遮蔽部材32の通気孔28から外れた部位を導管本体12と保持部材34とが挟持するので、保持部材34によって遮蔽部材32の通気孔28に対応する部位が圧縮されることがない。すなわち、遮蔽部材32の通気性が取り付け前と取り付け後とで変動することを抑えることができる。したがって、通気孔28の開口に対応する最適な通気性を保ったまま遮蔽部材32を導管本体12に取り付けることができ、所望の減音効果および吸気性能を達成することができる。
【0048】
また、導管本体12には通気孔28を挟んで一対のリブ30,30が設けられており、遮蔽部材32および保持部材34をこれらのリブ30,30の間に嵌め込むことにより、自ずと位置が定まるので導管本体12への取り付けが容易である。また、遮蔽部材32の周方向の寸法をフランジ部20,20の周方向の離間間隔に合わせて設定することで、遮蔽部材32をフランジ部20,20の間に位置決めし易い。
【0049】
このように、開口組26はリブ30,30およびフランジ部20,20によって囲まれており、この囲まれた空間に遮蔽部材32が配置される。したがって、保持部材34の取り付け作業を行い易く、また遮蔽部材32が通気孔28からずれたりする等の取り付け不良を回避できる。また、保持部材34が遮蔽部材32から外れたり、保持部材34が本来の位置からずれて通気孔28を覆うような取り付け不良を回避できる。
【0050】
(実験例)
通気孔の開口率による騒音の低減効果の変化について検証した。直径71mm、流入口から流出口までの中心線長が400mmの直管状の導管本体を用意し、この導管本体の流入口から流出口までの中心線長の1/2の位置に通気孔を設け、この通気孔を目付量100g/m
2の不織布で覆った実験例1〜5に係る吸気ダクトを作成した。また、比較例1として実験例と同様の導管本体であるが通気孔を設けないもの、比較例2として不織布で通気孔を塞がないものを用意した。
【0051】
騒音抑制効果の評価は、流入口に取り付けた音源から吸気ダクトに音を入射し、流出口に取り付けた集音器で音量を測定した。300Hz〜600Hzの周波数において流出口で20dB以上の減音量があり、かつ600Hz〜1200Hzにおいて10dB以上の減音量があれば、効果があるとして評価した。その結果を以下の表1に示す。
【0052】
【表1】
*開口面積は、通気孔の総開口面積である。
*開口長は、通気孔の周方向の総開口長である。
*開口率は、導管本体の周長に対する通気孔の周方向の総開口長の割合である。
【0053】
表1に示す結果によれば、導管本体の周長に対する通気孔の開口率が13%〜67%の範囲であれば十分な騒音低減効果が得られることが確認された。
【0054】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、以下のように変更することも可能である。
【0055】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態の吸気ダクト10における保持部材34の取付構造では、周方向に離間する両方の端部を導管本体12に対して着脱可能に構成したが、一方の端部だけを着脱可能な構成としてもよい。
図6および
図7は本発明の第2実施形態に係る吸気ダクト50を示す断面図である。
【0056】
図6,7に示すように、吸気ダクト50の保持部材52は、周方向の端部がヒンジ部56により導管本体12のフランジ部20に回転可能に固定されている。このヒンジ部56は導管本体12の第1半体16と一体である。保持部材52と第1半体16とを一体成形することにより、吸気ダクト50の部品点数を減らすことができ、取り扱い性を更に向上することができる。
【0057】
このように構成された保持部材52は、ヒンジ部56を支点として導管本体12に対して回転し、遮蔽部材32を保持部材52と導管本体12の外周面との間で保持しながら、ヒンジ部56と周方向反対側に設けられた爪部(係止部)54がフランジ部20の爪穴(被係止部)22に係止されて導管本体12に保持される。
【0058】
<第3実施形態>
なお、上述の第2実施形態に係る吸気ダクト50においては、ヒンジ部56は保持部材52と第1半体16とを接続するように構成されていたが、
図8,9に示す第3実施形態に係る吸気ダクト60の如く、ヒンジ部56を保持部材52と第2半体18とを接続するように構成してもよい。
【0059】
このように第3実施形態に係る吸気ダクト50においては、第2半体18と一体的に形成された保持部材52の爪部54が、第2半体18に設けられた爪穴22に係止される。したがって、第2半体18と一体の保持部材52が遮蔽部材32および第1半体16を第2半体18に押し付けることができる。その結果、遮蔽部材32を第1半体16に固定すると同時に、第1半体16と第2半体18とを固定することができる。
【0060】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第4実施形態に係る吸気ダクト70の斜視図であり、
図11はその長手方向に直交する面での断面図である。第4実施形態に係る吸気ダクト70は、第3実施形態に係る吸気ダクト60において、8個の通気孔28で一組の開口組26を構成し、更に遮蔽部材32を保持する一対の突起(保持部)71,72を保持部材52に形成したものである。
【0061】
吸気ダクト70においては、複数個の通気孔28を周方向及び長手方向に複数列に配列し、これらを一組の開口組26とした。このように複数個の通気孔28を一列に配列させるのではなく、複数列に配列させることにより、開口面積を確保しつつ導管本体12の強度の両方を高く保つことができる。
【0062】
また、この通気孔28を覆う保持部材52は、上述の第1〜3実施形態と同様に周方向に沿って延在するように形成されている。この保持部材52の周方向一端は導管本体12にヒンジ部56を介して接続されており、周方向の他端には爪部54が設けられ、導管本体12の爪穴22に着脱自在に係止されている。この保持部材52のヒンジ部56近傍(周方向一端近傍)及び爪部54近傍(周方向他端近傍)には、導管本体12側に突出する一対の突起72が形成されている。この一対の突起71,72は開放部36を挟んで対向し、導管本体12の長手方向に延在するように設けられる。
【0063】
この第4実施形態に係る吸気ダクト70によれば、保持部材52をヒンジ部56周りに回転させて遮蔽部材32を導管本体12に取り付ける際、まずヒンジ部56近傍の突起71が遮蔽部材32を導管本体12の外周面に押し当てるように接触する。この状態では、遮蔽部材32のヒンジ部56側が突起71と導管本体12の外周面との間で保持されている。
【0064】
さらに保持部材52を回転させていくと、爪部54近傍の突起72が遮蔽部材32を導管本体12の外周面に押し当てるように接触する。さらに保持部材52を回転させていくと、突起72は爪穴22側の遮蔽部材32を爪穴22側に引っ張りながら移動する。最終的に爪部54が爪穴22に係止されて保持部材52が導管本体12に固定された状態では、保持部材52は、遮蔽部材32に一対の突起71,72により張力が付与された状態で、導管本体12に保持される。
【0065】
このように張力が付与された状態で遮蔽部材32が保持されることにより、より効果的に騒音を低減することができる。第4実施形態に係る吸気ダクト70によれば、遮蔽部材32に張力が付与されているので、導管本体12内部の圧力変動に起因する遮蔽部材32の変形を抑制することができ、遮蔽部材32の磨耗を抑制して長期にわたって騒音を低減することができる。また、遮蔽部材32と導管本体12の間に隙間が生じることがないので騒音が外部に漏れることがなく、より一層騒音を抑制することができる。
【0066】
なお、張力が付与されずに遮蔽部材32が保持された場合、気柱共鳴により空気流通路中の圧力が増加して遮蔽部材32が通気孔28から膨らんだり、圧力が減少して通気孔28から凹むように変形する虞がある。遮蔽部材32が圧力に応じて変形してしまうと、特に通気孔28より開放部36が大きい場合、遮蔽部材32が通気孔28の外周により磨耗したり、遮蔽部材32と導管本体12の間に形成される隙間から騒音が外部に漏れる虞がある。
【0067】
遮蔽部材32を保持する構造は上述した突起71,72に限られない。例えば、保持部材52の開放部36が形成される周辺領域を薄く、その周方向両端部を厚く形成し、その境界に形成された段差部により遮蔽部材32を保持する構成としてもよい。
【0068】
また、本実施形態は、突起71,72を保持部材52に設ける例に限られない。
図12は本発明の第4実施形態の第1変形例に係る吸気ダクト70Aの断面図である。
図12の断面図に示したように、導管本体12の突起71,72に対応する位置に、突起71,72が入り込む溝部(保持受け部)73,74を形成してもよい。
【0069】
さらに突起71,72は、
図10に示したように導管本体12の長手方向に連続するように設けてもよいし、間欠的に設けてもよい。また、突起72が遮蔽部材32を引っ張りながら保持部材52が回転する際、確実に遮蔽部材32が突起71に保持されるように、突起71の高さを突起72の高さよりも大きく形成することが好ましい。
【0070】
また、導管本体12の外周面の形状と保持部材52の内周面との形状を工夫することにより、あるいは、保持部材52のヒンジ部56の導管本体12に対する取り付け位置を工夫することにより、保持部材52の回転中心に近い側の突起71を、回転中心から遠い側の突起72より先に遮蔽部材32を保持するように構成することもできる。
【0071】
また、本実施形態は、上述したように突起71,72を長手方向に沿って形成する例に限られない。
図13は第4実施形態の第2変形例に係る吸気ダクト70Bの斜視図、
図14はその長手方向に沿った断面の断面図である。
図13,14に示すように、遮蔽部材32に張力を付与する一対の突起81,82を開放部36を挟んで周方向に延びるように保持部材52に形成し、突起81,82を受ける周方向溝83,84を導管本体12に形成してもよい。このような構成によっても、
図14中に矢印tsで示したように遮蔽部材32に張力を付与することができる。なお、
図13においては説明のために遮蔽部材32を省略して描いている。なお、
図12〜14に示した例では突起71,72を保持部材52に形成し溝部73,74を導管本体12に形成したが、突起71,72を導管本体12に形成し溝部73,74を保持部材52に形成してもよい。
【0072】
<第5実施形態>
第4実施形態においては、遮蔽部材32の全体に張力を付与するように構成したが、遮蔽部材32のうち少なくとも通気孔28に対応する領域にのみ張力が付与されていれば、上記の騒音抑制効果を期待できる。
図15は本発明の第5実施形態に係る吸気ダクト90の斜視図であり、
図16はその長手方向に直交する面での拡大断面図である。
【0073】
図15,16に示すように、第5実施形態に係る吸気ダクト90においては、導管本体12の通気孔28の外周縁にリング状の突起(保持受け部)91が形成され、これに対応するように開放部36の外周縁にリング状の突起(保持部)92が形成されている。このような構成によっても、遮蔽部材32に張力を付与した状態で保持部材52により遮蔽部材32を導管本体12に保持することができる。
【0074】
なお、このように通気孔28及び開放部36の外周縁に突起91,92を形成する場合は、確実に遮蔽部材32に張力を付与できるように、
図16に示した構成とすることが好ましい。
図16においては、保持部材52が導管本体12へ固定された時に、突起91の径方向外側の側壁が、遮蔽部材32を介して突起92の径方向内側の側壁を押圧している。
【0075】
これに対して、
図17の参考例に示したように、突起91Aの径方向内側の側壁が、突起92Aの径方向外側の側壁を押圧する場合、遮蔽部材32を通気孔28側に圧縮するように応力csがかかってしまう。つまり、保持部材52の導管本体12への固定時には、突起91Aの内側の側壁及び突起92Aの外側の側壁が、遮蔽部材32を通気孔28に対して外側から内側に移動させようとする。したがって、遮蔽部材32の通気孔28に対応する領域に圧縮応力が付与されるので、遮蔽部材32の通気孔28に対応する領域に張力が付与されにくい。
【0076】
逆に、
図16に示した構成であれば、保持部材52が遮蔽部材32を導管本体12に押し付けていくにつれて、突起91の外側の側壁に当接していた遮蔽部材32が突起92の内側の側壁によって通気孔28の外側に向けて押圧されるので、遮蔽部材32の通気孔28に対応する領域に張力tsを付与することができる。
【0077】
<第6実施形態>
以上の第1実施形態から第5実施形態においては、導管本体12の外周面に保持部材34,52を設ける例を説明したが、
図18の吸気ダクトの断面図に示すように保持部材52Aを導管本体12の内周面に設けてもよい。
【0078】
図18は本発明の第6実施形態に係る吸気ダクトの導管本体12の断面図である。保持部材52Aは導管本体12の第1半体16にヒンジ部56Aを介して回転可能に取り付けられている。また、ヒンジ部56Aの周方向の反対側には爪部54が設けられており、爪部54がフランジ部20の爪穴22に係止されて保持部材52Aが第1半体16に保持される。なお、第1半体16と第2半体18とは、
図18に示した断面から導管本体12の長手方向に沿ってずれた位置で、鍔部16a,18aをつき合わせて、振動溶着、接着剤による接着、リベットやボルト等による機械的な締結等の手法により接合される。
【0079】
本実施形態においては、保持部材52Aは導管本体12の内周面に沿って延在されており、保持部材52Aの外周面に設けた突起部71,72により遮蔽部材32を第1半体16に押し付け、遮蔽部材32を導管本体12に固定している。また、保持部材52Aは、遮蔽部材32のうち、導管本体12の通気孔28から外れた部位を保持している。
【0080】
このように、本実施形態においても、空気流通路14内の圧力変動を開放部36及び遮蔽部材32を介して通気孔28から外方に逃すことができ、空気流通路14内の気柱共鳴を抑制することができる。また、第1実施形態と同様に、導管本体12の内周面に通気孔28を挟んで対向する一対のリブを導管本体12の周方向に延在するように形成してもよい。
【0081】
以上、本発明をその実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【0082】
例えば、上述の実施形態では、空気流通路14の流通断面を円形に形成したが、四角形等の多角形や楕円その他の形状であってもよい。
【0083】
また、円形の通気孔28を挙げて説明したが、四角形等の多角形や楕円その他の形状であってもよい。また、開口組26を構成する複数の通気孔28は、上述の如く同一寸法であっても、相似形であっても、互いに異なる形状であっても、これらの組み合わせであってもよい。
【0084】
導管本体12の長手方向に離間する各位置に設けられた開口組26A〜26Cについて、各々の通気孔28の周方向の総開口長を、流入口に近づくにつれて小さくなるよう設定してもよい。すなわち、第1開口組26Aの総開口長と比べて該第1開口組26Aより流入口側に位置する第2開口組26Bの総開口長を小さくし、第2開口組26Bの総開口長と比べて該第2開口組26Bより流入口側に位置する第3開口組26Cの総開口長を小さくする。このように構成することで、気柱共鳴を適切に抑制しつつ、導管本体12に設ける通気孔28の数や大きさを最小限に抑えることができる。
【0085】
また、上記の説明ではフランジ部20を周方向に離間して2つ設けた例を挙げて説明したが、フランジ部20は1つあるいは3以上形成してもよい。さらに、保持部材の取付構造は、爪部が開口した爪穴に係合する構成であるが、導管本体側に爪部を設け、保持部材側に爪穴を設ける関係であってもよく、その他の構成であってもよい。
【0086】
また上記の説明では、導管本体12と保持部材34,52にそれぞれ設け、遮蔽部材32を保持する一対の突起(保持部または保持受け部)71,72,91,92をリング状の突起として説明したが、本発明はこの例に限られない。例えば、通気孔28または開放部36を囲む三角形や四角形等の多角形の枠状に形成したり、通気孔28または開放部36の外周に沿って形成された間欠的な複数の突起であってもよい。
【0087】
本出願は、2010年6月8日出願の日本特許出願(特願2010-131358)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。