(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793435
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】看板
(51)【国際特許分類】
G09F 7/18 20060101AFI20150928BHJP
G09F 13/04 20060101ALN20150928BHJP
【FI】
G09F7/18 P
!G09F13/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-13432(P2012-13432)
(22)【出願日】2012年1月25日
(65)【公開番号】特開2013-152366(P2013-152366A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 真慶
(72)【発明者】
【氏名】本多 利之
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 満
(72)【発明者】
【氏名】日置 康次
(72)【発明者】
【氏名】江渡 謙治
【審査官】
佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−181388(JP,A)
【文献】
実開昭63−78982(JP,U)
【文献】
特開平5−195650(JP,A)
【文献】
特開平5−261818(JP,A)
【文献】
特開平2−139215(JP,A)
【文献】
特開平11−254485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F7/00−7/22
G09F13/00−13/46
B29C45/00−45/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のパネル体と樹脂製の取付座体と取付金具とを備え、取付座体は、取付金具を固定するベース部と、正面視略円形をなすと共にくびれ部を有し且つベース部よりも小さい呑込部を有し、パネル体がくびれ部に食い込んで呑込部を呑み込むように一体成形してあることを特徴とする看板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明を有する看板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等の店舗看板は、光源や反射板を内蔵する樹脂成形によるパネル体と、パネル体と一体成形される取付座体と、取付座体と躯体壁部のそれぞれに取り付ける取付金具とからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2000−181388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような看板は、一体成形により取付座体のパネル体に呑み込まれる呑込部が正面視略矩形状をなすものであったことから、その矩形の角部がパネル体と当接するため、パネル体の荷重や風圧等の要因で呑込部の呑み込まれる部分に応力が集中すると破損しやすく、看板の耐久性に問題があった。本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、パネル体の耐久性を向上させることのできる看板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、樹脂製のパネル体と樹脂製の取付座体と取付金具とを備え、取付座体は、取付金具を固定するベース部と、正面視略円形をなすと共にくびれ部を有し且つベース部よりも小さい呑込部を有し、パネル体がくびれ部に食い込んで呑込部を呑み込むように一体成形してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、取付座体の呑込部が正面視略円形をなすことにより、パネル体の呑み込み部分との当接箇所が丸みを帯びた部分で当たるので応力が分散し、樹脂製のパネル体に大きな負荷を加えない構造となる。さらに、取付座体のベース部よりも呑込部が小さく形成してあるので、パネル体への呑込部の食い込みが少なくなり、したがって、インサート成形したときにパネル体の引き延ばしが大きくないのでの耐久性が損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施による看板を示す(a)は、
図2中Bを拡大し、本実施による看板の取付座体と面板との取付状態を示す一部を拡大した斜視図であり、(b)は、(a)中A−A線断面図である。
【
図2】本実施による看板を示す(a)は、(b)中C−C線縦断面図であり、(b)は、斜視図である。
【
図3】本実施による看板の施工手順を示す(a)は、パネル体の背面図であり、(b)〜(e)は、パネル体を躯体壁部に取り付ける手順を示すものである。
【
図4】本発明の他の実施形態を示す(a)は、側面図であり、(b)は、背面図であり、(c)は、平面図である。
【
図5】(a)は、
図4(a)中Dを拡大して示す縦断面図であり、(b)は、
図4(a)中Fを拡大して示す縦断面図であり、(c)は、
図4(a)中Eを拡大して示す縦断面図である。
【
図6】(a)〜(d)は、
図4のコーナー部の看板の実施形態の施工手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面に基づいて本実施による看板の実施の形態を説明する。
本実施による看板は、
図1(a)(b)と
図2(a)(b)のように、躯体壁部10の正面に取り付けてあり、パネル体1と、パネル体側取付金具(取付金具)2a,2bと、躯体側取付金具(取付金具)3a,3bと、取付座体4と、LED6と、反射板7と、基板8からなっており、樹脂で成形されている。パネル体1は、
図2(a)を参照すれば、表示面となる横長略矩形状をなす前面パネル1aと、後面パネル1bとからなっている。前面パネル1aは、外側に向けて凸状に湾曲しており、後面パネル1bの上下端部は、後述するが取付座体4の呑込部4bを呑み込んでいる。取付座体4は、パネル体1の後面パネル1bの複数箇所にそれぞれ設けてあり、ベース部4aと呑込部4bとからなっており、ベース部4aは、矩形ブロック状をなし、躯体壁部10側にパネル体側取付金具2a,2bのパネル体側取付部16を取り付ける溝状をなす被取付部5を有しており、樹脂製である。呑込部4bは、正面視して略円形状をなすとともに側面視しても角のない形状をなし、ベース部4aの外側に一体的に取り付けてあり、呑込部4bとベース部4aとの間にはくびれ部25を有しており、このくびれ部25に後面パネル1bが食い込むとともにパネル体1に呑み込まれる。また、呑込部4bの径の寸法は、ベース部4aの縦寸法及び幅寸法よりも小さく形成してある。パネル体側取付金具2a,2bは、上側の取付座体4と下側の取付座体4にそれぞれ取り付けてあり、パネル体1の幅寸法と略一致する長さを有するレール状をなしており、取付座体4の被取付部5に取り付けるパネル体側取付部16を有するとともに、躯体側取付金具3a,3bに取り付ける躯体側取付部17をそれぞれ有している。躯体側取付金具3a,3bは、躯体壁部10にネジで固定してあり、躯体側取付部17を取り付ける躯体側被取付部18を有している。また、本実施のもの(パネル体1上側に位置するもの)では、パネル体側取付部16が上下に突出する突出片を有しており、その上下の各突出片を溝状の被取付部5にスライド式に挿入して取り付けてある。さらに、躯体側取付部17は、上側の躯体側取付金具3aの躯体側被取付部18に載置するとともに、パネル体1の荷重で躯体側被取付部18が支点となって躯体側取付部17の先端部が持ち上がって上側の躯体側取付金具3aに下方から当接する。これにより、上側のパネル体側取付金具2aと上側の躯体側取付金具3aを取り付けている。LED6は、電線9に沿って数珠つなぎに複数連結してあり、基板8の外面側に沿わせて略全面に行き渡るように均等に配置してある。反射板7は、各LED6の四周を囲むように設けてあり、LED6の発光をパネル体1の全体に拡散する。
【0009】
パネル体1と取付座体4の取付構造については、
図1(a)(b)のように、取付座体4のくびれ部25に後面パネル1bが食い込むとともに、呑込部4bがパネル体1の後面パネル1bに呑み込まれる状態で取り付けてある。さらに、パネル体1の後面パネル1bと呑込部4bの呑み込みの状態については、パネル体1と一緒に取付座体4の呑込部4bをインサート成形することで取り付けてある。これにより、楕円球状をなす呑込部4bの後面パネル1bとの当接面に角がない状態で丸みを帯びるものであるから、その丸みを帯びた部位で後面パネル1bと当接することにより、パネル体1の荷重等で取付座体4の呑込部4bを呑み込む箇所15への応力の集中を分散し、パネル体1の耐久性を向上させる。さらに、取付座体4のベース部4aよりも呑込部4bが小さく形成してあるので、パネル体1をインサート成形したときに、パネル体1への呑込部4bの食い込みが少なくなるので、パネル体1の前面パネル1aと後面パネル1bが大きく引き延ばされないことから後面パネル1bの肉厚が薄くならず、これにより、パネル体1の耐久性が保たれる。
【0010】
上記のように構成する看板の施工手順は、第一の手順として
図3(a)のように、パネル体1に取り付けてある取付座体4の被取付部5に、パネル体側取付金具2a,2bのパネル体側取付部16を取り付ける。第二の手順として
図3(b)(c)のように、パネル体1の後面パネル1b上側に取り付けてあるパネル体側取付金具2aを、躯体壁部10に取り付けてある躯体側取付金具3aに載置し、さらに、躯体側取付金具3aを支点にパネル体1を水平軸回転で下方に回動する。第三の手順として
図3(d)(e)のように、前述した第二の手順で下方に回動したパネル体1の下側に取り付けてあるパネル体側取付金具2bを、これに対応する躯体壁部10下側の躯体側取付金具3bに取り付ける。このとき、下側のパネル体側取付金具2bについては、パネル体側取付金具2bから躯体側に突出する上側係止片13と下側係止片14が躯体側取付金具3bに当接するとともに、躯体側取付金具3bに係止し、その係止状態が保持されることで看板の躯体壁部10への取り付けが完了する。
【0011】
本発明の他の実施形態として、
図4(c)のように、躯体壁部10のコーナー部に取り付けられる看板である。その看板を構成するパネル体21は、
図4(a)(b)のように、躯体壁部10の正面側に設置される上記実施形態の看板と同じく、パネル体21と、取付座体24と、パネル体側取付金具22a,22bと、躯体側取付金具23a,23bとからなっているが、それぞれの形状が異なっている。パネル体21は、前面パネル21aと側面パネル21cと後面パネル21bとからなっており、躯体壁部10のコーナー部に対応して後面パネル21bの両側の側面パネル21cが傾斜面となっており、側面パネル21cは、躯体壁部10の正面に設置される看板のパネル体1と左右に隣接してある。パネル体側取付金具22a,22bは、
図5(a)〜(c)のように、略垂直に伸びる差込片34と、差込片34の一端側から略水平に伸びる取付片35とから略L字型をなすものであり、差込片34と取付片35のそれぞれにネジ孔27a,27bが設けてある。躯体側取付金具23a,23bは、
図4(c)と
図5(a)〜(c)のように、躯体壁部10の正面に設置してある看板の基板8のコーナー部側の端部に取り付けてあり、その上端と下端は、外側に突出するとともに上下に挿通するネジ孔28a,28b(
図6(a)〜(c)参照)が設けてある。取付座体24は、上記の躯体壁部10の正面側に設置する看板と同じく、インサート成形によりパネル体21と一体的に取り付けてあり、ベース部24aと呑込部24bとからなっている(
図5(a)(c)参照)。また、躯体壁部10の正面側に設置する看板の取付座体4とはベース部24aの構成が相違しており、そのベース部24aは、
図5(b)のように、略矩形ブロック状をなしており、中央に上下方向に挿通する挿通孔29が設けてあるとともに、挿通孔29の背面側の壁部には切欠部30が設けてある。また、本実施形態では、LED6の数を削減するために、コーナー部の看板の後ろにLED6を設けず、正面の看板の後ろのLED6の光で前面パネル21aを発光させている。通常、コーナー部の後ろのLED6を削減し、正面の看板のLED6のみでパネル体21を発光させると、内部装置などの影が入り込んで発光斑が発生するが、本実施のものでは、パネル体21の側面パネル21cは、半透明になっており、隣接する正面の看板から射し込むLED6の光を側面パネル21cの半透明で拡散することにより、コーナー部のパネル体21の前面パネル21aに内部装置等の影が映り込まず、発光斑が発生しない構造となっている。
【0012】
上記のように構成する看板の施工手順は、第一の手順として
図6(a)(b)のように、パネル体21に取り付けてある取付座体24のベース部24aの挿通孔29に、パネル体側取付金具22aの差込片34を挿し込み、ベース部24aの切欠部30にネジ31を入れて差込片34のネジ孔27aにネジ止めし、取付座体24とパネル体側取付金具22a,22bを固定する。このときに、下側のパネル体側取付金具22bの取付片35のネジ孔27bに上方からネジ32をネジ込むとともに、上側の躯体側取付金具23aのネジ孔28aに下方からネジ32をネジ込む。第二の手順として
図6(c)のように、パネル体21の上側に取り付けてあるパネル体側取付金具22aの取付片35のネジ孔27bにネジ32を挿通させながら、パネル体側取付金具22aの取付片35を躯体側取付金具23aに載置し、さらに、ネジ32にナット33をかけて固定する。また、
図6(d)のように、パネル体21の下側のパネル体側取付金具22bの取付片35にネジ込んだネジ32を下側の躯体側取付金具23bのネジ孔28bに挿通させながら、パネル体側取付金具22bを躯体側取付金具23bに載置し、さらに、ネジ32にナット33をかけて固定することにより、看板の躯体壁部10への取り付けが完了する。
【0013】
上記各実施形態では、本発明の看板を躯体壁部10に取り付けるものを挙げたが、支柱や横桟に取り付けるものでもよい。また、パネル体1,21の形状や大きさについても上記実施形態のものに限らず、様々なものに対応できる。
【符号の説明】
【0014】
1,21 パネル体
2a,22a 上側のパネル体側取付金具(取付金具)
2b,22b 下側のパネル体側取付金具(取付金具)
3a,23a 上側の躯体側取付金具(取付金具)
3b,23b 下側の躯体側取付金具(取付金具)
4,24 取付座体
4a,24a ベース部
4b,24b 呑込部
25 くびれ部