特許第5793450号(P5793450)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793450
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ熱源システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/18 20060101AFI20150928BHJP
   F24D 3/00 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   F24D3/08 H
   F24D3/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-44832(P2012-44832)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-181682(P2013-181682A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 孝二
(72)【発明者】
【氏名】柿内 敦史
(72)【発明者】
【氏名】所 寿洋
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−257366(JP,A)
【文献】 特開平11−237061(JP,A)
【文献】 特開2001−296057(JP,A)
【文献】 特開2009−250481(JP,A)
【文献】 特開2006−329570(JP,A)
【文献】 特開平09−273762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/00
F24D 3/08
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房端末が接続され、該暖房端末を介して第1熱媒体が循環される暖房循環路と、
放熱部が接続され、該放熱部を介して第2熱媒体が循環される放熱用循環路と、
第3熱媒体が循環されるヒートポンプ循環路と、該ヒートポンプ循環路及び前記暖房循環路に接続されて、前記暖房循環路内を流通する前記第1熱媒体を、前記ヒートポンプ循環路内を流通する前記第3熱媒体との熱交換により加熱する暖房熱交換器と、該ヒートポンプ循環路及び前記放熱用循環路に接続されて、前記放熱用循環路内を流通する前記第2熱媒体を、前記ヒートポンプ循環路内を流通する前記第3熱媒体との熱交換により加熱する放熱用熱交換器とを有するヒートポンプと、
前記暖房端末の暖房設定条件に応じて、前記暖房端末の制御周期における前記暖房循環路に前記第1熱媒体を循環させるオン期間と前記暖房循環路の前記第1熱媒体の循環を停止するオフ期間との割合である、オンオフデューティを決定するオンオフデューティ決定部と、
前記放熱部からの放熱要求がなされていない状態で、前記暖房端末による暖房運転の指示がなされているときに、前記オンオフデューティに従って、前記ヒートポンプを作動状態に維持して、前記オン期間においては前記暖房循環路に前記第1熱媒体を循環させると共に前記放熱用循環路の前記第2熱媒体の循環を停止し、前記オフ期間においては前記暖房循環路の前記第1熱媒体の循環を停止すると共に前記放熱用循環路に前記第2熱媒体を循環させることにより、前記暖房端末の暖房運転を実行する暖房制御部と
を備えたことを特徴とするヒートポンプ熱源システム。
【請求項2】
暖房端末が接続され、該暖房端末を介して第1熱媒体が循環される暖房循環路と、
放熱部が接続され、該放熱部を介して第2熱媒体が循環される放熱用循環路と、
第3熱媒体が循環されるヒートポンプ循環路と、該ヒートポンプ循環路及び前記暖房循環路に接続されて、前記暖房循環路内を流通する前記第1熱媒体を、前記ヒートポンプ循環路内を流通する前記第3熱媒体との熱交換により加熱する暖房熱交換器と、該ヒートポンプ循環路及び前記放熱用循環路に接続されて、前記放熱用循環路内を流通する前記第2熱媒体を、前記ヒートポンプ循環路内を流通する前記第3熱媒体との熱交換により加熱する放熱用熱交換器とを有するヒートポンプと、
前記暖房端末の暖房設定条件に応じて、前記暖房端末の制御周期における前記暖房循環路に前記第1熱媒体を循環させるオン期間と前記暖房循環路の前記第1熱媒体の循環を停止するオフ期間との割合である、オンオフデューティを決定するオンオフデューティ決定部と、
前記オンオフデューティに従って、前記ヒートポンプを作動状態に維持して、前記オン期間においては前記暖房循環路に前記第1熱媒体を循環させると共に前記放熱用循環路の前記第2熱媒体の循環を停止し、前記オフ期間においては前記暖房循環路の前記第1熱媒体の循環を停止すると共に前記放熱用循環路に前記第2熱媒体を循環させることにより、前記暖房端末の暖房運転を実行する暖房制御部と、
前記ヒートポンプの加熱量を変更するヒートポンプ加熱量変更部とを備え、
前記暖房制御部は、前記暖房設定条件に応じて、前記ヒートポンプの加熱量を前記ヒートポンプ加熱量変更部により変更し、前記暖房運転のオフ期間における前記ヒートポンプの加熱量を、前回のオン期間からオフ期間への切替え時点における前記ヒートポンプの加熱量とすることを特徴とするヒートポンプ熱源システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヒートポンプ熱源システムにおいて、
前記放熱部は湯水が貯められた貯湯タンクであり、
前記放熱用循環路は該貯湯タンクに両端が接続されたタンク循環路であり、
前記第2熱媒体は前記貯湯タンクに貯められた湯水である
ことを特徴とするヒートポンプ熱源システム。
【請求項4】
請求項3に記載のヒートポンプ熱源システムにおいて、
前記貯湯タンクの上部に接続されて、前記貯湯タンク内の湯水が供給されるタンク給湯路と、
前記タンク循環路を循環する湯水の流量を変更するタンク循環流量変更部とを備え、
前記タンク循環路の戻り側の端部は、前記貯湯タンクの上部に接続され、
前記暖房制御部は、前記オフ期間において、前記タンク循環路から前記貯湯タンクに戻る湯水の温度が所定の給湯目標温度となるように、前記タンク循環路を循環する湯水の流量を前記タンク循環流量変更部により制御することを特徴とするヒートポンプ熱源システム。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のヒートポンプ熱源システムにおいて、
前記暖房制御部による前記暖房運転の実行履歴を示す暖房履歴データを保持する暖房履歴保持部と、
前記暖房履歴データから予想される次の前記暖房運転の開始時刻になる前に、前記貯湯タンク内の温度を、次の前記暖房運転の実行後の前記貯湯タンク内の温度が所定の上限温度以下になるように決定した事前準備温度以下に、予め制御する貯湯タンク制御部と
を備えたことを特徴とするヒートポンプ熱源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房端末が接続されたヒートポンプ循環路内を循環する熱媒体を、ヒートポンプにより加熱して暖房を行う機能を有するヒートポンプ熱源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば熱媒体として温水を使用して、床暖房機等の暖房端末が途中に接続された暖房温水循環路内を循環する温水を、ヒートポンプにより加熱することによって、暖房を行う熱源システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された熱源システムは、給湯に使用される貯湯タンク内の湯水を循環させるタンク循環路とヒートポンプユニットのヒートポンプ循環路に接続された給湯熱交換器と、暖房温水循環路とヒートポンプユニットのヒートポンプ循環路に接続された暖房熱交換器とを備えている。
【0004】
そして、貯湯タンク内の湯水を加熱するときは、ヒートポンプユニットを作動させてヒートポンプ循環路に熱媒体を循環させた状態で、貯湯タンク内の湯水をタンク循環路を介して循環させることによって、給湯熱交換器で熱交換を行う。また、暖房端末による暖房を行なうときには、ヒートポンプユニットを作動させてヒートポンプ循環路に熱媒体を循環させた状態で、暖房温水循環路内に温水を循環させることによって、暖房熱交換機で熱交換を行なう。
【0005】
ここで、ヒートポンプユニットの起動と停止を頻繁に行うと、ヒートポンプユニットの効率が低下する。そこで、特許文献1に記載された熱源システムにおいては、暖房運転時に室温が暖房設定温度以上になったときに、暖房温水循環路の温水の循環を停止して、タンク循環路の湯水の循環を行うことで、ヒートポンプユニットを停止せずに暖房端末からの放熱を抑制し、その後室温が暖房設定温度未満になったときに、タンク循環路の湯水の循環を停止して、暖房温水循環路の温水の循環を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4194215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載された熱源システムにおいては、暖房運転時に、室温が暖房設定温度以上となったときはヒートポンプユニットによる加熱対象を、暖房温水循環路内の温水から貯湯タンク内の湯水に切り替えると共に、室温が暖房設定温度未満となったときにはヒートポンプユニットによる加熱対象を、貯湯タンク内の湯水から暖房温水循環路内の温水に切替えている。
【0008】
そして、このように、室温が暖房設定温度以上となるか否かによって、ヒートポンプユニットによる暖房温水循環路内の温水の加熱と停止を切り替えた場合、加熱時と停止時とで、暖房端末からの放熱量を細かく制御できず、暖房端末からの放熱量がある程度大きく変化するため、暖房端末からの放熱を安定して制御することが難しいという不都合がある。
【0009】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、暖房運転時に、ヒートポンプユニットの効率の低下を抑制しつつ、暖房端末からの放熱を安定して制御することができるヒートポンプ熱源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、
暖房端末が接続され、該暖房端末を介して第1熱媒体が循環される暖房循環路と、
放熱部が接続され、該放熱部を介して第2熱媒体が循環される放熱用循環路と、
第3熱媒体が循環されるヒートポンプ循環路と、該ヒートポンプ循環路及び前記暖房循環路に接続されて、前記暖房循環路内を流通する前記第1熱媒体を、前記ヒートポンプ循環路内を流通する前記第3熱媒体との熱交換により加熱する暖房熱交換器と、該ヒートポンプ循環路及び前記放熱用循環路に接続されて、前記放熱用循環路内を流通する前記第2熱媒体を、前記ヒートポンプ循環路内を流通する前記第3熱媒体との熱交換により加熱する放熱用熱交換器とを有するヒートポンプと、
前記暖房端末の暖房設定条件に応じて、前記暖房端末の制御周期における前記暖房循環路に前記第1熱媒体を循環させるオン期間と前記暖房循環路の前記第1熱媒体の循環を停止するオフ期間との割合である、オンオフデューティを決定するオンオフデューティ決定部と、
前記放熱部からの放熱要求がなされていない状態で、前記暖房端末による暖房運転の指示がなされているときに、前記オンオフデューティに従って、前記ヒートポンプを作動状態に維持して、前記オン期間においては前記暖房循環路に前記第1熱媒体を循環させると共に前記放熱用循環路の前記第2熱媒体の循環を停止し、前記オフ期間においては前記暖房循環路の前記第1熱媒体の循環を停止すると共に前記放熱用循環路に前記第2熱媒体を循環させることにより、前記暖房端末の暖房運転を実行する暖房制御部と
を備えたことを特徴とする(第1発明)。
【0011】
第1発明によれば、前記オンオフデューティ決定部により、前記暖房設定条件に応じた前記オンオフデューティが決定される。そして、前記暖房制御部は、このオンオフデューティに従って、前記暖房端末に前記第1熱媒体を循環供給する前記オン期間と、前記暖房端末への前記第1熱媒体の循環供給を停止する前記オフ期間との割合を変更することにより、前記暖房端末からの放熱量を安定して広範囲に制御することができる。そして、前記オフ期間においても、前記ヒートポンプを作動させて前記放熱部での利用に供しているため、前記暖房運転中の前記ヒートポンプの効率低下を抑制しつつ、前記暖房端末からの放熱を安定して制御することができる。
【0012】
また、暖房端末が接続され、該暖房端末を介して第1熱媒体が循環される暖房循環路と、
放熱部が接続され、該放熱部を介して第2熱媒体が循環される放熱用循環路と、
第3熱媒体が循環されるヒートポンプ循環路と、該ヒートポンプ循環路及び前記暖房循環路に接続されて、前記暖房循環路内を流通する前記第1熱媒体を、前記ヒートポンプ循環路内を流通する前記第3熱媒体との熱交換により加熱する暖房熱交換器と、該ヒートポンプ循環路及び前記放熱用循環路に接続されて、前記放熱用循環路内を流通する前記第2熱媒体を、前記ヒートポンプ循環路内を流通する前記第3熱媒体との熱交換により加熱する放熱用熱交換器とを有するヒートポンプと、
前記暖房端末の暖房設定条件に応じて、前記暖房端末の制御周期における前記暖房循環路に前記第1熱媒体を循環させるオン期間と前記暖房循環路の前記第1熱媒体の循環を停止するオフ期間との割合である、オンオフデューティを決定するオンオフデューティ決定部と、
前記オンオフデューティに従って、前記ヒートポンプを作動状態に維持して、前記オン期間においては前記暖房循環路に前記第1熱媒体を循環させると共に前記放熱用循環路の前記第2熱媒体の循環を停止し、前記オフ期間においては前記暖房循環路の前記第1熱媒体の循環を停止すると共に前記放熱用循環路に前記第2熱媒体を循環させることにより、前記暖房端末の暖房運転を実行する暖房制御部と、
前記ヒートポンプの加熱量を変更するヒートポンプ加熱量変更部とを備え、
前記暖房制御部は、前記暖房設定条件に応じて、前記ヒートポンプの加熱量を前記ヒートポンプ加熱量変更部により変更し、前記暖房運転のオフ期間における前記ヒートポンプの加熱量を、前回のオン期間からオフ期間への切替え時点における前記ヒートポンプの加熱量とすることを特徴とする(第2発明)。
【0013】
第2発明によれば、前記オフ期間において、前記放熱用循環路に前記第2熱媒対を循環させるときに、前記ヒートポンプの加熱量が大きく変化することがないため、前記オフ期間と前記オン期間を切替えて前記暖房運転を実行するときの、前記暖房端末からの放熱量の制御の追随性を高めることができる。
【0014】
また、第1発明又は第2発明において、
前記放熱部は湯水が貯められた貯湯タンクであり、
前記放熱用循環路は該貯湯タンクに両端が接続されたタンク循環路であり、
前記第2熱媒体は前記貯湯タンクに貯められた湯水であることを特徴とする(第3発明)。
【0015】
第3発明によれば、前記オフ期間において、前記タンク循環路に湯水を循環させることにより、前記ヒートポンプによる前記第3熱媒体の蓄熱を前記貯湯タンク内の湯水の加熱に有効に利用することができる。
【0016】
また、第3発明において、
前記貯湯タンクの上部に接続されて、前記貯湯タンク内の湯水が供給されるタンク給湯路と、
前記タンク循環路を循環する湯水の流量を変更するタンク循環流量変更部とを備え、
前記タンク循環路の戻り側の端部は、前記貯湯タンクの上部に接続され、
前記暖房制御部は、前記オフ期間において、前記タンク循環路から前記貯湯タンクに戻る湯水の温度が所定の給湯目標温度となるように、前記タンク循環路を循環する湯水の流量を前記タンク循環流量変更部により制御することを特徴とする(第4発明)。
【0017】
第4発明によれば、前記暖房運転の実行中に、前記貯湯タンク内の上層部の湯水の温度が前記給湯目標温度に維持されるため、前記暖房運転の実行中も、前記貯湯タンクから前記給湯路に前記給湯目標温度の湯水を供給することができる。
【0018】
また、第3発明又は第4発明において、
前記暖房制御部による前記暖房運転の実行履歴を示す暖房履歴データを保持する暖房履歴保持部と、
前記暖房履歴データから予想される次の前記暖房運転の開始時刻になる前に、前記貯湯タンク内の温度を、次の前記暖房運転の実行後の前記貯湯タンク内の温度が所定の上限温度以下になるように決定した事前準備温度以下に、予め制御する貯湯タンク制御部と
を備えたことを特徴とする(第5発明)。
【0019】
第5発明によれば、前記暖房履歴データから予想される次の前記暖房運転の開始時刻になる前に、前記貯湯タンク内の湯水の温度を、前記事前準備温度以下に予め制御しておくことによって、前記貯湯タンク内の湯水の温度を前記上限温度以下に保って、前記ヒートポンプの作動を維持した前記暖房運転を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ヒートポンプ熱源システムの構成図。
図2】床暖房パネルの暖房運転の第1のフローチャート。
図3】床暖房パネルの暖房運転の第2のフローチャート。
図4】床暖房パネルの暖房運転におけるオンオフデューティの設定テーブルの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図1図4を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態のヒートポンプ熱源システムは、貯湯ユニット10、ヒートポンプユニット50、ガス熱源ユニット80、及び、ヒートポンプ熱源システムの全体的な作動を制御するコントローラ150を備えて構成されている。
【0022】
貯湯ユニット10は、貯湯タンク11(本発明の放熱部に相当する)、給水管12、給湯管13等を備えている。貯湯タンク11は内部に湯水(本発明の第2熱媒体に相当する)を保温して貯め、高さ方向に略等間隔でタンク温度センサ14〜17が設けられている。貯湯タンク11の底部には、作業者の手動操作により開弁される排水弁18が設けられている。
【0023】
給水管12は、一端が給水口30を介して図示しない水道に接続され、他端が貯湯タンク11の下部に接続されて、貯湯タンク11内の下部に水を供給する。給水管12には、貯湯タンク11の内圧が過大になることを防止するための減圧弁19と、貯湯タンク11から給水管12への湯水の流出を阻止するための逆止弁20が設けられている。
【0024】
給水管12は、タンク混合弁21を介して給湯管13に連通しており、タンク混合弁21より、貯湯タンク11から給湯管13に供給される湯と給水管12から給湯管に供給される水との混合比が変更される。給水管12には、給水管12内の水の温度を検出する水温度センサ22と、給水管12を流通する水の流量を検出する水流量センサ23と、給湯管13から給水管12への湯水の流出を阻止するための逆止弁24とが設けられている。
【0025】
給湯管13(本発明のタンク給湯路に相当する)は、一端が給湯口31に接続され、他端が貯湯タンク11の上部に接続されている。貯湯タンク11の上部に貯められた湯水は、給湯口31を介して図示しない給湯栓(台所、洗面所、浴室のカランやシャワー等)に供給される。給湯管13には、給湯管13から貯湯タンク11への湯水の流入を阻止する逆止弁25と、給湯管13内の湯水の温度を検出する湯温度センサ26と、給湯管13を流通する湯水の流量を検出する湯流量センサ27とが設けられている。
【0026】
さらに、給湯管13には、給水管12の分岐管との接続部よりも下流側で、ガス熱源ユニット80を循環するバイパス管33(バイパス往管33a、バイパス戻管33b)が介設されている。給湯管13のバイパス往管33aとの接続部とタンク混合弁21の間には、湯温度センサ28が設けられ、給湯管13のバイパス戻管33bとの接続部と給湯口31の間に、混合湯温度センサ32が設けられている。
【0027】
また、給湯管13のバイパス往管33aとの接続部とバイパス戻管33bとの接続部の間に、バイパス往管33aに供給される湯水の流量を調整するためのバイパス制御弁29が設けられている。ヒートポンプユニット50及びガス熱源ユニット80と接続された暖房循環路40には、暖房循環路40からヒートポンプユニット50に戻る温水の温度を検出する暖房ヒートポンプ戻り温度センサ45と、ヒートポンプユニット50により加熱されて暖房循環路40に出湯される温水の温度を検出する暖房ヒートポンプ往き温度センサ46と、ヒートポンプユニット50をバイパスするヒートポンプバイパス路42と暖房循環路40の下流側の接続箇所の直下流部に設けられて、暖房循環路40からの温水とヒートポンプバイパス路42からの温水とが混合された温水の温度を検出する暖房混合温度センサ47とが設けられている。
【0028】
さらに、暖房循環路40側に流通する温水とヒートポンプバイパス路42側に流通する湯水の割合を調節するための暖房側混合弁48が設けられている。また、ヒートポンプユニット50と接続されたタンク循環路41(本発明の放熱用循環路に相当する)には、貯湯タンク11からタンク循環路41に供給される湯水の温度を検出するタンク下温度センサ34が設けられている。
【0029】
貯湯ユニット10に備えられた各センサの検出信号は、コントローラ150に入力される。また、コントローラ150から出力される制御信号によって、タンク混合弁21、バイパス制御弁29、及び暖房側混合弁48の作動が制御される。
【0030】
次に、ヒートポンプユニット50は、貯湯タンク11内の湯水をタンク循環路41を介して循環させて加熱すると共に、暖房循環路40内を流通する温水(本発明の第1熱媒体に相当する)を加熱するものである。ヒートポンプユニット50は、ヒートポンプ循環路52により接続された蒸発器53、圧縮機54(本発明のヒートポンプ加熱量変更部に相当する)、ヒートポンプ熱交換器55(凝縮機)、及び膨張弁56により構成されたヒートポンプ51を有している。
【0031】
蒸発器53は、ファン60の回転により供給される空気とヒートポンプ循環路52内を流通する熱媒体(ハイドロフルオロカーボン(HFC)等の代替フロン、二酸化炭素等、本発明の第3熱媒体に相当する)との間で熱交換を行う。圧縮機54は、蒸発器53から吐出された熱媒体を圧縮して高圧・高温とし、ヒートポンプ熱交換器55に送出する。膨張弁56は、圧縮機54で加圧された熱媒体の圧力を開放する。
【0032】
除霜弁61は膨張弁56をバイパスして設けられており、圧縮機54から送出される熱媒体により蒸発器53を除霜する。ヒートポンプ循環路52の膨張弁56の上流側及び下流側、圧縮機54の上流側及び下流側には、ヒートポンプ循環路52内を流通する熱媒体の温度を検出する熱媒体温度センサ62,63,64,65が、それぞれ設けられている。また、蒸発器53には、蒸発器53に吸入される空気の温度を検出する空気温度センサ67が設けられている。
【0033】
ヒートポンプ熱交換器55はタンク循環路41と接続され、圧縮機54により高圧・高温とされた熱媒体と、タンク循環路41内を流通する湯水との熱交換により、タンク循環路41内を流通する湯水を加熱する。タンク循環路41には、貯湯タンク11内の湯水をタンク循環路41を介して循環させるためのタンク循環ポンプ66(本発明のタンク循環流量変更部に相当する)が設けられている。
【0034】
貯湯タンク11内の下部に貯まった湯水は、タンク循環ポンプ66によりタンク循環路41に導かれ、ヒートポンプ熱交換器55で加熱されて貯湯タンク11の上部に戻される。なお、タンク循環路41のヒートポンプ熱交換器55の上流側及び下流側には、タンク循環路41内を流通する湯水の温度を検出する湯温度センサ68,69が設けられている。また、ヒートポンプ熱交換器55には、その内部の雰囲気温度を検出する雰囲気温度センサ57が設けられている。
【0035】
また、ヒートポンプ熱交換器55は暖房循環路40と接続され、圧縮機54により高圧・高温とされた熱媒体と、暖房循環路40内を流通する温水との熱交換により、暖房循環路40内を流通する温水を加熱する。
【0036】
ヒートポンプユニット50に備えられた各センサの検出信号は、コントローラ150に入力される。また、コントローラ150から出力される制御信号によって、圧縮機54、タンク循環ポンプ66、ファン60の作動が制御される。
【0037】
次に、ガス熱源ユニット80は、バイパス管33から供給される湯水と、暖房循環路40内を流通する温水を加熱するものであり、給湯バーナ81、給湯熱交換器82、暖房バーナ83、暖房熱交換器84、給水管85、給湯管86、追焚き熱交換器87等を備えている。
【0038】
給湯バーナ81及び暖房バーナ83は、図示しないガス供給管から燃料ガスが供給されると共に、図示しない燃焼ファンにより燃焼用空気が供給される。コントローラ150は、給湯バーナ81及び暖房バーナ83に供給する燃料ガスと燃焼用空気の流量を調節して、給湯バーナ81及び暖房バーナ83の燃焼量を制御する。
【0039】
給湯熱交換器82は、給水管85及び給湯管86に連通しており、給湯バーナ81の燃焼熱によって、給水管85から供給される水を加熱して給湯管86に出湯する。給水管85は、一端が貯湯ユニット10バイパス往管33aに接続され、バイパス往管33aを介して水が供給される。給湯管86は、一端が貯湯ユニット10のバイパス戻管33bに接続されており、バイパス戻管33bを介して給湯口31から湯を供給する。
【0040】
給水管85には、上流側から順に、止水弁93と水量センサ88が設けられている。給水管85と給湯管86は、バイパス管89により連通しており、バイパス管89にはバイパス管89の開度を調節するための水量調節弁90が設けられている。給湯管86の給湯熱交換器82の下流側、及びバイパス管89との接続部分の下流側には、給湯管86内を流通する湯の温度を検出する給湯温度センサ91,92が、それぞれ設けられている。
【0041】
この構成により、貯湯タンク11内に湯が無いとき(湯切れ状態)に、バイパス往管33aを介して給水管85に供給される水が給湯熱交換器82により加熱されて湯となり、バイパス管89からの水と混合されて、給湯管86及びバイパス戻管33bを介して給湯口31から供給されるようになっている。
【0042】
また、給湯管86は、湯張り管100により、浴槽101に接続された風呂循環路102に連通している。湯張り管100には、湯張り管100を開閉する湯張り弁103と、風呂循環路102から給湯管86への湯の流入を阻止する逆止弁104が設けられている。湯張り弁103を開弁することにより、給湯管86から湯張り管100及び風呂循環路102を介して浴槽101に湯を供給することができる。
【0043】
風呂循環路102には、浴槽101内の湯水を風呂循環路102を介して循環させる風呂循環ポンプ105と、追焚き熱交換器87とが設けられている。追焚き熱交換器87は、追焚き往管107及び追焚き戻管108を介して暖房循環路40に接続されている。追焚き往管107には、追焚き往管107を開閉する追焚き弁109が設けられている。
【0044】
コントローラ150は、風呂循環ポンプ105を作動させて、浴槽101内の湯水を風呂循環路102を介して循環させた状態で、追焚き弁109を開弁し、後述する暖房循環ポンプ111を作動させて暖房循環路40から追焚き往管107及び追焚き戻管108を介して追焚き熱交換器87に温水を循環供給することによって、浴槽101内の湯水を追焚きする。
【0045】
暖房熱交換器84は、暖房循環路40の途中に設けられており、暖房バーナ83の燃焼熱によって、暖房循環路40内を流通する温水を加熱する。暖房循環路40は、追焚き熱交換器87の他に、床暖房機200(本発明の暖房端末に相当する)及び温風暖房機210に、温水による熱を供給する。
【0046】
暖房循環路40には、上述したヒートポンプ熱交換器55及び暖房熱交換器84と、シスターン110と、暖房循環ポンプ111とが設けられている。また、暖房循環路40は、暖房循環ポンプ111と暖房熱交換器84の間の箇所で低温暖房路112と高温暖房路130とに分岐している。
【0047】
高温暖房路130には温風暖房機210が接続され、低温暖房路112には床暖房機200が接続されている。高温暖房路130と低温暖房路112は、温風暖房機210及び床暖房機200の下流側で合流している。高温暖房路130と温風暖房機210の接続部と暖房熱交換器84の間の箇所で高温暖房路130から分岐してシスターン110に連通する暖房バイパス路113が設けられ、暖房バイパス路113には、暖房バイパス路113の開度を調節する暖房バイパス調節弁114が設けられている。
【0048】
暖房循環路40の暖房循環ポンプ111の出口付近には、暖房循環ポンプ111から送出される温水の温度を検出する戻り温水温度センサ115が設けられている。また、暖房循環路40の暖房熱交換器84の出口付近には、暖房熱交換器84から送出される温水の温度を検出する往き温水温度センサ116が設けられている。
【0049】
低温暖房路112は、熱動弁120を介して床暖房端末200に接続されており、熱動弁120の開閉によって、低温暖房路112から床暖房端末200への温水の供給と停止が切替えられる。また、高温暖房路130から温風暖房機210への温水の供給と停止は、温風暖房機210に備えられた熱動弁211の開閉により行われる。床暖房機200を操作するための床暖房リモコン201には、床暖房機200が設置された室内の温度を検出する室温センサ202が接続されている。
【0050】
床暖房リモコン201とコントローラ150は、通信可能に接続され、床暖房リモコン201により設定された目標暖房温度のデータと、室温センサ202による検出温度のデータが、コントローラ150に送信される。
【0051】
コントローラ150は、図示しないCPU,メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたヒートポンプ熱源システムの制御用プログラムを、CPUで実行することによって、オンオフデューティ決定部151、暖房制御部152、暖房履歴保持部153、及び貯湯タンク制御部154として機能する。
【0052】
熱源リモコン160は、コントローラ150と通信可能に接続されている。熱源リモコン160には、ヒートポンプ熱源システムの運転状態や運転条件の設定状態等を表示する表示器161と、ヒートポンプ熱源システムの運転条件等を設定する操作部162とが備えられている。
【0053】
ヒートポンプ熱源システムの使用者は、熱源リモコン160の操作部162を操作することによって、貯湯タンク11内の湯水の沸き上げ指示、給湯口31からの給湯温度(給湯目標温度)、浴槽101への給湯温度(湯張り目標温度)等を設定することができる。
【0054】
オンオフデューティ決定部151は、床暖房機200の暖房運転の実行中に、床暖房リモコン201により設定された暖房目標温度(本発明の暖房設定条件に相当する)と室温センサ202の検出温度との差に応じて、図4に示したオンオフデューティ設定テーブルに従って、1制御周期(20分)において、暖房循環ポンプ111を作動させて床暖房機200の温水を供給する期間(オン期間)と、暖房循環ポンプ111を停止させて床暖房機200への温水供給を停止する期間(オフ期間)の割合であるオンオフデューティを、1速〜9速の9段階に切替える。
【0055】
暖房制御部152は、床暖房機200の暖房運転を実行する。暖房履歴保持部153は、床暖房機200の過去の暖房履歴を示す暖房履歴データを保持する。貯湯タンク制御部154は、貯湯タンク11内の湯水を熱源リモコン160で設定された給湯目標温度又は湯張り目標温度に応じた沸き上げ温度まで加熱する処理を行う。
【0056】
ガス熱源ユニット80に備えられた各センサの検出信号はコントローラ150に入力される。また、コントローラ150から出力される制御信号によって、給湯バーナ81、暖房バーナ83、水量調節弁90、止水弁93、湯張り弁103、風呂循環ポンプ105、追焚き弁109、暖房循環ポンプ111、暖房バイパス調節弁114、及び熱動弁120の作動が制御される。
【0057】
次に、図2図3に示したフローチャートに従って、コントローラ150による床暖房機200の暖房運転(床暖房運転)の実行処理について説明する。
【0058】
図2のSTEP1〜STEP2及びSTEP20は、貯湯タンク制御部154による処理である。貯湯タンク制御部154は、STEP1で、暖房履歴保持部153により保持された過去の床暖房機200の暖房運転の履歴データを参照して、所定時間以内に床暖房運転の開始が指示されるか否かを予想する。
【0059】
そして、所定時間以内に床暖房運転の開始が指示されると予想したときはSTEP2に進み、貯湯タンク制御部154は、沸き上げ温度を45℃(本発明の事前準備温度に相当する)以下に設定して、貯湯タンク11内の湯水をヒートポンプ51により加熱する。一方、所定時間以内に床暖房運転が開始されると予想しなかったときには、STEP20に分岐し、貯湯タンク制御部154は、熱源リモコン160により設定されている給湯温度(給湯目標温度又は湯張り目標温度)に応じて、以下のように沸き上げ温度を設定して、貯湯タンク11内の湯水をヒートポンプ51により加熱する。
【0060】
【表1】
【0061】
なお、45℃という温度は、床暖房運転が終了したときに、貯湯タンク11内の湯水の温度が55℃(本発明の上限温度に相当する)以下となり、暖房運転中のヒートポンプ熱交換器55でのヒートポンプ循環路52の熱媒体からの吸熱が維持されるように設定したものである。
【0062】
次のSTEP3以下は、暖房制御部152による処理である。暖房制御部152は、STEP3で、床暖房リモコン201からの床暖房運転の開始指示を認識したときにSTEP4に進み、ヒートポンプ51を起動する。ここで、オンオフデューティ決定部151は、上述したように、床暖房運転が実行されているときに、床暖房設定温度と室温センサ202の検出温度との差に応じて、1速〜9速の9段階でオンオフデューティを切替える。
【0063】
STEP5〜STEP9はオン期間での処理である。コントローラ150は、STEP5で暖房循環ポンプ111を作動させて、暖房循環路40、及び、暖房循環路40から分岐した低温暖房路112と暖房バイパス路113とヒートポンプバイパス路42(以下、暖房循環路40等という)に、温水を循環させる。これにより、ヒートポンプ熱交換器55で、暖房循環路40等内を循環する温水を加熱する。
【0064】
また、STEP6で、コントローラ150はタンク循環ポンプ66を停止し、貯湯タンク11内の湯水の加熱を禁止する。続くSTEP7で、コントローラ150は、床暖房リモコン201により床暖房の停止指示がなされたか否かを判断する。そして、床暖房の停止指示がなされたときはSTEP30に分岐して、ヒートポンプ51を停止し、次のSTEP31で暖房循環ポンプ111を停止して床暖房運転を終了し、STEP1に戻る。
【0065】
一方、床暖房の停止指示がなされていないときにはSTEP8に進み、熱源リモコン160により貯湯タンク11の蓄熱要求がされているか否かを判断する。そして、蓄熱要求がされているときにはSTEP40に分岐し、暖房制御部152は、「給湯優先制御」を実行する。
【0066】
「給湯優先制御」では、コントローラ150は、暖房側混合弁48を、ヒートポンプ熱交換器55をバイパスする状態(床暖房機200からヒートポンプ熱交換器55側に温水が流通しない状態)として、暖房バーナ83を燃焼させ、暖房熱交換器84により暖房循環路40等内を流通する温水を加熱する。また、貯湯タンク制御部154は、タンク循環ポンプ66を作動させて、ヒートポンプ51により貯湯タンク11内の湯水を沸き上げ温度まで加熱する。
【0067】
次のSTEP9で、暖房制御部152は、オフ期間であるか否か(オンオフデューティ決定部151によりオン期間からオフ期間に切替えられたか否か)を判断し、オフ期間でないときはSTEP5に戻る。一方、オフ期間であるときには、図3のSTEP11に進む。STEP11〜STEP17は、オフ期間での処理である。
【0068】
コントローラ150は、STEP11で暖房循環ポンプ111を停止して、暖房循環路40等内の温水の循環を停止する。これにより、床暖房機200からの放熱が減少する。また、続くSTEP12で、コントローラ150は、タンク循環ポンプ66を作動させる。
【0069】
タンク循環ポンプ66を作動させることにより、ヒートポンプ熱交換器55において、ヒートポンプ循環路52内を流通する熱媒体からの放熱を、タンク循環路41内を流通する湯水により吸熱することができる。そのため、ヒートポンプ51を作動状態に維持してヒートポンプのON/OFF回数を減らすことができ、これにより、ヒートポンプ51の効率が低下することを抑制することができる。
【0070】
続くSTEP13で、暖房制御部152は、ヒートポンプ51の加熱量を、STEP11で暖房循環ポンプ111を停止した時点(前回のオン期間からオフ期間への切り替え時点)の加熱量に維持する。また、次のSTEP14で、暖房制御部152は、湯温度センサ69により検出される貯湯タンク11に戻る湯水の温度が、沸き上げ温度となるように、タンク循環ポンプ66の回転速度を調節してタンク循環路41内の湯水の流量を制御する。これにより、貯湯タンク11内の上部に貯まった湯水の温度を沸き上げ温度に保持することができる。
【0071】
続くSTEP15で、コントローラ150は、床暖房リモコン201により床暖房の停止指示がなされたか否かを判断する。そして、床暖房の停止指示がなされたときはSTEP50に分岐して、ヒートポンプ51を停止し、次のSTEP51でタンク循環ポンプ66を停止して床暖房運転を終了し、図2のSTEP1に戻る。
【0072】
一方、床暖房の停止指示がなされていないときにはSTEP16に進み、熱源リモコン160により貯湯タンク11の蓄熱要求がされているか否かを判断する。そして、蓄熱要求がされているときにはSTEP60に分岐し、暖房制御部152は、上述したSTEP40と同様に「給湯優先制御」を実行する。
【0073】
一方、蓄熱要求がされていないときにはSTEP17に進み、暖房制御部152は、オン期間であるか否か(オンオフデューティ決定部151によりオフ期間からオン期間に切替えられたか否か)を判断し、オン期間でないときはSTEP11に戻る。一方、オン期間であるときには、図2のSTEP5に進む。
【0074】
図2図3の処理では、図3のSTEP11〜STEP17のオフ期間においても、タンク循環ポンプ66を作動させることによって、ヒートポンプ51を作動状態としているため、床暖房運転の実行中にヒートポンプ51を作動状態に維持することができる。そして、これにより、床暖房運転中のヒートポンプ51の効率を高めつつ、オンオフデューティの切り替えにより床暖房機200からの放熱量を安定して制御することができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、本発明の放熱部として貯湯タンク11を備え、本発明の放熱用循環路としてタンク循環路41を備えたが、本発明の放熱部及び放熱用循環路は、ヒートポンプ51の作動中に、ヒートポンプ循環路52内を流通する熱媒体から吸熱して有効に利用できるものであればよい。例えば、本実施形態において、暖房運転のオフ期間に熱動弁120を閉弁して床暖房機200への湯水の供給を停止し、追焚き弁109を開弁して風呂循環ポンプ105を作動させるようにしてもよい。この場合は、追焚き熱交換器87が本発明の放熱部になり、暖房循環路40から追焚き往管107及び追焚き戻管108を経由する循環経路が本発明の放熱用循環路となって、ヒートポンプ51の熱媒体からの吸熱が浴槽101内の湯水の追焚きに利用される。
【0076】
また、本実施形態では、本発明の暖房熱交換器及び放熱用熱交換器として、ヒートポンプ51のヒートポンプ循環路52と、タンク循環路41と、暖房循環路40とが接続されたヒートポンプ熱交換器55を示したが、ヒートポンプ循環路52とタンク循環路41に接続された熱交換器(本発明の暖房熱交換器)と、ヒートポンプ循環路52と暖房循環路40に接続された熱交換器(本発明の放熱用熱交換器)を、別個に備えてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、図2のSTEP1〜STEP2及びSTEP20において、過去の暖房運転の履歴から暖房運転の開始を予想して、貯湯タンク11内の湯水の沸き上げ温度を設定する処理を行ったが、この処理を行わない場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【0078】
また、本実施形態では、図3のSTEP13で、オフ期間中のヒートポンプ51の加熱量を、オン期間からオフ期間に切替わった時点での加熱量に維持する処理を行ったが、この処理を行わない場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【0079】
また、本実施形態では、図3のSTEP14で、オフ期間中のタンク循環路41内を流通する湯水の流量を、貯湯タンク11に戻る湯水の温度が沸き上げ温度となるように制御したが、この制御を行わない場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0080】
1…ヒートポンプ熱源システム、10…貯湯ユニット、11…貯湯タンク、41…タンク循環路、50…ヒートポンプユニット、51…ヒートポンプ、52…ヒートポンプ循環路、55…ヒートポンプ循環路、80…ガス熱源ユニット、40…暖房循環路、150…コントローラ、151…オンオフデューティ決定部、152…暖房制御部、153…暖房履歴保持部、154…貯湯タンク保持部、200…床暖房機。
図1
図2
図3
図4