特許第5793467号(P5793467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793467
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】クランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20150928BHJP
   B23Q 3/18 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B23Q3/06 304F
   B23Q3/18 B
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-122197(P2012-122197)
(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公開番号】特開2013-244585(P2013-244585A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中井 政司
(72)【発明者】
【氏名】多田 昌弘
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−228640(JP,A)
【文献】 特開平07−276179(JP,A)
【文献】 特開2005−324318(JP,A)
【文献】 特開2008−307573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
B23Q 3/18
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに形成されたクランプ孔に挿通されて該ワークを位置決めするロケートピンと、
前記ロケートピンを上部に支持する支持筒と、
前記ロケートピンによって位置決めされた前記ワークが着座可能な着座部と、
前記ロケートピン内に形成された収容孔と、
前記ロケートピンに形成され、前記収容孔を外部に開口させる開口部と、
前記収容孔、及び前記支持筒の内部空間において上下動可能に設けられるとともに前記開口部から前進及び後退可能に設けられ、前記前進側のクランプ位置では前記開口部から前記ロケートピン外に突出し、前記着座部に着座した前記ワークをクランプするクランプアームと、
前記クランプアームに動力伝達機構を介して連結され、前記クランプアームを上下動させる駆動源と、
前記動力伝達機構よりも上側で、かつ前記クランプアームとは別体に設けられた磁性体よりなるスパッタ磁着手段と、を有し、
前記スパッタ磁着手段は、前記支持筒の内面に設けられた磁石であり、前記支持筒には前記磁石に対し摺接可能に設けられ、前記磁石に磁着したスパッタを前記磁石から除去するための排出プレートが設けられているクランプ装置。
【請求項2】
前記排出プレートは、前記クランプアームに連動する請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記磁石は、前記支持筒の軸方向に複数設けられている請求項1又は請求項2に記載のクランプ装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ位置では開口部からロケートピン外に突出し、着座部に着座したワークをクランプするクランプアームと、クランプアームを上下動させる駆動源と、を有するクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車製造ラインにおいて、パネル材等のワークを溶接する際、ワークはクランプ装置によって位置決めされる。クランプ装置において、溶接の際に発生したスパッタがクランプ装置内に入り込んでしまうと、クランプ装置に動作不良が発生してしまうため、動作不良を防止するため、スパッタの侵入防止が図られている。このようなクランプ装置としては、例えば特許文献1が挙げられる。図7に示すように、クランプ装置80は、エアシリンダ81と、このエアシリンダ81に支持された支持筒82と、この支持筒82に支持されたロケートピン83と、を備えている。ロケートピン83内には、長孔空間84が形成されるとともに、長孔空間84に連通する逃がし孔85が形成されている。長孔空間84と、支持筒82内の内部空間82aには、クランプレバー86が上下動可能に収容されている。このクランプレバー86は、エアシリンダ81に作動連結されている。
【0003】
スパッタの侵入防止を図るガード部材87は板バネよりなり、クランプ側先端部87aが、クランプレバー86先端のクランプ部86aに固定されるとともに、下端部87bが逃がし孔85の内部に固定されている。このガード部材87は、クランプレバー86の移動に合わせて変形可能になっている。そして、クランプレバー86によってワーク90がクランプされたときは、ロケートピン83における着座面83aと、クランプ部86aとがそれぞれワーク90に密着している。また、ガード部材87が変形し、そのガード部材87及びクランプレバー86により、外部と支持筒82側の空間との連通が遮断され、スパッタがクランプ装置80内に入り込むことが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−248255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のクランプ装置80において、ガード部材87はクランプ時に変形してスパッタのクランプ装置80内への侵入を防止する。このため、クランプ装置80の長期に亘る使用によりガード部材87の変形が繰り返されると、ガード部材87に劣化や損傷が発生し、ガード部材87によるスパッタの侵入防止機能が低下する結果、スパッタによるクランプ装置80の動作不良が発生してしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、クランプ時に変形することのないスパッタ磁着手段によってスパッタを磁着して、スパッタによる動作不良を防止することができるクランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ワークに形成されたクランプ孔に挿通されて該ワークを位置決めするロケートピンと、前記ロケートピンを上部に支持する支持筒と、前記ロケートピンによって位置決めされた前記ワークが着座可能な着座部と、前記ロケートピン内に形成された収容孔と、前記ロケートピンに形成され、前記収容孔を外部に開口させる開口部と、前記収容孔、及び前記支持筒の内部空間において上下動可能に設けられるとともに前記開口部から前進及び後退可能に設けられ、前記前進側のクランプ位置では前記開口部から前記ロケートピン外に突出し、前記着座部に着座した前記ワークをクランプするクランプアームと、前記クランプアームに動力伝達機構を介して連結され、前記クランプアームを上下動させる駆動源と、前記動力伝達機構よりも上側で、かつ前記クランプアームとは別体に設けられた磁性体よりなるスパッタ磁着手段と、を有し、前記スパッタ磁着手段は、前記支持筒の内面に設けられた磁石であり、前記支持筒には前記磁石に対し摺接可能に設けられ、前記磁石に磁着したスパッタを前記磁石から除去するための排出プレートが設けられていることを要旨とする。
【0008】
これによれば、ワークの溶接時に、スパッタが開口部を介してクランプ装置内に侵入しても、動力伝達機構よりも上側でスパッタ磁着手段にスパッタが磁着される。したがって、スパッタが動力伝達機構に達することを防止することができ、スパッタによって駆動源が動作不良を起こすことが防止できる。そして、スパッタ磁着手段は、クランプアームとは別体であるため、ワークをクランプするためにクランプアームが移動しても、スパッタ磁着手段は変形することも、クランプアームが接触することもない。したがって、クランプ装置が長期に亘って使用されてもスパッタ磁着手段が損傷を受けたり、変形することがなく、スパッタ磁着手段によるスパッタ磁着機能を発揮し続けることができる。また、排出プレートによって磁石からスパッタを除去して、磁石にスパッタが堆積することを防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクランプ装置において、前記排出プレートは、前記クランプアームに連動することを要旨とする。
【0010】
これによれば、クランプ装置の動作時は、排出プレートによってスパッタを磁石から除去し続けることができ、磁石上にスパッタが堆積することを防止することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のクランプ装置において、前記磁石は、前記支持筒の軸方向に複数設けられていることを要旨とする。
【0011】
これによれば、複数段で磁石を設けることで、駆動源に達するスパッタを無くすことができる
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クランプ時に変形することのないスパッタ磁着手段によってスパッタを磁着して、スパッタによる動作不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態のクランプ装置を示す断面図。
図2】クランプレバーによってワークをクランプした状態を示す部分断面図。
図3】第2の実施形態のクランプ装置を示す部分断面図。
図4】第3の実施形態において(a)は排出プレートを前進させた状態を示す部分断面図、(b)は排出プレートでスパッタを押し出した状態を示す部分断面図。
図5】第4の実施形態のクランプ装置を示す部分断面図。
図6】クランプ装置の別例を示す部分断面図。
図7】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の一実施形態を図1図2にしたがって説明する。
図1に示すように、クランプ装置10には、その下部に駆動源としてのエアシリンダ11が設けられている。エアシリンダ11には、その上端(先端)に支持筒12の下端(基端)が固着されている。エアシリンダ11において、外郭を構成する有底筒状のシリンダ本体14内には、ピストン15がシリンダ本体14の軸方向(図1では矢印Yに示す上下方向)に沿って摺動可能に収容されている。また、シリンダ本体14内の支持筒12側には円環状のロッドカバー14aが装着されている。
【0016】
ピストン15は、シリンダ本体14の内部空間をロッドカバー14a側の第1圧力作用室16と、シリンダ本体14の底側の第2圧力作用室17と、に区画している。第1圧力作用室16には、シリンダ本体14に形成された第1流体給排用ポート(図示せず)を介してエアが給排される。一方、第2圧力作用室17には、シリンダ本体14に形成された第2流体給排用ポート18を介してエアが給排される。ピストン15の中央部には、ピストン15から第1圧力作用室16に向けて延びる出力ロッド19が連結されている。ロッドカバー14aの内周面には、ロッドカバー14aの内周面と出力ロッド19との間からのエア漏れを防止するシール部材14cが装着されている。また、支持筒12において、ロッドカバー14aより上側には、エアーを吹き込み可能なエアブロー孔12gが対向する位置に一対形成されている。
【0017】
支持筒12の上端には、円筒状をなすロケートピン21が支持されるとともに、このロケートピン21には有鍔円筒状のカバー部材22が外装されている。ロケートピン21は、カバー部材22の内部を貫通して、軸方向(上下方向)に延びるように設けられている。ロケートピン21には、その下端(基端)の外周部に、平面視長方形状のフランジ部21aが一体に設けられるとともに、このフランジ部21aは支持筒12の上端に支持されている。また、ロケートピン21内には、ロケートピン21の軸方向(上下方向)に延びる収容孔21bが形成されている。
【0018】
収容孔21bは支持筒12の内部空間12aに連通している。また、ロケートピン21の周壁には開口部21cが形成されるとともに、この開口部21cは、カバー部材22の上端面より上側においてロケートピン21の外側に向けて開口している。なお、ロケートピン21の周壁において、開口部21cの反対側は開口しておらず、ロケートピン21の周壁によって閉鎖されている。
【0019】
カバー部材22の下端(基端)外周部には、平面視略円形状のフランジ部22aが設けられている。カバー部材22の上端面(先端面)は、ロケートピン21の下端(基端)側に位置するとともにワークが着座する着座部22bとして構成されている。着座部22bは平面視円環状に形成されている。
【0020】
支持筒12の内部空間12aにはエアシリンダ11の出力ロッド19が突出している。出力ロッド19の上端(先端)にはクランプアーム23の下端(基端)が回動可能に連結されている。本実施形態では、出力ロッド19が、エアシリンダ11の動力をクランプアーム23に伝達する動力伝達機構を構成している。クランプアーム23の上側はロケートピン21の収容孔21b内にまで延びている。クランプアーム23の上端部(先端部)にはロケートピン21の中心軸に対し直交する方向へ鉤型に延びるクランプ片24が形成されている。そして、クランプアーム23は、ロケートピン21の収容孔21bに出没可能に収容されている。
【0021】
クランプアーム23には、その軸方向におけるほぼ中央部に、クランプアーム23の軸方向へ細長に延びるガイド孔25が形成されている。ガイド孔25には両端が支持筒12に固定されたガイドピン26が挿通されている。ガイド孔25は、全体的にはクランプアーム23の下端側から上端側に向って、クランプ片24の突出方向とは逆方向に斜めに延びるように形成される。
【0022】
支持筒12の内周面において、ロケートピン21の開口部21cより下側で、かつ出力ロッド19より上側には、スパッタ磁着手段としての磁石30(磁性体)が装着されている。磁石30は円環状をなすとともに、磁石30の内側ではクランプアーム23が磁石30に接触することなく上下動可能に挿通されている。すなわち、クランプアーム23が上下動する際、クランプアーム23は磁石30に接触しないようになっている。
【0023】
次に、クランプ装置10の作用を記載する。
図1に示すように、クランプ装置10がワークWの投入を待っている状態では、クランプアーム23は上昇した位置にあり、アンクランプ状態で待機している。このとき、第1流体給排用ポートは大気開放され、第2流体給排用ポート18へはエアが供給されている。
【0024】
図2に示すように、ロケートピン21がワークWに形成されたクランプ孔Waに挿入される。そして、ワークWのクランプ孔Waの周縁部が着座部22bに着座すると、第1流体給排用ポートを介して第1圧力作用室16にエアが供給されるとともに、第2流体給排用ポート18から第2圧力作用室17のエアが排出される。すると、ピストン15及び出力ロッド19が下降し、出力ロッド19の下降に伴い、クランプアーム23が下降する。そして、ガイドピン26に対しガイド孔25が摺接することにより、クランプアーム23が下降しながらクランプ片24が開口部21cから前進し、ロケートピン21より外へ突出する。
【0025】
すると、クランプアーム23のクランプ片24と、着座部22bとの間に、ワークWのクランプ孔Waの周縁部がクランプされる。そして、第1流体給排ポートからエアが供給されて、クランプ装置10によってワークWがクランプされた状態が維持される。その後、ワークWがクランプされた状態で、ワークWが溶接される。ワークWの溶接時に発生したスパッタSは、開口部21cにおいて、クランプアーム23の後退側に開いた開口部21cから収容孔21bに侵入する。収容孔21bにスパッタSが侵入しても、スパッタSは磁石30の磁力によって、クランプアーム23の後退側に位置する磁石30に磁着され、磁石30よりも下側(奥側)であるエアシリンダ11側にスパッタSが及ぶことが防止される。
【0026】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)クランプ装置10において、エアシリンダ11の出力ロッド19より上側となる支持筒12の内周面に磁石30を装着するとともに、この磁石30によってスパッタSを磁着可能にした。このため、ワークWの溶接時に、スパッタSが開口部21cを介して支持筒12内に侵入しても、エアシリンダ11より手前でスパッタSが磁石30に磁着され、エアシリンダ11にスパッタSが達することを防止することができる。このため、スパッタSがエアシリンダ11内に侵入して、出力ロッド19とシール部材14cとの間に入り込んでしまうことを防止することができる。その結果、シール部材14cによるエア漏れを確実に防止して、エアシリンダ11が動作不良を起こすことが防止できる。そして、磁石30は、クランプアーム23から離れた位置に配置され、ワークWをクランプするためにクランプアーム23が移動しても、磁石30は変形することも、クランプアーム23が接触することもない。したがって、クランプ装置10が繰り返し使用されても磁石30が損傷を受けたり、変形することがなく、磁石30によるスパッタSの磁着機能を発揮し続けることができる。
【0027】
(2)磁石30を円環状に形成し、支持筒12の内周面の周方向の全体に亘って延びるように配置したため、内部空間12aにおいて周方向のいずれの位置でも磁石30によりスパッタSを磁着することができる。
【0028】
(3)磁石30は、クランプアーム23に接触さえしなければよいため、その寸法を精度良く設定する必要がなく、クランプ装置10の製造コストを抑えることができる。
(4)クランプアーム23は、磁石30に接触せずに上下動するため、磁石30によるスパッタSの磁着機能を発揮させつつ、クランプアーム23の変形も無くすことができる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図3にしたがって説明する。また、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0030】
図3に示すように、支持筒12には一対の連通孔12dが、内部空間12aを挟んで対向する位置に形成されている。連通孔12dのそれぞれには、スパッタ磁着手段としての磁石(磁性体)40が挿通されている。磁石40は、連通孔12dに対し抜き差し可能になっている。磁石40は、内部空間12a側(先端側)の磁着部40aと、基端側の基部40bと、から形成されている。磁着部40aは、連通孔12dの孔径よりも小径をなすとともに、基部40bより細く形成されている。このため、磁着部40aが連通孔12d内に引込まれると、磁着部40aと、連通孔12dとの間には隙間が形成されるようになっている。基部40bは、連通孔12dの孔径より僅かに小径に形成され、基部40bは連通孔12d内に摺接可能に支持されている。
【0031】
クランプ装置10においては、磁石40は、磁着部40aが内部空間12a内に露出した状態で使用される。そして、ワークWの溶接時に発生したスパッタSは、開口部21cにおいて、クランプアーム23の後退側に開いた開口部21cから収容孔21bに侵入する。収容孔21bにスパッタSが侵入しても、スパッタSは磁石40の磁力によって磁着部40aに磁着され、磁石40よりも奥であるエアシリンダ11側にスパッタSが及ぶことが防止される。また、クランプ装置10の停止時、磁石40を連通孔12dから抜き取り、支持筒12から取り外して、磁着部40aに磁着したスパッタSを磁石40から除去することができる。
【0032】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(4)と同様の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(5)磁石40を支持筒12に対し抜き差し可能かつ着脱可能にした。このため、磁石40を支持筒12の外側から取り外すことができ、クランプ装置10とは別の位置で磁石40からスパッタSを除去することができる。
【0033】
(6)磁石40の磁着部40aを連通孔12dの孔径より小径に形成した。このため、磁石40を支持筒12から取り外すため連通孔12dに引込んだ際、磁着部40aを連通孔12dの内周面から離間させることができる。よって、磁着部40aに磁着したスパッタSが連通孔12dを通過する際に、連通孔12dの内面で掻き取られてしまうことを防止することができる。
【0034】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図4にしたがって説明する。また、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0035】
図4(a)に示すように、支持筒12において、磁石30の上面より上側には一対の排出孔12fが、内部空間12aを挟んで対向する位置に形成されている。また、クランプアーム23には、環状をなす排出プレート41が外装されている。排出プレート41には、長孔41aが形成されている。そして、クランプアーム23は、長孔41a内で前進及び後退可能になっている。
【0036】
図4(a)に示すように、クランプアーム23が前進してクランプ位置に位置したときは、クランプアーム23は前進側で排出プレート41を押して、排出プレート41を前進させるようになっている。一方、図4(b)に示すように、クランプアーム23が後退してアンクランプ位置に位置したときは、クランプアーム23は後退側で排出プレート41を押して、排出プレート41を後退させるようになっている。すなわち、排出プレート41は、クランプアーム23に連動して前進又は後退するようになっている。また、排出プレート41は非磁性体(例えば、合成樹脂)によって形成されている。さらに、排出プレート41は、磁石30上に支持されるとともに、排出プレート41の上面に摺接可能になっている。
【0037】
そして、クランプ装置10においては、ワークWの溶接時に発生したスパッタSは、開口部21cにおいて、クランプアーム23の後退側に開いた開口部21cから収容孔21bに侵入する。収容孔21bにスパッタSが侵入しても、スパッタSは磁石30の上面に磁着される。
【0038】
クランプアーム23の前進に合わせて排出プレート41が前進する。すると、クランプアーム23の後退側に位置する磁石30上では、排出プレート41は磁石30上面との接触面積が減る方向へ移動する。そして、クランプ装置10がアンクランプ状態に移行するためクランプアーム23が後退すると、クランプアーム23の後退側に位置する磁石30上に磁着したスパッタSは、排出プレート41によって排出孔12fに向けて押し出される。
【0039】
したがって、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(4)と同様の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(7)クランプアーム23の前進及び後退に連動する排出プレート41を設けた。そして、溶接の行われないアンクランプ状態に移行する際にクランプアーム23が後退すると、磁石30に磁着したスパッタSを排出プレート41によって磁石30上から押し出すことができる。そして、磁石30上から押し出されたスパッタSは排出孔12fに排出される。よって、クランプアーム23に連動した排出プレート41を設けることで、クランプ装置10の作動時はスパッタSを磁石30から除去し続けることができ、磁石30上にスパッタSが堆積することを防止することができる。
【0040】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を図5にしたがって説明する。また、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0041】
図5に示すように、支持筒12に設けたスパッタ磁着手段は電磁石44となっている。電磁石44には配線45を介してコントローラ46に信号接続されている。そして、クランプ装置10の動作時(クランプ時及びアンクランプ時)は、コントローラ46によって電磁石44を磁化させ、スパッタSを磁着させる。一方、クランプ装置10の動作終了後は、コントローラ46によって電磁石44を非磁性とし、磁着したスパッタSを電磁石44から脱落させる。その後、一方のエアブロー孔12gから支持筒12内にエアーを吹き込み、他方のエアブロー孔12gからスパッタSを支持筒12外へ排出する。
【0042】
したがって、第4の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(4)と同様の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(8)クランプ装置10内に電磁石44を設けた。そして、クランプ装置10の動作時は、電磁石44を磁化させてスパッタSを磁着させ、クランプ装置10の動作終了後は、電磁石44を非磁性としてスパッタSを脱落させた。よって、電磁石44からスパッタSを効率良く除去することができる。
【0043】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第3の実施形態では、排出プレート41をクランプアーム23に連動させる構成としたが、排出プレート41はクランプアーム23に連動しなくてもよい。そして、磁石30にスパッタSが堆積したら、手動で排出プレート41を動かして磁石30からスパッタSを除去するようにしてもよい。
【0044】
○ 第1の実施形態では、支持筒12の軸方向に磁石30を1つだけ設けたが、図6に示すように、磁石30を支持筒12の軸方向に複数設けてもよい。なお、他の実施形態においても、磁石40や電磁石44を支持筒12の軸方向に複数設けてもよい。この場合、上側の磁石30,40及び電磁石44の磁力を、下側の磁石30,40及び電磁石44の磁力よりも大きくするのが好ましい。
【0045】
このように構成すると、上側の磁石30,40及び電磁石44によりスパッタSがほとんど磁着され、上側の磁石30,40及び電磁石44で磁着されなかったスパッタSを、下側の磁石30,40及び電磁石44に磁着させることができる。したがって、複数段で磁石30,40及び電磁石44を設けることで、エアシリンダ11に達するスパッタSを無くすことができる。
【0046】
○ 各実施形態では、支持筒12の内周面の周方向全体に亘って磁石30,40及び電磁石44を設けたが、磁石30,40及び電磁石44は、支持筒12の周方向一部だけに設けられていてもよい。また、磁石30,40は、支持筒12の周方向に分割して設けられていてもよい。
【0047】
○ 実施形態では、支持筒12に磁石30,40及び電磁石44を設けたが、磁石30,40及び電磁石44は、ロケートピン21やカバー部材22に設けてもよい。
○ 実施形態では、スパッタ磁着手段として磁石30,40及び電磁石44を支持筒12に設けたが、支持筒12を電磁石として、支持筒12をスパッタ磁着手段としてもよい。
【0048】
○ 実施形態では、駆動源としてエアシリンダ11に具体化したが、エアシリンダ11の代わりに油圧シリンダ等の他の流体圧シリンダに具体化してもよい。
○ 実施形態では、動力伝達機構としてエアシリンダ11の出力ロッド19に具体化したが、これに限らない。駆動源を電動モータに変更した場合は、電動モータのボールネジを動力伝達機構としてもよい。
【0049】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記ロケートピンにおいて、前記収容孔を挟んだ前記開口部の反対側は閉じられている請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載のクランプ装置。
【符号の説明】
【0051】
S…スパッタ、W…ワーク、Wa…クランプ孔、11…駆動源としてのエアシリンダ、12…支持筒、12a…内部空間、19…動力伝達機構としての出力ロッド、21…ロケートピン、21b…収容孔、21c…開口部、22b…着座部、23…クランプアーム、30,40…スパッタ磁着手段としての磁石、41…排出プレート、44…スパッタ磁着手段としての電磁石。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7