特許第5793476号(P5793476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5793476水素ガス作製装置および水素ガス作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793476
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】水素ガス作製装置および水素ガス作製方法
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/78 20060101AFI20150928BHJP
   C02F 11/08 20060101ALI20150928BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20150928BHJP
   B01J 3/02 20060101ALI20150928BHJP
   B01J 3/04 20060101ALI20150928BHJP
   C01B 3/04 20060101ALN20150928BHJP
【FI】
   C10J3/78ZAB
   C02F11/08
   B01J3/00 A
   B01J3/02 C
   B01J3/04 D
   B01J3/04 G
   !C01B3/04 R
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-178263(P2012-178263)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-34672(P2014-34672A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2014年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】512210043
【氏名又は名称】本田 尚士
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】本田 尚士
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−105466(JP,A)
【文献】 特開2001−354974(JP,A)
【文献】 特開2001−115174(JP,A)
【文献】 特開2005−034808(JP,A)
【文献】 実開昭48−038478(JP,U)
【文献】 実開昭47−016072(JP,U)
【文献】 特開2001−065364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
C02F 11/00
B01J 3/00
B01F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人畜のし尿および有機系廃棄物(以下、本明細書において、これらを単に、有機系廃棄物等と記載する)を超臨界域で処理することにより、水素ガスを得ることができる水素ガス作製装置において、
水を入れるタンクと、
前記タンク内の水を高圧状態にする高圧ポンプと、
前記高圧ポンプによって高圧になった水を高温にする熱交換器と、
前記熱交換器によって高圧および高温となった前記水に有機系廃棄物等を混合する混合器と、
前記混合器によって混合された前記有機系廃棄物等および前記水から固形物を分離する第1の液体サイクロンと、
前記水と前記第1の液体サイクロトロンで分離した前記固形物以外のものを通すとともに、右ひねりと左ひねりのらせん状が交互に逆となり、かつ連続して複数個が珠繋ぎになっているエレメントを管状体の内部に交換可能な状態で取り付けたスタティック・ミキサーと、
前記高圧および高温となった混合体が前記スタティック・ミキサー内を通過することにより、超臨界状態とした後にできる水素ガスと反応により析出した固形物を分離する第2の液体サイクロンと、
前記第2の液体サイクロンによって分離された水素ガスを前記熱交換器を通して冷却した状態で蓄える水素ガス貯蓄槽と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする水素ガス作製装置。
【請求項2】
人畜のし尿および有機系廃棄物(以下、本明細書において、これらを単に、有機系廃棄物等と記載する)を超臨界域で処理することにより、水素ガスを得ることができる水素ガス作製方法において、
タンク内に入れられた水を高圧ポンプによって高圧状態にする工程と、
前記高圧ポンプによって高圧になった前記水を熱交換器によって高温にする工程と、
前記高圧および高温の水に有機系廃棄物等を混合器によって混合する工程と、

前記混合器によって混合された前記有機系廃棄物等および前記水から第1の液体サイクロンによって固形物を分離する工程と、
右ひねりと左ひねりのらせん状が交互に逆となり、かつ連続して複数個が珠繋ぎになっているエレメントを管状体の内部に交換可能な状態で取り付けたスタティック・ミキサー内を前記第1の液体サイクロンで分離した前記固形物以外のものを通す工程と、
前記水と前記第1の液体サイクロンで分離前記固形物以外のものが前記スタティック・ミキサー内を通過することにより、超臨界状態とした後にできる水素ガスと反応により析出した固形物を第2の液体サイクロンによって分離する工程と、
前記第2の液体サイクロンによって分離された水素ガスを前記熱交換器を通して冷却した後に水素ガス貯水層に蓄える工程と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする水素ガス作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物の超臨界水の素化分解力を有機系廃棄物処理、たとえば、人畜のし尿および有機系廃棄物(以下、本明細書において、これらを単に、有機系廃棄物等と記載する)に適用し、水素ガスを作製すると同時に前記有機系廃棄物等から出る汚染物質を減少することができる水素ガス作製装置および水素ガス作製方法に関するものである。なお、本発明の有機系廃棄物等には、活性汚泥法及びメタン発酵法に基づき発生する汚泥も含むこととする。
【背景技術】
【0002】
従来、人畜のし尿等の有機化合物系の廃棄物は、活性汚泥法、あるいはメタン発酵法等により処理されていた。しかし、前記処理方法は、大量の汚泥を発生するだけでなく、その汚泥の処理に問題があった。また、前記処理方法は、メタンガスを得ることができるが、燃焼の際に発生する二酸化炭素を発生する。前記二酸化炭素は、地球温暖化の原因の一つとなっている。
【0003】
超臨界域の技術開発は、二酸化炭素の臨界点が304.2絶対温度、7.37MPaと、比較的常温近辺にあるため、香料、生薬等、熱に敏感な微量成分抽出に用いられていた。しかし、近年、超臨界水は、中に、プロトン(M+ )および水素イオン(OH- )の触媒作用に着目して超臨界域において、有機化合物の水素化分解を試みて、水素と少量の炭素、その他の固形物に分解する反応が注目されるようになった。本発明は、有機系廃棄物等を処理して水素を得るものであり、今後、期待される水素社会に必要欠くべからざる技術になっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】化学工学会超臨界部会流体部会編“超臨界流体入門”(丸善平成20年12月刊)
【非特許文献2】伊藤直次著“水素製造・貯蔵輸送と反応分離膜”(日刊工業新聞社2008年3月刊)
【非特許文献3】S.J.チェン/R.D.テ゛ヘ゛リアン/K.M.ク゛ラウト共著監訳大島英次、 編訳山見英雄“静的混合フ゜ロセスの総て”(丸善1973年6月発売、 綜研化学研究所発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大量生産・大量消費社会の到来に伴い、エネルギーを含む資源確保の動きは、収まる所を知らない。特に、開発途上国の生活水準の向上に伴い、枯渇を危惧されるエネルギー資源の争奪は、軍事紛争を危惧する様相を呈している。核エネルギーの軍事利用技術が拡散しつつある世界は、原爆戦争の危険を孕みつつ緊張を深めている。
【0006】
従来の主要エネルギーは、殆ど炭化水素を主体とする化石エネルギーであり、燃焼による二酸化炭素の排出は、近年問題視されている、地球気象変動を助長するため、各地で風水害・竜巻等の従来技術で制御困難な災害の原因となっている。これを避けるために開発された核エネルギーを利用する原子力発電は、核廃棄物処理技術未開発の不完全技術であり、放射性廃棄物処理問題の解決に伴い、放射線防御技術の完成を俟って初めて社会的に認知される技術である。
【0007】
人口の都市集中は、我が國のみ成らず、世界的傾向である。従来、都市廃棄物処理の主要技術である活性汚泥処理法並びにメタン発酵法は、その発生する大量の汚泥処理に対処し兼ねている状態であり、大量エネルギーを必要とする、乾燥減量により漸く、肥料等への利用が主たる処理法の域を脱していない状況である。
【0008】
近年提案されている超臨界域における超臨界水、水素化処理法は、都市汚泥・畜産廃棄物中の有機化合物を水素化分解して水素を得る技術で、有機化合物系廃棄物を超臨界域で処理するので、水素等のガスのほか、汚泥発生は炭素等その他の少量の固形物である。これらの問題点としては、反応が高温・高圧域で行われる為、有機化合物中に含まれる硫黄・窒素化合物由来の腐蝕性高い物質に対する防蝕性の装置材料に乏しく、大型の装置構成が困難であった。
【0009】
本発明は、超臨界水域の特性に基づき迅速な反応が期待できるので、可動部分のない、小型の静的混合管型(スタティック・ミキサー)の流通反応装置を高温・高圧・耐蝕鋼で製作し、電気炉中に配置した小型反応装置に関する。本発明の装置は、攪拌のための可動部分が無く、小型であり、若し腐蝕が進行した場合に、部品交換が容易であり、有機化合物の超臨界水水素化分解装置であり、発生する水素ガスが、エネルギー源として燃焼させても水を発生するのみであり、地球環境の変動原因となる、二酸化炭素等の、地球気候変動要因化合物を発生しない、夙に将来の到来を予測されている水素社会における主要気体燃料に位置付けられている水素ガス発生技術を提供する手段に関する装置の提案である。因みに、水素ガスは、地球上の何処からも、自噴することのないガスである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明)
第1発明の水素ガス作製装置は、人畜のし尿および有機系廃棄物(以下、本明細書において、これらを単に、有機系廃棄物等と記載する)を超臨界域で処理することにより、水素ガスを得るものであり、水を入れるタンクと、前記タンク内の水を高圧状態にする高圧ポンプと、前記高圧ポンプによって高圧になった水を高温にする熱交換器と、前記熱交換器によって高圧および高温となった前記水に有機系廃棄物等を混合する混合器と、前記混合器によって混合された前記有機系廃棄物等および前記水から固形物を分離する第1の液体サイクロンと、前記水と前記第1の液体サイクロトロンで分離した前記固形物以外のものを通すとともに、右ひねりと左ひねりのらせん状が交互に逆となり、かつ連続して複数個が珠繋ぎになっているエレメントを管状体の内部に交換可能な状態で取り付けたスタティック・ミキサーと、前記高圧および高温となった混合体が前記スタティック・ミキサー内を通過することにより、超臨界状態とした後にできる水素ガスと反応により析出した固形物を分離する第2の液体サイクロンと、前記第2の液体サイクロンによって分離された水素ガスを前記熱交換器を通して冷却した状態で蓄える水素ガス貯蓄槽と、から少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0011】
(第2発明)
第2発明の水素ガス作製方法は、人畜のし尿および有機系廃棄物(以下、本明細書において、これらを単に、有機系廃棄物等と記載する)を超臨界域で処理することにより、水素ガスを得ることができるものであり、タンク内に入れられた水を高圧ポンプによって高圧状態にする工程と、前記高圧ポンプによって高圧になった前記水を熱交換器によって高温にする工程と、前記高圧および高温の水に有機系廃棄物等を混合器によって混合する工程と、前記混合器によって混合された前記有機系廃棄物等および前記水から第1の液体サイクロンによって固形物を分離する工程と、右ひねりと左ひねりのらせん状が交互に逆となり、かつ連続して複数個が珠繋ぎになっているエレメントを管状体の内部に交換可能な状態で取り付けたスタティック・ミキサー内を前記第1の液体サイクロンで分離した前記固形物以外のものを通す工程と、前記水と前記第1の液体サイクロンで分離固形物以外のものが前記スタティック・ミキサー内を通過することにより、超臨界状態とした後にできる水素ガスと反応により析出した固形物を第2の液体サイクロンによって分離する工程と、前記第2の液体サイクロンによって分離された水素ガスを前記熱交換器を通して冷却した後に水素ガス貯水層に蓄える工程と、から少なくとも構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、畜産業の廃棄物は、中小都市において、汚泥処理が可能になった。また、従来の活性汚泥法又はメタン発酵法による大型装置によって処理していた各種廃棄物は、本発明によって小型装置で処理が可能になった。
【0013】
本発明によれば、発生した水素ガスは、地球環境貢献型ガス資源として使用可能である。将来の水素社会におけるメタン等の炭化水素資源代替の、水素ガス化技術にも応用可能である。
【0014】
また、本発明によれば、従来の有機系廃棄物の活性汚泥処理法に比し、汚泥処理費用が格段に軽減され、燃料として利用可能な水素ガスと少量の固形物のみを副製する技術である。
【0015】
本発明によれば、従来の活性汚泥処理において生じる、処理に困難であった大量の汚泥は、総て利用可能な水素ガスと、少量の有用な稀元素等を含む固形物のみにする事が出来るようになった。
【0016】
本発明によれば、機械的可動部分がないので、摩耗の恐れは少ないだけでなく、水素ガスが発生するため、ガス漏洩、防爆に関する安全に留意するだけであり、安価な装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の水素ガス作製装置を説明するためのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の水素ガス作製装置および水素ガス作製方法は、人畜のし尿および有機系廃棄物(活性汚泥法及びメタン発酵法に基づき発生する汚泥も含む−以下、本明細書において、これらを単に、有機系廃棄物等と記載する)を水素ガスと固形物とに分けることにより、水素ガスを利用するためのものである。本発明の水素ガス作製装置は、前記有機系廃棄物等を超臨界域で処理することにより、水素ガスを得ることができる。前記有機系廃棄物等は、通常、廃棄処理するものであるが、本発明の水素ガス作製装置は、超臨界域での処理と、スタティック・ミキサーによる処理とによって、前記不要となった有機系廃棄物等から水素ガスを得ることができるものである。
【0019】
たとえば、タンクには、水が入れられる。前記タンクは、高圧ポンプによって、前記水を高圧状態にする。前記高圧となった水は、熱交換器によって高温にする。前記高圧および高温の水に有機系廃棄物等が混合される。前記水と有機系廃棄物等からなる混合体は、固形物を分離した後、スタティック・ミキサーにいれられる。本発明に使用するスタティック・ミキサーは、右ひねりと左ひねりのらせん状が交互に連続して複数個数が珠繋ぎに接続されている。また、前記スタティック・ミキサーは、複数個のらせん状をそれぞれ管状体の内部で交換が容易なように取り付けられている。
【0020】
前記有機系廃棄物等および水の混合体は、高圧および高温状態で、スタティック・ミキサー内を通過することにより、超臨界状態になる。超臨界状態となった有機系廃棄物等および水の混合体は、その後、液体サイクロンを通過する際に水素ガスと不純物に分離される。前記分離された水素ガスは、前記熱交換器を通して冷却した状態で水素ガス貯蓄槽に蓄えられる。
【実施例】
【0021】
図1は本発明の水素ガス作製装置を説明するためのブロック構成図である。図1において、本発明の水素ガス作製装置は、タンク11と、高圧ポンプ12と、熱交換器14と、エジェクター混合器15と、第1の液体サイクロン17と、スタティック・ミキサー18と、第2の液体サイクロン19と、気液分離装置21と、圧力・流量制御装置24とから少なくとも構成されている。また、前記各装置の間には、必要に応じて、制御弁13、16、20、22、23が設けられており、前記圧力・流量制御装置24の制御により圧力あるいは流量をコントロールできるようになっている。
【0022】
タンク11には、高圧ポンプ12によって、水が導入される。前記高圧ポンプ12は、水の臨界点圧力22.04Mpa以上の圧送能力である事が必要である。前記制御弁13は、タンク11内の圧力および流量を制御する。前記熱交換14は、前記水を高温にするとともに、反応残渣水を得る。前記エジェクター混合器15は、前記有機化合物(人畜のし尿、有機系廃棄物、および活性汚泥法及びメタン発酵法に基づき発生する汚泥)、すなわち、有機系の廃棄物汚泥を含む総てのもの、が混合される。
【0023】
前記制御弁16は、前記エジェクター混合器15によって混合された前記有機化合物および水の圧力および流量を制御する。前記第1の液体サイクロン17は、前記有機化合物を固形物として分離し、前記固形物以外のものをスタティック・ミキサー18に供給する。前記スタティック・ミキサー18は、右回り(右ひねり)と左回り(左ひねり)のらせん状エレメントから成る。前記右回りと左回りのエレメントは、連結されいる。前記エレメントの先端は、後端に対して90度の角度をなすように配列されている。一般に前記エレメントの一個の長さは、直径の約1.5倍である。
【0024】
前記エレメントは、複数個数珠つなぎにまとめて、管の中に取付けるられる。前記エレメント全体は、適当な大きさのハウジング(パイプ)内に、溶接あるいははめ合い、ロウ付け、熱収縮、遠心鋳造等で固定される。前記スタティック・ミキサー18の材質は、炭素鋼、ステンレス・スチール、合金、特殊鋼、ガラス、ガラス繊維、塩化ビニール樹脂、その他のプラスチック、鉄筋コンクリート製のものがある。前記スタティック・ミキサー18における流れは、入口のらせん状エレメントで、二つに分割され、エレメントの形状で決まる流線をたどる。
【0025】
こうして得られた流体は、エレメントを通過すると、百万回以上の分割(2の20乗回)が起こる。分割層数は、S=2n (Sは分割層数)。エレメントの捻じり方向は、右ねじりと左ねじりと交互に逆になっているから、それぞれの接続部で全体の流れの方向を反転する。
【0026】
前記スタティック・ミキサー18は、図示されていない電熱加熱炉内に配置されている。前記スタティック・ミキサー18の温度は、温度制御装置(図示されていない)により制御されて、647.3 k以上に加熱して、超臨界雰囲気になる。前記スタティック・ミキサー18中の有機化合物は、水素化分解し、水素ガスと炭素等の固形物になる。
【0027】
前記スタティック・ミキサー18の出口側には、第2の液体サイクロン19が設けられている。前記第2の液体サイクロン19は、反応により析出した固形物を除去し、制御弁20で発生水素ガスを流量を制御する。気液分離装置21は、制御弁22により流量が制御されて、前記熱交換器14により、温度を下げるとともに、前記水を加熱する際の熱源の一部にする。また、気液分離装置21は、制御弁23を介して、疎製水素ガスを取り出すことができる。
【0028】
超臨界水素化分解反応は、超臨界域において、次のようになる。
2 O=( H+ )+(OH- )プロトンと水酸イオンに解離し、それぞれ触媒として、有機化合物の水素化分解に関与するので、反応速度が迅速であり、分解性生成物は、少量の炭素等の固形物と水素を含むガスのみである。
【0029】
有機化合物の水素化分解について、
動物の生活廃棄物は、有機化合物が主体である。有機化合物は、炭水化物と呼ばれるように、炭素と水素・酸素を骨幹とする炭水化物に枝化合物である、窒素・燐等の化合物の複合体である。セルローズグルコース等の有機化合物は、超臨界水中で、容易にガス化して最終的に、CO・CO2 ・C・CH4 ・H2 等に完全分解する。都市廃棄物・畜産廃棄物中の有機化合物を水の超臨界域中で分解すれば、前述のガス及び若干の炭素等の固形物を生成し、廃棄物処理における困難な大量の汚泥処理が、本発明の工程により極めて容易になる。
【0030】
水素ガス取得の効果について、
水素ガスは、地球気候変動に関与しない将来貴重なガスであるが、地球上に自噴しないガスである。本発明は、有機廃棄物の処理廃棄物の容量減少効果と共に、水素ガスをエネルギー資源として取得することが、経済的にも地球環境保全上極めて有望・有効な技術を提供するものである。
【0031】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0032】
11・・・タンク
12・・・高圧ポンプ
14・・・熱交換器
15・・・エジェクター混合器
17・・・第1の液体サイクロン
18・・・スタティック・ミキサー
19・・・第2の液体サイクロン
21・・・気液分離装置
24・・・圧力・流量制御装置
13、16、20、22、23・・・制御弁
図1