特許第5793507号(P5793507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793507
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】工作機械及び該工作機械の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/18 20060101AFI20150928BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20150928BHJP
   B23P 15/28 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B23B27/18
   B23B27/14 B
   B23P15/28 Z
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-548113(P2012-548113)
(86)(22)【出願日】2011年1月6日
(65)【公表番号】特表2013-516334(P2013-516334A)
(43)【公表日】2013年5月13日
(86)【国際出願番号】US2011020342
(87)【国際公開番号】WO2011085078
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2013年12月26日
(31)【優先権主張番号】61/292,933
(32)【優先日】2010年1月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507341356
【氏名又は名称】ジーケーエヌ シンター メタルズ、エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、アラン
(72)【発明者】
【氏名】サヴ、ヴァージリュ−エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】アハラ、スティーブン ザ セカンド
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−500609(JP,A)
【文献】 特開2008−030196(JP,A)
【文献】 特表2006−526508(JP,A)
【文献】 特表2008−509822(JP,A)
【文献】 特表2008−531306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/14
27/18
29/00
29/04
29/08
B23C 9/00
B23P 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のインサートホルダーにおいて、
第一表面と、
前記第一表面の反対側に位置する第二表面と、
前記第一表面と前記第二表面との間に伸び、第一切断インサート先端を支持するよう構成された第一インサート先端溝と、
前記第一インサート先端溝に近接する位置で前記第一表面から伸びる、変形することによってインサート先端をインサート先端溝内に固定することができる、第一隆起突出部と、を有する
ことを特徴とするインサートホルダー。
【請求項2】
工作機械のインサートホルダーにおいて、
第一表面と、
前記第一表面の反対側に位置する第二表面と、
前記第一表面と前記第二表面との間に伸び、第一切断インサート先端を支持するよう構成された第一インサート先端溝と、
前記第一インサート先端溝に近接する位置で前記第一表面から伸びる第一隆起突出部と、を有し、
前記第一インサート先端溝が、支持面の対向する側に設けられた二つの側面によって画定され、
前記第一隆起突出部が、前記側面の一方に近接する位置に設けられ、
前記インサートホルダーが、前記支持面に近接する位置で前記第一表面から伸びる第二隆起突出部と、前記側面の他方に近接する位置で前記第一表面から伸びる第三隆起突出部と、をさらに有している
ことを特徴とするインサートホルダー。
【請求項3】
前記側面が、前記インサートホルダーの中心から離れるにつれ互いに近づく方向に傾斜していることを特徴とする請求項2に記載のインサートホルダー。
【請求項4】
工作機械のインサートホルダーにおいて、
第一表面と、
前記第一表面の反対側に位置する第二表面と、
前記第一表面と前記第二表面との間に伸び、第一切断インサート先端を支持するよう構成された第一インサート先端溝と、
前記第一インサート先端溝に近接する位置で前記第一表面から伸びる第一隆起突出部と、を有し、
前記第一隆起突出部は、前記第一インサート先端溝に近接する位置で前記第一表面から伸びる第一の複数の隆起突出部のうちの一つであり、
前記インサートホルダーが、前記第一インサート先端溝に近接する位置で前記第二表面から伸びる第二の複数の隆起突出部を含む
ことを特徴とするインサートホルダー。
【請求項5】
前記インサートホルダーが、
前記第一表面と前記第二表面の間に伸び、第二切断インサート先端を支持するよう構成された第二インサート先端溝と、
前記第二インサート先端溝に近接する位置で前記第一表面から伸びる第三の複数の隆起突出部と、
前記第二インサート先端溝に近接する位置で前記第二表面から伸びる第四の複数の隆起突出部と、をさらに含む
ことを特徴とする請求項4に記載のインサートホルダー。
【請求項6】
各前記第一の複数の隆起突出部は前記第一表面からの高さが0.10mmから0.50mmであり、各前記第二の複数の隆起突出部は前記第二表面からの高さが0.10mmから0.50mmであることを特徴とする請求項4に記載のインサートホルダー。
【請求項7】
前記インサートホルダーは焼結粉末金属を含むことを特徴とする請求項1に記載のインサートホルダー。
【請求項8】
工作機械の製造方法において、
第一インサート先端溝を有するインサートホルダーを用意する工程と、
前記第一インサート先端溝内に第一切断インサート先端を配置する工程と、
前記インサートホルダーを圧縮し、これにより前記第一切断インサート先端を前記第一インサート先端溝内に固定する工程と、を含み、
前記インサートホルダーを用意する工程が、少なくとも前記第一インサート先端溝に近接する第一隆起突出部を用意することを含み、
前記インサートホルダーを圧縮する工程が、前記第一隆起突出部を圧縮し、これにより前記第一隆起突出部を変形させて前記第一切断インサート先端を前記第一インサート先端溝内に固定することを含む
ことを特徴とする工作機械の製造方法。
【請求項9】
前記インサートホルダーを圧縮する工程が、前記第一インサート先端溝に近接する位置に、密度が増大した部分を提供することを特徴とする請求項に記載の工作機械の製造方法。
【請求項10】
前記インサートホルダーが基礎材料を含み、
前記密度が増大した部分の密度が、前記基礎材料の完全密度の約100パーセントであり、
前記インサートホルダーの他の部分の密度が、前記基礎材料の完全密度の約85パーセントである
ことを特徴とする請求項に記載の工作機械の製造方法。
【請求項11】
前記インサートホルダーを用意する工程が、前記インサートホルダーを粉末金属成形体として形成し、前記粉末金属成形体を焼結することを含むことを特徴とする請求項に記載の工作機械の製造方法。
【請求項12】
前記インサートホルダーが第二インサート先端溝を含み、
前記製造方法が、
第二切断インサート先端を前記第二インサート先端溝内に配置する工程と、
前記インサートホルダーを圧縮し、これにより第一切断インサート先端を前記第一インサート先端溝内に、第二切断インサート先端を前記第二インサート先端溝内に、同時に固定する工程と、をさらに含む
ことを特徴とする請求項に記載の工作機械の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年1月7日付けで出願された米国特許仮出願番号61/292,933の利益を主張し、当該仮出願の開示はここに引用することにより盛り込まれている。
【0002】
本発明は、切断機械に関し、特に切断インサート先端がインサートホルダーによって支持された切断機械に関する。
【背景技術】
【0003】
製粉、掘削及び切断機械などの工作機械は、一般的に、セラミック、窒化物、炭化物、酸化アルミニウム、酸化鉄、天然又は人工ダイヤなどの材料を含む切断インサート先端を有する。機械の全体的なコストを削減するために、インサート先端は工具鋼などの安価な材料を含むインサートホルダーによって支持されている。
【0004】
従来の工作機械においては、機械加工中に生じる切断力に抵抗するためにインサートホルダーとインサート先端の間に十分な保持力が与えられるよう、さまざまな方法が用いられている。例えば、時として、インサート先端はろう付けによってインサートホルダーに結合される。しかしながら、異種材料のろう付けは比較的難しく、したがって高価である。
【0005】
別の例では、時として、圧入によりインサート先端がインサートホルダーに結合される。しかしながら、圧入は、部品間の適切な係合を保証するために、許容誤差が比較的小さい(例えば、数万分の一インチのオーダー)インサート先端及びインサートホルダーを必要とする。勿論、そのような許容誤差を有するインサート先端及びインサートホルダーは比較的高価である。
【0006】
従来設計の欠点を鑑み、比較的安価な工作機械及びそのような工作機械の製造方法が要求される。
【発明の概要】
【0007】
一側面において、本発明は、第一表面と、前記第一表面の反対側に位置する第二表面と、前記第一表面と前記第二表面との間に伸びる第一インサート先端溝と、を有する、工作機械のインサートホルダーを提供する。第一インサート先端溝は第一インサート先端を支持するよう形成されている。工作機械のインサートホルダーは、第一インサート先端溝に近接する位置で第一表面から伸びる第一隆起突出部をさらに有する。
【0008】
別の側面において、本発明は、インサートホルダー硬度を有するインサートホルダーを含む工作機械を提供する。インサートホルダーは、第一密度を有する第一部分と、前記第一部分に一体形成で結合した第二部分と、を有する。第二部分は、第二密度を有し、第一インサート先端溝を画定する。第二密度は第一密度よりも大きい。工作機械は、第二部分によって第一インサート先端溝内に支持される第一インサート先端をさらに含む。第一インサート先端は第一インサート先端硬度を有し、第一インサート先端硬度はインサートホルダー硬度よりも大きい。
【0009】
さらに別の側面において、本発明は、工作機械の製造方法を提供する。該方法は、1)第一インサート先端溝を有するインサートホルダーを用意する工程と、2)前記第一インサート先端溝内に第一切断インサート先端を配置する工程と、3)前記インサートホルダーを圧縮して前記第一切断インサート先端を前記第一インサート先端溝内に固定する工程と、を有する。
【0010】
本発明の上記側面及び利点は、以下に記載の発明の詳細な説明及び図面から明らかとなる。本明細書の記載は、単に本発明のいくつかの好ましい形態についての説明である。本発明の全ての範囲の評価は特許請求の範囲に基づいてなされるべきであり、本発明の好ましい実施形態のみが特許請求の範囲に含まれることは意図していない。
【0011】
本発明について図面を参照して以下に記載し、図中、類似の構成要素には同様の参照符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る工作機械の斜視図であり、該工作機械のインサートホルダーに切断インサート先端が固定された状態を示す。
図2図1の工作機械の上面図である。
図3図1の工作機械のインサートホルダーの斜視図であり、インサートホルダーに切断インサート先端が固定される前の状態を示す。
図4図3のインサートホルダーの上面図である。
図5図3のインサートホルダーの正面図である
図6図5のインサートホルダーの6−6線に沿った断面図である。
図7図1の工作機械の製造方法のフローチャートである。
図8】本発明に係る工作機械の第二実施形態の斜視図であり、該工作機械のインサートホルダーに切断インサート先端が固定された状態を示す。
図9図8の工作機械の第二実施形態の上面図である。
図10図8の工作機械の第二実施形態のインサートホルダーの斜視図であり、インサートホルダーに切断インサート先端が固定される前の状態を示す。
図11図10のインサートホルダーの上面図である。
図12図10のインサートホルダーの正面図である。
図13図12のインサートホルダーの13−13線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載の具体例は単なる一例であり、単に本発明の実施形態を説明するためのものである。本明細書に記載の具体例は、最も有用と考えられるとともに理解が容易な本発明の原理及び概念的見地を説明するために提示される。これに関し、本発明の構造的な詳細について、本発明の基本的理解に必要とされるもの以上の記載はしていない。図面を参照して本明細書を読むことにより、実施において本発明のさまざまな形態をどのように具体化できるかは当業者にとって明確である。
【0014】
図面、特に図1〜6を参照すると、本発明に係る工作機械10は、第一切断インサート先端14及び第二切断インサート先端16を対向する側に支持するインサートホルダー12を有する。インサート先端14及び16は、製造中にインサートホルダー12上の複数の隆起突出部54及び56(図3)を変形させることによって固定される。工作機械10のこれらの側面について以下により詳細に説明する。最初にインサート先端14及び16について説明し、最後に工作機械10の製造方法について説明する。
【0015】
機械加工において、インサート先端14及び16はワークピースに係合してワークピースを切断する。したがって、インサート先端14及び16は、硬い材料、好ましくは立方晶窒化ホウ素を含むが、本発明の範囲内において、セラミック、窒化物、炭化物、酸化アルミニウム、酸化鉄、天然又は人工ダイヤなど他の材料を用いてもよい。さらに、インサート先端14及び16は、機械加工における切断を容易にするために、好ましくは七つの側面を有する三次元的な略鍬形状を有する。
【0016】
インサートホルダー12を構成する材料は、インサート先端14及び16を構成する材料よりも硬くない。特に、インサートホルダー12は、以下により詳細に記載するように、好ましくはFN−0205ニッケル鋼などの焼結粉末材料を含む。その他の材料、例えば鉄−ニッケル鋼粉末金属、ステンレス鋼粉末材料などを用いてもよい。
【0017】
図1〜6を参照すると、インサートホルダー12は本体又は第一部分18を有し、該本体又は第一部分18の密度は、好ましくは最大で保持部材料の完全密度又は理論密度の約85パーセントであり、より好ましくは保持部材料の完全密度の約85パーセントである(約とは±2.5パーセントを意味する)。勿論、「完全密度」なる用語は内部細孔を全く含まない材料の密度を意味する。この場合、そのような内部細孔は粉末金属からインサートホルダー12を形成することが原因で生じるものである。
【0018】
インサートホルダー12の本体18は、好ましくは修正されたひし形の形状を有するとともに、インサートホルダー12の中心で直角に交わる二つの面20及び22(図2)に対して対称である。インサートホルダー12は、第一又は上表面23、第二又は下表面24(図5及び図6)及び上表面23と下表面24の間に伸びる中心孔25を有する。工作機械10を支持体(図示せず)に固定するために中心孔25を通って伸びる留め具(図示せず)を設けてもよい。
【0019】
特に図2〜4を参照すると、インサートホルダー12は、上表面23と下表面24の間に伸びる第一インサート先端溝26を有し、該第一インサート先端溝26内に第一インサート先端14が支持される。第一インサート先端溝26は三つの側面、即ち二つの側面28と一つの支持面30によって画定される。側面28は、インサートホルダー12の中心から離れるにつれ互いに近づく方向に傾斜し、これによりインサート先端14が面22に垂直な方向に動いてインサートホルダー12から外れることが防止される。
【0020】
図1及び2を参照すると、第一インサート先端溝26の側面28及び30は、本体18に一体的に結合したインサートホルダー12の第二部分32によって画定される。本明細書で使用される「一体的」なる用語及び類似の用語は、隣接する部分と共に材料の単一片から形成された部品の部分を表わす。第二部分32は、インサートホルダー12の上表面23と下表面24の両方の近くに、密度が増大した増大密度特徴部(increased-density features)を含む。すなわち、第二部分32は、各側面28に近接する増大密度特徴部34と、支持面30に近接する増大密度特徴部36と、を含む。
【0021】
各増大密度特徴部34及び36の密度は、好ましくは保持部の材料の完全密度の約95パーセント以上であり、より好ましくは保持部の材料の完全密度の約100パーセントである。そのような密度は、以下により詳細に説明する加締め加工によって与えられる。またこの加工は第一インサート先端溝26の側面28及び30を変形させ(例えば第一インサート先端溝26の断面積がわずかに減少する)、これにより第一インサート先端溝26内に第一インサート先端14が固定される。さらに、増大密度特徴部34及び36は、インサートホルダー12の上表面、下表面及び側面の近くに主に位置する。すなわち、増大密度特徴部34及び36は、インサートホルダー12の上表面から下表面に伸びる断面積が均一ではない。同様に、いくつかの実施形態において、インサートホルダー12は、各増大密度特徴部34及び36とインサートホルダー12のより低い密度の本体18と間で密度勾配を有する。
【0022】
インサートホルダー12は、内部に第二インサート先端16が支持される第二インサート先端溝38をさらに含む。第二インサート先端溝38は、本体18に一体的に結合したインサートホルダー12の第三部分40によって画定される。第三部分40はインサートホルダー12の第二部分32とほぼ同じであるので詳細な説明は省略する。
【0023】
図3〜7を参照すると、工作機械10は好ましくは以下のように製造される。まず、ステップ110において、基礎材料(例えばFN−0205ニッケル鋼粉末金属)をプレス機で圧縮することにより、図3〜6に示す形状を有するインサートホルダー12が形成される。元のインサートホルダー12は増大密度特徴部の代わりに隆起突出部を含む。つまり、インサートホルダー12は、全体的に三角形の側隆起突出部54と、全体的に半円状の支持隆起突出部56と、を含む。側隆起突出部54及び支持隆起突出部56は、好ましくは高さがそれぞれ約0.50mm及び0.25mmであり、これにより後続のステップにおいて過度な圧縮力が加わることが防止され同時に適切な材料流が確保される。その後、ステップ112において、インサートホルダー12を例えばセ氏1120度で30分間焼結する。
【0024】
次に又は前ステップと同時に、ステップ114において、第二基礎材料(例えば立方晶窒化ホウ素)をワイヤカットしてインサート先端14及び16を形成する。インサート先端14及び16並びにインサートホルダー12のインサート先端溝26及び38は比較的大きな許容誤差(例えば数千分の一インチのオーダー)で製造してもよく、理由はインサートホルダー12にインサート先端14及び16を固定する際に圧入を用いないからである。
【0025】
次に、ステップ116において、第一インサート先端14及び第二インサート先端16を第一インサート先端溝26及び第二インサート先端溝38内にそれぞれ配置する。その後、ステップ118で、プレス機を用いてインサートホルダー12を軸方向(即ち上表面23及び下表面24に垂直な方向)に圧縮する又は加締める。そのような圧縮加工によって隆起突出部54及び56が変形し、これにより増大密度特徴部34及び36がそれぞれ得られる。この変形によってインサート先端14及び16がインサート先端溝26及び38内にそれぞれ固定される。工作機械10を工作機械10の側面を囲むよう配置された治具内で圧縮してもよく、そのような治具は、側隆起突出部54がインサート先端14及び16から離れる方向に変形することを防止する。最後に、ステップ120において、インサート先端14及び16とインサートホルダー12との間の結合を強化するために及び工作機械10の耐腐食性を高めるために、工作機械10を水蒸気処理してもよい。
【0026】
勿論、工作機械は、本発明の範囲内で本明細書の記載と異なる方法で製造してもよく、あるいは異なる形状の特徴部を有してもよい。例えば、図8〜13を参照すると、本発明に係る工作機械210の第二実施形態は、第一インサート先端214及び第二インサート先端216を第一インサート先端溝226及び第二インサート先端溝238内にそれぞれ支持するインサートホルダー212を有する。工作機械210は、全体的に上述したとおりのものであるが、第二部分232及び第三部分240が修正された隆起突出部を含む。特に、側隆起突出部254及び支持隆起突出部256(図10〜13)は、全体的にピラミッド形状であり、高さがそれぞれ約0.40mm及び0.10mmである。そのような隆起突出部254及び256は、より小さい増大密度特徴部234及び236(図8及び9)を提供し、インサートホルダー212とインサート先端214及び216との間の負荷を減少させる。そのような減少した負荷は各部品に使用される特定の材料に依って有用となる。
【0027】
別の例として、インサート先端14及び16は、インサートホルダー12よりもわずかに短くてもよい。そのような実施形態において、隆起突出部54及び56は変形してもよく、これにより上表面23及び下表面24とインサート溝26及び38との間の縁に小さいヘリ(図示せず)を形成してインサート先端14及び16をさらにしっかりと固定してもよい。
【0028】
本発明が比較的安価な工作機械及び該工作機械の製造方法を提供することは本明細書の記載から明らかである。上記の有利な工作機械及び方法は、インサートホルダー及びインサート先端の比較的大きな許容誤差やインサート先端をインサートホルダー内に固定するために隆起突出部を圧縮する際に比較的シンプルな加工の使用などによって、容易となる。
【0029】
当然ながら、本発明の精神及び範囲内で本発明の好ましい実施形態に対して他のさまざまな修正及び変更をすることが可能である。したがって、本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されるべきではない。本発明の全範囲については本明細書に添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13