特許第5793589号(P5793589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793589
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】臭化ピコリン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/75 20060101AFI20150928BHJP
   C07D 405/12 20060101ALN20150928BHJP
   C07D 401/12 20060101ALN20150928BHJP
【FI】
   C07D213/75
   !C07D405/12
   !C07D401/12
【請求項の数】1
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-25954(P2014-25954)
(22)【出願日】2014年2月13日
(62)【分割の表示】特願2012-504543(P2012-504543)の分割
【原出願日】2011年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-139184(P2014-139184A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年2月13日
(31)【優先権主張番号】特願2010-127207(P2010-127207)
(32)【優先日】2010年6月2日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-115703(P2010-115703)
(32)【優先日】2010年5月19日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-56718(P2010-56718)
(32)【優先日】2010年3月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 秀和
(72)【発明者】
【氏名】谷中 悟
(72)【発明者】
【氏名】坪倉 史朗
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 忠司
(72)【発明者】
【氏名】野田 薫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 顕吾
【審査官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−040711(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/014100(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/006704(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/058552(WO,A1)
【文献】 Ijuin, Ryosuke; Umezawa, Naoki; Higuchi, Tsunehiko,Design, synthesis, and evaluation of new type of L-amino acids containing pyridine moiety as nitric oxide synthase inhibitor,Bioorganic & Medicinal Chemistry ,2006年,14(10),3563-3570
【文献】 Toshikazu Hirao, Shuichiro Kohno, Yoshiki Ohshro, Toshio Agawa,Reduction of organic halides with diethyl phosphonate and triethylamine,Bull. Chem. Soc. Jpn.,1983年,56,1881-1882
【文献】 Montgomery, Craig P.; New, Elizabeth J.; Palsson, Lars O.; Parker, David; Batsanov, Andrei S.; Lamarque, Laurent,Emissive and Cell-Permeable 3-Pyridyl- and 3-Pyrazolyl-4-azaxanthone Lanthanide Complexes and Their Behaviour in cellulo,Helvetica Chimica Acta,2009年,92(11),2186-2213
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/75
C07D 401/12
C07D 405/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(4)および/または式(5)で表される臭化ピコリン誘導体と、亜リン酸エステルと、塩基とを、有機溶媒中で反応させることを含む、式(6)で表される臭化ピコリン誘導体の製造方法。
【化1】
(式中、R1bは、無置換又は置換基を有するアルコキシカルボニル基を表し、
2bは、無置換の若しくは置換基を有するベンゾイル基を表し、
Zはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有する複素環基、OR3、S(O)p3、COR3、またはCO23を表し(R3は、
無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環基を示す。pは括弧内の酸素原子の数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。)、
mはZの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数であり、mが2以上のとき、複数のZ同士は、互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよい。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(1)農薬中間体として好適なピリジン環含有化合物、(2)農薬等の合成中間体として有用である2−置換アミノ−6−ハロメチルピリジン誘導体を高収率で得ることができる製造方法、及び(3)植物病害に対する防除効果に優れたテトラゾリルオキシム誘導体を工業的に有利に製造する方法に関する。
本願は、2010年3月12日に日本に出願された特願2010−056718号、2010年6月2日に日本に出願された特願2010−127207号、及び2010年5月19日に日本に出願された特願2010−115703号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ハロメチルピリジン誘導体の製造方法として、例えば、特許文献1には、2−クロロ−5−アセトアミノメチルピリジン及びジメチルホルムアミドのアセトニトリル溶液に、塩化オキサリルなどの塩素化剤を滴下し、次いで該混合物を80℃に加熱することによって、2−クロロ−5−クロロメチルピリジンを製造する方法が記載されている。
特許文献2には、希釈剤の存在下にそして必要に応じて塩化水素の存在下に−20℃〜+50℃の温度において、アミノメチルピリジンとニトロソ化剤またはジアゾ化剤とを反応させることによってクロロメチルピリジン類を製造する方法が記載されている。
また、特許文献3には、6−クロロ−2−(トリクロロメチル)ピリジンまたは6−クロロ−2−(ジクロロメチル)ピリジンを、還元することを特徴とする6−クロロ−2−(クロロメチル)ピリジンの製造方法が記載されている。
【0003】
【化1】
【0004】
特許文献4などに記載されているテトラゾリルオキシム誘導体は殺菌活性に優れており、植物の病害防除剤の有効成分として有望視されている。その製造方法として式(A)で表わされるテトラゾリルメタノン誘導体にヒドロキシルアミンを反応させて式(B)で表わされるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体を得、次いで、塩基の存在下、式(C)で表わされる化合物を反応させることによって、式(D)で表わされるテトラゾリルオキシム誘導体を得る方法が開示されている。
【0005】
本発明に関連して、特許文献1〜3には、ハロメチルピリジン誘導体の製造法が開示されている。また、特許文献4及び5には、本発明の化合物と類似の構造を有するテトラゾリルオキシム誘導体が開示され、殺菌剤として使用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−259539号公報
【特許文献2】特開平07−017948号公報
【特許文献3】特開昭56−43268号公報
【特許文献4】特開2003−137875号公報
【特許文献5】WO2003/016303
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、(1)農薬中間体として好適なピリジン環含有化合物、(2)農薬等の合成中間体として有用である2−置換アミノ−6−ハロメチルピリジン誘導体を高収率で得ることができる製造方法、及び(3)植物病害に対する防除効果に優れたテトラゾリルオキシム誘導体を工業的に有利に製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、(1)特定の構造を有するピリジン環含有化合物が、工業的に有利に合成でき、且つ殺菌活性を示すテトラゾリルオキシム誘導体を製造するための中間体として有用であること(2)2−置換アミノ−6−メチルピリジン誘導体と臭素化剤とを有機溶媒中で反応させ、次いで該反応生成物と亜リン酸エステルと塩基とを有機溶媒中で反応させることによって、2−置換アミノ−6−ブロモメチルピリジン誘導体を高収率で製造できること、及び(3)特定の2−置換アミノ−6−ハロメチルピリジン誘導体とテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体とを反応させると新規な製造中間体としてのテトラゾリルオキシム誘導体が得られること、また、特定の2−置換アミノ−6−ハロメチルピリジン誘導体とテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体とを反応させ、次いで該反応生成物に塩基を作用させることによって、植物病害に対する防除効果に優れたテトラゾリルオキシム誘導体を工業的に有利に製造できることを見出した。本発明は、この知見に基づきさらに検討を重ねたことによって、完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のものである。
〕 式(4)および/または式(5)で表される臭化ピコリン誘導体と、亜リン酸エステルと、塩基とを、有機溶媒中で反応させることを含む、式(6)で表される臭化ピコリン誘導体の製造方法。
【化5】
(式中、R1bは、無置換又は置換基を有するアルコキシカルボニル基を表し、
2bは、無置換の若しくは置換基を有するベンゾイル基を表し、
Zはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有する複素環基、OR3、S(O)p3、COR3、またはCO23を表し(R3は、
無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環基を示す。pは括弧内の酸素原子の数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。)、
mはZの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数であり、mが2以上のとき、複数のZ同士は、互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよい。)
〕 式(1)で表されるピリジン環含有化合物に関する
【化2】
(式(1)中、Rは、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシC1−6アルキル基、1,3−ジオキサン―2―イルC1−6アルキル基、R01C(=NOR02)基(R01、R02は、それぞれ独立してC1−6アルキル基を表す。)を表し、
は、C1−2アルコキシカルボニル基、アセチル基、ニトロ基で置換されていてもよいベンゾイル基を表し、
Zはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有する複素環基、OR3、S(O)p3、COR3、またはCO23を表し(R3は、
無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環基を示す。pは括弧内の酸素原子の数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である)、
mはZの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数であり、mが2以上のとき、複数のZ同士は、互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよく、
Xは、ハロゲン原子を表し、
nは、Xの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数であり、nが2以上のとき、複数のX同士は互いに同一であってもよいし、相異なっていても良い。)
〕 式(2)で表される化合物と、ハロゲン化剤とを、有機溶媒中で反応させる工程B1、および前記工程B1で得られた反応成生物を還元する工程B2を含む、式(3)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体の製造方法に関する
【化3】
(式(2)中、R1bは、無置換又は置換基を有するアルコキシカルボニル基を表し、
2bは、無置換又は置換基を有するアルコキシカルボニル基、無置換又は置換基を有するアシル基、無置換又は置換基を有するアリールオキシカルボニル基、無置換又は置換基を有する複素環オキシカルボニル基を表し、
Zはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有する複素環基、OR3、S(O)p3、COR3、またはCO23を表し(R3は、
無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環基を示す。pは括弧内の酸素原子の数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である)、
mはZの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数であり、mが2以上のとき、複数のZ同士は、互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよい。)
【化4】
(式(3)中、R1b、R2b、Z及びmは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
〕 前記の工程B1を、塩基の存在下で行う、前記〔〕に記載のハロゲン化ピコリン誘導体の製造方法に関する
〕 前記の工程B1における有機溶媒が、ベンゼンまたはハロゲン化炭化水素類である、前記〔〕または〔〕に記載のハロゲン化ピコリン誘導体の製造方法に関する
〕 前記の工程B2を、相間移動触媒の存在下で行う、前記〔〕または〔〕に記載のハロゲン化ピコリン誘導体の製造方法に関する
〕 ハロゲン化剤が臭素化剤で、且つXが臭素原子である、前記〔〕または〔〕に記載のハロゲン化ピコリン誘導体の製造方法に関する
〔8〕 式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体に、式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体を反応させ式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体を得る工程C1、および前記工程C1で得られた式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体に、塩基を作用させる工程C2を含む、式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体の製造方法に関する
【化6】
(式(7)中、R1Cは、無置換又は置換基を有するアルキル基、無置換又は置換基を有するアルコキシ基を表し、
2Cは、無置換又は置換基を有するアルコキシカルボニル基、無置換又は置換基を有するアシル基を表し、
Xはハロゲン原子を表し、
Zはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有する複素環基、OR3、S(O)p3、COR3、またはCO23を表し(R3は、
無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環基を示す。pは括弧内の酸素原子の数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。)、
mはZの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数であり、mが2以上のとき、複数のZ同士は、互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよく、
式(8)中、Yは無置換の若しくは置換基を有するアルキル基を示し、
Aはハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、シアノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキルスルホニル基、ニトロ基、または無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表し、
ncはAの置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数であり、ncが2以上のとき、A同士は互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよい。)
〔9〕 式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体に関する
【化7】
(式(9)中、R1Cは、無置換又は置換基を有するアルキル基、無置換又は置換基を有するアルコキシ基を表し、
2Cは、無置換又は置換基を有するアルコキシカルボニル基、無置換又は置換基を有するアシル基を表し、
Zはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有する複素環基、OR3、S(O)p3、COR3、またはCO23を表し(R3は、
無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環基を示す。pは括弧内の酸素原子の数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。)、
mはZの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数であり、mが2以上のとき、複数のZ同士は、互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよく、
Yは無置換の若しくは置換基を有するアルキル基を示し、
Aはハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、シアノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキルスルホニル基、ニトロ基、または無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表し、
ncはAの置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数であり、ncが2以上のとき、A同士は互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよい。)
〔10〕 式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体に、式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体を反応させる工程C1を含む、式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体の製造方法に関する
【化8】
(式中、R1Cは、無置換又は置換基を有するアルキル基、無置換又は置換基を有するアルコキシ基を表し、
2Cは、無置換又は置換基を有するアルコキシカルボニル基、無置換又は置換基を有するアシル基を表し、
Xはハロゲン原子を表し、
Zはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有する複素環基、OR3、S(O)p3、COR3、またはCO23を表し(R3は、
無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環基を示す。pは括弧内の酸素原子の数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。)、
mはZの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数であり、mが2以上のとき、複数のZ同士は、互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよく、
Yは無置換の若しくは置換基を有するアルキル基を示し、
Aはハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、シアノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキルスルホニル基、ニトロ基、または無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表し、
ncの置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数であり、ncが2以上のとき、A同士は互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るピリジン環含有化合物は、工業的に有利に合成でき、且つ殺菌活性を示すテトラゾリルオキシム誘導体を製造するための中間体として有用である。また、本発明の製造方法によれば、2−置換アミノ−6−ハロメチルピリジン誘導体を高選択率かつ高収率で得ることができ、植物病害に対する防除効果に優れたテトラゾリルオキシム誘導体を工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.農薬中間体として好適なピリジン環含有化合物
本発明に係るピリジン環含有化合物は、式(1)で表される化合物である。
該化合物は、次のようにして合成することができる。
【0012】
・n=0の場合、
【化9】
(式中、R、R、Z、mは前記と同様の意味を表し、Lはハロゲン原子などの脱離基を表す。)
【0013】
本発明に係る式(12)で表わされる化合物(以下、「化合物(12)」と表記する。)は、式(11)で表される化合物(以下「化合物(11)と表記する」)に、R−Lで表される化合物を作用させることによって得ることができる。なお、Lはハロゲン原子などの脱離基を表わす。
−Lで表される化合物としては、メトキシカルボニルクロライド、エトキシカルボニルクロライド、アセチルクロライド、ベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライドなどを挙げることができる。
【0014】
・n=1〜3の場合、
【化10】
(式中、R、R、Z、m、Xは前記と同様の意味を表し、n’は1〜3の何れかの整数を表す。)
【0015】
本発明に係る式(13)で表わされる化合物(以下、「化合物(13)」と表記する。)は、化合物(12)をハロゲン化することによって得られる。該ハロゲン化反応は公知の方法で行うことができる。
該ハロゲン化反応には、ハロゲン単体、塩化スルフリル、五塩化リン、N−クロルコハク酸イミド、N−ブロムコハク酸イミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、無水塩化銅、塩化アルミニウムなどを用いることができる。
【0016】
本発明に係る化合物(1)のRは、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシC1−6アルキル基、1,3−ジオキサン―2―イルC1−6アルキル基、R01C(=NOR02)基(R01、R02はそれぞれ独立して、C1−6アルキル基を表す。)を表す。
のC1−6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
のC1−6アルコキシC1−6アルコキシ基としては、例えば、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、3−エトキシプロポキシ基、2−エトキシブトキシ基、4−ブトキシブトキシ基、1−ブトキシペントキシ基、3−イソプロポキシ−2−メチルプロポキシ基、1―メトキシ―2―エトキシエトキシ等が挙げられる。
のC1−6アルコキシC1−6アルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシブチル基、メトキシブチル基、メトキシヘキシル基、プロポキシオクチル基、2−メトキシ−1,1−ジメチルエチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基、1―エトキシ―2―メトキシエチル基などが挙げられる。
の1,3−ジオキサン―2―イルC1−6アルキル基としては、例えば、1,3−ジオキサン―2―イル―メチル基、1,3−ジオキサン―2―イル―エチル基などが挙げられる。
のR01C(=NOR02)基のR01およびR02は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシルなどのC1−6アルキル基を表す。
のR01C(=NOR02)基としては、例えば、CHC(=NOCH)、CHC(=NOC)、CC(=NOCH)などが挙げられる。
本発明に係る化合物(1)、化合物(12)、および化合物(13)のRは、C1−2アルコキシカルボニル基、アセチル基、ニトロ基で置換されていてもよいベンゾイル基を表す。
のC1−2アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基を挙げることができる。
のニトロ基で置換されていてもよいベンゾイル基としては、p−ニトロベンゾイル基等が挙げられる。
また、式(1)、式(12)、及び式(13)中のZ及びmは、下記に説明する式(7)中のZ及びmと同様のZ及びmを表す。
式(1)中のXは、ハロゲン原子を表し、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらのうち、塩素原子または臭素原子が好ましく、臭素原子が特に好ましい。
【0017】
本発明に係る化合物(1)、は、殺菌活性を示すテトラゾリルオキシム誘導体を製造するための中間体として有用である。
【0018】
2.農薬等の合成中間体として有用である2‐置換アミノ‐6‐ハロメチルピリジン誘導体を高収率で得ることが出来る製造方法
本発明に係るハロゲン化ピコリン誘導体の製造方法は、式(2)で表される化合物と、ハロゲン化剤とを、有機溶媒中で反応させる工程B1、および 前記工程B1で得られた反応生成物を還元する工程B2を含むものである。
【0019】
〔工程B1〕
本発明の製造方法に用いられる原料物質は、式(2)で表される化合物である。
式(2)中のR1bは、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシカルボニル基を示す。該置換基は、ハロゲン化反応において不活性なものであれば特に限定されない。該アルコキシカルボニル基中のアルコキシ基は炭素原子1〜6個で構成されていることが好ましい。
1bにおける無置換のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などを挙げることができる。
【0020】
1bにおける置換基を有するアルコキシカルボニル基としては、シアノメトキシカルボニル基、1−シアノエトキシカルボニル基、2−シアノエトキシカルボニル基、ニトロメトキシカルボニル基、クロロメトキシカルボニル基、フルオロメトキシカルボニル基、ジフルオロメトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、2−フルオロエトキシカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基、メトキシメトキシカルボニル基、エトキシメトキシカルボニル基、1−メトキシエトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、2−クロロエトキシメトキシカルボニル基などを挙げることができる。
これらのうち、R1bは、無置換のアルコキシカルボニル基が好ましく、アルコキシ基を構成する炭素原子1〜6個である無置換のアルコキシカルボニル基がより好ましく、t−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
【0021】
式(2)中のR2bは、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシカルボニル基、無置換の若しくは置換基を有するアシル基、無置換の若しくは置換基を有するアリールオキシカルボニル基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環オキシカルボニル基を示す。
【0022】
2bにおける無置換のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などを挙げることができる。
2bにおける置換基を有するアルコキシカルボニル基としては、シアノメトキシカルボニル基、1−シアノエトキシカルボニル基、2−シアノエトキシカルボニル基、ニトロメトキシカルボニル基、クロロメトキシカルボニル基、フルオロメトキシカルボニル基、ジフルオロメトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、2−フルオロエトキシカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基、メトキシメトキシカルボニル基、エトキシメトキシカルボニル基、1−メトキシエトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、2−クロロエトキシメトキシカルボニル基などを挙げることができる。
【0023】
2bにおけるアシル基は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または複素環基が、カルボニル基と結合した基である。
無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、n−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、オクタノイル基、i−プロピルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、ピバロイル基、イソバレリル基等のアルキルカルボニル基;アクリロイル基、メタクリロイル基等のアルケニルカルボニル基;プロピオロイル基等のアルキニルカルボニル基;ベンゾイル基等のアリールカルボニル基;2−ピリジルカルボニル基、チエニルカルボニル基等の複素環カルボニル基等が挙げられる。
2bにおける置換基を有するアシル基としては、フルオロアセチル基、クロロアセチル基、ニトロアセチル基、シアノアセチル基、メトキシアセチル基、ジブロモアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリブロモアセチル基、3,3,3−トリフルオロプロピオニル基、3,3,3−トリクロロプロピオニル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピオニル基、4−クロロベンゾイル基等が挙げられる。
【0024】
2bにおける無置換のアリールオキシカルボニル基としては、フェニルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、アズレニルオキシカルボニル基、インデニルオキシカルボニル基、インダニルオキシカルボニル基、テトラリニルオキシカルボニル基などが挙げられる。
2bにおける置換基を有するアリールオキシカルボニル基としては、6−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−クロロフェニルオキシカルボニル基、2,4−ジクロロフェニルオキシカルボニル基、3,4−ジクロロフェニルオキシカルボニル基、3,5−ジクロロフェニルオキシカルボニル基、2,6−ジフルオロフェニルオキシカルボニル基、4−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基、3,4−ジメトキシフェニルオキシカルボニル基、3,4−メチレンジオキシフェニルオキシカルボニル基、3−フェノキシフェニルオキシカルボニル基、4−トリフルオロメトキシフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシ−1−ナフチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0025】
2bにおける無置換の複素環オキシカルボニル基としては、フラン−2−イルオキシカルボニル基、フラン−3−イルオキシカルボニル基、チオフェン−2−イルオキシカルボニル基、チオフェン−3−イルオキシカルボニル基、ピロール−2−イルオキシカルボニル基、ピロール−3−イルオキシカルボニル基、オキサゾール−2−イルオキシカルボニル基、オキサゾール−4−イルオキシカルボニル基、オキサゾール−5−イルオキシカルボニル基、チアゾール−2−イルオキシカルボニル基、チアゾール−4−イルオキシカルボニル基、チアゾール−5−イルオキシカルボニル基、イソオキサゾール−3−イルオキシカルボニル基、イソオキサゾール−4−イルオキシカルボニル基、イソオキサゾール−5−イルオキシカルボニル基、イソチアゾール−3−イルオキシカルボニル基、イソチアゾール−4−イルオキシカルボニル基、イソチアゾール−5−イルオキシカルボニル基、イミダゾール−2−イルオキシカルボニル基、イミダソール−4−イルオキシカルボニル基、イミダゾール−5−イルオキシカルボニル基、ピラゾール−3−イルオキシカルボニル基、ピラゾール−4−イルオキシカルボニル基、ピラゾール−5−イルオキシカルボニル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イルオキシカルボニル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イルオキシカルボニル基、1,2,3−トリアゾール−4−イルオキシカルボニル基、1,2,4−トリアゾール−3−イルオキシカルボニル基、1,2,4−トリアゾール−5−イルオキシカルボニル基等の不飽和複素5員環オキシカルボニル基; ピリジン−2−イルオキシカルボニル基、ピリジン−3−イルオキシカルボニル基、ピリジン−4−イルオキシカルボニル基、5−クロロ−3−ピリジルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシカルボニル基、ピリダジン−3−イルオキシカルボニル基、ピリダジン−4−イルオキシカルボニル基、ピラジン−2−イルオキシカルボニル基、ピリミジン−5−イルオキシカルボニル基、1,3,5−トリアジン−2−イルオキシカルボニル基、1,2,4−トリアジン−3−イルオキシカルボニル基等の不飽和複素6員環オキシカルボニル基; テトラヒドロフラン−2−イルオキシカルボニル基、テトラヒドロピラン−4−イルオキシカルボニル基、ピペリジン−3−イルオキシカルボニル基、ピロリジン−2−イルオキシカルボニル基、モルホリノオキシカルボニル基、ピペリジノオキシカルボニル基、ピペラジノオキシカルボニル基、N−メチルピペラジノオキシカルボニル基、アジリジノオキシカルボニル基、アゼチジノオキシカルボニル基、ピロリジノオキシカルボニル基、オキサゾリン−2−イルオキシカルボニル基等の飽和若しくは部分不飽和複素環オキシカルボニル基等が挙げられる。
2bにおける置換基を有する複素環オキシカルボニル基としては、3−トリフルオロメチルピリジン−2−イルオキシカルボニル基、4−トリフルオロメトキシ−2−ピリジルオキシカルボニル基、3−メチル−1−ピラゾリルオキシカルボニル基、4−トリフルオロメチル−1−イミダゾリルオキシカルボニル基、3,4−ジフルオロピロリジノオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0026】
これらのうち、式(2)中のR2bは、無置換の若しくは置換基を有するベンゾイル基が好ましい。ベンゾイル基に有する置換基は、ハロゲン化反応において不活性なものであれば特に限定されない。
2bにおける置換基を有するベンゾイル基としては、2,6−ジメトキシベンゾイル基、3,5−ニトロベンゾイル基、2,4,6−トリクロロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基などが挙げられる。
式(2)中のZ及びmは、下記に説明する式(7)中のZ及びmと同様のZ及びmを表す。
【0027】
工程B1において用いられるハロゲン化剤は、公知の合成反応でハロゲン化に用いられるものであれば特に限定されない。
ハロゲン化剤としては、そのもの自身がハロゲン化剤となる化合物、および反応系中でハロゲン化剤に変換されうる化合物を包含する。ハロゲン化剤の例としては、臭素(Br2)、塩素(Cl2)、臭化水素、塩化水素、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、臭化アルミニウム、三臭化リン、五臭化リンなどの金属臭化物;臭化アンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウムなどの臭化アンモニウム塩;トリメチルシリル臭素、BrF、BrF3、BrF5、BrCl、BrCl3、臭素・ピリジン錯体、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジヨード−5,5−ジメチルヒダントイン、臭化チオニル、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、塩化シアヌル、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、ジメチルジクロロヒダントイン、トリクロロイソシアヌル酸などが挙げられる。これらのうち、臭素化剤が好ましく、ジメチルジブロモヒダントインがより好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は、特に限定されないが、式(2)で表される化合物1モルに対して、ハロゲン原子として、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは1〜5モルである。
【0028】
工程B1において用いられる有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;酢酸のようなプロトン性溶媒;水などが挙げられる。
これらのうち、副反応が抑制され、式(2)で表される化合物中のメチル基のハロゲン化が選択的に進みやすいという観点から、ベンゼンまたはハロゲン化炭化水素類が好ましい。
【0029】
本発明においては、工程B1を塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基が反応系に存在していると、副反応が抑制され、式(2)で表される化合物中のメチル基へのハロゲン化反応がより選択的に進みやすくなる。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、マグネシウムメトキシド等の金属アルコキシド;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等の有機塩基;等が挙げられる。これらの塩基は一種単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
塩基の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは0.5〜2モルである。
【0030】
式(2)で表される化合物とハロゲン化剤との反応は、その手順等において特に制限されない。例えば、有機溶媒に式(2)で表される化合物と必要に応じて炭酸水素ナトリウムとを添加し、これにハロゲン化剤を徐々に添加しながら反応を行ってもよい。反応開始時から反応終了時までの温度は、一定にしてもよいし、変化させてもよいが、好ましくは0〜200℃の範囲であり、より好ましくは室温〜150℃の範囲である。
【0031】
この工程B1を経ることによって、式(2)で表される化合物中のメチル基が選択的にハロゲン化される。その結果、反応生成物として、式(3)で表されるモノハロゲン化ピコリン誘導体、式(14)で表されるジハロゲン化ピコリン誘導体および/または式(15)で表されるトリハロゲン化ピコリン誘導体を含有するものが得られる。この反応生成物を公知の方法で精製して式(3)で表されるモノハロゲン化ピコリン誘導体を高純度で単離するには、コストと時間を要する。そこで、本発明は、次に説明する工程B2を行う。
【0032】
【化11】
【0033】
〔工程B2〕
工程B1で得られた式(3)、式(14)、式(15)の混合反応生成物を還元する手法は、特に制限されない。
例えば、酸と金属との存在下に、有機溶媒中で、工程B1で得られた反応生成物を反応させることを含む方法;有機溶媒中で、水素を添加して工程B1で得られた反応生成物を反応させることを含む方法などが挙げられる。
前記の方法において用いられる酸としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸;酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機酸を挙げることができる。
前記の方法において用いられる金属としては、亜鉛、鉄、スズ、コバルト、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられる。金属は微粉末であることが好ましい。
【0034】
酸および金属の各使用量は、還元に必要な量の水素を発生するに十分な量であれば、特に制限されない。必要な水素の量は、式(14)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体1モルに対して好ましくは0.6〜1.5モルであり、式(15)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体1モルに対して好ましくは1.2〜3.0モルである。
該還元反応は、通常、−20℃から還流温度までの範囲の温度、好ましくは20〜40℃で行うことができる。
【0035】
工程B1においてハロゲン化剤として臭素化剤を用いたことで得られる、Xが臭素原子である反応生成物を還元する場合には、工程B1で得られた反応生成物、すなわち式(4)で表される臭化ピコリン誘導体および/または式(5)で表される臭化ピコリン誘導体と、亜リン酸エステルと、塩基とを、有機溶媒中で反応させることを含む方法が、好適な方法として挙げられる。
【0036】
前記の方法において用いられる亜リン酸エステル、すなわちホスファイトは、 P(OR)3 で示され、リンの酸化数が +3 のものである。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基などであり、3つのRのうち少なくとも一つは水素原子以外の基である。
亜リン酸エステルとしては、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、モノブチルジフエニルホスファイト、モノオクチルジフエニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等が挙げられる。
亜リン酸エステルの使用量は、式(4)で表される臭化ピコリン誘導体1モルに対して好ましくは0.1〜20モルであり、式(5)で表される臭化ピコリン誘導体1モルに対して好ましくは0.2〜40モルである。
【0037】
前記の方法において用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、マグネシウムメトキシド等の金属アルコキシド;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等の有機塩基;等が挙げられる。
塩基の使用量は、式(4)で表される臭化ピコリン誘導体1モルに対して好ましくは0.1〜10モルであり、式(5)で表される臭化ピコリン誘導体1モルに対して好ましくは0.2〜20モルである。
【0038】
工程B1で得られた反応生成物と、亜リン酸エステルと、塩基との反応は、その手順等において特に制限されない。例えば、工程B1で得られた反応生成物を含む有機溶媒溶液に、亜リン酸エステルと塩基と必要に応じて相間移動触媒とを徐々に添加しながら反応を行ってもよい。反応開始時から反応終了時までの温度は、一定にしてもよいし、変化させてもよいが、好ましくは−70℃〜+100℃の範囲であり、より好ましくは−10℃〜+50℃の範囲である。
【0039】
工程B2において用いられる有機溶媒としては、特に限定されず、工程B1において用いられる有機溶媒と同じものが挙げられる。工程B1で得られた反応液から反応生成物を回収せずに、工程B1で得られた反応液をそのまま工程B2で用いることもできる。
【0040】
本発明においては、工程B2を相間移動触媒の存在下で行うことが好ましい。
相間移動触媒としては、例えば、4級アンモニウム塩;テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩;12−クラウン−4,18−クラウン−6、ベンゾ−18−クラウン−6等の大環状ポリエーテル類;等が挙げられる。これらのうち、4級アンモニウム塩が好ましい。
【0041】
4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラn−プロピルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリプロピルアンモニウムクロライド等の塩化物;テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラn−プロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリプロピルアンモニウムブロマイド等の臭化物;テトラメチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラn−プロピルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリエチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリプロピルアンモニウムアイオダイド等のヨウ化物;等が挙げられる。これらのうち、テトラブチルアンモニウムブロマイドが好ましい。
相間移動触媒の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、好ましくは0.001モル〜10モル、より好ましくは0.01〜1モルである。この範囲で相間移動触媒を用いることにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0042】
この工程B2を経ることによって、式(14)で表されるジハロゲン化ピコリン誘導体および/または式(15)で表されるトリハロゲン化ピコリン誘導体が、式(3)で表されるモノハロゲン化ピコリン誘導体に変換される。これによって、反応系中における式(3)で表されるモノハロゲン化ピコリン誘導体の含有率が高くなり、単離が容易となる。
【0043】
上記工程B1〜B2における各反応の終了後においては、通常の後処理操作を行うことができる。そして、目的とする式(3)で表されるモノハロゲン化ピコリン誘導体を単離することができる。また、生成物の精製が必要であれば、蒸留、抽出、再結晶またはカラムクロマトグラフィー等の公知慣用の精製手段を採用することができる。
目的生成物の構造は、1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトルの測定や、元素分析等により、同定・確認することができる。
【0044】
本発明の製造方法で得られるハロゲン化ピコリン誘導体は、農園芸作物の生育を助ける農薬製剤の有効成分の製造中間体として、甲殻類や貝類の付着防止剤の有効成分の製造中間体として、殺菌剤の有効成分の製造中間体として、または壁や浴槽若しくは靴や衣服の防菌・防黴剤の有効成分の製造中間体として有用である。この製造中間体を経ることによって、安価に且つ効率的に、農薬製剤、殺菌剤、防菌・防黴剤等の有効成分を製造することができる。
【0045】
3.植物病害に対する防除効果に優れたテトラゾリルオキシム誘導体を工業的に有利に製造する方法
本発明に係る式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体は、新規な物質であり、式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体の製造中間体として有用である。
式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体の製造方法は、式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体に、式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体を反応させる工程C1を含むものである。
【0046】
また、式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体の製造方法は、前記工程C1、および、前記工程C1における反応生成物に、塩基を作用させる工程C2を含むものである。
【0047】
〔工程C1〕
本発明に係る製造方法の原料物質は、式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体である。
式(7)中のR1Cは無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、または無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基を示す。R1Cにおける、置換基は、式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体との反応に不活性なものであれば特に限定されない。
【0048】
1Cにおけるアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよい。また、該アルキル基は構成炭素原子数が1〜6であるものが好ましい。
無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、メンチル基などが挙げられる。
置換基を有するアルキル基としては、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシブチル基、メトキシブチル基、メトキシヘキシル基、プロポキシオクチル基、2−メトキシ−1,1−ジメチルエチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基、カルボメトキシメチル基、1−カルボエトキシ−2,2−ジメチル−3−シクロプロピル基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基;などが挙げられる。置換基を有するアルキル基としてはハロアルキル基が好ましい。
【0049】
1Cにおけるアルコキシ基は、直鎖であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよい。該アルコキシ基は、構成炭素原子数が1〜6であるものが好ましい。
無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基などが挙げられる。
置換基を有するアルコキシ基としては、例えば、クロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、3−エトキシプロポキシ基、2−エトキシブトキシ基、4−ブトキシブトキシ基、1−ブトキシペントキシ基、フルオロメトキシメトキシ基、ジクロロメトキシメトキシ基、1,2−ジブロモ−3−メトキシプロポキシ基、3−イソプロポキシ−2−メチルプロポキシ基などが挙げられる。
【0050】
式(7)中、R2Cは無置換の若しくは置換基を有するアルコキシカルボニル基、または無置換の若しくは置換基を有するアシル基を表し、具体例としては前記R2bと同様のものが挙げられる。
【0051】
これらのうち、式(7)中のR2Cは、無置換の若しくは置換基を有するベンゾイル基が好ましい。
置換基を有するベンゾイル基としては、2,6−ジメトキシベンゾイル基、3,5−ニトロベンゾイル基、2,4,6−トリクロロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基などが挙げられる。
【0052】
式(7)中のXはハロゲン原子を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらのうち、塩素原子または臭素原子が好ましい。
【0053】
式(7)中のZはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有する複素環基、OR3、S(O)p3、COR3、またはCO23を示す。
【0054】
Zにおけるハロゲン原子は、Xにおけるハロゲン原子と同じものを挙げることができる。
【0055】
Zにおける無置換のアミノ基は NH2― の構造を持つ基である。置換基を有するアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、t−ブトキシカルボニルメチルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、アセチルエチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基等が挙げられる。
【0056】
Zにおける無置換の若しくは置換基を有するアルキル基は、前記R1Cにおける無置換の若しくは置換基を有するアルキル基と同じものを挙げることができる。
【0057】
Zにおける無置換若しくは置換基を有するアルケニル基は、構成炭素原子数が2〜8であるものが好ましい。
無置換のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
置換基を有するアルケニル基としては、2−クロロエテニル基、2−フルオロエテニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−ペンテニル基、1,2,2−トリフルオロエテニル基、2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル基、2,3,3−トリヨード−2−プロペニル基、2−メトキシエテニル基等が挙げられる。
【0058】
Zにおける無置換若しくは置換基を有するアルキニル基は、構成炭素原子数が2〜8であるものが好ましい。
無置換のアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等が挙げられる。
置換基を有するアルキニル基としては、2−クロロエチニル基、2−フルオロエチニル基、3−フルオロ−1−プロピニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−プロピニル基、3−フルオロ−2−プロピニル基、3−ヨード−2−プロピニル基等が挙げられる。
【0059】
Zにおける無置換若しくは置換基を有するアリール基は、単環又は多環のアリール基である。多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環または芳香環のいずれであってもよい。
無置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基などが挙げられる。
置換基を有するアリール基としては、6−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基等を挙げることができる。
【0060】
Zにおける無置換の複素環基としては、フラン−2−イル基、フラン−3−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダソール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、ピラゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基等の不飽和複素5員環基; ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、5−クロロ−3−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−2−ピリジル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピラジン−2−イル基、ピリミジン−5−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基等の不飽和複素6員環基; テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−4−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピロリジン−2−イル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、アジリジノ基、アゼチジノ基、ピロリジノ基、オキサゾリン−2−イル基等の飽和若しくは部分不飽和複素環基等が挙げられる。
置換基を有する複素環基としては、3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル基、4−トリフルオロメトキシ−2−ピリジル基、3−メチル−1−ピラゾリル基、4−トリフルオロメチル−1−イミダゾリル基、3,4−ジフルオロピロリジノ基等が挙げられる。
【0061】
Zにおける、OR3、S(O)p3、COR3およびCO23中のR3は、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有する複素環基を示す。pは括弧内の酸素原子の数を示し且つ0〜2のいずれかの整数である。
【0062】
3における、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するアルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、および無置換の若しくは置換基を有する複素環基としては、前記R1CおよびZの説明で示したそれらと同じものが挙げられる。
【0063】
OR3の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、エチニルオキシ基、1−プロピニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基、アミノオキシ基、メチルアミノオキシ基、ジエチルアミノオキシ基、メトキシカルボニルアミノオキシ基、フェノキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0064】
S(O)p3の具体例としては、ジメチルアミノチオ基、クロロメチルチオ基、3−ブテニルチオ基、エチニルチオ基、3−メチルフェニルチオ基、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、1−ブテニルスルフィニル基、1−ヘキシニルスルフィニル基、2,3−ジメチルフェニルスルフィニル基、メチルスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、N−エチル−N−メチルアミノスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基、2−メチル−2−ブテニルスルホニル基、2−プロピニルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ニトロフェニルスルホニル基、p−トリルスルホニル基等が挙げられる。
【0065】
COR3の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基、プロパノイル基、i−プロピルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、ビニルカルボニル基、1−プロペニルカルボニル基、2−プロペニルカルボニル基、i−プロペニルカルボニル基、1−プロピニルカルボニル基、2−プロピニルカルボニル基、3−ブテニルカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、N−メチル−N−エチルアミノカルボニル基、アジリジノカルボニル基、アゼチジノカルボニル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基、N−メチルピペラジノカルボニル基等が挙げられる。
【0066】
CO23の具体例としては、メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、1−ペンテニルオキシカルボニル基、2−プロピニルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0067】
これらのうち、式(7)中のZとしては、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換のアルキル基、OR3、およびSR3が好ましく、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換のアルキル基、OR3、およびSR3がさらに好ましい。 Zにおける、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基としては無置換のアミノ基およびジアルキルアミノ基が好ましく、無置換のアルキル基としては構成炭素原子数が1〜4であるものが好ましく、OR3としては構成炭素原子数が1〜4のアルコキシ基が好ましく、SR3としては構成炭素原子数が1〜4のアルキルチオ基が好ましい。
【0068】
式(7)中のmはZの置換数を示し且つ0〜3のいずれかの整数である。mが2以上のとき、複数のZ同士は、互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよい。mは0であることが特に好ましい。
【0069】
式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体は、例えば、構造が対応する2−置換アミノ−6−メチルピリジン誘導体をハロゲン化剤と反応させることによって、得ることができる。
【0070】
工程C1において、式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体と反応させられる物質は、式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体である。
【0071】
式(8)中、Yは無置換の若しくは置換基を有するアルキル基を示す。Yにおける無置換の若しくは置換基を有するアルキル基は、前記のR1Cの説明で示したそれと同じものが挙げられる。Yにおいて、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基は、無置換のアルキル基が好ましく、構成炭素原子数が1〜6の無置換のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0072】
式(8)中、Aはハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、シアノ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキルスルホニル基、ニトロ基、または無置換の若しくは置換基を有するアリール基を示す。
Aにおけるハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、および無置換の若しくは置換基を有するアリール基は、前記のR1CおよびZの説明で示したそれらと同じものが挙げられる。Aにおいて、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基としては無置換のアルキル基またはハロアルキル基が好ましく、構成炭素原子数が1〜6の無置換のアルキル基または構成炭素原子数が1〜6のハロアルキル基がより好ましい。Aにおいて、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基としては、無置換のアルコキシ基またはハロアルコキシ基が好ましく、構成炭素原子数が1〜6の無置換のアルコキシ基または構成炭素原子数が1〜6のハロアルコキシ基がより好ましい。
【0073】
Aにおける無置換のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、i−プロピルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基等が挙げられる。置換基を有するアルキルスルホニル基としては、2−ピリジルメチルスルホニル基、3−ピリジルメチルスルホニル基、クロロメチルスルホニル基;シアノメチルスルホニル基、1−シアノエチルスルホニル基、2−シアノエチルスルホニル基、ニトロメチルスルホニル基、クロロメチルスルホニル基、フルオロメチルスルホニル基、ジフルオロメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、2−フルオロエチルスルホニル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基、エトキシメチルスルホニル基、1−メトキシエチルスルホニル基、2−メトキシエチルスルホニル基、2−クロロエトキシメチルスルホニル基などが挙げられる。Aにおいて、無置換の若しくは置換基を有するアルキルスルホニル基としては、無置換のアルキルスルホニル基が好ましく、構成炭素原子数が1〜6の無置換のアルキルスルホニル基がより好ましい。
式(8)中、nCはAの置換数を示し且つ0〜5のいずれかの整数である。nCが2以上のとき、A同士は互いに同一であってもよいし、相異なっていてもよい。nCは0であることが特に好ましい。
【0074】
工程C1における、式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体と式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体との反応は、ハロゲノ基と水酸基とがカップリングする公知反応である。該反応は、例えば、特開2003−137875号公報やWO03/016303号パンフレットに記載された方法に準じて行うことができる。一般的に、該反応は塩基の存在下で行われる。
【0075】
この反応に用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、マグネシウムメトキシド等の金属アルコキシド;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等の有機塩基;等が挙げられる。これらの塩基は一種単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
工程C1における塩基の使用量は、式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体1モルに対し、通常0.01〜100モル、好ましくは0.1〜5モルである。
【0076】
工程C1における反応は、溶媒存在下若しくは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されない。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;水;およびこれらの混合溶媒;等が挙げられる。
【0077】
式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体と式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体との反応は、その手順等において特に制限されない。例えば、式(7)で表されるハロゲン化ピコリン誘導体を含む有機溶媒溶液に、塩基と式(8)で表されるテトラゾリルヒドロキシイミノ誘導体とを添加し反応を行ってもよい。
工程C1における反応の開始時から終了時までの温度は、一定に保ってもよいし、変動させてもよいが、通常、−70℃〜+200℃の範囲の温度、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲の温度である。反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分間〜24時間である。
【0078】
この工程C1を経ることによって、式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体を工業的に有利に得ることができる。式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体は新規な物質であり、次に述べる式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体の製造中間体として有用な物質である。
なお、式(9)中の、R1C、R2C、Z、m、A、nCおよびYは、式(7)または式(8)中のそれらと同じ意味を示す。
【0079】
〔工程C2〕
次に、工程C2では、前記工程C1における反応生成物に、塩基を作用させることにより、式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体を得ることができる。
なお、前記工程C1を経て得られた反応液の精製操作を行わずに、反応生成物、すなわち式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体に塩基を反応させてもよいし、前記工程C1を経て得られた反応液の精製操作を行って、反応生成物、すなわち式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体を単離し、これに塩基を作用させることもできる。精製操作としては、蒸留、再結晶またはカラムクロマトグラフィー等が挙げられる。
【0080】
工程C2において用いられる塩基は、式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体中のR2Cを脱離させることができるものであれば、特に限定されない。例えば、塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、マグネシウムメトキシド等の金属アルコキシド;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等の有機塩基;等が挙げられる。これらの塩基は一種単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
工程C2における塩基の使用量は、式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体1モルに対し、通常0.01〜100モル、好ましくは0.1〜5モルである。なお、工程C1で得られた反応液から塩基を除去せずに、工程C1で得られた反応液をそのまま工程C2に用いる場合には、工程C1で使用した塩基の量を考慮して、工程C2において添加する塩基の量を調整することができる。
【0081】
工程C2における反応は、溶媒存在下若しくは無溶媒で行うことができる。用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されない。具体例としては、工程C1の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。工程C2において用いる溶媒を工程C1において用いる溶媒と同じものにすれば、工程C1から工程C2に移行する際に、溶媒の置換をする必要が無くなるので製造コストの点で有利である。
【0082】
工程C1における反応生成物に、塩基を作用させる手順等は特に制限されない。例えば、工程C1における反応生成物、すなわち、式(9)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体を含む有機溶媒溶液に、塩基を添加し反応を行ってもよい。
工程C2における反応の開始時から終了時までの温度は、一定に保ってもよいし、変動させてもよいが、通常、0℃〜溶媒沸点の範囲の温度、好ましくは10〜60℃の範囲の温度である。反応時間は塩基濃度や反応規模等にもよるが、通常、5分間〜24時間である。
【0083】
この工程C2を経ることによって、式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体を工業的に有利に得ることができる。
なお、式(10)中の、R1C、Z、m、A、nCおよびYは、式(7)または式(8)中のそれらと同じ意味を示す。
【0084】
工程C2の反応終了後に、通常の後処理操作を行うことができる。そして、目的とする式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体を単離することができる。また、生成物のさらなる精製が必要であれば、蒸留、抽出、再結晶またはカラムクロマトグラフィー等の公知慣用の精製手段を採用することができる。
目的生成物の構造は、1H−NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトルの測定や、元素分析等により、同定・確認することができる。
【0085】
本発明の製造方法で得られる式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体は、塩にすることもできる。該塩は、常法に従い、式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体に酸を作用させることにより製造することができる。
【0086】
本発明の製造方法で得られる式(10)で表されるテトラゾリルオキシム誘導体またはその塩は、殺菌剤等の有効成分として好適である。該殺菌剤は、例えば、農園芸作物の生育を助ける農薬製剤として、甲殻類や貝類の付着防止剤として、または壁や浴槽若しくは靴や衣服の防菌、防黴剤として使用することができる。
【実施例】
【0087】
次に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定して解釈されるものでない。
【0088】
(実施例A1)
【化12】
【0089】
化合物(a)10.52g(2.5mmol)をトルエン1.25ml(0.5L/mol)に溶解した。トルエン/N,N−ジメチルホルムアミドの4/1混合溶媒(2L/mol)に水素化ナトリウム(55%)0.13g(1.2eq)を添加した液に、化合物(a)溶液を室温下で滴下し、その温度で30分間熟成した。
その後、ベンゾイルクロリド0.42g(1.2eq)を冷却下にて滴下し、その温度で20分間熟成した。
酢酸エチル(2L/mol)で2回抽出し、飽和食塩水(2L/mol)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、ろ過濃縮した。その後、得られた結晶を、冷却したn−ヘキサン(2L/mol)で洗浄した。式(b)で表される化合物(以下、「化合物(b)」と表記する。)が0.66g得られた。収率は84.6%であった。
【0090】
(実施例A2)
【化13】
【0091】
(ブロム化)
化合物(b)0.31g(1mmol)をクロロベンゼン4ml(4L/mol)に溶解し、これに2,5―ジ―t―ブチルハイドロキノン0.29g(1eq.)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03g(0.2eq.)を順次添加し、90℃で1時間攪拌した。該液を室温まで冷ました。1N−水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)にて精製し、式(c)で表される化合物0.15g(収率38%)を得た。
【0092】
上記の製造方法と同じ手法によって、表1に示す式(1−a)で表される化合物、および表2に示す式(1‐b)で表される化合物、表3で示す式(1)で表される化合物を得た。それら化合物の物性等を表1および表2に示した。なお、表中の、MeOCOはメトキシカルボニル基、EtOCOはエトキシカルボニル基、Acはアセチル基、Bzはベンゾイル基をそれぞれ表す。
【0093】
【化14】
【0094】
【表1】
【0095】
【化15】
【0096】
【表2】
【0097】
【化16】
【0098】
【表3】
【0099】
(実施例B1): ベンゾイル−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【化17】
【0100】
窒素置換された反応器に、N,N−ジメチルホルムアミド40mlを入れ、これに水素化ナトリウム5.23g(純度55%)およびトルエン160mlを添加した。その懸濁液に、(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル20.8gのトルエン50ml溶液を20℃〜25℃の温度範囲で20分間かけて滴下した。滴下終了後、20℃〜25℃の温度範囲で30分間撹拌した。その後、5℃以下に冷却し、ベンゾイルクロリド13.9mlを0℃〜5℃の温度範囲で15分間かけて滴下した。滴下終了後、0℃〜5℃の温度範囲で10分間撹拌した。その後、反応液を氷水200ml中に注ぎ、有機層と水層に分液した。水層をトルエン20mlで抽出し、先の有機層と混ぜ合わせた。それを水50mlで2回洗浄し、次いで飽和食塩水50mlで1回洗浄した。溶媒を減圧除去した。残渣にヘキサンを添加し、これを減圧濃縮した。残渣にヘキサン50mlを添加し、60℃に加熱した。その後10℃まで徐々に冷却した。10℃以下で30分間撹拌した。該液をろ過した。固形物をヘキサン20mlで2回洗浄し、加熱乾燥した。式(d)で表される化合物29.1g(93%)が得られた。
【0101】
(実施例B2): ベンゾイル−(6−ブロモメチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【0102】
【化18】
【0103】
ベンゾイル−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル29.1gをクロロベンゼン372mlに溶解させた。これに、炭酸水素ナトリウム7.8gを添加した。90℃に加熱し、次いでアゾビスイソブチロニトリル3.1gを添加し、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン26.6gを10分割して、80分間かけて添加した。添加終了後、90℃で30分間撹拌した。その後、室温に冷却し、1規定水酸化ナトリウム140mlで洗浄し、次いで水70mlと飽和食塩水23mlとの混合水で洗浄した。
得られた有機層を5℃以下に冷却し、薄層クロマトグラフィーにて反応を確認しながら50%水酸化ナトリウム14.9g、亜リン酸ジエチル12.0ml、およびテトラブチルアンモニウムクロリド1.5gをそれぞれ分割添加した。添加終了後、0℃〜5℃の温度範囲で15分間撹拌した。
薄層クロマトグラフィーにてジブロモ体およびトリブロモ体のスポットが消失し、式(e)で表される化合物(モノブロモ体)が生成していることを確認した。反応液は後処理せず、そのまま実施例B3で使用した。
【0104】
(実施例B3): ベンゾイル−{6−([Z]−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン アミノオキシメチル)−2−ピリジル}カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【0105】
【化19】
【0106】
実施例B2で得られた反応液中に20%水酸化ナトリウム37.2gを添加し、20℃〜25℃の温度範囲で30分間撹拌した。その後、(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)−フェニル−メタノン オキシム18.9gを添加し、20℃〜25℃の温度範囲で3.5時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィーにて目的物が消失し、式(f)で表される化合物が生成していることを確認した。反応液は後処理せず、そのまま実施例B4で使用した。
【0107】
(実施例B4): {6−([Z]−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン アミノオキシメチル)−2−ピリジル}カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【0108】
【化20】
実施例B3で得られた反応液中に20%水酸化ナトリウム37.2gを添加し、40℃で15時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料が消失し、目的物が生成していることを確認した。その後、反応液を有機層と水層とに分液した。有機層を1規定水酸化ナトリウム93mlで洗浄した。水層をクロロベンゼン23mlで抽出し、先の有機層と混ぜ合わせ、それを飽和食塩水47mlで洗浄した。溶媒を減圧除去し、残渣にメタノールを添加し、減圧濃縮した。メタノール添加−減圧濃縮をさらに2回行なった。これにメタノール47mlを添加し、加熱還流して均一溶液とした。その後、10℃まで徐々に冷却し、10℃以下で30分間撹拌した。該液をろ過した。固形物をメタノール19mlで2回洗浄し、加熱乾燥した。式(g)で表される化合物26.6gが得られた。該固形物の融点は、141.5〜141.6℃であった。ベンゾイル−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(実施例B2)からの通し収率は70%であった。
【0109】
(実施例B5): アセチル−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【0110】
【化21】
ベンゾイルクロリドの替わりにアセチルクロリドを用いた以外は製造例B1と同じ手法で、式(h)で表される化合物を製造した。該化合物の融点は77.4〜77.5℃であった。
【0111】
(実施例B6): アセチル−(6−ブロモメチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【0112】
【化22】
【0113】
アセチル−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル1.05g(4.2mmol)をクロロベンゼン17ml(4L/mol)に溶解させた。これに、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン1.2g(1当量)および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.14g(20mol%)を加え、90℃で1時間攪拌した。その後、反応液を冷却し、析出物をろ過し、ろ液を約半量まで濃縮した。
得られた残渣に亜リン酸ジエチル0.58gおよびジイソプロピルエチルアミン0.54gを冷却下で加え、室温にて19時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4〔容量比〕)で原料の消失を確認後、クロロホルムで3回抽出した。抽出物を無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、ろ過し、次いで溶媒を減圧除去した。
【0114】
(実施例B7): {6−([Z]−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン−アミノオキシメチル)−2−ピリジル}カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【0115】
【化23】
【0116】
(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)−フェニル−メタノン−オキシム0.85gをクロロベンゼン6ml(1.5L/mol)に溶解させた。これに、20%水酸化ナトリウム水溶液1.75ml(2当量)、テトラブチルアンモニウムブロミド0.27g(20mol%)および実施例B6で得られた残渣をクロロベンゼン3ml(0.8L/mol)に溶解させた液を、0℃において滴下した。室温で一晩攪拌した。薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で原料の消失を確認後、クロロホルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、次いで溶媒を減圧除去した。残渣を自動分取装置(山善社製)にて精製し、アセチル−{6−([Z]−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン−アミノオキシメチル)−2−ピリジル}カルバミン酸t−ブチルエステルを収率67.4%で得た。
得られたアセチル−{6−([Z]−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン−アミノオキシメチル)−2−ピリジル}カルバミン酸t−ブチルエステル1.28g(2.835mmol)をメタノール23ml(8L/mol)に溶解させた。これに、10%水酸化ナトリウム水溶液3.51ml(3当量)を加え、室温にて15時間攪拌した。次いで、反応液を濃縮した。それを、水洗し、ヘキサン洗浄し、次いで少量のメタノールにて洗浄した。その後、風乾し、目的物を0.98g(収率84.5%)を得た。(アセチル−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(実施例B6)からの通し収率は73.8%であった。
【0117】
(実施例B8): t−ブトキシカルボニル−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【0118】
【化24】
6−メチル−ピリジン−2−イルアミン38g、ビス(t−ブトキシカルボニル)オキシド169g、トリエチルアミン18ml(2.48g)およびピリジン18ml(1.84g)をジメチルホルムアミド340mlに溶解させた。この液を徐々に加熱した。発生する二酸化炭素の状態をみながら、最終的に90℃まで液温を上げた。この温度で5時間熟成した。薄層クロマトグラフィーで原料の消失を確認後、反応液を、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液各500mlの混合液中に注ぎ加え、次いで酢酸エチルで抽出した。抽出物を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。その後、カラム精製し目的物81g(74.7%)を得た。
【0119】
(実施例B9): 2−ビス(t−ブトキシカルボニル)アミノ−6−ブロモメチル−ピリジンの製造
【0120】
【化25】
【0121】
t−ブトキシカルボニル−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸t−ブチルエステル102.8g(334mmol)に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10.95g(20mol%)およびクロロベンゼン1330mlを加えた。それに、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン95.31gを加え、2℃/分で90℃まで液温を上げ、その温度で1時間熟成した。その後、反応液を20℃まで冷却し、晶析物をろ過し、クロロベンゼンを半量留去した。 得られた残渣を10℃以下に冷却し、ジイソプロピルエチルアミン46.03g(43ml)および亜リン酸ジエチル43.08g(58ml)を加え、室温にて16.5時間熟成した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認後、3規定塩酸300mlで洗浄し、さらに飽和食塩水500mlで洗浄した。それを無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、ろ過し、2−ビス(t−ブトキシカルボニル)アミノ−6−ブロモメチル−ピリジン溶液を得た。
【0122】
(実施例B10): {6−([Z]−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン−アミノオキシメチル)−2−ピリジル}カルバミン酸t−ブチルエステルの製造
【0123】
【化26】
【0124】
実施例B9で得られた2−ビス(t−ブトキシカルボニル)アミノ−6−ブロモメチル−ピリジン溶液に(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)−フェニル−メタノン−オキシム67.7g、1規定水酸化ナトリウム水溶液667mlおよびテトラブチルアンモニウムブロミド5.4g(5mol%)を加え、室温にて2時間熟成した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認後、水500mlおよびクロロホルム500mlを添加し、抽出を行った。水層をクロロホルム500mlで抽出し、水500mlにて洗浄した。それを無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をメタノール2.5lに溶解し、それに、室温にて1規定水酸化ナトリウム水溶液1lを加えた。室温にて約20時間反応を行なった。
析出した結晶をろ過した。得られた結晶を水500mlで3回洗浄し、デシケーター中で乾燥させ、目的物のZ体を98.16g(純度98.5%、収率72.6%)で得た。一方、ろ液に水5Lを加えて、酢酸エチル1000mlで3回抽出を行った。酢酸エチル層を水1lで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をBiotage分取装置にて精製し、6.1gの目的物(E:Z体混合)を得た。合計収率は77.1%であった。
【0125】
実施例C1
【0126】
【化27】
式(n)で表される化合物5.87g(15mmol)をクロロベンゼン44mLに溶解させてなる溶液54.7gに、濃度5重量%のNaOH水溶液48.0g(60mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド0.24g(0.75mmol)、式(o)で表される化合物3.77g(純度97.0wt%,18mmol)を仕込んだ。
これを、室温で4時間撹拌し、式(n)で表わされる化合物の消失と式(p)で表される化合物の生成を高速液体クロマトグラフィーで確認した。
【0127】
該反応液を40℃に昇温し、濃度28重量%のNaOH水溶液4.29g(30mmol)を仕込んだ。40℃で2.5時間撹拌した。その後、一晩静置した。次いで40℃で3.5時間撹拌した。該反応液を分液して得られた有機相を濃度1mol/LのNaOH水溶液と水とで順次洗浄した。洗浄後の有機相をエバポレータで濃縮し、得られた残渣をメタノールで晶析し、白色結晶を6.08g(14.8mmol,収率99%)得た。
得られた白色結晶は、WO03/016303の表3の化合物番号(3)−8と同じ物性値を示すものであった。得られた白色結晶は、式(q)で表される化合物であることを確認した。
【0128】
実施例C2
【化28】
【0129】
式(n)で表される化合物0.47g(1.28mmol)をアセトニトリル5mLに溶解させ、炭酸カリウム0.2g(1.4mmol)を仕込んだ。式(o)で表される化合物0.3g(1.4mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。その後、一晩静置した。該反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して白色結晶を300mg(0.58mmol, 収率46%)得た。得られた白色結晶のNMR測定結果は下記のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3, δppm): 1.25(s, 9H), 3.87(s, 3H), 5.30(s, 2H), 7.21-7.81(m, 13H).
得られた白色結晶は、式(p)で表される化合物であることを確認した。
【0130】
実施例C3
式(n)で表される化合物を2−(t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルアミノ)−6−ブロモメチル ピリジンに替えた以外は実施例C2と同じ手法で式(r)で表される化合物を得た。式(r)で表される化合物のNMR測定結果は下記のとおりであった。
1H-NMR (CDCl3, δppm): 1.41(s, 9H), 3.77(s, 3H), 3.79(s, 3H), 5.38(s, 2H), 7.18(d, 1H), 7.26(d, 1H), 7.37(m, 2H), 7.45(m, 1H), 7.51(m, 1H), 7.78(t, 1H).
【0131】
【化29】
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明に係るピリジン環含有化合物は、工業的に有利に合成でき、且つ殺菌活性を示すテトラゾリルオキシム誘導体を製造するための中間体として有用である。また、本発明の製造方法によれば、2−置換アミノ−6−ハロメチルピリジン誘導体を高選択率かつ高収率で得ることができ、植物病害に対する防除効果に優れたテトラゾリルオキシム誘導体を工業的に有利に製造することができる。