特許第5793600号(P5793600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5793600ハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793600
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/32 20120101AFI20150928BHJP
   G03F 1/28 20120101ALI20150928BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20150928BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   G03F1/32
   G03F1/28
   H01L21/30 502P
   G03F7/20 501
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-95240(P2014-95240)
(22)【出願日】2014年5月2日
(65)【公開番号】特開2014-219676(P2014-219676A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年5月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0050931
(32)【優先日】2013年5月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112787
【氏名又は名称】ピーケーエル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】ホ・イクポム
(72)【発明者】
【氏名】チェ・サンス
【審査官】 関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−256671(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/058385(WO,A1)
【文献】 特表2004−501405(JP,A)
【文献】 特開平07−110572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20− 7/24
G03F 1/00− 1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出される光が3個の複合波長(i―line、h―line、g―line)を有する光源及びハーフトーン位相反転マスクを用いる露光方法であって、
下記の数式1及び数式2によって演算される複合波長の位相平均値(PhaseAverage)が180゜または予め定められた値になるように、ハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の位相(Pi―line、Ph―line、Pg―line)、光源の強さ(Ii―line、Ih―line、Ig―line)、ハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の透過率(Ti―line、Th―line、Tg―line)及びフォトレジストの吸収率(Ai―line、Ah―line、Ag―line)のうち一つ以上を調節する過程を含み、
下記の数式3によってターゲットの透過率を調節することを特徴とするハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法。
【数1】
【数2】
【数3】
【請求項2】
前記3個の複合波長(i―line、h―line、g―line)に対する前記ハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の位相(Pi―line、Ph―line、Pg―line)のそれぞれは、下記の数式によって定められることを特徴とする、請求項1に記載のハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法。
【数4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体や平板ディスプレイの製造時に含まれる露光技術に関し、より詳細には、ハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、平板ディスプレイまたは半導体の製造時には、各種パターンを形成するためにフォトマスクを用いた露光工程を含む。
【0003】
フォトマスクは、代表的に2進強度マスク(Binary Intensity Mask;BIM)と位相反転マスク(Phase Shift Mask;PSM)とに区分することができる。
【0004】
このうち位相反転マスクの場合は、完全に光を遮断する遮断領域と光を100%透過する透過領域の位相を調節したり、または位相と透過率を調節することによって、露光工程で必要な工程マージンである解像度及び焦点深度を向上させることができる。このとき、一つの薄膜で位相と透過率を調節する位相反転マスクをハーフトーン位相反転マスク(Halftone Phase Shift Mask)という。
【0005】
近来、平板ディスプレイの製作工程では、高画質製品に対する技術開発が要求されながら、パネル上に必要な解像度及び焦点深度に対する改善を必要としている。
【0006】
ハーフトーン位相反転マスクの製作及び露光工程において、平板ディスプレイパネル用ハーフトーン位相反転マスクには、半導体製造用ハーフトーン位相反転マスクの場合とは異なって、下記のような特性が要求される。
【0007】
半導体製造用露光工程で使用される光の波長は、ArF(193nm)、KrF(248nm)などの単一波長である。その一方、平板ディスプレイ用の場合は、大面積を迅速に露光しなければならないので、光源から出るi―line(365nm)、h―line(405nm)、g―line(436nm)の全ての波長を同時に使用しなければならない。また、ハーフトーン位相反転マスクは、単一薄膜に具現され、位相を180゜にしなければならない。
【0008】
一方、ハーフトーン位相反転マスクの場合、透過率値が高いほど位相反転効果は増加するが、パターンの周辺部に非正常的に光の強さが増加するサイドローブ(Side Lobe)効果も共に増加する。サイドローブによって所望しないパターンが形成され得るので、位相反転効果とサイドローブ効果を折衷しながら透過率を決定する。このような点を考慮した上で、現在は約6%の透過率を使用している。
【0009】
多くの波長の光を使用する場合、光の全体的な位相平均値を180゜に具現しにくい。すなわち、位相は波長に反比例するので、i―lineに180゜の位相を具現すると、h―line、g―lineでは180゜より低い値の位相を得るしかない。そのため、複合波長(i―line、h―line、g―line)の光を使用する場合、位相反転マスクで具現される光の全体的な位相平均値は180゜より低くなるしかない。
【0010】
図1は、露光工程でフォーカス値の変化に伴う線幅(CD)またはコントラスト値の変化を示した図である。
【0011】
図1を参照すると、位相反転マスクで具現される光の全体的な位相平均値が180゜である場合、デフォーカス(Defocus)が発生すると、線幅またはコントラスト値が対称的に変わり得る。
【0012】
その一方、位相反転マスクで具現される光の全体的な位相平均値が180゜でない場合、全体的に悪化しながら最上の性能を示す地点、すなわち、ベストフォーカスが変化する。光の全体的な位相平均値が180゜より小さい場合は、+Focus側に動く一方、光の全体的な位相平均値が180゜より大きい場合は−Focus側に動く。ベストフォーカスの変更によって得られる領域(a1、b2)と失う領域(a2、b1)のサイズを比較すると、常に失う領域のサイズの方が大きい(a1<b1、a2>b2)。したがって、光の全体的な位相平均値が180゜でない状態で位相反転マスクが製作されると、DOF(Depth Of Focus)マージンが少なくなり、解像度の向上効果も少なくなるという問題が発生する。
【0013】
本発明と関連する背景技術としては、大韓民国公開特許公報第10―2001―0075777号(2001.08.11.公開)があり、前記文献には、ハーフトーン位相反転マスク及びその製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10―2001―0075777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一つの目的は、平板ディスプレイ製造過程のようにハーフトーン位相反転マスクを適用する露光工程で複合波長を有する光を使用するときに発生し得る問題を解決し、最適の位相及び透過率を提供することによって、露光工程での解像度及び焦点深度を向上させ得るハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、複合波長露光工程に適用できるように位相平均値が補正されたハーフトーン位相反転マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記一つの目的を達成するための本発明の実施例に係るハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法は、放出される光が3個の複合波長(i―line、h―line、g―line)を有する光源及びハーフトーン位相反転マスクを用いる露光方法であって、下記の数式1及び数式2によって演算される複合波長の位相平均値(PhaseAverage)が180゜または予め定められた値になるように、ハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の位相(Pi―line、Ph―line、Pg―line)、光源の強さ(Ii―line、Ih―line、Ig―line)、ハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の透過率(Ti―line、Th―line、Tg―line)及びフォトレジストの吸収率(Ai―line、Ah―line、Ag―line)のうち一つ以上を調節する過程を含み、下記の数式3によってターゲットの透過率を調節することを特徴とする。
【0018】
【数1】
【0019】
【数2】
【数3】
【0020】
このとき、前記3個の複合波長(i―line、h―line、g―line)に対する前記ハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の位相(Pi―line、Ph―line、Pg―line)のそれぞれは、下記の数式によって定めることができる。
【0021】
【数4】
【0024】
前記他の目的を達成するための本発明の実施例に係るハーフトーン位相反転マスクは、光が透過される透過領域及び光の透過率が調節される位相反転領域を備える活性領域と、前記活性領域の外側を取り囲み、光が遮断される遮断領域を備える非活性領域とを有する透明基板;前記透明基板上の前記遮断領域に形成され、入射光を遮断する光遮断膜;及び前記透明基板上の前記位相反転領域に形成され、入射光の透過率を調節する位相反転膜;を含み、下記の数式1及び数式2によって演算される複合波長の位相平均値(PhaseAverage)が180゜または予め定められた値になるように前記位相反転膜の位相及び前記位相反転膜の透過率のうち一つ以上が調節されたことを特徴とする。
【0025】
【数1】
【0026】
【数2】
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法によると、ハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光工程時、波長の平均位相を開発された式1ないし式3によって180゜に正確に制御することができる。
【0028】
また、本発明に係るハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法では、開発された式4によってターゲットの透過率を所望の目標値に容易に調節することができる。
【0029】
これによって、ハーフトーン位相反転マスクのための露光工程時に最適の位相を提供することができ、その結果、露光工程での解像度及び焦点深度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】位相誤差が発生したときのベストフォーカスの変化を示した図である。
図2】位相反転膜の波長別透過率特性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、後述する実施例及び添付の図面を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下の各実施例に限定されるものではなく、他の多様な形態に具現することができる。以下の各実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものに過ぎなく、本発明は、請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。
【0032】
以下、本発明に係るハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法及びこれに用いられるハーフトーン位相反転マスクについて詳細に説明する。
【0033】
本発明では、複合波長を使用する露光工程の場合に、上述したように光の全体的な位相平均値を180゜にするために、以下の3つの要素を変数として考慮しており、その内容は次の通りである。
【0034】
第一に、光源から出る光の3つの波長が存在し、各波長の強さが異なる。このときの各波長の強さのそれぞれをIi―line、Ih―line、Ig―lineと定義した。
【0035】
第二に、位相反転を具現する薄膜は一つでなければならない。波長別に薄膜を別途に具現する位相反転マスクの具現が不可能である。そのため、一つの位相反転薄膜で具現される位相が異なる。各波長別に具現される位相をPi―line、Ph―line、Pg―lineと定義した。
【0036】
第三に、フォトレジストが各波長別に反応する速度、すなわち、各波長に対するフォトレジストの吸収率が異なる。各波長別フォトレジストの吸収率をAi―line、Ah―line、Ag―lineと定義した。
【0037】
透過率の場合、一つの位相反転薄膜で複合波長(i―line、h―line、g―line)を使用する場合、一般に以下のような特性を示す。
【0038】
図2は、波長に伴う透過率の変化を示した図である。一般に薄膜で波長が長くなると、透過率が増加する。例えば、i―lineにターゲット透過率を設定する場合、全体的な透過率値はターゲット透過率より高い値を示す。中間波長h―lineにターゲット透過率を設定した場合も、位相反転薄膜の透過率の平均値は設定された値にし得るが、光源の波長別強さ及びフォトレジストの吸収率が異なるので、露光工程で本当に必要な透過率は設定された値から逸脱することになる。具現される各波長に対する位相反転膜の透過率をTi―line、Th―line、Tg―lineと定義した。
【0039】
本発明の発明者等は、長い研究の結果、複合波長を使用した場合、平均位相が下記の数式1及び数式2によることを見出した。
【0040】
【数1】
【0041】
【数2】
【0042】
位相反転膜で各波長別に具現される位相Pi―line、Ph―line、Pg―lineのそれぞれは、以下の数式3で表現することができ、実測も可能である。
【0043】
【数3】
【0044】
前記数式3において、定数a、bは実測値を通じて得ることができる。
【0045】
上述したように、複合波長の平均位相が180゜になると、図1のようなベストフォーカスの変化が発生しない。
【0046】
既存の場合は、ターゲット波長での位相を180゜にする目標を設定していたが、本発明は、複合波長の平均位相を180゜に設定し、フォーカスの変化が発生することを防止することを特徴とする。位相平均値が180゜にならないと、ターゲット波長の位相を加減することによって複合波長の位相を180゜にすることができ、このとき、数式1と数式2を使用する。
【0047】
位相反転マスクの他の重要な要因である透過率は、既存の場合、ターゲット波長で特定の値に設定していたが、本発明では、以下の数式4によって計算された値を所望の透過率値にすることを特徴とする。
【0048】
【数4】
【0049】
数式1〜4によると、例えば、次のように適用することができる。
【0050】
例えば、光源の強さ(Ii―line、Ih―line、Ig―line)及びフォトレジストの吸収率(Ai―line、Ah―line、Ag―line)が定められている場合、ハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の位相(Pi―line、Ph―line、Pg―line)あるいはハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の透過率(Ti―line、Th―line、Tg―line)を調節することによって、複合波長露光工程での複合波長の平均位相を180゜に調節することができる。
【0051】
この場合、本発明に適用されるハーフトーン位相反転マスクは、光が透過される透過領域及び光の透過率が調節される位相反転領域を備える活性領域と、前記活性領域の外側を取り囲み、光が遮断される遮断領域を備える非活性領域とを有する透明基板;前記透明基板上の前記遮断領域に形成され、入射光を遮断する光遮断膜;及び前記透明基板上の前記位相反転領域に形成され、入射光の透過率を調節する位相反転膜;を含むことができ、複合波長の位相平均値(PhaseAverage)が180゜または予め定められた値になるように位相反転膜の位相及び透過率のうち一つ以上を調節することができる。
【0052】
他の方法において、ハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の位相(Pi―line、Ph―line、Pg―line)あるいはハーフトーン位相反転マスクに形成された位相反転膜の透過率(Ti―line、Th―line、Tg―line)が定められている場合、光源の強さ(Ii―line、Ih―line、Ig―line)またはフォトレジストの吸収率(Ai―line、Ah―line、Ag―line)を調節することによって、複合波長露光工程での複合波長の平均位相を180゜に調節することができる。
【0053】
本発明に係るハーフトーン位相反転マスクを用いた複合波長露光方法では、入射光の波長がi―line、h―line及びg―lineである複合波長で数式1と数式2を使用して複合波長の平均位相値を所望の値にし、露光工程で位相値の誤差によって発生するフォーカスの変化を減少させたり、0で使用可能な焦点深度を最大限にし、既存に使用していたBIM(Binary Intensity Mask)と同一のベストフォーカスを適用することができ、工程単純化が可能である。FPD領域の場合、一つのパネルに具現可能な露光ショットの個数がウエハーに比べて非常に少ないので、マスク別にベストフォーカスを見出すことがほぼ不可能である。そのため、ハーフトーン位相反転マスクでの位相誤差を根本的になくすことが最も良い解決方法である。
【0054】
ハーフトーン位相反転マスクで他の重要な項目である透過率を決定するときに数式3を適用することによって、透過率の平均値が高いときに発生する問題(サイドローブ効果)を予防することができる。
【0055】
以上では、本発明の各実施例を中心に説明したが、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する技術者の水準で多様な変更や変形を行うことができる。このような変更と変形は、本発明が提供する技術思想の範囲を逸脱しない限り、本発明に属するものであると言える。したがって、本発明の権利範囲は、以下で記載する特許請求の範囲によって判断すべきであろう。
図1
図2