(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光センサ移動手段が、光センサを支持するための第一支持体と、第一支持体をメダル通路に対して回転駆動するための第一駆動手段とを備えた請求項3〜7いずれか1つに記載のメダル検出装置。
光センサ移動手段が、第一駆動手段を支持するための第二支持体と、第二支持体をメダル通路に対して回転駆動するための第二駆動手段とをさらに備えた請求項8又は9記載のメダル検出装置。
【背景技術】
【0002】
一般的な回胴式遊技機では、メダルのクレジット枚数が所定枚数以上となった状態でスタートレバーが操作されると、その外周面に複数の図柄が表された複数本のリールが一斉に回転を開始し、複数のストップボタンがそれぞれ操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの回転が停止していき、全てのリールが停止したときにリール窓に表示される図柄の組み合わせが所定の役に対応したものとなっていた場合(入賞した場合)に、その役に応じた枚数のメダルが払い出されるようになっている。メダルのクレジット枚数は、メダルのクレジット枚数が上限値(通常、50枚)に達していないときに、遊技機筺体の前扉に設けられたメダル投入口にメダルが投入される、又は、入賞によってメダルが払い出されると増加するようになっている。この種の回胴式遊技機において、メダル投入口に正規に投入されたメダルは、遊技機筺体の内部に設けられたメダル通路を通過してメダルホッパーに回収されるようになっており、メダル通路に設けられた光センサによってその枚数がカウントされるようになっていることが多い。
【0003】
しかし、上記の回胴式遊技機等、メダルの投入枚数を光センサによってカウントするタイプの遊技機においては、実際にはメダル投入口にメダルが投入されていないにもかかわらず、メダルが投入されたと判断されるように光センサに誤検知させることにより、メダルのクレジット枚数を増加させて遊技を行う不正行為が問題となっている。具体的には、その先端部に発光素子が取り付けられた薄板からなる不正器具(以下、「発光式不正挿入具」と呼ぶ)をメダル投入口から挿し込んで、その発光素子を光センサの受光部に重ねた状態で点滅させることで、その点滅回数に応じた枚数のメダルが投入されたと誤検知させる不正行為が知られている。このような発光式不正挿入具を用いた不正行為が横行すれば、その遊技機を設置している店舗は、大きな損害を被ることから、各遊技機メーカは、その対策を余儀なくされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、メダル通路におけるメダルの通過方向に所定間隔を隔てた2箇所に、メダルの通過を検知する光センサを設けるとともに、メダル通路における一の光センサの発光部が配される側に他の光センサの受光部を配し、メダル通路における一の光センサの受光部が配される側に他の光センサの発光部を配した回胴式遊技機が提案されている(同文献の請求項1を参照)。特許文献1には、一の光センサの発光部と他の光センサの発光部とから光が逆向きに出射されるようにしたことにより、発光式不正挿入具を用いて光センサに誤検知させようとすると、発光式不正挿入具の薄板の両面側に発光素子を取り付ける必要が生じ、発光式不正挿入具の先端部の厚みが増大するので、発光式不正挿入具をメダル通路に挿し込むことができなくなる旨も記載されている(同文献の段落0008を参照)。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された回胴式遊技機においても、発光式不正挿入具の形態に変更を施せば、それを用いた不正行為が可能となるおそれがあった。すなわち、
図13に示すように、発光式不正挿入具50の薄板51を、一の発光素子52を取り付けた部分と他の発光素子53を取り付けた部分との間で折り曲げることにより、メダル通路60への発光式不正挿入具50の侵入が可能となってしまう。また、
図14に示すように、発光式不正挿入具50の薄板51に、一の発光素子52と他の発光素子53とを埋め込んだ状態で取り付けることによっても、メダル通路60への発光式不正挿入具50の侵入が可能となってしまう。さらに、技術の進歩により、将来、現在よりも薄型の発光素子が開発された際には、
図13や
図14に示すような変更を施さなくても、メダル通路への発光式挿入具の侵入が可能となる可能性もある。このため、特許文献1に記載された回胴式遊技機は、必ずしも、発光式挿入具を用いた不正行為を防止できるものとはなっていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、発光式不正挿入具を用いた不正行為を防止することのできるメダル検出装置を提供するものである。また、このメダル検出装置を用いた遊技機を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
メダルを通過させるためのメダル通路と、
メダル通路に向かって光を出射するための発光部、及び、発光部から出射された光を発光部とはメダル通路を挟んで反対側で受けるための受光部を有する光センサと、
を備え、
受光部へ入射する光が遮断されたことに基づいて、メダル通路を通過するメダルの検出を行うメダル検出装置であって、
光センサをメダル通路に対して移動させることにより、発光部と受光部とを結ぶ光軸のメダル通路に対する向きを変化させるための光センサ移動手段が設けられたことを特徴とするメダル検出装置
を提供することによって解決される。
【0009】
このように、発光部と受光部とを結ぶ光軸(以下、「光センサの光軸」という)のメダル通路に対する向きが変化するようにしたことによって、発光式不正挿入具を用いて不正行為を行うとする者が、メダル検出装置における光センサの光軸がどの向きで設定されているのかを認識することができなくなる。このため、発光式不正挿入具を用いて不正行為を行うとする者は、発光式不正挿入具の先端部に取り付ける発光素子の向きを当てずっぽうで設定するか、発光式不正挿入具の先端部から複数方向に光を出射できるように、発光式不正挿入具の先端部に複数の発光素子を取り付けるくらいしか方法が無くなる。光センサは、誤検知を防止するため、光センサの受光部は、反応する光の入射方向が狭く設定されていることが多く、このような光センサに誤検知をさせるためには、受光部に真っ直ぐ光が入射するように、発光式不正挿入具の発光素子を、光センサの受光部に正確に向ける必要があるからである。
【0010】
この点、発光素子の向きを当てずっぽうで設定する場合には、メダル検出装置の光センサが反応する光軸の向きを見つけるまでの間に長時間を要し、その不正行為が発見されるリスクが高まる。加えて、メダル検出装置における光センサの光軸の向きによっては、発光式不正挿入具をメダル通路に挿入可能な範囲において、不正行為を行うとする者が発光式不正挿入具の先端部に取り付ける発光素子の向きをどのように変化させても光センサが反応しない可能性もある。よって、発光式不正挿入具を用いて不正行為を行おうとする者の意欲を著しく低下させることができる。
【0011】
一方、発光式不正挿入具の先端部に複数の発光素子を取り付けると、発光式挿入具の先端部が厚くなってしまい、発光式挿入具をメダル通路に挿入すること自体が不可能となる。また仮に、本発明のメダル検出装置において、光センサの光軸の向きを順方向と逆方向の2通りでしか切り替えることができない単純な構造を採用した場合であっても、その2通りの光軸のいずれにも対応できるようにするためには、
図15に示すように、発光式不正挿入具50の薄板51における同じ箇所の両面に発光素子52,53を逆向きで取り付ける必要があるため、発光式不正挿入具50をメダル通路60に挿入できなくなる。このとき、特許文献1に記載された回胴式遊技機においては対応可能だった薄板51を折り曲げる方法(
図13を参照)は、薄板51における同じ場所に発光素子52,53を設ける必要がある本発明のメダル検出装置では採用することができない。また発光素子52,53を薄板51に埋め込む方法(
図14を参照)も、薄板51を両側から彫り込む必要があり、その部分の薄板51が著しく薄くなるため、採用が困難である。
【0012】
本発明のメダル検出装置において、光センサの光軸のメダル通路に対する向きは、手動によって変化させるようにしてもよいが、自動的に変化するようにすると好ましい。これにより、仮に、発光式不正挿入具を用いて不正行為を試みる者が光センサに誤検知をさせることに成功したとしても、暫くすると光センサが誤検知しなくなるようにすることが可能になり、不正行為による被害を最小限に抑えることが可能になる。光センサの光軸のメダル通路に対する向きは、常に変化するようにしてもよいが、この場合には、ある一定の時間間隔で光センサに誤検知させることが可能になるおそれもある。このため、光センサの光軸のメダル通路に対する向きは、所定契機が到来すると変化するようにすると好ましい。光センサの光軸のメダル通路に対する向きを変化させる契機は、メダル検出装置の用途等によっても異なるが、後述するように、メダル検出装置を回胴式遊技機で採用する場合には、スタートレバーやストップボタンが操作されたタイミング、メダルが払い出されるタイミング、メダルのクレジット枚数が所定枚数に達したタイミング等が挙げられる。このように、光センサの光軸のメダル通路に対する向きが変化する契機を、人による操作や遊技の進行に応じたものとすることにより、不規則なタイミングで生じさせることが可能になる。
【0013】
また、本発明のメダル検出装置において、光センサ移動手段は、光センサの光軸の向きを少なくとも2通りで変化させることが可能なものであれば、光センサの移動態様を特に限定されるものではないが、光センサをメダル通路に対して回転移動させるものであると好ましい。これにより、光センサの光軸の向きを180°反転させるという単純な変化だけでなく、光センサの光軸の向きを360°を上限とした特定の範囲で回転移動させることが可能になり、発光式不正挿入具を用いた不正行為をより困難にすることが可能になる。光センサを回転移動させる場合における光センサ移動手段は、光センサをメダル通路に対して所定角度(例えば90°)ずつ相対的に回転移動させるようにすることもできる。
【0014】
光センサをメダル通路に対して回転移動させる構成を採用する場合、その回転軸の向きは、特に限定されない。当該構成を採用する場合の光センサ移動手段としては、(1)光センサをメダル通路のメダル通過方向に平行な軸を回転軸として回転移動させるものや、(2)光センサをメダル通路のメダル通過方向に傾斜(直交を含む)した軸を回転軸として回転移動させるものや、(3)光センサを互いに非平行な2本以上の軸を回転軸として回転移動させるもの等が例示される。上記(3)の場合には、光センサの光軸の向きを二次元的な範囲(平面角の範囲)だけでなく、三次元的な範囲(立体角の範囲)で設定することで、光センサの光軸の向きをより複雑に変化させることも可能になる。
【0015】
光センサ移動手段は、その具体的な構成を特に限定されるものではないが、例えば、光センサを支持するための第一支持体と、第一支持体をメダル通路に対して回転駆動するための第一駆動手段とを備えたものとすることができる。この場合において、第一支持体や第一駆動手段の具体的な構成は、特に限定されないが、第一支持体を、その内側にメダル通路が挿通した状態で配される環状体によって形成し、当該環状体における対向する箇所に発光部及び受光部を支持させるとともに、第一駆動手段を、第一支持体の前記環状体に沿って設けられたリングモータ(超音波モータ)とし、第一支持体を前記環状体の周回方向に回転駆動するようにすると好ましい。これにより、第一支持体に対して第一駆動手段をコンパクトに取り付けることが可能になる。この構成は、後述するように、光センサ移動手段を、第一支持体及び第一駆動手段に加えて、第二支持体及び第二駆動手段を備えたものとする場合に特に好適に採用することができる。
【0016】
光センサ移動手段を第一支持体と第一駆動手段とで構成する場合においては、光センサ移動手段を、第一支持体及び第一駆動手段に加えて、第一駆動手段を支持するための第二支持体と、第二支持体をメダル通路に対して回転駆動するための第二駆動手段とをさらに備えたものとすることも好ましい。これにより、光センサを互いに非平行な2本の軸を回転軸として回転移動させることが可能になる。第二支持体や第二駆動手段の具体的な構成は、特に限定されないが、例えば、第二支持体を、第一駆動手段の外周部から外方に突出して設けられた軸体によって形成し、第二駆動手段を、第二支持体の前記軸体をその軸心回りに回転させるモータとすることができる。
【0017】
以上で述べた本発明のメダル検出装置は、その用途を特に限定されるものではなく、自動販売機や両替機等においても採用することができるが、回胴式遊技機等、メダルを遊技媒体とする遊技機において好適に採用することができる。この種の遊技機は、発光式不正挿入具を用いた不正行為の対象となりやすく、本発明のメダル検出装置を用いる意義が高まるからである。本発明のメダル検出装置は、メダルを遊技媒体とする遊技機のメダル投入口とメダルホッパーとを結ぶメダル通路のいずれかの箇所に設けることができ、1本のメダル通路に対して複数箇所に設けることもできる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によって、発光式不正挿入具を用いた不正行為を防止することのできるメダル検出装置を提供することが可能になる。また、このメダル検出装置を用いた遊技機を提供することも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のメダル検出装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、本発明のメダル検出装置を回胴式遊技機で使用した場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、自動販売機や両替機等、メダルを検知するための機構を備えた各種装置で採用することができる。
【0021】
1.回胴式遊技機
図1は、本発明に係るメダル検出装置を採用した回胴式遊技機100の前面を示した正面図である。
図2は、
図1の回胴式遊技機100における前扉を開いた状態を示した斜視図である。本実施態様の回胴式遊技機100は、
図1に示すように、メダルを投入するためのメダル投入口101と、メダルを払い出すためのメダル払出口102と、その外周面に図柄が描かれた3本のリール103,104,105と、映像演出を行うための液晶ディスプレイ106と、照明演出を行うための発光ランプ(図示省略)と、音声演出を行うためのスピ−カー107等を備えたものとなっており、操作部として、1遊技当たりの最大枚数(通常3枚)のメダルをベットするためのマックスベットボタン108と、ベットするメダルを1枚ずつ増加するためのシングルベットボタン109と、リール103,104,105の回転を開始するためのスタートレバー110と、リール103,104,105の回転をそれぞれ停止するための3個のストップボタン111,112,113と、演出を切り替えるためのチャンスボタン114と、クレジットされたメダルを払い戻すための払戻しボタン115等を有するものとなっている。メダルのクレジット枚数は、遊技機筺体の前扉に設けられたクレジット表示部(図示省略)に表示されるようになっている。
【0022】
この回胴式遊技機においては、メダルのクレジット枚数が所定枚数以上となった状態でスタートレバー110が操作されると、リール103,104,105が一斉に回転を開始し、ストップボタン111,112,113がそれぞれ操作されると、操作されたストップボタン111,112,113に対応するリール103,104,105の回転が停止していき、全てのリール103,104,105が停止したときにリール窓100aの有効ライン上に表示される図柄の組み合わせが所定の役に対応したものとなっていた場合に、その役に応じた枚数のメダルが払い出され、メダルのクレジット枚数が上限値に達しているときには、メダル払出口102からメダルが払い出されるようになっている。メダルのクレジット枚数は、メダルのクレジット枚数が上限値に達していないときに、メダル投入口101にメダルが投入される、又は、入賞によってメダルが払い出されると増加するようになっている。
【0023】
メダル投入口101に投入されたメダルは、
図2に示すように、前扉の背面側に設けられたメダル通路11を介して、遊技機筺体の内側に設けられたメダルホッパー120に回収されるようになっている。本発明のメダル検出装置は、このメダル通路11のいずれかの箇所に設けることができ、メダル通路11の上部に設けられたメダルセレクタ130にも設けることができる。メダルセレクタ130は、メダル投入口101に投入されたメダルが正規のメダルでなかった場合、又は、クレジット枚数が上限値に達しているにもかかわらずメダル投入口101にメダルが投入された場合に、その投入されたメダルをメダル通路11ではなくメダルシュート140へ振分けるためのものとなっている。メダルシュート140へ振り分けられたメダルは、メダル払出口102(
図1)から返却される。
【0024】
2.メダル検出装置
メダル検出装置について、より具体的に説明する。
図3は、後述する第一支持体13a及び第二支持体13cの双方が基準位置(後述する第一回動角度θ及び第二回動角度φの双方が0°となる位置)にある状態のメダル検出装置10を示した斜視図である。
図4は、
図3に示す基準位置から、第一支持体13aのみを回動した(第一回動角度θを+45°として第二回動角度φを0°のままとした)状態のメダル検出装置10を示した斜視図である。
図5は、
図4に示す状態から、第二支持体13cのみを回動した(第一回動角度θを+45°のままとして第二回動角度φを−30°とした)状態のメダル検出装置10を示した斜視図である。
図6、
図7及び
図8は、それぞれ、
図3、
図4及び
図5のメダル検出装置10を、メダル通路11を取り除いた状態で示した斜視図である。
図9及び
図10は、それぞれ、
図3及び
図4に示す状態のメダル検出装置10におけるメダル通路11に不正挿入具30を挿入し、y軸に垂直な平面で切断した状態を示した一部断面図である。
図9及び
図10においては、図示の便宜上、メダル通路11の隙間を実際のものより広く表している。本実施態様のメダル検出装置10は、
図3〜5に示すように、メダル通路11と光センサ12と光センサ移動手段13とメダル通路支持体14とを備えたものとなっている。
【0025】
2.1 メダル通路
メダル通路11は、
図3〜5に示すように、メダル20を通過させるためのものとなっている。本実施態様のメダル検出装置10においては、メダル通路11を、メダル通路本体11aとメダル通路蓋体11bとで構成している。メダル通路本体11aは、その四隅部から突出して設けられた突片にネジを挿入することにより、メダル通路支持体14に対して固定されている。メダル通路本体11aは、底壁部11a
1と底壁部11a
1の両側縁から片側に突出する一対の側壁部11a
2とで構成された断面溝型の部材によって形成されており、その溝内でメダル20を通過させることができるものとなっている。一方、メダル通路蓋体11bは、平板状の部材によって形成されており、メダル通路本体11aの溝内を通過するメダル20が飛び出ないように、メダル通路本体11aに蓋をするための部材となっている。
【0026】
メダル通路11は、メダル20を脱落させることなく通過させることができ、且つ、光センサ12の発光部12aから出射されて受光部12bで受光される光を遮らないものであれば、その素材等を特に限定されない。例えば、メダル通路11におけるメダル通路本体11a及びメダル通路蓋体11bの双方を、透光性を有する部材(例えば透明な部材)によって形成することもできる。しかし、この場合には、光センサ12の発光部12aから出射された光がメダル通路11で乱反射又は屈折しやすくなり、メダル検出装置10内における意図しない範囲に光が洩れ出て、メダル検出装置10やその周辺の他の機器が誤作動するおそれがある。このため、本実施態様のメダル検出装置10においては、メダル通路蓋体11を透明な部材によって形成しながらも、メダル通路本体11aを、遮光性を有し、且つ、光が乱反射又は屈折しにくい黒系色の部材によって形成している。ただし、メダル通路本体11aにおける底壁部11a
1の一部区画(光を透過させることを想定した区画)には、光センサ12の発光部12aから出射された光を反対側へ透過させるための透光窓11a
3を設けている。透光窓11a
3は、メダル20が通過できない寸法形状で形成されている。これにより、メダル通路本体11aにおける光の乱反射や屈折を抑えながらも、メダル通路本体11aで光を通過させることができるようにしている。メダル通路蓋体11bにおける光の乱反射又は屈折も抑えたい場合には、メダル通路蓋体11bも、遮光性を有する部材によって形成し、メダル通路本体11aにおける採光窓11a
3に重なる箇所に、採光窓を設けるとよい。
【0027】
メダル通路11の内側横断幅(メダル通路本体11aにおける一対の側壁部11a
2の内側の間隔のこと。以下、「内側横断幅W
1」と表記する)は、メダル20の直径よりも大きければ特に限定されない。しかし、内側横断幅W
1を狭くしすぎると、メダル20がメダル通路11で詰まりやすくなる。このため、内側横断幅W
1は、メダル20の直径(Rとする)に対する内側横断幅W
1の比W
1/Rが1.01以上となる範囲で設定すると好ましい。比W
1/Rは、1.03以上であるとより好ましく、1.05以上であるとさらに好ましい。一方、内側横断幅W
1を広くしすぎると、メダル検出装置10が大型化してしまう。このため、内側横断幅W
1は、比W
1/Rが1.5以下となる範囲で設定すると好ましい。比W
1/Rは、1.4以下であるとより好ましく、1.3以下であるとさらに好ましい。
【0028】
また、メダル通路11の内側垂直幅(メダル通路本体11aにおける底壁部11a
1の内面とメダル通路蓋体11bの内面との間隔のこと。以下、「内側垂直幅W
2」と表記する)は、メダル20の厚さよりも大きければ特に限定されない。しかし、内側垂直幅W
2を狭くしすぎると、メダル20がメダル通路11で詰まりやすくなる。このため、内側垂直幅W
2は、メダル20の厚さ(Tとする)に対するメダル通路11の内側垂直幅W
2の比W
2/Tが1.1以上となる範囲で設定すると好ましい。比W
2/Tは、1.2以上であるとより好ましく、1.3以上であるとさらに好ましい。一方、内側垂直幅W
2が広すぎると、メダル検出装置10が大型化するだけでなく、メダル通路11内を通過するメダル20が底壁部11a
1に対して大きく傾いてしまい、メダル20を所望の姿勢で検知しにくくなるおそれがある。このため、内側垂直幅W
2は、比W
2/Tが5以下となる範囲で設定すると好ましい。比W
2/Tは、4以下であるとより好ましく、3以下であるとさらに好ましい。
【0029】
2.2 光センサ
光センサ12は、
図3〜5に示すように、メダル通路11を通過するメダル20に向かって光を出射するための発光部12aと、発光部12aから出射された光を発光部12aとはメダル通路11を挟んで反対側で受けるための受光部12bとで構成されている。光センサ12における発光部12a及び受光部12bは、環状体からなる第一支持体13aにおける対向する箇所に向かい合った状態で固定されている。この光センサ12は、メダル通路11を流れるメダル20が透光窓11a
3を塞いで、光センサ12の発光部12aから出射した光が受光部12bで受光されなくなることにより、メダル20の通過を検知するものとなっている。光センサ12は、発光部12a及び受光部12bを備えた各種の透過型光電スイッチを使用することができ、通常、赤外発光ダイオードや赤色発光ダイオード等の発光ダイオードを光源とするものが用いられる。
【0030】
ただし、受光部12bの指向角が大きい光電スイッチを光センサ12として採用すると、光センサ12の光軸の向きを変化させたにもかかわらず、不正挿入具の発光部から出射された光が受光部12bで受光されるリスクが高まる。このため、光センサ12は、受光部12bの指向角が60°以下のものを採用すると好ましく、30°以下のものを採用するとより好ましく、10°以下のものを採用するとさらに好ましい。受光部12bの指向角の下限は、0°に近ければ近いほど好ましいが、発光ダイオードを光源とする光電スイッチで現在市販されているものであれば、せいぜい5〜10°程度までである。光センサ12の発光部12aの指向角は、通常、受光部12bの指向角と同程度とされる。
【0031】
また、受光部12bの受光量閾値を低く設定すると、やはり、光センサ12の光軸の向きを変化させたにもかかわらず、不正挿入具の発光部から出射された光が受光部12bで受光されるリスクが高まる。このため、光センサ12は、受光部12bの受光量閾値を高く設定できるものを採用すると好ましい。具体的には、消費電力(電流)が20mA以上の光電スイッチを光センサ12として採用すると好ましい。消費電力が大きな光電スイッチは、消費電力が小さな光電スイッチと比較して、受光部12bの受光量閾値が高く設定される傾向にあるからである。光センサ12として使用する光電スイッチの消費電力(電流)は、30mA以上であるとより好ましく、40mA以上であるとさらに好ましい。光センサ12として使用する光電スイッチの消費電力(電流)の上限は、特に限定されないが、発光ダイオードを光源とする光電スイッチで現在市販されているものであれば、せいぜい100〜200mA程度までである。
【0032】
2.3 光センサ移動手段
光センサ移動手段13は、
図3〜5に示すように、光センサ12の発光部12a及び受光部12bをメダル通路12に対して回転移動させることにより、発光部12aと受光部12bとを結ぶ光軸(光軸ベクトルA)のメダル通路11に対する向きを変化させるためのものとなっている。光センサ移動手段13は、光軸ベクトルAの向きを少なくとも2通りで変化させることが可能なものであればよいが、本実施態様のメダル検出装置10においては、光センサ12の発光部12a及び受光部12bを互いに直交する2本の軸(第一回転軸L及び第二回転軸M)を回転軸として回転移動させることにより、光軸ベクトルAの向きを三次元的な範囲(立体角の範囲)で変化させ、光軸ベクトルAの向きを多様かつ複雑に変化させることが可能なものとなっている。
【0033】
具体的には、光センサ移動手段13を、光センサ12の発光部12a及び受光部12bを支持するための第一支持体13aと、第一支持体13aをメダル通路11に対して回転駆動するための第一駆動手段13bと、第一駆動手段13bを支持するための第二支持体13cと、第二支持体13cをメダル通路11に対して回転駆動するための第二駆動手段13dとで構成している。第一支持体13aは、第一回転軸Lを回転軸として回動するようになっており、第二支持体13cは、第二回転軸Mを回転軸として回動するようになっている。第一支持体13aを回転駆動する第一駆動手段13bは、第二支持体13cによって支持されているため、第二支持体13cが第二回転軸M回りに回転すると、第一駆動手段13bも、第二回転軸M回りに回転するようになっている。このため、第一回転軸Lは、第二支持体13cの回転に応じてその向きが変化するようになっている。これに対し、第二回転軸Mは、第一支持体13aや第二支持体13cが回転しても、その向きは常に不変となっている(
図3〜5における第二回転軸M
0を参照)。
【0034】
本実施態様のメダル検出装置10において、第二回動軸Mは、メダル通路11の横断方向(z軸方向)に対して平行としているが、メダル通路11の横断方向(z軸方向)に対して傾斜させてもよい。また、第一回動軸Lは、第二回動軸Mに対して常に直交した状態を維持するようになっているが、第二支持体13cを非直線状に曲げて形成すること等により、第一回動軸Lを、第二回動軸Mに対して傾斜させてもよい。第一回動軸L及び第二回動軸Mは、互いに非平行であればよいが、第一回動軸Lと第二回動軸Mとが平行に近いと、2本の回動軸L,Mで光センサ12を回転移動させる意義が低下してしまう。このため、第一回動軸Lと第二回動軸Mとが為す角度は、10〜170°とすると好ましい。当該角度は、30〜150°であるとより好ましく、60〜120°であるとさらに好ましい。
【0035】
第一支持体13a及び第一駆動手段13bの具体的な構成は、特に限定されないが、本実施態様のメダル検出装置10においては、以下のように構成している。すなわち、第一支持体13aを、その内側にメダル通路11が挿通した状態で配される環状体によって形成するとともに、第一駆動手段13bを、第一支持体13aに沿って第一支持体13aの片面側に設けられたリングモータ(超音波モータ)としている。リングモータは、円環状を為すステータの一面側に、ステータと同じ円環状を為すロータを同軸上に重ねた構造を有するものとなっている。この種のリングモータは、ステータの他面側に設けられた複数の圧電素子(ステータの周回方向に沿って所定間隔で設けられる)にタイミングをずらせながら電圧を印加することで、ステータの一面側を起伏変位させ、その起伏部分をステータの周回方向に沿って進行させることで、ロータを起伏部分の進行方向とは逆向きに回転駆動するものである。ステータの一面側には、上述した起伏変位が発生しやすくするために、ステータの径方向に沿った複数の切込溝が、ステータの周回方向に沿って所定間隔で設けられている。
【0036】
また、第二支持体13c及び第二駆動手段13dの具体的な構成も、特に限定されないが、本実施態様のメダル検出装置10においては、以下のように構成している。すなわち、第二支持体13cを、第一駆動手段13bの外周部から外方に突出して設けられた軸体によって形成するとともに、第二駆動手段13dを、第二支持体13cをその軸心回りに回転させるモータとしている。第二駆動手段13dで使用するモータとしては、その回転角度を設定可能なものが使用され、具体的には、ステッピングモータやサーボモータが例示される。第二支持体12cの一端部(
図3〜5においては下端部)は、上述したリングモータ(第一駆動手段13b)のステータにおける外周部に対して一体的に固定され、第二支持体12cの他端部(
図3〜5においては上端部)は、上述したモータ(第二駆動手段13d)の出力軸に一体的に固定される。第二駆動手段13dの筺体は、メダル通路支持体14における所定箇所に一体的に固定される。
【0037】
ところで、第一回転軸L回りの第一支持体13aの回動角度(以下、「第一回動角度θ」と表記する)の変化範囲は、第一支持体13aや、これに従動する部材(光センサ12や第一駆動手段13b等)が、他の部材に干渉しない範囲であり、且つ、光センサ12の発光部12aを出射した光が透光窓11a
3を通過して受光部12bに到達できる範囲であれば、特に限定されない。以下においては、説明の便宜上、第一回動角度θの変化範囲の下限位置を第一回動角度θの基準位置(第一回動角度θが0°となる位置)として説明するが、第一回動角度θの基準位置は、他の位置(例えば、第一回動角度θの変化範囲の上限位置や中間位置(上限位置と下限位置との中間位置))であっても構わない。本実施態様のメダル検出装置10において、第一回動角度θの基準位置は、
図3に示すように、第一支持躯体13aが基準位置にあるときとしている。第一回動角度θの正負は、説明の便宜上、同図における矢印R
θの向きを正方向とし、矢印R
θと逆向きを負方向としている。このため、第一回動角度θは、0°≦θ≦+360°の範囲で定義される。ただし、本実施態様のメダル検出装置10においては、光センサ12及び第一駆動手段13bの配線の取り回しや、透光窓11a
3の寸法形状等の絡みで、第一回動角度θが実際に変位できるのは、0°≦θ≦+270°の範囲となっている。換言すると、第一回動角度θの最大変位差(第一回動角度θの上限と下限との差)が、270°となっている。
【0038】
また、第二回転軸M回りの第二支持体13cの回動角度(以下、「第二回動角度φ」と表記する)の上限及び下限は、第二支持体13cや、これに従動する部材(光センサ12や第一駆動手段13b等)が、他の部材に干渉しない範囲であり、且つ、光センサ12の発光部12aを出射した光が透光窓11a
3を通過して受光部12bに到達できる範囲であれば、特に限定されない。以下においては、説明の便宜上、第二回動角度φの変化範囲の中間位置(上限位置と下限位置との中間位置)を第二回動角度φの基準位置(第二回動角度φが0°となる位置)として説明するが、第二回動角度φの基準位置は、他の位置(例えば、第二回動角度φの変化範囲の上限位置や下限位置)であっても構わない。本実施態様のメダル検出装置10において、第二回動角度φの基準位置は、
図3に示すように、第二支持躯体13cが基準位置にあるときとしている。第二回動角度φの正負は、説明の便宜上、同図における矢印R
φの向きを正方向とし、矢印R
φと逆向きを負方向としている。このため、第二回動角度φは、−180°≦φ≦+180°の範囲で定義される。ただし、本実施態様のメダル検出装置10においては、光センサ12及び第一駆動手段13bの配線の取り回しや、透光窓11a
3の寸法形状等の絡みで、第二回動角度φが実際に変位できるのは、−60°≦φ≦+60°の範囲となっている。換言すると、第二回動角度φの最大変位差(第二回動角度φの上限と下限との差)が、120°となっている。
【0039】
第一回動角度θや第二回動角度φの最大変位差は、特に限定されないが、小さすぎると、光センサ12の光軸ベクトルAの変化のバリエーションが少なくなり、光軸ベクトルAを変化させる意義が低下する。このため、第一回動角度θと第二回動角度φとにおいては、少なくともその一方の最大変位差を90°以上確保すると好ましく、120°以上確保するとより好ましい。第一回動角度θ及び第二回動角度φの最大変位差は、その双方が上記の条件を満たしているとさらに好ましい。特に、第一回動角度θの最大変位差は、180°以上確保すると最適である。これにより、光センサ12の光軸ベクトルAの向きを180°反転させる構成を採用することも可能になる。
【0040】
ところで、本実施態様のメダル検出装置10における光センサ12の光軸ベクトルAの向きの変化は、以下のように表すことができる。すなわち、
図3に示すように、第一支持体13a及び第二支持体13cの双方が基準位置にあり、第一回動角度θ及び第二回動角度φの双方が0°であるときの光センサ12の光軸ベクトルAを「基準時光軸ベクトルA
0」とし、この基準時光軸ベクトルA
0を下記式1で表すとともに、第一支持体13a又は第二支持体13cのうち少なくとも一方が基準位置から回動して、第一回動角度θ又は第二回動角度φのうち少なくとも一方が0°から変化したときの光センサ12の光軸ベクトルAを「移動後光軸ベクトルA
1」とし、この移動後光軸ベクトルA
1を下記式2で表すと、移動後光軸ベクトルA
1のx成分(a
1x)、y成分(a
1y)及びz成分(a
1z)は、基準時光軸ベクトルA
0のx成分(a
0x)、y成分(a
0y)及びz成分(a
0z)、並びに、第一回動角度θ及び第二回動角度φを用いて下記式3のように表すことができる。
【0044】
例えば、本実施態様のメダル検出装置10における
図4及び
図5に示す状態の光軸ベクトルA(移動後光軸ベクトルA
1)は、上記式3を用いて、それぞれ以下のように求めることができる。まず、基準時光軸ベクトルA
0を決定する。本例において、基準時光軸ベクトルA
0は、
図3で示される状態の光軸ベクトルA(x軸と平行でx軸方向負側を向くベクトル)としたので、下記式4で表すことができる。ただし、下記式4の基準時光軸ベクトルA
0は、その大きさが1となるように規格化している。
【数4】
【0045】
次に、
図4に示す状態の光軸ベクトルA(移動後光軸ベクトルA
1)を求める。
図4の状態においては、第一回動角度θが+45°で第二回動角度φが0°となっていることから、これらの角度θ,φの値、及び、上記式4で表される基準時光軸ベクトルA
0の各成分a
0x,a
0y,a
0zの値を、上記式3に当てはめると、
図4の状態における移動後光軸ベクトルA
1は、下記式5のように求めることができる。
【数5】
【0046】
次に、
図5に示す状態の光軸ベクトルA(移動後光軸ベクトルA
1)を求める。
図5の状態においては、第一回動角度θが+45°で第二回動角度φが−30°となっていることから、これらの角度θ,φの値、及び、上記式4で表される基準時光軸ベクトルA
0の各成分a
0x,a
0y,a
0zの値を、上記式3に当てはめると、
図5の状態における移動後光軸ベクトルA
1は、下記式5のように求めることができる。
【数6】
【0047】
以上のように、本実施態様のメダル検出装置10では、第一支持体13aの回動(第一回動角度θの変化)及び第二支持体13cの回動(第二回動角度φの変化)に伴って、光センサ12の光軸ベクトルAを多様に変化させることができるようになっている。
【0048】
このため、本実施態様のメダル検出装置10におけるメダル通路11に不正挿入具30が挿入された場合には、例えば、
図9に示すように、第一支持体13a及び第二支持体13cの双方が基準位置にあるときには、光センサ12の発光部12aから出射された光が不正挿入具30の受光部32で受光され、不正挿入具30の発光部33から出射された光が光センサ12の受光部12bで受光され得る状態(以下、この状態を「不正行為可能状態」と呼ぶ)であったとしても、
図10に示すように、第一支持体13aを基準位置から回動させた状態にあっては、光センサ12の発光部12aから出射された光は不正挿入具30の受光部32で受光されず、不正挿入具30の発光部33から出射された光も光センサ12の受光部12bで受光されない状態(以下、この状態を「不正行為不可能状態」と呼ぶ)となっている。
図9,10においては、不正挿入具30の発光部33の発光範囲を縦線ハッチングで示しており、不正挿入具30の受光部32の受光範囲を横線ハッチングで示している。受光部35及び発光部34についても、受光部32及び発光部33と同様のことがいえる。なお、
図9及び
図10に示す不正挿入具30には、発光部33,34に加えて、受光部32,35も設けられているが、この受光部32,35は、不正挿入具30の発光部33,34が発光するタイミングを、メダル検出装置10の発光部12aが発光するタイミングと一致させるために、発光部12aが発光するタイミングを検知するものである。メダル検出装置10の発光部12aから出射された光が不正挿入具30の受光部32,35に受光されないようにすることは、不正挿入具30の発光部33,34から出射された光がメダル検出装置10の受光部12bで受光されないようにすることと同様、不正挿入具30を用いた不正行為を防止するのに有効である。
【0049】
ところで、第一支持体13aを基準位置のまま第二支持体13cのみを回動させた場合(第一回動角度θを0°のまま第二回動角度φを0°から変化させた場合)や、第一支持体13a及び第二支持体13cの双方を回動させた場合(第一回動角度θ及び第二回動角度φの双方を0°から変化させた場合)にも、
図10に示す状態と同様に、不正行為不可能状態を発現させることができる。
図9に示すような比較的単純な構造の不正挿入具30によって不正行為可能状態が発現し得る第一回動角度θ及び第二回動角度φの角度範囲(例えば、0°≦θ≦+40°又は+320°≦θ≦360°の範囲)については、第一駆動手段13b及び第二駆動手段13dの制御範囲から除外することもできる。これにより、そのような単純な構造の不正挿入具30による不正行為を実質的に不可能とすることもできる。
【0050】
このように、本発明に係るメダル検出装置10は、光センサ12をメダル通路11に対して移動させ、光軸ベクトルAの向きを変化させることで、不正行為可能状態が殆ど発現しない、又は、全く発現しないようにすることが可能なものとなっている。本実施態様のメダル検出装置10では、所定契機(スタートレバーやストップボタンが操作されたタイミング、メダルが払い出されるタイミング、メダルのクレジット枚数が所定枚数に達したタイミング等)が到来すると、光センサ12の光軸ベクトルAの向きが自動的に変化するようにしている。光センサ12の光軸ベクトルAの向きは、一定のサイクルに従って変化する(例えば、第一回動角度θを、0°、+90°、+180°、+270°、+180°、+90°、0°、・・・というように、所定角度(90°)ずつ変化させるサイクルを繰り返す)ようにしてもよいし、予め設定された複数のサイクルの中から1つのサイクルが選択され、そのとき選択されたサイクルに従って変化するようにしてもよいし、全くランダムに変化するようにしてもよい。
【0051】
以上で述べたメダル検出装置10は、メダル通路11における1箇所のみに配してもよいが、メダル通路11における複数箇所に配してもよい。これにより、不正挿入具を用いた不正行為をさらに困難とすることができる。
【0052】
2.4 メダル通路支持手体
メダル通路支持体14は、
図3〜5に示すように、メダル通路11を支持するためのものとなっている。メダル通路支持体14の具体的な形態は、特に限定されないが、本実施態様のメダル検出装置10においては、環状体によって形成されており、その内側に配された第一駆動手段13bが第二回転軸M回りに回動しても、第一駆動手段13bや、これに取り付けられた第一支持体13aや光センサ12が、メダル通路支持体14に干渉することのないようにしている。
【0053】
2.5 その他
図3のメダル検出装置10では、光センサ移動手段13を構成する駆動手段として、独立した2つの駆動手段(第一駆動手段13bと第二駆動手段13d)を備えたものとなっていたが、光センサ移動手段13は、1つの駆動手段で構成してもよい。例えば、
図3のメダル検出装置10において、第二駆動手段13dを削除し、第二支持体13cをメダル通路支持体14に一体的に固定した構成を採用することができる。この場合には、光センサ12の光軸ベクトルAは、第二回転軸M回りに回転することができなくなり、光軸ベクトルAの向きのバリエーションが少なくなるものの、
図10に示すように、不正行為不可能状態を発現させることができるからである。また、
図3のメダル検出装置10において、第一駆動手段13bを削除し、第二支持体13cを第一支持体13aに一体的に固定した構成を採用することもできる。この場合には、光センサ12の光軸ベクトルAは、第一回転軸L回りに回転することができなくなるものの、やはり不正行為不可能状態を発現させることができるからである。言うまでもなく、光センサ移動手段13を構成する駆動手段は、3つ以上とすることもできる。この場合には、光センサ12の光軸ベクトルAの向きをさらに多様化することが可能になる。
【0054】
また、
図3のメダル検出装置10では、光センサ移動手段13を構成する第一駆動手段13bとしてリングモータを、第二駆動手段13dとしてモータを採用していたが、駆動手段の種類はこれに限定されない。例えば、
図11,12に示すように、光センサ12の発光部12a及び受光部12bを支持させる第一支持体13aを無端ベルト(無端線状材)とし、第一駆動手段13bを図示省略のローラ等により第一支持体13aをその周回方向に駆動するものとすることができる。
図11は、他の実施態様のメダル検出装置10を示した斜視図である。
図12は、
図11のメダル検出装置10を、メダル通路11を取り除いた状態で示した斜視図である。この構成を採用すれば、第一支持体13a及び第一駆動手段13bを、真円以外の形態とすることができ、
図11,12に示すように、x軸方向に潰れた形態とすることもできる。このため、メダル検出装置10を小型化して、メダルセレクタ130(
図2)の内部等、取付スペースに制限のある箇所にも使用することが可能になる。
メダル20を通過させるためのメダル通路11と、メダル通路11に向かって光を出射するための発光部12a、及び、発光部12aから出射された光を発光部12aとはメダル通路11を挟んで反対側で受けるための受光部12bを有する光センサ12と、を備え、受光部12bへ入射する光が遮断されたことに基づいて、メダル通路11を通過するメダル20の検出を行うメダル検出装置10において、光センサ12をメダル通路11に対して移動させることにより発光部12aと受光部12bとを結ぶ光軸ベクトルAのメダル通路11に対する向きを変化させる光センサ移動手段13を設けた。