特許第5793619号(P5793619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793619
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】回転分配装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/074 20060101AFI20150928BHJP
   F16L 27/093 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   F16K11/074 Z
   F16L27/08 A
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-518006(P2014-518006)
(86)(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公表番号】特表2014-525010(P2014-525010A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】IB2012053167
(87)【国際公開番号】WO2013001428
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月22日
(31)【優先権主張番号】2011/04747
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】ZA
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505107745
【氏名又は名称】トンガート・ヒューレット・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100122688
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン、クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、レオン
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−500534(JP,A)
【文献】 特開平06−011056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/074
F16L 27/093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転分配装置であって:
当該装置は、固定の円筒状の内部コアを含み;
当該装置は、前記内部コアの周りに配置された回転可能な円筒状の外側シェルを含み;
前記内部コアと前記外側シェルは、それらの間に複数の環状の流体分配チャンバーを定めており;
当該装置は、回転可能なインデキシングディスクを含み、該ディスクは、自体を貫通して設けられた複数の流れの通路を持ち、それら流れの通路の接続ポートは、前記外側シェルにおけるポートに流体連通しており;
当該装置は、固定のインデキシングディスクを含み、該ディスクは、自体を貫通して設けられた複数の流れの通路を持ち、それら流れの通路の接続ポートは、適切な処理容器に流体連通しており;
前記回転可能なインデキシングディスクにおける、および、前記固定のインデキシングディスクにおける、前記複数の流れの通路は、また、インデキシングポートを持ち、その構成は、前記回転可能なインデキシングディスクにおけるインデキシングポートと、前記固定のインデキシングディスクにおけるインデキシングポートとが、使用時に、軸方向に揃って位置合わせされるようになっており、かつ、
該回転可能なインデキシングディスクの回転によって、該回転可能なインデキシングディスクのインデキシングポートが、前記固定のインデキシングディスクの選択されたインデキシングポートと選択的に流体連通するという結果がもたらされ、それにより、当該回転分配装置を通る前記流れの経路が選択的に変わるようになっており;
その特徴は、当該装置が駆動装置を含むことであり、該駆動装置は:
前記固定のコアが固定される固定のシャフトを有し;
前記固定のシャフトの周りを回転することができる回転可能スリーブを有し、該回転可能スリーブは、前記回転可能な外側シェルと前記回転可能なインデキシングディスクを駆動し;
前記固定のシャフトおよび前記回転可能スリーブは、当該回転分配装置内に位置し、かつ、当該回転分配装置の中心軸上に位置し、それによって、前記駆動装置のどの部分も前記インデキシングディスクの径方向外側には位置しないようになっている;
前記回転分配装置。
【請求項2】
前記回転可能スリーブが、前記固定のインデキシングディスクの軸方向外側に位置する駆動手段によって駆動される、請求項1記載の回転分配装置。
【請求項3】
前記回転可能スリーブが駆動ディスクに接続され、そして、該駆動ディスクが、前記回転可能なインデキシングディスクおよび前記回転可能な外側シェルを駆動する、請求項1または請求項2記載の回転分配装置。
【請求項4】
前記固定のシャフトが、前記駆動手段を通って延び、その外側端部が固定構造物に固定されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転分配装置。
【請求項5】
前記固定構造物が、前記駆動手段の一部を形成しているギヤボックスのハウジングの形態となっている、請求項4に記載の回転分配装置。
【請求項6】
前記固定構造物が、前記固定のインデキシングディスクである、請求項4に記載の回転分配装置。
【請求項7】
前記回転可能なインデキシングディスクの前記接続ポート、および/または、前記固定のインデキシングディスクの前記接続ポートが、それらインデキシングディスクの外周面上に位置する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、回転分配装置(rotary distribution apparatus)に関し、より具体的には、ただしそれ以外を排除するわけではないが、砂糖の精製処理(精製プロセス)における使用に好適な回転分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの処理(プロセス)において、異なる供給導管と排出導管とを装置の処理チャンバーに順次に接続することは必要である。1つの典型的なアプローチは、様々なチャンバー同士の間で所望の流量の分配を達成するために、複数の導管およびバルブを使用することである。しかしながら、供給導管と排出導管の数、および/または、処理チャンバーの数が増えるにつれ、複雑さと、スペースと、費用を検討すると、従来の配管(piping)およびバルブ(弁)の使用が煩雑になる。マルチポートのバルブを各処理チャンバーで使用することによってバルブの数が減らせるが、配管の配置構成(piping arrangement)の複雑さはそのままである。
【0003】
上記の処理の要件が達成できる代替方法は、「Rotary Distribution Apparatus(回転分配装置)」と題する、本出願人の先行特許WO2004/029490において開示される回転分配装置を利用することによるものであり、その内容は、参照によって本文に組み込まれる。そのような回転分配装置のさらなる改良形態および変更形態もまた、本出願人の特許である「Indexing Arrangement(インデキシング装置)」と題するWO2007/031857、および「Rotary Distribution Apparatus Incorporating InterstagePumps(中間ポンプを組込んだ回転分配装置)」と題するWO2009/127978において開示されており、その内容もまた、参照によって本文に組み込まれる。
【0004】
連続的なイオン交換処理、吸着処理、および、クロマトグラフィーによる分離処理に用途を持った既存の回転分配装置の1つの実施形態が、図1に示されている。該装置は、固定の円筒状の中心コア1を持ち、該コア内へと、供給物のおよび生成物の固定されたパイプ2が延びている。一組の環状の流体分配チャンバー(複数)3が、コア1と外側バレル(outer barrel、外筒)(即ち、シェル)4との間に定められ、該外側バレルは、実際には、供給物の流れまたは生成物の流れごとに、1つの分配チャンバーと共にコアの周りを回転する。該バレル4と共に回転するパイプ(複数)5が、該バレルと共に回転するインデキシング(indexing、インデックス(割り出し)を行っている)ディスク6内の選択された分配チャンバーと、選択されたポートとの間に接続されている。該インデキシングディスク6は、固定ディスク7に対して回転し、該固定ディスク7は、固定配管8によって複数の処理チャンバー9に接続されている。流体の流れは、中心コア1内のパイプ2を通って該回転分配装置に入り、次に、回転する配管5を通じてインデキシングディスク6に供給され、次に、固定ディスク7および固定配管8を通じて選択された処理チャンバー9に供給される。流体の流れは、処理チャンバーから戻り、同じ様な経路を逆向きに流れ、最終的に、固定されたパイプ2を通って該装置から排出される。インデキシングディスク6の回転は、流れを選択された処理チャンバー(固定ディスクと流体連通している)へと向ける結果となる。
【0005】
軸受および駆動装置は、インデキシングディスクと固定ディスクとの間の位置合わせおよび封止圧(sealing pressure)を維持するために必要とされる。標準的な回転分配装置の設計においては、旋回リング(slew ring)10が、固定ディスクおよびインデキシングディスクにボルトで固定されている。該旋回リングは、外側ギヤ11を持ち、該外側ギヤは、このユニットを駆動するために使用される。旋回リングの使用は、供給物のおよび生成物のパイプが上部または底部のいずれかまたは両方から中心コアに入るように、ディスクの中心の領域が空いている、という利点を持っている。標準的な設計においては、バレルはディスクの上面に取り付けられる。
【0006】
この設計(および封止システム)の結果、旋回リングが、パイプによるインデキシングディスク内への水平方向の側方進入(side-entry)を妨げるため、回転ディスクと固定ディスクとを接続するパイプは、垂直方向を向いていなければならない。特定の、典型的には小規模な用途においては、費用、複雑さおよびスペースを検討すると、インデキシングディスクまたは固定ディスク内に水平方向の接続を持つことが有利になる。しかしながら、旋回リング軸受を使用すると、これが実行不可能となる。
【0007】
従って、本発明の目的は、新規の回転分配装置を提供することであり、具体的には、少なくとも部分的に上記の欠点を和らげる、回転分配装置のための駆動装置を提供することである。
【0008】
本発明の目的はまた、新規の回転分配装置を提供することであり、とりわけ、既存の回転分配装置および駆動装置の有用な代替手段となる、新規の回転分配装置のための駆動装置を提供することでもある。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、回転分配装置(rotary distribution arrangement)が提供され、当該装置は:
固定の円筒状の内部コアを含み;
前記内部コアの周りに配置された回転可能な円筒状の外側シェルを含み;
前記内部コアと前記外側シェルは、それらの間に複数の環状の流体分配チャンバーを定めており;
当該装置は:
回転可能なインデキシングディスクを含み、該ディスクは、自体を貫通して設けられた複数の流れの通路を持ち、それら流れの通路の接続ポートは、前記外側シェルにおけるポートに流体連通しており;
固定のインデキシングディスクを含み、該ディスクは、自体を貫通して設けられた複数の流れの通路を持ち、それら流れの通路の接続ポートは、適切な処理容器に流体連通しており;
前記回転可能なインデキシングディスクにおける、および、前記固定のインデキシングディスクにおける、前記複数の流れの通路は、また、インデキシングポートを持ち、その構成は、前記回転可能なインデキシングディスクにおけるインデキシングポートと、前記固定のインデキシングディスクにおけるインデキシングポートとが、使用時に、軸方向に揃って位置合わせされるようになっており、かつ、
該回転可能なインデキシングディスクの回転によって、該回転可能なインデキシングディスクのインデキシングポートが、前記固定のインデキシングディスクの選択されたインデキシングポートと選択的に流体連通するという結果がもたらされ、それにより、当該回転分配装置を通る前記流れの経路が選択的に変わるようになっており;
その特徴は、当該装置が駆動装置を含むことであり、該駆動装置は:
前記固定のコアが固定される固定のシャフトを有し;
前記固定のシャフトの周りを回転することができる回転可能スリーブを有し、該回転可能スリーブは、前記回転可能な外側シェルと前記回転可能なインデキシングディスクを駆動し;
前記固定のシャフトおよび前記回転可能スリーブは、当該回転分配装置内に位置し、かつ、当該回転分配装置の中心軸上に位置し、それによって、前記駆動装置のどの部分も前記インデキシングディスクの径方向外側には位置しないようになっている。
【0010】
前記回転可能スリーブは、前記固定のインデキシングディスクの軸方向外側に位置する駆動手段によって駆動されるように提供される。
【0011】
前記回転可能スリーブは、駆動ディスクに接続され、そして、該駆動ディスクが、前記回転可能なインデキシングディスクおよび前記回転可能な外側シェルを駆動してもよい。
【0012】
前記固定のシャフトは、前記駆動手段を通って延び、その外側端部が固定構造物に固定されるように提供される。
【0013】
1つの実施形態では、前記固定構造物は、前記駆動手段の一部を形成しているギヤボックスのハウジングの形態となっていてもよい。代替的な実施形態では、前記固定構造物は、前記固定のインデキシングディスクであってもよい。
【0014】
本発明のさらなる特徴は、前記回転可能なインデキシングディスクの前記接続ポート、および/または、前記固定のインデキシングディスクの前記接続ポートが、それらインデキシングディスクの外周面上に位置するように提供されることである。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、非限定的な例によって、また、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、1つの既存の回転分配装置を部分的に切り取った斜視図である。
図2図2は、本発明による新規の回転分配装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
上記で説明した既存の回転分配装置は、図1に示されている。とりわけ、該装置は、旋回リング駆動装置(slewing ring driving arrangement)を利用し、旋回リングは、インデキシングディスクに隣接して位置し、そのため、インデキシングディスクの外周における接続ポートの設置が妨げられ、インデキシングディスク内に鉛直に延びる流導管の使用が必要となっている。
【0018】
ここで図2を参照すると、代替的な駆動装置を含む新規な回転分配装置の1つの非限定的な例が、全体として参照符号20で示されている。
【0019】
この新規の装置(arrangement)では、駆動手段21は、本実施形態においては、ギヤボックスおよび軸受ハウジングの形態で、固定のインデキシングディスク22の上方に作動するように位置し、好適な固定構造物(図示せず)によって支持されている。
【0020】
回転可能なインデキシングディスク23は、固定のインデキシングディスク22の下方に位置付けられ、駆動スリーブまたはチューブ24を介してギヤボックス21の出力ドライブに接続され、該駆動スリーブまたはチューブ24は、インデキシングディスク(22および23)の環状部(annuli)を通って回転分配装置20内に延びている。回転可能な外側シェル(shell、外殻)またはバレル25は、回転可能なインデキシングディスク23に接続され、回転可能なインデキシングディスク23とともに回転する。より具体的には、駆動スリーブ24の端部が、駆動ディスク(driving disc)35に接続されており、そして順に、該駆動ディスク35が、回転可能なインデキシングディスク23と回転可能な外側スリーブ25とに接続されている。
【0021】
インデキシングディスク(22および23)同士の間の封止力(sealing force)は、圧力リング26を通じて、回転可能なインデキシングディスク23または固定のインデキシングディスクのいずれかに空気圧を与えることによって得られる。圧力リング26には、多くの異なる構成があってよく、本発明は、いずれの特定の設計にも限定されない。
【0022】
固定の内部のコアまたは中心コア27は、固定中心軸28に固定されており、該固定中心軸28は、駆動チューブ24の内側に位置し、該固定中心軸28は、ギヤボックスを貫通し、ギヤボックスハウジング(または、同様の固定の構成要素)に固定されている。駆動チューブ24は、固定中心軸28の周りを回転するよう構成されている。
【0023】
供給物のおよび生成物のパイプ29は、固定中心軸28の反対側の端部において、中心コア27に接続されている。供給物のおよび生成物のパイプ29は、環状の流体分配チャンバー32と流体連通(flow communication)しており、該環状の流体分配チャンバーは、回転可能なケーシング25と固定コア27とによって形成され、かつ、それらの間に位置している。そして、該流体分配チャンバーは、パイプ30によって回転可能なインデキシングディスク23と流体連通しており、該パイプ30は、回転式ケーシング25および回転可能なインデキシングディスク23に対して固定されており、従って、インデキシングディスク23およびケーシング25が回転するとき、該パイプ30は回転分配装置20の周りを回転する。固定パイプ31は、固定のインデキシングディスク22から延びて、固定のインデキシングディスク22の中へ延び、回転分配装置20と任意の必要な処理容器(図示せず)との間の流体連通を提供している。
【0024】
上記の構成は次の点で有利である。その点とは、回転可能スリーブ24の形態となった駆動装置が回転分配装置内に収容され、その駆動手段が、装置の上方または下方に位置している(なお、装置の向きによっては、装置は逆さにできる)という点である。従って、駆動装置は、インデキシングディスクの外周にすぐ隣接する領域を妨げることにはならず、そのため、導管によるインデキシングディスク内への側方進入を可能にする。側方進入(すなわち、水平方向の)構成は、装置を簡略化し、かつ、より小型化することになり、同時に、特に小規模の用途に関していえば、費用および複雑さを低減することにもなる。
【0025】
インデキシングディスク、外側シェルおよび内部コアの正確な構成および設計が、この特定の発明の主題ではなく、これら構成要素の多くの異なる実施形態が、過去に使用されてきた外部駆動装置ではなく内側駆動装置である、本発明の新規でありかつ進歩性を有する態様から逸脱することなく、利用できることに留意すべきである。
【0026】
従って、上記が本発明の単なる一つの実施形態であって、本発明の趣旨および/または範囲を逸脱することなく、多くの変更形態があり得るということが、理解されるだろう。
図1
図2