特許第5793623号(P5793623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793623
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】イオン交換ガラス板のエッジ照明
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150928BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   F21S2/00 432
   C03C21/00 B
   C03C21/00 101
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-528474(P2014-528474)
(86)(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公表番号】特表2014-529869(P2014-529869A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】US2012052221
(87)【国際公開番号】WO2013032890
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2014年5月15日
(31)【優先権主張番号】61/529,573
(32)【優先日】2011年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/285,616
(32)【優先日】2011年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ヴィター マリノ
(72)【発明者】
【氏名】ウィッティア,アラナ マリー
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−009825(JP,A)
【文献】 特開2009−289701(JP,A)
【文献】 特開2010−146772(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/101961(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
C03C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明型ガラスフェーシアにおいて、ガラス板が、
(a)第1の上表面及び第2の下表面、
(b)前記ガラス板の前記上表面に隣接する第1のイオン交換ガラス領域であって、圧縮状態にある第1のイオン交換ガラス領域
(c)前記第1のイオン交換ガラス領域の下にあるコアガラス領域であって、引張状態にあるコアガラス領域、
(d)前記コアガラス領域の下にあり、前記ガラス板の前記下表面に隣接する第2のイオン交換ガラス領域であって、圧縮状態にある第2のイオン交換ガラス領域、
(e)前記ガラス板の平面に対して傾けられ、前記ガラス領域の内の少なくとも1つの厚さにわたって広がり、前記ガラス板の前記下表面側に面している前記ガラス板の内側の傾けられた内部反射面を有する、傾斜端面、及び
(f)照明された装飾パターンを生じさせるために、前記ガラス板内の選ばれた領域に配置されている及び前記ガラス板の前記上表面上の選ばれた領域に配置されている、の少なくとも一方である散乱構造、及び
(g)前記ガラス領域の内の少なくとも1つを通過し、前記反射面に当たって前記ガラス領域の内の少なくとも1つに結合される反射光ビームを生じさせ、これにより、前記反射光ビームが前記散乱構造により散乱され、前記光の一部が前記ガラス板の前記上表面から外側に放射されて、前記ガラス板の前記上表面を照明する、細長光ビームを放射するための、前記傾斜端面に位置を合わせ、前記ガラス板の前記下表面に隣接して配置された、細長光源、
を有することを特徴とする照明型ガラスフェーシア。
【請求項2】
前記傾斜端面が、
(a)前記第1のイオン交換ガラス領域、
(b)前記第のイオン交換ガラス領域、及び
(c)前記コアガラス領域、
の内の少なくとも1つの厚さにわたって広がり、前記傾斜端面と前記平面の間のガラス角が90°より小さく、sin−1(n/n)の少なくとも1つより大きく、ここで、nは空気の屈折率であり、nは、
(a)前記第1のイオン交換ガラス領域、
(b)前記第のイオン交換ガラス領域、及び
(c)前記コアガラス領域、
の対応する1つの屈折率である、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明型ガラスフェーシア。
【請求項3】
前記傾斜端面上に形成された反射層並びに第1のイオン交換ガラス領域及び第2のイオン交換ガラス領域の少なくとも一方の表面上に形成された反射防止層をさらに有し、前記反射防止層は前記傾斜端面に対向する位置関係にあることを特徴とする請求項1または2に記載の照明型ガラスフェーシア。
【請求項4】
ガラス板の露出表面を、面外光ビームを用いて照明する方法において、前記ガラス板が物体上の装飾フェーシアを形成し、前記方法が、
(a)平イオン交換ガラス板であって、
(i)第1の表面、
(ii)前記第1の表面に隣接し、前記第1の表面に平行な、第1のイオン交換ガラス領域、
(iii)前記第1のイオン交換ガラス領域に隣接し、前記第1のイオン交換ガラスに平行な、コアガラス領域、
(iv)前記コアガラス領域に隣接し、前記コアガラス領域に平行な、第2のイオン交換ガラス領域、
(v)前記第2のイオン交換ガラス領域に隣接し、前記第2のイオン交換ガラスに平行な、第2の表面、
(vi)(a)前記第1の表面上及び(b)前記ガラス領域の内の少なくとも1つの体積内、の少なくとも一方に配された光散乱構造、及び
(vii)前記イオン交換ガラス板の平面に対して傾けられ、前記ガラス領域の内の少なくとも1つの厚さにわたって広がる、傾斜端面、
を有する平イオン交換ガラス板を取得する工程、
(b)前記第2の表面に隣接させて、前記傾斜端面と対向する位置関係で、細長光ビームを配置する工程、
(c)前記細長光ビームが前記ガラス領域の内の少なくとも1つを通過し、前記傾斜端面に当たって、前記ガラス領域の内の少なくとも1つに結合される反射細長光ビームを生じさせるように、前記平イオン交換ガラス板に前記細長光ビームを投射する工程、及び
(d)前記ガラス領域の少なくとも1つに結合された前記光の少なくとも一部を散乱させ、これにより、前記散乱光の一部が前記ガラス板の前記露出表面から外部に放射されて、前記ガラス板の前記露出表面の少なくとも一部を照明する工程、
を含み、
前記光の少なくとも一部を散乱させる前記工程が、前記ガラス板の選ばれた領域に散乱構造を装飾パターンに配置して、前記ガラス板の選ばれた領域において前記結合された光を前記ガラス板の他の領域におけるよりも多く散乱させ、よって前記ガラス板の前記露出表面上で装飾パターンが照明される工程であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2011年8月31日に出願された米国仮特許出願第61/529573号の優先権の恩典を主張する、2011年10月31日に出願された米国特許出願第13/285616号の優先権の恩典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明はガラス板の表面を照明するための、イオン交換された、化学的強化ガラス板のエッジ照明に関し、さらに詳しくは、家電製品またはその他のデバイスのための、イオン交換された、化学的強化ガラスのカバーまたはフェーシアへの、装飾効果を生じさせるための、光の面外光結合に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス板は、家電製品、携帯型電子デバイス、携帯電話、家具、建築構造/素材及びテレビジョンのような機器/装置のための、保護用または装飾用のカバーまたはフェーシアとして用いられる。ガラスカバーは表示あるいはディスプレイまたはタッチスクリーンによる情報収集を行うようなデバイスに最も普通に用いられる。ガラスカバーまたはフェーシアは、ステンレス鋼またはポリマーのような現行の家電製品のフェーシアに比較して、審美的に平滑で、光沢があり、耐すり傷性があり、清掃が容易な表面を提供する。本開示は、ガラス板の表面を照明するために、イオン交換ガラス板とすることができる、ガラス板の面に光をどのようにして結合するかを扱う。本開示は、入力ビームがガラス板の平面に合わせられていない、例えば光ビームが「面外」である、場合に、ガラス板を照明するため及び装飾効果を提供するために、ガラス板の面内に光をどのようにして結合するかを扱う。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様において、面外光ビーム結合が組み込まれている平イオン交換ガラス板は、平イオン交換ガラス板の平面に平行な第1のイオン交換ガラス領域、第1のイオン交換ガラス領域と連続一体の、第1のイオン交換ガラス領域の下のコアガラス領域及び、コアガラス領域と連続一体の、コアガラス領域の下の第2のイオン交換ガラス領域を有する。平イオン交換ガラス板は平面に対して傾けられた傾斜端面をさらに有する。傾斜端面はガラス領域の内の少なくとも1つの厚さにかけて広がり、ガラス領域の内の少なくとも1つと連続一体である。
【0005】
一実施形態において、傾斜端面は第1のイオン交換ガラス領域の厚さにかけて広がり、第1のイオン交換ガラス領域と連続一体であり、傾斜端面と平面の間のガラス角は90°より小さく、sin−1(n/n)より大きい。ここで、nは空気の屈折率であり、nは第1のイオン交換ガラス領域の屈折率である。
【0006】
一実施形態において、傾斜端面は第2のイオン交換ガラス領域の厚さにかけて広がり、第2のイオン交換ガラス領域と連続一体であり、傾斜端面と平面の間のガラス角は90°より小さく、sin−1(n/n)より大きい。ここで、nは空気の屈折率であり、nは第2のイオン交換ガラス領域の屈折率である。
【0007】
一実施形態において、傾斜端面はコアガラス領域の厚さにかけて広がり、コアガラス領域と連続一体であり、傾斜端面と平面の間のガラス角は90°より小さく、sin−1(n/n)より大きい。ここで、nは空気の屈折率であり、nはコアガラス領域の屈折率である。
【0008】
一実施形態において、傾斜端面は全ガラス領域の総厚にかけて広がり、全ガラス領域と連続一体であり、傾斜端面と平イオン交換ガラス板の平面の間のガラス角は90°より小さく、sin−1(n/n)、sin−1(n/n)及びsin−1(n/n)の内の最大の角度より大きい。ここで、nは空気の屈折率であり、nは第1のイオン交換ガラス領域の屈折率であり、nは第2のイオン交換ガラス領域の屈折率であり、nはコアガラス領域の屈折率である。
【0009】
本開示の別の態様において、一体化面外光ビーム結合及びガラス板の表面の照明のための平イオン交換ガラス板が提供され、ガラス板は、第1の表面、第1の表面に平行で、隣接する、第1のイオン交換ガラス領域、第1のイオン交換ガラス領域に平行で、隣接する、コアガラス領域、コアガラス領域に平行で、隣接する、第2のイオン交換ガラス領域、第2のイオン交換ガラス領域に平行で、隣接する、第2の表面、(a)第1の表面上及び(b)ガラス領域の内の少なくとも1つの体積内、の少なくとも一方に配された光散乱粒子及び、第1の表面に対して傾けられ、ガラス領域の内の少なくとも1つの厚さにわたって広がる、傾斜端面を有する。
【0010】
一実施形態において、提供される工程は、傾斜面と平イオン交換ガラス板の平面の間のガラス角が(a)第1のイオン交換ガラス領域、(b)第2のイオン交換ガラス交換領域及び(c)コアガラス領域の内の少なくとも1つの厚さにわたって傾斜端面が広がるような角度である平イオン交換ガラス板を選択することによって実施され、傾斜端面と平面の間のガラス角は、90°より小さく、sin−1(n/n)より大きい。ここで、nは空気の屈折率であり、nは、(a)第1のイオン交換ガラス領域、(b)第2のイオン交換ガラス領域及び(c)コアガラス領域の内の対応する領域の屈折率である。
【0011】
一実施形態において、提供される工程は、傾斜面と平イオン交換ガラス板の平面の間のガラス角が全ガラス領域の総厚にわたって傾斜端面が広がるような角度である平イオン交換ガラス板を選択することによって実施され、傾斜端面と平面の間のガラス角は90°より小さく、sin−1(n/n)、sin−1(n/n)及びsin−1(n/n)の内の最大の角度より大きい。ここで、nは空気の屈折率であり、nは第1のイオン交換ガラス領域の屈折率であり、nは第2のイオン交換ガラス領域の屈折率であり、nはコアガラス領域の屈折率である。
【0012】
一実施形態において、第1のイオン交換ガラス領域及び第2のイオン交換ガラス領域のそれぞれの屈折率はコアガラス領域の屈折率と異なる。
【0013】
一実施形態において、第1のイオン交換ガラス領域及び第2のイオン交換ガラス領域のそれぞれは圧縮状態にあり、コアガラス領域は引張状態にあり、ガラス板は、約2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、または0.7mm以下の厚さを有する。
【0014】
一実施形態において、反射層が傾斜端面上に形成される。
【0015】
一実施形態において、第1のイオン交換ガラス領域及び第2のイオン交換ガラス領域の少なくとも一方の表面上に反射防止層が形成され、反射防止層は傾斜端面と対向関係にある位置にある。
【0016】
一実施形態において、反射層は第2の表面上に形成される。
【0017】
一実施形態において、光散乱粒子がガラス板の選ばれた領域に配されるかまたは集中され、よって、光ビームがガラス板内に結合されると、ガラス板の露出面上の装飾パターンが照明される。
【0018】
本開示の一態様において、ガラス板の露出面を面外光ビームで照明する方法が提供され、ガラス板は物体上の装飾フェーシアを形成する。方法は以下の工程を含む。(i)第1の表面、(ii)第1の表面に平行で、隣接する、第1のイオン交換ガラス領域、(iii)第1のイオン交換ガラス領域に平行で、隣接する、コアガラス領域、(iv)コアガラス領域に平行で、隣接する、第2のイオン交換ガラス領域、(v)第2のイオン交換ガラス領域に平行で、隣接する、第2の表面、(vi)(a)第1の表面上及び(b)ガラス領域の内の少なくとも1つの体積内の少なくとも一方に配された光散乱粒子及び、(vii)平面に対して傾けられ、ガラス領域の内の少なくとも1つの厚さにかけて広がる、傾斜端面を有する
平イオン交換ガラス板を提供する工程。傾斜端面と対向する位置関係にある第2の表面に隣接して細長光ビームを配置する工程。細長光ビームがガラス領域の内の少なくとも1つを通過して傾斜端面に当たってガラス領域の内の少なくとも1つに結合される反射細長光ビームを生成するように、細長光ビームを平イオン交換ガラス板に投射する工程、ガラス領域の内の少なくとも1つに結合された光の少なくとも一部を散乱させる工程−これにより、散乱光の一部がガラス板の露出面から放射され、ガラス板の露出面の少なくとも一部を照明する。
【0019】
一実施形態において、ガラス板は、傾斜端面と平イオン交換ガラス板の間のガラス角が、細長光ビームが投射する工程中に傾斜端面に当たると傾斜端面において全反射がおこるような角度である、平イオン交換ガラス板である。
【0020】
一実施形態において、光の少なくとも一部を散乱させる工程は、結合された光をガラス板の選ばれた領域においてガラス板の他の領域におけるより多く散乱させる工程を含み、これにより、ガラス板の露出面上の装飾パターンが照明される。
【0021】
一実施形態において、装飾パターンはメッセージを含み、メッセージはイベントの発生時に選択的に照明される。
【0022】
一実施形態において、細長光ビームはメッセージと位置合わせされた第1の色を有する第1の部分及び、少なくとも1つの、装飾パターンの残りの領域と位置合わせされた第2の色を有する第2の部分を有し、よってメッセージは装飾パターンの残りの領域とは異なる色で照明される。
【0023】
一実施形態において、細長光ビームの色を変える工程はイベントの発生時に行われる。
【0024】
一実施形態において、細長光ビームを投射する工程はイベントの発生時に行われる。
【0025】
一実施形態において、細長光ビームは第1の色を有する第1の部分及び、少なくとも1つの、第2の色を有する第2の部分を有し、よって、装飾パターンの第1の領域が少なくとも装飾パターンの第2の領域とは異なる色で照明される。
【0026】
本開示の別の態様に従えば、物体上の照明されるガラスフェーシアはガラス板を含み、ガラス板は、(a)上表面及び下表面、(b)ガラス板の上表面に隣接する第1のイオン交換ガラス領域、(c)第1のイオン交換ガラス領域の下のコアガラス領域、(d)コアガラス領域の下の、ガラス板の下表面に隣接する、第2のイオン交換ガラス領域、(e)ガラス板の平面に対して傾けられ、ガラス領域の内の少なくとも1つの厚さにわたって広がり、ガラスシートの下表面側を向いているガラス板内部の傾けられた内部反射面を有する、傾斜端面、及び(f)ガラス板内部及びガラス板の上表面上の少なくとも一方に分散された散乱粒子を有する。ガラス領域の内の少なくとも1つを通過して反射面に当たり、ガラス領域の内の少なくとも1つに結合される反射光ビームを生成する細長光ビームを放射するように傾斜端面と位置合わせされた細長光源がガラス板の下表面に隣接して配置され、これにより、反射光ビームが散乱粒子によって散乱され、光の一部がガラス板の上表面から放射されてガラス板の上表面を照明する。
【0027】
一実施形態において、散乱粒子はガラス板の選ばれた領域においてガラス板の他の領域におけるよりも集中され、これにより、ガラス板の上表面において装飾パターンが照明される。
【0028】
一実施形態において、装飾パターンは、ブランド名、商標またはロゴ、またはメッセージの内の少なくとも1つである。
【0029】
一実施形態において、細長光源は、第1の色で装飾デザインを照明するために装飾パターンの第1の領域に対応するガラス板の第1の領域に第1の色の第1の細長光ビームを放射する第1の細長光源及び第2の色で、ブランド名、商標またはロゴ、またはメッセージの内の少なくとも1つを照明するために装飾パターンの第2の領域に対応するガラス板の第2の領域に第2の色の第2の細長光ビームを放射する第2の細長光源を有する。
【0030】
一実施形態において、細長光源はイベントに応答して色を変える着色光ビームを放射する。
【0031】
一実施形態において、ガラスフェーシアは電子デバイスの前面または上表面に取り付けられる。
【0032】
一実施形態において、ガラスフェーシアは家電製品のドアの前面に取り付けられる。
【0033】
一実施形態において、細長光源はドアの前面の背後でドアの側面に取り付けられる。
【0034】
一実施形態において、ガラス板は、約2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、または0.7mm以下の厚さを有する。
【0035】
一実施形態において、ガラス板は平中央領域及び1つ以上の後方に曲げられた側縁領域を有し、中央領域と側縁領域の間の曲がりは5mm以下の半径を有する。
【0036】
一実施形態において、第1のイオン交換ガラス領域及び第2のイオン交換ガラス領域のそれぞれの屈折率はコアガラス領域の屈折率と異なり、第1のイオン交換ガラス領域及び第2のイオン交換ガラス領域のそれぞれは圧縮状態にあり、コアガラス領域は引張状態にある。
【0037】
一実施形態において、傾斜端面と平イオン交換ガラス板の平面の間のガラス角は、傾斜端面が(a)第1のイオン交換ガラス領域、(b)第2のイオン交換ガラス領域及び(c)コアガラス領域の内の少なくとも1つの厚さにわたって広がるような角度であり、傾斜端面と平面の間のガラス角は90°より小さく、sin−1(n/n)、sin−1(n/n)及びsin−1(n/n)の内の最大の角度より大きい。ここで、nは空気の屈折率であり、nは第1のイオン交換ガラス領域の屈折率であり、nは第2のイオン交換ガラス領域の屈折率であり、nはコアガラス領域の屈折率である。
【0038】
一実施形態において、反射層が傾斜端面上に形成される。
【0039】
一実施形態において、第1のイオン交換ガラス領域及び第2のイオン交換ガラス領域の少なくとも一方の表面上に反射防止層が形成され、反射防止層は傾斜端面と対向関係にある位置にある。
【0040】
一実施形態において、反射層は第2の表面上に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下は添付図面の図の説明である。図は必ずしも比例尺で描かれてはおらず、いくつかの図及びいくつかの図のビューは明解さ及び簡明さのため、尺度を誇張して、または簡略に、示されることがある。
図1a図1aは、面外光ビームを面内に結合するための傾斜端面を有する、平イオン交換ガラス板の斜視図である。
図1b図1bは、埋込み光散乱粒子を示す、図1aの平イオン交換ガラス板の断面図である。
図1c図1cは、埋込み光散乱サイトを示す、図1aの平イオン交換ガラス板の断面図である。
図2図2は、傾斜端面の様々な特性面内を示す、図1aの平イオン交換ガラス板の側面図である。
図3図3は、面外光ビームのガラス板内への結合を示す、図1aの平イオン交換ガラス板の側面図である。
図4図4は、面外光ビームをガラス板内に結合するための傾斜端面を有する、平イオン交換ガラス板の側面図である。
図5図5は、平イオン交換ガラス板の傾斜端面を介する、平イオン交換ガラス板内への面外光ビームの結合のデジタル画像である。
図6図6は、イオン交換ガラス領域の傾斜端面のガラス深さの関数としての、イオン交換ガラス領域内に結合されたパワーのグラフである。
図7図7は、イオン交換ガラス領域の傾斜端面のガラス深さの関数としての、イオン交換ガラス領域内に結合されたパワーの別のグラフである。
図8図8は、ガラス板の断面全体にわたって広がる傾斜面を用いる、平イオン交換ガラス板への面外光ビームの結合のための構成を示す。
図9図9は、光源の位置の関数としての、光結合のための傾斜端面を有する平イオン交換ガラス板に結合されるかまたは光結合のための傾斜端面を有する平イオン交換ガラス板によって散乱されるパワーのグラフである。
図10図10は、光源の位置の関数としての、光結合のための傾斜端面を有する平イオン交換ガラス板の遠端面から放射される遠視野パターンのグラフである。
図11図11は、本開示の一態様にしたがう、家電製品に取り付けられた光結合ガラス板の(比例尺では描かれていない)簡略な上表面図である。
図12図12は、本開示の別の態様にしたがう、家電製品に取り付けられた光結合形状のガラス板の(比例尺では描かれていない)簡略な上表面図である。
図13図13は、本開示の別の態様にしたがう、光結合ガラス板、取付けレール及び家電製品の部分分解組み立て斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の詳細な説明においては、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために数多くの特定の詳細が述べられるであろう。しかし、本発明の実施形態がこれらの特定の詳細のいくつかまたは全てを用いずに実施され得る場合が当業者には明らかであろう。他の場合に、本発明において新規であって明白ではない事柄に注意を集中させるため、周知の特徴及びプロセスは詳細に説明されないことがある。さらに、共通であるかまたは同様の要素を識別するため、同様であるかまたは同じ参照数字が用いられることがある。
【0043】
イオン交換された、化学的強化ガラスは、強度が高く、耐すり傷性が高いことから、家電製品及びその他のデバイスのための優れた保護カバーまたは装飾カバーを提供する。薄いイオン交換ガラス板は、スクリーンを介して表示または情報収集を行う、携帯型デバイス、スマートホン、テレビジョン及びスマート家電のような、電子デバイス上の装飾フェーシアとしての使用に特に適する。薄いとは、ガラス板の厚さが、2mm以下、または1.5mm以下、1mm以下、0.7mm以下、0.5mm〜1.5mm、または0.5mm〜1mmであることを意味する。薄ガラス板は高められたディスプレイ外観及びタッチスクリーンまたは、ガラスカバーまたはフェーシアの下に配された、コントロールの高められた性能を提供する。薄ガラス板は、ガラス板の下のタッチコントロール及びディスプレイの、クリーンで、モダンで、端から端までの、デザインでの継目無し組込も可能にする。薄いイオン交換ガラス板は、台所用家電のような、大型の家電製品及び、スマートホン及びメディアプレイヤーのような、小型携帯デバイスのいずれにも、軽量で、強靱であり、スペース節約型の、カバーまたはフェーシアも提供する。
【0044】
ガラスのカバーまたはフェーシアは平ガラス板で形成することができるが、湾曲ガラス板または成形ガラス板で形成することもできる。透明または不透明なガラスフェーシアは、ガラスフェーシアを介して照明するかまたは光を差し込ませるためにガラス板の下にまたはガラス板に隣接して光源を備えることにより、装飾ライティング効果も可能にする。いくつかの家電用途においては、スペースの及び審美的な制約により、ガラス板の平面においてガラス板の縁と揃えてガラスフェーシアの下またはガラスフェーシアの一縁に光源を配することは不可能であるかまたは望ましくない。本開示は、入力ビームがガラス板の平面と合わせられていない、例えば「面外」である、場合に、イオン交換ガラス板とすることができる、ガラス板の平面内に光をどのように結合させるかを扱う。
【0045】
図1aは一体化面外光ビーム結合を行う平イオン交換ガラス板100を示す。平イオン交換ガラス板100は、上部イオン交換ガラス領域102,上部イオン交換ガラス領域102の下のコアガラス領域104及びコアガラス領域104の下の下部イオン交換ガラス領域106を有する。一点鎖線102a,106aは、コアガラス領域104からイオン交換ガラス領域102,106を見てわかるように分けるために用いられる。イオン交換ガラス領域102.106に用いられている語句、「上部」及び「下部」は、図面の方位に対して任意であり、簡便のために用いられている。ここで、イオン交換領域102,106は表面領域である。ここで、イオン交換ガラス領域は、ガラス板を形成する基礎ガラスにおいて以前は小半径イオンによって占められていたサイトに大半径拡散イオンを有する。コアガラス領域104はイオン交換ガラス領域102,106の特徴である拡散イオンを全く含んでいないかまたは有意な量を含んでおらず、よってコアガラス領域が基礎ガラスの組成を実質的に保持するという点において、イオン交換領域ではない。一実施形態において、基礎ガラス、したがってガラス領域102,104,106のそれぞれのガラス構造はアルカリ金属イオンを含有する。さらに、イオン交換ガラス領域102,106内のアルカリ金属イオンの少なくともいくらかは、コアガラス領域104の特徴ではない、大半径アルカリ金属イオンである。イオン交換ガラス領域102,106内に存在する大半径イオンは、イオン交換ガラス領域102,106をコアガラス領域104とは異ならせ、平イオン交換ガラス板100の全体強度を向上させるに十分な量でガラス板に拡散されている。差異化は、ガラス構造、ガラス内応力及び1つ以上の光学特性に関わることができる。
【0046】
一実施形態において、イオン交換ガラス領域102,106内の大半径拡散イオンは基礎ガラス内において初めは小半径イオンによって占有されていたサイトを占有しているが、コアガラス領域は小半径イオンの全てを保持し、大半径拡散イオンを全く含有していないから、イオン交換ガラス領域102,106は、圧縮性圧力が加えられ、すなわち圧縮応力状態にあり、コアガラス領域104は引張状態に、すなわち引張応力下にある。また、一実施形態において、イオン交換ガラス領域102,106内の拡散イオンはこれらの領域の屈折率も変え、よってイオン交換ガラス領域102,106のそれぞれはコアガラス領域104とは異なる屈折率を有する。一実施形態において、イオン交換ガラス領域102,106内の拡散イオンは、イオン交換ガラス領域102,106のそれぞれの屈折率がコアガラス領域104の屈折率より高くなるように選ばれる。別の実施形態において、イオン交換ガラス領域102,106内の拡散イオンは、イオン交換ガラス領域102,106のそれぞれの屈折率がコアガラス領域104の屈折率より低くなるように選ばれる。イオン交換ガラス領域102,106の屈折率は同じであってもなくても差し支えない。コアガラス領域104とイオン交換ガラス領域102,106のいずれの一方との間の屈折率差も0.1までとすることができ、あるいは、いくつかの場合には、例えば交換イオンとして銀が用いられれば、0.1より高くすることさえできる。
【0047】
上の段落で説明されたイオン交換ガラス領域102,106とコアガラス領域104の間の差にかかわらず、一実施形態において、イオン交換ガラス領域102,106及びコアガラス領域104は単一体を形成する。すなわち、イオン交換ガラス領域102はコアガラス領域104と連続一体であり、コアガラス領域104はイオン交換ガラス領域106と連続一体であり、よってガラスの単一連続板を形成する。ここで、第1の領域は第2の領域と、2つの領域の間に継目または接合がなければ、連続一体である。この実施形態に対し、図1aにおいては一点鎖線102a,106aがイオン交換ガラス領域102,106のそれぞれをコアガラス領域104から目に見えるように分け、他の図ではこれらの領域の間の継目は表されていない。
【0048】
ガラス領域102,104,106は平領域であり、平イオン交換ガラス板100の平面Pに平行である。平面Pはコアガラス領域104を通って任意に描かれている。しかし、平面Pは、イオン交換ガラス領域102,106のいずれを通しても、あるいはコアガラス領域104とイオン交換ガラス領域102,106のいずれかとの間に、容易に描かれ得るであろう。ガラス領域102,104,106のそれぞれは平面Pに対して垂直な方向に沿って測定される厚さを有する。一般に、イオン交換ガラス領域102,106の厚さまたは層深度は0.1μmから400μmの範囲にあり、コアガラス領域104の厚さは50μmから10mmの範囲にある。一般に、一実施形態においてガラス領域102,104,106の総合厚である平イオン交換ガラス板100の総厚Tは50μmから10mmの範囲にあるが、2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、または0.7mm以下の総厚を有する薄ガラス板が有利であろう。
【0049】
一実施形態において、上部イオン交換ガラス領域102の表面103上に光散乱粒子107が散布されるかまたは配される(図1a)。粒子の屈折率は、散乱効果を強めるために上部イオン交換ガラス領域の屈折率と異ならせることができる。光散乱粒子107はシリカ粒子またはドープトシリカ粒子のような非晶質粒子とすることができる。通常、これらの粒子は、ポリマーのような結合剤によるか、またはゾル−ゲルコーティングによって、表面103に付着させることができる。あるいは、上部イオン交換ガラス領域102の表面103上に、光散乱粒子の代わりに光散乱性表面構造を、例えば、粗化、アブレージョン、エッチング、またはその他の表面103の構造形成により、配することができる。一実施形態において、光散乱粒子108はガラス領域102,104,106の内の少なくとも1つの体積内に散布されるかまたは配される(図1b)。光散乱粒子108はシリカ粒子またはドープトシリカ粒子のような非晶質粒子とすることができる。別の実施形態において、ガラス領域102,104,106の内の少なくとも1つの体積内に光散乱サイト109が形成される(図1c)。光散乱サイト109はその体積内の光学特性または幾何学的形状の差異とすることができる。光散乱サイト109には、気泡のような空孔または、その他の、完全な平表面とは異なる屈折率の差異または幾何学的形状の差異の形態を含めることができる。表面構造、粒子または散乱サイトは、可視スペクトル内の光を散乱させるため、50nmより大きく、あるいは約50nmから約100nmの範囲にある、深さ/高さまたは寸法/直径を有することができる。
【0050】
それぞれの様々な位置及び形態にある、光散乱粒子107,108及び光散乱サイト109は、ガラス板100の平面に結合された光を平イオン交換ガラス板100にわたって拡散及び散乱させ(図3の矢印123及び125)、よって光の一部(矢印123)をガラス板の表面103を通して外部に放射させる、光散乱構造を提供する。よって、ガラス板100は照明されて、光るかまたは輝くように見える。光散乱構造、例えば粒子107,108及び/または光散乱サイト109は、ガラス板100の端面において光が結合されたときにガラス板100の全体を実質的に一様に照明するため、ガラス板100の全体にわたって実質的に一様に分散させることができる。あるいは、光散乱構造107,108及び109は、ガラス板100の端面に光が結合されたときにガラス板100の表面上に、画像、テーマまたはデザインのような、装飾パターンを明るく浮かび上がらせるための、選ばれた領域に配することができる。装飾パターンは、ブランド名、商標またはロゴ、またはメッセージとすることができ、あるいはこれらを含むことができる。
【0051】
一実施形態において、上部イオン交換ガラス領域102は平イオン交換ガラス板100の端面101に傾斜端面110を有する。一実施形態において、傾斜端面110は上部イオン交換ガラス領域102と構造一体である(図1a.2及び3)。傾斜端面110は面外光ビームを平イオン交換ガラス板100に結合するために設けられる。一実施形態において、傾斜端面110は平表面である。傾斜端面を含む端面101は平表面で形成されるかまたは平表面と湾曲表面の組み合わせで形成される。
【0052】
図2において、傾斜端面110には、平イオン交換ガラス板100の内部に面しているガラス側111及び平イオン交換ガラス板100の外部に面している空気側113がある。傾斜端面110は平イオン交換ガラス板100の平面Pに対してガラス角g1だけ傾けられる。角度とともに用いられる語「ガラス」は、ガラスにかけて測定される角度を意味する。一実施形態において、ガラス角g1は鋭角である。ガラス角g1は鋭角とし、傾斜端面110における臨界角c1より大きくすることができる。傾斜端面110における臨界角c1は傾斜端面の法線N1に対して測定され、それ以上では傾斜端面110において全反射がおこるであろう入射角である。臨界角c1はsin−1(n/n)であり、ここで、nは傾斜端面110の空気側113にある媒質の屈折率であり、nは傾斜端面110のガラス側111にある媒質の屈折率である。傾斜端面110の空気側113にある媒質は空気とすることができるが、他の気体あるいはガラス板の縁を封入しているフレームまたは封入材とすることができる。傾斜端面110のガラス側113にある媒質は上部イオン交換ガラス領域102であろう。一実施形態において、nは空気の屈折率であり、nは上部イオン交換ガラス領域102の屈折率である。傾斜端面100は、一実施形態において上部イオン交換ガラス領域102の厚さt1と同じであるガラス高h1を有する。傾斜面101はt1/tan(g1)で与えられるガラス深さd1も有する。いかなる与えられたガラス高h1に対しても、傾斜端面110の結合効率を最適化するに適切に、ガラス角g1またはガラス深さd1を選ぶことができる。
【0053】
図3において、細長または線型の光源118,例えば蛍光灯、線型レーザ素子アレイ、線型LED素子アレイあるいは、レーザ素子またはLED素子にビームスプリッタによって結合された、線形光ファイバアレイが、下表面105に隣接して、下表面105と平行に、下表面105の下に、また傾斜端面110が配されているガラス板100の端面101に隣接して(例えば面外に)、配置される、光源118は、平イオン交換ガラス板100を通して面外細長光ビームまたは線型光ビームアレイ(入力光ビーム120)を傾斜端面110のガラス側111に向けるために、傾斜端面のガラス側111に対向する位置関係で配置される。入力光ビーム120は平イオン交換ガラス板の平面Pに実質的に垂直な方向に放射することができる。面外光ビーム120は偏光または非偏光とすることができ、紫外波長範囲、可視波長範囲、近赤外波長範囲及び赤外波長範囲のいずれにもあることができる。面外光ビーム120のプロファイルを、傾斜面110を通して平イオン交換ガラス板100に一層効率よく結合するであろうプロファイルに修正するため、線型マイクロレンズアレイまたは細長レンズのような光学素子119を光源118と平イオン交換ガラス板100の間に配置することができる。例えば、光学素子119を用いてコリメートビームを生成することができる。面外光ビーム120は平イオン交換ガラス板100の幅W(図1aのWを見よ)に沿って配列された複数の点ビームの線型アレイとすることができる。あるいは、面外光ビームは平イオン交換ガラス板100の幅Wに沿って延びる細長線型ビームとすることができる。複数の光ビームの線型アレイを単一光源118からビームスプリッタを介して与えることもできる。
【0054】
面外光ビーム120は平イオン交換ガラス板100の下表面105における表面領域105aを通ってガラス板100に入り、イオン交換ガラス領域106及びコアガラス領域104を通って進み、次いで傾斜端面110の表面111に当たって、反射光ビーム122を生じさせる。反射光ビーム122は、上部イオン交換ガラス領域102内に入れるために揃えられた(ガラス板の平面Pに対する)面内ビームである。反射光ビーム122は上部イオン交換ガラス領域に沿って進むから、反射光ビーム122は、光散乱構造(粒子107または108及び/または光散乱サイト109)、ガラス板の上表面103及び上部イオン交換ガラス領域102とコアガラス領域104の間のガラス−ガラス境界面102bに当たる。表面103を通過する反射光ビーム122の光散乱構想107,108,109に当たる部分は、反射光ビームの少なくとも一部123がガラス板100(及び上部イオン交換ガラス領域102)から外部に放射されるように、散乱される(図3の矢印123及び125)。反射光ビーム122の別の部分125は散乱されてコアガラス領域104に向かう。コアガラス領域104に向けて散乱された光ビームはイオン交換ガラス領域102,106に向けて反射され得る。しかし、コアガラス領域104の屈折率が上部イオン交換ガラス領域102及び下部イオン交換ガラス領域106の屈折率より高くなるように選ばれていれば、コアガラス領域104に向けて散乱された光ビーム125はコアガラス領域104内に閉じ込められて、コアガラス領域104に沿って導光され得る。光ビーム125の内のいくらかは、(a)コアガラス領域104と下部イオン交換ガラス領域106の間の境界面106a及び(b)ガラス板100の下表面105の内の1つによって反射されて、ガラス板の上表面103に向けて戻り、上表面103から外部に出るであろう。光ビーム125のかなりの部分を反射してガラス板の上面103に向けて戻し、上表面103から外部に出し、よって、ガラスシートの上面103の照明の輝度またはパワーを強めるため、ガラスシートの下表面105上に反射コーティング(図示せず)を施すことができる。
【0055】
傾斜端面110の結合効率を最大化し、よってガラス板100の上表面103から外部に放射される光の輝度を最大化するため、多くの手段をとることができる。手段の1つはガラス角g1を臨界角c1より大きくなるように設定することである。この設定により、理論的には、傾斜端面110に当たる面外光ビーム120が完全に反射されて平イオン交換ガラス板100に入り、よってより多くの面外光ビーム120が反射されて、反射光ビーム122として上部イオン交換ガラス領域102に結合されるように、傾斜端面において全反射がおこるはずである。材料欠陥のため、傾斜端面110に当たる面外光ビーム120の内のいくらかは傾斜端面110の空気側113に抜け出すかまたはガラス板の外側の領域に散乱されるであろう。傾斜端面110による光パワーの減損を抑制し、よって上部イオン交換ガラス領域102へのより多くの光パワーの結合を可能にするため、傾斜端面110の空気側113上に反射コーティング126を施すことができる。面外光ビーム120の第1の初期反射(この初期反射はガラス−空気界面に対して通常は4%である)を回避するため、ガラス板の入力領域105aに無反射コーティング127を施すことができ、これも上部イオン交換ガラス領域102への結合及びガラス板の上表面103から外部への放射により多くの光パワーを利用できるようにするであろう。結合効率は面外光ビーム120の幅w1を傾斜端面110の深さd1(図2のd1を見よ)に整合させることによって向上させることもできるであろう。幅w1は0.05倍から10倍とすることができるが、最終的に、幅w1も用いられている光源のスポット径の関数になるであろう。
【0056】
上部イオン交換ガラス領域102と同様の態様で、コアガラス領域104及び下部イオン交換ガラス領域106も傾斜端面を有することができるであろう。図4において、下部イオン交換ガラス領域106は、平イオン交換ガラス板の平面Pに対してガラス角g2だけ傾けられた、構造一体の傾斜端面128を有する。一実施形態において、角度g2は鋭角であり、傾斜端面128における臨界角より大きい。この場合、傾斜端面128における臨界角はsin−1(n/n)であり、ここで、nは傾斜端面128の空気側139にある媒質の屈折率であり、nは傾斜端面128のガラス側137にある媒質の屈折率である。傾斜端面128の空気側139にある媒質は空気とすることができる。傾斜端面128のガラス側137にある媒質は下部イオン交換ガラス領域106であろう。言い換えれば、nは空気の屈折率とすることができるであろうし、nはしたがって下部イオン交換ガラス領域106の屈折率である。傾斜端面110と同様の態様で、傾斜端面128は面外光ビームを下部イオン交換ガラス領域106内に結合する。
【0057】
一実施形態において、コアガラス領域104も、平イオン交換ガラス板の平面Pに対してガラス角g3だけ傾けられた、傾斜端面130を有する。一実施形態において、g3は鋭角であり、傾斜端面130における臨界角より大きい。この場合、傾斜端面130における臨界角はsin−1(n/n)であり、ここで、nは傾斜端面130の空気側129にある媒質の屈折率であり、nは傾斜端面130のガラス側137にある媒質の屈折率である。傾斜端面130の空気側131にある媒質は空気とすることができる。傾斜端面130のガラス側129にある媒質はコアガラス領域104であろう。言い換えれば、nは空気の屈折率とすることができるであろうし、nはコアガラス領域104の屈折率である。傾斜端面110と同様の態様で、傾斜端面130は面外光ビームをコアガラス領域104内に結合する。
【0058】
一実施形態において、傾斜端面110,128及び130は、平イオン交換ガラス板100の全断面(または厚さ)にわたって広がる単一(連続)傾斜端面132を形成するように、連続で、揃えられている。あるいは、傾斜端面110及び128は上部イオン交換領域102及びコアガラス領域104だけにわたって広がることができる(図示せず)。傾斜端面132は平イオン交換ガラス板100の平面Pに対してガラス角gだけ傾けられ、ここで90°<g<[(sin−1(n/n),sin−1(n/n),sin−1(n/n))の最大値]であり、n,n,n及びnは上で定めた通りである。傾斜端面132の相異なる領域は、図3を参照して上述した態様と同じ態様で面外光ビーム134の相異なる部分を領域102,104,106に結合する。コアガラス領域104を通して導光するため、イオン交換ガラス領域102,104のそれぞれの屈折率はコアガラス領域104の屈折より低くして、イオン交換ガラス領域102,106からコアガラス領域104内に散乱された光がコアガラス領域104内にとどまるように、選ぶことができる。面外光ビーム134は、領域102,104及び106の全てに隣接する場所において傾斜端面132に当たるに十分に幅が広い単一光ビームとして、または複数の光ビームとして、与えることができる。後者の場合、複数の光ビームのそれぞれは領域102,104,106の内の1つへの結合を目標とすることができる。傾斜端面110に対する結合効率を最大化するかまたは向上させるための上述した手段は傾斜端面132に適用することもできる。例えば、反射材141で傾斜端面132をコーティングすることができるであろう。また、面外光ビーム134の幅wは、傾斜端面132の深さ並びに所望の結合効率及び整合公差(すなわち、光源118と、光ビームがそこを通って平イオン交換ガラス板100に入る、表面領域部分105aの間の位置整合の許容差)に基づいて適切に選ばれるべきである。
【0059】
平イオン交換ガラス板内への、ガラス角が45°のイオン交換ガラス領域の傾斜端面を介する、光結合の実行可能性を実証するために実験を行った。実験には図3に示されるデバイスを用いた。傾斜端面110の臨界角はほぼ41.5°であった。傾斜端面110は、45°のガラス角とともに100μmのガラス高h1をもたらすであろう、100μmのガラス深さd1を有していた。イオン交換ガラス領域のイオン拡散層深さは51.6μmであった。この実験において、ガラス板には光散乱粒子107,108または光散乱サイト109を全く含めず、300μm幅の面外光ビームを用いた。1550nmで発光するレーザを用いて面外光ビームをガラス板内に投射した。ガラス板からの出力を赤外線カメラで検出した。図5は実験結果のデジタル画像である。明領域114はイオン交換ガラス領域の傾斜端面を介してガラス板内に結合された光ビームを示す。
【0060】
ガラス角g1及び深さh1,上部イオン交換ガラス領域102の厚さt1に関係付けられる傾斜端面110のガラス深さd1の、傾斜端面を介する上部イオン交換ガラス領域内への光結合への効果を調べるため、第1のシミュレーションを行った。このシミュレーションにおいて、ガラス板には光散乱粒子107,108または光散乱サイト109を全く含めず、300μm幅の面外光ビームを用いた。傾斜端面を有するイオン交換ガラス領域の厚さは、面外光ビームの幅の1/12である、25μmとした。CCDカメラ153及び較正されたパワーメータを用いて反射光122の輝度またはパワーをモニタし、CCDカメラ149及び較正されたパワーメータを用いて非反射光の輝度またはパワーをモニタした(図8を見よ)。図6は傾斜端面を有するイオン交換ガラス領域内に結合された反射光122の輝度またはパワー(Pn)の、ガラス深さd1(図2のd1を見よ)の関数としてのグラフである。図6に示されるパワーは規格化してある。これは、ガラス板内に有効に結合され、ガラス板内に光散乱粒子107,108または光散乱サイト109を付加するとガラス板の上表面103を照明するために利用できる、光のパワーまたは量を示す。グラフには示されていないが、コアガラス領域内及び下部イオン交換ガラス領域内に、すなわち傾斜端面を有していない領域内に結合されたパワーは非常にわずかでしかないかまたは全くなかった。結合されたパワーはガラス深さと非線形関係にある。図6の観測された複数のパワーピークは、ガラス板内の多重反射及び多モード結合による干渉が原因であろう。
【0061】
幅が50μmの面外ビームを用いたことを除き、全般的には第1のシミュレーションに説明したように、第2のシミュレーションを行った。図7は傾斜端面を有するイオン交換ガラス領域内に結合された反射光122の輝度またはパワーの、ガラス深さd1の関数としてのグラフである。図7に示されるパワーは規格化してある。前のシミュレーションと同様に、傾斜端面を有していないコアガラス領域内及び下部イオン交換ガラス領域内に結合されたパワーは非常にわずかでしかないかまたは全くなかった。第1のシミュレーションと同様に、結合されたパワーはガラス深さと非線形関係にある。図7の観測された複数のパワーピークは、ガラス板内の多重反射及び多モード結合による干渉が原因であろう。
【0062】
ガラス板の全断面にわたって広がる傾斜端面を用いるガラス板の全断面内への光結合の実行可能性を実証するために実験を行った。実験の構成を図8に示す。傾斜端面のガラス角は45°である。この実験において、ガラス板には光散乱粒子107,108または光散乱サイト109を全く含めず、300μm幅の面外光ビームを用いた。面外光ビームを発生させるため、光源として幅が3μmで開口数が15°のLED素子を用いた。図8に示されるように入力光ビームをガラス板内に投射した。ガラス板内を透過した光、すなわち、反射されず、ガラス板内に結合されなかった光の輝度またはパワーをCCDカメラ149及び較正されたパワーメータで測定した。反射されてガラス板内に結合された(したがって、散乱されてガラス板の上表面103を照明するために利用できる)光122の輝度またはパワーをCCDカメラ153及び較正されたパワーメータで測定した。測定中、矢印Bで示されるように、ガラス板の近端101に対する光源118の位置を変えた。
【0063】
ガラス板に結合された光のパワーを面外光ビームのパワー及びガラス板を投下したパワーの測定値から推定した。図9は光源の位置(B)の関数としてのガラス板に結合された光の輝度またはパワー(Pc)のグラフを示す(図9の実線)。光源の位置の関数としてのガラス板に結合された(ガラス板を照明するための散乱に利用できる)入力パワーの百分率も図9に示される(図9の破線)。ガラス板に結合されたパワーと光源位置の間の関係は非線形である。しかし、ガラス板に結合されるパワーが最大化される、顕著な光源位置の範囲がある。図9は最適光源位置において約50%の入力パワーがガラス板に結合されたことを示す。結合がほとんどまたは全くおこらないいくつかの光源位置については、事実上傾斜面から反射される光がないほど、LEDのガラス板との整合がずれているのであろう。
【0064】
その結果が図9にグラフで示され、構成が図8に示される、実験に用いられたパラメータのいくつかについて、反射されてガラス板に結合される光122の輝度またはパワーを、ガラス板の中心位置近くに焦点を合わせたUVレンズ151及びCCDカメラ153及び較正されたパワーメータを用い、ガラス板の縁端150からいくらかの距離において測定した。前の実験と同様に、測定中ガラス板の近端101に対する光源位置Bを変えた。UVレンズ151はガラス板の縁端面150から放射される全パワーの一部しか集められない。図10は部分遠視野パワー(Pf)対光源位置(B)のグラフを示す(実線)。図10には入力の百分率対光源位置としての部分遠視野パワーのグラフも示される(破線)。図9は、考慮された全ての光源位置に対して、すなわちガラス板内にパワーが結合されていないように見える場合(パワーがガラス板内に結合されていなかった光源位置については図8を見よ)であっても、ガラス板の縁端150から光が放射されることを示す。これは、遠視野で集められる光の内のいくらかは、ガラス表面103,108並びにガラス領域界面102a及び106a上の光の散乱によるであろうことを示唆する。
【0065】
一実施形態において、平イオン交換ガラス板100の作製方法は、平ガラス板を提供する工程を含む。ガラス板100は、コーニング(登録商標)社のGorilla(商標)ガラスのような、化学的強化ガラスで形成することができる。ガラス板は比較的薄い。薄いまたは比較的薄いとは、ガラス板の厚さが、約2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、0.7mm以下、0.5mmから1.5mm、または0.5mmから1mmであることを意味する。フェーシアまたはカバーへのそのような薄ガラス板の使用により、ガラス板を曲げて、3.2mm厚ソーダ石灰ガラス板のような、比較的厚いガラス板で利用できるよりもかなり小さい曲率半径を有する湾曲を形成することが可能になる。電子デバイスまたはその他のデバイスのくっきりと鮮やかな装飾外観のためにフェーシアまたはカバーに比較的鋭いコーナーを与えるためには、10mm以下または5mm以下の比較的小さい曲率半径が望ましいであろう。Gorillaガラスは圧縮応力の比較的深い層深度(DOL)を有し、比較的高い、曲げ強度、耐かき傷性及び耐衝撃性を提供する。球落下試験データが示すように、1mm厚Gorillaガラス板は3.2mm厚ソーダライムガラス板への球落下と同等の耐衝撃性を有する。Gorillaガラス板の利点により、家電製品及びその他の、建築物及び建築構造のような比較的大型のデバイスのための、頑丈で薄く、軽量のガラスパネルの可能性が、また小型の携帯デバイスのための、頑丈で、スペースを節約し、軽量のスキンの可能性が、生じ得る。さらに、比較的薄いGorillaガラス板は、デバイスの前面へのいかなるタイプのディスプレイまたはその他のタッチコントロールパネルの一層良い組込も可能にする、優れた容量性タッチ機能感度を提供する。
【0066】
ガラス板はアルカリ含有ガラスとすることができる。適するガラス組成の例は、いずれもコーニング社に譲渡されている、米国特許出願第11/888213号、第12/277573号、第12/392577号、第12/393241号及び/537393号の明細書に開示されている。これらの明細書の内容はそれぞれの全体が本明細書に含められる。ガラス板の形成に適するイオン交換可能ガラスの例はアルカリアルミノケイ酸ガラスまたはアルカリアルミノホウケイ酸ガラスであるが、他のガラス組成も考えられる。本明細書に用いられるように、「イオン交換可能」は、ガラスがガラスの表面または表面近傍にある陽イオンを、径がより大きいかまたは小さい、原子価が同じ陽イオンと交換できることを意味する。一例のガラス組成はSiO,B及びNaOを含有し、ここで(SiO+B)≧66モル%、及びNaO≧9モル%である。一実施形態において、ガラス板は少なくとも6重量%の酸化アルミニウムを含む。別の実施形態において、ガラス板は1つ以上のアルカリ土類酸化物を、アルカリ土類酸化物の含有量が少なくとも5重量%であるように、含有する。適するガラス組成は、いくつかの実施形態において、KO,MgO及びCaOの内の少なくとも1つをさらに含有する。特定の実施形態において、ガラスは、61〜75モル%のSiO,7〜15モル%のAl,0〜12モル%のB,9〜21モル%のNaO,0〜4モル%のKO,0〜7モル%のMgO及び0〜3モル%のCaOを含有することができる。
【0067】
ガラス積層の形成に適する別の例のガラス組成は、60〜70モル%のSiO,6〜14モル%のAl,0〜15モル%のB,0〜15モル%のLiO,0〜20モル%のNaO,0〜10モル%のKO,0〜8モル%のMgO,0〜10モル%のCaO,0〜5モル%のZrO,0〜1モル%のSnO,0〜1モル%のCeO,50ppm未満のSbを含有し、ここで、12モル%≦(LiO+NaO+KO)≦20モル%及び0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0068】
また別の例のガラス組成は、63.5〜66.5モル%のSiO,8〜12モル%のAl,0〜3モル%のB,0〜5モル%のLiO,8〜18モル%のNaO,0〜5モル%のKO,1〜7モル%のMgO,0〜2.5モル%のCaO,0〜3モル%のZrO,0.05〜0.25モル%のSnO,0.05〜0.5モル%のCeO,50ppm未満のAs及び50ppm未満のSbを含有し、ここで14モル%≦(LiO+NaO+KO)≦18モル%及び2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0069】
特定の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、アルミナ、少なくとも1つのアルカリ金属及び、いくつかの実施形態において50モル%より多くのSiO,他の実施形態においては少なくとも58モル%のSiO,また他の実施形態においては少なくとも60モル%のSiOを含有し、比:
【0070】
である。この比において成分はモル%で表され、改質剤は酸化アルカリ金属である。このガラスは、特定の実施形態において、58〜72モル%のSiO,9〜17モル%のAl,2〜12モル%のB,8〜16モル%のNaO,0〜4モル%のKOを含有するか、基本的にこれらからなるか、またはこれらからなり、比:
【0071】
である。
【0072】
別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは61〜75モル%のSiO,7〜15モル%のAl,0〜12モル%のB,9〜21モル%のNaO,0〜4モル%のKO,0〜7モル%のMgO及び0〜3モル%のCaOを含有するか、基本的にこれらからなるか、またはこれらからなる。
【0073】
また別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、60〜70モル%のSiO,6〜14モル%のAl,0〜15モル%のB,0〜15モル%のLiO,0〜20モル%のNaO,0〜10モル%のKO,0〜8モル%のMgO,0〜10モル%のCaO,0〜5モル%のZrO,0〜1モル%のSnO,0〜1モル%のCeO,50ppm未満のAs及び50ppm未満のSbを含有するか、基本的にこれらからなるか、またはこれらからなり、ここで12モル%≦(LiO+NaO+KO)≦20モル%及び0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0074】
また別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、64〜68モル%のSiO,12〜16モル%のNaO,8〜12モル%のAl,0〜3モル%のB,2〜5モル%のKO及び4〜6モル%のMgOを含有するか、基本的にこれらからなるか、またはこれらからなり、ここで66モル%≦(SiO+B+CaO)≦69モル%、(NaO+KO+B+MgO+CaO+SrO)>10モル%、5モル%≦(MgO+CaO+SrO)≦8モル%、[(NaO+B)−Al]≦2モル%、2モル%≦(NaO−Al)≦6モル%及び4モル%≦[(NaO+KO)−Al]≦10モル%である。
【0075】
ガラスは、いくつかの実施形態において、0〜2モル%の、NaSO,NaCl,NaF,NaBr,KSO,KCl,KF,KBr及びSnOを含む群から選ばれる少なくとも1つの清澄剤と合わせてバッチ形成される。
【0076】
平ガラス板または成形ガラス板は、ガラス構造内の小半径アルカリ金属イオンの一部が大半径アルカリ金属イオンに交換される、イオン交換プロセスにかけられる。イオン交換過程はガラスの遷移温度をこえない範囲の高温でおこる。ガラス板はアルカリ金属の塩を含む溶融塩浴に浸漬され、塩のアルカリ金属はガラスに含まれるアルカリ金属イオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する。浴内において、ガラス内の小半径アルカリ金属イオンが塩の大半径アルカリ金属イオンに交換される。イオン交換プロセスにかけられたガラス板の表面及び表面近傍において、大半径イオンは小半径イオンが前に占めていたサイトに常駐して、ガラス板のその領域に圧縮応力を生じさせるであろう。イオン交換後、ガラス板は冷却される。イオン交換のイオン拡散深さは、ガラス組成並びにイオン交換の時間及び温度によって制御される。ガラス板が曲げられるかまたは成形される場合、ガラス板はイオン交換に先立って所望の形状に曲げられるかまたは成形される。
【0077】
平ガラス板または成形ガラス板をイオン交換プロセスにかける代わりに、平イオン交換ガラス板100を作製する方法は、イオン交換ガラス領域を有する平ガラス板または成形ガラス板で開始することもできる。そのようなガラスの一例はコーニング社のGorillaガラスである。
【0078】
次いで、イオン交換プロセスにかけられた平ガラス板または成形ガラス板の端面が劈開されて傾斜端面が形成される。劈開プロセスはイオン交換プロセスに先だって行うこともできる。傾斜端面は(図3に示されるように)単一のイオン交換ガラス領域の厚さにわたって、あるいは単一のイオン交換ガラス領域及びコアガラス領域にわたって(図示せず)、広がることができる。平ガラス板をイオン交換プロセスにかける前に平ガラス板の端面を劈開して平ガラス板の端面に傾斜端面を形成することも可能である。反射率を高めるため、劈開面を研磨することができる。
【0079】
一実施形態において、傾斜端面上及び傾斜端面の周囲のガラス板の表面部分に反射材を施すことができる。反射材は、導電性塗料反射器、導電性薄膜、金属膜または積層誘電体薄膜の形態にあることができる。
【0080】
別の実施形態において、光源が配置され、光源とガラス板の間の第1の界面である、ガラス板の平入力ファセット上に(すなわち、図3及び4の表面領域105aにおいて)、コーティングとすることができる反射防止材料、ガラス板表面の粗面化または表面構造形成、または多重領域誘電堆積層が施される。反射防止材は、ガラス板内に結合される光の量を増加させ、入力ビームが最初にガラス内に入るガラスの界面における光の第1の初期反射(この初期反射はガラス−空気界面に対して通常は4%である)を回避するために用いることができる。
【0081】
ガラス板内の結合された光の一部がガラス板の表面から放射され、よってガラス板を照明するように、ガラス板内に結合された光ビームの散乱に役立たせるため、平ガラス板の表面上に光散乱材107を与えることができる。散乱材はガラス板の表面上に配された粒子の形態にあることができる。光散乱材の屈折率は、散乱効果を高めるため、上部イオン交換ガラス領域の屈折率と異ならせることができる。散乱材はシリカ粒子またはドープトシリカ粒子のような非晶質粒子とすることができる。通常、これらの粒子は、ポリマーのような結合剤により、またはゾル−ゲルコーティングにより、ガラス板の表面上に配することができる。あるいは、エッチング、サンドブラストまたはアブレージョンのようないずれか適するプロセスを用いて、ガラス板の表面を粗面化するかまたは表面構造を形成することができる。あるいは、光散乱材または光散乱構造は、光ビームがその中に結合される平ガラス板の体積または領域内に埋め込むことができる。埋め込まれる散乱材または散乱構造は、粒子、気泡または微細気泡の形態に、あるいはその他の完全平坦表面とは異なる屈折率コントラストまたは幾何学的形状コントラストの形態にあることができる。
【0082】
光散乱材または光散乱構造は、ガラス板の端面に光が結合されたときにガラス板全体を実質的に一様に照明するため、ガラス板全体にわたって実質的に一様に分散させることができる。あるいは、光散乱材または光散乱構造は、ガラス板の端面に光が結合されたときにガラス板の表面上の画像、テーマ、またはデザインのような、照明された装飾パターンを生じさせるため、ガラス板の選ばれた領域だけに配することができ、あるいはガラス板の選ばれた領域により多く集中させることができる。装飾パターンは、ガラス板全体にわたって広がることができ、あるいはガラス板の選ばれた領域だけに配置することができる。装飾パターンは、ブランド名、スローガン、警告、商標またはロゴとするかまたはこれらを含むことができ、あるいは、常時または、所望にまたは必要に応じて、選択的にいくつかの時点に、照明される操作メッセージ、情報または警告を与えることができる。例えば、ガラス板は、デバイスが作動している時にだけ、あるいは家電製品のドアが開けられるか、閉じられるかまたは触れられたときにだけ、照明することができる。また、警告、例えば、冷蔵庫または冷凍室の温度が上がりすぎている、冷蔵庫または冷凍室が閉じられていない、電池の充電が必要である、または水フィルタの交換が必要である、というメッセージを非常に目につく赤色に照明することもできる。装飾パターンには、キー/ボタン及びラベルのような、ガラス板の下に配されたタッチコントロールパネルのための標識を含めることもできる。
【0083】
光源はガラス板の端面101の全長に沿って延び、ガラス板の端面101の全長を照明することができる。あるいは、光源は、光散乱材または光散乱構造の装飾パターンを有するガラス板の選ばれた領域に対応する、ガラス板の端面の選ばれた領域だけに沿って延びることができる。光源は、いずれか所望の色の光源とすることができ、あるいは、要求に応じて、または時間の経過とともに自動的に、色を変えることができる。例えば、光源の色は、要求に応じて、例えば手動で、あるいは、家電製品またはデバイスの故障のような、イベントの発生時に、記念日または誕生日、日暮れ、昼間、季節の変わり目、ドアを開く、閉じるまたは鍵をかける、デバイスに触れる、あるいは部屋が望ましい温度または望ましくない温度になった、のような特別の時に自動的に、変えることができ、あるいはデバイスの内部温度またはその他のパラメータを表示することができる。照明パターンの異なる領域を異なる色で照明するため、光源の異なる部分を異なる色とすることができる。例えば、装飾画像を心地よい青色に照明することができ、一方、警告、例えば冷蔵庫または冷凍室の温度が上がりすぎているかまたは水フィルタの交換が必要であるというメッセージは非常に目につきやすい赤色に照明することができる。
【0084】
図11は冷蔵庫のドア150上への装飾平ガラスカバーまたはフェーシア145の端から端までの取付けのための一手法を簡略に(比例尺で描かずに)示す。しかし、携帯デバイス(例えば、スマートホン、MP3プレイヤー、等)、テレビジョン及びその他のスマート家電(例えば、オーブン、電子レンジ、食洗機、等)のような、いずれのタイプの電子デバイスのためのガラスカバーまたはフェーシアとしてもガラス板が用いられ得ることは理解されるであろう。ガラス板は、その他のデバイス上あるいは、カウンター、キャビネット、壁、柱、エレベーター壁またはエレベーターコントロールパネルのような、家具または建築構造のようなその他の物体上の保護カバーまたは装飾カバーも形成することができる。
【0085】
本明細書で先に説明したように、本開示の全ての実施形態のガラスカバーまたはガラスフェーシアは、コーニング社のGorillaガラスのような、比較的薄い化学的強化ガラス板100を有することができる。そのような比較的薄いガラス板の可撓性により、衝撃力または荷重力がかかったときに、ガラス板の撓みを阻止するためにフェーシアの背面または内側表面の実質的に全体を支持することが有利であろう。本開示の一態様にしたがえば、これは、比較的薄いガラス板100を支持し、ガラス板を破砕させ得る衝撃力または荷重力の下でのガラス板の局所変形を阻止するに適する機械的特性を有する裏打ち材料層152(裏打ちまたは裏打ちシート)を必要に応じて設けることで達成される。裏打ちシートは、ガラス板の内側表面面に、またはガラス板の下のデバイスの外側表面に、接着することができる。
【0086】
本開示の一実施形態にしたがえば、鋼鉄またはその他の適する材料で作製することができる、支持レール154及び156を、3M社のVHB接着テープのような両面接着テープまたは両面接着フォームのような、いずれか適する接着材162,164を用いてガラス板100の内側表面に(または、図示されるように、必要に応じて用いられる裏打ちシート152の内側表面に)接着することができる。それぞれの支持レールは、デバイス150への支持レールの迅速で確実な脱着を可能にするため、1つ以上のクリップまたはフック172,174、あるいはその他の解放可能な締結具を有することができる。クリップまたはフックはデバイス150の前面のスロットを通して挿入することができる。この構成により、損傷による、またはモデルチェンジ時、等における、ガラス板の修理または交換のためにガラス板を容易に取り外し、再取付けすることができる。
【0087】
裏打ち152の幅は、フェーシアの内側表面の外側端部への2本の支持レールの直接結合を可能にするため、ガラス板100の幅より若干狭くすることができる。しかし、ガラス板の全背面を支持するためには、裏打ちシートは、ガラス板の対向する側端の間に実質的に完全に、またガラス板の上端と下端の間に実質的に完全に、広がることが有利であろう。裏打ちシート152は、ガラス板の縁を衝撃から保護するため、図11に示されるように、ガラス板の1つ以上の縁から先に若干延び出すこともできる。裏打ちシート152の外縁は、必要に応じてガラス板の端をくるみ込むかまたは縁取る、段または押縁を付けて形成することができる(図示せず)。段の前面または外表面は、見栄えの良い平滑で継目のないフェーシア前面を提供するため、ガラス板の外側表面と共面にすることができる(図示せず)。あるいは、段は、ガラス板が裏打ちシートによって確実に保持されるように、フェーシアのガラス板の前面または外側表面を覆うことができる(図示せず)。
【0088】
多くのデバイスの外表面は完全に平坦ではなく、例えば、非平坦面である。例えば、冷蔵庫ドア150のようなデバイスは一般に薄いシート金属の外パネルで形成され、発泡断熱材で満たされている。発泡断熱材は外パネル150を図11に示されるように外向きに弓なりにする傾向がある。本明細書に説明されるガラスカバーまたはフェーシアのような、反射型フェーシア/前面パネルがデバイスに用いられる場合、フェーシアによって反射される像が歪んで見えないように、フェーシアは実質的に平面または平坦なままでいることが望ましいであろう。歪んだ反射は低品質組立品の印象を生じさせ得る。先に説明した裏打ちシート152を用いれば、ガラス板100は、ガラス板が実質的に平面/平坦に維持されるように、裏打ちシートによって支持される。
【0089】
裏打ちシート152はガラス板100の内側表面に、裏打ちシートの外側表面全体をガラス板の内側表面に接着することで、あるいは裏打ちシートの選ばれた部分をガラス板に接着するだけで、取り付けることができる。この接着は、Scapa社の50μm厚アクリル接着剤UP2040のような、感圧接着剤を用いて達成することができる。そのような接着剤は、圧力ロール貼合せ機、オートクレーブまたはその他の方法を用いて、裏打ちシートをガラス板に貼り付けることができる。用いられ得る別の接着剤には、接着剤を十分に加熱して裏打ちシートをガラス板に接着させるため、オートクレーブ処理または加熱圧力ロール貼合せ機を必要とするであろう、熱可塑性ウレタン(TPU)またはエチレンビニルアセテート(EVA)のような、熱可塑性接着剤がある。あるいは、薄いガラスフェーシアをデバイスの湾曲面に押し付けて変形させて、デバイスの表面と共形にし、取付けレール、接着剤あるいはその他のフレーム部材またはクリップ部材によって所定の位置に保持することができる。
【0090】
裏打ち材152は、ガラスシートの局所領域のフェーシアへの反りを防止するように、比較的剛性が高いかまたは硬質の材料でつくられる。裏打ちシートは約2.0GPa以上の弾性率を有することができる。裏打ち材は、ただ例として、ポリカーボネート(PC),アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリルまたはナイロンで形成することができる。裏打ちシートはガラスまたはセラミックを充填したポリマーで形成することもできる。ファイバーガラス、カーボンファイバー、その他の複合積層、セラミック及び、ステンレス鋼、アルミニウム、銅または真鍮のような、金属も裏打ち材として用いることができる。裏打ち材はガラス板上に、モールド成形するか、スプレイするかまたは、あらかじめ形成しておいて、結合することができる。裏打ちシート152は厚さ約1.5mmのポリカーボネート板とすることができる。
【0091】
ステンレス鋼裏打ち材の場合、家電製品のステンレス鋼外部スキンが裏打ち材を形成することができる。そのような場合、ガラスカバーまたはガラスフェーシアは、耐すり傷性及び耐くぼみ傷性並びに清掃容易性を与えるため、ステンレス鋼家電製品の外側表面に直接接着することができる。裏打ちシート152は、弾性率が2.0GPa以上の硬質材が低弾性率を有する下層のエネルギー吸収材と積層されている、積層構造で形成することもできる。エネルギー吸収材は硬質材の前面上または外側表面上に、例えば硬質材とガラス板の間に、または硬質材の背面上または内側表面上に、配置することができる。
【0092】
図13に簡略に示されるような本開示の別の実施形態にしたがえば、デバイスの前面または上部へのディスプレイ及び/またはコントロールパネル230の継目無し組込みを、ガラスフェーシアとデバイスの前面の間にそのようなディスプレイ及び/またはコントロールパネルを取り付けることによって達成することができる。ディスプレイ及び/または、容量性タッチLCDコントロールパネルのような、タッチコントロールパネルは、デバイスの外側表面に取り付けることができる。ディスプレイまたはコントロールパネル230は、家電製品の構造部材の外側に、または図12に示されるようにデバイスの前面に形成された空洞内に、取り付けることができる。あるいは、ディスプレイまたはコントロールパネルはガラス板の内側表面に結合することができる。
【0093】
コントロールパネルのディスプレイは、ディスプレイまたはコントロールパネルの前面がガラス板の内側表面に密接して(例えばフェーシアの内側表面/背面から約5mm以下の距離D内に)あるように取り付けることができる。本開示の全ての実施形態にしたがう比較的薄いガラス板フェーシアに密接してディスプレイまたはコントロールパネルを取り付けるような配置により、厚いガラス板がカバー板またはフェーシアとして用いられた時に生じる、ディスプレイを視る時の「トンネル効果」を実質的に排除することができる。ディスプレイまたはタッチコントロールパネルは、所要のDC動作電圧及びディスプレイと家電製品コントローラの間の通信信号を提供する標準コネクタを介して家電製品に、またCPUに接続することができる。
【0094】
既に上述したように、本開示に説明される光結合構成により、傾斜端面110が配されているガラス板の下(または背後)への光源118の配置が可能になり、よって、図11及び13に示されるように、光源を収めるためのガラス板の一側面への厚いフレームまたはその他の構造の必要の排除が可能になる。これにより、無フレームガラスフェーシア、あるいは非常に薄いフレームをもつかまたは背後から照明されるように封入されたガラスフェーシアが可能になる。このようにして、非常に透明で、端から端まで、縁なし照明されるガラスフェーシア構造が可能になる。図13に示されるように、細長光源118は、取付けレール154の1つに、取り付けるか、隣接して配置するか、または組み込むことができる。
【0095】
ガラス板の背面または内側表面は、所望の色、パターン、画像またはその他のフェーシアの見栄え効果を提供するため、インク、フリットまたはその他の材料の層のような装飾層(図示せず)でコーティングするかまたはそのような層を貼り合わせることができる。ディスプレイまたはコントロールパネル230を覆うガラス板の領域232は、フェーシアのこの領域がディスプレイまたはコントロールパネルを視るために透明であるように、装飾シートまたは裏打ちシートで被覆しないでおくことができる。裏打ちシート152は、ディスプレイまたはコントロールパネルを、それを通して視ることができるようにするため及び可能な限りガラス板の内側表面の近くに配することができるようにするため、この領域で切り取ることができる。必要に応じて、ガラス板は、ディスプレイまたはコントロールパネルが起動されるかまたは照明された時にしか視ることができないように、制御された透明度、可変透明度またはマジックミラー効果を与えるためのコーティングを施すことができる。
【0096】
本開示にしたがう成形ガラス板またはフェーシア100が図12に簡略に示されている。本開示のいくつかの態様において、ガラス板は、ガラス板が全体的に平坦な中央領域及び後方に延びる側縁領域を有するように、例えばモールド成形、曲げまたは垂下によって、成形することができる。ガラス板の中央領域及び側縁領域の形状は実質的に平坦/平面とすることができる。しかし、ガラスフェーシアの選ばれた領域は、必要に応じて、2Dまたは3Dの弓なりまたはさらに複雑な形状のような(図示せず)、所望の装飾のまたは有用な形状または形態を有することができる。後方に延びる側縁領域により、光源118及びガラス板の光結合端面110を、デバイス150の後部コーナーまたは側面の近くに、またはデバイスの前面パネルまたはドア150の背後にさえ、配置することができる。
【0097】
成形ガラス板を支持する裏打ちシート152はガラス板100の平面の実質的に全体に接着するかまたはガラス板100の背面の実質的に全体を覆う単連続裏打ち材シートとすることができる。裏打ちシートは初め、平ガラス板に接着させられるかまたは積層される、平材料シートとすることができる。ガラス−裏打ち積層構造は次いで曲げられて図12に示されるような形状の1つにされる。あるいは、裏打ちシートはセグメントに分割することができ、分割された平裏打ち材シートをガラスのそれぞれのセグメントに接着することができる。裏打ちシート152は、個々に図12に示されるような所望の形状の1つに曲げ、次いで、対応する形状に既に曲げられているガラス板100に貼り付けることができる。
【0098】
ガラスフェーシア100はデバイス150の幅及び高さにほぼ等しいかまたはデバイス150の幅及び高さより若干大きい幅及び高さを有することができる。しかし、あるいはフェーシアの幅は、ガラス板がデバイスの前面の一部だけを覆うように、デバイスの幅または高さの分率分だけとすることができる。
【0099】
限られた数の実施形態に関して本発明を説明したが、本開示の恩恵を有する当業者には本明細書に開示されるような本発明の範囲を逸脱しない他の実施形態が案出されうることは当然であろう。したがって、本発明の範囲は添付される特許請求の範囲だけで限定されるべきである。
【符号の説明】
【0100】
100 平イオン交換ガラス板
101 平ガラス板端面
102 上部イオン交換ガラス領域
103 上部イオン交換ガラス領域上表面
104 コアガラス領域
105 平イオン交換ガラス板下表面
106 下部イオン交換ガラス領域
107,108 光散乱粒子
109 光散乱サイト
110 傾斜端面
111 ガラス側
113 空気側
118 光源
119 光学素子
120 入力光ビーム
122 反射光ビーム
126 反射コーティング
127 無反射コーティング
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13