特許第5793726号(P5793726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5793726高濃度の生物学的に活性な分子を含む組成物とその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793726
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】高濃度の生物学的に活性な分子を含む組成物とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   C12N15/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2010-509572(P2010-509572)
(86)(22)【出願日】2008年5月23日
(65)【公表番号】特表2010-527617(P2010-527617A)
(43)【公表日】2010年8月19日
(86)【国際出願番号】US2008064726
(87)【国際公開番号】WO2008148010
(87)【国際公開日】20081204
【審査請求日】2011年4月14日
(31)【優先権主張番号】60/939,792
(32)【優先日】2007年5月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515129375
【氏名又は名称】ブイジーエックスアイ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ドラギア−アクリ,ルクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘーベル,ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,イン
【審査官】 渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/100542(WO,A1)
【文献】 特表2005−538717(JP,A)
【文献】 特表2006−521105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バクテリア細胞からの高純度試料DNAプラスミドを製造するための大規模方法であって、以下の工程:
a)複数の細胞の細胞懸濁液を溶解液(lysis solution)と接触することによる溶菌液(lysate solution)を製造し;
b)中和液を用いて該溶菌液を中和して、中和した溶菌液と残骸物を含む分散液を製造し;
c)少なくとも1つのフィルターを通過させて分散液をろ過し;
d)該中和した溶菌液に対してイオン交換分離を行って、イオン交換溶出液を製造し;
e)該イオン交換溶出液に対して疎水性相互作用分離を行い、疎水性相互作用カラムから溶出された溶液を製造する
を含み、ここで、上記工程a)は、強いせん断力がかかるインラインミキサー中で前記細胞懸濁液と溶解液とを混合することを含み、及び上記工程b)は、バブルミキサー中で前記溶菌液と前記中和溶液とを混合することを含む、前記方法。
【請求項2】
工程e)が、疎水性相互作用カラム又は疎水性相互作用膜を使用して、疎水性相互作用分離を行い、疎水性相互作用カラムから溶出された溶液を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、下記の工程:
f)前記疎水性相互作用カラムから溶出された溶液の限外ろ過によって、生物学的に活性な分子の溶液を調製する
ことを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、下記の工程:
g)生物学的に活性な分子の該溶液の滅菌ろ過によって、少なくとも1つの生物学的に活性な分子の滅菌溶液を調製する
ことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
さらに、一定時間、分散液を保持して、中和した溶菌液を残骸物から分離し、少なくとも1つのフィルターを通過させて中和した溶菌液をろ過することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記製造工程が、1分〜20分の時間、ミキサー中で前記細胞懸濁液と溶解液とを接触を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記時間が4分〜8分である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記時間が5分である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記生物学的に活性な分子がプラスミドである、請求項〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記イオン交換がアニオン交換膜である、請求項1〜6のいずか1項に記載の方法。
【請求項11】
ブチル疎水性相互作用クロマトグラフィー溶出液である疎水性相互作用溶液を生産するために、工程e)が、疎水性相互作用分離の実行がブチル疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む、請求項1〜6、9、及び10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
実質的に連続的に1つの工程から次の工程へ移行することを含み、容器中で溶菌物を回収し、分散液を第1のフィルターに通過させて、最初の粗製な中和した溶菌液を製造することによって、分散液中の残骸物から中和した溶菌液を分離することを含む、請求項1〜6、及び9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
さらに最初の粗製な中和した溶菌液を第2のフィルターに通過させて、次の粗製な中和した溶菌液を製造することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バクテリア細胞由来の少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子の高純度の試料を製造するための大規模方法であって、以下の工程:
細胞の分散液中のバクテリア細胞と溶解液とを接触させ、溶菌液を形成し;
バブルカラムミキサーで溶菌液の中和溶液を溶菌液に混合して、中和した混合液を形成させ;
中和した混合液を第1のフィルター及び第2のフィルターに通過させて、ろ過溶液を形成させ;
ろ過溶液をイオン交換カラムに通過させて、イオン交換液を形成させ;
イオン交換液を疎水性相互作用カラム又は疎水性相互作用膜に通過させて、溶出された溶液を形成させ;
該溶出された溶液を限外ろ過して、少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子の高純度の試料を形成させる
ことを含み、ここで、接触工程からろ過溶液を通過させる工程の、1工程から次の工程へのそれぞれの移行は、実質的に連続的に起こる前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書に参照により援用される2007年5月23日に出願された米国仮出願第60/939,792号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、高濃度のプラスミドのような生物学的に活性な分子を含むバルク組成物、及びそのような組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
細胞中で作られ、細胞から分離される生物学的に活性な分子に関する多くの使用例がある。参照により本明細書に援用される米国出願公開第20050014245号は、生体材料製造の方法と装置を開示する。生物学的に活性な分子はタンパク質と核酸分子を含んでいる。生きている細胞のそのような分子の製造は、代替製造法に対して多くの優位性を提供するが、細胞から生物学的に活性な分子を抽出するとき、分離と精製の問題が発生する。細胞の中には多くの成分が存在し、対象とする生物学的に活性な分子の高い収量が現実化することを妨げ、また同時に最終産物への望ましくない夾雑物の存在を表している。
【0004】
プラスミド製造は、非ウイルス性の遺伝子治療とDNAワクチン領域の出現によって興味深い領域になっている。プラスミドは大きく複雑な巨大分子で、破壊されていなければスーパーコイル状のDNA構造として維持される。化学合成法によるよりも、多くの場合生物系で製造し、そして引き続きこの系で単離し精製した方が費用の点で効果的である。プラスミドの生物学的製造は通常、対象とするプラスミドを含むエシャリチア・コリ(“E.coli”)の培養の形をとる。
【0005】
精製工程の流れを準備するのに使われる細胞溶解とそれに引き続く処理工程は、どのプラスミド調製工程においても、最も難しく、複雑で、そして重要な工程である。それぞれのプラスミド製造作業で収量と品質がこの工程で決定される。継続的で規模の拡大を望め、プラスミドの大きさに無関係に高濃度で形成される高品質の生成物を製造する最適の方法に関する研究においては、商業として成り立ち得る、受け入れられる工程を獲得するまでには困難があった。
【0006】
プラスミド精製でアルカリと界面活性化剤を用いるバクテリアの溶解はよく使われる方法である。残念ながら、この方法は大規模調製(すなわち規模拡大生産)に対しては重大な挑戦が必用がある。第一に、溶解液での懸濁された細胞の十分な混ぜ合わせは、小規模の場合、細胞の入った容器を単にボルテックス又は反転することよって簡単に処理することができる。しかし数十数百リットル範囲の大規模になると非実用的である。羽車によるミキシングのような、大容量の液体をかき混ぜるのに最もよく使われる方法は問題がある。何故なら最初のかき混ぜの後いくらかの細胞が分解し始め、溶液の粘性を劇的に高めるゲノムDNAを放出するからである。粘性の上昇はさらなる混ぜ合わせを著しく妨害する。もう1つの問題は、アルカリ溶解液の添加による高pHでの過剰なインキュベーションがプラスミドの永久的な変性に通じるということであり、大抵の次の使用目的、特に治療目的で不適合となる。さらに、浮き上がる沈殿物からのかなりの量の材料の、プラスミド含有溶液への混入を避けるため、この工程の混ぜ合わせは入念ではあるが十分優しく(すなわちせん弾力を抑えて)行わなければならない。宿主のゲノムDNAとエンドトキシンが、大量に浮き上がる沈殿物に含まれており、プラスミドに混在すると以降の精製過程で分離するのが難しくなる。このように、プラスミドの大規模製造は、大量の細胞を溶解液に晒し、溶解液を混ぜ合わせ中和し、プラスミドの製造を最適化し、プラスミドの分解を最小化し、他の細胞成分の除去を最大にし、材料がさらに精製され、比較的大容量の高濃度、高品質、高純度の最終生成物が製造される。
【0007】
プラスミドを精製する方法は多種存在する;しかしそれらは大規模調製には向いていない。研究室規模の精製技術は、大規模プラスミド調製の容量にスケールアップできない。大規模調製は、収量と分子整合性を最適化し、夾雑物の除去とプラスミド濃度の最大化を要求する。高濃度のプラスミドDNAを大量に製造することにおいては、スーパーコイル及びオープンサークルの弛緩型に維持することに問題がある。貯蔵条件は一般的には高塩分が要求され、時間に伴う分子的な分解が塩存在化においてさえも問題となる。多くの現行の精製法は潜在的に危険で、毒性があり、突然変異誘発的で夾雑物と一緒になり、そして/又は、大規模調製には好ましくない高価な物質又は装置の使用に依存する。現行の精製方法のいくつかは、タンパク質の最終的な除去を行うために酵素の使用を利用している。そしてこのような酵素は大規模調製では費用が嵩み、生物学的混入の危険性の原因となる。
【0008】
プラスミドのような対象とする生物学的に活性な分子の大規模製造の方法の必要性が存在する。最終生成物が、高収率で、高濃度で、分解が最小に抑えられ、夾雑物の存在なしの、装置の最小化及び/又は工程の最小化のような費用に効果的な様式で作られる。高濃度で、分解及び不純物、夾雑物そして不要な物質の存在の最小化が図られた大量のプラスミド溶液とそのような溶液を調製する方法についての必要性が存在する。大量のプラスミドの必要性は、プラスミド量がミリグラム(“mg”)範囲かその上を製造するのにさらに多くの細胞を必要とする、低コピー数プラスミドにおいてより大きい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の局面は、バクテリア細胞から少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子の高純度試料を製造する大規模方法を含む。大規模方法は以下の工程を含む:
a)複数の該細胞の細胞懸濁液と溶解液(lysis solution)との接触によって溶菌液を製造し;
b)中和液による該溶菌液(lysate solution)を中和し、中和した溶菌液と残骸物を含む分散液を製造し;
c)少なくとも1つのフィルターを通過させて分散液をろ過し;
d)該中和した溶菌液に対してイオン交換分離を行い、イオン交換溶出液を製造し;及び
e)該イオン交換溶出液に対して疎水性相互作用分離を行い、疎水性相互作用液を製造する。この局面のいくつかの態様において、大規模工程はさらに、該疎水性相互作用液の限外ろ過による、少なくとも1つの生物学的に活性な分子の溶液の調製の工程を含むものである。
【0010】
さらなる本発明の局面は、バクテリアの細胞から少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子の高純度試料を製造するための大規模方法を含む。また以下の工程を含む:細胞の分散液内のバクテリア細胞を溶解液と接触させ、溶菌液を形成する;溶菌液を、中和液を溶菌液にバブルカラムミキサーを使って混合することにより中和し、中和した混合液を形成する;中和した混合液を第一フィルターと第二フィルターに通してろ過し、ろ過溶液を形成する;ろ過溶液をイオン交換カラムに通しイオン交換液を形成する;イオン交換液を疎水性相互作用カラムか疎水性相互作用膜に通し疎水性相互作用液を形成する;そして、疎水性相互作用の限外ろ過で少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子の高純度試料を形成する;ここで、接触工程からろ過溶液の通過の工程までの大規模工程の1つの工程から次の工程への各移行は実質的に連続的である。
【0011】
本発明のその他の局面において、本明細書で記載され明らかにされた方法によって調製された少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子を含む組成物が提供される。ここで、少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子とはDNAプラスミドである。いくつかの態様において、組成物は、溶液中で約10mg以上の量の少なくとも1つのDNAを含む。ここで該プラスミドの高純度性とは約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%より高く存在しているプラスミドのことである。
【0012】
本発明の多くの目的と利益は、付随されている図を参照することにより当業者により理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は連続的な工程の流れでの、バクテリア細胞から対象とする生物学的に活性な分子を分離し精製するのに使われる1つの態様を図式化して示している。
図2図2は下の実施例1からの試料を含むゲル電気泳動の写真を示す。レーン1はスーパーコイル状のプラスミドラダー(インビトロジェン)である;レーン2 細胞溶解液;レーン3 Qアニオン交換後の産物;レーン4 疎水性相互作用による精製後の産物;そしてレーン5 限外ろ過後の混ぜ合わされた最終産物。
図3図3は下の実施例3からの試料を含むゲル電気泳動の写真を示す。レーン1はスーパーコイル状のプラスミドラダー(インビトロジェン)である;レーン2は48μmひだ状カートリッジを使って第一ろ過後の溶菌液である;レーン3は1μmひだ状カートリッジを使っての第二次ろ過後のろ過溶液である;レーン4はC0HCポドフィルターを使って第三次ろ過後のろ過溶液である;レーン5はムスタングQアニオン交換工程経た後のフラクション#1の溶出産物である;レーン6はQ溶出液の二番目のフラクションである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
細胞から対象とする生物学的に活性な分子の精製法は、細胞から高レベルの純度と濃度の対象とする生物学的に活性な分子を精製するときに提供される。好ましくは対象とする生物学的に活性な分子とは、プラスミド又はDNAプラスミドである。細胞は、対象とする生物学的に活性な分子を含む細胞なら何でもよい。いくつかの態様において、細胞とは微生物細胞のことであり、例えばバクテリアのような原核生物細胞のようなものである。いくつかの態様において、細胞はE.coli細胞である。細胞は、例えば培養のようなどのような方法で製造され生成されてよい。細胞を培養する方法は当業者では周知である。本発明は、細胞から対象とするどのような生物学的に活性な分子を抽出するのにも用いられる。いくつかの態様において、本発明は、対象とする1つ以上の生物学的に活性な分子を抽出するのに用いられる。対象とする生物学的に活性な分子は、核酸又はタンパク質のような巨大分子である。いくつかの態様において、対象とする生物学的に活性な分子はプラスミドである。
【0015】
交互に使用される用語“プラスミド”又は“DNAプラスミド”は、染色体DNAとはかけ離れた染色体DNA外分子である環状DNAで、染色体DNAと独立して複製が可能である。コードされた配列又は導入遺伝子は、DNAプラスミド内によく含まれており、それが実際に存在するときは、DNAプラスミドは発現プラスミドあるは発現コンストラクトと呼ばれる。コード配列又は“コードされた核酸配列”は、核酸分子を投与された個々の細胞内での発現を指示することが可能なプロモータとポリアデニレーションシグナルを含む調節エレメントに実施可能にリンクした開始及び終止シグナルを含むことができる。
【0016】
記載された工程の参照として使われる“大規模”という用語は、少なくとも1つの生物学的に活性な分子、特にDNAプラスミドの、約1グラム又はそれ以上の量をバクテリア細胞又はバクテリア細胞の懸濁液から製造する精製工程、及び/又は約1キログラム又はそれ以上のバクテリア細胞ペーストの溶解を必要とする精製工程をいう。
【0017】
生物学的に活性な分子、特にDNAプラスミドの純度レベルの参照として使われる“高純度”は、少なくとも約90%以上、そして好ましくは約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%以上のレベルで宿主バクテリア細胞からの分子の精製をいう。
【0018】
本明細書で記載されたプロセスの参照として使われる“連続的な”又は“実質的に連続的”という用語は、精製プロセスの最初からイオン交換クロマトグラフィーカラムに添加するプロセスまでの、精製プロセスのそれぞれの工程からそれぞれの次のプロセスの間の物質(又は溶液若しくは分散液)の連続的な流れをいう。例えば、接触工程で溶解液と分散液のバクテリア細胞が接触し溶菌液を形成するとき、そのような溶菌液は、中和液による中和の次の工程に直接的に流れ込む。工程間のこのような連続的な移行は、精製工程のプロセスの工程間の保持又はインキュベーション工程を排除する。
【0019】
用語“生物学的に活性な分子”とは、機能を発揮する状態のバクテリア内に含まれる分子又は生体分子をいう。そしていくつかの態様において、特にDNAプラスミドをいう。そのようなDNAプラスミドは単離でき、対象とする細胞を形質移入するのに使うことできる。本発明の組成物は少なくとも一種の生物学的に活性な分子を含む。いくつかの態様においては、本発明の組成物は一種以上の生物学的に活性な分子を含む。
【0020】
プラスミドは、例えばpMB1又はpSC101のプラスミドが含む複製の起点に依存してコピー数が大きく異なる。これはプラスミドが弛緩状態であるか又は厳密な条件下にあるかを決定する;またプラスミドのサイズ及び随伴性の挿入された配列を決定する。pUCシリーズとその誘導体のようないくつかのプラスミドは、バクテリアの細胞内で、非常に高いコピー数に達することを可能にする変異を有する。pBR322系のプラスミドは一般的に低コピー数で維持される。非常に大きなプラスミドはしばしば、細胞1つにつき非常に少ないコピー数で維持される。本発明のいくつかの態様は、グラム量のような大量のプラスミド量を生み出すための大規模で、経済的で最少工程数の製造プロセスで(より高収量を維持するために)、細胞、好ましくはバクテリア細胞からのプラスミドの精製を可能にする、プラスミド精製プロセスに関する。いくつかの態様において、プラスミドは低コピー数のプラスミドである。提供されたプロセスの結果として生じる製造された生物学的に活性な分子の目的から、低コピー数のプラスミドは約300以下、約100以下、約50以下、約20以下、約10以下、又は約5以下のコピー数を達成するプラスミドである。
【0021】
本発明の1つの局面は、バクテリア細胞から少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子の高純度試料を製造するための大規模プロセスを含む。大規模プロセスは以下の工程を含む:
a)複数の該細胞による細胞懸濁液と溶解液とを接触させることによって溶菌液を製造し;
b)中和液による該溶菌液を中和して、中和した溶菌液と残渣を含む分散液を製造し;
c)少なくとも1つのフィルターを通過させて分散液をろ過し;
d)該中和した溶菌液に対してイオン交換分離を行って、イオン交換溶出液を製造し;そして
e)該イオン交換溶出液に対して疎水性相互作用分離を行って、疎水性相互作用液を製造する。
【0022】
1つの態様において、大規模プロセスは、高せん断インラインミキサーで、溶菌液と該細胞懸濁液を混合させることを含む溶菌液製造工程を含む。
【0023】
いくつかの態様において、製造工程は、約1分〜約20分まで、好ましくは約4分〜約8分まで、さらに好ましくは5分の間ミキサー中で細胞懸濁液を溶解液と接触させることを含む。いくつかの態様において、中和工程はバブルミキサー中で中和液と溶菌液を混合させることを含む。いくつかの態様において、疎水性相互作用の分離実行工程は疎水性相互作用カラム又は疎水性相互作用膜を使い疎水性相互作用分離を行って、疎水性相互作用液を形成することを含む。疎水性相互作用の分離工程は、不純物をフロースルーか洗浄させ得る、疎水性相互作用膜又はカラムへの結合によって、対象とする生物学的に活性な分子を分離することができる。いくつかの態様において、不純物が結合するのに対して、対象とする生物学的に活性な分子は疎水性相互作用カラムをフロースルーする場合がある。いくつかの態様において、対象とする生物学的に活性な分子は疎水性相互作用膜(すなわちHIC膜)をフロースルーする(本明細書では“方法I”という)。いくつかの態様において、対象とする生物学的に活性な分子は、ブチルカラムのようなHICカラムに結合する(本明細書では“方法II”という)。いくつかの態様において、HIC膜とブチルカラムのようなHICカラムの組み合わせが使われ(本明細書では“方法III”という)、DNAプラスミドのグラム又はそれ以上の量のような、高純度の大規模な量の対象とする生物学的に活性な分子を製造する。いくつかの態様において、疎水性相互作用分離は、ブチル疎水性相互作用クロマトグラフィー溶液の溶出液である疎水性相互作用液を製造するために、少なくともブチル疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する分離を含む。
【0024】
いくつかの態様において、記載された大規模プロセスはさらに、該疎水性相互作用液の限外ろ過による、少なくとも1つの生物学的に活性な分子の溶液の調製の工程を含むことができる。さらに、該生物学的に活性な分子の溶液のろ過滅菌による生物学的に活性な分子の滅菌溶液の調製の工程を実行することができる。
【0025】
いくつかの態様において、大規模プロセスは、中和した溶菌液を残骸物から分離するのに一定期間、分散液を保持し、次に少なくとも一つのフィルターを通過させて、中和した溶菌液のろ過を要求する保持工程を含む。
【0026】
いくつかの態様において、アニオン交換膜を使用してイオン交換分離実行工程が実行される。好ましくは、イオン交換分離工程は、イオン交換カラム、そして好ましくはムスタング(登録商標)Qカートリッジの使用を含む。
【0027】
いくつかの態様において、大規模プロセスは、連続したプロセスを含んでいるか又は、バクテリア細胞から高純度の生物学的に活性な分子製造のための連続した大規模プロセスと呼ばれている。その方法は、大規模プロセスの1つの工程から次の工程への十分で連続的な移行を含み、また容器に溶菌液を集め初期の粗製な中和した溶菌液を製造するために分散液を第1のフィルターに通過させることによって、分散液の中の残骸物から中和した溶菌液を分離することを含む。いくつかの態様において、その工程はさらに、次の粗製な中和した溶菌液を製造するために、最初の粗製な中和した溶菌液を第2のフィルターに通過させることを含む。
【0028】
ある態様において、本発明は、バクテリアの細胞から高純度の対象とする生物学的に活性な分子を製造するための大規模プロセスを含み、次の工程を含む:溶解液と細胞の分散液内のバクテリア細胞を接触させ、溶菌液を形成させ;バブルカラムミキサーにより中和液を溶菌液に混合させることによって溶菌液を中和して、中和した混合液を形成し;第1のフィルターと第2のフィルターに中和した混合液を通過させ、ろ過溶液を形成し;イオン交換カラムにろ過溶液を通過させて、イオン交換液を形成し;イオン交換液を疎水性相互作用カラム又は疎水性相互作用膜に通して疎水性相互作用液を形成し;そして疎水性相互作用液を限外ろ過し、高純度の対象とする生物学的に活性な分子を形成し;ここで、接触工程からろ過溶液通過工程の大規模プロセスの1つの工程から次の工程のそれぞれの移行は実質的に連続的である。本発明の別な局面において、本明細書で記載された大規模プロセスで調製された対象とする生物学的に活性な分子を含む組成物が提供され、ここで対象とする生物学的に活性な分子はDNAプラスミドである。いくつかの態様において、組成物は、溶液で約10mg以上の量でDNAプラスミドを含む。ここで該プラスミドの高純度性とは約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%より高い状態で存在するプラスミドである。請求項18の組成物、ここで該プラスミドの濃度は約5、6、7、8、9、10、11、12、又は13mg/mLである。いくつかの組成物は、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%のスーパーコイル状のプラスミド、好ましくは80%を超えるスーパーコイル状のプラスミドのレベルでプラスミドを含んでいる。いくつかの組成物は、プラスミド1mgにつき約10EU以下のエンドトキシンを含んでいる。そしていくつかの態様では、組成物はプラスミド1mgにつき約1EU以下のエンドトキシンを含む。いくつかの態様では、プラスミド1mgにつき約0.1EU以下のエンドトキシンを含む。いくつかの態様において、組成物は約1.0%以下のRNA又は約0.4%以下のRNAを含んでいる溶液を含む。いくつかの好ましい態様では、組成物は約1.0%以下のタンパク質、好ましくは約0.20%以下のタンパク質を含んでいる溶液を含む。いくつかの態様では、組成物は約1%以下のゲノムDNA、好ましくは約0.01%以下のゲノムDNAを含んでいる溶液を含む。
【0029】
本明細書に提供されているたくさんの工程を含む本発明の1つの態様の一例は、次の工程を含む:第1工程、対象とする細胞が製造され回収される;第2工程、細胞が溶解され、対象とする生物学的に活性な分子を含むその内容物が溶液に放出される;第3工程、固形の細胞残渣と沈殿した細胞成分が、少なくとも1つの対象とする生物学的に活性な分子を含む流動体から分離される;第4工程、対象とする生物学的に活性な分子を含む溶液がイオン交換クロマトグラフィーに供される;第5工程、イオン交換クロマトグラフィーで部分精製された材料が疎水性相互作用クロマトグラフィーに供される;第6工程、疎水性相互作用クロマトグラフィーからの材料が限外ろ過と膜分離精製に供され、少なくとも一種の対象とする生物学的に活性な分子が濃縮され、そして溶液から余分な塩が除かれる;第7工程、濃縮され脱塩された製造物は任意でろ過滅菌に供され、例えば筋肉内送達、静脈内送達、鼻腔内送達、心臓内送達、噴霧剤送達、経皮的送達、筋肉へのインビボ電気穿孔促進送達、皮下又は皮内へのインビボ電気穿孔促進送達、さらにまた薬学的投与のその他の知られている方法を含む、薬学的使用に適したものにする。
【0030】
本発明のいくつかの態様は、プロセスの保持工程に限定されない生産規模に帰着する連続的モードの工程の組み合わせの運転を含む、本明細書で開示されたプロセス工程を含むがこれに限定されるわけではない。そのようなプロセスは大規模な、例えば約1グラム以上のプラスミドの製造などの薬学的グレードの生体分子の製造を可能にする。発明のいくつかの態様は、大規模製造又は医薬品に有害と証明された材料又はプロセスの使用を排除する。例えば、酵素の封入、熱変性、機械的分離(そのような分離を行う機械)、例えば遠心装置、又は有機又は揮発性の溶媒、例えばイソプロパノールを含む。
【0031】
対象とする細胞は、発行と回収の通例の方法により製造され回収される。当業者は十分な量の対象とする細胞を調製することができる。例えば、細胞は、対象とするプラスミドを高コピー数含んでいるE.coliであり、プラスミド含有細胞は、バッチ法又は添加バッチ法を用いて高密度に培養される。プラスミド含有E.ccli細胞の調製法及びそのようなバッチ又は添加バッチ培養法は当業者にはよく知られている。細胞は遠心又はろ過のような通常法で回収でき、細胞ペーストを形成する。そのような回収法は当業者にはよく知られている。さらに当業者は、回収された細胞又は細胞ペーストがすぐに処理されるのか又は後日の処理のために凍結又は冷却状態で保存すべきなのか認識している。
【0032】
回収された細胞は溶解液で溶解でき、対象とする生物学的に活性な分子を含む内容物が溶菌液に放出される。
【0033】
一般的に、細胞を溶解する前に、細胞ペーストが、対象とする生物学的に活性な分子を含んでいる細胞の懸濁物を調製するのに使われる。細胞はどのような適切な溶液を使っても懸濁できる。懸濁溶液内の細胞を含む懸濁液は、タンク又は他の貯蔵容器で維持することができる。二つの容器を使うことが可能で、二番目の容器は追加の細胞を懸濁するのに使われ、一方、一番目の容器が溶解プロセスで使われる。いくつかの態様において懸濁溶液は中程度の濃度の緩衝液、中程度の濃度のキレート試薬、又はその両方ともを含む。いくつかの態様において、懸濁溶液はpH約8の約25mMトリス塩酸(“Tris−HCl”)、そして約10mMエデト酸二ナトリウム(“Na2EDTA”)を含む。いくつかの態様において、細胞懸濁液は、既知重量の細胞ペーストを既知重量の懸濁溶液で懸濁することにより調製する。例えば、一容の細胞ペーストが約4〜10部(part)の緩衝液で再懸濁され、いくつかの態様においては約6〜8部の緩衝液で再懸濁される。いくつかの態様において、生じた細胞懸濁液の光学密度は約50〜80OD600単位である。いくつかの態様においてそれは約60〜70OD600単位である。
【0034】
溶解液は、アルカリ、酸、酵素、有機溶媒、界面活性剤、又はそれらの混合物のような、1つ又はそれ以上の溶解試薬を好ましく含んでいる。しかし、動物由来の酵素又は有機溶媒の使用は好ましいものではない。なぜなら医薬品の生産にそれらが有害だからである。いくつかの態様において溶解液は、アルカリ、界面活性剤、又はその混合物を含む。適切なアルカリは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含んでいるがこれらに限定されるわけでない。界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、又はアニオン性である。適切な界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(“SDS”)、トリトン、ツイーン、又は多価性試薬(エチレンオキシドとプロピレンオキシドに基づいたブロック共重合体)を含んでいるが、これに限定されるわけではない。適切なアルカリ又は界面活性剤の選択は、当業者の間ではよく知られている。いくつかの態様において、溶解液は、水酸化ナトリウム(“NaOH”)とSDSを含む。いくつかの態様において、NaOHの濃度は、約0.1〜約0.3Nであり、いくつかの態様において約0.2Nである。いくつかの態様においてSDSの濃度は、約0.1%〜約5%、いくつかの態様において約1%であってもよい。いくつかの態様において、溶解液は、タンク又は他の貯蔵容器で維持される。
【0035】
細胞懸濁液と溶解液が合わされ細胞が溶解して、溶菌液が作られる。いくつかの態様において、それらは合わされ、混ぜ合わされそして高レベルの細胞の溶解と生物学的材料の放出を可能にするに十分な時間、混合物として維持されることによって溶菌液を形成する。
【0036】
いくつかの態様において、細胞懸濁液と溶解液は異なるタンクで維持され、1以上のポンプでそのようなタンクから引き出される。細胞懸濁液と溶解液は、“Y”コネクタを使って互いに接触してもよい。いくつかの態様において、同量の細胞懸濁液と溶解液がデュアルヘッドポンプを使って、同じ流速で送り込まれる。しかし当業者は、望まれるならそれぞれのポンプを使って、異なる容量の細胞懸濁液と溶解液を異なった速度で送れることを認識している。いくつかの態様において、細胞懸濁液と溶解液は同時にガラス繊維強化プラスチックのデュアルヘッドポンプを通じて、約0.3L/分〜約2L/分で送り込まれる。このとき接触した流動体は約0.6L/分〜約4L/分の速度で“Y”コネクタを出て行く。当業者はこれらの流速を簡単に増加させたり減少させたりすることができ、どのような要求される処理量に対しても対応できるようにチューブのサイズを増加させたり減少させたりできることを認識している。“Y”コネクタを出た後、接触した細胞懸濁液と溶解液は、高せん断インラインミキサーを通過してもよい。ミキサーは、フロースルーモード(バッチモードとは反対の)で、高速高せん断の混ぜ合わせを提供できる装置なら何でもいい。いくつかの態様において、ミキサーは回転子/固定子ミキサー又はエマルシファイアである。当業者は、多種類のそのような高せん断インラインミキサーが商品として入手可能なことを認識している。どのようなミキサーを使用しても、本発明の範囲内である。いくつかの態様において、ミキサーは標準エマルサスクリーン付のシルバーソンL4R回転子/固定子ミキサー(米国マサチューセッツ州、イーストロングメドウ、シバーソンマシーンズInc)であり、インラインアセンブリーである。ロータは、約500rpm〜約900rpm、500〜600rpm、約500rpm〜約700rpm、約500rpm〜約800rpm、約600rpm〜約700rpm、約600rpm〜約800rpm、約600rpm〜約900rpm、約700rpm〜約800rpm、又は700rpm〜約900rpmのような速度で運転される。そのようなミキサーは、約0.3L/分〜約2L/分の細胞懸濁液の処理に適している。しかし当業者は、実質的により大容量の細胞懸濁液を処理するために大規模ミキサーに置き換えることができることを認識している。そのような置き換えは当業者にはただの通常の実験として簡単に達成される。高せん弾インラインミキサーの使用は、細胞懸濁液と溶解液の徹底的で素早い混ぜ合わせを容易にし、細胞を溶解試薬とよく馴染むように接触させ効果的な溶解を達成する。さらにミキサーは異なる流動体流速にすぐに適応し、異なる流速に順応する柔軟性のある速さで混ぜ合わを提供する。高せん弾インラインミキサーを出て行く材料は次に保持コイルを通る。このコイルは単に、決められた時間に流動体がコイルを通過ということを提供するのに十分な管の長さを含む。コイルの機能は、実質的に完全な溶解を確実なものとするために細胞と溶解試薬の間に十分な接触時間を提供することにある。同時に、コイルは否定的な結果を招かないように接触時間があまり長くならないようにしている。細胞がプラスミド含有細胞で溶解液がアルカリを含むときのような、いくつかの態様において、アルカリへの暴露を十分長く続け、実質的に完全なタンパク質、ゲノムDNA、そしてその他の細胞成分の変性と同様に実質的に完全な細胞の溶解を達成することを確実にすることが望まれる。しかしまた、アルカリへの暴露があまり長くなりすぎて永久的に変性したプラスミドを大量に作ってしまわないようにすることも望まれるのである。コイルは1つの完全な管、又は流動体流速を柔軟にするために2〜10の管に分割される。保持コイルはこの接触時間を制御できるようにしている。いくつかの態様において、この接触時間は約2分〜約10分である。いくつかの態様において、この接触時間は約2分〜約9分、約2分〜約9分、約2分〜約8分、約2分〜約7分、約2分〜約6分、約3分〜約10分、約3分〜約9分、約3分〜約8分、約3分〜約7分、約3分〜約6分、約4分〜約10分、約4分〜約9分、約4分〜約8分、約4分〜約7分、約4分〜約6分、約5分〜約10分、約5分〜約9分、約5分〜約8分、約5分〜約7分、又は約5分〜約6分である。好ましくは、接触時間は、約4分〜約8分又は約4分〜約6分である。いくつかの態様において接触時間は約5分である。いくつかの態様において、保持コイルの長さと直径は、望まれる暴露時間が、溶解された細胞が望まれる速度で流れていくときに達成されるようなものである。いくつかの態様において、保持コイルは、長さ約10フィート〜長さ約150フィート、長さ約25フィート〜長さ約100フィート、又は長さ約40フィート〜長さ約60フィートである。いくつかの態様において保持コイルは、長さ約50フィートであり、いくつかの態様において保持コイルは、長さ約100フィートである。保持コイルは内径が約0.5インチ〜約2インチであり、そしていくつかの態様において0.625インチである。さらにまたいくつかの態様において、溶解された細胞は、高せん断インラインミキサーから出て行き、約100mL/分〜約10L/分、約200mL/分〜約8L/分、約300mL/分〜約6L/分、約400mL/分〜約4L/分、約400mL/分〜約2L/分、又は約600mL/分〜約1.2L/分という速度で保持コイルを通過する。好ましくは保持コイルを通る速度は、約0.6mL/分〜約10L/分である。いくつかの好ましい態様において、保持コイルを通過する速度は、約600mL/分で、いくつかの態様においてそれは約1200mL/分である。コイルの長さと直径の調節は当業者によって達成され、生物学的に活性な分子の製造がスケールアップされたときは、より速い流速に調節されたり調整されたりする。溶菌液が保持コイルから集められる。
【0037】
溶菌液は、中和液(中和沈殿溶液ともいう)と接触されることにより中和され、中和された溶菌液と残骸物を含む分散液が製造される。結果として生じた分散液が維持され、残骸物からの中和された溶菌液の分離が促進される。
【0038】
いくつかの態様において、溶解された細胞を含む溶菌液は、中和チャンバーの中で中和液と混ぜることによって中和される。溶菌液の中和は、中和チャンバーの中で混ぜ合わせることにより促進される。いくつかの態様において、中和はバブルカラムミキサー内でバブルミキシングすることにより追跡することができる。好ましくは、バブルカラムミキサー内でバブルミキシングと連結して中和が起こる。いくつかの態様において、保持コイルから出て行く溶菌液はバブルカラムミキサーに入って行く。その一方で、同時にポンプが別のタンクから中和/沈殿溶液をバブルカラムミキサーに送る。いくつかの実施例において、また同時に、別のタンクから圧縮ガスがバブルカラムミキサーの底部に撒き散らされる。いくつかの態様において、溶菌液は一方の側から底部のカラムに入り、一方、中和/沈殿溶液が反対の側から底部に入って行く。圧縮されたガスは、カラムの横断面を横切って十分に均一にガス気泡を送るためにデザインされた焼結スパージャを通って撒き散らされる。溶解された細胞を含む溶菌液と中和液はカラムを垂直に上へ流れ、最上部近くの側面の出口ポートを通って出て行く。液体垂直カラムのガス気泡の通過は溶菌液を中和/沈殿溶液と混ぜ合わすのに役立つ。上昇ガス気泡で提供されるミキシングは徹底的ではあるが穏やかでせん断力が小さくなければならない。中和/沈殿液が溶菌液の溶解した細胞と混ざり合うとき、溶液から細胞成分が沈殿する。シュノーケルがバブルカラムミキサーの最上部に提供されており余分なガスに出口を与える。
【0039】
いくつかの態様において、溶菌液は、アルカリ、界面活性剤、又はその混合液で溶解されたプラスミド含有細胞から成り、そして中和/沈殿溶液がアルカリを中和し、タンパク質、膜、エンドトキシン、そしてゲノムDNAのような宿主細胞成分を沈殿させる。いくつかの態様において、アルカリはNaOHであり、界面活性剤はSDSであり、そして中和/沈殿溶液は、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、又はその混合液であってもよい。いくつかの態様において、中和/沈殿溶液は、約1M酢酸カリウム、そして約3M〜約7M酢酸カリウムを含む非緩衝液を含む。そのような中和/沈殿溶液の使用は、pHが約7〜約8の懸濁液を製造する。酸性条件はDNAの脱プリンを導くので、これは酸性のpHより好ましい。いくつかの態様において、中和/沈殿溶液は、約2℃〜約8℃の冷却した形態で供給される。
【0040】
バブルカラムミキサーは、低せん断力での混合を提供するので、溶菌液へDNAとエンドトキシンの過剰の放出を避けることができる。当業者は、ガスのバブルカラムミキサーを流れる好ましい速度を決定することができる。ガスの流速は約1分間に2標準リットル〜約20標準リットルで使用できる。適切なガスならどれでも使用することができ、空気、窒素、アルゴン、そして二酸化炭素を含むが、これらに限定されるわけではない。ガスはろ過した圧縮空気である。
【0041】
溶菌液と中和液の組み合わせは、中和した溶菌液と残骸物を含有する分散液の生成を来たす。中和した溶菌液は、タンク又は貯蔵容器に集められてもよい。いくつかの態様において、容器は5〜10℃に冷却される。容器内での中和された溶菌液の保持のための時間は必ずしも必須ではない。1時間以下から、約1時間〜約12時間、約12時間〜約15時間、又は15時間以上まで変化し得る。いくつかの態様において、用いられる時間は約12時間であり、一方いくつかの実施例では約15時間の時間が用いられ、その他の実施例では、“一晩中”いう時間もある(約15時間以上と定義される)。1つの態様において、中和された溶菌液から細胞残骸物を実質的に完全に分離することを達成するために十分な保持期間が採用される。しかし、プロセス規模は、粗製な溶菌液保持タンクによって制約を受け、この保持期間によってプロセス時間が引き延ばされる。
【0042】
低収率のプラスミド産物の大規模精製を達成するために、中和された溶菌液の保持時間が1時間以下に減らされる。いくつかの態様において、中和された溶菌液はそれが生成されるときと同時に処理され、よって容器中の保持時間はほとんど無視できる。いくつかの態様において、容器内で溶菌液を集めてから約5分〜60分の時間後、溶菌液は次の工程によって同時に処理される。溶菌液の保持時間の減少又は除去はまた、溶菌液がその生成とともにすぐに処理されるので、容器による工程容量制限を取り除かれる。
【0043】
中和された溶菌液は、固相/液相分離法のどのようなアプローチからでも透明にすることができる。例えばバッグによるろ過、カートリッジによるろ過、バッチ遠心、連続遠心などがある。次の精製プロセスでの膜又はカラムの目詰りを避けるため、溶液内の粒子の完全な除去が望まれる。同時に、溶菌液は余分なせん断に供されてはならない。これはゲノムDNAを切り刻み、ゲノムDNA、切り刻まれたゲノムDNA、エンドトキシンそして他の夾雑物の放出の原因となり、プラスミド含有溶液に放出されてしまう。少容量の溶菌液を処理するにはバッチろ過法が用いられる。しかしこの方法は大規模のときは非実用的である。連続遠心もまた適していない。なぜなら沈殿物が高せん断応力に供され、溶液に高レベルの夾雑物が放出されるからであるいくつかの態様において、異なるグレードのフィルター媒体を用いる一連のろ過が利用できる。第1のろ過は、大部分のミクロンサイズの巨大細胞群を除去するために用いられ、一方、連続した第2のろ過では、残りの微粒子を保持する。次のプロセスで厳密な透明性が望まれ第2のろ過が不十分なとき、任意に第3のろ過が行われる。
【0044】
いくつかの態様において、高汚染保持能力と溶液に対する最少の妨害ということでバッグ及びカートリッジフィルターを用いることができる。フィルターバッグ又はカートリッジはどのようなサイズ、形、ポアサイズの等級、媒体でもよい。フィルター媒体は好ましくは、医薬品グレードの又は米食品医薬品局(FAD)の指示に則った材料から作られる。フィルターの材質はまた電荷がなく生成物がほとんど結合しないものが好ましい。フィルター材質の粒子径限度値は約0.1μm〜約数百ミクロンまでの間を変化する。それは標的生成物のサイズより大きくてフィルター媒体により生成物が保持されないようにする。バッグフィルターとカートリッジフィルターの媒体は単層状、多層状、ひだ状、多ひだ状である。
【0045】
いくつかの態様において、大規模なプロセスに適応させるために、同じポアサイズの等級で2以上のフィルターが並行して使われてもよい。細胞壁と細胞膜の成分、沈殿物、ゲノムDNA、タンパク質、脂質、リポ多糖、及びその他の夾雑物を含む溶菌液の固形粒子の大部分がろ過によって除去される。しかし、所望の透明性の溶液を送るのに第1のろ過が不十分なとき、ポアサイズを小さくした又はより保持速度を大きくした第2のろ過が次に配置されてもよい。いくつかの態様においては、大規模なプロセスに適応させるため、2以上の第2のフィルターが並行して設置されてもよい。大規模プロセスでは多くのフィルターが要求されるときもあり、当業者は、使用されるフィルター数、さらに粒子径限度値のような詳細が容易に変更されることを認識している。
【0046】
いくつかの態様において、分散液が集められ、清澄化タンクで維持され、残骸物を沈殿させるか浮き上がらせてもよい。したがって、いくつかの態様において、分散液は、粗製な細胞溶解物のスラリーとして集められ、バブルカラムミキサーからの宿主細胞成分を沈殿させ、清澄化タンクで維持され、残骸物を沈殿するか浮き上がるかさせる。分散液は、沈殿させられた宿主細胞成分の実質的に完全な分離を達成するのに十分な時間、清澄化タンクで保持され維持される。これは中和した溶菌液から残骸物を作り上げる。沈殿成分は、バブルカラムミキサーにより導入された捕捉されたガス気泡に助けられて分散液の表面に上がる場合がある。いくつかの態様において、分散液は、清澄化タンクで約6時間〜約24時間保持され、いくつかの態様においては約12時間〜約18時間保持されてもよい。いくつかの態様において、分散液は、保持する時間中、15℃以下に冷却され、いくつかの態様においては、RNA又は他の不純物の沈殿を援助するため約2℃〜約8℃に冷却されてもよい。いくつかの態様において、分散液は、非常に低いrpm、好ましくは15rpm〜約25rpmで操作される羽車ミキサーによるように、保持期間中、穏やかに混ぜ合わされてもよい。
【0047】
いくつかの態様において、例えば清澄化タンクのような、分散液を保持する容器が真空にされてもよい。これは、沈殿した成分が液体の表面に移動するのを助ける。さらにこれは、浮き上がる綿状の沈殿物/残骸をコンパクトにし、次の工程でのその除去を助け、さらにまた後の工程でより多くの割合の中和した溶菌液を回収するのを可能にする。さらに、これは、後のクロマトグラフィー工程を詰まらせる場合がある、溶液の捕捉された空気を除去する。いくつかの態様において、適用される真空は、HGの約15インチ〜HGの30インチ(水銀柱インチ(in・Hg))、約20水銀柱インチ〜約30水銀柱インチ、いくつかの態様において、約25水銀柱インチ〜約30水銀柱インチである。いくつかの態様において、真空はこの保持期間を通して維持されてもよい。真空は、真空ポンプ又は入手可能な他の真空又は陰圧装置を用いて適用されてもよい。いくつかの態様において、固相/液層分離を始める前に、タンクに充てられた任意の真空は注意深く放出される。粗製な細胞溶解液、すなわち中和した溶菌液は、次にポンプを使ってタンクから集められ、デプスフィルターと最終フィルターを通過させ、次に保持タンクに集められる。いくつかの態様において、清澄化タンクは視界ガラスが取り付けられ、オペレータが液体レベルの位置とコンパクトに沈殿された宿主細胞成分を観察するのを可能にする。タンクからの材料のポンプによる吸出しは、視覚的にモニターされ、沈殿した宿主細胞成分がラインに入る前に停止する。これは次のフィルターが詰まるのを防止する。バッグろ過(又はカートリッジろ過)又は遠心操作は要求されない。さらに、残骸物の妨害は、ゲノムDNA又はエンドトキシンのような成分の中和した溶菌液への放出を最小化する。中和された溶菌液が清澄化タンクからポンプで引き出された後、微粒子を除くために、それは1以上のフィルターに通過してもよい。いくつかの態様において、約1〜3個のフィルターが連続して使用されてもよい。第1のフィルターは大きな粒子を除去し、そして以下のフィルターは連続的に小さくなって行く粒子を除去する。いくつかの態様において、連続して二つのフィルターが使われる。いくつかの態様において、第1のフィルターは、粒子径限度値が約5μm〜約15μm、好ましくは約7.5μm〜約12μm、又はさらに好ましくは約9μm〜約11μmの前ろ過のデプスフィルターである。いくつかの態様において、前ろ過のデプスフィルターは粒子径限度値が約10μmである。第2のフィルターは、好ましくは、カットオフが約0.01μm〜約0.25μm、又は好ましくは約0.05μm〜約0.15μmの膜フィルターである。いくつかの態様において、膜フィルターはカットオフが約0.1μmである。しかし、当業者は、使用されるフィルターの数、さらにはそれらの粒子径限度値のような詳細が容易に変更できることを認識している。
【0048】
異なったベンダーから市販品が出ており、フィルターの広範囲の選択が可能である。1つの特徴的なタイプは、720シリーズのひだ状カートリッジフィルター(米国テキサス州、ヒューストン、CPIフィルターズ)で、強い汚染保持能力と優れた処理能力を示した。300シリーズや500シリーズのような高性能多層フィルターバッグ(米国テキサス州、ヒューストン、ナイトコーポレーション)は微細粒子の保持がかなり高いことを示した。12層の媒体までの累進密度型のプロガフTMフィルターバッグ(米国オハイオ州、クリーブランド、イートンフィルトレーション)は、多くのサイズの粒子の除去において高性能を示す。いくつかの態様において、ひだ状カートリッジろ過、続く多層状又はひだ状カートリッジろ過の組み合わせは、中和した溶菌液内の粒子の清澄化に最高の成果を与えることがある。
【0049】
カートリッジフィルター又はバッグフィルターが、操作の簡単さと高処理能力のために、フィルターハウジング又はフィルター容器内で組み立てられるのが好ましい。容器の材料は、タイプ304又は316のステンレス鋼、又は炭素鋼であってもよく、一方、全プラスチックハウジングは、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、ポリエステルプラスチック(PPL)、又はフッ化ポリビニリデン(PVDF)構築物を有し、超純粋又は腐蝕性の応用に有利である場合がある。フィルター容器は、使用者により設計されるか又はいくつかの製造者から容易に入手可能である。例えば、イートン・フィルトレーション(米国オハイオ州、クリーブランド)は、任意の要求される用途を満たすように設計されたハウジング/容器の広い選択を提供する。そのようなものにトップライン、サイドライン、デュオライン、モデュライン、ポリライン、フローライン、エコライン、マキシラインシリーズがある。当業者は、プロセス要求に適うフィルターハウジングの構築と特徴を決定できる。
【0050】
場合により、追加のデプスフィルター又は膜フィルターが第2のろ過後に実施されてもよい。フィルターは、中和した溶菌液の微粒子の更なる除去のためにカットオフが約0.1μm〜約0.2μmであることが好ましい。マイスナーから出ているバンガードPPとアルファPP(米国カリフォルニア州、カメリオ)、ミリポアから出ているクラリガード(米国マサチューセッツ州、ビレリカ)、ポールから出ているHPとプレフロー(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ)のようなカートリッジフィルターについて、ディスポーザブルなものにするのか、ハウジングの助けがあるものにするか熟慮されるべきである。しかし、これらのカートリッジフィルターの大半は処理能力に限界がある。特にディスポーザブル型のものについてはそうである。大規模における応用を適応させるための拡張可能な形式を提供するディスポーザブル成分の使用が好ましい。ミリポア(米国マサチューセッツ州、ビレリカ)は、研究室又はプロセススケールのいずれかにおける応用を目指して、高性能デプスフィルターシステムのミリスタックプラスポドを開発した。ポドフィルターのフィルター媒体は、選択されたグレードのセルロース繊維と珪藻土から成り、夾雑物の大きな保持能力と優れた維持能力を持つことが実証されている。ステンレスホルダーによる取り外し可能な形式の積み重ねられたディスク設計は、締まった空間における大きな表面積でのろ過を可能にする。当業者は媒体のグレードとポドフィルターの膜領域を決定し、特別な運転の必要性に対応できる。
【0051】
対象とする生物学的に活性な分子を含む、清澄化された中和した溶菌液は、カラムクロマトグラフィー又は膜をベースにしたものを含むイオン交換クロマトグラフィーに供される。好ましくは、アニオン交換膜クロマトグラフィーのような、膜に基づいたアプローチが用いられてもよい。例えば、中和した溶菌液がイオン交換膜に適用される。いくつかの態様によれば、対象とする生物学的に活性な分子は膜に接触し、そこで対象とする生物学的に活性な分子は膜に結合し、一方、不純物は膜を流れ出るか洗い出されてしまう。このように不純物から対象とする生物学的に活性な分子を分離する。あるいは、対象とする生物学的に活性な分子が膜を通して流出してもよく、一方、不純物が保持されることもある。いくつかの態様において、対象とする生物学的に活性な分子は膜に結合し、そして、弱く結合した不純物を除去するために洗浄後、対象とする生物学的に活性な分子は膜から溶出される。膜に塩溶液を流すことにより溶出が達成される。塩溶液は、対象とする生物学的に活性な分子の膜への結合に打克つためには十分な強度、濃度、又は伝導率を有している。対象とする生物学的に活性な分子はこのようにイオン交換溶出液から回収される。
【0052】
任意のイオン交換膜が適切であり得るが、いくつかの態様において、四級アミノ基を含む強アニオン交換膜のようなアニオン交換膜が使用されてもよい。そのような膜の実施例は、ムスタングQ(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ、ポールコーポレーション)、サルトバインドQ(米国ニューヨーク州、エッジウッド、サルトリウス)、及びインターセプトQ(米国マサチューセッツ州、ビレリカ、ミリポアコーポレート)を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0053】
いくつかの態様において、プラスミド含有細胞は、溶解及び中和されて、中和した溶菌液を生成し、それはポールのムスタングQカートリッジ(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ、ポールコーポレーション)を使用する精製法を含むアニオン交換膜精製法により処理されてもよい。いくつかの態様において、中和した溶菌液は、適量の精製水で希釈され、約95mS/cm未満、又は約85mS/cmの伝導率になるように調整されてもよい。伝導率は、いくつかの態様において、約80mS/cm〜約85mS/cmになるよう調整されてもよい。望ましい伝導率を達成するために、溶菌液の容量の約1.5倍量の精製水が希釈のために使われ得る。好ましい塩溶液を流すことによってムスタング(登録商標)Qカートリッジの条件を設定することができる。いくつかの態様において、溶液は、約0.5M塩化ナトリウム〜約1.0M塩化ナトリウム(“NaCl”)、いくつかの他の態様において0.67M NaClを含む。平衡化溶液は、緩衝剤、キレート剤、又はその組み合わせを含んでもよい。いくつかの態様において、この平衡化/洗浄液は、0.67M NaClに加えて、pH8の10mM Tris−HCl、1mM Na2EDTAを含んでもよい。いくつかの態様において、平衡化/洗浄液は、約800mL/分〜約1500mL/分でカートリッジの中をポンプで送られてもよい。希釈された中和した溶菌液は、いくつかの態様において4800mL/分未満で、いくつかの態様においては約2000mL/分〜約20,000mL/分で、カートリッジの上にポンプで送り込まれてもよい。添加されたカートリッジは、好ましくは約800mL/分〜約1500mL/分の流速で平衡/洗浄緩衝液で洗浄されてもよい。洗浄は、いくつかの態様において、溶出液の260nmの吸光度(A260)が大よそベースラインに戻るまで続けられてもよい。プラスミドは、1M NaCl、10mM Tris−HCl、1mM Na2EDTA、そしてpH8を含む溶液で溶出されてもよい。いくつかの態様において、約500mL/分〜約9000mL/分、約500mL/分〜約8000mL/分、約500mL/分〜約7000mL/分、約500mL/分〜約6000mL/分、約500mL/分〜約5000mL/分、約500mL/分〜約4000mL/分、約500mL/分〜約3000mL/分、約500mL/分〜約2000mL/分、約600mL/分〜約5000mL/分、約600mL/分〜約4000mL/分、約600mL/分〜約3000mL/分、約600mL/分〜約2000mL/分、又は約600mL/分〜約1500mL/分の流速で溶出が行われてもよい。いくつかの態様において、溶出は溶出液のA260が大よそベースラインに戻るまで続けられる。当業者は、単なる通常の実験法を用いて、大きな膜面積を利用して流速を簡単に上げることができ、列挙された溶液の特定の塩濃度を変えて特定の生体分子の収率と純度を最大にすることができることを認識している。回収された溶出液は、イオン交換溶出液で、疎水性相互作用工程による次の精製に使用される。
【0054】
イオン交換膜からのイオン交換溶出液は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(本明細書では“HIC”)による精製に供される。いくつかの態様において、対象とする生物学的に活性な分子がHIC膜又はカラムに結合し、一方、不純物は流れ出るか洗浄される。いくつかの態様において、対象とする生物学的に活性な分子が流れ出て、一方、不純物が結合する。いくつかの態様において、対象とする生物学的に活性な分子はHIC膜を流れ出る(本明細書では“方法I”と呼ぶ)。いくつかの態様において、対象とする生物学的に活性な分子は、ブチルカラムのようなHICカラムに結合する(本明細書では“方法II”と呼ぶ)。いくつかの態様において、ブチルカラムのような、HIC膜とHICカラムの組み合わせが用いられ(本明細書では“方法III”と呼ぶ)、高純度の対象とする生物学的に活性な分子が大規模に製造されてもよい。
【0055】
イオン交換溶出液は疎水性相互作用膜への流入の前に条件を設定されてもよい。典型的には、条件設定は、望ましい量の望ましい塩の添加から成る。いくつかの態様において、要望通り、製造物又は不純物の結合をもたらすのに適度の量の硫酸アンモニウムが使用される。典型的には、方法IIIにおいて、ブチルカラムへの添加前ならHICろ過溶液の条件設定は必要でない場合がある。
【0056】
いくつかの態様において、イオン交換溶出液は、ポールのムスタング(登録商標)Qカートリッジを使ってアニオン交換クロマトグラフィーによって生成されさらに疎水性相互作用によって精製される。いくつかの態様において、ポールのスーポアPES付きクリーンパックTMノバカプセル(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ、ポールコーポレーション)のようなHIC膜が使われる。カートリッジは、濃縮硫酸アンモニウムを含む平衡化/洗浄液を流して、条件設定されてもよい。いくつかの態様において、平衡化/洗浄液は、約1M〜約3Mの硫酸アンモニウム、さらにいくつかの態様において、2.4M硫酸アンモニウム及び10mM Tris−HCl、約pH8を含む。いくつかの態様において、平衡化/洗浄液の伝導率は、約240mS/cm〜約260mS/cmである。いくつかの態様において、平衡化/洗浄液の伝導率は、約240mS/cm〜約300mS/cmで、いくつかの態様において、平衡化/洗浄液は約250mS/cm〜約270mS/cmであり、そしていくつかの態様において、平衡/洗溶液は約245mS/cm〜約255mS/cmである。いくつかの態様において、使用されるHICカラムはトヨパールブチル樹脂650M(米国ペンシルバニア州、モンゴメリービル、トーソーバイオサイエンスLLC)というレジンが充填されたカラムである。いくつかの態様において、カラムは、約1.5M〜約3.0Mの硫酸アンモニウムを含む溶液で平衡化される。いくつかの態様において、カラムは2.5M硫酸アンモニウムと10mM Tris−HClを含む溶液で平衡化されてもよい。
【0057】
疎水性相互作用膜は、主として疎水性相互作用に基づいて、対象とする生物学的に活性な分子又は不純物のどちらかと結合するような任意の膜であってもよい。HIC膜の実施例は、ポールのスーポアポリエーテルサルフォン(“PES”)フィルター、PVDFフィルター、GEのPESカプセルフィルター、そして低タンパク質結合性で広範囲の化学的適合性を持った類似の親水性膜を含むが限定されるわけではない。典型的なHICレジンは、ブチル、ヘキシル、フェニル、オクチル、プロピル、ネオペンチル、ヒドロキシプロピル、ベンジル、メチルそしてそれらの誘導体を含むが限定されるわけではない。
【0058】
いくつかの態様において、イオン交換溶出液は、3M又は4.1M硫酸アンモニウムで希釈し、伝導率を約240mS/cm〜約290mS/cmの間に、そしていくつかの態様において、約245mS/cm〜約255mS/cmとすることによって条件設定されてもよい。HIC方法Iを用いるときは、希釈された溶出液は、条件設定されたHICカートリッジをいくつかの態様において、約100mL/分〜約200mL/分の流速で流れてもよい。フロースルーが次の限外ろ過/透析ろ過のために回収されてもよい。場合により、HICカートリッジは水で洗浄され、そして製造物から除去された夾雑物を分析するのに洗浄液が回収されてもよい。方法IIを使用するとき、希釈されたイオン交換溶出液が、流速10〜20総容積/分(BV/分)でカラムに添加されてもよい。対象とする生物学的に活性な分子は、吸光度がベースラインに戻るまで約1.0M硫酸アンモニウム〜約2.5M硫酸アンモニウムで洗浄され、次に例えば0.5〜2.0M硫酸アンモニウムで溶出されてもよい。不純物が注入用の滅菌水で取り出されてもよく、その結果、カラムは反復使用のために再生可能となる。方法IIIは、方法Iで記載したHIC膜、その後、方法IIで記載したHICカラムを使用する。方法I、II又はIIIの選択は製造物の性質と品質要求に依存し、当業者によって決定され得る。HIC法を使用して、対象とする生物学的に活性な分子を含むHIC溶出液が生成される。当業者は、単に通常の実験法を利用して、大きな膜面積又はカラムの直径を用いて流速を簡単に上げることができ、ある特定の生体分子の収率と純度を最大化するためにリストにある溶液の特定の塩濃度を変えることができることを認識している。
【0059】
場合により、HIC溶出液に存在する対象とする生物学的に活性な分子はさらに精製してもよい。いくつかの態様において、HIC溶出液は限外ろ過/透析ろ過に供され、対象とする生物学的に活性な分子が濃縮され、余分な塩が除かれ、所望により、希釈液の組成を変えることができる。限外ろ過/透析ろ過を行う方法は当業者にはよく知られている。いくつかの態様において、接線フローろ過が使用できる。いくつかの態様において、バッチ法が使われる。
【0060】
限外ろ過/透析ろ過膜が、名目上の分子量カットオフ(“NMWCO”)に基づいて選択され、対象とする生物学活性のある材料が保持液で保持され、一方、塩のような低分子量材料はろ過溶液に進んで行く。当業者は、単なる通常の実験法と結び付けて、サイズと対象とする製造物の性質に基づいて、そのような膜を選択することができる。対象とする生物学活性のある材料はプラスミドであるときのいくつかの態様のような、いくつかの態様において、限外ろ過/透析ろ過がポールのセントラメートユニット(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ、ポールコーポレーション)、又はミリポアのペリコン(登録商標)XLユニット(米国マサチューセッツ州、ビレリカ、ミリポアコーポレート)、又は類似した特質のユニットを用いて実行される。そして使用される膜、すなわち、ポールのオメガTMサスペンディッドスクリーン膜カセット(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ、ポールコーポレーション)又はミリポアのメディアムスクリーン膜カセット(米国マサチューセッツ州、ビレリカ、ミリポアコーポレート)、又はNMWCOが100kD又は50kDの当該技術分野で知られている類似したカセットを用いて実行される。いくつかの態様において、プラスミドは少なくとも約2.5mg/mLに濃縮されてもよい。いくつかの態様において、少なくとも約5.0mg/mL、いくつかの態様において少なくとも約10.0mg/mL、一方、いくつかの態様において、濃度は少なくとも12.5mg/mL、そしていくつかの態様において濃度は少なくとも15mg/mL又はそれ以上である。いくつかの態様において、濃縮されたプラスミド溶液の伝導率は約50mS/cm未満である。
【0061】
限外ろ過/透析ろ過からの保持液で回収された、濃縮され脱塩された対象とする生物学活性のある材料は、滅菌された産物が望まれるなら任意にろ過滅菌に供されてもよい。滅菌ろ過の方法は当業者にはよく知られており、そのような方法ならどんなものでも選択されてもよい。結果として生じた材料は、十分に精製された生物学活性のある製造物から成る。製造物は、薬学的、獣医学的、又は農学的応用を含むが、これに限定されない多くの目的に使用され得る。このように、この方法は、十分に精製された生物学的に活性な分子のバルク調製を提供する。これらの分子はプラスミドであってもよい。いくつかの態様において、それらは実質的に、ゲノムDNA、RNA、タンパク質そしてエンドトキシンを含まないプラスミドであってもよい。
【0062】
生物学的に活性な分子がプラスミドである態様のようないくつかの態様において、0.22μmカットオフのポールのアクロパックTM200フィルター(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ、ポールコーポレーション)を用いて、ろ過滅菌が好ましく実行されてもよい。
【0063】
用意された工程で製造されたプラスミドDNAは高純度で非常に低い夾雑物の混入を示した。いくつかの態様において、純度の高いプラスミドDNAとは、90%以上の、91%以上の、92%以上の、93%以上の、94%以上の、95%以上の、96%以上の、97%以上の、98%以上の、又は99%以上のレベルで存在するプラスミドDNAをいう。純度は、RNA、ゲノムDNA、エンドトキシン、そしてタンパク質のレベルが低いというような、夾雑物のレベルが低いということで特徴づけられることは直ちに明白である。いくつかの態様において、プラスミドDNAは、約10mg以上、20mg以上、30mg以上、100mg以上、200mg以上、300mg以上、500g以上、1g以上、10g以上、20g以上、30g以上、100g以上、200g以上、300g以上、1kg以上、又は2kg以上の量で存在してもよい。いくつかの態様において、プラスミドDNAは1mg/mLの濃度で存在してもよい。図1は製造工程の1つの態様の模式図である。
【0064】
この態様は、与えられた一定の細胞試料を採取し、試料の連続した流れの中で、始まりからスタートし、溶解と中和工程を含み、分離工程(すなわちイオン交換クロマトグラフィーの開始)までの精製プロセスと同じ経験工程を有するのに使われる連続プロセスを示す。細胞は、細胞懸濁タンク101に入っている再懸濁溶液に再懸濁される。溶解液は溶解液タンク102の中に入れられる。細胞懸濁液と溶解液が“Y”コネクタの二つの入り口にそれぞれ104又は105のポンプを用いて送り込まれる。“Y”コネクタを出て行く溶液は、インラインミキサー107の高せん断力で混ぜ合わされるミキサー107を出て行く溶菌液は、4〜6分の保持時間をかけて保持コイル108を通過する。保持コイルを出て行く溶解液/細胞の混合液はバブルカラムミキサー109に入る。一方、同時にポンプ106が中和/沈殿(NP)液を、別なタンクのNP液タンク103からバブルカラムミキサーへ送り込む。同時に圧縮ガスタンク110からの圧縮タンクが、バブルカラムミキサーの底に設置されているスパージャに供給される。中和した溶菌液が容器111に集められる。容器111の中に溶菌液を集める1〜60分の後、溶菌液が同時に次の工程によって処理さる。第一次ろ過のポンプ112が粗製な溶菌液を第一次フィルター113に送り込む。フィルター113後の第一次ろ過溶液は、同時にポンプ114を経由して第二次フィルター115にポンプで送り込まれる。115の後のろ過溶液は、ポンプ116を経由して、第三次フィルター117を通ってろ過される。清澄化した溶菌液のためのポンプ118は、清澄化した溶菌液のための容器119からミキサー121への流れを駆動させる。混ぜ合わされ希釈された溶液は希釈溶菌液のための容器122に集められる。希釈された中和した溶菌液は、予め条件設定されたムスタング(登録商標)Qカートリッジ124にポンプで送り込まれる。これはポンプ123で達成される。
【0065】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるプロセスによる製造物は精製され;濃縮され、脱塩され、ろ過滅菌されたプラスミドは、タンパク質、ゲノムDNA、RNA、そしてエンドトキシンのような不純物が実質的には含まないことが可能である。これらの低レベルの、好ましくは実質的に存在しない量の不純物又は夾雑物が本明細書では提供される。最も好ましいレベルとしては、そのような不純物や夾雑物が検出できない量であることである。いくつかの態様において、BCA(ビシンコニン酸)タンパク質アッセイ(米国イリノイ州、ロックフォード、ピアス・バイオテクノロジーInc)で決定される残留タンパク質は、生物学的に活性な分子好ましくは提供された製造方法で作られたプラスミドの溶液の中で、約1%(重量で)、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、又は約0.1%以下で存在している。いくつかの態様において、残留タンパク質は0.2%以下である。さらに好ましくは0.1%以下である。いくつかの態様において、生物学的に活性な分子好ましくは提供された製造方法で作られたプラスミドの溶液中の残留エンドトキシンは、約100エンドトキシン単位/1ミリグラムのプラスミド(EU/mg)以下、約20EU/mg以下、約10EU/mg以下、約1.0EU/mg以下、約0.9EU/mg以下、約0.8EU/mg以下、約0.7EU/mg以下、約0.6EU/mg以下、約0.5EU/mg以下、約0.4EU/mg以下、約0.3EU/mg以下、約0.2EU/mg以下、約0.1EU/mg以下である。好ましくは、いくつかの態様において、エンドトキシンのレベルは、約0.2EU/mg以下、そしてさらに好ましくは、約0.1EU/mg以下である。いくつかの態様において、疎水性相互作用HPLCで決められる残留RNAは、生物学的に活性な分子好ましくは提供された製造方法で作られたプラスミドの溶液の中で、約5%(重量で)以下、約0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下0.3%以下、0.2%以下、又は約0.1%以下である。好ましくは、いくつかの態様において、RNAの量は約0.5%以下、そしてさらに好ましくは、約0.4%以下ある。いくつかの態様において、qPCRで決められる残留ゲノムDNAは、生物学的に活性な分子好ましくは提供された製造方法で作られたプラスミドの溶液の中で、約5%(重量で)以下、約1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下、約0.01%以下、約0.001%以下、約0.0001%以下、約0.00001%以下、約0.000001%以下である。好ましくは、いくつかの態様において、ゲノムDNAの量は約0.1%以下、そしてさらに好ましくは約0.001%以下、そして最も好ましくは約0.000001%以下である。
【0066】
本明細書で提供される方法により、高収率と高濃度のプラスミドDNAを大量に生成することができる。提供されるプロセスにより製造されたプラスミドDNAは、高純度のプラスミドDNAの溶液を含む。いくつかの態様において、高純度のプラスミドDNAは、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、5mg/mL以上、6mg/mL以上、7mg/mL以上、8mg/mL以上、9mg/mL以上、10mg/mL以上、11mg/mL以上、12mg/mL以上、13mg/mL以上、14mg/mL以上、15mg/mL以上である。いくつかの態様において、プラスミドDNAは約5mg/mL〜約15mg/mL、約5mg/mL〜約14mg/mL、約5mg/mL〜約13mg/mL、約5mg/mL〜約12mg/mL、約5mg/mL〜約11mg/mL、約5mg/mL〜約10mg/mL、約5mg/mL〜約9mg/mL、約5mg/mL〜約8mg/mLの濃度、約6mg/mL〜約15mg/mL、約6mg/mL〜約14mg/mL、約6mg/mL〜約13mg/mL、約6mg/mL〜約12mg/mL、約6mg/mL〜約11mg/mL、約6mg/mL〜約10mg/mL、約6mg/mL〜約9mg/mL、約6mg/mL〜約8mg/mLの濃度、約7mg/mL〜約15mg/mL、約7mg/mL〜約14mg/mL、約7mg/mL〜約13mg/mL、約7mg/mL〜約12mg/mL、約7mg/mL〜約11mg/mL、約7mg/mL〜約10mg/mL、約7mg/mL〜約9mg/mL、約8mg/mL〜約15mg/mL、約8mg/mL〜約14mg/mL、約8mg/mL〜約13mg/mL、約8mg/mL〜約12mg/mL、約8mg/mL〜約11mg/mL、約8mg/mL〜約10mg/mL、約9mg/mL〜約15mg/mL、約9mg/mL〜約14mg/mL、約9mg/mL〜約13mg/mL、約9mg/mL〜約12mg/mL、約9mg/mL〜約11mg/mL、約10mg/mL〜約15mg/mL、約10mg/mL〜約14mg/mL、約10mg/mL〜約13mg/mL、約10mg/mL〜約12mg/mL、約11mg/mL〜約15mg/mL、約11mg/mL〜約14mg/mL、約11mg/mL〜約13mg/mL、約12mg/mL〜約15mg/mL、約12mg/mL〜約14mg/mL、又は約13mg/mL〜約15mg/mLの濃度である。いくつかの態様において、プラスミドDNAは、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%より大きいスーパーコイルプラスミドのスーパーコイルの割合で示される濃度で存在する。好ましくは80%より大きい。いくつかの態様において、プラスミドDNAは、50〜90%、50〜80%、50〜75%、50〜70%、50〜65%、50〜60%、60〜90%、60〜80%、60〜75%、60〜70%、65〜90%、65〜80%、65〜75%、65〜70%、70〜90%、70〜80%、70〜75%、80〜90%、85〜90%、90〜95%、又はそれ以上のスーパーコイルの割合で示される濃度で存在する。いくつかの態様において、プラスミドDNAは、90%又はそれ以上、95%又はそれ以上、又は98%又はそれ以上のスーパーコイルと弛緩型(オープンサークルで分解されていない)の割合で示される濃度で存在する。いくつかの態様において、プラスミドDNAは、2年かそれ以上の保管の後も50%かそれ以上で本質的に残りが弛緩型(オープンサークルで分解されていない)の、2年かそれ以上の保管の後も60%かそれ以上で本質的に残りが弛緩型(オープンサークルで分解されていない)の、2年かそれ以上の保管の後も65%かそれ以上で本質的に残りが弛緩型(オープンサークルで分解されていない)の、2年かそれ以上の保管の後も85%かそれ以上で本質的に残りが弛緩型(オープンサークルで分解されていない)のスーパーコイルの割合で示される濃度で存在する。ここで保管は水の凝固点以下で行われる。いくつかの態様において、プラスミドDNAは、2年かそれ以上の保管の後も90%かそれ以上、95%かそれ以上、98%かそれ以上のスーパーコイルと弛緩型(オープンサークルで分解されていない)の割合で示される濃度で存在する。ここで保管は水の凝固点以下で行われる。本明細書で記載したこのようなプラスミド標品は、本明細書で記載されたプロセスによって生成物として製造される。
【実施例】
【0067】
本発明は以下の実施例でさらに例証される。ここで、明言しない場合は部(part)と割合は重量で、度はセルシウスである。発明の好ましい態様を示すこれらの実施例は、例証の方法でのみ与えられることが理解されねばならない。上記の議論とこれらの実施例で当業者は、本発明の本質的な性格を確認することができ、そしてそこの精神と視野から離れることなく、発明の多くを変化させと修飾することができ、多くの使用と条件に適応させることができる。このように、本明細書で示され記載されて来たものに加えて、発明の多くの修飾が、前述の当業者には明白である。そのような修飾はまた、添付の特許請求の範囲を満たすように意図されている。
【0068】
実施例1
プラスミドAを含むエシェリキア・コリ(“E.coli”)細胞が、光学細胞密度(“OD600”)が72という高密度になるまで培養され遠心で集菌された。プラスミドAは6549bpのサイズである。プラスミドは約250コピー/細胞という低いコピー数で典型的に複製する。細胞湿重量(“WCW”)約3.1kgの細胞ペーストが最終容量を約21.5Lにした25mMトリス−塩酸(“Tris−HCl”、米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)、10mMエデト酸二ナトリウム(“Na2EDTA”、米国ニュージャージー州、フェアローン、フィッシャーサイエンティフィック)、pH8からなる再懸濁溶液に懸濁された。この細胞懸濁液が、300mL/分で“Y”コネクタの一方の側にポンプで送り込まれた。同時に、0.2N水酸化ナトリウム(“NaOH”、米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)、1%ドデシル硫酸ナトリウム(“SDS”、米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)からなる溶菌液が300mL/分で“Y”コネクタの他方の側にポンプで送り込まれた。“Y”コネクタを出て行く合わされた流動体は、標準的なエマルサスクリーン(米国マサチューセッツ州、イーストロングメドウ、シバーソンマシーンズInc)とインラインアセンブリーを取り付けたシルバーソンモデルL4R回転子/固定子ミキサーにすぐに通された。ミキサーは800rpmのロータ速度で運転された。
【0069】
回転子/固定子ミキサーを出る流動体は、50フィートで0.625インチ(内径)の保持コイルの中を通された。約600mL/分の全流速、保持コイルの通過時間約5分で、完全細胞溶解が可能である。
【0070】
保持カラムを出て行く細胞溶解液(溶菌液)がバブルカラムミキサーの中に通過された。同時に1M酢酸カリウム(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)、7M酢酸アンモニウム(米国ニュージャージー州、ギブスタウン、EMDケミカルズInc)からなる冷(約4°C)中和/沈殿溶液が独立して、600mL/分で、バブルカラムミキサーへポンプで送り込まれた。溶菌液と中和/沈殿溶液がミキシングカラムを垂直に上昇し、最上部近くの出口を通って出て行った。溶液がミキシングカラムを通されたとき、圧縮空気が約3.0slpm速さでミキシングの直径全てに渡る微細な気泡の一定した流れを供給するよう設計された焼結スパージャを通ってカラムの底に導入された。余分の空気がカラムの最上部を通って通気された。溶菌液と中和/沈殿溶液がカラムを通過する場合、それらは、上昇する気泡の穏やかな乱流によって連続的に混ぜ合わされた。これはSDSカリウム、変性された細胞タンパク質、結合した脂質と細胞成分からなる白色の綿状沈殿物(残骸成分)の形成によって証明された。
【0071】
中和カラムミキサーを出て行く、中和され沈殿された溶菌液(中和した溶菌液の分散液と残骸)が清澄化容器の中で集められた。この工程は、全体の細胞ペーストの懸濁液が溶解され、中和と沈殿され、清澄化タンクで集められるまで連続モードで運転された。全溶液の容量は、細胞懸濁液21.5Lプラス再懸濁緩衝液による再懸濁タンクの5Lの洗浄、26.5Lの溶解液、そして53Lの中和液で全容量は約106Lになった。
【0072】
収集の後、清澄化タンクの材料は視界ガラスで観察された。固体に捕捉されるはっきりと見える空気泡に助けられて、綿状沈殿物が液体の表面に上がるのを見ることができた。清澄化タンクに約28水銀柱インチの減圧が適用され、浮き上がる沈殿物の顕著で目で確認できる圧縮がもたらされる。
【0073】
材料は約16時間室温で減圧下で清澄化タンク内で保持された。減圧は次に圧縮された沈殿物の破壊を回避するためにゆっくりと通気された。プラスミド含有溶液(中和した溶菌液)がタンクから底のサニタリーフィッティングを通って注意深くポンプで送り出された。タンクの液体と沈殿物のレベルは連続してモニターされ、沈殿物がタンクから出ないことを確実にするため、ポンプによる流れをちょうどよいときに停止した。これは10μmデプスフィレトレーション、引き続き0.1μmの最終ろ過に供された。中和した溶菌液の一部は、フィルターの詰まりによってろ過の間に失われた。結果として、約69Lの清澄な中和した溶菌液が得られた。アニオン交換による更なる工程のための調製として、中和した溶菌液が次に約93Lの精製水で希釈され、全容量162Lそして約97mS/cm伝道率が達成された。ろ過された中性済溶菌液のプラスミド濃度が約17μg/mLと見積もられ、これは約1170mgの全プラスミドに相当した。
【0074】
清澄化し、希釈された中和した溶菌液はアニオン交換で更に精製された。総容積260mLのポールのムスタングQカートリッジが、10mM Tris−HCl(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び1mM EDTA(米国ニュージャージー州、フェアローン、フィッシャーサイエンティフィック)、pH8から1xTris−EDTA(“TE”)緩衝液内の0.67M塩化ナトリウム(“NaCl”、米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)4Lで平衡化された。162Lの容量の希釈された中和した溶菌液が1.2L/分の流速でQカートリッジにポンプで注入された。260nmにおけるカートリッジ溶出液の紫外線(“UV”)の吸光度がモニターされ、ストリップチャートレコーダを用いて記録された。添加の後、カートリッジは1.2L/分で溶出液のA260がベースラインに近づくまで平衡化緩衝液で洗浄された。次にプラスミドが、1M NaCl(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)を含む1xTE緩衝液を1.2L/分でポンプで流すことによってカートリッジから溶出された。溶出は、A260がベースラインに戻ったら終了した。全溶出液量は約4.8Lで、全部で、A260に基づく約915mgのDNAを含んでいた。Qアニオン交換の収率は約78%である。タンパク質、RNAの大部分、ゲノムDNAそしてエンドトキシンを含む夾雑物はフロースルーで除かれ、この工程で洗浄された。
【0075】
溶出液はさらにブチルカラムの方法IIを経由した疎水性相互作用によって精製された。K5/15アマシャム(米国ニュージャージー州、ピスカタウェイ)カラムが、総容積(“BV”)290mLのトヨパールブチル樹脂650M(米国ペンシルバニア州、モンゴメリービル、トーソーバイオサイエンスLLC)で詰められた。添加の前に、24L容の3M硫酸アンモニウム(米国ニュージャージー州、ギブスタウン、EMDケミカルズInc)が4.8LのQ溶出液と混ぜ合わされた。カラムが、ポンプで43mL/分で流された、2Lの2.5M硫酸アンモニウム(米国ニュージャージー州、ギブスタウン、EMDケミカルズInc)で平衡化された。条件設定されたQ溶出液が43mL/分でブチルカラムに添加され、引き続き43mL/分で5Lの2.5M硫酸アンモニウム(米国ニュージャージー州、ギブスタウン、EMDケミカルズInc)で洗浄され、そして生成物が43mL/分で、1.5Lの1.8M硫酸アンモニウム(米国ニュージャージー州、ギブスタウン、EMDケミカルズInc)で溶出された。カラムは、RNAとエンドトキシンを含む結合した夾雑物除去するために、滅菌噴射水(“WFI”,Baxter Healthcare,Deerfield,IL)で取り除かれ、反復使用のため再生された。溶出液は95%の収率でプラスミドを約870mg達成し、一方、プラスミドのスーパーコイルの割合はQの後の66%からブチルカラム工程の後の80%以上まで高められた。
【0076】
ブチルHICからの溶出液が、1ft2の面積で名目上の分子量カットオフ50kDaのポールのオメガサスペンディッドスクリーン膜カセット(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ、ポールコーポレーション)付のセントラメートTMカセットホルダを使った限外ろ過/透析ろ過(“UF/DF”)で濃縮され脱塩された。DNA濃度9.026mg/mL(A260より)の41.2mL容のバルク保持液が回収された。UF/DF装具のためのWFIの最初の洗浄が濃度1.6mg/mLの46.9mLを製造した。WFIの二回目の洗浄は0.268mg/mLの濃度で65.8mL製造した。UF後の合わせたDNAの回収は約476mgで、収率は55%であった。UF後の達成される最終的なプラスミドのスーパーコイルの割合は87%以上であった。
【0077】
実施例1の試料はアガロースゲル電気泳動による分析に供された。図2として表示される。全ての試料レーン(レーン2〜5)で主要なバンドが存在している。一方,一番弱いバンドは、標的プラスミドAのスーパーコイル型である。レーン1はスーパーコイルプラスミドのラダー(インビトロジェン)である。レーン2は6.5kbプラスミド生成物を含む細胞溶解液を示す。その一方で試料の中には大量のRNAも存在していた。レーン3はQアニオン交換後の生成物を示す。プラスミドが濃縮され、RNAがさらに少なくなっていることが示された。レーン4は疎水性相互作用による精製後の生成物を表示した。そしてレーン5は最終生成物をUF後に混ぜ合わせたものを示している溶菌液の夾雑RNAが除かれ、望みのスーパーコイルプラスミドの純度が実質的に60%から>85%に上がった。
【0078】
実施例2
プラスミドBを含むE.coli細胞3140グラム量が、pH8の25mM Tris−HCl(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び10mM Na2EDTAからなる再懸濁緩衝液に再懸濁され最終容量が18.8Lになった。プラスミドBは4.7kbのサイズである。懸濁された細胞は、800rpmのロータ速度で運転されるシルバーソンモデルL4R回転子/固定子ミキサーによる300mL/分の同じ流速で、0.2N NaOH(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び1%SDS(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)からなる溶解液と混ぜ合わされた。ミキサーからの溶菌液の流出物は、予め冷却された(4〜5℃)中和/沈殿(NP)溶液と混ぜ合わせるバブルカラムに入る前に、保持コイルでの5−分の保持時間が維持された。1M酢酸カリウム(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び3M酢酸アンモニウム(米国ニュージャージー州、ギブスタウン、EMDケミカルズInc)を含むNP溶液が、600mL/分でバブルカラムミキサーに供給され、同時に圧縮空気が流速3〜5slpmで底部のスパージャから導入された。
【0079】
中和した細胞溶解液は最初、バブルカラムの出口ポートに垂れ下がっている200〜400μmの波打ったメッシュバッグに受け止められた。大きな細胞の綿状の塊りはバッグの中に保持された。一方プラスミドDNAとその量の減った細胞残骸を含む粗製な溶菌液が、予め冷却された(5℃)清澄化タンクに集められた。同時に生じた粗製な溶菌液は、2L/分の流速で、エコラインフィルター容器(米国ニュージャージー州、アイセリン、イートンフィルトレーション)に取り付けられた48μmのひだ状のカートリッジフィルター(米国テキサス州、ヒューストン、CPIフィルターズ)にポンプで送られた。第一次ろ過済溶菌液が容器の中で集められ、75Lの全容量が回収された。第二次ろ過が後に実施された。第一次ろ過済溶菌液が、2L/分の流速で、エコラインフィルター容器(米国ニュージャージー州、アイセリン、イートンフィルトレーション)に取り付けられた523多層バッグフィルター(Knight Corporation,Barrington,IL)にポンプで送られた。回収された溶液が容器に集められ、65Lの全容量が回収された。最後にデプスフィルトレーションがミリスタックポドディスポーザブルデプスフィルターシステム(米国マサチューセッツ州、ビレリカ、ミリポア)で行われた。フィルター媒体は0.2〜2.5μmのポアサイズ分布を有した。膜面積が0.11m2のポドフィルターが第二次ろ過済溶菌液を清澄化するために使われた。60L容量の最終的な清澄化した溶菌液が達成できた。NTU値が2以下の高清澄化が実証された。ろ過のそれぞれの段階での溶菌液試料中のプラスミドの純度と形状は区別がつかなかった。
【0080】
実施例3
プラスミドC(3.5kbのプラスミドサイズ)を含むE.coli細胞が、高密度になるまで培養され遠心で集菌された。細胞湿重量24.4kgが400−Lの可動培養容積から回収された。細胞が、pH8の25mM Tris−HCl(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び10mM Na2EDTA(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、マリンクロット・ベーカー)からなる171Lの再懸濁緩衝液で3時間再懸濁された。再懸濁された細胞が、シルバーソンの高せん断ミキサーで、600ml/分という同じ流速で、新鮮な溶解液と混ぜられ、約5分間保持ループ内で保持された。1M酢酸カリウム(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び3M酢酸アンモニウム(米国ニュージャージー州、ギブスタウン、EMDケミカルズInc)からなる中和/沈殿溶液がバブルミキサーへ、1.2L/分の流速でポンプによって送り込まれ、溶解された細胞と混ぜ合わされた。ガス流速5〜6slpmで供給された圧縮空気は、攪拌力として働きまた中和された溶菌液を収集タンクに運んだ。溶解工程には約5時間が使われた。バブルミキシング装置を出て行く中和された細胞は収集タンクに向けられ、次のろ過に連続的に供された。
【0081】
中和された粗製な溶菌液はその生成とともに三つの連続したろ過で処理され、これらの清澄化工程は溶解工程と同時に運転された。最初のろ過は、綿状細胞塊を含む粗製な溶菌液を48μmひだ状カートリッジフィルター(米国テキサス州、ヒューストン、CPIフィルターズ)を取り付けたトップラインフィルター容器(米国ニュージャージー州、アイセリン、イートンフィルトレーション)に、2.4L/分の流速でポンプで送り込むことによって実行された。第一次のろ過は、細胞綿状沈殿物のような大きい粒子の大半を除去するのに採用された。そしてひだ状の膜がより多くのろ過面積が提供されることによって単層又は多層構築物よりより速い流速とより大きい処理能力が発揮された。そしてひだ状の膜がより多くのろ過面積を提供しと、単層又は多層構築物よりより速い流速とより大きい処理能力を提供する。四つのひだ状カートリッジが、細胞綿状沈殿物を含む680L容の中和した粗製溶菌液を処理するのに使用され、回収された第一次ろ過済溶菌液は600Lと見積もられた。48μmひだ状カートリッジフィルターを出て行く溶液は、直接、1μm多層カートリッジフィルター(米国テキサス州、ヒューストン、CPIフィルターズ)の取り付けられた第二次エコラインフィルター容器(米国ニュージャージー州、アイセリン、イートンフィルトレーション)に2.4L/分の流速でポンプで送り込まれた。この工程は第二次ろ過済溶菌液の1μm〜50μmの範囲の小粒子の大部分を除去した。次のムスタングQは0.2μmに等しいポアサイズを持ち、このように、0.2μmかそれ以下の絶対規格のポアサイズのフィルターによる第三次デプスフィルトレーションが実行された。デプスフィルターのミリスタックプラスポドフィルターシステムは、大容量の工程及び微細な粒子の高い維持どちらも達成できる。ステンレス鋼製のポドホルダに取り付けられたミリスタックC0HCフィルター(米国マサチューセッツ州、ビレリカ、ミリポア)が、溶菌液の濁度を減らすために使用され、2ネフェロ分析濁度ユニット(NTU)になるまで使用された。膜面積が1.1m2のC0HCフィルターは、第二次ろ過済溶菌液400L容を処理した。
【0082】
ミリスタックフィルターを出て行くろ過済溶菌液が容器の中に集められた。この容器からの溶液の画分が“Y”コネクタに流速2.2L/分でポンプにより送り込まれ、流速0.7L/分で同じ“Y”コネクタにポンプにより送り込まれた水で混ぜ合わされた。混合液がケニックスインラインミキサーに流されもう1つの保持タンクに導かれた。保持タンクの中のこのような希釈された溶菌液の伝導率は90〜95mS/cmの範囲であった。400L容の希釈された溶菌液が、総容積が260ml容の10インチのムスタングQ(米国ニューヨーク州、イーストヒルズ、ポール)に添加された。Qカプセルは200LのQへの添加の前に飽和された。約3gのプラスミドDNAがQ溶出液から回収された。Qの産物のスーパーコイルの割合は80%〜90%の間であり、Q溶出液のRNA含量はゲル分析で顕著ではなかった。
【0083】
実施例3の試料はアガロースゲル電気泳動による分析に供された。これは図3に表示されている。それぞれのレーンのより強いバンドは、プラスミドのスーパーコイル型である。これは80〜90%の範囲の割合で存在する。レーン1はスーパーコイルプラスミドラダー(インビトロジェン)である。レーン2は、48μmひだ状カートリッジを使う第一次ろ過の後の溶菌液であり、RNAの高い含有を示す。レーン3は、1μmひだ状カートリッジを使う第二次ろ過後のろ過溶液であり、さらにRNAの高い含有を示す。レーン4は、C0HCポドフィルターを使う第三次ろ過後のろ過溶液であり、RNAの減少した比率を示す。レーン5は、ムスタングQアニオン交換の工程を経た後の溶出産物の画分#1であり、RNAが限定的で、その画分が高純度であることが実証されている。レーン6はQ溶出液の二番目の画分を示す。溶出液#1と同じ純度である。
【0084】
実施例4
細胞湿重量25kgのプラスミドCを含むE.coli細胞が、pH8の25mM Tris−HCl(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び10mM Na2EDTAからなる105Lの再懸濁液で、全3時間に渡って再懸濁された。プラスミドCのサイズは3.5kbである。再懸濁された細胞は、シルバーソンモデルL4R回転子/固定子ミキサーに流速1500ml/分でポンプにより送り込まれ、同時に、0.2N NaOH(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び1%SDS(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)からなる溶解液が同じミキサーによって1500ml/分の流速で送られた。溶解された細胞を含む混合液が、内径(ID)1インチで100フィートの長さの保持コイルを通る。懸濁液がミキサーに入ってから保持コイルを出るまでのおおよその保持時間は5分である。溶解された細胞は、次にバブルカラムに入り、予め冷却された(4〜5℃)中和/沈殿溶液(NP)に接触した。1M酢酸カリウム(米国ニュージャージー州、フィルスバーグ、J.T.ベーカー)及び3M酢酸アンモニウム(米国ニュージャージー州、ギブスタウン、EMDケミカルズInc)を含むNP溶液が、3000mL/分の流速でバブルカラムミキサーに供給された。同時に、底部のスパージャから6〜10slpmの流速で圧縮空気が導入され攪拌力として働き、中和した溶液が、粗製溶菌液タンクへと導くディバーティングパイプへ入ることを容易にした。
【0085】
20分間粗製な溶菌液を集めた後、溶液が6L/分の流速で粗製溶菌液タンクの底部から、48μmのひだ状カートリッジフィルター(米国テキサス州、ヒューストン、CPIフィルターズ)が取り付けられたトップラインフィルター容器(米国ニュージャージー州、アイセリン、イートンフィルトレーション)にポンプにより送り込まれた。同時に、第一次フィルター容器からのろ過溶液が、6L/分の流速で、1μmひだ状カートリッジフィルター(米国テキサス州、ヒューストン、CPIフィルターズ)が取り付けられた第二次トップラインフィルター容器(米国ニュージャージー州、アイセリン、イートンフィルトレーション)にポンプで送り込まれた。第一次ろ過は48μm以上の粒子の99%を除去し、五つの10インチカートリッジフィルターが、総容量700Lの粗製な溶菌液を清澄化した。三つの10インチの1μmカートリッジフィルターの使用で第二次ろ過が完了し、1μm以上の粒子の99%が除去された。第二次容器からのろ過溶液が、5〜6L/分の流速のポンプの助けを借りて、清澄化溶菌液タンクに集められた。第三次フィルターシステムである、ステンレス鋼製の試験的規模のポドホルダ内に取り付けられたミリスタックプラスC0HCポドフィルター(米国マサチューセッツ州、ビレリカ、ミリポア)が採用され、次のムスタングQ精製のための高清澄化が達成できた。清澄化溶菌液タンクからの溶液は、6L/分の流速でポドフィルターにポンプで送り込まれた。膜面積2.2m2C0HCフィルターは、入り口の圧が10psiになる前に650L容の第二次ろ過済溶菌液を処理した。第三次ポドフィルターのろ過溶液がろ過済溶菌液用容器内に集められた。
【0086】
ろ過済溶菌液が “Y”コネクタに送られ、ムスタングQに添加される前に、ケニックスインラインミキサーを経て水0.3〜0.4V/溶菌液Vの比率で水と混ぜ合わされた。溶菌液が5L/分の流速でポンプにより流され、一方水が1.75〜2L/分の流速で供給された。混合物が希釈溶菌液タンク内で集められた。保持タンク内のこのような希釈された溶菌液の伝導率は90〜95mS/cmの範囲にある。約800L容の希釈された溶菌液が、5000ml容の総容積を持つムスタングQ XT5000(Pall,East Hills,NY)に添加された。約25gのプラスミドDNAがQ溶出液で回収された。回収されたQ溶出液は、高い割合のスーパーコイル型と限定的なレベルの夾雑物の混入を示した。
【0087】
実施例5
以下の表Iは、コピー数の少ないプラスミドAに関する、方法IIを用いて製造された十四個のプラスミド標品を示す。そしてそこでは、検出されたいくつかの純度パラメータも付してある。生成のプロトコールは、上記の実施例3で議論されたものである。
【0088】
プラスミド試料の分析
プラスミドCは3.5kbのサイズを有す(実施例3と実施例4にあるように)。プラスミドD1〜D3は4.4〜4.7kbの範囲にあり、発現遺伝子である以外は類似したコンストラクトを有している。プラスミドE1〜E2は3.8kbのサイズを有し、発現遺伝子である以外は類似したコンストラクトを有している。プラスミドFは2.5kbのサイズを有す。
【0089】
【表1】
図1
図2
図3