(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5793727
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】水流発電装置
(51)【国際特許分類】
F03B 7/00 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
F03B7/00
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-197993(P2014-197993)
(22)【出願日】2014年9月29日
【審査請求日】2014年11月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507113960
【氏名又は名称】田岡 懸一
(73)【特許権者】
【識別番号】512168814
【氏名又は名称】田岡 佑二
(72)【発明者】
【氏名】田岡 懸一
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−63583(JP,U)
【文献】
特開2009−24543(JP,A)
【文献】
特開2013−68196(JP,A)
【文献】
特開2013−15089(JP,A)
【文献】
実開昭61−184879(JP,U)
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0017129(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川の水流が遅いところから流れが早くなる位置に、水流に落差をつけ水車を回転させる水路を設ける為、水流に直角に川の手前から向こう岸に向け、川底から下に壁を設け、前記壁の両端に前記壁に直角に下流に向け水路を支える二枚の壁を設け、前記手前の壁は洪水時でも流物が越流出来ないよう高く、向こう岸よりの前記壁は洪水時越流できるよう通常の水路の水面より少し高く、前記水路を支える二枚の側壁間上部に、河川の水量が少ない時期でも水路に安定した水が流れるよう、水路の始点を川底よりも少し低く、始点から下流に向け少し勾配をかけ、端部は下向きの曲面を加えた水路を設け、洪水時濁流に混じって流れ落ちる、さまざまな物が水車の羽根及び回転軸に絡まない位置に、水車を配している事を特徴とする水流発電装置。
【請求項2】
一ヶ所で、発電量を必要とする場合、水路の巾を広げ水車を長くし、前記水路の中程に水路の底を支える壁を設け、水車及び羽根を二つに分け、接繋板で一体化し、回転軸の中程を水路の底を支える壁で支えて発電力を高めた事を特徴とする、請求項1に記載の水流発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の生態系を損なうことなく、我が国の豊富な水流から、出力の高い安定した電気エネルギーを得る装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気エネルギーを得るため主に、原子力、火力、水力、太陽光、風力発電があるが、それぞれ自然の環境を損ない、緑が過剰に失われるなど幾つかの課題が生じている。
【0003】
特に原子力発電は、いったん事故が起これば、未だ世界の技術を投じても解決出来ない悲惨な課題が残されている。また化石燃料による発電は、二酸化炭素による地球温暖化の一因など、大気の異変にもつながりかねない幾つかの深刻な課題がある。
【0004】
また、ダムによる発電は河川を仕切り自然の景色を損ない河川の生態系を不能にして電気エネルギーを得ているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2013−68196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、上記現状を踏まえ、自然の生態系を損なうことなく、我が国の豊富な無限の水流から出力の高い安定した電気エネルギーを提供することで、過剰に失われていく緑を守り、化石燃料による二酸化炭素を削減し、地球温暖化防止を担う事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の請求項1に記載の水流発電装置は、河川の水流が遅いとこから、流れが早くなる位置に、水流に落差をつけ水車を回転させる水路を設ける為、水流に直角に川の手前から向こう岸に向け、川底から下に壁を設け、前記壁の両端、つまり川の手前及び向こう岸よりに、前記壁に直角に下流に向け水路を支える二枚の側壁を設け、前記手前の水路を支える側壁は、洪水時でも側壁を流物が越流出来ないよう高くしている。
【0008】
前記向こう岸よりの水路を支える側壁は、洪水時側壁を越流出きるよう通常の水路の水面より少し高くし、前記水路を支える二枚の側壁間に、河川の水量が少ない時期でも水路に安定した水が流れるよう、水路の始点を川底よりも少し低くした水路を始点から下流に向け少し勾配をかけ、前記二枚の水路を支える側壁間上部に設けている。
【0009】
従って、前記水路は如何なる洪水にも、河川の水流に支障を与えないように設計された、水車を回転させる水路である。
【0010】
前記水路の長さは設置場所の河川の勾配によって異なるが、要するに水車が設置できる水流の落差が必要であること、また水の流れが早い場所でも、施工は少し困難ではあるが、前記水路を設置することは可能である。
【0011】
前記水路の端部は下向きに曲面を加え、洪水時水流に混じって流れる小石などによる水路の磨耗を抑える素材を前記曲面に取り付けている。
【0012】
前記水路の水が落ちかかる位置に、羽根が落ちかかる水をうけ回転する回転軸は、落ちかかる水を受ける羽根を取り付けるプレートが前記回転軸に一体かされた、回転軸には加速用滑車を備えている。
【0013】
前記回転軸に固定する羽根は、洪水時濁流に混じって落ちかかるさまざまな物、
流木石などなど、に耐えられる素材を用いた羽根を、前記回転軸の羽根を固定するプレートに羽根をボルトで固定。
【0014】
前記回転軸と前記羽根が一体化した水車は、前記二枚の水路を支える側壁に設けた、回転軸受け台に回転軸受け金具を用いて、洪水時濁流に混じって流れ落ちる、さまざまな物が前記羽根及び前記回転軸に絡むことの無いよう、前記水路端部底の曲面より奥、つまり水路の始点よりに水車が配されている。
【0015】
前記水車が配されている底面は、水車が配されている場所に水が流れ込まないよう、水路の始点よりから下流に向け勾配を設けている。
【0016】
前記水車は、水路から落ちかかる水を前記羽根でうけ安定した回転をする。更に発電に必要な回転に調整する為、前記回転軸の加速用滑車に加速滑車を接続、発電に必要な回転に加速滑車で回転調整し、発電機に接続発電機が発電する。
【0017】
図には記していないが、前記水路には水門を設け、その水路の水門を閉めると、水流は本流の方向え流れを変える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の前記水路は、河川の生態系を損なうことなく如何なる洪水にも影響されないよう設計された、水車を回転させる水路であるから、洪水時土砂やごみに妨げられる事なく、常に安定した回転が出きる為、出力の高い安定した発電が可能となる。
【0019】
従ってダムによって河川を仕切り、河川の生態系を不能にして電気エネルギーを得る必要はなく、本発明の前記水路を用いて発電することで河川の生態系を損なうことなく、我が国の豊富な無限の水流から、安定した出力の高い電気エネルギーを得る事で、過剰に失われつつある緑を守り、地球温暖化防止を担う事ができる。
【0020】
また、山間部の集落においても本発明の前記水路を用いて発電する事により、集落で必要な電力は充分補う事が可能であり、また山岳地帯、別荘及びキャンプ場においても、前記水路を用いて発電する事により、電気のある一時を過ごすことが可能となる。
【0021】
前記別荘及びキャンプ場において電気を必要としない時、図には記していないが水車の前記羽根に水が落ちかからない位置、つまり水路の始点よりに水車を平行して移動して置き、電気が必要な時元に戻す、つまり水車を出し入れ出きる設備を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の水流発電装置実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
本発明に係る水流発電装置は、河川の水流が遅いところ17から流れが早くなる18位置に、水流に落差をつけ水車を回転させる為の水路を設ける為、水流に直角に、川の手前から向こう岸に向け、川底から下に壁2を設け、前記壁2の両端、つまり川の手前及び向こう岸よりに、前記壁2直角に下流に向け水路5を支える二枚3,4側壁を設けている。
【0025】
前記手前水路5を支える側壁3洪水時でも流物が越流出来ないよう高くし、
前記向こう岸よりの水路5を支える側壁4洪水時側壁4を越流出きるよう水路5の通常の水面20より少し高くし、前記水路5を支える二枚の側壁3.4間上部に、河川の水量が少ない時期でも水路5に安定した水が流れるよう、水路の始点を川底19よりも少し低く、始点から下流に向け少し勾配をかけた水路5を設けている。
【0026】
前記水路5の長さは設置場所の河川の勾配によって異なるが、ようするに水車が設置できる水流の落差が必要である事、また水の流れが早い場所でも、施工は少し困難ではあるが、前記水路5の設置は可能である。
【0027】
前記水路5端部6は下向きに少し曲面を加え、その曲面に、洪水時水流に混じって流れ落ちる小石などによる磨耗を抑える素材25を取り付けている。
【0028】
前記水路5の水が落ちかかる位置に、水車の羽根8が落ちかかる水うけ回転する回転軸7は、落ちかかる水を受ける羽根8を取り付けるプレート23が水車の回転軸7に一体かされ、回転軸7は加速用滑車9を備えている。
【0029】
前記回転軸7に固定する羽根8は洪水時濁流に混じって流れ落ちる、さまざまな物に耐えられる素材を用いた羽根8を、回転軸7のプレート23に羽根8ボルト24で固定。
【0030】
前記回転軸7羽根8を一体化された水車は、前記二枚の水路5を支える前記側壁3,4に設けた、回転軸受け台14に回転軸受け金具13を用いて、洪水時濁流に混じって流れ落ちる、さまざまな物が羽根8及び回転軸7に絡むことの無いよう、前記水路5端部6底の曲面より奥、つまり水路5の始点よりに前記水車が配されている。
【0031】
前記水車が配されている底面は、水車配されている位置より奥、つまり水路5の始点よりから、水車が配されている場所に水が流れ込まないよう、前記底面は下流に向け勾配を設けている。
【0032】
前記水車は水路5から落ちかかる水を羽根8でうけ安定した回転をする。更に発電に必要な回転に調整する為、加速滑車10に接続、発電に必要な回転に調整し、発電機12に接続発電機12発電する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の発電装置は河川の水流を利用して電気エネルギーを得ることが出来る。
【符号の説明】
【0034】
1 土手
2 手前から向こう岸えの壁
3 手前の壁
4 向こう岸よりの壁
5 水路
6 水路端部
7 回転軸
8 羽根
9 加速用滑車
10 加速滑車
11 伝導ベルト
12 発電機
13 回転軸受け金具
14 回転軸受け台
15 伝導ベルト床開口
16 設備開口
17 流れが遅いところ
18 流れが速いところ
19 川底
20 水面
21 勾配のある水路の基礎
22 設備室の基礎
23 水車の羽根固定用プレート
24 羽根固定ボルト
25 磨耗しにくい素材
26 発電機固定ボルト
27 砂溜まり
28 地下階
29 地上階
【要約】
【課題】 我が国の豊富な河川の水流を電気エネルギーに変える事である。
【解決手段】 河川の水流が遅いところから、流れが早くなる位置に、川の手前から向こう岸に向け川底から下に壁を設け、前記壁の両端に前記壁に直角に下流に向け水路を支える二枚の壁を設け、前記手前の壁は洪水時でも流物が越流出来ないよう高く、前記向こう岸よりの側壁は洪水時側壁を越流できるよう通常の水路の水面よりも少し高く、前記水路を支える二枚の側壁間上部に、水量が少ない時期でも水路に安定した水が流れるよう、川底より少し低く水路の始点から下流に向け少し勾配をかけ端部は下向きに曲面を加えた水路を設け、前記水路の水が落ちかかる位置に水車を配し、水車は落ちかかる水によって回転、更に発電に必要な回転に加速滑車で加速し発電する。
【選択図】
図4