特許第5793731号(P5793731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793731
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】シート固定具
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/64 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   E04H15/64
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-76534(P2013-76534)
(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公開番号】特開2014-201893(P2014-201893A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2014年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】711002638
【氏名又は名称】田中 良三
(72)【発明者】
【氏名】田中 良三
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−316958(JP,A)
【文献】 特開2010−190347(JP,A)
【文献】 実公昭40−001696(JP,Y1)
【文献】 特許第4033982(JP,B2)
【文献】 実公平04−025947(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/64
F16B 2/00 − 2/26
E04F 10/02 − 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート端縁に形成された補強用の膨大部を両側から挟持し固定する一対の挟持片からなるシート取付部と、シートを展張し固定するためのロープ等を係合するロープ取付部とで構成された金属製のシート固定具であって、前記一対の挟持片は互いの基部を連結すると共に先端部は開口してなり、前記先端部の内側には基部方向に向けて斜めに突出する抜け止め手段を備え、さらに上記抜け止め手段をバネ材からなる一対の係止片で形成し、前記係止片の基部を前記挟持片の内側に遊嵌状態に保持して一対の前記係止片の先端がシートを挟み付ける方向に開閉自在になるようにしたことを特徴とするシート固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テントシートや工事用の防音シート等のシートの周縁部に取付け、シートを展張し固定するためのロープを挿通したりフックを引っ掛けて使用するシート固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、かかるシート固定具としては、テントシートや工事用の防音シート等のシートの周縁部に開孔を形成し、該開孔に固定されたハトメが使用されている。ところが、これらのハトメは、シートに開孔を形成しなければならないためにシートの強度が低下し、ハトメに強い力が加わると開孔の周縁部が裂けてシートが破損する問題があり、この問題を解消するために、例えば特許文献1に示すような固定具が提案されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に示す固定具は、片側にロープ等を引っ掛けるフック有する本体と本体にネジで固定される押さえ片とで固定具を構成し、本体と押さえ片との間にシートの周縁部を挟み止めるものである(特許文献1のA型止め具を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−97098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す従来例は、ネジ固定の挟み止め方式であるために、どうしても使用中にネジが緩み、しかもシートの生布が引張られて薄くなってしまうことから、強い力が頻繁に加わると固定具がシートから外れてしまう課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、テントシートや工事用の防音シート等の強い力が加わり強度が必要なシートの殆どは、シートの端縁にロープを挟み込み、高周波ウエルダーや縫製により挟み込んだロープをシートで固定した補強用の膨大部が形成されている点に着目して成したもので、その目的とするところは、シートに孔を開けることなく固定具を取付けることによりシートの破損を防止し、且つ固定具がシートから外れないようにしたシート固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、シート端縁に形成された補強用の膨大部を両側から挟持し固定する一対の挟持片からなるシート取付部と、シートを展張し固定するためのロープ等を係合するロープ取付部とで構成された金属製のシート固定具であって、前記一対の挟持片は互いの基部を連結すると共に先端部は開口してなり、該先端部の内側には基部方向に向けて斜めに突出する抜け止め手段を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、抜け止め手段をバネ材からなる一対の係止片で形成し、該係止片の基部を挟持片の内側に遊嵌状態に保持して一対の係止片の先端がシートを挟み付ける方向に開閉自在になるようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、互いに連結してC字状に形成された一対の挟持片とその背面中央に配設したロープ取付部とをアルミ材で一体形成すると共に、挟持片の先端部に薄肉状の係止片を一体形成して抜け止め手段を構成し、前記一対の挟持片を両側から押圧してシート端縁の膨大部にカシメ固定するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の構成により、シート固定具は一対の挟持片にてシート端縁に挟み止めできるので、シートに開孔を形成する必要がなくなり、シートの破損が防止できる。また、シート端縁に形成された膨大部に抜け止め手段を係合して取り付けることにより、シート固定具がシートに強固に取り付けられる。しかも、一対の挟持片の先端部内側には基部方向に向けて斜めに突出する抜け止め手段を備えているので、シートに引張力が加わると抜け止め手段が閉じる方向、すなわちシートを締付ける方向に挙動して、より強固な抜け止め作用が発揮できる。
【0011】
請求項2の構成により、抜け止め手段を構成する一対の係止片をバネ材で形成し、且つ遊嵌状態に保持してその先端を開閉自在にしているので、シートへの取り付けに際しては、固定具を手で差し込むだけで任意の位置に簡単に取り付けることができ、また使用時にシートが引っ張られたときには、一対の係止片がスムーズに閉じる方向へ動作するので、確実な抜け止め機能が得られる。しかも、加工時には、一対の挟持片はバネ材を使用する必要がないため、挟持片の折り曲げ加工等がし易くなる。
【0012】
請求項3の構成により、全ての部材が一体に成形できるので、煩わしい部品の組み立て作業も必要なく、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1の斜視図
図2】同上の断面図
図3】同上の係止片取付部の拡大断面図
図4】同上のシートへの取付け状態を示す断面図
図5】本発明の実施例2の斜視図
図6】同上の断面図
図7】同上のシートへの取付け状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について、図1乃至図4に基づき説明する。シート固定具は、真鍮板を略V字状に折り曲げ加工して形成し、互いの基部を連結し先端部が開口した一対の挟持片1、1からなるシート取付部2と、ステンレス材を環状に曲げ加工して形成したロープ取付部3とで構成し、シート取付部2の基部にロープ取付部3を取着すると共に、シート取付部2の先端部にはバネ材で形成された一対の係止片4、4を設けている。
【0015】
シート取付部2は、シート5の端縁に補強用のロープ6を挟み込み形成された膨大部7を一対の挟持片1、1で両側から挟持し、固定具をシート5に取付け固定するものであって、両側部を曲げ加工して形成した補強用のリブ8と、中央部にプレス加工して形成した補強用のリブ19とを設け、一対の挟持片1、1の開きを防止している。また、ロープ取付部3は、シート5を展張し固定するためのロープやワイヤー等(図示せず)を取付けるものであり、一対の係止片4、4はシート5からの抜け止め手段を構成するものである。
【0016】
係止片4は略く字状に形成し、挟持片1の内側に配設して、その先端が挟持片1の基部方向に向けて斜めに突出するようにしている。また、係止片4の基部を挟持片1の先端部に形成した折曲片9で挟持すると共に、折曲片9に形成した突起10を係止片4の取付孔11に嵌合して取着している。更に、図3に示すように、折曲片9の突起10は取付孔11に比べて小径に形成し、且つ係止片4と折曲片9との間には微小間隙を有しており、このために係止片4は遊嵌状態に保持され、一対の係止片4、4の先端がシート5を挟み付ける方向に開閉自在になるようにしている。
【0017】
使用に際しては、シート5の膨大部7を挟持片1、1の開口部から挿入して固定具を手で押し込むと、一対の係止片4、4が弾性で開いて一対の挟持片1、1間に膨大部7が装着され、図4に示すように、一対の係止片4、4は閉じた状態で膨大部7を挟持すると共に、係止片4の先端が膨大部7に当接して抜け止め手段を構成し、固定具がシート5の所定の位置に取付け固定される。
【0018】
而して、シートまたは固定具に引張力が加わった場合、該引張力によって抜け止め手段を構成する一対の係止片4、4が閉じる方向に挙動して強固にシート5を挟み込むようになり、効果的な抜け止め作用が発揮できる。また、一対の係止片4、4は、挟持片1に固定されているのではなく、その先端が挟み込み方向に開閉自在に保持されているので、シート6の膨大部8の挿入作業がし易く、且つ引張力が加わった際の閉じる動作もスムーズにできる。更に、補強用のリブ8、19により、一対の挟持片1、1の開きが防止されるので、係止片4、4がより強固にシート5を挟み込むことができる。
【0019】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について、図5乃至図7に基づき説明する。本実施例はシート取付部12とロープ取付部13とをアルミ材の押し出し成形で一体形成したものである。すなわち、一対の挟持片14、14の基部を連結し略C字状に形成してシート取付部12を構成し、その背面中央に環状のロープ取付部13を一体形成している。また、一対の挟持片14、14の先端部を薄肉状に形成すると共に内側に曲成し、その先端が基部方向に向けて斜めに突出する係止片15、15を一体形成して抜け止め手段を構成している。
【0020】
使用に際しては、図7に示すように、シート16の膨大部17を一対の挟持片14、14間に挿入した後、一対の挟持片14、14を両側から押圧して、シート16の膨大部17にカシメ固定するのである。
【0021】
図6に示すように、固定具をカシメ固定する前には、シート16の膨大部17が挿入できるように、C字状に形成した挟持片14、14の先端開口部18は広く形成されており、カシメ固定した後は、図7に示すように開口部18が狭くなると共に、係止片15、15の先端が挟持片14の基部方向に向けて斜めに突出し、シート16の膨大部17に当接して抜け止め手段を構成するのである。
【0022】
而して、上記実施例1と同様に、固定具に引張力が加わった場合、薄肉状に形成された一対の係止片15、15の先端が閉じる方向に挙動してより強固にシート16を挟み込むようになって、効果的な抜け止め作用が発揮できる。また、全ての部材が一体成形できるので、煩わしい部品の組み立て作業も必要なくなる。
【0023】
なお、上記実施例1、2では、ロープ固定具を環状に形成し、シート端縁に形成された補強用の膨大部はロープを挟み込み形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ロープ固定具は一部が開口したフック状のものでもよく、また、シート端縁の膨大部はシート端縁を折り曲げて形成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1、14 挟持片
2、12 シート取付部
3、13 ロープ取付部
4、15 係止片(抜け止め手段)
5、16 シート
6 ロープ
7、17 膨大部
8、19 リブ
9 折曲片
10 突起
11 取付孔
18 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7