(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793733
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】車両用前照灯のためのLED光源モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 8/10 20060101AFI20150928BHJP
F21S 2/00 20060101ALI20150928BHJP
F21W 101/10 20060101ALN20150928BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150928BHJP
【FI】
F21S8/10 171
F21S8/10 150
F21S2/00 100
F21W101:10
F21Y101:02
【請求項の数】30
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-523143(P2014-523143)
(86)(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公表番号】特表2014-522083(P2014-522083A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】AT2012050090
(87)【国際公開番号】WO2013020155
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2014年1月29日
(31)【優先権主張番号】A1141/2011
(32)【優先日】2011年8月8日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】513230918
【氏名又は名称】ツィツァラ リヒトシステム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジャングワース,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】モーサー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クレン,ギュンサー
【審査官】
林 政道
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/027474(WO,A2)
【文献】
特許第4836209(JP,B2)
【文献】
欧州特許出願公開第02280215(EP,A2)
【文献】
欧州特許出願公開第02306075(EP,A2)
【文献】
独国特許出願公開第10231326(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0198574(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0073710(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10− 8/12
F21S 2/00
F21V 8/00
F21W 101/10
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的な配光を生成する車両用LED前照灯(SW)のためのLED光源モジュール(M、M1−M4)であり、前記LED光源モジュール(M)は、2つ以上のLED光源(LEQ)を備え、前記LED光源(LEQ)がそれぞれ少なくとも1つの発光ダイオード(LED1、LED2)から成り、各LED光源(LEQ)の前記発光ダイオード(LED1、LED2)が、各LED光源(LEQ)に対応するように具備された複数の第一光学素子(P1−P4)で光を結合し、結合された光が、少なくとも部分的に前記第一光学素子(P1−P4)の発光面(L1−L4)から再び出射し、各LED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)の前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)が、互いに水平に間隔(A)を空け、隣接して配列され、光透過性材料から成り、 複数の前記第一光学素子(P1−P4)を、発光面(L1−L4)の上部および/または下部で互いに連結する、少なくとも1つの実質的に水平に延びる連結ウェブ(VS1、VS2)が設けられ、そのため、前記第一光学素子(P1−P4)で結合された光は、前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)の前記光透過性材料に入射し、前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)の発光面(LF1、LF2)を介し、これから再び出射することができる、LED光源モジュール。
【請求項2】
前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)が共通の面にあり、前記光透過性材料の前記発光面(LF1、LF2)が、同様に前記第一光学素子の前記発光面の共通の面にあることを特徴とする、請求項1に記載のLED光源モジュール。
【請求項3】
前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)が、上部および/または下部で互いに連結されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のLED光源モジュール。
【請求項4】
前記光透過性材料から成り、前記第一光学素子(P1−P4)を、それらの発光面(L1−L4)の上部および/または下部で互いに連結する、2つの実質的に水平に延びる連結ウェブ(VS1、VS2)が設けられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項5】
前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)が、前記第一光学素子(P1−P4)の発光面(L1−L4)、あるいは前記第一光学素子(P1−P4)と一体に形成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項6】
前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)、および前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)のそれが、共通の発光面を形成していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項7】
前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)が、垂直方向上/下に、若干の高さ(h1、h2)で、前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)を超えて延在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)が、水平方向に、横方向に若干の長さ(l1、l2)で、前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)を超えて延在することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項9】
前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)が、水平方向後方に、前記光源(LEQ)の方向に延在し、若干の延在(ES)を介して、前記第一光学素子(P1−P4)と連結していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項10】
前記少なくとも1つの、特に上の連結ウェブ(VS1)が、前記第一光学素子(P1−P4)の前記光結合部(LK1−LK4)の方向に、例えば楔形に、テーパー状に形成されていることを特徴とする、請求項9に記載のLED光源モジュール。
【請求項11】
前記第一光学素子(P1−P4)が、それらの前記光結合部(LK1−LK2)から、前記発光面(L1−L4)に向かって拡張し、そのとき前記第一光学素子(P1−P4)が、下に向かって延びながら、上に向かうよりもより強く拡張することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項12】
前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)が、長方形に形成されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項13】
全ての発光面(L1−L4)が、同一の形を備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項14】
前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)が、互いに平行に、同一の向きに配列されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項15】
前記LED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)に、前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)に生成された前記光セグメントを、− 前記前照灯(SW)が車両に備え付けられた状態で―車両の前の領域に照射する、第二光学系(S1、S2、S3、S4)が具備されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項16】
前記発光面(L1−L4)が、垂直方向に植立し、幅(b)より大きい高さ(h)を形成することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項17】
LED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)の前記第一光学素子(P1−P4)の隣接する発光面(L1−L4)が、1つの発光面(L1−L4)の幅(B)に相応する平常間隔(A)を互いに対して備えることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項18】
3つ以上の第一光学素子(P1−P4)の場合、隣接する第一光学素子(P1−P4)の発光面(L1−L4)間の間隔(A)が同じであることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項19】
前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)の上/下への延在、および/または前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)の、前記第一光学素子の前記発光面(L1−L4)を超えた横方向への延在、および/または前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)の水平方向後方への延在、特に前記少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)が、それを介して前記第一光学素子(P1−P4)と連結する前記延在(ES)が、光像の均一性の所望の度合い、および配光の最大値の削減の所望の度合いが生じるように選ばれることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の、動的な配光を生成するための、2つ以上のLED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)を含む車両用LED前照灯(SW)であり、そのとき前記LED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)の各々に、前記第一光学素子(P1−P4)の前記発光面(L1−L4)から生じた前記光セグメントを、− 前記前照灯(SW)が車両に取り付けられた状態で―車両の前の領域に照射する第二光学系(S1、S2、S3、S4)が具備される。
【請求項21】
前記LED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)の前記第二光学素子(S1、S2、S3、S4)および 前記第一光学素子の前記発光面(L1−L4)の配列が、前記個々のLED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)からの前記光セグメントが水平方向に互いに移行して照射されるように、互いに調整されており、そのとき前記個々のLED光源が別々に制御できることを特徴とする、請求項20に記載の前照灯。
【請求項22】
前記個々のLED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)が、同一の第二光学素子(S1、S2、S3、S4)を備えることを特徴とする、請求項20または21に記載の前照灯。
【請求項23】
隣接するLED光源の発光面(L1−L4)間の全ての間隔(A)が、全前照灯に渡って同一であることを特徴とする、請求項20から22のいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項24】
LED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)の前記発光面(L1−L4)の全配列が、前記第二光学素子(S1、S2、S3、S4)の光軸(X)に関して、水平方向に規定の位置を占め、そのとき前記個々のLED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)の異なる全配列が互いに異なる規定の位置を、水平方向に、それらにそれぞれ具備された第二光学素子(S1、S2、S3、S4)の光軸に関して備えることを特徴とする、請求項20から23のいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項25】
前記発光面の第一全配列が、それらの第二光学系の光軸に関して第一に規定された位置を占め、そのとき第二/第三/第四...第nの全配列が、それらの第二光学系の光軸に関し、第一全配列と比較して、半分/1倍/2倍/4倍/((n−1)/2)倍の、LED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)の2つの隣接する発光面間の平常間隔(A)が移行される ことを特徴とする、請求項20から24のいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項26】
前記前照灯の全LED光源モジュール(M; M1、M2、M3、M4)の前記発光面が、それぞれ垂直面の1つの側に、前記それらにそれぞれ具備された第二光学系(S1、S2、S3、S4)の光軸によって配置されることを特徴とする、請求項20から25のいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項27】
前照灯の全ての発光面の、丁度1つの発光面が、それに具備された第二光学系の光軸に交差することを特徴とする、請求項20から26のいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項28】
LED光源(LQE)が少なくとも2つの水平に重なり合って配列された発光ダイオード(LED1、LED2)を含み、その発光ダイオード(LED1、LED2)は互いに独立して制御でき、そのとき前記少なくとも2つの発光ダイオード(LED1、LED2)の各々は、前記第一光学素子の前記発光面を介し、水平の光セグメントとして―第一光学素子によって照射された垂直な光セグメントの中に―照射されることを特徴とする、請求項22から27のいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項29】
LED光源の各光ダイオードが、別々に制御できることを特徴とする、請求項20から28のいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項30】
車両に取り付けられた状態の左の前照灯が、車線上で、配光の左部分を、右の前照灯が配光の右部分を生成し、そのとき少なくとも各LED光源が、好適には、前記両方の前照灯の各発光ダイオードが、別々に制御できることを特徴とする、請求項20から29のいずれか一項に記載の車両用前照灯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用LED前照灯、特に動的配光を生成する車両用LED前照灯のためのLED光源モジュールに関し、そのときLED光源モジュールは2つ以上のLED光源を備え、そのときLED光源は、それぞれ少なくとも1つの発光ダイオードから成り、そのとき各LED光源の発光ダイオードは、具備された第一光学素子中に光を結合し、そのとき結合された光は、少なくとも部分的に、第一光学素子の発光面から再び出射する。
【0002】
本発明はさらに、このようなLED光源モジュールを有する前照灯、および相応する前照灯システムに関する。
【背景技術】
【0003】
車両の構造においては、例えば、ロービームおよび/またはハイビームのみではなく、高速道路用ライト、悪天候用ライト、日中走行用ライトのような、さらなる照明機能を生成するために、主灯機能を実現する発光ダイオードが、ますます多く使用される。
【0004】
また、前照灯用LED光源は、残りのLED光源が発光しない間、特定のLED光源のみが可視化され、あるいは光を発する、物体照明用などの、特殊な用途にも特に適している。物体照明の際、例えば歩行者や交通標識のような道路端の物体が、例えば赤外光のような光で照射され、それらの物体は、赤外線カメラによって撮影されることができる。もちろん、可視光も交通標識の照明などに使用される。
【0005】
逆に、対向交通が出現したときのハイビーム配光のような配光から、丁度、対向交通に眩惑をもたらしうるような配光の領域を消灯し、眩惑が発生しないようにすることも、もちろん可能である。
【0006】
上記の課題は、特定のLED光源を選択的に活性化することによって、あるいは後者の場合には、選択的に非活性化することによって、実施することができる。
【0007】
特定のLED光源を選択するために、現在、所望のLED光源のみが路上に放射するように、 特定のLED光源のみを活性化、あるいは非活性化する電子的解決法がある。基本的に任意のLED光源が活性化されるため、この解決法は高い柔軟性を提供する。
【0008】
他の解決法は、特定のLED光源の光を遮断するために、相応な位置で使用されることができるブラインドを示す。
【0009】
申請者のオーストリア特許第508604号明細書(特許文献1)から、運転中、異なる交通状況などに適応することができる、動的配光を生成できる、冒頭に言及したLED光源モジュールを備えた前照灯が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】オーストリア特許第508604号明細書
【0011】
特に、そのような前照灯は、従来から利用可能なLED光源によって実現可能である。
【0012】
このような前照灯では、照明面が別々に切り替え可能なセグメントに分割されることで、動く部品なしで、静的光技術で、ロービーム、ハイビーム、コーナーリングライト等のそれぞれの光機能を実現することができる。LEDから発生した光は、発光面の個々のセグメントを形成する、個々の第一光学系、および従属する第二光学系を介し、分割された配光として、車線に投射される。
【0013】
この分割によって、配光において特に前野領域で、地面/車線上への投射を妨害する、例えば乱れ、筋の形成、またはムラなどの不均一性が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、特に車線/地面上の光像の投射における、光像中の望ましくない作用を低減、あるいは完全に排除することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、本発明により、第一光学素子において結合された光が、光透過性材料の中に入射し、光透過性材料の発光面を介して、それから再び出射できるように、LED光源モジュールの第一光学素子の発光面が、光透過性材料で互いに連結されることにより、冒頭で言及されたLED光源モジュールによって解決される。
【0016】
その発光面が光像中のセグメントを生成するところの、個々の第一光学素子が、光透過性材料と結合することにより、筋の形成の結果としての光像中の不均一性が、その中で不鮮明になり、光像を妨害する効果が低減され、または完全に排除される。
【0017】
本発明の具体的な変形例においては、第一光学素子の発光面が1つの共通の面にあり、光透過性材料の発光面も同様に、第一光学素子の発光面の共通の面にあることができる。
【0018】
この共通の面は平面として形成されるか、第二光学系の像面湾曲に合わせて折曲される。
【0019】
第一光学素子に入射する光の一部は、このときもはや第一光学素子の発光面そのものを介しては発光されず、光透過性材料に入射し、その発光面を介して出射する。それによって、第一光学素子に入射する光の一部は、混合し、光像中の不均一性を低減または排除する。光透過性材料から出射した光は、そのようにして配光に貢献する。
【0020】
第一光学素子の発光面が、上部および/または下部で互いに連結していると、不均一性を低減または排除するために特に好都合であることが判明した。
【0021】
好適には、そのとき第一光学素子が、いずれにしても上部で互いに連結している。ここで「上」および「下」という概念は、モジュール/前照灯が、車両に取り付けられた状態に関わる。
【0022】
この上部は、第二光学系を介して、望ましくない不均一性が、主に、あるいは最も強く発生する、カットオフ境界より下の光像に形成される。
【0023】
下部の連結は光学的観点からは意味は少ないが、特に機械的観点から、個々の第一光学素子から構成された、部材全体の強固さを高めるために有利である。
【0024】
LED光源モジュールの具体的な変形例において、第一光学素子をそれらの発光面の上部および/または下部で互いに連結する、光透過性材料から形成される、少なくとも1つの実質的に水平に延在する連結ウェブを設けることができる。
【0025】
特に、 第一光学素子をそれらの発光面の上部および下部で互いに連結する、光透過性材料から形成される、丁度2つの、実質的に水平に延びる連結ウェブが設けられ、そのとき上のウェブが一方で光学的観点からも、機械的観点からも重要であり、もう一方で下のウェブは主に機械的観点から重要である。
【0026】
好適には、少なくとも1つの連結ウェブが、第一光学素子の発光面、あるいは第一光学素子と一体となって形成され、すなわち、個々の第一光学素子および連結ウェブが、単一部材、いわゆる第一光学系を形成している。
【0027】
ウェブと第一光学素子が互いに一体となって結びついているかいないかに関わらず、第一光学素子の発光面、および少なくとも1つの連結ウェブのそれが、共通の発光面を形成するとき、すなわち、それらが共通の面上にあり、好適には分断なしに、すなわち隙間などがなく、互いに連結されているとき、有利である。
【0028】
最適な光学的効果を達成するために、少なくとも1つの連結ウェブが、垂直方向に上/下に、それぞれ若干の規定の高さで、第一光学要素の発光面を超えて延在することができる。
【0029】
少なくとも1つの連結ウェブが水平方向に、横方向に若干の長さで、第一光学素子の発光面を超えて延在するときも、上記の意味にかなう。
【0030】
また、少なくとも1つの連結ウェブが水平方向後方に、光源の方向に延在し、若干の延在を介して第一光学系と連結されるとき、合目的的である。
【0031】
連結ウェブの設計、特に連結ウェブの後方への延在は、一方で光像の均一性に影響を与えながら、もう一方で、配光の最大値の減少と関連する。つまり、光像が均一に選ばれるほど、最大値はより大きく減少する。
【0032】
所望の効果によって、少なくとも1つの連結ウェブの下/上への延在、および/または少なくとも1つの連結ウェブの第一光学素子の発光面を超える横への延在、および/または少なくとも1つの連結ウェブの水平方向後方への延在、特にそれを介して少なくとも1つの連結ウェブが、第一光学素子と連結される延在が、光像の均一性に関わる所望の度合い、および配光における最大値の減少の所望の度合いが生じるように、選択されることができる。
【0033】
下記に記述されるように、前照灯には複数のLED光源モジュールが使用される。そのとき基本的に、それらが可能な範囲で同一の構造を備え、また特に、それらが同一の第一光学素子、あるいは第一光学系(=1つまたは2つのウェブと連結した第一光学素子)を備えることができる。しかし原則的に光学的理由から、所望の光像の最適な調整が行われることができるように、モジュール、特に第一光学系、およびここでは特に少なくとも1つの連結ウェブの形状が互いに相違することもできる。
【0034】
LEDからの光は全反射の結果、第一光学素子に伝播する。そのため、光透過性領域、すなわち連結ウェブに充分な量の光が入射するように、それが若干の延在を介して第一光学系と―互いに接触し、好適には互いに連結し、特に一体であるという意味で―連結するとき、上述したように有利である。
【0035】
少なくとも1つの、特に上の連結ウェブが、第一光学素子の光結合部に向かって、例えば楔形、テーパー状に形成されるときも、光学上有利でありうる。
【0036】
楔形によって材料を節約することができ、それはコスト削減に繋がる。これは特に、連結ウェブが後方に大きく延在するほど有効である。直方体の、すなわち連結ウェブの非テーパー状の形成は、光学的観点ではテーパー形状に対して長所をもたらさないため、後者が有利に選択される。
【0037】
第一光学素子が、その光結合部から発光面に向かって拡張し、そのとき第一光学素子が上に向かってよりも、下に向かってより強く拡張するとき、特に有利でありうる。
【0038】
第一光学素子は、例えば楔形を有し、そのとき部材が下に向かってより強く広がる。
【0039】
基本的に、第一光学素子の発光面には、比較的任意の形状を適用することができる。第一光学素子の発光面が長方形に形成されるとき、有利であることが判明した。相応する第一光学系は簡単に製造され、第一光学系から第二光学系を介して生成された配光のセグメントの重なり合いという観点から、よい光学的性質を備える。その他、そのような発光面によって、配光の全高を介して、水平方向に空所のない、均一な配光を光像中に生成できる。
【0040】
全発光面が同一の形状を有するとき、大抵の使用に適応する。これは前照灯の簡単な算出および製造に有利であり、前照灯のコストを明確に削減する。
【0041】
ただし、例えば異なる幅(水平の拡張)を有する、異なる形状の発光面を使用することもできる。例えば、配光の若干の領域を、より幅の狭い発光面で生成することができ、それによって、そこで光像のより精密な分割が生じ、より小さい、あるいはより狭い領域が消灯されることができる。
【0042】
さらに、第一光学素子の発光面が互いに平行に同一の配向で配置されているとき、有利である。
【0043】
平行および同一の配向によって、垂直方向においても簡単に、合法的光像が簡単に生成される。
【0044】
LED光源モジュールの第一光学素子の発光面が、水平に間隔を取り、隣接して配置されている場合、特に有利である。
【0045】
一方で、そのような配置は、実際に、特に困難なく実現されることができるが、もう一方で、そのようにすると、発光面は第二光学系を介し、厳しく限定されたセグメントを光像中に形成し、それらの重なり合いが全光像をもたらす。1つあるいは複数のLED光源をオフにすることにより、そのような配列のとき、光像中の規定された領域が最適に消灯される。
【0046】
上記ですでに言及されたように、各LED光源モジュールには、第一光学素子の発光面に生成された光セグメントを―前照灯が車両に取り付けられた状態で―車両の前にある領域に照射する、第二光学系が具備されている。
【0047】
LED光源の2つ以上のLED光源モジュール中での本発明の配列により、均一な配光、例えばハイビーム配光が、個々の光セグメントの相応の水平な配列および/または重なり合いによって生成されることができ、対向交通の幻惑を防ぐために、その配光から、個々の、または複数のLED光源をオフにすることによって、配光の非常に特殊な領域が「消灯される」、つまり点灯されないことが可能になる。
【0048】
例えば各々の光セグメントは、水平方向に、直接互いを画定し合って配列されることができる。境界が際立たないように、または配光の縁が見えないように、補助的にもう1つの、または複数の、他の光セグメントを、そのような互いに妨げとなる光セグメントの領域に重ねることができる。それは、後に詳細に説明するように、例えば2つの光セグメントを消灯することにより、光セグメントよりも狭い配光領域が「消灯」され、あるいは点灯されないことができるという利点を持つ。
【0049】
具体的な形態では、発光面は垂直方向に植立し、幅よりも大きい高さを有し、例えば長方形または楕円の形などに形成される。
【0050】
このより大きい高さとより小さい幅を有する植立した形によって、1つの発光面で、狭い角度領域が水平方向に照射され、垂直の観点では、この水平角度領域の全領域が、この1つの発光面で照射されることができる。
【0051】
LED光源モジュールの第一光学素子の隣接する発光面が、発光面の幅に相当する、互いに対する平常間隔を備えるとき、および、好適には発光面の第一全配列が第一の規定位置をそれらの第二光学系の光軸と関連して占めるとき、特に有利となり、そのとき第2/第3/第4...第n全配列が、それらの第二光学系の光軸に関し、第一の全配列と比較して、LED光源モジュールの2つの隣接する発光面間の平常間隔の、半分/1倍/2倍/4倍/((n−1)/2)倍に移行する。
【0052】
そのようにすると―水平の縁部を除いて―全前照灯の2つの光源を消灯することによって、発光面の幅の半分に相当する焦点の当たった領域を消灯できる配列が生じる。
【0053】
本発明の試験済みの具体的な実施形態において、3つ以上の第一光学素子において、隣接する第一光学素子の発光面間の間隔が同じであり、好適には、隣接するLED光源の発光面間の全ての間隔が、全前照灯に渡って同一である。
【0054】
それによって、均一な配光を得ることができる、同一のモジュールを有する簡単な構造がもたらされる。
【0055】
本発明の動的配光を生成する車両用LED前照灯は、上述のように2つ以上のLED光源モジュールを含み、そのとき、各LED光源モジュールは、第一光学素子の発光面から生じる光セグメントを―前照灯が車両に取り付けられた状態で―車両の前にある領域に照射する、第二光学系を具備する。
【0056】
さらには、光セグメントが個々のLED光源モジュールから水平方向に互いに対して移行して形成され、そのとき個々のLED光源が別々に制御されるように、LED光源モジュールの第二光学素子および第一光学素子の発光面の配列が、互いに調整されているとき、合目的的である。
【0057】
個々のLED光源モジュールが、同一の第二光学素子を備えるとき、前照灯の簡単で省コストな構造のために有意義である。
【0058】
好適には、隣接するLED光源の発光面間の全ての間隔が、全前照灯に渡って同一であり、それによって、基本的に可能な限り均一な配光を得ることができる、同一のモジュールを有する簡単な構造が得られる。
【0059】
「均一」とは、照明される領域に渡って、光像が全体的に同じく明るいという意味ではなく、光像中の異なる明度の領域間の境界部分が不断であり、目立つ境界部分が発生しないという意味であることを、ここで短く言及しておきたい。全光像は「まだら」でなく、明るい領域から暗い領域まで、なだらかな移行を見せるべきである。
【発明の効果】
【0060】
本発明によって、光像はさらに追加的に、明確に改善されることができる。
【0061】
その際、さらに具体的には、LED光源モジュールの発光面の全配列が、第二光学素子の光軸に関して水平方向に、規定の位置を占めることができ、そのとき個々のLED光源モジュールの、異なる全配列が、互いに異なる規定された位置を水平方向に、それらがそれぞれ具備する第二光学素子の光軸に関して備える。
【0062】
前照灯の全LED光源モジュールの発光面が、それぞれ垂直面の1つの側に、それらにそれぞれ具備された第二光学系の光軸によって配列されることができる。
【0063】
また、前照灯の全発光面の丁度1つの発光面が、それに具備された第二光学系の光軸に交差することができる。
【0064】
そのとき、LED光源が少なくとも2つの水平に重なり合って配列された発光ダイオードを含み、その発光ダイオードが相互から独立して制御可能であって、そのとき少なくとも2つの発光ダイオードのそれぞれが、第一光学素子の発光面を介して、水平な光セグメントとして―第一光学素子に照射される光セグメントの垂直部分の中に―照射されることができる。
【0065】
好適には、LED光源のそれぞれの発光ダイオードが、別々に制御可能である。
【0066】
本発明の2つの前照灯を有する車両用前照灯システムにおいて、車両に取り付けられた状態の左の前照灯が、車線上に、配光の左部分を、右の前照灯が、配光の右部分を生成し、そのとき少なくとも各LED光源は、好適には2つの前照灯の各発光ダイオードが、別々に制御可能であることができる。
【0067】
次に、本発明は図を参照にしてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、本発明の4つのLED光源モジュールを有する前照灯を示し、
【
図2】
図2は、個々のLED光源モジュールを示し、
【
図4】
図4は、正面から見た、第一の本発明の第一光学系の等角図であり、
【
図5】
図5は、背面から見た第一光学系の等角図であり、
【
図6】
図6は、
図4の一点鎖線のレベルに沿って第一光学系を通る垂直断面図であり、
【
図8】
図8は、第一光学系の第二の変形例の垂直断面図であり、
【
図10】
図10は、従来技術(連結されない光学系)における第一光学系の分離面/発光面での等照度分布を示し、
【
図11】
図11は、第一光学系の第1実施形態に従った、分離面/発光面での等照度分布を示し、
【
図12】
図12は、第二実施形態による、分離面/発光面での等照度分布を示し、
【
図13】
図13は、 従来技術の第一光学系を用いて生成された配光を示し、
【
図14】
図14は、第一の実施形態に従って、付属光学系を用いて生成された配光を示し、
【
図15】
図15は、第一の実施形態による付属光学系を用いて生成された配光を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0069】
図1は4つのLED光源モジュールM1−M4を有する前照灯SW、例えば車両用LED前照灯SW、動的な配光を生成する車両用LED前照灯などを示す。これらのLED光源モジュールM1−M4の各々には、具備されたモジュールから出射する光を車線に投射する、第二光学素子S1−S4が、例えばレンズの形で具備されている。
【0070】
LED光源モジュールMは、
図2および
図3において拡大図で示され、2つ以上の、提示された例では、4つのLED光源LEQを備える。
【0071】
LED光源LEQはまた、少なくとも1つの発光ダイオード、提示された例では、2つの発光ダイオードLED1、LED2から成る。各LED光源LEQの発光ダイオードLED1、LED2には、それぞれ1つの第一光学素子P1−P4が具備され、その中にその光が結合される。結合した光は、少なくとも部分的に再び、第一光学素子P1−P4の発光面L1−L4から出射する。
【0072】
第一光学素子P1−P4は、2つのウェブVS1、VS2によって、後に詳述するように、互いに連結し、1つの共通の部品、いわゆる第一光学系PGを形成する。
【0073】
LED光源LEQは、LED基板PRI上に配列されている。
【0074】
第一光学系PGは、ホルダHALによって、LED基板PRI上に固定され、さらにまた第一光学系PGの、LED基板に関わる位置決めのための、位置決め部材POSを設ける。
【0075】
すでに言及したように、LED光源モジュールMの第一光学素子P1−P4の発光面L1−L4は、光透過性材料によって互いに連結されるため、第一光学素子P1−P4で結合された光は光透過性材料に入射し、その発光面LF1、LF2を介して、そこから再び出射できる。
【0076】
LED光源モジュールの具体的変形例では、第一光学素子P1−P4を、それらの発光面L1−L4の上部および下部で互いに連結する、光透過性材料から形成される、2つの実質的に水平に延びる連結ウェブVS1、VS2が設けられることができる。
【0077】
それらの発光面が光像中にセグメントを生成する、個々の第一光学素子の、光透過性のウェブとの連結によって、筋の形成の結果生じる光像中の不均一性を、それらの中でぼかすことができるため、光像中の妨害作用は低減または完全に排除される。
【0078】
第一光学素子P1−P4の発光面L1−L4、およびウェブVS1、VS2の発光面LF1、LF2は共通の面にある。
【0079】
図示されたように、この共通の面は平面として形成されるか、または第二光学素子の像面湾曲に合わせて折曲される。
【0080】
第一光学素子に入射した光の一部は、このときもはや第一光学素子の発光面自体を介しては発光されず、光透過性材料に入射し、その発光面を介して出射する。それによって、第一光学素子に入射する光の一部は混合され、光像中の不均一性を低減、または排除する。そのため、光透過性材料から出射した光は、配光に貢献する。
【0081】
好適には第一光学素子は、いずれにしても上部で互いに連結する。「上」および「下」という概念は、そのときモジュール/前照灯の車両に取り付けられた状態に関わる。
【0082】
この上部は、第二光学系を介して、望ましくない不均一性が最も多く妨害を及ぼす、カットオフ境界の下の光像中に照射される。
【0083】
その領域で、それらが妨害を及ぼすのは、配光の不均一性が、その領域で、道路上に見えるからである。不均一性作用が主に、第一光学系の上側に発生することは、しばしば発光ダイオードが非対称的に入力され、導波管が上に向かってよりも下に向かってより広く開くことに起因する。
【0084】
そのとき一方的な入力とは、光が正確に第一光学素子の光結合部の幾何学的中心においてではなく、より上方で結合することと理解される。
【0085】
下部での連結は、光学的観点から意味は少なく、特に機械的観点から、個々の第一光学素子から形成される部材全体の安定性を高めるために有利である。
【0086】
相応して、上部のウェブVS1は一方で、光学的観点からも、機械的観点からも重要であり、もう一方で下方のウェブVS2は、主に機械的観点から重要である。
【0087】
好適には、連結ウェブVS1、VS2は第一光学素子P1−P4の発光面L1−L4、あるいは第一光学素子P1−P4と一体となって形成される。つまり、個々の第一光学素子および連結ウェブは唯一の部材、いわゆる第一光学系PGを形成する。
【0088】
第一光学素子P1−P4の発光面L1−L4、および連結ウェブVS1、VS2のそれは、1つの共通の面を形成し、すなわち、それらは1つの一貫した、上記に示したような、平らな面を形成する。
【0089】
図4が示すように、第一光学系PGの具体的な形成では、第一光学素子P1−P4の発光面L1−L4が垂直方向に植立し、好適には幅bよりも大きな高さhで、例えば長方形または楕円形に形成される。
【0090】
このより大きな高さとより小さな幅を有する植立した形によって、発光面で、狭い角度領域が、水平方向に照射され、垂直的観点では、この水平の角度領域の全領域を、その発光面で照射することができる。
【0091】
LED光源モジュールMの第一光学素子P1−P4の隣接する発光面L1−L4は、互いに対して、例えば発光面L1−L4の幅bに相当する平常間隔Aを備える。本発明の具体的な、試験済みの実施形態において、3つ以上の第一光学素子P1−P4の場合、隣接する第一光学素子P1−P4の発光面L1−L4間の間隔Aは等しく、好適には隣接するLED光源の発光面間の全ての間隔は、全前照灯に渡って同一である。それによって、均一な配光を得ることができる、同一のモジュールを有する簡単な構造が生じる。
【0092】
個々のLED光源モジュールの正確な配列と機能の仕方は、申請者のオーストリア特許第508604号明細書(特許文献1)で記述されており、ここではさらに詳しく説明されない。
【0093】
最適な光学的効果を達成するために、連結ウェブVS1、VS2が、垂直方向上方(上のウェブVS1)と下方(ウェブ VS2)に向かって、それぞれ若干の、規定の高さh1、h2を介し、 第一光学素子P1−P4の発光面L1−L4上を超えて延在することができる(
図4)。
【0094】
同様に、連結ウェブVS1、VS2は水平方向に、横方向に若干の長さl1、l2を介して第一光学系P1−P4の発光面L1−L4を超えて延在する。
【0095】
好適にはh1=h2である。
【0096】
特に上部の延在l1は、個々の光モジュールの光像が重なり合うとき、不均一を生じないように充分に選択されなければならない。
【0097】
補完のために、特に光結合部あるいは光結合面LK1−LK4を示す
図5に注意を喚起したい。この光結合部は図のように平面的に形成されることができるが、しかしまた、凹および/または凸型の、つまり光を集める、および/または拡散する構造を備えることもできる。
【0098】
図6は
図4の一点鎖線に沿って、第一光学系PGを通る垂直断面図である。これに見られるように、上の連結ウェブVS1は水平方向後方の光源、あるいは発光ダイオードLED1、LED2に向かい、特定の伸張ESに渡って延在する。
【0099】
連結ウェブの設計、特に連結ウェブの後方への延在は、一方で光像の均一性に影響を与え、もう一方で、配光の最大値の減少と関連する。つまり、光像が均一に選ばれるほど、最大値は大きく減少する。
【0100】
所望の効果によって、少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)の下/上への延在、および/または少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)の第一光学素子の発光面(L1−L4)を超える横への延在、および/または少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)の水平方向後方への延在、特にそれを介して少なくとも1つの連結ウェブ(VS1、VS2)が第一光学素子(P1−P4)と連結される延在(ES)が、光像の均一性に関わる所望の度合い、および配光の最大値の減少の所望の度合いが生じるように選択されることができる。
【0101】
下記に続いて記述されるように、前照灯には複数のLED光源モジュールが使用される。そのとき基本的に、それらが可能な範囲で1つの同一の構造を備え、また特に、それらが同一の第一光学素子、あるいは第一光学系(=1つまたは2つのウェブと連結した第一光学素子)を備えることができる。しかし原則的に光学上の理由から、モジュール、特に第一光学系、およびここでは特に少なくとも1つの連結ウェブの形態が互いに相違し、それによって所望の光像の最適な調整が行われることもできる。
【0102】
ウェブVS2は類似/同一の延長を備え、それはしかし第一に機械的および/または製造技術的な観点からであり、そのため光学的影響が、上のウェブVS1を元に説明される。
【0103】
LEDの光、LED1、LED2は、全反射の結果、第一光学素子(ここでは素子P3)に伝播する。それによって充分な量の光が光透過性の領域、すなわち連結ウェブに入射でき、そのため、上述したように、それらが若干の延在を介して第一光学系と―互いに接触し、好適には互いに連結し、特に一体となっているという意味で―連結しているとき、有利である。
【0104】
連結ウェブが少ない延在を介して後方に延在すれば、− 破線VS1’参照―光線LS1、LS2は、ウェブVS1に入射してその配光面LF1を介して再び出射せず、反射され(LS1’、LS2’)、第一光学素子P3の発光面L3を介して(望ましくない形で)出射する。
【0105】
同様に、
図7の上から見た図で、ウェブVS1の存在により、どのように光線(貫通した太線)が水平方向に互いから乖離するかを見ることができるが、それに対し、ウェブVS1なしでは、光線(細い破線)が、発光面の前の第一光学素子P3の中で合流し、別方向に向かう。それによって異なる光源/第一光学素子からの光が混合され、従来生じ得る不均一性がぼやけることとなる。
【0106】
図6および7を元にした説明の場合、基本的な理解のための大まかな記述であることがここで注意されなければならない。実際には、発生する効果は、組み合わせの中で見られるべきである。つまり、三次元的効果が問題なのである。
【実施例2】
【0107】
図8は、ウェブVS1がより大きな領域ESを介して後方に延在する変形例を示す。その他上の連結ウェブVS1は、第一光学素子の光結合部の方向に向かって、テーパー状に形成される。
【0108】
連結ウェブ、あるいはその後方への延在ESは、照明強度の最大値を低減させる。そのため 延在ESの後方への延長は、最大値と均一性の間の妥協を表す。配光が均一であるほど、配光の最大値(Hmax)の低下はより大きくなる。
【0109】
そのことから、連結ウェブによって得られた均一性の効果は、後方への延在ESの規模に左右される。テーパー形状は、光学的に影響は及ぼさないが、材料を節約する。しかし純粋に光学的観点から、連結ウェブの直方体の形状も可能である。
【0110】
相応に、光線はより早くウェブVS1に入射できる。つまり、より多くの光が連結ウェブVS1に届き、その発光面LF1から再び出射する。
【0111】
図9が示すように、ここではその他、より多くの光が第一光学素子の「間」の領域に届く。
【0112】
図10は、このとき第一光学系PGの全発光面を(オーストリア特許第508604号明細書のように)(特許文献1)連結ウェブ抜きで示し、
図11は、
図4−7の1つの第一光学系PGの発光面を示し、
図12は、
図8および9の第一光学系PGを示す。
【0113】
記載されているのは、照明が強い領域、つまり異なる照度(純粋に質的に、照度=光束/その領域から出射する光強度)の領域であり、Hmaxは照度が最大となる領域を表し、H0は暗い領域、H1は照度が低い領域、H2は照度が(幾分)高い領域、H3はより明るい領域である。
【0114】
この発光面から出射する光は、第二光学素子を介して車線に投射される。
【0115】
しばしば本変形例の場合のように、発光ダイオードが非対称的入力をし、導波管が上方へよりも下方により大きく開くため、不均一性作用が主に第一光学系の上側で発生する。ここでの非対称的入力とは、光が第一光学素子の光結合部の正確な幾何学的中心にではなく、それよりも上方で結合されることと理解される。相応に、
図10−12が示すように、Hmax領域は、中心ではなく、分離面上の上方領域にあるということとなる。
【0116】
従来技術を表す10図の変形例には、連結ウェブがない。第二光学系(投影レンズ)により、出射する配光が正確に、第一光学系の分離面に照射する。図示された第一光学系では、すなわち正確に4つの射光(4セグメント)が生成され、隙間は他のモジュールの射光で埋められる。下(および上の)縁部には重なり合いの際に、光像の乱れの原因となる強い不均一性が生じる。
【0117】
図11の連結ウェブを有する変形例の場合、
図10に対してすでに改善が見られる。隣接するセグメントのH1領域が、ウェブVS1の上部で互いに、接触することなく近づき、光像中にまだ不均一性がある。
【0118】
図12の変形例の場合、第一光学素子P1−P4間の上部/下部が、
図11の変形例の場合よりも強く照らされている。
【0119】
H1領域はほとんど接触している。隙間と他のモジュールの射光との重なり合いによって均一な配光がなされる。隣接する光モジュールのH1領域はほぼ完全に重なり合う。
【0120】
図13は、従来技術(
図10)の第一光学系を有するLED光源モジュールによる配光を、
図14は、
図11に相応する第一光学系を有するLED光源モジュールによる配光を、
図15は、
図12に相応する第一光学系を有するLED光源モジュールによる配光を示す。
【0121】
図示された配光においては、ロービーム配光が問題となる。もちろん効果は、例えばハイビーム配光の場合のように、他の配光でも生じる。これらの概略図に見られるように、強い不均一性STE1は、前野の光像LVE1中に現れ(
図13)、光像LVE2中には、この不均一性STE2が明らかに少なく形成され、光像LVE3(
図15)中には不均一性がもうほとんど形成されない。