(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0017】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図4に示した本発明の第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項1、請求項2、請求項6、請求項7に対応する実施例であって、槽体としての洗面ボウルSに取り付けられた、排水栓本体2、弁部材3、固定部材5、操作部4、レリースワイヤ12、排水トラップ配管T、オーバーフロー配管13、から構成される。
洗面ボウルSは上方が開口した箱体であって、底面に洗面ボウルS内の排水を行う排水口1を設けると共に、側面上方に、オーバーフロー排水を行うためのオーバーフロー排水口17を備えてなる。
排水栓本体2は、有底円筒状の管体を本体部分とする部材であって、上端部には外側面方向に向かって周縁に沿って突出したフランジ部18を備えてなる。該フランジには複数箇所にネジ部材20を挿通するためのネジ穴部18aを備えてなる(図示ではネジ穴部18a、ネジ部材20とも1つのみ示している)。また、排水栓本体2の本体部分の側面に、略水平方向に向かって、上方から順に、オーバーフロー接続管22、ワイヤー挿通管23、排出口24、の3つの管体部分を排水栓本体2と一体に備えてなる。
これら排水栓本体2の、本体部分側面に設けられた管体部分は、本体部分の側面に開口することから、開口部9として機能する。本実施例では、ワイヤー挿通管23の開口が、固定部材5と係合する開口部9となる。
弁部材3は排水口1を閉口するための部材であって、平面視円形にして略平板状の弁体3aと、該弁体3a部の中央から下方に向かって設けた軸部3bを備えてなる。
固定部材5はレリースワイヤ12端部を排水栓本体2の本体部分内部に固定するための部材であって、レリースワイヤ12端部を保持固定する保持部7と、排水栓本体2内周面に当接するリング部8と、リング部8の下方に設けた、ワイヤー挿通管23の開口部9に係止固定される突起部6と、を備えてなる。施工完了時においては、この固定部材5によって固定されたレリースワイヤ12の端部が、弁部材3の軸部3b下端に向かって配置される。また、保持部7にはスラストロック機構と呼ばれる軸体7aを備えた機構を内蔵してなり、施工完了時、このスラストロック機構の軸体7a下端に、レリースワイヤ12のインナーワイヤ12b先端が対向するように配置される。このように配置されたスラストロック機構において、操作部4に操作が加えられると、インナーワイヤ12bの先端がスラストロック機構の軸体7a後端を押し上げるように動作する。そして、インナーワイヤ12bの先端が、軸体7a後端を押し上げる毎に、軸体7aは、軸体7aを上方に突出させて固定/固定を解除して軸体7aを下方に降下、を繰り返すように動作する。
操作部4は、排水口1の開閉を操作するための部材であって、洗面ボウルSの開口周縁に配置される。
レリースワイヤ12は、操作部4に加えられた操作を弁部材3に伝達する部材であって、筒状のアウターチューブ12aと、金属のより線からなりアウターチューブ12a内を進退自在に摺動するインナーワイヤ12bと、図示しないが、インナーワイヤ12bをアウターチューブ12aに対して操作部4側に付勢するスプリング部8材と、から構成される。
排水トラップ配管Tは、管体をS字に屈曲させた部材であって、上流側の端部はほぼ水平方向に屈曲して排水栓本体2の排出口24に、下流側の端部は床下配管に、それぞれ接続される。
また、排水トラップ配管Tは、排水機器を使用するとその屈曲部分の内部に排水の溜まり部分を生じ、この溜まり部分によって管体の一部が常に水に満たされた状態となるため、臭気や害虫類が床下配管又は下水側から、屋内側に侵入することを防止することができる。
この溜まった排水を封水と呼び、排水トラップ部材の封水が溜まる部分を封水部T1と呼ぶ。
オーバーフロー配管13は、オーバーフロー排水口17に接続されるオーバーフロー継手15と、該オーバーフロー継手15とオーバーフロー接続管22との間を接続するホース管16と、から構成されてなる。
また、特に詳述したり、図示したりはしないが、各部材間の水密的に接続を要求される部分には、パッキングなどを用いて水密的に接続が行われる。
【0018】
上記のように構成した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして、槽体である洗面ボウルSに施工される。
まず、レリースワイヤ12の端部を、外部からワイヤー挿通管23に挿通し、排水栓本体2内部に挿通した上で、排水栓本体2の上端の開口から引き上げる。次に、固定部材5の保持部7にレリースワイヤ12の端部、正確にはアウターチューブ12a端部を取り付け固定する。この時、インナーワイヤ12b端部は、スラストロック機構の軸体7a下端に対向して配置される。この後、固定部材5を排水栓本体2の上端の開口から挿入し、固定部材5の突起部6を、ワイヤー挿通管23の根元部分の開口部9に係止させることで、固定部材5を排水栓本体2に対して係止固定させる。また、ワイヤー挿通管23の端部を、レリースワイヤ12が挿通した状態で水密的に閉塞する。
次に、操作部4を洗面ボウルSの開口周縁に取り付けた後、レリースワイヤ12端部を操作部4に接続する。
更に、排水栓本体2を、洗面ボウルSの下方から、洗面ボウルSの排水口1の周縁下面に当接させて水密的に固定する。具体的には、排水栓本体2のフランジ部18上面を洗面ボウルSの排水口1の周縁下面に当接させ、ネジ穴部18aを介してネジ部材20を挿通し、洗面ボウルSに螺合させて、排水栓本体2をネジ部材20により洗面ボウルSに取付固定する。
また、この時は、排水栓本体2の方向が、レリースワイヤ12に負担が掛からない方向となるよう注意する。
更にオーバーフロー継手15を洗面ボウルSのオーバーフロー排水口17に接続し、オーバーフロー継手15と排水栓本体2のオーバーフロー接続管22との間をホース管16で接続する。
最後に、排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管Tを介して接続し、更に排水口1から排水栓本体2内に弁部材3を配置して、遠隔操作式排水栓装置の洗面ボウルSへの施工が完了する。
【0019】
上記のように取り付けられた従来例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして使用することができる。
まず、
図2に示したように、弁部材3が降下し、排水口1が閉口されている状態にする。この状態においては、排水口1が弁体3aに閉塞されているため、槽体である洗面ボウルS内に排水が生じると、排水は洗面ボウルS内に溜まってゆく。但し、洗面ボウルS内に排水が溜まって、オーバーフロー排水口17の下端位置まで水位が達すると、洗面ボウルS内に溜まった排水は、オーバーフロー排水口17から、オーバーフロー継手15、オーバーフロー管、排水栓本体2、排水トラップ配管T、を通過し、最終的に下水側に排出される。これにより、洗面ボウルS内の排水の水位が、オーバーフロー排水口17以上に上昇することはない。
この状態より、操作部4に操作を加えると、インナーワイヤ12bが固定部材5側に突出して、保持部7に組み込まれているスラストロック機構の軸体7aの下端を押し上げ、保持部7内のスラストロック機構が動作し、軸体7aが上方に突出した状態で固定される。尚、使用者が操作部4から手を離すと、スプリング部8材の作用により、インナーワイヤ12bは操作部4側に移動する。これにより、弁部材3の軸部3b下端が軸体7aによって上方に押し上げられ、弁部材3が上昇し、排水口1から弁体3aが離間して、
図3に示したように、排水口1が開口する。この排水口1の開口状態では、槽体である洗面ボウルS内に発生した排水は、排水口1から排水栓本体2、排水継手25、排水トラップ配管Tを通過し、床下配管から下水側に排出される。
この状態から操作部4に再度操作を加え、インナーワイヤ12bを再度固定部材5側に突出させると、再びインナーワイヤ12bの先端が、保持部7に組み込まれているスラストロック機構の軸体7aの下端を押し上げ、保持部7内のスラストロック機構が動作し、軸体7aの固定が解除される。先述のように、使用者が操作部4から手を離すと、スプリング部8材の作用により、インナーワイヤ12bは操作部4側に移動するため、支えを失った軸体7aおよび弁軸は自重により降下し、結果弁部材3が降下して
図2に示した弁体3aが排水口1を閉塞した状態に戻る。以降、この過程を繰り返すことで、排水口1を遠隔操作的に自在に開口/閉口する事ができる。
【0020】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置では、固定部材5はワイヤー挿通管23の根元の開口部9に係止固定される。ワイヤー挿通管23は、元々遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ12を、遠隔操作式排水栓装置の外部から内部に挿入するために必要な構成であり、開口部9を構成するために新規に追加された構成ではない。このため、開口部9を設けるために、従来よりあった開口以外の開口部9分を遠隔操作式排水栓装置上に新たに設け、該開口部9分を水密的に閉塞する、という必要が無く、その分水密性を高いものすることができる。
また、上記第一実施例の遠隔操作式排水栓装置では、ワイヤー挿通管23の位置又は突起部6の上下方向の位置は、比較的自由(少なくとも従来例のように、排水栓本体2と排水継手25の接続部分に限定されるような不自由さはない)に設定することができ、設計レイアウトの幅を広げることができる。
【0021】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図5乃至
図7に示した本発明の第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項1、請求項2、請求項4、請求項6、請求項7に対応する実施例であって、槽体としての洗面ボウルSに取り付けられた、排水栓本体2、弁部材3、固定部材5、操作部4、レリースワイヤ12、排水トラップ配管T、オーバーフロー配管13、から構成される。
排水栓本体2は、有底円筒状の管体を本体部分とする部材であって、上端部には外側面方向に向かって周縁に沿って突出したフランジ部18を備えてなる。該フランジには複数箇所にネジ部材20を挿通するためのネジ穴部18aを備えてなる(図示ではネジ穴部18a、ネジ部材20とも1つのみ示している)。また、排水栓本体2の本体部分の側面に、略水平方向に向かって、上方から順に、オーバーフロー接続管22、ワイヤー挿通管23、排出口24、の3つの管体部分を排水栓本体2と一体に備えてなる。
これら排水栓本体2の、本体部分側面に設けられた管体部分は、本体部分の側面に開口することから、開口部9として機能する。本実施例では、オーバーフロー接続管22及びワイヤー挿通管23の開口が、固定部材5と係合する開口部9となる。
固定部材5はレリースワイヤ12端部を排水栓本体2の本体部分内部に固定するための部材であって、レリースワイヤ12端部を保持固定する保持部7と、排水栓本体2内周面に当接するリング部8と、リング部8の上方及び下方に設けた、ワイヤー挿通管23の開口部9に係止固定される突起部6と、を備えてなる。また、保持部7にはスラストロック機構を内蔵してなり、施工完了時、このスラストロック機構の軸体7a下端に、レリースワイヤ12のインナーワイヤ12b先端が対向するように配置される。このように配置されたスラストロック機構において、操作部4に操作が加えられると、インナーワイヤ12bの先端がスラストロック機構の軸体7a後端を押し上げるように動作する。そして、インナーワイヤ12bの先端が、軸体7a後端を押し上げる毎に、軸体7aは、軸体7aを上方に突出させて固定/固定を解除して軸体7aを下方に降下、を繰り返すように動作する。
上記以外の、洗面ボウルS、弁部材3、操作部4、レリースワイヤ12、排水トラップ配管T、オーバーフロー配管13の各部材は、段落0017に記載された第一実施例の各部材と同様に構成されてなる。
もちろん、各部材間の水密的に接続を要求される部分には、パッキングなどを用いて水密的に接続が行われる点も同様である。
【0022】
上記のように構成した第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして、槽体である洗面ボウルSに施工される。
まず、レリースワイヤ12の端部を、外部からワイヤー挿通管23に挿通し、排水栓本体2内部に挿通した上で、排水栓本体2の上端の開口から引き上げる。次に、固定部材5の保持部7にレリースワイヤ12の端部、正確にはアウターチューブ12a端部を取り付け固定する。この時、インナーワイヤ12b端部は、スラストロック機構の軸体7a下端に対向して配置される。この後、固定部材5を排水栓本体2の上端の開口から挿入し、固定部材5の上側の突起部6をオーバーフロー接続管22の根元部分の開口部9に、下側の突起部6をワイヤー挿通管23の根元部分の開口部9に、それぞれ係止させることで、固定部材5を排水栓本体2に対して係止固定させる。また、ワイヤー挿通管23の端部を、レリースワイヤ12が挿通した状態で水密的に閉塞する。
次に、操作部4を洗面ボウルSの開口周縁に取り付けた後、レリースワイヤ12端部を操作部4に接続する。
更に、排水栓本体2を、洗面ボウルSの下方から、洗面ボウルSの排水口1の周縁下面に当接させて水密的に固定する。具体的には、排水栓本体2のフランジ部18上面を洗面ボウルSの排水口1の周縁下面に当接させ、ネジ穴部18aを介してネジ部材20を挿通し、洗面ボウルSに螺合させて、排水栓本体2をネジ部材20により洗面ボウルSに取付固定する。
また、この時は、排水栓本体2の方向が、レリースワイヤ12に負担が掛からない方向となるよう注意する。
更にオーバーフロー継手15を洗面ボウルSのオーバーフロー排水口17に接続し、オーバーフロー継手15と排水栓本体2のオーバーフロー接続管22との間をホース管16で接続する。
最後に、排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管Tを介して接続し、更に排水口1から排水栓本体2内に弁部材3を配置して、遠隔操作式排水栓装置の洗面ボウルSへの施工が完了する。
【0023】
上記のように取り付けられた第二実施例の従来例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0019に記載した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置と同様の方法にて使用することができる。
また、上記のように構成された第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0020に記載した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置と同様の効果を奏すると共に、更に、固定部材5の下側の突起部6をワイヤー挿通管23の根元部分の開口部9に係止させた上、上側の突起部6をオーバーフロー接続管22の根元部分の開口部9に係止させたことで、第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の固定部材5よりも強固且つ確実にを排水栓本体2に対して係止固定させることが可能となっている。また、固定部材5を排水栓本体2に対して上下方向に2箇所にて固定しているため、固定部材5が上下方向に対してガタツキ等が起こりにくくなり、一層安定した使用を行うことが可能となった。
【0024】
次に、本発明の第三実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図8乃至
図10に示した本発明の第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項1、請求項2、請求項5、請求項6、請求項7に対応する実施例であって、槽体としての洗面ボウルSに取り付けられた、排水栓本体2、弁部材3、固定部材5、操作部4、レリースワイヤ12、排水トラップ配管T、オーバーフロー配管13、から構成される。
排水栓本体2は、有底円筒状の管体を本体部分とする樹脂成形によって構成される部材であって、上端部には外側面方向に向かって周縁に沿って突出したフランジ部18を備えてなる。該フランジには複数箇所にネジ部材20を挿通するためのネジ穴部18aを備えてなる(図示ではネジ穴部18a、ネジ部材20とも1つのみ示している)。また、排水栓本体2の本体部分の側面に、略水平方向に向かって、上方から順に、オーバーフロー接続管22、ワイヤー挿通管23、排出口24、の3つの管体部分を排水栓本体2と一体に備えてなる。
これら排水栓本体2の、本体部分側面に設けられた管体部分は、本体部分の側面に開口することから、開口部9として機能する。本実施例では、ワイヤー挿通管23の開口が、固定部材5と係合する開口部9となる。
更に、排水栓本体2の、ワイヤー挿通管23の対向位置の内面に、外方向に窪んだ凹部11を設けてなる。開口部9の対向位置に凹部11を設けるのは、部材の製造の際、開口部9から凹部11に対応する金型を抜き出すことができるためである。
固定部材5はレリースワイヤ12端部を排水栓本体2の本体部分内部に固定するための部材であって、レリースワイヤ12端部を保持固定する保持部7と、排水栓本体2内周面に当接するリング部8と、リング部8の下方に、平面視リング部8の中心を挟んで対称位置に設けた、ワイヤー挿通管23の開口部9及び凹部11に係止固定される突起部6と、を備えてなる。また、保持部7にはスラストロック機構を内蔵してなり、施工完了時、このスラストロック機構の軸体7a下端に、レリースワイヤ12のインナーワイヤ12b先端が対向するように配置される。このように配置されたスラストロック機構において、操作部4に操作が加えられると、インナーワイヤ12bの先端がスラストロック機構の軸体7a後端を押し上げるように動作する。そして、インナーワイヤ12bの先端が、軸体7a後端を押し上げる毎に、軸体7aは、軸体7aを上方に突出させて固定/固定を解除して軸体7aを下方に降下、を繰り返すように動作する。
上記以外の、洗面ボウルS、弁部材3、操作部4、レリースワイヤ12、排水トラップ配管T、オーバーフロー配管13の各部材は、段落0017に記載された第一実施例の各部材と同様に構成されてなる。
もちろん、各部材間の水密的に接続を要求される部分には、パッキングなどを用いて水密的に接続が行われる点も同様である。
【0025】
上記のように構成した第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして、槽体である洗面ボウルSに施工される。
まず、レリースワイヤ12の端部を、外部からワイヤー挿通管23に挿通し、排水栓本体2内部に挿通した上で、排水栓本体2の上端の開口から引き上げる。次に、固定部材5の保持部7にレリースワイヤ12の端部、正確にはアウターチューブ12a端部を取り付け固定する。この時、インナーワイヤ12b端部は、スラストロック機構の軸体7a下端に対向して配置される。この後、固定部材5を排水栓本体2の上端の開口から挿入し、固定部材5の2つある突起部6を、ワイヤー挿通管23の根元部分の開口部9と、凹部11とに、それぞれ係止させることで、固定部材5を排水栓本体2に対して係止固定させる。また、ワイヤー挿通管23の端部を、レリースワイヤ12が挿通した状態で水密的に閉塞する。
次に、操作部4を洗面ボウルSの開口周縁に取り付けた後、レリースワイヤ12端部を操作部4に接続する。
更に、排水栓本体2を、洗面ボウルSの下方から、洗面ボウルSの排水口1の周縁下面に当接させて水密的に固定する。具体的には、排水栓本体2のフランジ部18上面を洗面ボウルSの排水口1の周縁下面に当接させ、ネジ穴部18aを介してネジ部材20を挿通し、洗面ボウルSに螺合させて、排水栓本体2をネジ部材20により洗面ボウルSに取付固定する。
また、この時は、排水栓本体2の方向が、レリースワイヤ12に負担が掛からない方向となるよう注意する。
更にオーバーフロー継手15を洗面ボウルSのオーバーフロー排水口17に接続し、オーバーフロー継手15と排水栓本体2のオーバーフロー接続管22との間をホース管16で接続する。
最後に、排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管Tを介して接続し、更に排水口1から排水栓本体2内に弁部材3を配置して、遠隔操作式排水栓装置の洗面ボウルSへの施工が完了する。
【0026】
上記のように取り付けられた第三実施例の従来例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0019に記載した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置と同様の方法にて使用することができる。
また、上記のように構成された第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0020に記載した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置と同様の効果を奏すると共に、更に、固定部材5の2つある突起部6をワイヤー挿通管23の根元部分の開口部9と凹部11とに係止させたことで、第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の固定部材5よりも強固且つ確実にを排水栓本体2に対して係止固定させることが可能となっている。また、固定部材5を排水栓本体2に対して水平方向に2箇所にて固定しているため、固定部材5の撓みが起こりにくくなり、一層安定した使用を行うことが可能となった。
【0027】
次に、本発明の第四実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図11乃至
図13に示した本発明の第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項1、請求項3、請求項6、請求項7に対応する実施例であって、槽体としての洗面ボウルSに取り付けられた、排水栓本体2、オーバーフローアダプター14、排水継手25、弁部材3、固定部材5、操作部4、レリースワイヤ12、排水トラップ配管T、オーバーフロー配管13、から構成される。
排水栓本体2は、円筒形状であって、上端には排水口1を、上方側面には横穴部2aを、下方側面には雄ネジ部19を、それぞれ備えてなる。また、雄ネジ部19と螺合する板ナット部材21を備えてなる。更に上端部には外側面方向に向かって周縁に沿って突出したフランジ部18を備えてなる。
オーバーフローアダプター14は、環状にして側面にオーバーフロー接続管22を備えた部材であって、施工完了時上端は洗面ボウルS下面に、下端は板ナット部材21に、それぞれ当接した状態で施工される。
排水継手25は、円筒状であって、上縁部分に鍔部25aと、該鍔部25aによって係止され、雄ネジ部19と螺合する袋ナット部材26を備え、また側面部分にレリースワイヤ12を挿通するワイヤー挿通管23を備えてなる。また、下端部分には排出口24を備えてなる。
該排水継手25の、本体部分側面に設けられた管体部分であるワイヤー挿通管23は、本体部分の側面に開口することから、開口部9として機能する。
固定部材5はレリースワイヤ12端部を排水栓本体2の本体部分内部に固定するための部材であって、レリースワイヤ12端部を保持固定する保持部7と、排水栓本体2内周面に当接するリング部8と、リング部8の下方に設けた、係止部材10の先端と嵌合する嵌合部5aと、を備えてなる。また、保持部7にはスラストロック機構を内蔵してなり、施工完了時、このスラストロック機構の軸体7a下端に、レリースワイヤ12のインナーワイヤ12b先端が対向するように配置される。このように配置されたスラストロック機構において、操作部4に操作が加えられると、インナーワイヤ12bの先端がスラストロック機構の軸体7a後端を押し上げるように動作する。そして、インナーワイヤ12bの先端が、軸体7a後端を押し上げる毎に、軸体7aは、軸体7aを上方に突出させて固定/固定を解除して軸体7aを下方に降下、を繰り返すように動作する。
係止部材10は断面C字形状を成す棒状の部材であって、C字形状を成す断面の内側部分にレリースワイヤ12を収納した状態で、ワイヤー挿入管内に挿入され、先端部分が固定部材5の嵌合部5aに嵌合するように構成されてなる。
排水トラップ配管Tは、管体をS字に屈曲させて封水部T1を形成した部材であって、上流側の端部はほぼ垂直方向を向いて設けられて排水継手25の排出口24に、下流側の端部は床下配管に、それぞれ接続される。
上記以外の、洗面ボウルS、弁部材3、操作部4、レリースワイヤ12、オーバーフロー配管13の各部材は、段落0017に記載された第一実施例の各部材と同様に構成されてなる。
もちろん、各部材間の水密的に接続を要求される部分には、パッキングなどを用いて水密的に接続が行われる点も同様である。
【0028】
上記のように構成した第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして、槽体である洗面ボウルSに施工される。
尚、本実施例においては、オーバーフロー継手15とオーバーフローアダプター14のオーバーフロー接続管22は、事前に工場などでホース管16を介して接続された上で、施工現場に搬入されてなる。
まず、洗面ボウルSの取着孔に上方から排水栓本体2を挿入し、取着孔の周縁の上面に、フランジ部18の下面を当接させる。次に、排水栓本体2の下方から、オーバーフローアダプター14を挿通し、更に板ナットを排水栓本体2の雄ネジ部19に螺合させ、フランジ部18下面と、板ナット部材21上面とで、洗面ボウルSの取着孔周縁及びオーバーフローアダプター14を挟持するようにして取着し固定する。この時排水栓本体2の横穴部2aはオーバーフローアダプター14と同じ高さ位置に配置され、オーバーフロー接続管22から流入した排水が、オーバーフローアダプター14内部から、横穴部2aを介し排水栓本体2内部に流入するように配置されてなる。
次に、レリースワイヤ12の端部を、外部から排水継手25のワイヤー挿通管23に挿通し、排水継手25内部に挿通した上で、排水継手25の上端の開口から引き上げる。更に、固定部材5の保持部7にレリースワイヤ12の端部、正確にはアウターチューブ12a端部を取り付け固定する。この時、インナーワイヤ12b端部は、スラストロック機構の軸体7a下端に対向して配置される。この後、固定部材5を排水栓本体2の上端の開口から挿入し、固定部材5を排水継手25の適宜位置に配置する。更に、係止部材10のC字形状を成す断面の内側部分にレリースワイヤ12を収納した状態で、係止部材10をワイヤー挿通管23内に挿入させ、先端部分を固定部材5の嵌合部5aに嵌合させる(即ち、上記した「固定部材5を排水継手25の適宜位置に配置する」とは、「固定部材5を係止部材10に嵌合させることに対して適した位置に配置する」という意味である)。このように、固定部材5が係止部材10と嵌合することによって、固定部材5が排水継手25内に係止固定される。また、レリースワイヤ12挿通管の端部を、レリースワイヤ12が挿通した状態で水密的に閉塞する。
次に、操作部4を洗面ボウルSの開口周縁に取り付けた後、レリースワイヤ12端部を操作部4に接続する。
更に、排水栓本体2の雄ネジ部19に、下方から排水継手25の袋ナットを螺合させて、排水栓本体2に排水継手25を取付固定する。また、この時は、排水栓本体2の方向が、レリースワイヤ12に負担が掛からない方向となるよう注意する。このように、排水栓本体2に、排水継手25を螺合させて固定することで、固定部材5は、排水栓本体2に対して係止固定された状態となる(即ち、排水継手25は排水栓本体2に接続固定される配管部材であり、固定部材5は排水栓本体2に対して係止固定される部材である)。
最後に、オーバーフロー継手15を洗面ボウルSのオーバーフロー排水口17に接続すると共に、排出口24と床下配管とを、排水トラップ配管Tを介して接続し、更に排水口1から排水栓本体2内に弁部材3を配置して、遠隔操作式排水栓装置の洗面ボウルSへの施工が完了する。
【0029】
上記のように取り付けられた第四実施例の従来例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0019に記載した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置と同様の方法にて使用することができる。
また、上記のように構成された第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0020に記載した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置と同様の効果を奏すると共に、更に、固定部材5を係止部材10と嵌合させることで、排水栓本体2に固定される排水継手25に係止固定されてなる。この固定部材5と係止部材10との嵌合は、部材が破壊されるか、あるいはワイヤー挿通管23の水密的な閉塞を解除し、係止部材10をワイヤー挿通管23より取り出さない限り解除されることはないため、突起部6の弾性を利用して排水器本体に固定部材5を係止させている第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の固定部材5よりも強固且つ確実に排水栓本体2に対して係止固定されている、という事ができる。
尚、上記実施例では、従来例と同様、排水栓本体2と排水継手25の2つの部材を接続固定するように構成しているが、従来例の遠隔操作式排水栓装置が、
・排水栓本体2下端と、固定部材5のフランジ部18上面
・排水継手25上面と、固定部材5のフランジ部18下面
の2箇所で水密的な接続を行わなければならず、その分漏水の危険があることに対し、本実施例では、接続箇所は、
・排水栓本体2下端と排水継手25上面
の1箇所のみであって、排水栓本体2と排水継手25の接続箇所での漏水が生じる可能性は、従来例と比較して半分に減じている、ということができる。
【0030】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。例えば、上記実施例では、遠隔操作式排水栓装置を施工する槽体は洗面台の洗面ボウルSとしているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、流し台のシンクや、浴室の浴槽等、様々な槽体の排水配管に本発明を採用しても構わない。
また、上記実施例では、操作伝達部材としてレリースワイヤ12を採用してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、遠隔操作式排水栓装置の弁部材3を押し上げる機構として電力による昇降ユニットを採用し、操作伝達部材としてその昇降ユニットを動作させる電線を採用しても構わない。
また、上記実施例では、開口部9をオーバーフロー接続口やワイヤー挿通管23の開口部9としているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、側方を向いた排出口24等、排水栓本体2、または排水栓本体2に固定される配管部材の管体部分に設けても構わない。
また、純粋に固定部材5を係止させるためだけに開口部9を設けても構わない。この場合でも、開口部9の位置を自由に設定できるため、設計の自由度が高くなると共に、開口部9の大きさも小さな開口とすることができるため、容易に水密性を高いものとすることができる。
また、上記第三実施例では、固定部材5の突起部6を、開口部9と凹部11とに係止させてなるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、
図14に示したように、凹部11のみに固定部材5を係止するように構成しても良い。開口部9は第一実施例や第二実施例などのように、オーバーフロー配管13の接続や排水の排出口24など、他の目的に利用されることが多く、固定部材5を係止するために開口部9が閉塞または開口の割合が減じると不具合となる場合が多い。このような場合、
図14に示した実施例のように、凹部11のみに固定部材5が係止固定されるように構成し、開口部9には閉塞物が無いようにすると好適である。
また、上記第四実施例では、固定部材5を係止させるための係止部材10を、ワイヤー挿通管23に挿入するように構成してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
図15に示したように、ワイヤー挿通管23それ自体を排水栓本体2とは別途設けて係止部材10とし、このワイヤー挿入管が固定部材5を係止することで排水栓本体2(または排水栓本体2に接続される配管部材)に係止固定されるように構成しても構わない。